JP2005035575A - 容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器の成形物内部に、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成された容器、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形後の該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器、及び光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)より構成される容器用成形物(成形物C)に、レ−ザ−光線を照射して該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することを特徴とする容器用成形物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形後の該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器、及び光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)より構成される容器用成形物(成形物C)に、レ−ザ−光線を照射して該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することを特徴とする容器用成形物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器を構成する熱可塑性樹脂又はガラスの内部に視覚にて認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成された容器、および該容器用成形物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品容器、食品容器、医薬品容器、健康食品容器当の容器においては、内容物を充填しても長期保存に耐えるような化学的、機械的な特性が求められることは勿論であるが、商品のイメ−ジを向上させる側面もあるところから、消費者に訴えるような美観及び高級感を付与することが極めて重要である。
これらの容器は、その外部表面の美観及び高級感だけでなく、容器を構成する内部に美観や高級感を増す模様を有する容器は更に商品価値を高め、消費者の購買意欲を高めうることが期待できる。
【0003】
上記のような容器を製造、加工するために、無色または有色透明乃至半透明な合成樹脂で所定形状に形成した成形品の裏面側からレーザー光線を照射して成形品の裏面に所望形状に燃焼除去して凹部を形成する装飾樹脂成形品の製造方法が知られている(特許文献1参照)。
限界酸素指数が22%以上(ASTM D2863に基づく試験法)の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品もしくは該成形物によって被覆された成形品の表面に、レーザー光を照射してマーキングを行う方法も知られている。該方法は特に鮮明な黒色系のマーキングが可能となる特徴を有する(特許文献2参照)。
【0004】
透明なポリカーボネート部材に繰り返しパルスのYAGレーザー光をスキャンさせながら照射、透過させることによって、その透過箇所を黒く変色させ見掛け上マーキングを行う方法も知られている(特許文献3参照)。
熱可塑性樹脂をベースに、カーボンと釉薬とを特定量添加することにより、レーザマーキング部分の白色度が優れた熱可塑性樹脂組成物も提供されている(特許文献4参照 特開平7−316340号公報)。
また、熱可塑性樹脂をベースに、カーボンと二酸化チタン粉とを特定量添加することにより、レーザマーキング部分の白色度が優れた熱可塑性樹脂組成物も提供されている(特許文献4参照)。
【0005】
周期律表のI(A)〜IV(A)族あるいはI(B)〜IV(B)族に属する元素の一種又は二種以上を含有する熱可塑性高分子成形品にNd:YAGレーザを照射して照射部分を黒色化させ、その黒色化部分でバーコード当の標識を形成する標識形成法も知られている(特許文献5参照)。
更に、熱可塑性樹脂にホウ酸を少量配合して得られる熱可塑性樹脂組成物からなるレーザマーキング用ハウジング材も知られている(特許文献6参照 特開平8−142510号公報)。
【0006】
しかしながら、上記製造、加工方法等は、いずれも成形品表面にマーキングをするか、レーザー光線照射により白色度を向上させる組成物、金属元素等を含有する組成物をレーザー光線照射により黒色化してバーコード等の標識成形品の形成法、ホウ酸塩を配合してレーザー光線照射てハウジング材をレーザーマーキングする方法等に関するものであり、意匠性に優れ、高級感を高めるために化粧品等の容器を構成する熱可塑性樹脂又はガラス内部に、成形後に文字、図形、又は記号を含む模様を形成させた容器、及び該容器用成形物の製造方法は知られていない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭64−62289号公報
【特許文献2】
特開平5−96386号公報
【特許文献3】
特開平5−337659号公報
【特許文献4】
特開平7−316341号公報
【特許文献5】
特開平7−185846号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物を構成材料の一部又は全部に使用した容器の成形物内部に、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成された容器を提供することにある。
本発明の他の目的は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物を構成材料の一部又は全部に使用した容器の成形物内部に、視覚により認識可能な無彩色又は有彩色の模様が形成された容器を提供することにある。
本発明の更なる目的は、レ−ザ−光線を照射して容器用成形物内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成する容器用成形物の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、光を透過し得る無色もしくは有色透明または半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形後の該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器が提供される。
【0010】
本発明においては、
1.成形物(成形物C)を構成材料の一部に使用した容器であって、成形物(成形物C)を構成する熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)とが2層以上の多層構造を形成していること、
2.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)又はガラス(ガラスD)の透明性の低下により形成されたこと
3.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色もしくは有色透明又は半透明から他の無彩色または有彩色への色相変化により形成されたこと、
4.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色透明又は半透明から灰色への変色、又はガラス(ガラスD)おいては無色透明から白色への変色(白化)により形成されたこと、
5.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)中に予め添加した発色剤を発色させること、
6.模様がレ−ザ−光線の照射により形成されること、
7.模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)に変質を生じさせることにより形成されること、
8.模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)又はガラス(ガラスD)を灰色に変色させるかまたは白色に変色(白化)させることにより形成されること、
9.模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)中の発色剤を発色させることにより形成されること、
10.模様が、光源のレ−ザ−光を集光レンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射することで形成されること
11.熱可塑性樹脂(樹脂A)が、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリプロピレン、スチレン系樹脂とその共重合体、
及びエチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体であること、
12.エチレン共重合体がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマ−であること、
13.他の熱可塑性樹脂(樹脂B)が、無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂であること、
14.成形物(成形物C)が容器キャップ、または内容物を充填する容器部(容器キャップを除く。)であること、
15.容器が化粧品容器、食品容器、医薬品容器、または健康食品容器であることが望ましい。
【0011】
また、本発明によれば、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される容器用成形物(成形物C)に、レ−ザ−光線を照射して該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することを特徴とする容器用成形物の製造方法が提供される。
【0012】
本発明においては、
1.光源のレ−ザ−光をマイクロレンズ(集光レンズ)を使用して集束し、模様形成箇所に照射すること
2.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色もしくは有色透明又は半透明から他の無彩色または有彩色への色相変化により形成されること、
3.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色透明又は半透明から灰色への変色、又はガラス(ガラスD)おいては無色透明から白色への変色(白化)により形成されること、
4.模様の形成が熱可塑性樹脂(樹脂A)中に予め添加した発色剤を発色させることにより形成されることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の容器は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形物(成形物C)の内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器である。
また、本発明の容器は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)とが2層以上の多層構造を形成している容器であって、該熱可塑性樹脂(樹脂A)から形成される成形物(成形物C)の内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されていることを特徴とする前記容器である。
【0014】
本発明において、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様とは、特に制限はなく、これらの文字、図形、又は記号の一部ないし全部含むものも本発明の模様に該当し、更に、線や面、あるいは色彩などによりあらわされる装飾的構成もすべて本発明の模様に含まれる。従って、本発明における模様は、創作図形、キャラクター、物品の形状、自然物、建造物等の創作物であってもよく、また、本発明の模様には無彩色、及び有彩色のもの含まれ、視覚にて平面的、立体的に認識されるものも含まれる。
【0015】
本発明の容器を構成する成形材料として、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)単独、又は該熱可塑性樹脂(樹脂A)及び他の熱可塑性樹脂(樹脂B)を組み合わせて使用する。
後者の場合において、他の熱可塑性樹脂(樹脂B)は、熱可塑性樹脂(樹脂A)と同一でも、異なるものであってもよい。
本発明を構成する熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)の構成部分について特に制限はなく、両樹脂からなる多層構造としてもよく、多層構造以外では同一部位に使用しても異なる部位に使用してもよい。
更に、本発明の容器を構成する成形材料として、光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)を使用する。
【0016】
本発明において、透明又は半透明の熱可塑性樹脂とは、JIS K7105に定義される曇度が厚み1mmにおいて20%以下のものをいう。特に成形物内部に視覚により認識可能な模様について意匠性を高める効果的なものとするためには、曇度10%以下、とりわけ5%以下のものを使用するのが好ましい。
又、本発明において、光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)とは、JIS R3106(1998)に定義される可視光線透過率(380〜780nm)が厚み3mmにおいて50%以上のものをいう。特に成形物内部に視覚により認識可能な模様について意匠性を高める効果的なものとするためには、70%以上、とりわけ80%以上のものを使用するのが好ましい。
【0017】
熱可塑性樹脂(樹脂A)は、特に限定されるものではないが、具体例として、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、スチレン系樹脂その共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト等のアクリレ−ト系重合体、ポリオキシメチレン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリケトン、ABS等のスチレン系樹脂及びその共重合体、並びにこれら樹脂の混合物が挙げられ、本発明の容器として成形可能でかつ成形物内部に視覚により認識可能な模様が形成可能であれば、特にその種類は問われない。
【0018】
上記ポリオレフィンとして、エチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などの不飽和炭化水素の単独重合体が挙げられる。不飽和炭化水素としては炭素数4〜20程度のオレフィンが挙げられる。
また、ポリオレフィン共重合体として、エチレンまたはプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体などを例示することができる。
【0019】
上記エチレン共重合体としては、エチレンを主成分とするエチレンとα−オレフィンとの共重合体あるいはエチレンと極性モノマ−との共重合体である。エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、炭素数が3〜20、とくに炭素数が4〜12程度のものを使用するのが好ましい。このようなα−オレフィンとして具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどを挙げることができる。共重合体として、かかるα−オレフィンを1種又は2種以上共重合されたものを使用することができる。
【0020】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体においてはまた、透明性の点から密度が890〜950kg/m3、好ましくは900〜940kg/m3程度のものを使用するのが望ましく、またいかなる触媒系や製造方法で製造されたものであってもよく、例えば高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチ−グラ−型触媒、メタロセン化合物とアルミノオキサンとからなるシングルサイト触媒などを重合触媒として製造される共重合体を使用することもできる。
【0021】
また上記エチレン・極性モノマ−共重合体は、極性モノマ−含量が1〜50モル%、好ましくは5〜45モル%のものである。エチレン・極性モノマ−共重合体の極性モノマ−としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸の塩の一種又は二種以上などを例示することができる。
上記不飽和カルボン酸の塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩などを挙げることができる。
【0022】
エチレン・極性モノマ−共重合体としてより具体的には、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はその金属塩(アイオノマ−)、エチレン・酢酸ビニル共重合体のようなエチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体又はその金属塩(アイオノマ−)、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル・一酸化炭素共重合体のようなエチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体などを代表例として例示することができる。これらの中では、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマ−(エチレン・不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属イオンで中和されたもの)、及びエチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマ−(エチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属イオンで中和されたもの)が好ましく、アイオノマ−の金属イオン源としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属、あるいはマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属が好ましい。
これらエチレン・極性モノマー共重合体の多くは、高温、高圧下のラジカル共重合により得ることができる。
【0023】
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体やエチレン・極性モノマ−共重合体としては、成形加工性、機械的強度などを考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフロ−レ−ト(MFR)が0.05〜500g/10分、とくに0.1〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0024】
ポリプロピレン共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとのブロック共重合体などを例示することができる。プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体あるいはブロック共重合体を使用する場合は、α−オレフィンとしては炭素数2〜20程度のもの、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの1種又は2種以上を使用することができる。
【0025】
上記エチレン共重合体、プロピレン共重合体以外の共重合体としては、α−オレフィンと他のα−オレフィンとの共重合体、α−オレフィンと極性モノマ−との共重合体である。この場合、α−オレフィンとしては炭素数2〜20程度のもの、例えばエチレン、ポロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの1種又は2種以上を使用することができる。
【0026】
ポリメチルメタクリレ−トとしては、メタクリル酸メチルの単独重合体あるいはメタクリル酸メチルを主成分とし、これに他のビニルモノマ−、例えばアクリル酸エステル、他のメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリルなどの1種又は2種以上共重合した共重合体を挙げることができる。
【0027】
ポリカ−ボネ−トとしては、種々のジヒドロキシアリ−ル化合物とホスゲンの反応によって得られるものあるいはジヒドロキシアリ−ル化合物とジフェニルカ−ボネ−トのエステル交換反応によって得られるものなどを挙げることができる。このようなジヒドロキシアリ−ル化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンなどを挙げることができる。
特に好ましいのは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)である。
【0028】
ポリエステルとしては、酸成分が芳香族ジカルボン酸を主成分とするもの、とりわけテレフタル酸または2、6−ナフタレンジカルボン酸を80モル%以上、好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また酸成分として他の芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、フタル酸のほか、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸などが共重合成分として含むものであってもよい。また少量であれば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸のような3官能性以上の多価カルボン酸を共重合成分として含むものであってもよい。
【0029】
またポリエステルを構成するジヒドロキシ化合物成分としては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルのような脂肪族グリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジオ−ルのような脂環族ジオ−ル、ビスフェノ−ルAエチレンオキサイド付加物のような芳香族ジヒドロキシ化合物を例示することができる。これらの中では、エチレングリコ−ルまたは1,4−ブタンジオ−ルを80モル%以上、好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。他に少量であれば、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等の3官能性以上の多価ヒドロキシ化合物を含むものであってもよい。
代表的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリトリメチレンテレフタレ−ト、ポリテトラメチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トなどを挙げることができる。
【0030】
ポリ塩化ビニルとしては、塩化ビニルの単独重合体、あるいは塩化ビニルと、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン、酢酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルのような不飽和カルボン酸エステル、アルキルビニルエ−テルのようなビニルエ−テル類、臭化ビニル、弗化ビニルのようなハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンなどとの共重合体を例示することができる。共重合体の他の例として、エチレン・酢酸ビニル共重合体や熱可塑性ポリウレタンなどの幹ポリマ−に、塩化ビニル又は塩化ビニルと他の単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体を挙げることができる。
【0031】
ポリアミドとしては、例えば蓚酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のようなジカルボン酸と、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(4−アミノシクロヘキサン)、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンのようなジアミンとの重縮合、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムのようなラクタムの開環重合、6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸の重縮合、あるいは上記ラクタムとジカルボン酸とジアミンとの共重合などにより得られ、一般にナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナイロン66/12、ナイロン6/66/610、MXナイロン、非晶性ナイロン6TIなどとして市販されているものを用いることができる。
【0032】
スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体又は共重合体からなる熱可塑性樹脂であって懸濁重合法や乳化重合法などの各種製造方法によって得られる一般用ポリスチレンや耐熱性ポリスチレンのほか、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン共重合ゴムのようなゴム成分にスチレンをグラフト重合して得られる耐衝撃性ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などを挙げることができる。スチレン・アクリロニトリル共重合体は、一般にAS樹脂として知られているものであって、例えばアクリロニトリル含量が、20〜30重量%程度のものが好適に使用できる。
またアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体はABS樹脂として知られており、市販の曇度10%以下のものが好適である(例えば、東レ(株)製ABS樹脂、トヨラック900がある)。
【0033】
これら半透明又は透明熱可塑性樹脂の中では、化粧品に対する透明性を考慮すると、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマ−、エチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体又はアイオノマ−、非晶性ポリアミド、ポリアルキレンテレフタレ−ト、ポリアクリル系樹脂、スチレン系樹脂(SAN、ABS含む)、ポリカ−ボネ−ト、メタロセンポリエチレン、メタロセンポリプロピレンなどから選択されるのが好ましい。
【0034】
無色もしくは有色透明ガラス(ガラスD)の具体例としては、板ガラス、焼結ガラス、モールドガラス、低融点ガラス、硬質ガラス、低アルカリガラス、快削性ガラス、ゾロゲルガラス、クラウンガラス、(セミ)クリスタルガラス、光学クラウンガラス、光学フリントガラス、石英ガラスから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0035】
本発明において、上記光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物(成形物C)の内部に視覚により認識可能な模様を形成する方法として、レ−ザ−光線の照射を用いることができる。
レ−ザ−光源としては特に限定されるものではないが、炭酸ガスレ−ザ−、アルゴンレ−ザ−、ヘリウム−ネオンレ−ザ−などの気体レ−ザ−、YAGレ−ザ−、ルビ−レ−ザ−、ガラスレ−ザ−などの固体レ−ザ−、ガリウム−砒素レ−ザ−などの半導体レ−ザ−などが例示される。
【0036】
これらの中でも室温で連続発振が容易で赤外領域の波長であり熱エネルギ−への変換効率がよい炭酸ガスレ−ザ−またはYAGレ−ザ−が好ましい。
本発明に使用するレ−ザ−光としては前記レ−ザ−光を非線形光学素子(波長変換機能)を用いて波長の短い第二高調波(SHG:Second Harmonic Generation)に変換したものが好ましい。このSHGレ−ザ−光波長は可視光領域(380〜780nm)にある。
尚、非線形光学素子としてはAANP(2−アダマンチルアミノ−5−ニトロピリジン)のような有機非線形光学素子、β−ホウ酸バリウム単結晶、光学ガラスのような無機非線形光学素子を使用することができる。
【0037】
レ−ザ−照射により、無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物(成形物C)の内部に模様を形成する場合、光源からレ−ザ−光を分割して多方向(2方向、3方向など)から照射し変質を生じさせる方法や、光源のレ−ザ−光を集光レンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射して形成させる方法などがある。装置の簡便さから後者の光源のレ−ザ−光をマイクロレンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射して形成させる方法が好ましい。
透明又は半透明な成形物(成形物C)へのレ−ザ−照射は大気中で行うことができるが、レ−ザ−照射により成形品に輻射熱が発生し、成形物(成形物C)の劣化を起こす恐れがある場合、窒素などの不活性雰囲気下で行うほうが好ましい。
【0038】
本発明のレ−ザ−照射に使用可能な市販品のSHGレ−ザ−加工機器にとして、米国クアントニ社(QUANTRONIX)製のモデル500シリ−ズ(型式:532DP、527DP、527DQ、
527DQE)、ミヤチテクノス(株)製のエコマーカー(ECOMARKERR )ML−9010Aなどがある。
いずれもマイクロレンズ(集光レンズ)を使用して集束し変質を生じさせる方法でSHGレ−ザ−の波長として532nmを使用することができる。
【0039】
レ−ザ−照射加工による模様形成において、熱可塑性樹脂(A)に予め有機染料、微細顔料、蓄光材料などで着色した成形物(C)を使用してもよい。このような有機染料としてアシッドオレンジ7、アシッドブル−9、ダイレクトブル−86などが挙げられる。また、微細顔料としてペリレンレッド、銅フタロシアニンなどが挙げられる。
また実質的に無色の発色成分でレ−ザ−光により分解し成分を発色させる発色剤を予め成形品に均一分散し、レ−ザ−加工により着色させて模様を形成させることもできる。またこれらの発色剤とともに顕色剤を併用することもできる。
【0040】
無色の発色成分でレ−ザ−光により分解し成分を発色させる発色剤としては、2−アニリノ−6−ジエチルアミノ−3−メチルフルオラン、3、6、6’−トリス−(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9、3’−フタリド]などのラクトン系色素が例示でき、その他に感熱記録材において通常用いられる発色剤、即ちロイコ色素(電子供与性発色性化合物)が適している。その具体例としては、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフエニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフエニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3′−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフエニル−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジエチルアミノフタリド等のトリアリルメタンフタリド系染料;4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル、N−ハロフエニルロイコオーラミン等のジフエニルメタン系染料;ベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系染料;3−メチル−ナフト(6′−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン等のスピロ系染料;ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム等のラクタム系染料;3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン、3−(N−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン等のフルオラン系染料;3,6,6′−トリス(ジメチルアミノ)スピロ(フルオレン−9,3′フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ピロリジノフタリド、3−ジメチルアミノ−6ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3′)−6′−ピロリジノフタリド等のフルオレン系染料などが挙げられ、このうち、特に、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−フエニルフルオラン等の融点150℃以上のものが好ましい。
【0041】
また、発色剤として、融点が200℃以上のもの、例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフエニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド(融点215−216℃)、3,3′−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−フタリド(融点225−227℃)、ローダミン−B−アニリノラクタム(融点215℃)、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム(融点205−207℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン(融点216℃)、3−ジメチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン(融点218℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン(融点220−221℃)、3−ジメチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン(融点222−225℃)、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン(融点202−205℃)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン(融点200−202℃)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン(融点235℃)、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン(融点219−220℃)、2,2−ビス(4−(6′−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3′−メチルスピロ(フタリド−3,9′−キサンテン)−2′−イルアミノ)フエニル)プロパン(融点230−238℃)、3,6,6′−トリス(ジメチルアミノ)スピロ(フルオレン−9,3′フタリド(融点244−246℃)、下記式(1)で表されるビスラクトン系化合物(分解点355−357℃)、下記式(2)で表されるクロメノピラゾール系色素(融点260−261℃)等の各種色素も使用することができ、このうち好ましいものとしては、例えば、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン(融点216℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン(融点220−221℃)、2,2−ビス(4−(6′−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3′−メチルスピロ(フタリド−3,9′−キサンテン)−2′−イルアミノ)フエニル)プロパン(融点230−238℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロフエニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロフエニルフルオランなどが挙げられる。
【0042】
また、好ましい顕色剤としては、融点200℃以上の顕色剤(電子受容性物質)が挙げられる。その具体例としては、ビスフエノールS(4,4′−スルフオニルジフエノール;融点248−250℃)、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点298−300℃)、2,2′,6,6′−テトラブロモ−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点278−280℃)、p−ヒドロキシ安息香酸(融点213−214℃)、4−ヒドロキシイソフタル酸(分解点314−315℃)、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(融点222−223℃)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフエノール)(融点205℃)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(融点244℃)、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フオスフアフエナンスレン−10−オキサイド(融点203℃)等;及び活性白土、酸性白土、アタパルジヤイト、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質が挙げられる。このうち、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点298−300℃)、2,2′,6,6′−テトラブロモ−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点278−280℃)、ビスフエノールS(融点248−250℃)及び無機酸性物質等の融点が230℃以上のものが好ましく、殊に、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点298−300℃)、2,2′,6,6′−テトラブロモ−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点278−280℃)等の融点が260℃以上のものが好適である。
【0043】
上記レーザー照射加工における発色剤と顕色剤との使用比率は適宜選択することができ特に限定されるものではないが、一般的には、発色剤1重量部に対して、顕色剤は好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1.5〜10重量部の範囲内で用いることができる。また、発色剤の熱可塑性樹脂(樹脂A)中に占める割合は、熱可塑性樹脂(樹脂A)100重量部に対して0.01〜30重量部、特に0.05〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0044】
可塑性樹脂(A)には、予め悪影響を及ぼさない範囲において各種添加剤を配合することができる。このような添加剤として例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
【0045】
本発明の容器においては、成形物(C)を少なくとも構成材料の一部として用いるものである。すなわち本発明の容器は、これら成形物(C)のみから構成されていてもよく、あるいは成形物(C)と他の熱可塑性樹脂(B)とから構成されていてもよい。後者の場合において、上記樹脂組成物と他の材料は互いに異なる部位に使用されていてもよく、あるいは両者の積層体を構成して同一部位に使用されていてもよい。
【0046】
また、熱可塑性樹脂(A)で成形された成形物(C)を少なくとも容器の一部の構成材料として使用し、成形物(C)以外の他の熱可塑性樹脂(B)とから構成されている容器において、他の熱可塑性樹脂(B)が半透明又は透明の熱可塑性樹脂により構成されている場合、特に意匠性の高い容器を作ることが出来る。
【0047】
他の熱可塑性樹脂(B)としては、熱可塑性樹脂(A)としてすでに紹介したものから選択することができるし、あるいは半透明又は透明熱可塑性樹脂の定義に該当しない不透明の熱可塑性樹脂、例えば高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、ABS型樹脂などから選択することもできる。
【0048】
高密度ポリエチレンとしては、密度が950kg/m3を越えるエチレンの単独重合体又はエチレンと微量のα−オレフィンとの共重合体、高圧法低密度ポリエチレンとしては、密度が910〜930kg/m3の高圧法によって得られるポリエチレンを挙げることができる。
【0049】
また上記ABS型樹脂としては、ゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーを加えて、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合又は乳化重合することにより得られるものを例示することができる。このようなグラフト重合法のみならず、いわゆるグラフトブレンド法やブレンド法で製造されたものであってもよい。上記ゴム状重合体の例として、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチルのようなアクリル系ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンなどを挙げることができる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなど、また共重合可能な他のビニルモノマーとして、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミドなどを例示できる。ABS型樹脂の具体例として、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)等を挙げることができる。
【0050】
熱可塑性樹(A)と他の熱可塑性樹脂(B)の積層体で構成される容器の場合は、熱可塑性樹(A)から構成される層をX、他の熱可塑性樹脂(B)から構成される層をYとすると、容器表面から容器内面に向かって順に、X/Y、Y/X、Y/X/Y、X/Y/X、X/Y/Yなどの層構成を採ることができる。
XやYがそれぞれ2層以上有する場合には、勿論複数のX層やY層はそれぞれ同一である必要はない。X層が容器表面層でない場合においては、X層より表面側にあるY層が半透明又は透明の熱可塑性樹脂により構成されている場合が、内部に模様が形成された容器としての意匠性が向上する。化粧品等の内容物により、熱可塑性樹脂成形品に例えばストレスクラック等を発生するおそれのあるときは、より耐性(耐薬品性)のある他の熱可塑性樹脂を容器内面に用いることにより容器としての耐薬品性を改良することができる。また、X層とY層の間の接着性を向上する目的で両層の間に接着性樹脂の層を設けることもできる。接着性樹脂としてはポリエチレン又はポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したようなものが効果的に使用できる。
【0051】
このような容器においては、より一層意匠性を高めるために、表面に装飾的な凹凸模様を施すことができる。このような凹凸模様は、成形型による転写法、ホットスタンピングによる方法、レ−ザ−光による方法などによって行うこともできる。
【0052】
本発明の容器は、種々の形状をとることができるし、また各種化粧品の容器、例えば、クリ−ム、乳液、化粧水、パック等の基礎化粧品組成物、ファンデ−ション、アイカラ−、リップカラ−等のメ−クアップ化粧品組成物、洗顔料のような洗浄化粧品組成物、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリ−ム等の頭髪用化粧品組成物、香水やオ−デコロン等のフレグランス組成物など粉末状、液体状、ペ−スト状、固体状、練り物状など各種性状の化粧品用の容器に適用することができる。また、成形物内部に模様を有する透明又は半透明な成形物は、化粧品容器以外に、食品装飾容器、医薬品装飾容器、健康食品装飾容器、建材装飾材にも使用することができる。
また、容器として典型的なものは、成形物(成形物C)が容器キャップ、または内容物を充填する容器部(容器キャップを除く。)である。
【0053】
本発明の容器の成形物(成形物C)として熱可塑性樹脂(樹脂A)を用いる場合には、射出成形、異型押出、ブロ−成形などの成形技術を利用し成形することができる。
本発明の容器は、熱可塑性樹脂(樹脂A)を成形後に模様を形成し、そのまま容器として使用できるが、模様を形成後さらに二次成形を行ってもよい。
また、熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)からなる多層成形品を成形後に熱可塑性樹脂(樹脂A)からなる成形物(成形物C)部分に模様を形成してもよく、熱可塑性樹脂(樹脂A)を成形して成形物(成形物C)を得て、これに他の熱可塑性樹脂(樹脂B)を積層させてもよい。
更に、本発明の容器の成形物(成形物C)としてガラス(ガラスD)を用いる場合には、押型成形,ホントキャスト,フュージングなどの成形技術を利用し成形することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマ−(中和度60%、MFR(190℃、2160g荷重)0.9g/10分)を、射出成形機(東芝機械(株)製、型式:IS100E)を用いて200℃の温度で射出成形し、化粧品容器の半円形状キャップを作成した。最も厚い部分が約40mmあるこのキャップは透明であった。
ミヤチテクノス社製、ECOMAKERR
ML−9010Aを使用し、窒素雰囲気下、SHGレ−ザ−光(532nm、周波数2kHz)、電流値17A、スキャンスピ−ド40mm/秒の条件で、該キャップの外表面から深度約10mmの位置に変質を起こさせながらCADによりハ−トの模様(高さ20mm、厚み5mm)を形成した。所要時間は約30分間であった。内部にハ−トの模様を形成したキャップは化粧品容器として優れた意匠性を示した。
【0055】
実施例2
実施例1と同じ材料を使用し、中空成形機(日本製鋼所(株)製、型式:JB105CP)を用いて180℃の温度でブロ−成形し100mlの容器に成形した。この単層容器は透明で実施例1と同じSHGレ−ザ−光を使用し同条件で厚み6mmの内部にCADによりクエッションマ−クを形成し、化粧品容器として優れた意匠性を示した。
【0056】
実施例3
化粧品容器キャップとして球形のものがあるため、アイオノマ−樹脂(イ−・アイ・デュポン社製、商品名:サ−リン8945、メルトフロ−レ−ト(MFR、190℃、2160g荷重)4.0g/10分、密度940kg/m3)100重量部に対しレ−ザ−光照射発色剤(山本化成(株)社製、3、6、6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9、3’−フタリド])及び顕色剤としてビスフェノ−ルSを1対1モルに配合したものを0.1重量部の割合でドライブレンドしたものを使用し、190℃の温度で射出成形により直径40mmΦの球形状の化粧品容器キャップを成形した。実施例1に記載したと同じレ−ザ−加工条件で化粧品容器キャップ内部(樹脂層内部)に同じハ−トの模様を形成した。該キャップ内部のハ−ト模様が濃色グリ−ンに染色し浮き立って見え、化粧品容器用途としての意匠性に優れることを示していた。
【0057】
実施例4
ポリプロピレン((株)グランドポリマ−製、商品名:グランドポリプロB101、MFR(230℃、2160g荷重)0.7g/10分、密度910kg/m3、)を最内層に、中間層の接着層として接着性樹脂(商品名バイネル3048、MFR(190℃、2160g荷重)0.8g/10分、イ−・アイ・デュポン社製)を、アイオノマ−(ハイミラン1707)が外層となるように実施例2で使用した多層中空成形機を用いて、210℃で100mlの多層小型容器を成形した。実施例1と同じレ−ザ−装置と加工条件下、外層のアイオノマ−層内の底部(接着層と接している部分)にCADにより三井・デユポンポリケミカルの商標文字を形成した。得られた容器は、化粧品容器として意匠性に優れるものであった。
【0058】
実施例5
ポリメチルメタクレ−ト(PMMA)(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットMD、密度1190kg/m3、)を、実施例1で使用した射出成形機により温度220℃で円筒形状(直径60mmΦ、高さ30mm)の化粧品容器キャップを成形した。実施例1と同じレ−ザ−装置と加工条件下、CADによりPMMA成形品内部にハ−トの模様を形成した。化粧品キャップとして意匠性に優れたものであった。
【0059】
実施例6
透明性樹脂としてアイオノマーの代りに6TI型非晶性ポリアミド(MFR(230℃、2160g荷重)3.5g/10分、密度1180kg/m3)を用い、成形温度を230℃とした以外は、実施例2と同様にして小型容器を得た。この単層容器は透明で実施例4と同じレ−ザ−装置と加工条件下、CADにより三井・デユポンポリケミカルの商標文字を形成した。化粧品容器として優れた意匠性を示した。
【0060】
実施例7
透明樹脂としてABS樹脂(東レ(株)製、商品名:トヨラック920)を用い、射出成形温度を240℃にする以外は、実施例1を繰り返した。得られた容器は、内層にハ−トの模様が明確に見え、化粧品容器として意匠性に優れるものであった。
【0061】
実施例8
透明樹脂の代わりに、クリスタルガラスを用いて、950℃で押型成形して得た底部の厚みが30mmの化粧容器(カガミクリスタル(株)製)を使用した以外は、実施例1と同じ条件で化粧容器の底部に白色のハ−ト模様を形成した。得られた容器の底部内層にはハ−トの模様が明確に見え、化粧品容器として意匠性に優れるものであった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂成形物の内部(内層)又は透明なガラスの内部に、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することにより、意匠性に優れ、また高級感を有する化粧品等の容器を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器を構成する熱可塑性樹脂又はガラスの内部に視覚にて認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成された容器、および該容器用成形物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品容器、食品容器、医薬品容器、健康食品容器当の容器においては、内容物を充填しても長期保存に耐えるような化学的、機械的な特性が求められることは勿論であるが、商品のイメ−ジを向上させる側面もあるところから、消費者に訴えるような美観及び高級感を付与することが極めて重要である。
これらの容器は、その外部表面の美観及び高級感だけでなく、容器を構成する内部に美観や高級感を増す模様を有する容器は更に商品価値を高め、消費者の購買意欲を高めうることが期待できる。
【0003】
上記のような容器を製造、加工するために、無色または有色透明乃至半透明な合成樹脂で所定形状に形成した成形品の裏面側からレーザー光線を照射して成形品の裏面に所望形状に燃焼除去して凹部を形成する装飾樹脂成形品の製造方法が知られている(特許文献1参照)。
限界酸素指数が22%以上(ASTM D2863に基づく試験法)の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品もしくは該成形物によって被覆された成形品の表面に、レーザー光を照射してマーキングを行う方法も知られている。該方法は特に鮮明な黒色系のマーキングが可能となる特徴を有する(特許文献2参照)。
【0004】
透明なポリカーボネート部材に繰り返しパルスのYAGレーザー光をスキャンさせながら照射、透過させることによって、その透過箇所を黒く変色させ見掛け上マーキングを行う方法も知られている(特許文献3参照)。
熱可塑性樹脂をベースに、カーボンと釉薬とを特定量添加することにより、レーザマーキング部分の白色度が優れた熱可塑性樹脂組成物も提供されている(特許文献4参照 特開平7−316340号公報)。
また、熱可塑性樹脂をベースに、カーボンと二酸化チタン粉とを特定量添加することにより、レーザマーキング部分の白色度が優れた熱可塑性樹脂組成物も提供されている(特許文献4参照)。
【0005】
周期律表のI(A)〜IV(A)族あるいはI(B)〜IV(B)族に属する元素の一種又は二種以上を含有する熱可塑性高分子成形品にNd:YAGレーザを照射して照射部分を黒色化させ、その黒色化部分でバーコード当の標識を形成する標識形成法も知られている(特許文献5参照)。
更に、熱可塑性樹脂にホウ酸を少量配合して得られる熱可塑性樹脂組成物からなるレーザマーキング用ハウジング材も知られている(特許文献6参照 特開平8−142510号公報)。
【0006】
しかしながら、上記製造、加工方法等は、いずれも成形品表面にマーキングをするか、レーザー光線照射により白色度を向上させる組成物、金属元素等を含有する組成物をレーザー光線照射により黒色化してバーコード等の標識成形品の形成法、ホウ酸塩を配合してレーザー光線照射てハウジング材をレーザーマーキングする方法等に関するものであり、意匠性に優れ、高級感を高めるために化粧品等の容器を構成する熱可塑性樹脂又はガラス内部に、成形後に文字、図形、又は記号を含む模様を形成させた容器、及び該容器用成形物の製造方法は知られていない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭64−62289号公報
【特許文献2】
特開平5−96386号公報
【特許文献3】
特開平5−337659号公報
【特許文献4】
特開平7−316341号公報
【特許文献5】
特開平7−185846号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物を構成材料の一部又は全部に使用した容器の成形物内部に、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成された容器を提供することにある。
本発明の他の目的は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物を構成材料の一部又は全部に使用した容器の成形物内部に、視覚により認識可能な無彩色又は有彩色の模様が形成された容器を提供することにある。
本発明の更なる目的は、レ−ザ−光線を照射して容器用成形物内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成する容器用成形物の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、光を透過し得る無色もしくは有色透明または半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形後の該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器が提供される。
【0010】
本発明においては、
1.成形物(成形物C)を構成材料の一部に使用した容器であって、成形物(成形物C)を構成する熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)とが2層以上の多層構造を形成していること、
2.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)又はガラス(ガラスD)の透明性の低下により形成されたこと
3.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色もしくは有色透明又は半透明から他の無彩色または有彩色への色相変化により形成されたこと、
4.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色透明又は半透明から灰色への変色、又はガラス(ガラスD)おいては無色透明から白色への変色(白化)により形成されたこと、
5.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)中に予め添加した発色剤を発色させること、
6.模様がレ−ザ−光線の照射により形成されること、
7.模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)に変質を生じさせることにより形成されること、
8.模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)又はガラス(ガラスD)を灰色に変色させるかまたは白色に変色(白化)させることにより形成されること、
9.模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)中の発色剤を発色させることにより形成されること、
10.模様が、光源のレ−ザ−光を集光レンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射することで形成されること
11.熱可塑性樹脂(樹脂A)が、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリプロピレン、スチレン系樹脂とその共重合体、
及びエチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体であること、
12.エチレン共重合体がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマ−であること、
13.他の熱可塑性樹脂(樹脂B)が、無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂であること、
14.成形物(成形物C)が容器キャップ、または内容物を充填する容器部(容器キャップを除く。)であること、
15.容器が化粧品容器、食品容器、医薬品容器、または健康食品容器であることが望ましい。
【0011】
また、本発明によれば、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される容器用成形物(成形物C)に、レ−ザ−光線を照射して該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することを特徴とする容器用成形物の製造方法が提供される。
【0012】
本発明においては、
1.光源のレ−ザ−光をマイクロレンズ(集光レンズ)を使用して集束し、模様形成箇所に照射すること
2.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色もしくは有色透明又は半透明から他の無彩色または有彩色への色相変化により形成されること、
3.模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色透明又は半透明から灰色への変色、又はガラス(ガラスD)おいては無色透明から白色への変色(白化)により形成されること、
4.模様の形成が熱可塑性樹脂(樹脂A)中に予め添加した発色剤を発色させることにより形成されることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の容器は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形物(成形物C)の内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器である。
また、本発明の容器は、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)とが2層以上の多層構造を形成している容器であって、該熱可塑性樹脂(樹脂A)から形成される成形物(成形物C)の内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されていることを特徴とする前記容器である。
【0014】
本発明において、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様とは、特に制限はなく、これらの文字、図形、又は記号の一部ないし全部含むものも本発明の模様に該当し、更に、線や面、あるいは色彩などによりあらわされる装飾的構成もすべて本発明の模様に含まれる。従って、本発明における模様は、創作図形、キャラクター、物品の形状、自然物、建造物等の創作物であってもよく、また、本発明の模様には無彩色、及び有彩色のもの含まれ、視覚にて平面的、立体的に認識されるものも含まれる。
【0015】
本発明の容器を構成する成形材料として、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)単独、又は該熱可塑性樹脂(樹脂A)及び他の熱可塑性樹脂(樹脂B)を組み合わせて使用する。
後者の場合において、他の熱可塑性樹脂(樹脂B)は、熱可塑性樹脂(樹脂A)と同一でも、異なるものであってもよい。
本発明を構成する熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)の構成部分について特に制限はなく、両樹脂からなる多層構造としてもよく、多層構造以外では同一部位に使用しても異なる部位に使用してもよい。
更に、本発明の容器を構成する成形材料として、光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)を使用する。
【0016】
本発明において、透明又は半透明の熱可塑性樹脂とは、JIS K7105に定義される曇度が厚み1mmにおいて20%以下のものをいう。特に成形物内部に視覚により認識可能な模様について意匠性を高める効果的なものとするためには、曇度10%以下、とりわけ5%以下のものを使用するのが好ましい。
又、本発明において、光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)とは、JIS R3106(1998)に定義される可視光線透過率(380〜780nm)が厚み3mmにおいて50%以上のものをいう。特に成形物内部に視覚により認識可能な模様について意匠性を高める効果的なものとするためには、70%以上、とりわけ80%以上のものを使用するのが好ましい。
【0017】
熱可塑性樹脂(樹脂A)は、特に限定されるものではないが、具体例として、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、スチレン系樹脂その共重合体、ポリメチルメタクリレ−ト等のアクリレ−ト系重合体、ポリオキシメチレン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリケトン、ABS等のスチレン系樹脂及びその共重合体、並びにこれら樹脂の混合物が挙げられ、本発明の容器として成形可能でかつ成形物内部に視覚により認識可能な模様が形成可能であれば、特にその種類は問われない。
【0018】
上記ポリオレフィンとして、エチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などの不飽和炭化水素の単独重合体が挙げられる。不飽和炭化水素としては炭素数4〜20程度のオレフィンが挙げられる。
また、ポリオレフィン共重合体として、エチレンまたはプロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体などを例示することができる。
【0019】
上記エチレン共重合体としては、エチレンを主成分とするエチレンとα−オレフィンとの共重合体あるいはエチレンと極性モノマ−との共重合体である。エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、炭素数が3〜20、とくに炭素数が4〜12程度のものを使用するのが好ましい。このようなα−オレフィンとして具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどを挙げることができる。共重合体として、かかるα−オレフィンを1種又は2種以上共重合されたものを使用することができる。
【0020】
上記エチレン・α−オレフィン共重合体においてはまた、透明性の点から密度が890〜950kg/m3、好ましくは900〜940kg/m3程度のものを使用するのが望ましく、またいかなる触媒系や製造方法で製造されたものであってもよく、例えば高活性チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチ−グラ−型触媒、メタロセン化合物とアルミノオキサンとからなるシングルサイト触媒などを重合触媒として製造される共重合体を使用することもできる。
【0021】
また上記エチレン・極性モノマ−共重合体は、極性モノマ−含量が1〜50モル%、好ましくは5〜45モル%のものである。エチレン・極性モノマ−共重合体の極性モノマ−としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸の塩の一種又は二種以上などを例示することができる。
上記不飽和カルボン酸の塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩などを挙げることができる。
【0022】
エチレン・極性モノマ−共重合体としてより具体的には、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はその金属塩(アイオノマ−)、エチレン・酢酸ビニル共重合体のようなエチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体又はその金属塩(アイオノマ−)、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル・一酸化炭素共重合体のようなエチレン・不飽和エステル・一酸化炭素共重合体などを代表例として例示することができる。これらの中では、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマ−(エチレン・不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属イオンで中和されたもの)、及びエチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体のようなエチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマ−(エチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の一部または全部が金属イオンで中和されたもの)が好ましく、アイオノマ−の金属イオン源としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属、あるいはマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属が好ましい。
これらエチレン・極性モノマー共重合体の多くは、高温、高圧下のラジカル共重合により得ることができる。
【0023】
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体やエチレン・極性モノマ−共重合体としては、成形加工性、機械的強度などを考慮すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフロ−レ−ト(MFR)が0.05〜500g/10分、とくに0.1〜100g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0024】
ポリプロピレン共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとのブロック共重合体などを例示することができる。プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体あるいはブロック共重合体を使用する場合は、α−オレフィンとしては炭素数2〜20程度のもの、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの1種又は2種以上を使用することができる。
【0025】
上記エチレン共重合体、プロピレン共重合体以外の共重合体としては、α−オレフィンと他のα−オレフィンとの共重合体、α−オレフィンと極性モノマ−との共重合体である。この場合、α−オレフィンとしては炭素数2〜20程度のもの、例えばエチレン、ポロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの1種又は2種以上を使用することができる。
【0026】
ポリメチルメタクリレ−トとしては、メタクリル酸メチルの単独重合体あるいはメタクリル酸メチルを主成分とし、これに他のビニルモノマ−、例えばアクリル酸エステル、他のメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリルなどの1種又は2種以上共重合した共重合体を挙げることができる。
【0027】
ポリカ−ボネ−トとしては、種々のジヒドロキシアリ−ル化合物とホスゲンの反応によって得られるものあるいはジヒドロキシアリ−ル化合物とジフェニルカ−ボネ−トのエステル交換反応によって得られるものなどを挙げることができる。このようなジヒドロキシアリ−ル化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンなどを挙げることができる。
特に好ましいのは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)である。
【0028】
ポリエステルとしては、酸成分が芳香族ジカルボン酸を主成分とするもの、とりわけテレフタル酸または2、6−ナフタレンジカルボン酸を80モル%以上、好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。また酸成分として他の芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、フタル酸のほか、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸やアジピン酸、セバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸などが共重合成分として含むものであってもよい。また少量であれば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸のような3官能性以上の多価カルボン酸を共重合成分として含むものであってもよい。
【0029】
またポリエステルを構成するジヒドロキシ化合物成分としては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ルのような脂肪族グリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジオ−ルのような脂環族ジオ−ル、ビスフェノ−ルAエチレンオキサイド付加物のような芳香族ジヒドロキシ化合物を例示することができる。これらの中では、エチレングリコ−ルまたは1,4−ブタンジオ−ルを80モル%以上、好ましくは90モル%以上含むものが好ましい。他に少量であれば、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等の3官能性以上の多価ヒドロキシ化合物を含むものであってもよい。
代表的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリトリメチレンテレフタレ−ト、ポリテトラメチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トなどを挙げることができる。
【0030】
ポリ塩化ビニルとしては、塩化ビニルの単独重合体、あるいは塩化ビニルと、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン、酢酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルのような不飽和カルボン酸エステル、アルキルビニルエ−テルのようなビニルエ−テル類、臭化ビニル、弗化ビニルのようなハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンなどとの共重合体を例示することができる。共重合体の他の例として、エチレン・酢酸ビニル共重合体や熱可塑性ポリウレタンなどの幹ポリマ−に、塩化ビニル又は塩化ビニルと他の単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体を挙げることができる。
【0031】
ポリアミドとしては、例えば蓚酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のようなジカルボン酸と、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(4−アミノシクロヘキサン)、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンのようなジアミンとの重縮合、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムのようなラクタムの開環重合、6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸の重縮合、あるいは上記ラクタムとジカルボン酸とジアミンとの共重合などにより得られ、一般にナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナイロン66/12、ナイロン6/66/610、MXナイロン、非晶性ナイロン6TIなどとして市販されているものを用いることができる。
【0032】
スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体又は共重合体からなる熱可塑性樹脂であって懸濁重合法や乳化重合法などの各種製造方法によって得られる一般用ポリスチレンや耐熱性ポリスチレンのほか、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン共重合ゴムのようなゴム成分にスチレンをグラフト重合して得られる耐衝撃性ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などを挙げることができる。スチレン・アクリロニトリル共重合体は、一般にAS樹脂として知られているものであって、例えばアクリロニトリル含量が、20〜30重量%程度のものが好適に使用できる。
またアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体はABS樹脂として知られており、市販の曇度10%以下のものが好適である(例えば、東レ(株)製ABS樹脂、トヨラック900がある)。
【0033】
これら半透明又は透明熱可塑性樹脂の中では、化粧品に対する透明性を考慮すると、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマ−、エチレン・不飽和カルボン酸エステル・不飽和カルボン酸共重合体又はアイオノマ−、非晶性ポリアミド、ポリアルキレンテレフタレ−ト、ポリアクリル系樹脂、スチレン系樹脂(SAN、ABS含む)、ポリカ−ボネ−ト、メタロセンポリエチレン、メタロセンポリプロピレンなどから選択されるのが好ましい。
【0034】
無色もしくは有色透明ガラス(ガラスD)の具体例としては、板ガラス、焼結ガラス、モールドガラス、低融点ガラス、硬質ガラス、低アルカリガラス、快削性ガラス、ゾロゲルガラス、クラウンガラス、(セミ)クリスタルガラス、光学クラウンガラス、光学フリントガラス、石英ガラスから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0035】
本発明において、上記光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物(成形物C)の内部に視覚により認識可能な模様を形成する方法として、レ−ザ−光線の照射を用いることができる。
レ−ザ−光源としては特に限定されるものではないが、炭酸ガスレ−ザ−、アルゴンレ−ザ−、ヘリウム−ネオンレ−ザ−などの気体レ−ザ−、YAGレ−ザ−、ルビ−レ−ザ−、ガラスレ−ザ−などの固体レ−ザ−、ガリウム−砒素レ−ザ−などの半導体レ−ザ−などが例示される。
【0036】
これらの中でも室温で連続発振が容易で赤外領域の波長であり熱エネルギ−への変換効率がよい炭酸ガスレ−ザ−またはYAGレ−ザ−が好ましい。
本発明に使用するレ−ザ−光としては前記レ−ザ−光を非線形光学素子(波長変換機能)を用いて波長の短い第二高調波(SHG:Second Harmonic Generation)に変換したものが好ましい。このSHGレ−ザ−光波長は可視光領域(380〜780nm)にある。
尚、非線形光学素子としてはAANP(2−アダマンチルアミノ−5−ニトロピリジン)のような有機非線形光学素子、β−ホウ酸バリウム単結晶、光学ガラスのような無機非線形光学素子を使用することができる。
【0037】
レ−ザ−照射により、無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラスより構成される成形物(成形物C)の内部に模様を形成する場合、光源からレ−ザ−光を分割して多方向(2方向、3方向など)から照射し変質を生じさせる方法や、光源のレ−ザ−光を集光レンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射して形成させる方法などがある。装置の簡便さから後者の光源のレ−ザ−光をマイクロレンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射して形成させる方法が好ましい。
透明又は半透明な成形物(成形物C)へのレ−ザ−照射は大気中で行うことができるが、レ−ザ−照射により成形品に輻射熱が発生し、成形物(成形物C)の劣化を起こす恐れがある場合、窒素などの不活性雰囲気下で行うほうが好ましい。
【0038】
本発明のレ−ザ−照射に使用可能な市販品のSHGレ−ザ−加工機器にとして、米国クアントニ社(QUANTRONIX)製のモデル500シリ−ズ(型式:532DP、527DP、527DQ、
527DQE)、ミヤチテクノス(株)製のエコマーカー(ECOMARKERR )ML−9010Aなどがある。
いずれもマイクロレンズ(集光レンズ)を使用して集束し変質を生じさせる方法でSHGレ−ザ−の波長として532nmを使用することができる。
【0039】
レ−ザ−照射加工による模様形成において、熱可塑性樹脂(A)に予め有機染料、微細顔料、蓄光材料などで着色した成形物(C)を使用してもよい。このような有機染料としてアシッドオレンジ7、アシッドブル−9、ダイレクトブル−86などが挙げられる。また、微細顔料としてペリレンレッド、銅フタロシアニンなどが挙げられる。
また実質的に無色の発色成分でレ−ザ−光により分解し成分を発色させる発色剤を予め成形品に均一分散し、レ−ザ−加工により着色させて模様を形成させることもできる。またこれらの発色剤とともに顕色剤を併用することもできる。
【0040】
無色の発色成分でレ−ザ−光により分解し成分を発色させる発色剤としては、2−アニリノ−6−ジエチルアミノ−3−メチルフルオラン、3、6、6’−トリス−(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9、3’−フタリド]などのラクトン系色素が例示でき、その他に感熱記録材において通常用いられる発色剤、即ちロイコ色素(電子供与性発色性化合物)が適している。その具体例としては、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフエニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフエニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3′−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフエニル−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジエチルアミノフタリド等のトリアリルメタンフタリド系染料;4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル、N−ハロフエニルロイコオーラミン等のジフエニルメタン系染料;ベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系染料;3−メチル−ナフト(6′−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン等のスピロ系染料;ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム等のラクタム系染料;3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−p−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン、3−(N−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン等のフルオラン系染料;3,6,6′−トリス(ジメチルアミノ)スピロ(フルオレン−9,3′フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ピロリジノフタリド、3−ジメチルアミノ−6ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3′)−6′−ピロリジノフタリド等のフルオレン系染料などが挙げられ、このうち、特に、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−フエニルフルオラン等の融点150℃以上のものが好ましい。
【0041】
また、発色剤として、融点が200℃以上のもの、例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフエニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド(融点215−216℃)、3,3′−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−フタリド(融点225−227℃)、ローダミン−B−アニリノラクタム(融点215℃)、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム(融点205−207℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン(融点216℃)、3−ジメチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン(融点218℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン(融点220−221℃)、3−ジメチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン(融点222−225℃)、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン(融点202−205℃)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フエニルアミノフルオラン(融点200−202℃)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン(融点235℃)、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン(融点219−220℃)、2,2−ビス(4−(6′−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3′−メチルスピロ(フタリド−3,9′−キサンテン)−2′−イルアミノ)フエニル)プロパン(融点230−238℃)、3,6,6′−トリス(ジメチルアミノ)スピロ(フルオレン−9,3′フタリド(融点244−246℃)、下記式(1)で表されるビスラクトン系化合物(分解点355−357℃)、下記式(2)で表されるクロメノピラゾール系色素(融点260−261℃)等の各種色素も使用することができ、このうち好ましいものとしては、例えば、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロアニリノフルオラン(融点216℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン(融点220−221℃)、2,2−ビス(4−(6′−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3′−メチルスピロ(フタリド−3,9′−キサンテン)−2′−イルアミノ)フエニル)プロパン(融点230−238℃)、3−ジエチルアミノ−7−o−フルオロフエニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−o−クロロフエニルフルオランなどが挙げられる。
【0042】
また、好ましい顕色剤としては、融点200℃以上の顕色剤(電子受容性物質)が挙げられる。その具体例としては、ビスフエノールS(4,4′−スルフオニルジフエノール;融点248−250℃)、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点298−300℃)、2,2′,6,6′−テトラブロモ−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点278−280℃)、p−ヒドロキシ安息香酸(融点213−214℃)、4−ヒドロキシイソフタル酸(分解点314−315℃)、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(融点222−223℃)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフエノール)(融点205℃)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(融点244℃)、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フオスフアフエナンスレン−10−オキサイド(融点203℃)等;及び活性白土、酸性白土、アタパルジヤイト、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質が挙げられる。このうち、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点298−300℃)、2,2′,6,6′−テトラブロモ−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点278−280℃)、ビスフエノールS(融点248−250℃)及び無機酸性物質等の融点が230℃以上のものが好ましく、殊に、2,2′,6,6′−テトラメチル−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点298−300℃)、2,2′,6,6′−テトラブロモ−4,4′−スルフオニルジフエノール(融点278−280℃)等の融点が260℃以上のものが好適である。
【0043】
上記レーザー照射加工における発色剤と顕色剤との使用比率は適宜選択することができ特に限定されるものではないが、一般的には、発色剤1重量部に対して、顕色剤は好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1.5〜10重量部の範囲内で用いることができる。また、発色剤の熱可塑性樹脂(樹脂A)中に占める割合は、熱可塑性樹脂(樹脂A)100重量部に対して0.01〜30重量部、特に0.05〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0044】
可塑性樹脂(A)には、予め悪影響を及ぼさない範囲において各種添加剤を配合することができる。このような添加剤として例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤などを挙げることができる。
【0045】
本発明の容器においては、成形物(C)を少なくとも構成材料の一部として用いるものである。すなわち本発明の容器は、これら成形物(C)のみから構成されていてもよく、あるいは成形物(C)と他の熱可塑性樹脂(B)とから構成されていてもよい。後者の場合において、上記樹脂組成物と他の材料は互いに異なる部位に使用されていてもよく、あるいは両者の積層体を構成して同一部位に使用されていてもよい。
【0046】
また、熱可塑性樹脂(A)で成形された成形物(C)を少なくとも容器の一部の構成材料として使用し、成形物(C)以外の他の熱可塑性樹脂(B)とから構成されている容器において、他の熱可塑性樹脂(B)が半透明又は透明の熱可塑性樹脂により構成されている場合、特に意匠性の高い容器を作ることが出来る。
【0047】
他の熱可塑性樹脂(B)としては、熱可塑性樹脂(A)としてすでに紹介したものから選択することができるし、あるいは半透明又は透明熱可塑性樹脂の定義に該当しない不透明の熱可塑性樹脂、例えば高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、ABS型樹脂などから選択することもできる。
【0048】
高密度ポリエチレンとしては、密度が950kg/m3を越えるエチレンの単独重合体又はエチレンと微量のα−オレフィンとの共重合体、高圧法低密度ポリエチレンとしては、密度が910〜930kg/m3の高圧法によって得られるポリエチレンを挙げることができる。
【0049】
また上記ABS型樹脂としては、ゴム状重合体の存在下にスチレン系モノマーとこれと共重合可能な他のビニルモノマーを加えて、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合又は乳化重合することにより得られるものを例示することができる。このようなグラフト重合法のみならず、いわゆるグラフトブレンド法やブレンド法で製造されたものであってもよい。上記ゴム状重合体の例として、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴムなどのジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチルのようなアクリル系ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンなどを挙げることができる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなど、また共重合可能な他のビニルモノマーとして、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミドなどを例示できる。ABS型樹脂の具体例として、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン共重合体)等を挙げることができる。
【0050】
熱可塑性樹(A)と他の熱可塑性樹脂(B)の積層体で構成される容器の場合は、熱可塑性樹(A)から構成される層をX、他の熱可塑性樹脂(B)から構成される層をYとすると、容器表面から容器内面に向かって順に、X/Y、Y/X、Y/X/Y、X/Y/X、X/Y/Yなどの層構成を採ることができる。
XやYがそれぞれ2層以上有する場合には、勿論複数のX層やY層はそれぞれ同一である必要はない。X層が容器表面層でない場合においては、X層より表面側にあるY層が半透明又は透明の熱可塑性樹脂により構成されている場合が、内部に模様が形成された容器としての意匠性が向上する。化粧品等の内容物により、熱可塑性樹脂成形品に例えばストレスクラック等を発生するおそれのあるときは、より耐性(耐薬品性)のある他の熱可塑性樹脂を容器内面に用いることにより容器としての耐薬品性を改良することができる。また、X層とY層の間の接着性を向上する目的で両層の間に接着性樹脂の層を設けることもできる。接着性樹脂としてはポリエチレン又はポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したようなものが効果的に使用できる。
【0051】
このような容器においては、より一層意匠性を高めるために、表面に装飾的な凹凸模様を施すことができる。このような凹凸模様は、成形型による転写法、ホットスタンピングによる方法、レ−ザ−光による方法などによって行うこともできる。
【0052】
本発明の容器は、種々の形状をとることができるし、また各種化粧品の容器、例えば、クリ−ム、乳液、化粧水、パック等の基礎化粧品組成物、ファンデ−ション、アイカラ−、リップカラ−等のメ−クアップ化粧品組成物、洗顔料のような洗浄化粧品組成物、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリ−ム等の頭髪用化粧品組成物、香水やオ−デコロン等のフレグランス組成物など粉末状、液体状、ペ−スト状、固体状、練り物状など各種性状の化粧品用の容器に適用することができる。また、成形物内部に模様を有する透明又は半透明な成形物は、化粧品容器以外に、食品装飾容器、医薬品装飾容器、健康食品装飾容器、建材装飾材にも使用することができる。
また、容器として典型的なものは、成形物(成形物C)が容器キャップ、または内容物を充填する容器部(容器キャップを除く。)である。
【0053】
本発明の容器の成形物(成形物C)として熱可塑性樹脂(樹脂A)を用いる場合には、射出成形、異型押出、ブロ−成形などの成形技術を利用し成形することができる。
本発明の容器は、熱可塑性樹脂(樹脂A)を成形後に模様を形成し、そのまま容器として使用できるが、模様を形成後さらに二次成形を行ってもよい。
また、熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)からなる多層成形品を成形後に熱可塑性樹脂(樹脂A)からなる成形物(成形物C)部分に模様を形成してもよく、熱可塑性樹脂(樹脂A)を成形して成形物(成形物C)を得て、これに他の熱可塑性樹脂(樹脂B)を積層させてもよい。
更に、本発明の容器の成形物(成形物C)としてガラス(ガラスD)を用いる場合には、押型成形,ホントキャスト,フュージングなどの成形技術を利用し成形することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
メタクリル酸含量15重量%のエチレン・メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマ−(中和度60%、MFR(190℃、2160g荷重)0.9g/10分)を、射出成形機(東芝機械(株)製、型式:IS100E)を用いて200℃の温度で射出成形し、化粧品容器の半円形状キャップを作成した。最も厚い部分が約40mmあるこのキャップは透明であった。
ミヤチテクノス社製、ECOMAKERR
ML−9010Aを使用し、窒素雰囲気下、SHGレ−ザ−光(532nm、周波数2kHz)、電流値17A、スキャンスピ−ド40mm/秒の条件で、該キャップの外表面から深度約10mmの位置に変質を起こさせながらCADによりハ−トの模様(高さ20mm、厚み5mm)を形成した。所要時間は約30分間であった。内部にハ−トの模様を形成したキャップは化粧品容器として優れた意匠性を示した。
【0055】
実施例2
実施例1と同じ材料を使用し、中空成形機(日本製鋼所(株)製、型式:JB105CP)を用いて180℃の温度でブロ−成形し100mlの容器に成形した。この単層容器は透明で実施例1と同じSHGレ−ザ−光を使用し同条件で厚み6mmの内部にCADによりクエッションマ−クを形成し、化粧品容器として優れた意匠性を示した。
【0056】
実施例3
化粧品容器キャップとして球形のものがあるため、アイオノマ−樹脂(イ−・アイ・デュポン社製、商品名:サ−リン8945、メルトフロ−レ−ト(MFR、190℃、2160g荷重)4.0g/10分、密度940kg/m3)100重量部に対しレ−ザ−光照射発色剤(山本化成(株)社製、3、6、6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ[フルオレン−9、3’−フタリド])及び顕色剤としてビスフェノ−ルSを1対1モルに配合したものを0.1重量部の割合でドライブレンドしたものを使用し、190℃の温度で射出成形により直径40mmΦの球形状の化粧品容器キャップを成形した。実施例1に記載したと同じレ−ザ−加工条件で化粧品容器キャップ内部(樹脂層内部)に同じハ−トの模様を形成した。該キャップ内部のハ−ト模様が濃色グリ−ンに染色し浮き立って見え、化粧品容器用途としての意匠性に優れることを示していた。
【0057】
実施例4
ポリプロピレン((株)グランドポリマ−製、商品名:グランドポリプロB101、MFR(230℃、2160g荷重)0.7g/10分、密度910kg/m3、)を最内層に、中間層の接着層として接着性樹脂(商品名バイネル3048、MFR(190℃、2160g荷重)0.8g/10分、イ−・アイ・デュポン社製)を、アイオノマ−(ハイミラン1707)が外層となるように実施例2で使用した多層中空成形機を用いて、210℃で100mlの多層小型容器を成形した。実施例1と同じレ−ザ−装置と加工条件下、外層のアイオノマ−層内の底部(接着層と接している部分)にCADにより三井・デユポンポリケミカルの商標文字を形成した。得られた容器は、化粧品容器として意匠性に優れるものであった。
【0058】
実施例5
ポリメチルメタクレ−ト(PMMA)(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットMD、密度1190kg/m3、)を、実施例1で使用した射出成形機により温度220℃で円筒形状(直径60mmΦ、高さ30mm)の化粧品容器キャップを成形した。実施例1と同じレ−ザ−装置と加工条件下、CADによりPMMA成形品内部にハ−トの模様を形成した。化粧品キャップとして意匠性に優れたものであった。
【0059】
実施例6
透明性樹脂としてアイオノマーの代りに6TI型非晶性ポリアミド(MFR(230℃、2160g荷重)3.5g/10分、密度1180kg/m3)を用い、成形温度を230℃とした以外は、実施例2と同様にして小型容器を得た。この単層容器は透明で実施例4と同じレ−ザ−装置と加工条件下、CADにより三井・デユポンポリケミカルの商標文字を形成した。化粧品容器として優れた意匠性を示した。
【0060】
実施例7
透明樹脂としてABS樹脂(東レ(株)製、商品名:トヨラック920)を用い、射出成形温度を240℃にする以外は、実施例1を繰り返した。得られた容器は、内層にハ−トの模様が明確に見え、化粧品容器として意匠性に優れるものであった。
【0061】
実施例8
透明樹脂の代わりに、クリスタルガラスを用いて、950℃で押型成形して得た底部の厚みが30mmの化粧容器(カガミクリスタル(株)製)を使用した以外は、実施例1と同じ条件で化粧容器の底部に白色のハ−ト模様を形成した。得られた容器の底部内層にはハ−トの模様が明確に見え、化粧品容器として意匠性に優れるものであった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂成形物の内部(内層)又は透明なガラスの内部に、視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することにより、意匠性に優れ、また高級感を有する化粧品等の容器を提供することができる。
Claims (21)
- 光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される成形物(成形物C)を構成材料の一部又は全部に使用した容器であって、成形後の該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様が形成されたことを特徴とする容器。
- 成形物(成形物C)を構成材料の一部に使用した容器であって、成形物(成形物C)を構成する熱可塑性樹脂(樹脂A)と他の熱可塑性樹脂(樹脂B)とが2層以上の多層構造を形成している請求項1記載の容器。
- 模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)又はガラス(ガラスD)の透明性の低下により形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
- 模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色もしくは有色透明又は半透明から他の無彩色または有彩色への色相変化により形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
- 模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色透明又は半透明から灰色への変色、又はガラス(ガラスD)おいては無色透明から白色への変色(白化)により形成されたことを特徴とする請求項4に記載の容器。
- 模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)中に予め添加した発色剤を発色させることにより形成されたことを特徴とする請求項4に記載の容器。
- 模様がレ−ザ−光線の照射により形成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の容器。
- 模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)に変質を生じさせることにより形成されることを特徴とする請求項7に記載の容器。
- 模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)又はガラス(ガラスD)を灰色に変色させるかまたは白色に変色(白化)させることにより形成されることを特徴とする請求項7に記載の容器。
- 模様が、模様形成箇所にレ−ザ−光線を照射して熱可塑性樹脂(樹脂A)中の発色剤を発色させることにより形成されることを特徴とする請求項7に記載の容器。
- 模様が、光源のレ−ザ−光を集光レンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射することで形成されることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の容器。
- 熱可塑性樹脂(樹脂A)が、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリプロピレン、スチレン系樹脂とその共重合体、
及びエチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上の重合体である請求項1ないし11のいずれかに記載の容器。 - エチレン共重合体がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマ−である請求項12に記載の容器。
- 他の熱可塑性樹脂(樹脂B)が、無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂である請求項1ないし13のいずれかに記載の容器。
- 成形物(成形物C)が容器キャップ、または内容物を充填する容器部(容器キャップを除く。)である請求項1ないし14のいずれかに記載の容器。
- 容器が化粧品容器、食品容器、医薬品容器、または健康食品容器である請求項1ないし15のいずれかに記載の容器。
- 光を透過し得る無色もしくは有色透明又は半透明な熱可塑性樹脂(樹脂A)、又は光を透過し得る無色もしくは有色透明なガラス(ガラスD)より構成される容器用成形物(成形物C)に、レ−ザ−光線を照射して該成形物(成形物C)内部に視覚により認識可能な文字、図形、又は記号を含む模様を形成することを特徴とする容器用成形物の製造方法。
- 光源のレ−ザ−光を集光レンズを使用して集束し、模様形成箇所に照射することを特徴とする請求項17に記載の容器用成形物の製造方法。
- 模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色もしくは有色透明又は半透明から他の無彩色または有彩色への色相変化により形成されることを特徴とする請求項17または18に記載の容器用成形物の製造方法。
- 模様が熱可塑性樹脂(樹脂A)においては無色透明又は半透明から灰色への変色、又はガラス(ガラスD)おいては無色透明から白色への変色(白化)により形成されることを特徴とする請求項19に記載の容器用成形物の製造方法。
- 模様の形成が熱可塑性樹脂(樹脂A)中に予め添加した発色剤を発色させることにより形成されることを特徴とする請求項17ないし19のいずれかに記載の容器用成形物の製造方法。
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