JP2005034990A - 機能部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能部材の潤滑特性を始めとする機能性の向上を図る。
【解決手段】 ピーニング処理により、機能部材1の表面に、表面圧縮応力を持ちかつ微細化された表面改質層13を形成する。次いで、この表面に微粒子6を噴射し、表面改質層13の表面を、ピーニング処理の加工痕に由来する凹部10を残しつつ平坦化する。この時、表面には、平坦化後も表面改質層13を残存させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、機械部品や治工具等の機能部材、特に表面相互間のトライボロジー(Tribology)性能を向上させるために好適な機能部材に関するものである。
機能部材は、組み合わせにより何らかの機構を構成するための一要素としての部材をいい、その表面性状は、複数の機能部材同士を互いに接触させて固定、嵌合、あるいは相互運動させる際の機能性に大きな影響を与える。表面性状の中でも特に表面粗さは上記機能性を大きく左右し、特にトライボロジー性能に関しては、機能部材で構成される装置全体の摩擦抵抗や効率、寿命などに大きな影響を与える。また、近年注目されているマイクロマシンやナノテクノロジーの分野になると、表面の粗さの程度によっては装置そのものが作動しないなどの不具合を招く可能性があり、表面粗さの良否が与える影響は極めて重大である。
このような機能部材の表面に関係する課題を解決するために、従来から様々な表面処理が試みられており、特に表面の平滑化と疲労強度の改善とを目的とするものとして、材料表面に粒子を打ち付け、表面近傍に高い圧縮残留応力を付与して硬度を上昇させるショットピーニングが広く知られている。
しかしなから、ショットピーニングでは、粒子を打ち付けることに起因して、部材表面での結晶粒界の破損を招き、これによって表面に不規則な無数の凹凸が形成されるため、表面粗さが大幅に低下する場合がある。また、被加工物の寸法精度に狂いを生じさせるおそれやトライボロジーの接触面強度を大幅に低下させるおそれもある。この点を改善するため、特開平11−48036号(特許文献1)では、浸炭焼入れした機械部品にショットピーニングを施した後、バレル処理を行って表面を仕上げる提案がなされている。
特開平11−48036号
しかしながら、この手法は、加工面に形成された加工痕をも一様に削るものであるため、バレル研摩後は加工痕による油の保持効果(プール効果)が失われる。従って、機能部材の中でも、相手部材との摩擦がそれほど問題とならない嵌合や固定を目的とするものはともかく、トライボロジー効果が期待されるものでは、目的とする効果が得られないという不具合が生じる。
さらに、この従来技術では、機械部品を焼入れして硬くすることによって表面の過剰研削を防止しているが、焼入れを前提としたのでは、表面処理できる素材が限定され、かつ達成できる表面粗さにも限度がある。
本発明は、以上の問題点を解決し、機能部材のさらなる機能性向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる機能部材は、ピーニング処理により、表面圧縮応力を持ち、かつ微細化された表面改質層が形成されると共に、表面改質層の表面が、微粒子との衝突により、ピーニング処理の加工痕に由来する凹部を残しつつ平坦化され、かつ平坦化後も前記表面改質層を残存させたものである。この場合、平坦化された表面改質層の表面には、微粒子との衝突によって消失した部分(削られた部分および塑性変形した部分の何れも含む)もしくはその集合体である平滑面と凹部とが形成される。
このように本発明の機能部材は、その表面が平坦化されているので、転がり抵抗や摺動抵抗を抑えることができる。また、平坦化の進行に伴い、微粒子との衝突によって消失した部分(削られた部分および塑性変形した部分の何れも含む)が集合してある程度の広さを持ち(平滑面)、この平滑面に隣接してピーニング処理の加工痕に由来する凹部が形成されるので、機能部材同士を接触させた際の接触面積を増すことができ、かつ凹部によって接触面に空気を送り込むことができるので、無潤滑状態でも機能部材同士の凝着を防止することができる。ピーニング処理の前工程で機械加工を行った場合、素材の角部等にバリやカエリが形成され、これがトライボロジー効果に悪影響を及ぼすことも考えられるが、このバリ等はピーニング処理やその後の微粒子の噴射によって完全に除去されるため、この種の不具合も回避される。
また、機能部材の表面には、表面圧縮応力を持ち、かつ結晶粒が微細化した表面改質層が残存しているから、緻密かつ高硬度で靭性に富む組織が得られ、高い疲れ強さ、耐摩耗性、耐衝撃性等を確保することができる。
この構成においては、平滑面の面積Aと凹部の面積Bとの面積比(A/B)は2〜20の範囲内(さらに望ましくは5〜15の範囲内)に設定するのが望ましい。この比が2を下回ると、凹部面積が必要以上に増大する結果、機能部材の凹部に相手側部材の凸状部(平滑面等)が嵌まり込みやすくなり、凹部に凸状部が噛み込むことによってトライボロジー効果に悪影響を与えるおそれがある。一方、この比が20を越えると、凹部面積が著しく減少するため、接触面に潤滑剤を介在させる場合に潤滑剤の保持効果が減じられ、同様にトライボロジーに悪影響を与える。この面積比は、素材ごとの弾性や塑性、あるいは摩擦特性等に応じて調整することができ、これにより求められるトライボロジー性能が任意に得られ、機能部材の使用条件に課される制約を減じることができる。
ピーニング処理の前工程としては、材料除去加工(例えば切削加工や研削加工)のほか、鍛造・鋳造等の成形加工、あるいは超硬コーティング等の表面処理を採用することもできる。もちろんこれら前工程の前後に熱処理を行うこともできる。
ここでいうピーニング処理は、平均粒径30〜300μm程度の粒子を高速で表面に打ち付けるものである。熱処理により高硬度が得られた表面に当該粒子を噴射すれば、粒子の噴射エネルギーにより加工面が急熱された後に急冷され、以後これが繰り返されるので、残留オーステナイト組織を再結晶化あるいは微細化してマルテンサイト組織にすることができ、表面硬度をさらに上昇させることができる。従って、高い表面硬度および圧縮残留応力の確保による疲れ強さの向上効果が得られる。
以上に述べた機能部材は、ピーニング処理で表面温度をA3変態点以上に上昇させることにより、表面圧縮応力を持ち、かつ微細化された表面改質層を形成する第一工程と、微粒子を噴射することにより、表面改質層の表面を、ピーニング処理の加工痕に由来する凹部を残しつつ平坦化し、かつ平坦化後も前記表面改質層を残存させる第二工程とを経て製造することができる。
この時、第二工程で使用する微粒子としては、多孔質の担体に砥粒を付着させたものが使用可能である。この場合、平滑面には当該微粒子の衝突による塑性変形で形成された加工痕が残る場合もあるが、多孔質の担体を使用する関係で微粒子衝突時の衝撃が緩和されるため、加工痕の径寸法や深さは、同種構造を具備しない同サイズの硬質微粒子に比べて一般に小さくなる。
上記機能部材の製造に際しては、微粒子の噴射時間を制御することによって平滑面と凹部の面積比を調整し、求められる表面粗さに仕上げることが可能となる。これは、微粒子の噴射能力が一定の場合、微粒子の照射時間と表面粗さを決定する山部の除去割合とがほぼ比例していること、及び山部の断面(表面に直交する方向)が円錐形または円錐台形状を呈していることを利用したもので、噴射時間が短いと山部の頂点付近のみが除去されるのに対し、噴射時間が長いと山部の底部分(谷底)まで除去される結果、凹部が減少して平滑面が増大するためである。
上記の何れかの機能部材の表面と、これに接触する相手部材の表面との間に潤滑剤を介在させた機構においては、部材同士を相対的に摺動させた際、凹部の容積変化によるポンピング作用を受けた潤滑剤が接触面に供給されるので、高いトライボロジー効果が得られる。ここでいう「相手部材」には、本発明を適用した機能部材のみならず、本発明を適用しないその他の部材も含まれる。
このように接触面に潤滑剤を介在させ得る素材としては、潤滑油を含浸させた焼結金属が知られているが、この含油焼結金属では、連続気孔と球形粒子との組み合わせによる毛細管現象とそれ自体の濡れ性により潤滑性能は向上できるものの、粒子間結合力の脆弱さから接触応力は極端に制限される。この例からも明らかなように、従来では、自己潤滑性と接触応力の両立は困難と考えられていた。
これに対し、本発明の機能部材では、平滑面と凹部の各稜線で構成される境界部分の角部が微粒子の噴射によってあたかも面取りしたかのように丸められ、かつ平滑面も平坦面もしくは表面から離れる方向を凸とする略円弧状断面に仕上がる。そして、前述のとおり、表面改質層が残存しており、かつ自己潤滑性を害するバリやカエリは微粒子の噴射によって完全に除去されている。従って、優れた自己潤滑性を有すると共に、大きな接触応力にも耐え得る機能部材を提供することができ、両者の両立が可能となる。
このように本発明によれば、機能部材の接触面における油溜まり効果で良好なトライボロジー特性が得られ、さらには耐摩耗性や耐衝撃性の向上効果も期待できる。よってこれらの相乗作用で、機能部材の耐久寿命を大幅に向上させることができる。また、機能部材の形状を選ばず処理が可能で、かつ短時間に処理を完了でき、処理コストも安価に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
本発明では、切削や鍛造等の前工程を経た機能部材に第一工程および第二工程が施される。後述するように、第一工程はピーニング処理を行う工程であり、第二工程は微粒子による噴射加工を行う工程である。図1は、第一工程を経た後、第二工程が完了するまでの機能部材1表面の断面形状の変化を概念的に示す図で、同図(a)は、第一工程のピーニング処理後、同図(b)は第二工程の噴射加工中、同図(c)は噴射加工終了後をそれぞれ表す。
本発明においては、切削や鍛造等の前工程を経た機能部材に第一工程であるピーニング処理を施す前に、熱処理を行ってもよい。この「熱処理」は、主として表面硬度の向上を目的として行われる熱処理を意味し、ズブ焼入れ、高周波焼入れ、浸炭焼入れ等の焼入れ(焼戻し)処理の他、窒化処理や浸炭窒化処理等の熱処理が広く含まれる。この熱処理に加え、必要に応じて第一工程のピーニング処理と第二工程である微粒子噴射工程との間で熱処理を行うこともできる。
第一工程のピーニング処理は、機能部材の素材と同程度かそれ以上の硬度を有するショット、例えば炭化珪素(カーボランダム)、高速度鋼、セラミックス製等の粒子が素材の種類に応じて選択使用される。これらショットの平均粒子径は、30〜300μm程度とする。このショットを圧縮空気と共に例えば100m/s以上、好ましくは300m/s程度の速度でワークの表面に噴射することにより、その衝撃による塑性変形によって表層に圧縮残留応力が発生する。また、高速で衝突する粒子のエネルギーにより、表層部の温度が上昇して表層組織に変態が生じて金属組織が微細化される。すなわち、粒子の表面への衝突によってエネルギーの一部が熱エネルギーに変換される結果、表層部がA3変態点以上(非鉄系金属では再結晶温度以上)に加熱されて鋼組織にマルテンサイト変態が生じる。これは、一種の恒温変態に似た現象で、表層では残留オーステナイトがマルテンサイトに変態する。従って、高硬度でかつ靭性に富む組織が得られる。本発明者らの実験結果によれば、このピーニング処理後の圧縮残留応力は700〜1500MPa程度で、表面硬度は加工前よりも50〜400Hv程度上昇することが確認された。
図1(a)では、このピーニング処理で形成された、圧縮残留応力および微細化組織を有する表面改質層13をクロスハッチングで表している。この表面改質層13の深さは15μm以内(概ね7〜12μm)である。このように表面改質層13が極表面に限定して形成されることにより、トライボロジーの諸問題を解決することが可能となる。一方、通常のショットピーニング処理では、影響層の深さが100μmを超えており(普通は200μm程度)、この点が上記第一工程のピーニング処理と最も異なる点となる。また、通常のショットピーニングでは、上記ピーニング処理のように最表面の結晶粒が微細化されることはない。
ピーニング処理後の機能部材1の表面には、ショットの衝突による塑性変形により、ショットのサイズに対応した大きさの多数の加工痕が形成される。これにより、図1(a)に示すように、谷部2の谷底3に対して山部4が高くなった初期表面粗さを具備するに至る(なお、凹凸の高さ等は誇張して描かれている)。なお、初期表面粗さの形状や凹凸の深さは、切削、鍛造等の前工程で行った加工法にも依存する。
前工程を経た部材1には、第二工程として噴射加工が施される。この噴射加工は、図1(b)に示すように、噴射口5から微粒子6を噴射することにより、主に初期表面粗さの山部4を削り取りあるいは塑性変形させて、表面を平坦化させるものである。噴射口5は初期表面粗さの山部の側面41(谷底3から立ち上がって頂部に至るまでの面)を狙って配置されるが、噴射口5の部材表面(平坦面に近似させた時の表面)に対する傾斜角度αは鋭角でかつできるだけ小さくするのが望ましい。具体的には、5°以上で45°以下の範囲に設定するのがよい。部材1の表面が広い場合は、噴射口5の傾斜角度αを一定に保持したままで、噴射口5を矢印方向に平行移動させれば、広い表面で同様に山部4を除去することができる。
この微粒子6としては、図4に示すように、多孔質の担体14に多数の砥粒15を付着させた弾性微粒子が使用される。この場合、担体14は、部材1よりも軟質で、ある程度の塑性を備え、かつ軽量な0.1〜5mm程度の大きさのもので、例えば植物繊維などの天然繊維から生成することができる。砥粒15としては、炭化珪素やアルミナ、ダイヤモンド粉、酸化鉄などの研削材を1〜20μmに加工したものが使用される。砥粒15としては、以上に例示した素材・サイズに限らず、磨きやラップ工程で使用される種々の材質・サイズからなる研磨材の中から部材1の種類に応じて選択することができる。また、担体14として、植物繊維からの生成品を使用する場合には、その脂肪分または糖分を砥粒15を付着させる際の粘着材として機能させることができる。なお、担体14は、植物繊維等の天然繊維に限らず、上記物性を備えることを条件に人工的に組成することもできる。
この微粒子6は、重量を増すために予め水や油を20〜70重量%含浸させて、部材1表面に吹き付けられる。この場合、微粒子6の担体14として軟質の多孔体を使用しているため、部材1表面に吹き付けられた微粒子6は、表面に衝突すると同時にその表面形状にならって変形する。変形した微粒子6は、弾性的に反発して部材表面から離れるが、反発するまでの間は表面を滑動する。
この微粒子6を山部4の側面41に向けて噴射することにより、常に他の山部4aよりも突出した山部4bが微粒子と衝突することになる。従って、微粒子6を一定時間連続して吹きつければ、各山部4が逐次削られ、あるいは衝撃により塑性変形し、やがて、図1(c)に示すように、この除去部分7の表面によって、あるいはその集合体によって平滑化された平滑面8が形成される。一方、初期表面粗さの谷部2のうち、平滑面8の形成後も残ったものは、その谷底3を溝底とする凹部10を構成する。凹部10は、初期表面粗さの谷部2に相当する形状を有するが、谷部2自身が微粒子6によって削られあるいは塑性変形するため、谷部2に比べてより滑らかな形状となる。
このように微粒子6による表面加工は、ショットピーニングと異なり、微粒子を部材表面に衝突させるのではなく、表面上で滑らせて山部4を削り取ることを意図するものである。そのため、ショットピーニングに比べて、部材1に与える塑性変形による加工痕の形成や圧縮残留応力の付与等の影響を少なくし、表面に磨いたような平滑面8を創製することができる。また、バレル研摩等の既存の研摩方法では、第一工程で形成された表面改質層13が全て削られることになるが、上記噴射加工では、図1(c)に示すように、表面に表面改質層13が残る。従って、表面改質層13に特有の特性(疲れ強さ、耐摩耗性、耐衝撃性等)が失われることはない。
また、機能部材1の表面には、ピーニング処理の加工痕に由来する無数の凹部10がミクロンオーダーで形成される。この加工痕は一般に潤滑油の油膜厚さよりも小さく形成されるので、表面での潤滑油の保持力が向上して油膜形成が容易となり、摩擦係数の低減に寄与することができる。
これらの相乗的作用により、機能部材1は高いトライボロジー性能を具備すると共に、高い疲れ強さ・耐摩耗性・耐衝撃性等を具備することとなる。
なお、図1中の水平線9aは微粒子6の噴射時間が短い場合、同図の水平線9bはそれよりも噴射時間が長い場合、同図の水平線9cはさらに微粒子6の噴射時間が長い場合に形成される平滑面8の高さレベルを表す。この図面からも明らかなように、微粒子6の噴射時間を制御すれば、容易に平滑面8の高さレベルを調整し、これによって平滑面8と凹部10の面積比を調整することが可能となる。なお、図1(c)は同図(b)の水平線9bのレベルで加工を終えた状態を示す。
図3は、上記機能部材1を組み合わせた機構の断面構造を表すもので、第二工程を経た機能部材1a、1bの平滑面8a、8b同士を接触させて接触面11を形成し、両部材1a、1bの凹部10に潤滑油12を介在させた状態が図示されている。この状態で、部材1a、1bを接触面11に沿って相対的に摺動させることにより、潤滑油12が凹部10の容積変化によるポンピング作用を受けて接触面11に供給され、油膜を形成する。
この場合、一方の機能部材(例えば1a)の平滑面8に対する凹部10の面積比が大きすぎると、凹部10に他方の機能部材(例えば1b)の平滑面8bが嵌まり込む結果、却って潤滑特性の低下を招く。一方、凹部10の面積比が小さすぎると、凹部10での油溜まり効果が減じられるため、同様に潤滑特性の低下を招く。以上の観点から、平滑面8の面積Aと凹部10の面積Bの面積比(A/B)は2以上で20以下(望ましくは5以上、15以下)とするのが良い。
なお、図1(c)では、平滑面8を平面的に表しているが、この平滑面8は、元の山部4(破線で示す)が除去されてできた面である限りその形状は特に問わず、例えば図2に示すように、表面から離れる方向を僅かに凸とした円弧状断面であってもよい。
これらの相乗作用により、本発明によれば、高面圧下で転がり接触あるいは滑り接触する機械部品、例えば直動案内軸受の各要素(ガイドブロック、レール、ボール等)の耐久寿命を向上させることができ、同時に、摺動抵抗の低減をも達成することもできる。加工対象面が平面である場合の他、曲面や球面である場合にも本発明を適用することができる。もちろん機械部品に限らず、他の金属製品、例えば金型や治工具等に本発明を適用することができ、これによって優れた金型性や切削性の確保、および耐久寿命の向上等の効果を得ることができる。
本発明にかかる機能部材の表面を得るための工程を示す図で、機能部材の断面形状イメージを表す拡大図である。 平滑面の他の形状例を示す断面図である。 機能部材同士を接触させた機構における接触面の断面形状イメージを表す拡大図である。 微粒子の構造の一例を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 機能部材
2 谷部
3 谷底
4 山部
41 側面
5 噴射口
6 微粒子
7 除去部分
8 平滑面
10 凹部
11 接触面
12 潤滑剤
13 表面改質層

Claims (7)

  1. ピーニング処理により、表面圧縮応力を持ち、かつ微細化された表面改質層が形成されると共に、表面改質層の表面が、微粒子との衝突により、ピーニング処理の加工痕に由来する凹部を残しつつ平坦化され、かつ平坦化後も前記表面改質層が残存していることを特徴とする機能部材。
  2. 平坦化された表面改質層の表面に、前記微粒子との衝突で消失した部分もしくはその集合体である平滑面と、前記凹部とが形成された請求項1記載の機能部材。
  3. 平滑面の面積Aと凹部の面積Bとの面積比(A/B)を2以上で20以下に設定した請求項2記載の機能部材。
  4. ピーニング処理で表面温度をA3変態点以上に上昇させることにより、表面圧縮応力を持ち、かつ微細化された表面改質層を形成する第一工程と、微粒子を噴射することにより、表面改質層の表面を、ピーニング処理の加工痕に由来する凹部を残しつつ平坦化し、かつ平坦化後も前記表面改質層を残存させる第二工程とからなる機能部材の製造方法。
  5. 第二工程で使用する微粒子が、多孔質の担体に砥粒を付着させたものである請求項4記載の機能部材の製造方法。
  6. 前記微粒子の噴射時間を制御することにより、平滑面と凹部との面積比を調整する請求項5記載の機能部材の製造方法。
  7. 請求項1〜3の何れかに記載した機能部材の表面と、これに接触する相手部材の表面との間に潤滑剤を介在させた機構。
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