JP2008302430A - 金型並びに金型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被加工物との間の焼付きを抑制する金型、並びにこのような金型を製造できる金型の製造方法を提供する。
【解決手段】被加工物が接触する金型表面1に、粒径が100〜500μmの第1の粒子を、投射圧力0.20〜0.35MPaで投射して、深さH1を有する第1の凹凸領域2を形成する。第1の凹凸領域2が形成された、被加工物が接触する金型表面1に、第1の粒子よりも粒径が小さい第2の粒子を、投射圧力0.20〜0.35MPaで投射して、深さH2を有する第2の凹凸領域3を形成する。第1の投射工程と第2の投射工程によって、表面に第1の凹凸領域2と第2の凹凸領域3が形成された金型は、300〜460℃の温度においてアンモニアガス及び窒素ガスの雰囲気、または窒素ガスの雰囲気内に晒されて窒化処理され、金型表面から20〜80μmの深さまで窒化層5が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は金型並びに金型の製造方法に関する。詳しくは、被加工物に接触する表面に凹凸が形成された金型並びに金型の製造方法に係るものである。
環境保護や地球温暖化防止のために、化石燃料の消費を抑制する傾向が強まっており、移動手段として普段の生活に欠かせない自動車の車体を軽量化することが強く求められている。この軽量化を達成するために、自動車部品の小型軽量化が図られ、部品の剛性及び強度を確保する必要がある。そのため、高強度鋼板の使用と共に部品の形状がより複雑になり、プレス成形する際に既存の成形方法では成形できないような事態を招いていた。
また、金型の寿命を向上させる技術として、金型の表面近傍に残留圧縮応力を付与して機械的性質及び疲労寿命の向上を図るため、鋼製のショット材を金型の表面に投射するショットピーニング加工が行われている。例えば特許文献1には、部材を窒化処理することにより、部材に形成される窒化物緻密層と、窒化物緻密層に形成される窒化物孔質層とを有する窒化処理部材に、ショット材を投射してショットピーニングする窒化処理部材のショットピーニング方法であって、窒化物孔質層より硬質なショット材を、50m/sec以上200m/sec以下の投射速度で投射する投射工程を有し、窒化物孔質層を除去する方法が記載されており、また、ショット材は、0.005mm以上0.08mm以下の粒径を有するショット材が用いられる旨も記載されている。
特開2007−56333号公報
しかしながら、従来のショットピーニング方法のように投射工程が一段階である場合、この方法を金型の表面に適用すると、金型の表面に形成された凹凸の凸部形状が鋭利になりやすくなり、特に粒径が0.005mm以上0.08mm以下即ち5μm以上80μm以下のように微細なショット材を用いると、金型の表面に形成された凹凸の凸部形状が鋭利になりやすくなり、このような金型の表面の摩擦係数が大きくなって、被加工物との間に焼付きが発生してしまうという問題があった。また、従来のショットピーニング方法は、窒化処理された部材にショット材を投射しているので、窒化物層を破砕して除去してしまい、充分な硬さを有する部材が得られない可能性があった。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、被加工物との間の焼付きを抑制する金型、並びにこのような金型を製造できる金型の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の金型は、被加工物に接触する表面に凹凸が加工形成された金型であって、前記凹凸は、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、同第1の凹凸領域の深さと同第2の凹凸領域の深さが互いに略同じであり、前記表面から約5μmの深さまでが加工硬化層であり、前記表面から20〜80μmの深さまでが窒化層であることを特徴とする。
ここで、金型表面の凹凸が、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていることによって、加工形成されて加工硬化した凹凸領域が細かく存在し、被加工物によって押しつぶされにくくなると共に潤滑油が保持される凹部も多数存在して摺動性が向上する。
また、第1の凹凸領域の深さと第2の凹凸領域の深さが互いに略同じであることによって、潤滑油が保持される凹部を均等に確保でき、摺動性を向上する。
また、上記の目的を達成するために、本発明の金型の製造方法は、被加工物に接触する表面に凹凸が形成された金型を製造する金型の製造方法であって、被加工物に接触する表面を加工して、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、同第1の凹凸領域の深さと同第2の凹凸領域の深さが互いに略同じ凹凸を、被加工物に接触する表面に形成する凹凸加工形成工程と、該凹凸加工形成工程によって形成された凹凸を窒化処理して窒化層を形成する窒化処理工程とを有することを特徴とする。
ここで、被加工物に接触する表面を加工して、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、第1の凹凸領域の深さと第2の凹凸領域の深さが互いに略同じ凹凸を、被加工物に接触する表面に形成する凹凸加工形成工程によって、加工形成されて加工硬化した凹凸領域を細かく存在させ、被加工物によって押しつぶされにくくなると共に潤滑油が保持される凹部も多数存在し、また、潤滑油が保持される凹部を均等に確保でき、摺動性が向上する金型を製造できる。
また、凹凸加工形成工程によって形成された凹凸を窒化処理することによって、加工されて転位が凹凸に導入されているので比較的低温でも窒素が金型内部にまで入りやすくなり、金型内部まで硬くなる。
なお、本発明において、凹凸加工形成工程や窒化処理工程は、金型用材料を用いて成型された金型に対して行う工程である。
また、本発明の金型の製造方法において、凹凸加工形成工程は、第1の粒子を被加工物に接触する表面に投射する第1の投射工程と、第1の投射工程の後に、第1の粒子よりも粒径が小さい第2の粒子を被加工物に接触する表面に投射する第2の投射工程からなる場合、第1の投射工程で形成された凸部に、第2の投射工程によって投射された第2の粒子が衝突して凹凸を形成するので、潤滑油が保持される凹部を万遍なく形成できる。
また、本発明の金型の製造方法において、窒化処理工程は、300〜460℃の窒素ガス含有雰囲気において行われる場合、比較的低温で窒化処理を行なうので、金型の熱歪みを抑制できる。ここで、300℃未満だと、充分な窒化層が得られない可能性があり、また、460℃を超えると、熱歪みが問題となる可能性がある。
また、本発明の金型の製造方法において、第1の粒子の粒径は、150μm以上の場合、少ない粒子数で、加工硬化された領域を広範囲に形成できる。ここで、150μm未満だと、充分な凹凸形成能力がないと考えられる。
本発明に係る金型は、被加工物との間の焼付きを抑制することができる。
本発明に係る金型の製造方法によって、被加工物との間の焼付きを抑制することができる金型を製造できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、金型の表面が加工処理されて本発明を適用した金型が得られる様子を説明する概略図である。先ず、被加工物が接触する金型表面1に、粒径が100〜500μmの第1の粒子例えばアルミナ粒子、ステンレス鋼粒子を、投射圧力0.20〜0.35MPaで投射して、図1(a)に示すように、深さH1を有する第1の凹凸領域2を形成する(第1の投射工程)。
次に、第1の凹凸領域2が形成された、被加工物が接触する金型表面1に、第1の粒子よりも粒径が小さい第2の粒子例えばアルミナ粒子、ステンレス鋼粒子を、投射圧力0.20〜0.35MPaで投射して、図1(b)に示すように、深さH2を有する第2の凹凸領域3を形成する(第2の投射工程)。ここで、粒子が衝突して深さH1から変わった深さH1´と深さH2は略同じであるが、第1の凹凸領域2の凸部間の距離は、第2の凹凸領域3の凸部間の距離よりも長い。
また、第2の凹凸領域3は、第1の凹凸領域2の凸部に形成されるが、これは、第1の凹凸領域2の凹部は第1の粒子による衝突によって加工硬化されているため第2の粒子が凹部に衝突しても変形し難く、一方、凸部は充分に加工硬化されていないため比較的軟らかく、第2の粒子が衝突して凹みが形成されやすいからだと考えられる。
なお、図1では、判り易いように第1の凹凸領域を1つと、第2の凹凸領域を2つ示しているだけであるが、本発明でいう第1の凹凸領域は、凸部間の距離が異なる様々な凹凸領域の集合であって、最も短い凸部間の距離が、同じく凸部間の距離が異なる様々な凹凸領域の集合である第2の凹凸領域の最も長い凸部間の距離よりも長い領域をいう。
このような2段階の投射工程により、金型を構成する金属に歪みが与えられ、塑性変形によって硬さが増し、金型表面1から約5μmの深さまで加工硬化層4が形成される。
次に、第1の投射工程と第2の投射工程によって、表面に第1の凹凸領域2と第2の凹凸領域3が形成された金型は、300〜460℃の温度においてアンモニアガス及び窒素ガスの雰囲気、または窒素ガスの雰囲気内に晒されて窒化処理され、図1(c)に示すように、金型表面から20〜80μmの深さまで窒化層5が形成され、加工硬化層は窒化された加工硬化層4Aとなる。なお、窒化層の深さは80μmまであれば充分であり、これよりも深くまで窒化層を形成しようとすると、経済的負担が生じる。
また、金型を構成する材料としては、ダクタイル鋳鉄(FCD450)やダイス鋼(SKD11)を使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明する。なお、ここで使用したダイス鋼(SKD11)は、実際に被加工物に接触する金型の面を構成するものである。
<実施例1>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径200μm(0.2mm)のアルミナ粒子を投射圧力0.25MPaで投射した後に、粒径100μm(0.1mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子を投射圧力0.35MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)を、充填した粒状固体中に埋設し、その粒状固体中に窒化ガスを流通させて、粒状固体の表面に一旦窒化ガスを吸着させ、その窒化ガスを徐々に吐き出させながら原子状の窒素を380〜520℃のうち例えば460℃の加熱下で持続的に接触させて窒化処理を行なった。
また、図3に、実施例1における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面形状をフーリエ変換したグラフを示す。図3において、横軸は周波数を示し、縦軸はスペクトル振幅(凹凸の深さ)を示す。ここで、横軸の中央より右側の領域が高周波領域即ち第2の凹凸領域であり、横軸の中央より左側の領域が低周波領域即ち第1の凹凸領域を示す。
また、図4に、実施例1における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面粗さを示す図を示す。
次に、このように2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、図2に示すように、摺動試験を行なった。即ち、試料6を冷延鋼板(SPFC440)9に対して押付方向7に押付荷重を200kgずつ増加させながら押付けると共に、冷延鋼板9を1m/分の速度で引抜方向8へ引き抜き、試料6が冷延鋼板9に焼付く荷重(耐ゴーリング荷重)を調べた。結果を表1に示す。
<実施例2>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径500μm(0.5mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子を投射圧力0.35MPaで投射した後に、粒径100μm(0.1mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子を投射圧力0.35MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)を、充填した粒状固体中に埋設し、その粒状固体中に窒化ガスを流通させて、粒状固体の表面に一旦窒化ガスを吸着させ、その窒化ガスを徐々に吐き出させながら原子状の窒素を460℃の加熱下で持続的に接触させて窒化処理を行なった。
また、図5に、実施例2における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面形状をフーリエ変換したグラフを示す。また、図6に、実施例2における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面粗さを示す図を示す。
次に、このように2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<実施例3>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径200μm(0.2mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子を投射圧力0.35MPaで投射した後に、粒径100μm(0.1mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子を投射圧力0.35MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)を、充填した粒状固体中に埋設し、その粒状固体中に窒化ガスを流通させて、粒状固体の表面に一旦窒化ガスを吸着させ、その窒化ガスを徐々に吐き出させながら原子状の窒素を460℃の加熱下で持続的に接触させて窒化処理を行なった。
また、図7に、実施例3における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面形状をフーリエ変換したグラフを示す。また、図8に、実施例3における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面粗さを示す図を示す。
次に、このように2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<実施例4>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径300μm(0.3mm)のアルミナ(アランダム)粒子を投射圧力0.2MPaで投射した後に、粒径50μm(0.05mm)のアモルファス合金粒子(アモビーズ(登録商標))を投射圧力0.2MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)を、充填した粒状固体中に埋設し、その粒状固体中に窒化ガスを流通させて、粒状固体の表面に一旦窒化ガスを吸着させ、その窒化ガスを徐々に吐き出させながら原子状の窒素を460℃の加熱下で持続的に接触させて窒化処理を行なった。
次に、このように2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<実施例5>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径300μm(0.3mm)のアルミナ(アランダム)粒子を投射圧力0.2MPaで投射した後に、粒径50μm(0.05mm)のジルコニア粒子を投射圧力0.2MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)を、充填した粒状固体中に埋設し、その粒状固体中に窒化ガスを流通させて、粒状固体の表面に一旦窒化ガスを吸着させ、その窒化ガスを徐々に吐き出させながら原子状の窒素を460℃の加熱下で持続的に接触させて窒化処理を行なった。
次に、このように2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<比較例1>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径100μm(0.1mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子を投射圧力0.35MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)に対して、460℃のアンモニアガス及び窒素ガス雰囲気に晒して窒化処理を行なった。
次に、このように1段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<比較例2>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径200μm(0.2mm)のアルミナ粒子を投射圧力0.35MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)に対して、460℃のアンモニアガス及び窒素ガス雰囲気に晒して窒化処理を行なった。
次に、このように1段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<比較例3>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径300μm(0.3mm)のアルミナ(アランダム)粒子を投射圧力0.2MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)に対して、460℃のアンモニアガス及び窒素ガス雰囲気に晒して窒化処理を行なった。
次に、このように1段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
<比較例4>
ダイス鋼(SKD11)に対して、粒径500μm(0.5mm)のアルミナ粒子を投射圧力0.35MPaで投射した。そして、粒子が投射されたダイス鋼(SKD11)に対して、460℃のアンモニアガス及び窒素ガス雰囲気に晒して窒化処理を行なった。
次に、このように1段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)を試料として、実施例1と同様に摺動試験を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2008302430
また、図9に、粒径100μm(0.1mm)の金属粒子(SS20)が1段階で投射された後、窒化処理を経て得られたダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面形状をフーリエ変換したグラフを示し、図10に、このダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面粗さを示す図を示す。
また、図11に、粒径200μm(0.2mm)のアモルファス粒子が1段階で投射された後、窒化処理を経て得られたダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面形状をフーリエ変換したグラフを示し、図12に、このダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面粗さを示す図を示す。
また、図13に、粒径100μm(0.1mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子が1段階で投射された後、窒化処理を経て得られたダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面形状をフーリエ変換したグラフを示し、図14に、このダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面粗さを示す図を示す。
図3、図5及び図7から明らかなように、実施例1〜3のように、粒子が投射された後、更に粒径の小さい粒子が投射された2段階の投射工程を経て、そして窒化処理を施された金型の表面は、ほとんど全ての周波数帯域即ち凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域において、スペクトル振幅即ち凹凸の深さが互いに略同じであった。
また、実施例1〜3で得られた金型材料をSEM(走査型電子顕微鏡)で見たところ、金型の表面から約5μmの深さまでが加工硬化層であり、金型の表面から20〜80μmの深さまでが窒化層であった。
また、図4、図6及び図8から明らかなように、実施例1〜3のように、粒子が投射された後、更に粒径の小さい粒子が投射された2段階の投射工程を経て、そして窒化処理を施された金型の表面は、図10、図12及び図14に示されるような、1段階の投射工程と窒化処理を経て得られた金型の表面に比べて、粗くなく、平坦であった。即ち、図10、図12及び図14に示されるような、1段階の投射工程と窒化処理を経て得られた金型の表面は、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域において、凹凸の深さが互いに異なっていた。
また、表1に示す実施例1〜5と比較例1〜4の摺動試験結果から明らかなように、粒子が投射された後、更に粒径の小さい粒子が投射された2段階の投射工程を経て、そして窒化処理を施された金型は、粒子が1段階で投射された投射工程を経て、そして窒化処理を施された金型よりも大きい耐ゴーリング荷重を示した。これにより、本発明の金型は、従来の金型よりも焼付きが生じにくいことが判った。
また、このことから、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域において凹凸の深さが互いに異なる表面を有する、1段階の投射工程と窒化処理を経て得られた金型は、粒子が投射された後、更に粒径の小さい粒子が投射された2段階の投射工程を経て、そして窒化処理を施された金型よりも小さい耐ゴーリング荷重を示すと考えられ、よって、焼付きが生じやすいと考えられる。
図15は、実施例1〜5及び比較例1〜4についての耐ゴーリング荷重と第1の投射粒径の関係を示すグラフである。図15において、「○」は各実施例(2段階投射+窒化処理)を示し、「□」は各比較例(1段階投射+窒化処理)を示す。
また、凹凸を加工形成する手段として、粒子を金型に投射する例を説明したが、被加工物に接触する表面を加工して、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、第1の凹凸領域の深さと第2の凹凸領域の深さが互いに略同じ凹凸を、被加工物に接触する表面に形成することができれば、必ずしも粒子を投射しなくてもよく、機械的な加工を施してもよいし、また、粒子を投射する場合、必ずしも2段階の投射工程でなくてもよく、3段階以上の投射工程を行なってもよい。
このように、本発明は、第1の粒子を被加工物に接触する表面に投射する第1の投射工程と、第1の投射工程の後に、第1の粒子よりも粒径が小さい第2の粒子を被加工物に接触する表面に投射する第2の投射工程とによって、被加工物に接触する表面を加工して、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、第1の凹凸領域の深さと第2の凹凸領域の深さが互いに略同じ凹凸を、被加工物に接触する表面に形成するので、加工形成されて加工硬化した凹凸領域を細かく存在させ、被加工物によって押しつぶされにくくなると共に潤滑油が保持される凹部も多数存在し、また、潤滑油が保持される凹部を均等に確保でき、摺動性が向上する金型を製造でき、また、加工形成された凹凸を窒化処理するので、加工されて転位が凹凸に導入され、比較的低温でも窒素が金型内部にまで入りやすくなって(パイプ拡散)、金型内部まで硬くなり、よって、押しつぶされにくくなると共に、滑りがよくて磨耗が減り、摩擦熱が減少して焼付きを抑制する金型を製造できる。
第1の投射工程で形成された凸部に、第2の投射工程によって投射された第2の粒子が衝突して凹凸を形成するので、潤滑油が保持される凹部を万遍なく形成できる。
また、窒化処理工程は、300〜460℃の窒素ガス含有雰囲気において行われるので、比較的低温で窒化処理を行なうことができ、金型の熱歪みを抑制できる。
また、第1の粒子の粒径は、150μm以上なので、少ない粒子数で、加工硬化された領域を広範囲に形成できる。
金型の表面が加工処理されて本発明を適用した金型が得られる様子を説明する概略図である。 摺動試験の概略を説明する概略図である。 実施例1における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面形状をフーリエ変換したグラフである。 実施例1における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面粗さを示す図である。 実施例2における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面形状をフーリエ変換したグラフである。 実施例2における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面粗さを示す図である。 実施例3における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面形状をフーリエ変換したグラフである。 実施例3における2段階の投射工程と窒化処理を経て得られたダイス鋼(SKD11)の表面粗さを示す図である。 粒径100μm(0.1mm)の金属粒子(SS20)が1段階で投射された後、窒化処理を経て得られたダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面形状をフーリエ変換したグラフである。 図9のダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面粗さを示す図である。 粒径200μm(0.2mm)のアモルファス粒子が1段階で投射された後、窒化処理を経て得られたダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面形状をフーリエ変換したグラフである。 図11のダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面粗さを示す図である。 粒径100μm(0.1mm)のステンレス鋼(SUS304)粒子が1段階で投射された後、窒化処理を経て得られたダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面形状をフーリエ変換したグラフである。 図13のダクタイル鋳鉄(FCD450)の表面粗さを示す図である。 実施例1〜5及び比較例1〜4についての耐ゴーリング荷重と第1の投射粒径の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 金型表面
2 第1の凹凸領域
3 第2の凹凸領域
4 加工硬化層
4A 窒化された加工硬化層
5 窒化層
6 試料
7 押付方向
8 引抜方向
9 冷延鋼板

Claims (5)

  1. 被加工物に接触する表面に凹凸が加工形成された金型であって、
    前記凹凸は、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、同第1の凹凸領域の深さと同第2の凹凸領域の深さが互いに略同じであり、
    前記表面から約5μmの深さまでが加工硬化層であり、
    前記表面から20〜80μmの深さまでが窒化層である
    ことを特徴とする金型。
  2. 被加工物に接触する表面に凹凸が形成された金型を製造する金型の製造方法であって、
    被加工物に接触する表面を加工して、凸部間の距離が互いに異なる第1の凹凸領域と第2の凹凸領域から構成されていると共に、同第1の凹凸領域の深さと同第2の凹凸領域の深さが互いに略同じ凹凸を、被加工物に接触する表面に形成する凹凸加工形成工程と、
    該凹凸加工形成工程によって形成された凹凸を窒化処理して窒化層を形成する窒化処理工程とを有する
    ことを特徴とする金型の製造方法。
  3. 前記凹凸加工形成工程は、第1の粒子を被加工物に接触する表面に投射する第1の投射工程と、
    該第1の投射工程の後に、前記第1の粒子よりも粒径が小さい第2の粒子を被加工物に接触する表面に投射する第2の投射工程からなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の金型の製造方法。
  4. 前記窒化処理工程は、300〜460℃の窒素ガス含有雰囲気において行われる
    ことを特徴とする請求項2に記載の金型の製造方法。
  5. 前記第1の粒子の粒径は、150μm以上である
    ことを特徴とする請求項3に記載の金型の製造方法。
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