JP2005033121A - 気化器及びこれを用いた成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フィルタの交換若しくは清掃のための気化器の分解作業を行わなくても、気化器をより長時間稼動させ続けることができる構造を実現することにより、気化器或いは成膜装置の稼働率を向上させる。
【解決手段】 本発明の気化器130は、液体原料を噴霧する噴霧手段131と、噴霧された液体原料を気化するための気化面132aを備えた気化室132と、気化室にて生成された原料ガスを導出するガス導出口133と、ガス導出口に設けられたフィルタ134とを具備する気化器において、フィルタは、その一部がガス導出口に配置されてフィルタ機能部となり、残部がガス導出口から退避したフィルタ退避部となるように構成され、外部操作に基づいてフィルタ機能部となる部分を変更するように構成されたフィルタ変更手段135が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の気化器130は、液体原料を噴霧する噴霧手段131と、噴霧された液体原料を気化するための気化面132aを備えた気化室132と、気化室にて生成された原料ガスを導出するガス導出口133と、ガス導出口に設けられたフィルタ134とを具備する気化器において、フィルタは、その一部がガス導出口に配置されてフィルタ機能部となり、残部がガス導出口から退避したフィルタ退避部となるように構成され、外部操作に基づいてフィルタ機能部となる部分を変更するように構成されたフィルタ変更手段135が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、気化器及びこれを用いた成膜装置に係り、特に、液体原料を噴霧する噴霧手段と、噴霧された前記液体原料を気化するための気化面を備えた気化室と、該気化室にて生成された原料ガスのガス導出口と、該ガス導出口に設けられたフィルタとを具備する気化器の構造に関する。
一般に、半導体ウエハなどの基板の表面に絶縁薄膜を形成する成膜装置として、ガス反応によって成膜を行う化学気相成長装置(CVD装置)が用いられている。このようなCVD装置においてPZT等の多元系金属酸化物薄膜を成膜する場合には、原料となる有機金属化合物は常温常圧で固体である場合が多いため、その固体原料をガス化して成膜処理チャンバに供給する必要がある。この場合には、通常、固体原料を適当な溶媒に溶解させて(溶液原料と呼ばれる)液体とし、それを気化器において気化して成膜処理チャンバに供給する。このような原料供給方式は溶液気化法と呼ばれ、バブリング法や固体昇華法に代わる有望なガス化法の一つとして近年盛んに研究開発がなされている(例えば、特許文献1参照)。
上記の溶液気化法を用いて例えば3元系の金属酸化物薄膜を成膜する場合について説明する。ここでは、図15に示す成膜装置100を用いる。この成膜装置100においては、3系統に分けられた原料容器、例えば鉛系原料の溶液を貯蔵した原料容器101a、ジルコニウム系原料の溶液を貯蔵した原料容器101b、及び、チタン系原料の溶液を貯蔵した原料容器101cのそれぞれに蓄積された原料溶液は、圧送ガス管102を介して加圧ガスAが供給されることにより供給管103a、103b及び103cに押し出され、流量制御器105a、105b及び105cを通して主配管107に押し出される。この主配管107には不活性ガス(例えばHe,Ar)などのキャリアガスBが供給されていて、配管107内で溶液原料とキャリアガスが混合され、気液混合状態で気化器110へと送られる。なお、例えば酢酸ブチルやオクタンやTHF(テトラヒドロフラン)などの溶剤を収容した溶剤容器102も設けられている。この溶剤容器102に収容された溶剤も、加圧ガスAにより供給管104に押し出され、流量制御器106を介して主配管107に供給されるように構成されている。
気化器110にはノズル111が設けられ、このノズル111に上記配管107が接続されている。また、ノズル111には、配管108によってキャリアガスCが流量制御器109を通して供給される。このノズル111には二重管構造を有するノズル口が設けられ、例えば、外管内に供給されるキャリアガスCによって内管に供給された溶液原料が気化室112内へ噴霧される。ここで、使用される溶媒の気化温度と原料そのものの気化温度は通常異なるので、気化温度の低い溶媒が先に気化しないようにノズル部分は室温程度まで冷却される。
気化室112の内面は原料を気化させるための気化面112aであり、例えば200℃前後に加熱されている。ノズル111から噴出した霧状の溶液原料は気化面112aにぶつかって瞬時に気化し、気化室112内において原料ガスとなる。この原料ガスは、フィルタ114を通してガス導出口113から導出され、ガス輸送管116を通して成膜装置本体120の成膜チャンバ121に供給される。成膜チャンバ121内には、上記ガス輸送管116が接続されたシャワーヘッド122や基板Wを載置するためのサセプタ123などが配置されている。また、シャワーヘッド122には反応ガス供給管117を介してO2などの酸化性ガスも供給される。成膜チャンバ121内では、上記原料ガスと酸化性ガスの反応によって基板W上に薄膜が形成される。
特開平7−94426号公報
ところで、上記の気化器110では、気化室112の内部に噴出した霧状の溶液原料の大部分は気化面112aにぶつかった瞬間に気化するが、一部気化面112a上で気化しきれずに細かなミスト(霧状原料)が発生する。このミストは、気化室112の内部で溶媒だけが揮発して固体原料の球状のパーティクルになりやすく、このパーティクルがガス輸送管116を介して成膜チャンバ121に達すると、薄膜の品位が悪化し、歩留まりが低下する。このため、上記のようにガス導出口113にフィルタ114を設け、ガス導出口113を通過しようとするパーティクルをフィルタ114により捕捉するようにしている。
しかし、気化器110の稼働時間が或る程度長くなると、上記のパーティクルのフィルタ114への付着量が増大するため、やがてフィルタ114に目詰まりが発生する。このため、従来においては、気化器110に圧力計(図示せず)を設け、フィルタの目詰まりにより気化室112の内圧が一定値を越えると、気化器110を分解してフィルタ114を交換または清掃するようにしている。したがって、フィルタ114の目詰まりの度に作業を中断しなければならないことから、気化器や成膜装置の稼働率が低下してしまうという問題点がある。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フィルタの交換若しくは清掃のための気化器の分解作業を行わなくても、気化器をより長時間稼動させ続けることができる構造を実現することにより、気化器或いは成膜装置の稼働率を向上させることにある。より具体的には、気化器の分解作業を要しない、フィルタの変更(更新)手段、フィルタの付着物を除去する手段、フィルタ付着物の付着量を低減する手段、フィルタの目詰まりを抑制する手段などを講ずることによって、より長時間気化器を稼動させ続けることのできる気化器の構造を提供する。
上記課題を解決するために本発明の気化器は、液体原料を噴霧する噴霧手段と、噴霧された前記液体原料を気化するための気化面を備えた気化室と、該気化室にて生成された原料ガスを導出するガス導出口と、該ガス導出口に設けられたフィルタとを具備する気化器において、前記フィルタの寿命を延長するフィルタ寿命延長手段を備えていることを特徴とする。このフィルタ寿命延長手段により、フィルタの寿命が延長されるため、気化器のメンテナンス頻度が低減され、気化器や成膜装置の稼働率を高めることができる。
本発明において、前記フィルタは、その一部が前記ガス導出口に配置されてフィルタ機能部となり、残部が前記ガス導出口から退避したフィルタ退避部となるように構成され、前記フィルタ寿命延長手段は、外部操作に基づいて前記フィルタ機能部となる部分を変更するように構成されていることが好ましい。
この発明によれば、フィルタ寿命延長手段により外部操作によりフィルタ機能部となっている部分を変更することができるため、それまでフィルタ機能部となっていた一部の代わりにフィルタ退避部となっていた残部をフィルタ機能部とすることが可能になることから、気化器を分解することなくフィルタ機能部の目詰まり状態を解消することができ、これによって気化器のメンテナンスサイクルを延長することができ、その結果、気化器や成膜装置の稼働率を向上できる。
本発明において、前記フィルタは巻き取り可能な帯状のフィルタ材で構成され、前記フィルタ寿命延長手段は、前記ガス導出口の両側に配置された、前記フィルタ材を繰り出す繰出ローラ及び前記フィルタ材を巻き取る巻取ローラを有し、外部操作により前記繰出ローラ及び前記巻取ローラが回転駆動可能に構成されていることが好ましい。これによれば、外部操作によって繰出ローラ及び巻取ローラを回転させることによりフィルタ機能部となっている部分を変更することができる。このため、フィルタ機能部を容易に変更できるとともに、フィルタ寿命延長手段をコンパクトに構成できる。ここで、外部操作の対象としては、上記ローラの少なくとも一方(例えば巻取ローラ)を回転駆動するためのモータを設けたときの操作スイッチ、上記一方を回転操作するための操作部(回転操作ハンドル)などが挙げられる。
この場合に、フィルタ材をガス導出口の開口縁に密接させるためのフィルタ押さえを設けることが望ましい。このフィルタ押さえによってガス導出口の開口縁にフィルタ材が密接されるため、フィルタ材とガス導出口の開口縁との隙間をパーティクルが通過することを防止できる。このフィルタ押さえは、上記の繰出ローラ及び巻取ローラの回転時にはフィルタ材から離反し、回転が停止した後にフィルタ材を押さえるように構成されていることが望ましい。
本発明において、前記フィルタは、前記ガス導出口と略平行な回転軸線周りに回転可能に設けられ、前記フィルタ機能部及び前記フィルタ退避部がその回転方向に配列される回転体で構成され、前記フィルタ寿命延長手段は、該回転体を回転可能に保持するとともに、外部操作により前記回転体が回転駆動可能に構成されていることが好ましい。これによれば、外部操作によって回転体を回転させることによりフィルタ機能部となる部分を変更することができる。このため、フィルタ材の機械的特性に拘らず(上記のように巻取可能なもの、可撓性素材でなくても)フィルタ機能部となる部分を容易に変更することができるとともに、フィルタ寿命延長手段をコンパクトに構成できる。ここで、外部操作の対象としては、上記回転体を回転駆動する駆動モータの操作スイッチ、上記回転体を回転操作するための操作部(回転操作ハンドル)などが挙げられる。この場合に、回転体のフィルタ機能部以外の部分を被覆する被覆体(カバー)を設けることが好ましい。これによれば、被覆体が設けられることにより、回転体のフィルタ退避部や、その他のフィルタ機能部以外の部分に付着物が付着することが防止されるため、フィルタ退避部にパーティクルが付着することを防止することができ、また、付着物による回転体の回転動作の不具合の発生をも防止できる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタを回転させる回転駆動機構を含むことが好ましい。フィルタを回転させることによって、パーティクルがフィルタに捕捉されても、その一部をフィルタに付着させることなく遠心力によりフィルタから落下させることができる。したがって、フィルタに捕捉された物質のフィルタへの付着割合を低減することができ、また、付着した物質をフィルタから除去することができるため、フィルタの目詰まりを抑制することができ、メンテナンスサイクルを伸ばすことができる。ここで、上記フィルタの回転軸は、ガス導出口の軸線とほぼ一致するように構成されていることが望ましい。このようにすると、フィルタを回転させても、ガス導出口に対するフィルタの位置が実質的に変わらないようにすることができる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに振動を与える振動発生装置を含むことが好ましい。これによれば、振動発生装置によりフィルタに振動が与えられるため、パーティクルがフィルタに捕捉されても、その一部をフィルタに付着させることなく振動によりフィルタから離反させることができる。したがって、フィルタに捕捉された物質のフィルタへの付着割合を低減することができるとともに、一旦付着した物質を除去することもできるため、フィルタの目詰まりを抑制することができ、メンテナンスサイクルを伸ばすことができる。この振動発生装置は気化室外に配置されるとともに、気化室の隔壁に孔を形成し、この孔に対してゴムなどの弾性部材を介して支持される振動伝達部材を設け、この振動伝達部材の外端を振動発生装置に接続し、振動伝達部材の内端をフィルタに接続することが望ましい。これによれば、振動発生装置に付着物が付着することを回避できる。なお、振動発生装置としては、超音波振動子などを用いることができる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段としては、前記外部操作に基づいて前記フィルタの付着物を除去するように構成された付着物除去手段が挙げられる。この発明によれば、外部操作により付着物除去手段を用いてフィルタに付着した付着物を除去することができるため、気化器を分解することなくフィルタ機能部の目詰まり状態を解消することができ、これによって気化器のメンテナンスサイクルを延長することができ、その結果、気化器や成膜装置の稼働率を向上できる。本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記付着物を前記フィルタの前記気化室側に離反させるように構成されていることが好ましい。これによれば、フィルタから付着物が気化室側へ離反されるため、ガス導出口の下流側に付着物が侵入しにくくなり、その結果、付着物による不具合の発生を低減できる。この場合に、気化室には、除去された付着物を排出するための開閉可能な排出口を設けることが望ましい。この排出口から付着物を排出させることによって、気化器を分解することなく、また、ガス導出口を汚染することなく、気化室から付着物を排除できる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに接触して動作するブラシを含むことが好ましい。ブラシをフィルタに接触させて動作させることによってフィルタの付着物を機械的に除去することができる。ここで、ブラシはフィルタに対して回転するように構成されていることが望ましい。これにより、ブラシの駆動機構が簡易に構成できるからである。また、ブラシは気化室側からフィルタに接触するように構成することが望ましい。これは、付着物はフィルタの気化室側の表面に主として付着しているからであり、また、気化室側からブラシを作用させることにより、除去された付着物が気化室内にとどまり、ガス導出口の下流側に付着物が侵入しにくくなるからである。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに気体を吹き付ける吹付ノズルを含むことが好ましい。これによれば、吹付ノズルからフィルタに気体を吹き付けることにより、フィルタに付着した付着物を吹き飛ばすことが可能になる。ここで、吹付ノズルは、フィルタの表面に対して斜め方向から気体を吹き付けるように構成されていることが望ましい。これによって、フィルタのより広い表面範囲に気体を吹き付けることが可能になるとともに、気体の斜め方向からの吹き付けによって付着物を容易にフィルタから離反させることが可能になる。吹付ノズルは、気化室側にのみ設置してもよく、ガス導出口の下流側にのみ設置してもよく、或いは、両側に共に設置してもよい。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタにレーザ光を照射するレーザ照射装置を含むことが好ましい。フィルタにレーザ光を照射することによってその加熱作用や光作用などに基づいて付着物を分解してフィルタから除去することが可能になる。ここで、レーザ照射装置は、レーザ光を走査することによってフィルタのほぼ全面にレーザ光を照射できるように構成されていることが望ましい。ここで、気化室外にレーザ装置を配置するとともに気化室の隔壁に窓を形成し、この窓からレーザ光を気化室内のフィルタに照射することがレーザ照射装置への付着物の付着を回避する上で望ましい。また、上記窓は、気化室の内面に構成された孔の奥部に構成されていることが望ましい。また、この孔内には不活性ガスなどのパージガスが供給されるように構成されていることが望ましい。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに洗浄剤を適用するための洗浄剤供給手段を含むことが好ましい。洗浄剤供給手段は、洗浄剤を気化室内に導入して、フィルタに洗浄剤を適用することによってフィルタの洗浄を行う。この場合、洗浄剤としては、液体であっても気体であってもよい。また、洗浄剤は常温常圧では液体であるが、気化室内で加熱されることによって気体になるように構成されたものであってもよい。例えば、洗浄剤が気化室の内部で最終的に気体になるのであれば、この洗浄ガスがフィルタに作用してフィルタに付着した付着物を溶解し、或いは、分解する。洗浄剤としては、カルボキシル基を含む化合物を有するクリーニングガス、または前記カルボキシル基を含む化合物が、前記カルボキシル基に結合した、ハロゲン原子を含むアルキル基を有しているクリーニングガス、または前記カルボキシル基を含む化合物がTFAA(トリフルオロ酢酸)であるクリーニングガスなどを用いることができる。洗浄剤は、噴霧手段により気化室内に噴霧されて間接的にフィルタに作用するように構成することができ、また、気化室内に別途設けた噴出口からフィルタに向けて直接に噴出されるように構成することもできる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに負の高電位を与える電位供給回路を含むことが好ましい。通常、気化室内で発生するパーティクルは負電位に帯電するため、フィルタに負の高電位が与えられることにより、フィルタに付着しにくくなり、その結果、フィルタの付着物の量を低減できる。ここで、フィルタを導電性物質、例えば金属で構成することが好ましい。これによって、フィルタに負の高電位を容易かつ均一に与えることができる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタにコーティングされたフッ素樹脂層を含むことが好ましい。フッ素樹脂層によってフィルタにパーティクルが付着しにくくなるため、フィルタの目詰まりを低減できる。ここで、フッ素樹脂層をフィルタの気化室側の表面に主として形成することが好ましい。上記フッ素樹脂層は、例えば、フッ素樹脂のコーティング液をフィルタの表面に吹き付けることによって容易に形成できる。フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに設けられた、前記フィルタの目よりも大きな周期を持つ凹凸形状であることが好ましい。これによって、フィルタの実質的に機能する面積を増大させることができる。ここで、上記凹凸形状は、フィルタの気化室側の表面にのみ形成されていてもよく、また、フィルタの両面に形成されていてもよい。さらに、フィルタの表面が蛇腹状に構成されていても構わない。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記気化室の周囲に形成された通気経路と、該通気経路によって拡大され、前記フィルタの設置された前記ガス導出口の開口部とを含むことが好ましい。これによれば、通気経路を設けることによってガス導出口の開口部を大面積とすることができるため、この開口部に設置されるフィルタの面積を増大させることができる。特に、通気経路を気化室の周囲に周回状(環状或いは筒状)に構成し、これと同形状の開口部に同形状のフィルタを設置することがさらにフィルタ面積を増大させる上で望ましい。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記ガス導出口の上流側において前記原料ガスの導出方向に縦列配置された複数の前記フィルタを含むことが好ましい。これによって、フィルタ面積を実質的に増大させることができるので、各フィルタの目詰まりを低減できる。
本発明において、前記複数のフィルタは、前記ガス導出口の上流側に配置された第1のフィルタ材と、第1のフィルタ材よりも下流側に配置された第2のフィルタ材とを含み、前記第1のフィルタ材は前記第2のフィルタ材よりも粗い目を有することが好ましい。これによれば、第1のフィルタ材によってパーティクルの一部が捕捉され、残りのパーティクルが第2のフィルタ材によって捕捉されるため、それぞれのフィルタ材における付着物の付着量を低減することができる。ここで、第1のフィルタ材の温度は、第2のフィルタ材の温度よりも低いことが望ましい。これによって、第1のフィルタ材を通過したミストを第2のフィルタ材によって気化することができるので、付着物が第1のフィルタに集中することを防止できる。また、第1のフィルタ材の目は粗いので、第2のフィルタ材よりも厚く形成することによって捕捉率を高めることが望ましく、第2のフィルタ材の目は細かいので、目詰まりを防止するために第1のフィルタ材よりも大面積とすることが望ましい。
本発明において、前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタの表面上に接触配置され、前記フィルタの目よりも大きな複数の開口部を有する熱伝導体を含むことが好ましい。この発明によれば、フィルタの目よりも大きな複数の開口部を有する熱伝導体がフィルタに接触配置されていることにより、フィルタの温度を均一化することができ、その結果、フィルタへの一部、例えば最も温度が低下しやすいフィルタ中央部に付着物が集中して付着することを防止できる。
本発明において、一対の前記熱伝導体が前記フィルタを挟持する態様で設けられていることが好ましい。これによれば、フィルタの温度をより均一化することができるため、フィルタの目詰まりをさらに低減できる。
次に、本発明の成膜装置は、上記のいずれかに記載の気化器と、該気化器にて生成された前記原料ガスを用いて成膜を行う成膜室とを有する。これによって、成膜室へのパーティクルの侵入を防止しつつ、気化器のメンテナンスサイクルを伸ばすことができるため、成膜装置の稼働率を高めることができる。
また、本発明の成膜装置は、所定時間の経過後若しくは前記フィルタが目詰まりした時点で、前記フィルタ寿命延長手段を動作させる制御手段を有することが好ましい。これによって、制御手段によって自動的にフィルタ寿命延長手段を動作させることができる。
ここで、前記制御手段は、前記気化器の内圧が所定値に達したときに前記フィルタ寿命延長手段を動作させることが望ましい。フィルタに目詰まりが発生すると気化器の内圧が上昇するので、気化器の内圧を検出し、当該内圧が所定値に達したときにフィルタ寿命延長手段を動作させることによって的確にフィルタ寿命を延長できる。
以上説明したように、本発明によれば、フィルタ寿命延長手段によりフィルタ機能部となる部分を変更することにより、気化器を分解しなくても、新たなフィルタ機能部を用いて継続して使用することができることから、気化器のメンテナンスサイクルを伸ばすことができ、成膜装置の稼働率を向上できる。
また、フィルタ寿命延長手段として、フィルタに付着したパーティクルなどの付着物を除去する付着物除去手段を設けることにより、フィルタに付着したパーティクルを除去することができるため、気化器のメンテナンスサイクルを伸ばすことができ、成膜装置の稼働率を向上できる。
さらに、フィルタの面積を増大することによって、フィルタの目詰まりが低減されるため、気化器のメンテナンスサイクルを伸ばすことができ、成膜装置の稼働率を向上できる。
また、フィルタ寿命延長手段として、フィルタにパーティクルが付着しにくくする付着量低減手段を設けることにより、フィルタへの付着量が低減されて目詰まりを抑制することができるため、気化器のメンテナンスサイクルを伸ばすことができ、成膜装置の稼働率を向上できる。
次に本発明に係る気化器の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する気化器は、図15に示す成膜装置100において、気化器110の代わりに用いることができるものであり、成膜装置を構成する場合には、気化器以外の他の部分については成膜装置100と全く同様であるので、以下の説明において、成膜装置に関する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は本発明に係る気化器の概略構造を示す模式図である。なお、本明細書に添付する各図に示す気化器は全て矩形断面を有するように描いてあるが、その内面は半球面状、円筒面状、その他の任意の形状であっても構わない。
図1は本発明に係る気化器の概略構造を示す模式図である。なお、本明細書に添付する各図に示す気化器は全て矩形断面を有するように描いてあるが、その内面は半球面状、円筒面状、その他の任意の形状であっても構わない。
本実施形態の気化器130は、ノズル131と、気化面132aを備えた気化室132とを有し、ノズル131は上述の原料ガスを気化室132の内部へ噴霧するように構成され、気化室132には、壁面に内蔵されたヒータなどの加熱手段(図示せず)により気化面132aが例えば180〜220℃程度となるように加熱される。この実施形態では、ガス導出口133の手前に可撓性を備えた帯状のフィルタ材134の一部が配置されている。このフィルタ材134は、例えば、金属のメッシュ構造、繊維状金属を屈曲させた状態として押し固めた構造、セラミックスなどの多孔質素材などで構成される。フィルタ材134の一部はガス導出口133の開口範囲内に配置されてフィルタ機能部として機能し、残部は前記開口範囲の外に配置されてフィルタ退避部となっている。
本実施形態の気化器130は、上記フィルタ材134のフィルタ機能部を構成する部分を変更するフィルタ変更手段135を具備する。このフィルタ変更手段135は、繰出ローラ135a及び巻取ローラ135bをガス導出口133の両側(図示例の場合には上下両側)に有する。繰出ローラ135a及び巻取ローラ135bはそれぞれ気化室132の内部に対して仕切られた退避室135A及び135Bの内部において回転可能に設けられ、それぞれにフィルタ材134が巻回される。そして、繰出ローラ135aから巻取ローラ135bにフィルタ材134が架設される。繰出ローラ135a及び巻取ローラ135bの少なくとも一方は外部操作により回転駆動できるように構成される。例えば、いずれか一方のローラに接続された回転操作部が気化器の外部に設けられてもよく、また、いずれか一方のローラに駆動モータが接続され、この駆動モータの操作スイッチが気化器の外部に設けられていてもよい。ここで、繰出ローラ135aと巻取ローラ135bの双方が回転駆動されるように構成されていてもよく、また、繰出ローラ135aが回転駆動され、巻取ローラ135bは巻取方向にばねなどによって巻取力が付与された状態となっていてもよく、さらに、巻取ローラ135bが回転駆動され、繰出ローラ135aは所定の繰出抵抗を生ずるように構成されていてもよい。
上記フィルタ変更手段135においては、外部操作を行うことによって繰出ローラ135aと巻取ローラ135bの少なくとも一方が回転駆動され、フィルタ材134のフィルタ機能部となる部分が変更される。したがって、フィルタ材134のフィルタ機能部にパーティクルなどが付着して、目詰まりが生じたり、気化室132の内圧が所定値よりも大きくなったりした場合には、フィルタ変更手段135によってフィルタ機能部を更新することにより、気化器130を分解しなくても、新たなフィルタを装着した場合と同等の状態にすることができる。したがって、従来のようにフィルタの交換若しくは清掃のための気化器130の分解組立作業の頻度が低減されることから、成膜装置の稼働率を向上させることができる。
フィルタ材134のフィルタ機能部の前面側には、枠状(例えばリング状)の押さえ部材(フィルタ押さえ)136が配置されている。この押さえ部材136は、フィルタ材134のフィルタ機能部をガス導出口133の開口縁に接近させ若しくは押し付け、フィルタ機能部と開口縁との間の隙間からパーティクルが下流側に流出しないように構成する。ここで、押さえ部材136を図示左右方向に可動に構成し、フィルタ変更手段135が動作していないときには、下流側に移動してフィルタ機能部をガス導出口133の開口縁に押し付け、フィルタ変更手段135が動作しているときにはフィルタ材134から離反するように構成してもよい。
なお、実験等に基づいて、一つのフィルタ機能部が目詰まりを起こすまでの稼働時間、或いは、気化室132の内圧が所定値を越えるまでの稼働時間を予測し、その稼働時間に応じて、フィルタ変更手段135の動作周期を設定することにより、当該動作周期で自動的にフィルタ変更手段135が動作するように構成することも可能である。
[第2実施形態]
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この気化器140は、第1実施形態と同様の、ノズル141と、気化面142aを備えた気化室142と、ガス導出口143とを備えている。
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この気化器140は、第1実施形態と同様の、ノズル141と、気化面142aを備えた気化室142と、ガス導出口143とを備えている。
本実施形態では、ガス導出口143にはフィルタ144aで構成されるフィルタ回転体144が配置され、この回転体144はフィルタ変更手段145によって回転可能に構成されている。このフィルタ変更手段145は、ガス導出口143と対向する開口部146を有し、フィルタ回転体144の中心に取り付けられた回転軸145aによってフィルタ回転体144を回転自在に保持する。回転軸145aは、ガス導出口143の導出方向と平行に設定されている。この回転軸145aは、気化室142の外部に引き出されて駆動モータ147に連結されている。そして、駆動モータ147を回転させることにより、フィルタ回転体144が回転するように構成される。なお、上記のようにフィルタ回転体144を駆動モータ147により回転駆動するのではなく、例えば、回転軸145aを気化室142の外部に導出して操作部(回転ハンドル)を構成するなど、外部操作によって結果的に回転体144を回転駆動できるように構成されていればよい。
フィルタ回転体144は、図3(a)に示すように、略円形のフィルタ144aと、このフィルタ144aを支持する支持枠144bとを有する。フィルタ144aは、第1実施形態のフィルタ材と同様の構造若しくは素材によって構成される。フィルタ144aの一部はガス導出口143の開口断面に重なるように配置され、フィルタ機能部となっている。また、フィルタ144aの残部はガス導出口143の開口断面から退避した位置に配置されてフィルタ退避部となっている。
フィルタ回転体144の上流側にはカバー146が配置され、回転体144を被覆している。このカバー146には、フィルタ回転体144に設けられたフィルタ144aのうちフィルタ機能部としてガス導出口143の開口断面に配置された部分のみを上流側に露出するように構成する開口部146aを備えている。図示例では、カバー146は、フィルタ機能部となるフィルタ部144aの部分以外の全てのフィルタ回転体144を被覆するように構成される。
図3(b)には、上記フィルタ回転体144とは異なる構造を有する別のフィルタ回転体144′を示してある。このフィルタ回転体144′は、回転軸145a′を中心として一体に設けられたフィルタ144a′と、このフィルタ144a′の外縁を支持する枠状(リング状)の支持枠144b′とを有する。また、このフィルタ回転体144′の前面にはカバー146′が配置される。カバー146′には、外周から切り込まれた切り欠き状の開口部146a′が設けられ、この開口部146a′によって上流側に露出したフィルタ144a′の一部がフィルタ機能部としてガス導出口143の開口範囲に配置され、カバー146′によって被覆されたフィルタ144a′の残部がフィルタ退避部となるように構成されている。
この実施形態では、フィルタ機能部として構成されるフィルタ部分に付着物が付着して目詰まりが発生したり、気化室142の内圧が所定値以上に上昇したりしたときには、フィルタ回転体144,144′を回転させることによって、それまでフィルタ退避部となっていた別の部分をフィルタ機能部としてガス導出口143の開口範囲に配置することにより、気化器140を分解してフィルタの交換や清掃を行わなくても、そのまま使用し続けることができる。
なお、第1実施形態と同様に、所定の周期で自動的にフィルタ回転体144,144′を回転させてフィルタ機能部となる部分を変更することも可能である。
[第3実施形態]
次に、図4を参照して本発明に係る第3実施形態の気化器について説明する。この実施形態の気化器150は、第1実施形態と同様の、ノズル151と、気化面152aを備えた気化室152と、ガス導出口153とを有する。ガス導出口153には、フィルタ154が設けられている。フィルタ154は、第1実施形態と同様の構造若しくは素材で構成されたフィルタ部154aと、このフィルタ部154aを支持する枠状(リング状)の支持枠154bとを有する。
次に、図4を参照して本発明に係る第3実施形態の気化器について説明する。この実施形態の気化器150は、第1実施形態と同様の、ノズル151と、気化面152aを備えた気化室152と、ガス導出口153とを有する。ガス導出口153には、フィルタ154が設けられている。フィルタ154は、第1実施形態と同様の構造若しくは素材で構成されたフィルタ部154aと、このフィルタ部154aを支持する枠状(リング状)の支持枠154bとを有する。
本実施形態では、フィルタ部154aから付着物を除去するための付着物除去手段155を備えている。この付着物除去手段155には、フィルタ部154aの表面に接触する、ステンレス鋼などの金属ワイヤなどで構成されたブラシ155aと、このブラシ155aを支持する支持部材(支持ロッド)155bとが設けられている。本実施形態では、支持部材155bを動作させることによってブラシ155aがフィルタ部154aの表面を擦り、付着物を物理的にフィルタ部154aから離反させるように構成されている。
本実施形態では、ブラシ155aは、フィルタ部154aの直径とほぼ等しい長さを有し、その中央部がフィルタ部154aの中心部上に配置される姿勢でフィルタ部154aの表面に接触している。支持部材155bはブラシ155aの中央部に接続され、支持部材155bが回転することによってブラシ155aもまた回転し、この回転動作によってフィルタ部154aの付着物を擦り落とすように構成されている。
なお、上記ブラシ155aはフィルタ部154aから付着物を機械的に擦り落とすものであり、その形状や設置方法は上記態様に限られない。例えば、ブラシ155aの端部を回転軸に接続してブラシ155aをフィルタ部154a上において回動可能に配置してもよい。
支持部材155bは回転自在に軸支された状態で気化室152の外部に引き出され、駆動モータ156に接続されている。より具体的には、図示例のように支持部材155bが気化室152の内部を横断する態様で架設され、ガス導出口153とは反対側の壁面の外側に駆動モータ156が配置されている。そして、駆動モータ156を稼動させることにより、支持部材155bが回転し、ブラシ155aが回転駆動されるようになっている。なお、駆動モータ156は気化室152内に配置されていてもよい。また、気化室152の外部には支持部材に連結された操作部のみが設けられ、この操作部を手動で操作することによってブラシ155aを回転させることができるように構成されていてもよい。さらに、支持部材155bを軸線方向に移動可能に構成し、気化器150の稼動中はブラシ155aをガス導出口153とは反対側の内面近傍に退避させることができるように構成してもよい。
また、この実施形態では、気化室152のフィルタ154の設置位置の下方に排出口152bが設けられている。この気化器150を稼動させているときには、排出口152bは着脱可能に取り付けられた排気管157を介して排気手段158に取り付けられている。上記付着物除去手段155を動作させて図示の排出管157によりフィルタ部154aからブラシ155aによって擦り落とされた付着物を排出口152bから排出させることができる。
なお、上記のように排出口152bを設けるのではなく、例えば支持部材155b内に排気装置に接続された吸引経路を設けて、この吸引経路をブラシ155aの内部に開口させ、ブラシ155aによってフィルタ部154aから離反された付着物を吸引して上記吸引経路を介して排出するように構成してもよい。
[第4実施形態]
次に、図5を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。この実施形態の気化器160も、上記第3実施形態と同様のノズル161と、気化面162aを備えた気化室162と、ガス導出口163と、フィルタ部164aを備えたフィルタ164とを有する。
次に、図5を参照して本発明に係る第4実施形態について説明する。この実施形態の気化器160も、上記第3実施形態と同様のノズル161と、気化面162aを備えた気化室162と、ガス導出口163と、フィルタ部164aを備えたフィルタ164とを有する。
本実施形態では、フィルタ部164aに付着した付着物を除去する付着物除去手段165として、気体を吹き付ける気体吹付管165aと、気体吹付管に気体を供給する気体供給装置165bとを備えている。上記気体としては、不活性ガスや乾燥空気(ドライエア)などが挙げられる。気体吹付管165aは、フィルタ部164aに対して上流側から気体を吹き付けるように構成されている。また、気体吹付管165aを、フィルタ部164aに対して下流側から気体を吹き付けるように構成してもよい。気体吹付管165aは、フィルタ部164aの表面に対して斜め方向から気体を吹き付けるように構成されていることが好ましい。これによって、気体の吹付範囲をフィルタ部164aのある程度広い範囲に広げることができるとともに、気体の斜め方向からの吹き付けによってフィルタ部164aから付着物を容易に離反させることができる。
気体吹付管165aが固定されている場合、その吹付口は、フィルタ部164aの表面全体に気体を吹き付けることができるように構成されていることが好ましい。例えば、ノズルのようにある程度の角度範囲に気体を噴き出すことができるように構成されていることが望ましい。
なお、この実施形態においても、上記の第3実施形態と同様に、フィルタ部164aから離反された付着物を排出する排出口を設けることが望ましい。また、上記の吹付口は、気化器160の稼動中において気化室162の内部やガス導出口163の内部から退避するように構成されていてもよい。
[第5実施形態]
次に、図6を参照して本発明に係る気化器170について説明する。この実施形態の気化器170も、上記第3実施形態と同様のノズル171と、気化面172aを備えた気化室172と、ガス導出口173と、フィルタ部174aを備えたフィルタ174とを有する。
次に、図6を参照して本発明に係る気化器170について説明する。この実施形態の気化器170も、上記第3実施形態と同様のノズル171と、気化面172aを備えた気化室172と、ガス導出口173と、フィルタ部174aを備えたフィルタ174とを有する。
この実施形態においては、フィルタ部174aに付着したパーティクルを除去する付着物除去手段175として、レーザ照射装置175aが設けられている。このレーザ照射装置175aは、気化室172のフィルタ174に対面する壁の外側に配置されている。そして、レーザ照射装置175の前面にある気化室172の壁面には透明窓175bが設けられ、この透明窓175bを介してレーザ照射装置175aで発生したレーザ光がフィルタ部174aに対して照射可能に構成されている。
レーザ照射装置175aは、そのレーザ光を所定範囲内において図示のように走査可能に構成されており、レーザ光を走査することによりフィルタ部174aの全表面にレーザ光を当てることができるようになっている。
透明窓175bの内側には気化室172の内部に臨む壁孔172cが形成されている。この壁孔172cは、気化室172の内部にて発生するパーティクルや原料ガスが透明窓175bに付着しにくくなるように設けられている。この効果を高めるために、壁孔172cは上記レーザ光の走査を妨げない範囲で、開口面積を小さく、軸線方向の長さが大きくなるように構成される。また、この壁孔172cの内部にはガス導入管172dが開口している。ガス導入管172dには不活性ガスなどが供給され、これによって、気化器170の稼動中において壁孔172c内に気体が導入されるため、壁孔172c内の圧力が気化室172の内圧よりも高めになり、これによって透明窓172bに付着物が付着することをさらに低減できる。
フィルタ部174aの付着物を除去する場合には、レーザ照射装置175aによりレーザ光をフィルタ部174aに照射する。ここで、レーザ光をスキャンさせ、フィルタ部174aの全面にレーザ光をくまなく当てる。フィルタ部174aに付着したパーティクルにレーザ光を当てることにより、パーティクルがその分解温度より高い温度、例えば200〜300℃程度に加熱されれば、パーティクルは分解して気化する。レーザ処理の後、気化室172内の分解ガスは排気される。
[第6実施形態]
次に、図7を参照して本発明に係る気化器180について説明する。この実施形態の気化器180も、上記第3実施形態と同様のノズル181と、気化面182aを備えた気化室182と、ガス導出口183を有する。
次に、図7を参照して本発明に係る気化器180について説明する。この実施形態の気化器180も、上記第3実施形態と同様のノズル181と、気化面182aを備えた気化室182と、ガス導出口183を有する。
この気化器180は、ガス導出口183にフィルタ184が設けられ、このフィルタ184は、上記と同様のフィルタ部184aを備えている。また、フィルタ寿命延長手段、具体的には、付着物除去手段、或いは、付着量低減手段として、フィルタ184を回転自在に保持するとともに回転駆動するフィルタ回転手段185が設けられている。
フィルタ回転手段185は、フィルタ184の中心部に接続された回転軸185aと、この回転軸185aを中心にフィルタ184を回転自在に保持する環状の保持枠185bとを有する。より具体的には、保持枠185bは、フィルタ184の外周縁部を摺動可能に案内するように構成されている。
回転軸185aは、気化室182の外部に導出され、駆動モータ186に接続されている。より具体的には、気化室182のフィルタ184に対面する壁の外側に駆動モータ186を設け、この駆動モータ186によって上記回転軸185aが回転駆動されるように構成されている。
なお、フィルタ184の外周縁部と、保持枠185b又はガス導出口183の開口縁との間の密封構造として、ラビリンスシールを用いることができる。この構造により、フィルタ184の回転抵抗を低減できると同時に、フィルタ184によりガス導出口183の開口範囲を確実に覆うことができる。
この実施形態では、フィルタ184に付着したパーティクルを除去するときには、気化器180を停止させ、駆動モータ186を稼動させ、フィルタ184を高速回転させることにより、遠心力によりフィルタ部184aに付着したパーティクルが除去される。
また、気化器180の稼動中において、フィルタ184を回転させておくことにより、その回転動作によってパーティクルの一部が付着しにくくなり、或いは、一旦付着したパーティクルも離反するようになり、これによってフィルタ部184aにおけるパーティクルの付着量を低減させることができる。
なお、この実施形態でも、フィルタ184から離反されたパーティクルを排出する排出口182bを気化室182に設けることが好ましい。
[第7実施形態]
次に、図8を参照して本発明に係る第7実施形態について説明する。この実施形態の気化器190も、上記第3実施形態と同様のノズル191と、気化面192aを備えた気化室192と、ガス導出口193と、フィルタ部194aを備えたフィルタ194とを有する。
次に、図8を参照して本発明に係る第7実施形態について説明する。この実施形態の気化器190も、上記第3実施形態と同様のノズル191と、気化面192aを備えた気化室192と、ガス導出口193と、フィルタ部194aを備えたフィルタ194とを有する。
この実施形態では、フィルタ194の付着物を除去する付着物除去手段、或いは、付着量低減手段195が設けられている。この手段には、振動伝達部材(振動伝達ロッド)195aが設けられている。この振動伝達部材195aは、フィルタ194に振動を伝達するためのものである。振動伝達部材195aは気化室192の外部へ導出され、超音波振動子などで構成される振動発生装置196に接続されている。振動伝達部材195aは、気化室192の挿通孔192cを挿通し、その挿通部分において防振ゴムなどで構成される支持体195bに支持されている。
本実施形態において、フィルタ部194aに付着したパーティクルを除去する場合には、気化器190を停止させ、振動発生装置196を稼動させることにより振動伝達部材195aを介してフィルタ部194aに振動を与える。この振動によりフィルタ194に付着したパーティクルがふるい落とされる。
また、気化器190の稼動中において、振動発生装置196により常時フィルタ194に振動を与え続けてもよい。この場合には、フィルタ194に付着しようとするパーティクルの一部がフィルタ194の振動で付着しなかったり、ふるい落とされたりするため、フィルタ部194aに対する付着量を低減することができる。
さらに、フィルタ194が気化器190の稼動中に常時振動していることにより、フィルタ194に付着したミストの気化が促進されるため、気化器190の気化能力を増大させることもできる。
なお、この実施形態でも、フィルタ194から離反されたパーティクルを排出する排出口192bを気化室192に設けることが好ましい。
[第8実施形態]
次に、図9を参照して本発明に係る第8実施形態の気化器200について説明する。この実施形態においても、第3実施形態と同様に、ノズル201と、気化面202aを備えた気化室202と、ガス導出口203と、ガス導出口203に設けられたフィルタ204とを有する。
次に、図9を参照して本発明に係る第8実施形態の気化器200について説明する。この実施形態においても、第3実施形態と同様に、ノズル201と、気化面202aを備えた気化室202と、ガス導出口203と、ガス導出口203に設けられたフィルタ204とを有する。
この実施形態では、フィルタ204を洗浄するための付着物除去手段として、フィルタ洗浄手段205が設けられている。このフィルタ洗浄手段205は、洗浄剤を収容する洗浄剤容器205aと、この洗浄剤を供給する洗浄剤供給管205bと、洗浄剤の供給量を制御する流量制御器205cとを有する。洗浄剤供給管205bは、例えば、ノズル201に原料を供給する配管107に接続されるなどの態様で、切替バルブ107x及び205xを切り替えることなどにより、気化室202内に供給される。すなわち、原料の代わりに洗浄剤を供給することによって、ノズル201から洗浄剤が噴霧され、その結果、その洗浄剤のガスがフィルタ204に作用して、フィルタ204のフィルタ部204aに付着したパーティクルを溶解したり、分解したりする。このように導入される洗浄剤としては、後述するクリーニング用ガスを用いることが好ましい。
ここで、図示一点鎖線で示すように、上記ノズル201とは別に洗浄ノズル206を設け、この洗浄ノズル206に上記洗浄剤供給管205bを接続するようにしてもよい。このとき、洗浄ノズル206はフィルタ部204aに洗浄剤を直接吹き付けるように構成される。この場合には、フィルタ部204aに直接洗浄剤を吹き付けることができるため、効率的にフィルタ部204aの付着物を除去できる。このように導入される洗浄剤としては、後述する溶剤を用いることが好ましい。
上記の洗浄処理によって発生したガスや液体は、気化室202に設けられた排出口202bから排出することができる。例えば、排出口202bを排気装置に接続することによってガスを排出でき、また、排出口202bをドレンタンクなどに接続することによって液体を排出できる。ここで、ガス導出口203の下流側において成膜室へ接続される輸送管206の途中にバイパスライン207を設け、バルブなどにより経路を切り替えてバイパスライン207を介して排出してもよい。
上記の洗浄作業においては、例えば、気化器200の内面を稼動時の温度よりも高い温度、例えば、300〜400℃程度に加熱して行うことが好ましい。これによって洗浄剤の効果をより高めることができる。洗浄剤としては、上述のクリーニング用ガス、溶剤、酸などを用いることができる。例えば、カルボキシル基を含む化合物を有するクリーニングガス、または前記カルボキシル基を含む化合物が、前記カルボキシル基に結合した、ハロゲン原子を含むアルキル基を有しているクリーニングガス、または前記カルボキシル基を含む化合物がTFAA(トリフルオロ酢酸)であるクリーニングガス、酢酸ブチル、硝酸等が挙げられる。なお、気化室202の内面はクリーニング用ガスなどで腐食されるのを防止するためにフッ素樹脂加工などを施しておくことが望ましい。
なお、この実施例は、上記の他の実施形態、特に、第2実施形態、第3実施形態、第5実施形態、第6実施形態などと共に採用することにより、フィルタから除去されたパーティクルなどの付着物をガス化したり、液状化したりするために用いることができる。この場合、上記と同様の排出口202bから付着物のガスを排気したり、付着物が溶解した液体を排出したりすることができる。
[第9実施形態]
次に、図10及び図11を参照して本発明に係る気化器210について説明する。この実施形態でも、上記と同様の、ノズル211と、気化面212aを備えた気化室212と、ガス導出口213とを備えている。
次に、図10及び図11を参照して本発明に係る気化器210について説明する。この実施形態でも、上記と同様の、ノズル211と、気化面212aを備えた気化室212と、ガス導出口213とを備えている。
本実施形態のフィルタ214は、ガス導出口213の開口面積よりも大きいフィルタ面積を有するとともに、そのフィルタ面積が同時にフィルタ機能を有するように構成されている。すなわち、フィルタ214のフィルタ機能部を構成する部分がガス導出口213の開口面積よりも大きいことを特徴とする。
この実施形態において、より具体的には、フィルタ214のフィルタ部214aの内面(気化室212側の表面)がフィルタ部214aの目よりも大きな周期の凹凸形状を有するものとなっている。これによって、フィルタ部214aのフィルタ機能部として機能する面積がガス導出口213の開口面積よりも大きくなるため、フィルタの目詰まりを低減することができ、より長い時間、メンテナンスを行うことなく気化器210を稼動することができる。
なお、上記図示例では、フィルタ部214aの内面のみを凹凸形状に構成しているが、内面と外面の双方を凹凸形状としてもよく、或いは、フィルタ部214aを蛇腹状の構造(折り畳み構造)としてもよい。
また、図11には、フィルタ機能部として機能する部分をガス導出口223の開口面積よりも増大させた異なる気化器220の実施例を示す。この実施例では、ガス導出口223に通気経路223xを気化室222内の周囲に沿ってに形成し、この通気経路223xによって拡大されたガス導入口223の開口部223yにフィルタ224を配置したものである。ここで、この開口部223yは、通気経路223xを除くガス導出口223の開口面積より大幅に大きな開口面積を有するので、フィルタ部224aのフィルタ機能部として機能する部分も大幅に大きなフィルタ面積を有するものとなる。ここで、より具体的には、ノズル221の噴霧方向の周囲側面に上記通気経路223xが周回状に構成され、これに対応して、上記の開口部223yを覆うフィルタ部224aもまた環状若しくは筒状に構成されている。このようにすると、気化室222の内面形状にそれほど影響を与えずに、フィルタ機能部の面積を大きく確保することができる。
[第10実施形態]
次に、図12を参照して本発明に係る第10実施形態の気化器230について説明する。この気化器230においても、上記と同様のノズル231と、気化面232aを備えた気化室232と、ガス導出口233とを有する。
次に、図12を参照して本発明に係る第10実施形態の気化器230について説明する。この気化器230においても、上記と同様のノズル231と、気化面232aを備えた気化室232と、ガス導出口233とを有する。
本実施形態においてもフィルタ234はガス導出口233に設けられているが、上記と異なる点は、フィルタ234に熱伝導体235が接触した状態となっている点である。この熱伝導体235は、金属(例えばアルミニウム)などの熱伝導性の良好な素材で構成され、フィルタ234の目よりも大きな複数の開口部235aを備えている。この熱伝導体235を設けることによって、フィルタ234をより均一に加熱することができ、例えば、フィルタ234の中心部の温度低下によってその中心部に付着物が集中するといったことを防止できる。
本実施形態では、一対の熱伝導体235をフィルタ234の上流側及び下流側に接触配置している。より具体的には、一対の熱伝導体235によってフィルタ234を挟持することによってフィルタ234を固定している。これによって、フィルタ234の温度分布をより均一にすることができる。
また、上記熱伝導体235は、飛来してきたミストを加熱して気化させる作用をも有する。これによって、フィルタ234に付着するパーティクル量をさらに低減させることができるため、フィルタ234のメンテナンス頻度をさらに低減できる。なお、この熱伝導体235の内部に電熱ヒータなどの加熱手段を配置することによって上記効果をさらに高めることができる。
[第11実施形態]
次に、図13を参照して本発明に係る第11実施形態の気化器240について説明する。この実施形態においても、上記と同様に、ノズル241と、気化面242aを備えた気化室242と、ガス導出口243とを有する。
次に、図13を参照して本発明に係る第11実施形態の気化器240について説明する。この実施形態においても、上記と同様に、ノズル241と、気化面242aを備えた気化室242と、ガス導出口243とを有する。
この実施形態のフィルタ244は、上流側に配置された第1フィルタ部244Aと、下流側に配置された第2フィルタ部244Bとを有する。また、第1フィルタ部244A及び第2フィルタ部244Bは気化室242の内面に設けられたフィルタ取付部材245に取付固定されている。
第1フィルタ部244Aは、第2フィルタ部244Bよりも大きな目を有するように構成されている。これは、上流側の第1フィルタ部244Aでは大きなミストやパーティクルを捕捉し、下流側の第2フィルタ部244Bによって小さなミストやパーティクルを捕捉することによって、第1フィルタ部244Aと第2フィルタ部244Bとによって付着物を分担することとし、各フィルタ部における目詰まりを低減するためである。
また、気化器240の稼動中において第1フィルタ部244Aは、第2フィルタ部244Bよりもやや低い温度になるように構成されていることが好ましい。通常、第1フィルタ部244Aの方が捕捉されるミスト量が多いので、その気化熱によって第2フィルタ部244Bよりも温度が低くなる。また、上記のフィルタ取付部材245の取付部位が第1フィルタ部244Aの方が第2フィルタ部244Bよりも気化室242の壁面より離れた位置となっていることによっても、第1フィルタ部244Aの温度は第2フィルタ部244Bの温度よりも低くなる。このようにすると、第1フィルタ部244Aを通過する際に細かなミストが気化されず、パーティクルを発生させることが少なくなり、目詰まりが低減されるとともに、その細かなミストは第2フィルタ部244Bに達して気化される機会が増大するため、気化器240の気化効率を向上させることができる。ここで、第1フィルタ部244Aと第2フィルタ部244Bとが相互に離隔して配置されることが好ましい。これによって、両フィルタ間の温度差が確実に得られるようになる。
さらに、第2フィルタ部244Bは、第1フィルタ部244Aよりも大面積であることが好ましい。これは、第2フィルタ部244Bが細かな目を有するため目詰まりが起こりやすいため、第2フィルタ部244Bを第1フィルタ部244Aよりも大きなフィルタ面積を有するものとすることによって、より小さな面積を有する第1フィルタ部244Aを通過してきたパーティクルを捕捉することによる目詰まりを低減することができるといった効果が得られるからである。
また、第1フィルタ部244Aは、第2フィルタ部244Bよりも厚く構成されていることが好ましい。これによって、より大きな目を有する第1フィルタ部244Aにおける捕捉率を高めることができるため、第2フィルタ部244Bの捕捉量がその分低減され、その結果、第2フィルタ部244Bの目詰まりが低減されるからである。
[第12実施形態]
次に、図14を参照して本発明に係る第12実施形態の気化器250について説明する。この実施形態でも、上記と同様のノズル251と、気化面252aを備えた気化室252と、ガス導出口253と、フィルタ254とを有する。
次に、図14を参照して本発明に係る第12実施形態の気化器250について説明する。この実施形態でも、上記と同様のノズル251と、気化面252aを備えた気化室252と、ガス導出口253と、フィルタ254とを有する。
本実施形態では、付着量低減手段を構成する給電回路256によってフィルタ254に負の高電位を付与するようにしている。これは、気化室252の内部で発生したパーティクルは通常負に帯電しているので、フィルタ254とパーティクルとの間に電気的反発力を生じさせることによりパーティクルがフィルタ254に付着するのを防止するためである。なお、気化室252の壁面は接地されており、フィルタ254は絶縁体255を介して気化室252と絶縁されている。
上記のように構成することによって、気化室252内で発生した原料ガスはそのままフィルタ254を通過してガス導出口253から下流側へと流れ出ることができるが、気化室252内で発生した負に帯電したパーティクルはフィルタ254によってガス導出口253を通過することが防止され、さらに、フィルタ254に負の高電位が供給されていることによってフィルタ254に付着することも防止される。したがって、パーティクルは気化室252内にとどまることになり、フィルタ254の目詰まりも抑制される。
[第13実施形態]
最後に、上記各実施形態や従来構造のフィルタに適用可能な第13実施形態について説明する。この実施形態は、フィルタの表面をフッ素樹脂等のパーティクル付着防止剤で加工するものである。フィルタは、例えば、フッ素樹脂のコーティング液をフィルタの表面に散布することによって、その目が閉塞されない程度にコーティングされる。このコーティングされたフッ素樹脂層が付着量低減手段となる。フッ素樹脂としては例えばテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。特に、フィルタの内面(すなわち気化室側の表面)にフッ素樹脂加工を施す(例えばコーティング液を内面に吹き付ける)ことが好ましい。これは、パーティクルなどが付着しやすい内面側にフッ素樹脂加工を施すことによって最も高い効果が得られるからである。
最後に、上記各実施形態や従来構造のフィルタに適用可能な第13実施形態について説明する。この実施形態は、フィルタの表面をフッ素樹脂等のパーティクル付着防止剤で加工するものである。フィルタは、例えば、フッ素樹脂のコーティング液をフィルタの表面に散布することによって、その目が閉塞されない程度にコーティングされる。このコーティングされたフッ素樹脂層が付着量低減手段となる。フッ素樹脂としては例えばテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。特に、フィルタの内面(すなわち気化室側の表面)にフッ素樹脂加工を施す(例えばコーティング液を内面に吹き付ける)ことが好ましい。これは、パーティクルなどが付着しやすい内面側にフッ素樹脂加工を施すことによって最も高い効果が得られるからである。
上記のようにフィルタにフッ素樹脂加工を施すことにより、細かなパーティクルがフィルタに付着しにくくなり、フィルタから離反して上流側へ落下するため、フィルタの目詰まりを低減でき、その結果、気化器や成膜装置の稼働率を向上できる。
なお、上記各実施形態では、PZT成膜のための原料を気化する場合を前提として説明したが、本発明はこれに限定されず、他の膜種のための原料を気化する場合にも適用することが可能である。他の膜種としては、例えば、Sr原料とBi原料とTa原料とを気化させてSBT金属酸化物の薄膜等を形成する場合や、Bi原料とLa原料とTi原料とを気化させてBLT金属酸化物の薄膜等を形成する場合や、Ba原料とSr原料とTi原料とを気化させてBST金属酸化物の薄膜等を形成する場合や、Sr原料とTi原料とを気化させてSTO金属酸化物の薄膜等を形成する場合などが挙げられる。
100…成膜装置、130…気化器、131…ノズル、132…気化室、132a…気化面、133…ガス導出口、134…フィルタ、135…フィルタ変更手段、135a…繰出ローラ、135b…巻取ローラ、136…押さえ部材、144…フィルタ回転体、145a…回転軸、155…付着物除去手段、155a…ブラシ、165a,166a…気体吹付管、175a…レーザ照射装置、175b…透明窓、172c…壁孔、185…フィルタ回転手段、195a…振動伝達部材、205…フィルタ洗浄手段、222c…通気経路、235…熱伝導体、244A…第1フィルタ部、244B…第2フィルタ部、256…給電回路
Claims (21)
- 液体原料を噴霧する噴霧手段と、噴霧された前記液体原料を気化するための気化面を備えた気化室と、該気化室にて生成された原料ガスを導出するガス導出口と、該ガス導出口に設けられたフィルタとを具備する気化器において、前記フィルタの寿命を延長するフィルタ寿命延長手段を備えていることを特徴とする気化器。
- 前記フィルタは、その一部が前記ガス導出口に配置されてフィルタ機能部となり、残部が前記ガス導出口から退避したフィルタ退避部となるように構成され、前記フィルタ寿命延長手段は、外部操作に基づいて前記フィルタ機能部となる部分を変更するように構成されていることを特徴とする気化器。
- 前記フィルタは巻き取り可能な帯状のフィルタ材で構成され、前記フィルタ寿命延長手段は、前記ガス導出口の両側に配置された、前記フィルタ材を繰り出す繰出ローラ及び前記フィルタ材を巻き取る巻取ローラを有し、外部操作により前記繰出ローラ及び前記巻取ローラを回転駆動可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の気化器。
- 前記フィルタは前記ガス導出口と略平行な回転軸線周りに回転可能に設けられ、前記フィルタ機能部及び前記フィルタ退避部がその回転方向に配列される回転体で構成され、前記フィルタ寿命延長手段は、前記回転体を回転可能に保持するとともに、外部操作により前記回転体が回転駆動可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタを回転させる回転駆動機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに振動を与える振動発生装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに接触して動作するブラシを含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに気体を吹き付ける吹付ノズルを含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタにレーザ光を照射するレーザ照射装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに洗浄剤を適用するための洗浄剤供給手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに負の高電位を与える電位供給回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタにコーティングされたフッ素樹脂層を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタに設けられた、前記フィルタの目よりも大きな周期を持つ凹凸形状であることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記気化室の周囲に形成された通気経路と、該通気経路によって拡大され、前記フィルタの設置された前記ガス導出口の開口部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記ガス導出口の上流側において前記原料ガスの導出方向に縦列配置された複数の前記フィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 前記複数のフィルタは、前記ガス導出口の上流側に配置された第1のフィルタ材と、第1のフィルタ材よりも下流側に配置された第2のフィルタ材とを含み、前記第1のフィルタ材は前記第2のフィルタ材よりも粗い目を有することを特徴とする請求項15に記載の気化器。
- 前記フィルタ寿命延長手段は、前記フィルタの表面上に接触配置され、前記フィルタの目よりも大きな複数の開口部を有する熱伝導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器。
- 一対の前記熱伝導体が前記フィルタを挟持する態様で設けられていることを特徴とする請求項17に記載の気化器。
- 請求項1乃至18のいずれか一項に記載の気化器と、該気化器にて生成された前記原料ガスを用いて成膜を行う成膜室とを有する成膜装置。
- 請求項2乃至10のいずれか一項に記載の気化器と、該気化器にて生成された前記原料ガスを用いて成膜を行う成膜室とを有する成膜装置であって、
所定時間の経過後若しくは前記フィルタが目詰まりした時点で、前記フィルタ寿命延長手段を動作させる制御手段を有することを特徴とする成膜装置。 - 前記制御手段は、前記気化器の内圧が所定値に達したときに前記フィルタ寿命延長手段を動作させることを特徴とする請求項20に記載の成膜装置。
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JP2003273293A JP2005033121A (ja) | 2003-07-11 | 2003-07-11 | 気化器及びこれを用いた成膜装置 |
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