JP2005032896A - 両面研磨機用半導体ウェハキャリア - Google Patents
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Abstract
【課題】ワックスを使用せず、両面研磨機でウェハの片面をラップまたはポリッシュすることのできる両面研磨機用半導体ウェハキャリアを提供する。
【解決手段】両面研磨すべき半導体ウェハ20を収納保持するウェハ収納用ホール2を具備し、このウェハ収納用ホール2内に半導体ウェハ20を収納保持した状態で、上定盤10及び下定盤30間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリア1において、上記半導体ウェハ20を収納保持するウェハ収納用ホール2を、半導体ウェハ20の厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】両面研磨すべき半導体ウェハ20を収納保持するウェハ収納用ホール2を具備し、このウェハ収納用ホール2内に半導体ウェハ20を収納保持した状態で、上定盤10及び下定盤30間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリア1において、上記半導体ウェハ20を収納保持するウェハ収納用ホール2を、半導体ウェハ20の厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハの片面のみをラップまたはポリッシュすることができる両面研磨機用半導体ウェハキャリアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化合物半導体は、ショットキーゲート電界効果トランジスタ(MESFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、種々の受発光デバイスの作製に用いられている。これらの素子の能動層は、鏡面ウェハの表面に分子線エピタキシャル成長(MBE)法、有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)法およびイオン打ち込み法などにより作成される。
【0003】
この鏡面ウェハは次の手順で作成される。結晶インゴットをスライスし、ウェハを切り出す。このスライスウェハを#800〜#3000のアルミナ砥粒でウェハの両面または片面をラップしソーマークを除去し平坦性を高める。その後、次亜塩素酸系水溶液や次亜塩素酸水溶液と砥粒(シリカ、アルミナ、ジルコニウム)を混合した研磨液と、表面に多孔質層を有する研磨布を用い、メカノケミカルポリッシュによりウェハの両面および片面を鏡面に仕上げる。
【0004】
ウェハの片面をラップまたはポリッシュする場合、ウェハの裏面を研磨治具に貼り付ける必要がある。この時、ウェハを研磨治具に貼り付ける接着剤としてレジン剤(一般的にワックス(WAX)と称している。以下ワックスと呼ぶ。)を使用する。
【0005】
ワックスの塗布方法には、加熱して溶解させたワックスを研磨治具に塗布または滴下し、その上にウェハを貼り付ける方法と、IPA等の溶剤に溶解させた液状のワックスを、高速に回転させたウェハ裏面に滴下し、ワックスをコーティングする方法(スピンコーティング法)の2種類がある。
【0006】
しかし、この方法では、ウェハの片側だけをラップまたはポリッシュする場合に、セラミックス製の研磨治具にウェハを貼り付ける貼付工程、貼り付け後にウェハ表面に付着したワックスを除去する工程、研磨後に研磨治具からウェハを取り外す取外し工程、ウェハを取外し後ウェハ裏面に付着したワックスを洗浄除去するワックス除去洗浄工程という4つの工程が必要になる。その結果、製造リードタイムを悪化させる原因となる上、工程が増えたことでその工程が起因となる不良が発生し、歩留を悪化させるという問題がある。
【0007】
工程を減らす有効な手段としては、従来より、両面研磨機によるシリコンウェハの片面研磨方法であって、ワックス膜による二枚貼合わせ両面研磨方法が知られている。すなわち、まず、ラッピング処理が施され表面が平坦化された二枚のシリコンウェハを平坦化された面同士で互いに接着し、この一対のシリコンウェハの互いに外方に位置した2面に対して同時にポリッシング処理を施す方法である。しかし、ワックス膜による二枚貼合わせ両面研磨方法であり、接着にワックス等の熱可塑性樹脂を用いているために、該熱可塑性樹脂の厚みによる弾性変形のむらが生じ、平滑性の高い平面加工ができない。また、シリコンウェハの接着や剥離が面倒であり作業効率を改善する必要があり、シリコンウェハからワックスを除去した後の洗浄工程が煩雑である等の問題もある。
【0008】
そこで、二枚のシリコンウェハのそれぞれの表面を親水処理し、これらの表面を互いに密着させてシリコンウェハ同士を貼り合わせ、これをキャリアのウェハ収納ホール内に保持し、次いで、この貼り合わせた一対のシリコンウェハの外方に位置する両面を研磨し、その後、この貼り合わせたシリコンウェハを互いに剥離するという、両面研磨機によるシリコンウェハの片面研磨方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−152263号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のウェハの片面研磨方法には次のような課題がある。
【0011】
上述したように、ウェハの片側だけをラップまたはポリッシュする一般的方法では、セラミックス製の研磨治具にウェハを貼り付ける貼付工程、貼り付け後にウェハ表面に付着したワックスを除去する工程、研磨後に研磨治具からウェハを取り外す取外し工程、ウェハを取外し後ウェハ裏面に付着したワックスを洗浄除去するワックス除去洗浄工程という4つの工程が必要になる。その結果、製造リードタイムを悪化させる原因となる上、工程が増えたことでその工程が起因となる不良が発生し、歩留を悪化させるという問題がある。
【0012】
また、上記のワックス膜による二枚貼合わせ両面研磨方法や親水処理による二枚貼合わせ両面研磨方法では、貼り合わせた二枚のシリコンウェハの片面研磨が二枚同時に行われるので、工程を減少させることができるものの、シリコンウェハの相互の接着や剥離が面倒であり、さらに作業効率を改善することが望まれる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ワックスを使用せず、両面研磨機でウェハの片面をラップまたはポリッシュすることのできる両面研磨機用半導体ウェハキャリアを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0015】
請求項1の発明に係る両面研磨機用半導体ウェハキャリアは、両面研磨すべき半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホールを具備し、このウェハ収納用ホール内に半導体ウェハを収納保持した状態で、上定盤及び下定盤間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールを、半導体ウェハの厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールの盲穴を、ウェハ外径よりやや大きい内径の貫通穴を有し、且つ肉厚が半導体ウェハの厚さよりも薄い第1板材と、穴のない第2板材との貼り合わせにより構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールをキャリアと同心円上に等間隔で複数個設けたことを特徴とする。
【0018】
<発明の要点>
従来技術の問題点で述べたように、ウェハの片面をラップまたはポリッシュするために、通常の方法では4つの工程が増え、製造リードタイムを悪化させ、歩留低下を招来するという問題がある。この課題を解決するためには、両面ラップ機および両面ポリッシュ機でウェハの片面を加工すれば、ワックスを必要とせず、工程を増やす必要もない。そこで本発明では、両面ラップ機および両面ポリッシュ機でウェハの片面を加工可能とする手段として、ウェハ収納用ホールの一方の面を塞いだ両面キャリア(図1参照)を提供し、これを用いることで、ウェハの片面をラップ定盤または研磨布に接触させずに、ウェハの片面のみを研磨可能とする(図2参照)。
【0019】
本発明の対象は、半導体ウェハの両面ラップおよび両面ポリッシュにおいて、両面研磨機でウェハの片面のみをラップまたはポリッシュすることができる両面研磨機用半導体ウェハキャリアであるから、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアを用いて、取り扱うことのできる半導体ウェハの材料には特に制約はなく、GaAs、半絶縁性GaAs等のIII−V族化合物半導体に限らず、II−VI族化合物半導体やシリコンウェハ等も扱うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の実施形態に係る両面研磨機用半導体ウェハキャリア1を示したもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。また図2は、この両面研磨機用半導体ウェハキャリア1を両面研磨機にセットした状態を示す部分断面図である。
【0022】
両面研磨機用半導体ウェハキャリア1は樹脂製の円板から成り、図1(a)に示す如く、そのキャリアと同心円上(同心の一つの円上)に等間隔で、複数個、ここでは8個のウェハ収納用ホール2が設けられている。この各ウェハ収納用ホール2はこの中に半導体ウェハ20を図2の如く収納保持するものであり、半導体ウェハ20の厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成されている。この半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホール2の盲穴は、図1(b)に示すように、ウェハ外径よりやや大きい内径の貫通穴4を有し、且つ肉厚が半導体ウェハ20の厚さよりも薄い第1板材5と、穴のない第2板材6との貼り合わせにより構成されている。
【0023】
上記構成の両面研磨機用半導体ウェハキャリア1は、ウェハ収納用ホール2内に半導体ウェハ20を図2の如く収納保持した状態で、上定盤10及び下定盤30間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる。すなわち、ウェハキャリア1の外周には図1(a)に示す如くギア3が刻設されており、このギア3が、下定盤30中央のサンギア(図示せず)と下定盤を囲繞するインターナルギア(図示せず)とに噛み合い、この二つのギアの回転数の差によりウェハキャリア1が自公転運動を行い、これに保持された各半導体ウェハ20が研磨布と接触状態を保ちつつ摺動して、各半導体ウェハ20の片面研磨が行われるようになっている。
【0024】
このように、両面研磨機用ウェハキャリアのウェハ収納用ホールを半導体ウェハの厚さより浅い凹部ないし盲穴として形成し、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアを両面研磨機に用いることで、半導体ウェハの片面をラップ定盤または研磨布に接触させずに、半導体ウェハの片面のみを研磨することができる。
【0025】
そして、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアによれば、片面研磨用の特別な装置を新たに作成する必要がない。また、ワックスを使用しないことから、ワックスを使用した場合に必要となる工程の省略化が可能であり、経費および製造リードタイムを大幅に削減でき、且つ半導体ウェハの加工歩留まりを向上することができる。また、二枚貼合わせ両面研磨方法のように半導体ウェハの相互の接着や剥離が必要でないため、作業効率を高めることができる。
【0026】
<実施例1>
ラップ機にスピードファム製9B両面ラップ機を、ラップ剤には#1500のアルミナ砥粒、ラップ定盤にはガラス製のものを使用した。両面キャリア(ウェハキャリア1)には、ウェハ収納用ホール2の盲穴を形成すべく直径がφ101mmの穴2つを対角線上に開けたキャリア(第1板材5)と、穴のないキャリア(第2板材6)を貼り合わせて構成したものを用いた。両面ラップ機にそのキャリア1を5枚セットし、キャリアホール(ウェハ収納用ホール2)内に100mm径のGaAsウェハ10枚をセットして、両面ラップを実施した。その結果、ウェハの片側のみ良好にラップすることができた。
【0027】
<実施例2>
ラップ機にスピードファム製16B両面ポリッシュ機を、ポリッシュ剤には次亜塩素酸水溶液とシリカを混合したものを、研磨布にはポリウレタン製のものを使用した。両面キャリア(ウェハキャリア1)には、ウェハ収納用ホール2の盲穴を形成すべく直径がφ101mmの穴8つを等間隔に開けたキャリア(第1板材5)と、穴のないキャリア(第2板材6)を貼り合わせて構成したものを用いた。両面ポリッシュ機にそのキャリア1を5枚セットし、キャリアホール(ウェハ収納用ホール2)内に100mm径のGaAsウェハ40枚をセットして、両面ポリッシュを実施した。その結果、ウェハの片側のみ良好にポリッシュすることができた。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0029】
本発明によれば、両面研磨すべき半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホールを具備し、このウェハ収納用ホール内に半導体ウェハを収納保持した状態で、上定盤及び下定盤間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールを、半導体ウェハの厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成したので、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアを両面研磨機に用いることで、半導体ウェハの一方の片面をラップ定盤または研磨布に接触させずに、半導体ウェハの他方の片面のみを研磨することができる。従って、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアによれば、片面研磨用の特別な装置を新たに作成する必要がない。
【0030】
また、ワックスを使用しないことから、ワックスを使用した場合に必要となる工程の省略化が可能であり、経費および製造リードタイムを大幅に削減でき且つ半導体ウェハの加工歩留まりを向上することができる。
【0031】
さらにまた、二枚貼合わせ両面研磨方法のように半導体ウェハの相互の接着や剥離が必要でないため、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る両面研磨機用半導体ウェハキャリアを示したもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の両面研磨機用半導体ウェハキャリアを両面研磨機にセットした状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 ウェハキャリア
2 ウェハ収納用ホール
5 第1板材
6 第2板材
10 上定盤
20 半導体ウェハ
30 下定盤
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハの片面のみをラップまたはポリッシュすることができる両面研磨機用半導体ウェハキャリアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化合物半導体は、ショットキーゲート電界効果トランジスタ(MESFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、種々の受発光デバイスの作製に用いられている。これらの素子の能動層は、鏡面ウェハの表面に分子線エピタキシャル成長(MBE)法、有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE)法およびイオン打ち込み法などにより作成される。
【0003】
この鏡面ウェハは次の手順で作成される。結晶インゴットをスライスし、ウェハを切り出す。このスライスウェハを#800〜#3000のアルミナ砥粒でウェハの両面または片面をラップしソーマークを除去し平坦性を高める。その後、次亜塩素酸系水溶液や次亜塩素酸水溶液と砥粒(シリカ、アルミナ、ジルコニウム)を混合した研磨液と、表面に多孔質層を有する研磨布を用い、メカノケミカルポリッシュによりウェハの両面および片面を鏡面に仕上げる。
【0004】
ウェハの片面をラップまたはポリッシュする場合、ウェハの裏面を研磨治具に貼り付ける必要がある。この時、ウェハを研磨治具に貼り付ける接着剤としてレジン剤(一般的にワックス(WAX)と称している。以下ワックスと呼ぶ。)を使用する。
【0005】
ワックスの塗布方法には、加熱して溶解させたワックスを研磨治具に塗布または滴下し、その上にウェハを貼り付ける方法と、IPA等の溶剤に溶解させた液状のワックスを、高速に回転させたウェハ裏面に滴下し、ワックスをコーティングする方法(スピンコーティング法)の2種類がある。
【0006】
しかし、この方法では、ウェハの片側だけをラップまたはポリッシュする場合に、セラミックス製の研磨治具にウェハを貼り付ける貼付工程、貼り付け後にウェハ表面に付着したワックスを除去する工程、研磨後に研磨治具からウェハを取り外す取外し工程、ウェハを取外し後ウェハ裏面に付着したワックスを洗浄除去するワックス除去洗浄工程という4つの工程が必要になる。その結果、製造リードタイムを悪化させる原因となる上、工程が増えたことでその工程が起因となる不良が発生し、歩留を悪化させるという問題がある。
【0007】
工程を減らす有効な手段としては、従来より、両面研磨機によるシリコンウェハの片面研磨方法であって、ワックス膜による二枚貼合わせ両面研磨方法が知られている。すなわち、まず、ラッピング処理が施され表面が平坦化された二枚のシリコンウェハを平坦化された面同士で互いに接着し、この一対のシリコンウェハの互いに外方に位置した2面に対して同時にポリッシング処理を施す方法である。しかし、ワックス膜による二枚貼合わせ両面研磨方法であり、接着にワックス等の熱可塑性樹脂を用いているために、該熱可塑性樹脂の厚みによる弾性変形のむらが生じ、平滑性の高い平面加工ができない。また、シリコンウェハの接着や剥離が面倒であり作業効率を改善する必要があり、シリコンウェハからワックスを除去した後の洗浄工程が煩雑である等の問題もある。
【0008】
そこで、二枚のシリコンウェハのそれぞれの表面を親水処理し、これらの表面を互いに密着させてシリコンウェハ同士を貼り合わせ、これをキャリアのウェハ収納ホール内に保持し、次いで、この貼り合わせた一対のシリコンウェハの外方に位置する両面を研磨し、その後、この貼り合わせたシリコンウェハを互いに剥離するという、両面研磨機によるシリコンウェハの片面研磨方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−152263号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のウェハの片面研磨方法には次のような課題がある。
【0011】
上述したように、ウェハの片側だけをラップまたはポリッシュする一般的方法では、セラミックス製の研磨治具にウェハを貼り付ける貼付工程、貼り付け後にウェハ表面に付着したワックスを除去する工程、研磨後に研磨治具からウェハを取り外す取外し工程、ウェハを取外し後ウェハ裏面に付着したワックスを洗浄除去するワックス除去洗浄工程という4つの工程が必要になる。その結果、製造リードタイムを悪化させる原因となる上、工程が増えたことでその工程が起因となる不良が発生し、歩留を悪化させるという問題がある。
【0012】
また、上記のワックス膜による二枚貼合わせ両面研磨方法や親水処理による二枚貼合わせ両面研磨方法では、貼り合わせた二枚のシリコンウェハの片面研磨が二枚同時に行われるので、工程を減少させることができるものの、シリコンウェハの相互の接着や剥離が面倒であり、さらに作業効率を改善することが望まれる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ワックスを使用せず、両面研磨機でウェハの片面をラップまたはポリッシュすることのできる両面研磨機用半導体ウェハキャリアを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0015】
請求項1の発明に係る両面研磨機用半導体ウェハキャリアは、両面研磨すべき半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホールを具備し、このウェハ収納用ホール内に半導体ウェハを収納保持した状態で、上定盤及び下定盤間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールを、半導体ウェハの厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールの盲穴を、ウェハ外径よりやや大きい内径の貫通穴を有し、且つ肉厚が半導体ウェハの厚さよりも薄い第1板材と、穴のない第2板材との貼り合わせにより構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールをキャリアと同心円上に等間隔で複数個設けたことを特徴とする。
【0018】
<発明の要点>
従来技術の問題点で述べたように、ウェハの片面をラップまたはポリッシュするために、通常の方法では4つの工程が増え、製造リードタイムを悪化させ、歩留低下を招来するという問題がある。この課題を解決するためには、両面ラップ機および両面ポリッシュ機でウェハの片面を加工すれば、ワックスを必要とせず、工程を増やす必要もない。そこで本発明では、両面ラップ機および両面ポリッシュ機でウェハの片面を加工可能とする手段として、ウェハ収納用ホールの一方の面を塞いだ両面キャリア(図1参照)を提供し、これを用いることで、ウェハの片面をラップ定盤または研磨布に接触させずに、ウェハの片面のみを研磨可能とする(図2参照)。
【0019】
本発明の対象は、半導体ウェハの両面ラップおよび両面ポリッシュにおいて、両面研磨機でウェハの片面のみをラップまたはポリッシュすることができる両面研磨機用半導体ウェハキャリアであるから、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアを用いて、取り扱うことのできる半導体ウェハの材料には特に制約はなく、GaAs、半絶縁性GaAs等のIII−V族化合物半導体に限らず、II−VI族化合物半導体やシリコンウェハ等も扱うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の実施形態に係る両面研磨機用半導体ウェハキャリア1を示したもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。また図2は、この両面研磨機用半導体ウェハキャリア1を両面研磨機にセットした状態を示す部分断面図である。
【0022】
両面研磨機用半導体ウェハキャリア1は樹脂製の円板から成り、図1(a)に示す如く、そのキャリアと同心円上(同心の一つの円上)に等間隔で、複数個、ここでは8個のウェハ収納用ホール2が設けられている。この各ウェハ収納用ホール2はこの中に半導体ウェハ20を図2の如く収納保持するものであり、半導体ウェハ20の厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成されている。この半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホール2の盲穴は、図1(b)に示すように、ウェハ外径よりやや大きい内径の貫通穴4を有し、且つ肉厚が半導体ウェハ20の厚さよりも薄い第1板材5と、穴のない第2板材6との貼り合わせにより構成されている。
【0023】
上記構成の両面研磨機用半導体ウェハキャリア1は、ウェハ収納用ホール2内に半導体ウェハ20を図2の如く収納保持した状態で、上定盤10及び下定盤30間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる。すなわち、ウェハキャリア1の外周には図1(a)に示す如くギア3が刻設されており、このギア3が、下定盤30中央のサンギア(図示せず)と下定盤を囲繞するインターナルギア(図示せず)とに噛み合い、この二つのギアの回転数の差によりウェハキャリア1が自公転運動を行い、これに保持された各半導体ウェハ20が研磨布と接触状態を保ちつつ摺動して、各半導体ウェハ20の片面研磨が行われるようになっている。
【0024】
このように、両面研磨機用ウェハキャリアのウェハ収納用ホールを半導体ウェハの厚さより浅い凹部ないし盲穴として形成し、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアを両面研磨機に用いることで、半導体ウェハの片面をラップ定盤または研磨布に接触させずに、半導体ウェハの片面のみを研磨することができる。
【0025】
そして、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアによれば、片面研磨用の特別な装置を新たに作成する必要がない。また、ワックスを使用しないことから、ワックスを使用した場合に必要となる工程の省略化が可能であり、経費および製造リードタイムを大幅に削減でき、且つ半導体ウェハの加工歩留まりを向上することができる。また、二枚貼合わせ両面研磨方法のように半導体ウェハの相互の接着や剥離が必要でないため、作業効率を高めることができる。
【0026】
<実施例1>
ラップ機にスピードファム製9B両面ラップ機を、ラップ剤には#1500のアルミナ砥粒、ラップ定盤にはガラス製のものを使用した。両面キャリア(ウェハキャリア1)には、ウェハ収納用ホール2の盲穴を形成すべく直径がφ101mmの穴2つを対角線上に開けたキャリア(第1板材5)と、穴のないキャリア(第2板材6)を貼り合わせて構成したものを用いた。両面ラップ機にそのキャリア1を5枚セットし、キャリアホール(ウェハ収納用ホール2)内に100mm径のGaAsウェハ10枚をセットして、両面ラップを実施した。その結果、ウェハの片側のみ良好にラップすることができた。
【0027】
<実施例2>
ラップ機にスピードファム製16B両面ポリッシュ機を、ポリッシュ剤には次亜塩素酸水溶液とシリカを混合したものを、研磨布にはポリウレタン製のものを使用した。両面キャリア(ウェハキャリア1)には、ウェハ収納用ホール2の盲穴を形成すべく直径がφ101mmの穴8つを等間隔に開けたキャリア(第1板材5)と、穴のないキャリア(第2板材6)を貼り合わせて構成したものを用いた。両面ポリッシュ機にそのキャリア1を5枚セットし、キャリアホール(ウェハ収納用ホール2)内に100mm径のGaAsウェハ40枚をセットして、両面ポリッシュを実施した。その結果、ウェハの片側のみ良好にポリッシュすることができた。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
【0029】
本発明によれば、両面研磨すべき半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホールを具備し、このウェハ収納用ホール内に半導体ウェハを収納保持した状態で、上定盤及び下定盤間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、上記ウェハ収納用ホールを、半導体ウェハの厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成したので、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアを両面研磨機に用いることで、半導体ウェハの一方の片面をラップ定盤または研磨布に接触させずに、半導体ウェハの他方の片面のみを研磨することができる。従って、この両面研磨機用半導体ウェハキャリアによれば、片面研磨用の特別な装置を新たに作成する必要がない。
【0030】
また、ワックスを使用しないことから、ワックスを使用した場合に必要となる工程の省略化が可能であり、経費および製造リードタイムを大幅に削減でき且つ半導体ウェハの加工歩留まりを向上することができる。
【0031】
さらにまた、二枚貼合わせ両面研磨方法のように半導体ウェハの相互の接着や剥離が必要でないため、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る両面研磨機用半導体ウェハキャリアを示したもので、(a)はその平面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の両面研磨機用半導体ウェハキャリアを両面研磨機にセットした状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 ウェハキャリア
2 ウェハ収納用ホール
5 第1板材
6 第2板材
10 上定盤
20 半導体ウェハ
30 下定盤
Claims (3)
- 両面研磨すべき半導体ウェハを収納保持するウェハ収納用ホールを具備し、このウェハ収納用ホール内に半導体ウェハを収納保持した状態で、上定盤及び下定盤間又は研磨布間に挟み込まれて自公転させられる両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、
上記ウェハ収納用ホールを、半導体ウェハの厚さより浅い凹部からなる盲穴として形成したことを特徴とする両面研磨機用半導体ウェハキャリア。 - 請求項1記載の両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、
上記ウェハ収納用ホールの盲穴を、ウェハ外径よりやや大きい内径の貫通穴を有し、且つ肉厚が半導体ウェハの厚さよりも薄い第1板材と、穴のない第2板材との貼り合わせにより構成したことを特徴とする両面研磨機用半導体ウェハキャリア。 - 請求項1又は2記載の両面研磨機用半導体ウェハキャリアにおいて、
上記ウェハ収納用ホールをキャリアと同心円上に等間隔で複数個設けたことを特徴とする両面研磨機用半導体ウェハキャリア。
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JP2003194752A JP2005032896A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | 両面研磨機用半導体ウェハキャリア |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-07-10 JP JP2003194752A patent/JP2005032896A/ja active Pending
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