JP2005032505A - 磁気シールド構造及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造等を提供する。
【解決手段】この露光装置は、パーマロイ等の磁性材料からなるボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41により、チャンバ内空間(投影光学系鏡筒42やステージ装置が設置される空間)を磁気的にクローズする磁気シールド構造(磁場経路)が構成される。そのため、チャンバ内空間に向かう外乱磁場は、ボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41を通過して外部に至る。さらに、磁場が通過して外部に至る際には、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料からなるボディ30の内部32で遮断されるので、チャンバ内空間側、特に投影光学系鏡筒42へと磁場が伝わるのを低減できる。
【選択図】 図1
【解決手段】この露光装置は、パーマロイ等の磁性材料からなるボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41により、チャンバ内空間(投影光学系鏡筒42やステージ装置が設置される空間)を磁気的にクローズする磁気シールド構造(磁場経路)が構成される。そのため、チャンバ内空間に向かう外乱磁場は、ボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41を通過して外部に至る。さらに、磁場が通過して外部に至る際には、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料からなるボディ30の内部32で遮断されるので、チャンバ内空間側、特に投影光学系鏡筒42へと磁場が伝わるのを低減できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外乱磁場の影響を抑えることのできる磁気シールド構造、及び、このような磁気シールド構造を備える露光装置に関する。特には、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造等に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子線等の荷電粒子線を用いた露光装置においては、外部(地球(地磁気)、電源設備やケーブル、エレベータ等)の静電場や変動磁場の影響により、荷電粒子線光学系の特性が劣化しないようにしなければならない。そのため、露光装置の光学系鏡筒や真空チャンバ等には、磁気シールドがなされている。さらに、露光装置周辺の部品(ウェハローダやレチクルローダ、電磁レンズ、真空ポンプ等)から発生する磁場についても、様々な対策を施している。
【0003】
このような磁気シールドの従来例としては、露光装置の照明光学系鏡筒や投影光学系鏡筒、真空チャンバ等を、パーマロイ等の初透磁率の高い材料で一重、二重又は三重に覆うことが行われている。あるいは、鏡筒や真空チャンバ等を支えるボディを非磁性材料で作製し、鏡筒−ボディ間の磁場経路を遮断することも行われている。
【0004】
図5は、磁気シールド構造を有する露光装置の一例を示す模式図である。
図5に示す露光装置100は、電子線を下方に向けて放射する電子銃(荷電粒子源)101を備えている。この電子銃101の下方には、ウェハステージ103が配置されている。このウェハステージ103上には、電子銃101から放射された電子線eが照射されるウェハ(感応基板)が載置される。電子銃101や電子線eの投影経路に位置する光学系等は電子鏡筒105内に配置されており、ウェハステージ103等はウェハチャンバ107内に配置されている。
【0005】
電子鏡筒105はインバーや軟鉄製であり、一部に真空配管106が接続されている。一方、ウェハチャンバ107は、アルミニウムや非磁性ステンレス鋼製である。電子鏡筒105とウェハチャンバ107とは基本的には接続されており、これら両者の内部は連通しているが、図5に示すように、接続構造によっては両者間に隙間111が開いてしまうこともある。なお、図5には図示されていないが、露光装置100には、電子線を収束させるコンデンサレンズ、成形開口、レチクルステージ、電子線を縮小投影する投影レンズ、偏向器等が具備されている。
【0006】
この例の露光装置100は、磁気シールド110で囲まれて設置されている。この磁気シールド110は、初透磁率の高い材料で作製された容器であって、同容器内に露光装置100の電子鏡筒105とウェハチャンバ107が格納されている。電子鏡筒105には、前述の真空配管106を接続する開口105aや、配線用及びレチクルステージ出し入れ用等の開口105bが開けられている。さらに、図5には図示されないが、ウェハチャンバ107にもウェハステージ出し入れ用等の開口が開けられている。
【0007】
ところで、前述の磁気シールド110には、電子鏡筒105の開口105a、105bに対応する位置に開口110a、110bを開けたり、この位置でシールド材を分割したりする場合がある。このように、シールド材に孔を開けたり分割したりすると、一般に、磁気シールド110全体のシールド特性が劣化し、十分なシールド効果が得られないこともある。そのため、これら全体をさらにシールドルーム115で覆って、二重にシールドすることが行われている。
【0008】
あるいは、図5に示す二重シールド以外の磁気シールド方法として、電子鏡筒やウェハチャンバからある程度離れた位置に任意方向の磁場を発生するコイルを置き、このコイルから発生する磁場によって外部磁場をキャンセルする方法がある。この方法は、アクティブキャンセラと呼ばれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示すような二重シールド(磁気シールド110+シールドルーム115)を用いる場合は、装置全体が大型化し、重量が重くなり、コスト高も引き起こされる。さらに、電子鏡筒を磁場環境の悪い場所に設置する場合や、鏡筒が磁気に対して特に敏感である場合(例えば電子線露光装置の投影光学系鏡筒)等は、三重以上のシールド構造を適用しなければならず、装置の大型化、高重量化、高コスト化がより一層引き起こされることとなる。
【0010】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造を提供することを目的とする。
さらに、そのような磁気シールド構造を備える露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明の磁気シールド構造は、外乱磁場から遮蔽された装置設置空間を内部に有する磁気シールド構造であって、 該磁気シールド構造を構成する構成部材により、前記空間を磁気的に閉じつつ外乱磁場を逃がす磁場経路が構成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、装置設置空間に向かう外乱磁場は、構成部材を伝って外部に至るので、装置設置空間内に磁場が漏れるのを低減することができる。このような磁気シールド構造を用いると、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を確保することができる。
【0013】
本発明の磁気シールド構造においては、前記構成部材の内側(装置設置空間側)が非磁性材料からなるとともに、外側(反装置設置空間側)が磁性材料からなるものとすることができる。
この場合、磁場は外側の磁性材料を伝って外部に至り、且つ、この際に非磁性材料で装置設置空間側への漏れが遮断される。そのため、磁場が装置設置空間内に漏れる可能性を一層低減できる。
【0014】
本発明の露光装置は、感応基板上に荷電粒子線を選択的に照射してデバイスパターンを形成する露光装置であって、 ボディと、 該ボディに組み付けられた、内部が真空圧とされる真空チャンバと、 該真空チャンバに組み付けられた、前記荷電粒子線を照射する照明光学系鏡筒と、 を備え、 前記ボディの一部、前記真空チャンバ及び前記照明光学系鏡筒により、前記真空チャンバ内空間を磁気的に閉じつつ外乱磁場を逃がす磁場経路が構成されていることを特徴とする。
【0015】
この露光装置によれば、外乱磁界による影響を受けにくく、高精度のパターン形成を実現できる。装置の製作に当っては、ボディや真空チャンバ等の構造材料を安価に入手できる利点がある。さらに、ボディと真空チャンバとの接続に磁性材料からなるボルトを用いることができるので、ネジのかじりを低減できる利点もある。オーステナイト系ステンレス鋼製等のボルトはかじり易い欠点があるが、ボルトを鉄又はパーマロイ等の磁性材料製とすることで、このようなかじりを低減できるのである。
【0016】
本発明の露光装置においては、前記ボディの一部、前記真空チャンバ及び前記照明光学系鏡筒が磁性材料からなるとともに、前記真空チャンバ内空間に位置する前記ボディの一部が非磁性材料からなるものとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明を応用するのに適した電子線露光装置の構成と結像関係の概要を説明する。
図4は、電子線露光装置の構成と結像関係の一例を模式的に示す図である。
図4に示す露光装置の最上流には、電子銃1が配置されている。電子銃1は、下方に向けて電子線を放射する。電子銃1の下方には、コンデンサレンズ2及び照明レンズ3が備えられており、電子線は、これらのレンズ2、3を通って、レチクル10を照明する。
【0018】
これらのレンズ2、3を主な構成要素とする照明光学系中には、図示されていないが、照明ビーム成形開口やブランキング偏向器、ブランキング開口、照明ビーム偏向器等が配置されている。照明光学系において成形された照明ビームIBは、レチクル10上で順次走査され、照明光学系の視野内にあるレチクル10の各サブフィールドの照明を行う。
【0019】
レチクル10は多数のサブフィールドを有し、移動可能なレチクルステージ装置11に載置されている。レチクルステージ装置11を光軸垂直面内で移動させることにより、照明光学系の視野よりも広い範囲に広がるレチクル上の各サブフィールドを照明する。
【0020】
レチクル10の下方には第1投影レンズ15、第2投影レンズ19、及び、収差補正や像位置調整に用いられる偏向器16(16−1〜16−6)が設けられている。レチクル10の一つのサブフィールドを通過した電子線は、投影レンズ15、19、偏向器16によってウェハ(感応基板)23上の所定の位置に結像される。ウェハ23上には適当なレジストが塗布されており、レジスト上に電子線のドーズが与えられ、レチクル10上のパターンが縮小(一例で1/4)されてウェハ23上に転写される。
【0021】
レチクル10とウェハ23の間を縮小率比で内分する点にクロスオーバーC.O.が形成され、同クロスオーバー位置にはコントラスト開口18が設けられている。同開口18は、レチクル10の非パターン部で散乱された電子線がウェハ23に達しないように遮断する。
【0022】
ウェハ23は、静電チャックを介してXY方向に移動可能なウェハステージ装置24上に載置されている。レチクルステージ装置11とウェハステージ装置24とを互いに逆方向に同期走査することにより、投影光学系の視野を越えて広がるデバイスパターンの各部を順次露光することができる。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る磁気シールド構造を適用した露光装置の機械的構造例について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る磁気シールド構造を適用した露光装置の機械的構造例を示す模式図である。
図2は、図1の分解図である。
図3は、図1の露光装置のボディの平面図である。
【0024】
図1及び図2に示す露光装置は、ボディ30を備えている。このボディ30の上面にはレチクルチャンバ35が接続されており、下面にはウェハチャンバ36が接続されている。レチクルチャンバ35上面には、照明光学系鏡筒41が上下に貫通するように固定されている。この照明光学系鏡筒41は、パーマロイやフェライト等の磁性材料からなり、内部には図4を参照しつつ前述した電子銃やレンズ等が配置されている。照明光学系鏡筒41の下方において、ボディ30の中央部には、投影光学系鏡筒42が上下に貫通するように固定されている。この投影光学系鏡筒42内には、図4を参照しつつ前述した投影レンズや偏向器等が配置されている。
【0025】
図3にわかり易く示すように、ボディ30は直方体状をしている。ボディ30は、投影光学系鏡筒42が固定される内部32がオーステナイト系ステンレス鋼やセラミックス等の非磁性材料からなるとともに、この内部32の外周側の外部31がパーマロイ等の磁性材料からなる。これら内部32及び外部31は、図示せぬボルトや溶接等で一体化されている。なお、本実施例のボディ30は直方体状をしているが、これは、直方体に限られるものではなく、どのような形状でも構わない。例えば、ボディ30は円筒状でも構わない。その場合、内部32はリング状となる。
【0026】
レチクルチャンバ35及びウェハチャンバ36内部は、図示せぬ真空ポンプ等で真空に引かれている。両チャンバ35、36は、ともに鉄等の磁性材料製である。図1及び図2に示すように、両チャンバ35、36は、ボディ30の外部31上下面においてそれぞれ組み付けられている。両チャンバ35、36は、それぞれフランジ部35a、36aを備え、このフランジ部35a、36aがボルトBでボディ30の外部31に固定されている。
【0027】
このボルトB自体は、鉄等の磁性材料からなる。オーステナイト系ステンレス鋼製等のボルトはかじり易い欠点があるが、このボルトBは鉄等の磁性材料製であるためかじりにくい。
なお、図1及び図2では、フランジ部35a、36aやボルトBは上下各一箇所のみ描かれているが、実際には両チャンバ35、36外周縁の複数箇所に設けられている。
【0028】
レチクルチャンバ35内において、ボディ30の内部32上には、ガイド43やテーブル44等を備えるウェハステージ装置(図4の符号11参照)が配置されている。このウェハステージ装置のテーブル44に、レチクルR(図4のレチクル10と同様のもの)が載置される。一方、ウェハチャンバ36内には、ガイド47やテーブル48等を備えるウェハステージ装置(図4の符号24参照)が配置されている。このウェハステージ装置のテーブル48に、ウェハW(図4のウェハ23と同様のもの)が載置される。
【0029】
このような露光装置によれば、鉄等の磁性材料からなるボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41により、チャンバ内空間(投影光学系鏡筒42やステージ装置が設置される空間)を磁気的にクローズする磁気シールド構造(磁場経路)が構成される。そのため、チャンバ内空間に向かう外乱磁場(図1の右下の矢印参照)は、ボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41を通過して外部に至る。さらに、磁場が通過して外部に至る際には、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料からなるボディ30の内部32で遮断されるので、チャンバ内空間側、特に投影光学系鏡筒42へと磁場が伝わるのを低減できる。
【0030】
このような磁気シールド構造を用いると、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を確保することができる。そのため、本発明に係る露光装置は、外乱磁界による影響を受けにくく、高精度のパターン形成を実現できる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造、及び、それを備える露光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁気シールド構造を適用した露光装置の機械的構造例を示す模式図である。
【図2】図1の分解図である。
【図3】図1の露光装置のボディの平面図である。
【図4】電子線露光装置の構成と結像関係の一例を模式的に示す図である。
【図5】磁気シールド構造を有する露光装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
10(R) レチクル 11 レチクルステージ装置
23(W) ウェハ 24 ウェハステージ装置
30 ボディ
31 外部 32 内部
35 レチクルチャンバ 36 ウェハチャンバ
41 照明光学系鏡筒 B ボルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、外乱磁場の影響を抑えることのできる磁気シールド構造、及び、このような磁気シールド構造を備える露光装置に関する。特には、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造等に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子線等の荷電粒子線を用いた露光装置においては、外部(地球(地磁気)、電源設備やケーブル、エレベータ等)の静電場や変動磁場の影響により、荷電粒子線光学系の特性が劣化しないようにしなければならない。そのため、露光装置の光学系鏡筒や真空チャンバ等には、磁気シールドがなされている。さらに、露光装置周辺の部品(ウェハローダやレチクルローダ、電磁レンズ、真空ポンプ等)から発生する磁場についても、様々な対策を施している。
【0003】
このような磁気シールドの従来例としては、露光装置の照明光学系鏡筒や投影光学系鏡筒、真空チャンバ等を、パーマロイ等の初透磁率の高い材料で一重、二重又は三重に覆うことが行われている。あるいは、鏡筒や真空チャンバ等を支えるボディを非磁性材料で作製し、鏡筒−ボディ間の磁場経路を遮断することも行われている。
【0004】
図5は、磁気シールド構造を有する露光装置の一例を示す模式図である。
図5に示す露光装置100は、電子線を下方に向けて放射する電子銃(荷電粒子源)101を備えている。この電子銃101の下方には、ウェハステージ103が配置されている。このウェハステージ103上には、電子銃101から放射された電子線eが照射されるウェハ(感応基板)が載置される。電子銃101や電子線eの投影経路に位置する光学系等は電子鏡筒105内に配置されており、ウェハステージ103等はウェハチャンバ107内に配置されている。
【0005】
電子鏡筒105はインバーや軟鉄製であり、一部に真空配管106が接続されている。一方、ウェハチャンバ107は、アルミニウムや非磁性ステンレス鋼製である。電子鏡筒105とウェハチャンバ107とは基本的には接続されており、これら両者の内部は連通しているが、図5に示すように、接続構造によっては両者間に隙間111が開いてしまうこともある。なお、図5には図示されていないが、露光装置100には、電子線を収束させるコンデンサレンズ、成形開口、レチクルステージ、電子線を縮小投影する投影レンズ、偏向器等が具備されている。
【0006】
この例の露光装置100は、磁気シールド110で囲まれて設置されている。この磁気シールド110は、初透磁率の高い材料で作製された容器であって、同容器内に露光装置100の電子鏡筒105とウェハチャンバ107が格納されている。電子鏡筒105には、前述の真空配管106を接続する開口105aや、配線用及びレチクルステージ出し入れ用等の開口105bが開けられている。さらに、図5には図示されないが、ウェハチャンバ107にもウェハステージ出し入れ用等の開口が開けられている。
【0007】
ところで、前述の磁気シールド110には、電子鏡筒105の開口105a、105bに対応する位置に開口110a、110bを開けたり、この位置でシールド材を分割したりする場合がある。このように、シールド材に孔を開けたり分割したりすると、一般に、磁気シールド110全体のシールド特性が劣化し、十分なシールド効果が得られないこともある。そのため、これら全体をさらにシールドルーム115で覆って、二重にシールドすることが行われている。
【0008】
あるいは、図5に示す二重シールド以外の磁気シールド方法として、電子鏡筒やウェハチャンバからある程度離れた位置に任意方向の磁場を発生するコイルを置き、このコイルから発生する磁場によって外部磁場をキャンセルする方法がある。この方法は、アクティブキャンセラと呼ばれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示すような二重シールド(磁気シールド110+シールドルーム115)を用いる場合は、装置全体が大型化し、重量が重くなり、コスト高も引き起こされる。さらに、電子鏡筒を磁場環境の悪い場所に設置する場合や、鏡筒が磁気に対して特に敏感である場合(例えば電子線露光装置の投影光学系鏡筒)等は、三重以上のシールド構造を適用しなければならず、装置の大型化、高重量化、高コスト化がより一層引き起こされることとなる。
【0010】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造を提供することを目的とする。
さらに、そのような磁気シールド構造を備える露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明の磁気シールド構造は、外乱磁場から遮蔽された装置設置空間を内部に有する磁気シールド構造であって、 該磁気シールド構造を構成する構成部材により、前記空間を磁気的に閉じつつ外乱磁場を逃がす磁場経路が構成されていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、装置設置空間に向かう外乱磁場は、構成部材を伝って外部に至るので、装置設置空間内に磁場が漏れるのを低減することができる。このような磁気シールド構造を用いると、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を確保することができる。
【0013】
本発明の磁気シールド構造においては、前記構成部材の内側(装置設置空間側)が非磁性材料からなるとともに、外側(反装置設置空間側)が磁性材料からなるものとすることができる。
この場合、磁場は外側の磁性材料を伝って外部に至り、且つ、この際に非磁性材料で装置設置空間側への漏れが遮断される。そのため、磁場が装置設置空間内に漏れる可能性を一層低減できる。
【0014】
本発明の露光装置は、感応基板上に荷電粒子線を選択的に照射してデバイスパターンを形成する露光装置であって、 ボディと、 該ボディに組み付けられた、内部が真空圧とされる真空チャンバと、 該真空チャンバに組み付けられた、前記荷電粒子線を照射する照明光学系鏡筒と、 を備え、 前記ボディの一部、前記真空チャンバ及び前記照明光学系鏡筒により、前記真空チャンバ内空間を磁気的に閉じつつ外乱磁場を逃がす磁場経路が構成されていることを特徴とする。
【0015】
この露光装置によれば、外乱磁界による影響を受けにくく、高精度のパターン形成を実現できる。装置の製作に当っては、ボディや真空チャンバ等の構造材料を安価に入手できる利点がある。さらに、ボディと真空チャンバとの接続に磁性材料からなるボルトを用いることができるので、ネジのかじりを低減できる利点もある。オーステナイト系ステンレス鋼製等のボルトはかじり易い欠点があるが、ボルトを鉄又はパーマロイ等の磁性材料製とすることで、このようなかじりを低減できるのである。
【0016】
本発明の露光装置においては、前記ボディの一部、前記真空チャンバ及び前記照明光学系鏡筒が磁性材料からなるとともに、前記真空チャンバ内空間に位置する前記ボディの一部が非磁性材料からなるものとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明を応用するのに適した電子線露光装置の構成と結像関係の概要を説明する。
図4は、電子線露光装置の構成と結像関係の一例を模式的に示す図である。
図4に示す露光装置の最上流には、電子銃1が配置されている。電子銃1は、下方に向けて電子線を放射する。電子銃1の下方には、コンデンサレンズ2及び照明レンズ3が備えられており、電子線は、これらのレンズ2、3を通って、レチクル10を照明する。
【0018】
これらのレンズ2、3を主な構成要素とする照明光学系中には、図示されていないが、照明ビーム成形開口やブランキング偏向器、ブランキング開口、照明ビーム偏向器等が配置されている。照明光学系において成形された照明ビームIBは、レチクル10上で順次走査され、照明光学系の視野内にあるレチクル10の各サブフィールドの照明を行う。
【0019】
レチクル10は多数のサブフィールドを有し、移動可能なレチクルステージ装置11に載置されている。レチクルステージ装置11を光軸垂直面内で移動させることにより、照明光学系の視野よりも広い範囲に広がるレチクル上の各サブフィールドを照明する。
【0020】
レチクル10の下方には第1投影レンズ15、第2投影レンズ19、及び、収差補正や像位置調整に用いられる偏向器16(16−1〜16−6)が設けられている。レチクル10の一つのサブフィールドを通過した電子線は、投影レンズ15、19、偏向器16によってウェハ(感応基板)23上の所定の位置に結像される。ウェハ23上には適当なレジストが塗布されており、レジスト上に電子線のドーズが与えられ、レチクル10上のパターンが縮小(一例で1/4)されてウェハ23上に転写される。
【0021】
レチクル10とウェハ23の間を縮小率比で内分する点にクロスオーバーC.O.が形成され、同クロスオーバー位置にはコントラスト開口18が設けられている。同開口18は、レチクル10の非パターン部で散乱された電子線がウェハ23に達しないように遮断する。
【0022】
ウェハ23は、静電チャックを介してXY方向に移動可能なウェハステージ装置24上に載置されている。レチクルステージ装置11とウェハステージ装置24とを互いに逆方向に同期走査することにより、投影光学系の視野を越えて広がるデバイスパターンの各部を順次露光することができる。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る磁気シールド構造を適用した露光装置の機械的構造例について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る磁気シールド構造を適用した露光装置の機械的構造例を示す模式図である。
図2は、図1の分解図である。
図3は、図1の露光装置のボディの平面図である。
【0024】
図1及び図2に示す露光装置は、ボディ30を備えている。このボディ30の上面にはレチクルチャンバ35が接続されており、下面にはウェハチャンバ36が接続されている。レチクルチャンバ35上面には、照明光学系鏡筒41が上下に貫通するように固定されている。この照明光学系鏡筒41は、パーマロイやフェライト等の磁性材料からなり、内部には図4を参照しつつ前述した電子銃やレンズ等が配置されている。照明光学系鏡筒41の下方において、ボディ30の中央部には、投影光学系鏡筒42が上下に貫通するように固定されている。この投影光学系鏡筒42内には、図4を参照しつつ前述した投影レンズや偏向器等が配置されている。
【0025】
図3にわかり易く示すように、ボディ30は直方体状をしている。ボディ30は、投影光学系鏡筒42が固定される内部32がオーステナイト系ステンレス鋼やセラミックス等の非磁性材料からなるとともに、この内部32の外周側の外部31がパーマロイ等の磁性材料からなる。これら内部32及び外部31は、図示せぬボルトや溶接等で一体化されている。なお、本実施例のボディ30は直方体状をしているが、これは、直方体に限られるものではなく、どのような形状でも構わない。例えば、ボディ30は円筒状でも構わない。その場合、内部32はリング状となる。
【0026】
レチクルチャンバ35及びウェハチャンバ36内部は、図示せぬ真空ポンプ等で真空に引かれている。両チャンバ35、36は、ともに鉄等の磁性材料製である。図1及び図2に示すように、両チャンバ35、36は、ボディ30の外部31上下面においてそれぞれ組み付けられている。両チャンバ35、36は、それぞれフランジ部35a、36aを備え、このフランジ部35a、36aがボルトBでボディ30の外部31に固定されている。
【0027】
このボルトB自体は、鉄等の磁性材料からなる。オーステナイト系ステンレス鋼製等のボルトはかじり易い欠点があるが、このボルトBは鉄等の磁性材料製であるためかじりにくい。
なお、図1及び図2では、フランジ部35a、36aやボルトBは上下各一箇所のみ描かれているが、実際には両チャンバ35、36外周縁の複数箇所に設けられている。
【0028】
レチクルチャンバ35内において、ボディ30の内部32上には、ガイド43やテーブル44等を備えるウェハステージ装置(図4の符号11参照)が配置されている。このウェハステージ装置のテーブル44に、レチクルR(図4のレチクル10と同様のもの)が載置される。一方、ウェハチャンバ36内には、ガイド47やテーブル48等を備えるウェハステージ装置(図4の符号24参照)が配置されている。このウェハステージ装置のテーブル48に、ウェハW(図4のウェハ23と同様のもの)が載置される。
【0029】
このような露光装置によれば、鉄等の磁性材料からなるボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41により、チャンバ内空間(投影光学系鏡筒42やステージ装置が設置される空間)を磁気的にクローズする磁気シールド構造(磁場経路)が構成される。そのため、チャンバ内空間に向かう外乱磁場(図1の右下の矢印参照)は、ボディ30の外部31、両チャンバ35、36、照明光学系鏡筒41を通過して外部に至る。さらに、磁場が通過して外部に至る際には、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材料からなるボディ30の内部32で遮断されるので、チャンバ内空間側、特に投影光学系鏡筒42へと磁場が伝わるのを低減できる。
【0030】
このような磁気シールド構造を用いると、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を確保することができる。そのため、本発明に係る露光装置は、外乱磁界による影響を受けにくく、高精度のパターン形成を実現できる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、二重、三重等の大掛かりなシールドルームを用いることなく、充分な磁気シールド効果を期待できる磁気シールド構造、及び、それを備える露光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁気シールド構造を適用した露光装置の機械的構造例を示す模式図である。
【図2】図1の分解図である。
【図3】図1の露光装置のボディの平面図である。
【図4】電子線露光装置の構成と結像関係の一例を模式的に示す図である。
【図5】磁気シールド構造を有する露光装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
10(R) レチクル 11 レチクルステージ装置
23(W) ウェハ 24 ウェハステージ装置
30 ボディ
31 外部 32 内部
35 レチクルチャンバ 36 ウェハチャンバ
41 照明光学系鏡筒 B ボルト
Claims (4)
- 外乱磁場から遮蔽された装置設置空間を内部に有する磁気シールド構造であって、
該磁気シールド構造を構成する構成部材により、前記空間を磁気的に閉じつつ外乱磁場を逃がす磁場経路が構成されていることを特徴とする磁気シールド構造。 - 前記構成部材の内側(装置設置空間側)が非磁性材料からなるとともに、外側(反装置設置空間側)が磁性材料からなることを特徴とする請求項1記載の磁気シールド構造。
- 感応基板上に荷電粒子線を選択的に照射してデバイスパターンを形成する露光装置であって、
ボディと、
該ボディに組み付けられた、内部が真空圧とされる真空チャンバと、
該真空チャンバに組み付けられた、前記荷電粒子線を照射する照明光学系鏡筒と、
を備え、
前記ボディの一部、前記真空チャンバ及び前記照明光学系鏡筒により、前記真空チャンバ内空間を磁気的に閉じつつ外乱磁場を逃がす磁場経路が構成されていることを特徴とする露光装置。 - 前記ボディの一部、前記真空チャンバ及び前記照明光学系鏡筒が磁性材料からなるとともに、前記真空チャンバ内空間に位置する前記ボディの一部が非磁性材料からなることを特徴とする請求項3記載の露光装置。
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---|---|---|---|
JP2003194853A JP2005032505A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | 磁気シールド構造及び露光装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012518902A (ja) * | 2009-02-22 | 2012-08-16 | マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ. | リソグラフィマシン及び基板処理構成体 |
JP2012518898A (ja) * | 2009-02-22 | 2012-08-16 | マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ. | 荷電粒子リソグラフィ装置と、真空チャンバー内の真空を生成する方法 |
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-
2003
- 2003-07-10 JP JP2003194853A patent/JP2005032505A/ja active Pending
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