JP2005032256A - Icタグ・センサユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】 配線を必要とせずに、軸受等の多数の対象部品,対象機器に簡単に取付けることができて、検出およびその検出信号の読み出しが行えるICタグ・センサユニットを提供する。
【解決手段】 このICタグ・センサユニット6は、信号および電力の送受信用のアンテナ12を有するICタグ3と、前記アンテナ3で受信した電力により駆動される温度センサ4とを備える。温度センサ4は、ICタグ3を構成するICチップ11に内蔵の電源回路により駆動されるものであっても、またICチップ11とは別に設けた電源回路5Aで駆動されるものとしても良い。
【選択図】 図1

Description

この発明は、各種機械設備に組込まれる転がり軸受の異常検査システム等に用いられらるICタグ・センサユニットに関する。
各種の機械設備において、転がり軸受が多数個使用され、その軸受寿命の管理が必要でありながら、管理が難しい場合が多くある。
例えば、火力発電所では、燃料に使用される石炭は、石炭運搬船で運ばれ、揚炭機でベルトコンベヤへ陸揚げされる。さらに、ベルトコンベヤで貯炭場へ送られて山状に積み上げられて貯炭され、消費時に、貯炭の石炭山からベルトコンベヤでボイラーに送られる。上記ボイラは、電力供給や燃料効率の面から、稼働を停止することができず、ベルトコンベヤも常に稼働させることが必要になる。ベルトコンベヤには、筒状のローラ内に軸受を設けた構造の軸受ユニットが用いられ、例えば数百の軸受ユニットが用いられる。
このようなベルトコンベヤにおいて、駆動部などの主要な軸受部は、損傷が起こるなどして異常が発生すると、装置を停止することになるので、常に監視する必要がある。そのために、軸受に温度センサや振動センサを取付け、温度や振動の変化がないかを常に監視している。それに対して、ベルトコンベヤの中間にあってベルトを支えるローラでは、非常に多くの個数があるので、駆動部の軸受ユニットと同様に各軸受を全て管理することはできず、費用面でも全数を常に監視することは現実的でない。そのため、軸受ユニットの前回交換時の記録から、定格の軸受寿命に対して安全を見て早めに交換している。この場合の軸受の交換は、軸受ユニットであるローラ毎の交換とし、適宜の処置を施して、ベルトコンベヤを止めることなく交換を行うようにしている。
また、鉄道車両では、多数ある各車輪の支持に軸受が用いられているが、客や荷物を目的地まで輸送するため、車両が動き出すと途中では容易に止めることができない。そのため、運転途中で異常が発生しないようにするために、車両停止時に軸受を定期的に検査し、管理している。
上記従来の火力発電所のベルトコンベヤにおいて、ベルトを支える中間のローラであっても、軸受に異常が発生すると、損傷状況によってはコンベヤを停止することが必要になる可能性がある。定期的な軸受交換では、適宜の処置を施すことで、コンベヤを停止させることなく交換が行えるようにしているが、不測の軸受異常の場合、コンベヤを稼働させた状態では交換できないことがある。また、軸受を定格寿命に対して早めに交換しても、不測の異常が発生することがあり、このような異常を未然に知ることができない。
また、鉄道車両の車輪支持用の軸受では、上記のように定期的な検査を停止時に行っているが、運転時間が長く、高速で長距離を走る車両では、軸受の使用条件が過酷なものとなる。そのため、停止時の定期検査だけでは、軸受の異常発生を十分に予防することができないことがある。また、走行時の軸受状態が停止時では的確に知ることができない。
この発明の目的は、配線を必要とせずに、軸受等の多数の対象部品,対象機器に簡単に取付けることができて、検出およびその検出信号の読み出しが行えるICタグ・センサユニットを提供することである。
この発明のICタグ・センサユニットは、信号および電力の送受信用のアンテナを有するICタグと、前記アンテナで受信した電力により駆動されるセンサとを備えたものである。
この構成のICタグ・センサユニットを用いると、タグ用受信機を定期的にあるいは任意時に移動させてICタグ・センサユニットに近づけ、そのときに電力をICタグ・センサユニットの電源回路に供給し、その電力でセンサを駆動し、任意の時間だけセンサを稼働させて測定を行うことができる。測定結果により、例えば軸受等の対象機器の異常が検査できる。測定結果は、タグ用受信機に送信しても良いし、また、ある一定の条件に達したときのみ送信するようにしても良い。このような操作を、1台のタグ用受信機で多数のICタグ・センサ付き軸受につき行うこともできる。
このため、従来の常時検査の場合のように、各対象機器にセンサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグ・センサユニットを設けるだけで済み、各対象機器毎に対応する受信機を設ける必要もない。そのため設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。例えば、1日1回とか、ある時間毎に1回とかの監視時を決めて断続的に監視すれば良いので、多くの対象機器を監視することができ、測定したい対象機器が多くても対応ができる。
この発明におけるICタグ・センサユニットにおいて、前記ICタグは、メモリ、中央処理装置、送受信回路、および電源回路を内蔵するICチップと、アンテナとを備え、前記センサは前記ICチップに内蔵の電源回路により駆動されるものであっても良い。
また、このICタグ・センサユニットにおいて、前記ICタグは、メモリ、中央処理装置、送受信回路、および電源電源回路を内蔵するICチップと、アンテナとを備え、前記センサは、前記ICチップに内蔵の電源回路とは別に設けられて前記アンテナに接続された電源回路により駆動されるものであっても良い。
この場合に、前記別に設けられた電源回路に対して、充電可能な電池と、この電池の充電回路とを設けても良い。
この発明のICタグ・センサユニットは、前記ICタグと前記センサとを共通の基板に搭載したものであっても良い。
この発明のICタグ・センサユニットにおいて、前記センサがアナログ出力のセンサであり、このセンサの出力をディジタル値に変換してICタグに入力するA/Dコンバータを設けても良い。
この発明のICタグ・センサユニットにおいて、前記センサは温度センサであっても良い。また、このICタグ・センサユニットは、前記センサを複数有するものであっても良い。
この発明のICタグ・センサユニットにおいて、前記ICタグを、最大値記憶部および最大値更新手段を有するものとし、前記最大値更新手段は、タグ読書き端末で給電を行ったときの前記センサの検出値を、最大値記憶部に記憶された検出値と比較して大きい方の値を上記最大値記憶部に記憶するものとしても良い。
また、この発明のICタグ・センサユニットは、軸受に取付け可能な軸受装備電子部品であっても良い。
この発明のICタグ・センサユニットは、信号および電力の送受信用のアンテナを有するICタグと、前記アンテナで受信した電力により駆動されるセンサとを備えたものであるため、配線を必要とせずに、軸受等の多数の対象部品,対象機器に簡単に取付けることができて、検出およびその検出信号の読み出しを行うことができる。
この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1はこのICタグ・センサユニット6を備えたICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムを示す。この異常検査システムは、機械設備10に組込まれた転がり軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとし、タグ読書き端末2を設けたものである。ICタグ・センサ付き軸受1Aは、転がり軸受1に、ICタグ・センサ組体であるICタグ・センサユニット6を設けたものである。ICタグ・センサユニット6は、ICタグ3と、温度センサ4と、電源回路5とを設けたものである。電源回路5は、ICタグ3に内蔵されまたはこのICタグ3とは別体とされて非接触で軸受外部から給電され、上記温度センサ4を駆動するものである。上記ICタグ3、温度センサ4、および電源回路5は、共通の基板上に設置されて、一つの軸受装備電子部品となるICタグ・センサユニット6を構成する。ICタグ・センサユニット6は、図1中に引き出して拡大したブロック図により概念構成を示してある。タグ読書き端末2は、ICタグ・センサ付き軸受1AのICタグ3に対して記憶情報の読取り、および上記電源回路5に対する給電を非接触で行うものである。
機械設備10は、複数個配列された転がり軸受1を有する設備であり、それらの軸受1を上記ICタグ・センサ付き軸受1Aとしてある。機械設備10は、具体的には、例えばベルトコンベヤまたはローラコンベヤ等のコンベヤラインであり、図1はベルトコンベヤラインに適用した例を示している。この例では、ベルト7の長さ方向の中間部を支持するローラ8に組み込まれた転がり軸受1を、上記ICタグ・センサ付き軸受1Aとしている。上記ローラ8およびその両端の軸受1により、軸受ユニット8Aが構成される。転がり軸受1の内輪は、コンベヤフレーム(図1には図示せず)に固定されたローラ支軸に設置される。
タグ読書き端末2は、ICタグ・センサ付き軸受1Aの配列に沿って移動可能に設置され、端末移動手段20によって移動させられる。タグ読書き端末2は、作業者が手で持って移動可能なものであっても良い。
ICタグ3は、ICチップ11とアンテナ12とで構成される。これらICチップ11とアンテナ12は、共通の基盤(図示せず)に設けられ、樹脂(図示せず)等で一体に包まれる。ICタグ3は、種々の形式,形状,大きさのものがあり、板状の物の他に、例えば1mm未満の大きさの角状や球状のものなどがあり、また記憶容量も種々異なるが、取付対象となる軸受1に応じて大きさや形式等を選択すれば良い。ICタグ3としては、例えばRFID(無線周波数認識:Radio Frequency Idetification)技術を応用したRFIDタグが利用できる。RFID形式のICタグ3は、伝送方式として、静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良いが、図示の例では電磁誘導形式のものを用いている。また、ICタグ3は、周辺に金属があっても使用可能なものがあり、軸受1に取付けるため、このようなものが好ましい。
図2は、ICタグ3等を設けたICタグ・センサユニット6とタグ読書き端末2の構成の一例を示すブロック図である。ICタグ3のICチップ11は、中央処理装置(CPU)13、メモリ14、送受信回路15、および電源回路5を有しており、電源回路5はアンテナ12から電源を得るものとされている。電源回路5はICタグ3の各部の駆動に用いられる他に、温度センサ4の駆動にも用いられ。メモリ14は情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。
ICタグ・センサユニット6は、このようなICタグ3と、温度センサ4とを、共通の基板等に搭載するなどして一体に取扱い可能な部品としたものである。温度センサ4の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。温度センサ4としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ16を介してICタグ3等に出力される。A/Dコンバータ16は、温度センサ4と共通の基盤(図示せず)等に設置され、温度センサ4とA/Dコンバータ16とでコンバータ付き温度センサ4Aが構成される。コンバータ付き温度センサ4Aの出力は、図示の例では、ICタグ3の中央処理装置13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。
タグ読書き端末2は、ICタグ3に対して非接触で信号の伝達および電力の供給が可能なものである。タグ読書き端末2は、中央処理装置(CPU)22、メモリ23、送受信回路24、および電源回路25を有し、アンテナ26および送受信回路24を介して中央処理装置(CPU)22とICタグ3との信号の送受信が行われる。タグ読書き端末2は、さらに管理ホスト機28となるコンピュータに対して通信経路29を介して接続する通信手段27を有している。通信経路29は、単なるケーブルまたは無線通信回線であっても、またローカルエリアネットワークや、インターネット,その他の広域ネットワークであっても良い。
管理ホスト機28は、機械設備10の全体の軸受1の保守について管理する管理システムを備えたものである。管理ホスト機28は、複数の機械設備10の軸受1の保守について管理するものであっても良い。
なお、上記実施形態では、温度センサ4を駆動する電源回路5として、ICタグ3に内蔵のものを用いているが、例えば図3に示すように、ICタグ3の駆動用の電源回路51 とは別に、温度センサ4の駆動用の電源回路52 を設けても良い。この電源回路52 も、アンテナ12から電源を得るものとされる。また、電源回路52 に対して、充電可能な電池19(図示せず)および充電回路を設けても良い(図5)。
また、ICタグ・センサユニット6は、温度センサ4の他に、図4に示すように振動センサ17を有するものとしても良い。振動センサ17の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。振動センサ17としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ18を介してICタグ3等に入力する。A/Dコンバータ18は、振動センサ17と共通の基盤(図示せず)等に設置され、振動センサ17とA/Dコンバータ18とでコンバータ付き温度センサ17Aが構成される。コンバータ付き振動センサ17Aの出力は、図示の例ではICタグ3のCPU13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。振動センサ17を設ける場合も、その電源として、ICタグ3に内蔵の電源回路51 を用いるものとしても良く、また図4のように別の電源回路52 を用いるものとしても良い。
図6〜図10は、上記機械設備10の具体例を示す。図6に示すように、この機械設備10は、ベルトコンベヤ41を縦列に複数台連ねて設置したコンベヤラインからなる。この機械設備10は、例えば、火力発電所において、石炭を貯炭部からボイラー(図示せず)に搬送するコンベヤラインである。
各ベルトコンベヤ41は、図7に示すように両端の端部ローラ42間にベルト7を掛装し、中間部で搬送方向に並ぶ複数の搬送面支持用のローラ8、および戻り支持用のローラ8′によりベルト7を支えるのである。両端の端部ローラ42のうち、両方または片方が駆動ローラとされる。支持用の各ローラ8には、図8に示すように、コンベヤ幅方向に並ぶ水平な中央のローラ8と、両側の傾斜したサイドローラ8とがあり、これら3つのローラ8でベルト7を逆台形の溝形状に支持している。中央および両サイドのローラ8は、いずれもローラ8内の両端に転がり軸受1を組み込んだ軸受ユニット8Aを構成する。図9は、その軸受ユニット8Aの拡大断面図である。軸受ユニット8Aは、図9の例の他に、図10に示すように、ローラ8の両端内周に軸受ハウジング43を設け、この軸受ハウジング43の内周に転がり軸受1を嵌合させたものであっても良い。転がり軸受1の内輪は、ローラ支軸44に嵌合し、ローラ支軸44はコンベヤフレーム9に固定設置される。ローラ支軸44は、コンベヤフレーム9に対して両端支持とするものであっても、片持ち支持とするものであっても良い。図10はサイドローラ8であって、ローラ支軸44を片持ち支持とする例である。
このようなコンベヤラインからなる機械設備10における上記各ローラ8の転がり軸受1が、上記のようにICタグ3および温度センサ4等を取付けたICタグ・センサ付き軸受1Aとされる。
図11は、このようなコンベヤラインからなる機械設備10において、タグ読書き端末2の端末移動手段20を設けた例を示す。タグ読書き端末2は、上記ローラ8における転がり軸受1の並びに沿って設けられたガイドレール45に走行可能に設置され、走行駆動手段46により走行駆動される。ガイドレール45は、例えばコンベヤフレーム9(図8)に取付けられたレールまたはコンベヤフレーム8の一部とされる。走行駆動手段46は、モータ47とその駆動をタグ読書き端末2に伝える巻き掛け伝達手段49とからなり、あるいはタグ読書き端末2に搭載された自走装置とされる。
上記構成による異常検査方法を説明する。タグ用受信機2を定期的に、あるいは任意時に移動させてICタグ・センサ付き軸受1A軸受に近づける。このときに電力を軸受1Aの電源回路5に供給し、その電力で温度センサ4を駆動し、任意の時間だけ温度センサ4を稼働させて温度測定を行う。温度センサ4の温度測定値は、ICタグ3の中央処理装置13および送信回路15を通じてタグ読書き端末2に送信する。この場合に、温度センサ4の最大値だけをICタグ3に記憶させ、タグ読書き端末2に送信させるようにしても良い。タグ読書き端末2に送信された温度測定結果は、常に管理ホスト機28(図2)に送信しても良いし、ある一定の条件に達したときのみに管理ホスト機28に送信するようにしても良い。上記一定の条件に達したか否かの判断は、タグ読書き端末2に設けた条件判定手段(図示せず)によって行わせる。このような操作を、1台のタグ読書き端末2で多数の、例えば100台分のICタグ・センサ付き軸受1Aにつき行うようにしても良い。このように1台のタグ読書き端末2で多くのICタグ・センサ付き軸受1Aを監視することができ、またICタグ・センサ付き軸受1Aがある条件に達した場合の情報のみを管理ホスト機28に送信すれば良いため、例えば1台の機械設備10における数百台のICタグ・センサ付き軸受1Aについて、数台のタグ読書き端末2を設けるだけで済む。温度測定の結果、一定の条件以上に達すると、軸受1が異常を起こす可能性があっても、すぐに交換しなくても良い場合は、できるだけ連続して監視して、運転停止時など、時期を見て軸受1の光線を行うようにしても良い。
このため、従来の常時検査の場合のように、各軸受ユニット8Aに温度センサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグ3と供給電力を温度センサに伝える電源回路5を設けるだけで済み、各軸受ユニット8A毎に対応する受信機を設ける必要もない。そのため、設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。例えば、1日1回とか、2時間毎に1回とかの監視間隔を決めて断続的に監視すれば良く、多くの軸受1を監視することができるので、測定したい軸受1が多くても対応ができる。また、温度測定の結果により、異常が発生する前に交換することができるので、機械設備10自体の故障に繋がらず、機械設備10自体を傷めずに済む。また、機械設備10を停止した定期保守時に不良兆候のある軸受を交換することもできるので、交換用の軸受や軸受ユニット等の必要な在庫が行い易い。
また、ICタグ3を用いるため、このICタグ3に、このICタグ3を設けた転がり軸受1の識別情報を記憶させておくこともできる。上記識別情報は、製品番号やロット番号等である。軸受1の識別情報が温度測定情報と共に得られると、データベース等から軸受の諸元等を知ることができるので、管理ホスト機28等による寿命判断や管理がより一層容易になる。また、ICタグ3には、さらに機械設備10に対する軸受1の設置場所の情報を記憶させても良い。
上記のように温度センサ4の測定結果の最大値をICタグ3に記憶させるについては、例えばICタグ3を次のように構成しても良い。すなわち、図25に示すようにICタグ3を、最大値記憶部14aと最大値更新手段51とを有するものとする。最大値更新手段51は、タグ読書き端末2で給電を行ったときの温度センサ4の温度検出値を、最大値記憶部14aに記憶された温度検出値と比較して大きい方の値を上記最大値記憶部に記憶するものとする。ICタグ3には、識別情報等記憶部14bを設け、上記識別情報等を記憶させておいても良い。
最大値更新手段51は、ICタグ3とは別にICタグ・センサユニット6に設けた電子回路部品等により構成しても良い。また、最大値更新手段51をICタグ・センサ付き軸受1Aに設ける代わりに、タグ読書き端末2に設けても良い。この場合にもICタグ3には最大値記憶部14aを設けておく。
また、上記のように温度センサ4の測定結果がある一定の条件に達したときのみ送信させる場合に、例えば次の構成が採用できる。すなわち図26に示すように、ICタグ3に条件記憶部14cを設けて上記一定の条件を記憶させておく。またタグ読書き端末2に、設定条件記憶部14cの設定条件に従って処理を行う条件判定処理手段55を設ける。このようにICタグ3に条件記憶部14cを設けて条件を記憶させておくと、タグ読書き端末2に設ける条件判定処理手段55は、異なるICタグ・センサ付き軸受1Aにつき、同じ処理を行うものとしても、各軸受1Aに対応した内容の処理が行える。
上記の作用説明は、センサとして温度センサ4だけを設けた場合につき行ったが、例えば図4の例などのように振動センサ17を設けた場合は、次の処理が行える。軸受1の寿命は、振動によっても判断される。温度情報の他に振動の情報が得られると、より精度良く軸受異常の判断が行える。例えば、振動センサ17の検出信号から検出される積算回転数を記憶する積算回転数記憶処理部(図示せず)を、タグ読書き端末2またはICタグ・センサユニット6におけるICタグ3やその外の部品に設けておくことで、積算回転数に基づく寿命判定が可能になる。積算回転数は、ICタグ3に記憶させる。
図12は、ICタグ・センサ付き軸受1Aを用いた機械設備10Aが鉄道車両である場合の実施形態を示す。機械設備10Aが鉄道車両である場合、車輪61を支持する車輪支持軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとする。また鉄道車両を走行させる経路にタグ用受信機2を設置し、このタグ用受信機2により鉄道車両の走行時にICタグ3の読取りおよび電源回路5への給電が可能なようにする。
鉄道車両の場合も、多くの軸受1が用いられるが、これらの軸受1の温度が走行経路に設けられたタグ読書き端末2により読み取れるため、走行中の温度測定が可能になる。そのため、車両停止時の定期検査を補い、より確実な軸受異常判断が行える。
次に、図13ないし図22と共に、ICタグ3等のICタグ・センサユニット6を転がり軸受1に設置する各種具体的構造例を説明する。
図13は、軸受軌道輪にICタグ・センサユニット6を取付ける例を示す。転がり軸受1は、内外の軌道輪である内輪71,外輪72の対向する転走面間に複数の転動体73を介在させ、転動体73を保持器74で保持したものである。転動体73はボールからなる。内外輪71,72間の両端には、軸受空間を密封するシール75が設けられている。シール75は、外輪72に取付けられて先端が内輪71に接触する接触シールとされている。外輪72は、側面にタグ取付孔76が設けられ、このタグ取付孔76内に、上記ICタグ3および温度センサ4を含むICタグ・センサユニット6が埋め込み状態に取付けられている。ICタグ・センサユニット6は、基盤にICタグ3および温度センサ4を実装したものであり、外輪72のタグ取付孔76内に埋め込みの後、樹脂モールドによって封止状態に固定される。
このように外輪72にICタグ3等のICタグ・センサユニット6を固定する場合、ICタグ・センサユニット6を堅固に固定することができる。
図14(A),(B)は、転がり軸受1のシール75にICタグ3等のICタグ・センサユニット6を取付けた例を示す。同図(A)はシール75を非接触軸受とした例であり、ICタグ・センサユニット6は接着剤による接着によってシール75に固定する。同図(B)はシール75を図13の例と同様に接触軸受とした例であり、ICタグ・センサユニット6はシール75のゴム材部75aの加硫時に加硫接着によりシール75の芯金75bに固定する。
内輪71や外輪72等の軌道輪は、その製造の工程が煩雑であり、強度的にも厳しい要求があるため、ICタグ3や温度センサ4等の組み込みを行う場合、工程の増加等のうえで好ましくない場合があるが、上記のように簡易な部品であるシール75にICタグ3等のICタグ・センサユニット6を取付けるようにすると、ICタグ・センサユニット6の取付作業が容易である。また、シール75にICタグ・センサユニット6を取付ける場合、内外輪71,72や保持器74等の主要な軸受構成部品については、ICタグ3等を取付けない一般の軸受と製造工程を同じとでき、生産性に優れる。
図15,図16は、転がり軸受1の保持器74にICタグ3等のICタグ・センサユニット6を取付けた例を示す。図15は図16のB1−B1断面図に相当する。保持器74は樹脂製の櫛形または駕籠形のものである。シール75は、信号送受の妨げとならないように、ICタグ・センサユニット6の設置側の側面は省略し、軸受1の片面のみに設けている。ICタグ・センサユニット6は、基盤にICタグ3および温度センサ4を実装したものであり、保持器74を構成する樹脂内に一体成形によって埋め込んでいる。
一体成形による他に、図18,図19に示すように、保持器74にICタグ取付孔78を設け、このICタグ取付孔78内に上記ICタグ・センサユニット6を入れた後、この孔78を樹脂等によって封止しても良い。この場合は、保持器74は樹脂製に限らず、金属製であっても良い。
このように保持器74にICタグ・センサユニット6を固定する場合も、軌道輪に固定する場合に比べて簡単な工程でICタグ・センサユニット6の固定が行える。
図20,図21は、転がり軸受1内に設けられた固体潤滑剤80内にICタグ3等を埋め込んだ例を示す。図20は図21のB3−B3断面図に相当する。固体潤滑剤80は、例えば樹脂材内にグリースを含浸させたものである。固体潤滑剤80は内輪71と外輪72の間の軸受空間内にリング状に設けられる。上記ICタグ・センサユニット6は、基盤にICタグ3および温度センサ4を実装したものであり、例えば固体潤滑剤80内に一体成形によって埋め込まれる。ICタグ・センサユニット6は、一体成形による他に、図23,図24に示すように、固体潤滑剤80の一部にICタグ取付孔81設け、この孔81内に入れた後に樹脂等によって封止しても良い。
このように、固体潤滑材80内にICタグ・センサユニット6を埋め込む場合、各軸受部品は通常の軸受と同じもので済み、ICタグ・センサユニット6の取付工程が簡単で、また部品の共通化が図れる。
この発明の一実施形態にかかるICタグ・センサユニットを備えた軸受の異常検査システムの概念構成を示すブロック図である。 同異常検査システムのICタグ・センサユニットおよびタグ読書き端末の回路構成例を示すブロック図である。 ICタグ・センサユニットの変形例のブロック図である。 ICタグ・センサユニットの他の変形例のブロック図である。 ICタグ・センサユニットのさらに他の変形例のブロック図である。 この発明を適用する機械設備となるコンベヤラインの一例の側面図である。 同コンベヤラインの一つのコンベヤの側面図である。 同コンベヤの横断面図である。 同コンベヤのローラとなる軸受ユニットの断面図である。 同コンベヤのローラとなる軸受ユニットの変形例の断面図である。 タグ読書き端末を移動させる端末移動手段の一例を示す側面図である。 この発明のICタグ・センサユニットを適用する機械設備となる鉄道車両の部分破断正面図である。 ICタグ・センサ付き軸受の一例を示す部分断面図である。 (A),(B)は、それぞれICタグ・センサ付き軸受の他の例を示す部分断面図である。 ICタグ・センサ付き軸受のさらに他の例を示す部分断面図である。 同ICタグ・センサ付き軸受の部分正面図である。 図16のA1−A1線断面図である。 ICタグ・センサ付き軸受のさらに他の例の部分正面図である。 図18のA2−A2線断面図である。 ICタグ・センサ付き軸受のさらに他の例を示す部分断面図である。 同ICタグ・センサ付き軸受の部分正面図である。 図21のA3−A3線断面図である。 ICタグ・センサ付き軸受のさらに他の例の部分正面図である。 図23のA4−A4線断面図である。 ICタグの概念構成例における変形例のブロック図である。 ICタグおよびタグ読書き端末の概念構成例における変形例のブロック図である。
符号の説明
1…転がり軸受
1A…ICタグ・センサ付き軸受
2…タグ読書き端末
3…ICタグ
4…温度センサ
5…電源回路
6…ICタグ・センサユニット
8…ローラ
8A…軸受ユニット
10,10A…機械設備
12…アンテナ
13…中央処理装置
17…振動センサ
20…端末移動手段
71…内輪
72…外輪
74…保持器
75…シール
80…固体潤滑剤

Claims (9)

  1. 信号および電力の送受信用のアンテナを有するICタグと、前記アンテナで受信した電力により駆動されるセンサとを備えたICタグ・センサユニット。
  2. 請求項1において、前記ICタグは、メモリ、中央処理装置、送受信回路、および電源回路を内蔵するICチップと、アンテナとを備え、前記センサは前記ICチップに内蔵の電源回路により駆動されるものであるICタグ・センサユニット。
  3. 請求項1において、前記ICタグは、メモリ、中央処理装置、送受信回路、および電源回路を内蔵するICチップと、アンテナとを備え、前記センサは、前記ICチップに内蔵の電源回路とは別に設けられて前記アンテナに接続された電源回路により駆動されるものであるICタグ・センサユニット。
  4. 請求項3において、前記別に設けられた電源回路に対して、充電可能な電池と、この電池の充電回路とを設けたICタグ・センサユニット。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記ICタグと前記センサとを共通の基板に搭載したICタグ・センサユニット。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記センサはアナログ出力のセンサであり、このセンサの出力をディジタル値に変換してICタグに入力するA/Dコンバータを設けたICタグ・センサユニット。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記センサが温度センサであるICタグ・センサユニット。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記ICタグを、最大値記憶部および最大値更新手段を有するものとし、前記最大値更新手段は、タグ読書き端末で給電を行ったときの前記センサの検出値を、最大値記憶部に記憶された検出値と比較して大きい方の値を上記最大値記憶部に記憶するものとしたICタグ・センサユニット。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記ICタグ・センサユニットは、軸受に取付け可能な軸受装備電子部品であるICタグ・センサユニット。
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