JP2005030589A - 鉄道車両におけるicタグ・センサ付き軸受の異常検査システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 多数の軸受の異常発生の検査を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することのできる簡素で安価な異常検査システムを提供する。
【解決手段】 このシステムは、機械設備10に組込まれた転がり軸受1の異常検査システムである。軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとし、そのICタグ3に対して記憶情報の読取りおよび電源回路5に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末2を設ける。ICタグ・センサ付き軸受1Aは、ICタグ3と、温度センサ4と、電源回路5とを軸受1に設けたものである。上記電源回路5は、上記ICタグ3に内蔵されまたはこのICタグ3とは別体とされて非接触で軸受外部から給電され、上記センサ4を駆動するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】 このシステムは、機械設備10に組込まれた転がり軸受1の異常検査システムである。軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとし、そのICタグ3に対して記憶情報の読取りおよび電源回路5に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末2を設ける。ICタグ・センサ付き軸受1Aは、ICタグ3と、温度センサ4と、電源回路5とを軸受1に設けたものである。上記電源回路5は、上記ICタグ3に内蔵されまたはこのICタグ3とは別体とされて非接触で軸受外部から給電され、上記センサ4を駆動するものである。
【選択図】 図1
Description
この発明は、鉄道車両に組込まれた転がり軸受を、ICタグおよびセンサ付きのものとして上記軸受の異常を検出する鉄道車両におけるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムに関する。
各種の機械設備において、転がり軸受が多数個使用され、その軸受寿命の管理が必要でありながら、管理が難しい場合が多くある。
鉄道車両では、多数ある各車輪の支持に軸受が用いられているが、客や荷物を目的地まで輸送するため、車両が動き出すと途中では容易に止めることができない。そのため、運転途中で異常が発生しないようにするために、車両停止時に軸受を定期的に検査し、管理している。
鉄道車両では、多数ある各車輪の支持に軸受が用いられているが、客や荷物を目的地まで輸送するため、車両が動き出すと途中では容易に止めることができない。そのため、運転途中で異常が発生しないようにするために、車両停止時に軸受を定期的に検査し、管理している。
鉄道車両の車輪支持用の軸受では、上記のように定期的な検査を停止時に行っているが、運転時間が長く、高速で長距離を走る車両では、軸受の使用条件が過酷なものとなる。そのため、停止時の定期検査だけでは、軸受の異常発生を十分に予防することができないことがある。また、走行時の軸受状態が停止時では的確に知ることができない。
この発明の目的は、多数の軸受の異常発生の検査を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することのできる簡素で安価な鉄道車両におけるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムを提供することである。
この発明の鉄道車両におけるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムは、鉄道車両に組込まれた転がり軸受を、ICタグと、検出対象を検出するセンサと、上記ICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体とされて非接触で軸受外部から給電され上記センサを駆動する電源回路とを有するICタグ・センサ付き軸受とし、上記ICタグに対する情報の読取りおよび上記電源回路に対する給電を非接触で行うタグ用受信機を設けたものである。上記ICタグ・センサ付き軸受は車輪支持軸受であっても良い。
この構成によると、上記タグ用受信機を定期的にあるいは任意時に移動させて軸受に近づけ、そのときに電力を軸受の電源回路に供給し、その電力でセンサを駆動し、任意の時間だけセンサを稼働させて測定を行うことができる。測定結果により軸受の異常が検査できる。測定結果は、タグ用受信機に送信しても良いし、また、ある一定の条件に達したときのみ送信するようにしても良い。このような操作を、1台のタグ用受信機で多数のICタグ・センサ付き軸受につき行うこともできる。
このため、従来の常時検査の場合のように、各軸受ユニットにセンサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグと供給電力をセンサに伝える電源回路を設けるだけで済み、各軸受ユニット毎に対応する受信機を設ける必要もなく、そのため設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。例えば、1日1回とか、ある時間毎に1回とかの監視時を決めて断続的に監視すれば良いので、多くの軸受を監視することができ、測定したい軸受が多くても対応ができる。また、測定の結果により、異常が発生する前に交換することができるので、鉄道車両自体の故障に繋がらず、鉄道車両自体を傷めずに済む。また、鉄道車両を停止した定期保守時に不良兆候のある軸受を交換することもできるので、交換用の軸受や軸受ユニット等の必要な在庫が行い易い。
この構成によると、上記タグ用受信機を定期的にあるいは任意時に移動させて軸受に近づけ、そのときに電力を軸受の電源回路に供給し、その電力でセンサを駆動し、任意の時間だけセンサを稼働させて測定を行うことができる。測定結果により軸受の異常が検査できる。測定結果は、タグ用受信機に送信しても良いし、また、ある一定の条件に達したときのみ送信するようにしても良い。このような操作を、1台のタグ用受信機で多数のICタグ・センサ付き軸受につき行うこともできる。
このため、従来の常時検査の場合のように、各軸受ユニットにセンサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグと供給電力をセンサに伝える電源回路を設けるだけで済み、各軸受ユニット毎に対応する受信機を設ける必要もなく、そのため設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。例えば、1日1回とか、ある時間毎に1回とかの監視時を決めて断続的に監視すれば良いので、多くの軸受を監視することができ、測定したい軸受が多くても対応ができる。また、測定の結果により、異常が発生する前に交換することができるので、鉄道車両自体の故障に繋がらず、鉄道車両自体を傷めずに済む。また、鉄道車両を停止した定期保守時に不良兆候のある軸受を交換することもできるので、交換用の軸受や軸受ユニット等の必要な在庫が行い易い。
この発明において、上記ICタグ・センサ付き軸受が、上記センサとして、温度センサおよび振動センサの両方またはいずれか一方を有するものとしても良い。その場合に、上記電源回路は上記各センサの駆動が可能なものとしても良い。
軸受の寿命は、温度や振動によって判断される。温度情報の他に振動の情報が得られると、より精度良く軸受異常の判断が行える。
軸受の寿命は、温度や振動によって判断される。温度情報の他に振動の情報が得られると、より精度良く軸受異常の判断が行える。
上記ICタグには、このICタグを設けた転がり軸受の識別情報を記憶させておいても良い。上記識別情報は製品番号やロット番号等である。軸受の識別情報が温度測定情報と共に得られると、管理用のコンピュータ等による寿命判断や管理がより一層容易になる。また、上記ICタグには、鉄道車両に対する軸受の設置場所の情報を記憶させても良い。
上記鉄道車両は、上記ICタグ・センサ付き軸受が複数個配列されたものであっても良い。多数個の軸受が配列されている場合に、この発明のICタグ・センサ付き軸受を用いた異常検査システムが効果的となる。
上記ICタグ・センサ付き軸受が車輪支持軸受である場合に、上記鉄道車両を走行させる経路に、上記鉄道車両の走行時に読取りおよび給電が可能なように上記タグ読書き端末を設置しても良い。
鉄道車両の場合、多くの軸受が用いられるが、これらの軸受の温度,振動等の検出対象が走行経路に設けられたタグ読書き端末により読み取れるため、走行中の測定が可能になる。そのため、車両停止時の定期検査を補い、より確実な軸受異常判断が行える。
鉄道車両の場合、多くの軸受が用いられるが、これらの軸受の温度,振動等の検出対象が走行経路に設けられたタグ読書き端末により読み取れるため、走行中の測定が可能になる。そのため、車両停止時の定期検査を補い、より確実な軸受異常判断が行える。
この発明の鉄道車両におけるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムは、鉄道車両に組込まれた転がり軸受を、ICタグと、検出対象を検出するセンサと、上記ICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体とされて非接触で軸受外部から給電され上記センサを駆動する電源回路とを有するICタグ・センサ付き軸受とし、上記ICタグに対する記憶情報の読書きおよび上記電源回路に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末を用いて定期的にまたは任意時に上記センサを駆動させ、かつICタグの記憶情報を読み取る方法である。
この方法によると、この発明の異常検査システムで説明したと同様に、多数の軸受の異常発生の検査を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することができる。しかも簡素で安価な検査方法となる。
この方法によると、この発明の異常検査システムで説明したと同様に、多数の軸受の異常発生の検査を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することができる。しかも簡素で安価な検査方法となる。
この発明の鉄道車両におけるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムは、鉄道車両に組込まれた転がり軸受を、ICタグと、検出対象を検出するセンサと、電源回路とを有するICタグ・センサ付き軸受とし、上記ICタグに対する記憶情報の読書きと、上記電源回路に対する給電とを非接触で行うタグ読書き端末を設けたものであるため、多数の軸受の異常発生の検査を、軸受運転状態で簡単に行うことができ、軸受の異常発生を未然に防止することができる簡素で安価な異常検査システムとすることができる。
この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1に示すように、この鉄道車両におけるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システムは、鉄道車両10Aに組込まれた転がり軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとし、タグ読書き端末2を設けたものである。ICタグ・センサ付き軸受1Aは、転がり軸受1に、ICタグ3と、温度センサ4と、電源回路5とを設けたものである。電源回路5は、ICタグ3に内蔵されまたはこのICタグ3とは別体とされて非接触で軸受外部から給電され、上記温度センサ4を駆動するものである。上記ICタグ3、温度センサ4、および電源回路5は、共通の基板上に設置されて一つの軸受装備電子部品6を構成する。軸受装備電子部品6は、図1中に引き出して拡大したブロック図により概念構成を示してある。タグ読書き端末2は、ICタグ・センサ付き軸受1AのICタグ3に対して記憶情報の読取り、および上記電源回路5に対する給電を非接触で行うものである。
鉄道車両10Aは、車輪61を支持する車輪支持軸受1をICタグ・センサ付き軸受1Aとする。また鉄道車両を走行させる経路にタグ用受信機2を設置し、このタグ用受信機2により鉄道車両の走行時にICタグ3の読取りおよび電源回路5への給電が可能なようにする。
ICタグ3は、ICチップ11とアンテナ12とで構成される。これらICチップ11とアンテナ12は、共通の基板(図示せず)に設けられ、樹脂(図示せず)等で一体に包まれる。ICタグ3は、種々の形式,形状,大きさのものがあり、板状の物の他に、例えば1mm未満の大きさの角状や球状のものなどがあり、また記憶容量も種々異なるが、取付対象となる軸受1に応じて大きさや形式等を選択すれば良い。ICタグ3としては、例えばRFID(無線周波数認識:Radio Frequency Idetification)技術を応用したRFIDタグが利用できる。RFID形式のICタグ3は、伝送方式として、静電結合、電磁結合、電磁誘導、マイクロ波、光などを用いる形式のものがあり、このうちいずれの形式のものを用いても良いが、図示の例では電磁誘導形式のものを用いている。また、ICタグ3は、周辺に金属があっても使用可能なものがあり、軸受1に取付けるため、このようなものが好ましい。
図2は、ICタグ3等を設けた軸受装備電子部品6とタグ読書き端末2の構成の一例を示すブロック図である。ICタグ3のICチップ11は、中央処理装置(CPU)13、メモリ14、送受信回路15、および電源回路5を有しており、電源回路5はアンテナ12から電源を得るものとされている。電源回路5はICタグ3の各部の駆動に用いられる他に、温度センサ4の駆動にも用いられ。メモリ14は情報の記憶に電源が不要なものが用いられる。
軸受装備電子部品6は、このようなICタグ3と、温度センサ4とを、共通の基板等に搭載するなどして一体に取扱い可能な部品としたものである。温度センサ4の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。温度センサ4としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ16を介してICタグ3等に出力される。A/Dコンバータ16は、温度センサ4と共通の基板(図示せず)等に設置され、温度センサ4とA/Dコンバータ16とでコンバータ付き温度センサ4Aが構成される。コンバータ付き温度センサ4Aの出力は、図示の例ではICタグ3の中央処理装置13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。
軸受装備電子部品6は、このようなICタグ3と、温度センサ4とを、共通の基板等に搭載するなどして一体に取扱い可能な部品としたものである。温度センサ4の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。温度センサ4としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ16を介してICタグ3等に出力される。A/Dコンバータ16は、温度センサ4と共通の基板(図示せず)等に設置され、温度センサ4とA/Dコンバータ16とでコンバータ付き温度センサ4Aが構成される。コンバータ付き温度センサ4Aの出力は、図示の例ではICタグ3の中央処理装置13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。
タグ読書き端末2は、ICタグ3に対して非接触で信号の伝達および電力の供給が可能なものである。タグ読書き端末2は、中央処理装置(CPU)22、メモリ23、送受信回路24、および電源回路25を有し、アンテナ26および送受信回路24を介して中央処理装置(CPU)22とICタグ3との信号の送受信が行われる。タグ読書き端末2は、さらに管理ホスト機28となるコンピュータに対して通信経路29を介して接続する通信手段27を有している。通信経路29は、単なるケーブルまたは無線通信回線であっても、またローカルエリアネットワークや、インターネット,その他の広域ネットワークであって良い。
管理ホスト機28は、鉄道車両10Aの全体の軸受1の保守について管理する管理システムを備えたものである。管理ホスト機28は、複数の鉄道車両10Aの軸受1の保守について管理するものであっても良い。
管理ホスト機28は、鉄道車両10Aの全体の軸受1の保守について管理する管理システムを備えたものである。管理ホスト機28は、複数の鉄道車両10Aの軸受1の保守について管理するものであっても良い。
なお、上記実施形態では、温度センサ4を駆動する電源回路5として、ICタグ3に内蔵のものを用いているが、例えば図3に示すように、ICタグ3の駆動用の電源回路51 とは別に、温度センサ4の駆動用の電源回路52 を設けても良い。この電源回路52 も、アンテナ12から電源を得るものとされる。また、電源回路52 に対して、充電可能な電池19および充電回路(図示せず)を設けても良い(図5)。
また、軸受装備電子部品6は、温度センサ4の他に、図4に示すように振動センサ17を有するものとしても良い。振動センサ17の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。振動センサ17としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ18を介してICタグ3等に入力する。A/Dコンバータ18は、振動センサ17と共通の基板(図示せず)等に設置され、振動センサ17とA/Dコンバータ18とでコンバータ付き温度センサ17Aが構成される。コンバータ付き振動センサ17Aの出力は、図示の例ではICタグ3のCPU13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。振動センサ17を設ける場合も、その電源として、ICタグ3に内蔵の電源回路51 を用いるものとしても良く、また図4のように別の電源回路52 を用いるものとしても良い。
また、軸受装備電子部品6は、温度センサ4の他に、図4に示すように振動センサ17を有するものとしても良い。振動センサ17の出力は、例えばICタグ3の所定の入力端子(図示せず)に接続される。振動センサ17としてアナログ出力のものを用いた場合、その出力をディジタル値に変換するA/Dコンバータ18を介してICタグ3等に入力する。A/Dコンバータ18は、振動センサ17と共通の基板(図示せず)等に設置され、振動センサ17とA/Dコンバータ18とでコンバータ付き温度センサ17Aが構成される。コンバータ付き振動センサ17Aの出力は、図示の例ではICタグ3のCPU13に接続しているが、送受信回路15に接続しても良い。振動センサ17を設ける場合も、その電源として、ICタグ3に内蔵の電源回路51 を用いるものとしても良く、また図4のように別の電源回路52 を用いるものとしても良い。
上記構成による異常検査方法を説明する。鉄道車両10Aでは、多くの軸受1が用いられるが、これらの軸受1の温度が走行経路に設けられたタグ読書き端末2により読み取れるため、走行中の温度測定が可能になる。そのため、車両停止時の定期検査を補い、より確実な軸受異常判断が行える。
車両走行中に、ICタグ・センサ付き軸受1Aがタグ読書き端末2に近づく。このときに電力を軸受1Aの電源回路5に供給し、その電力で温度センサ4を駆動し、温度測定を行う。温度センサ4の温度測定値は、ICタグ3の中央処理装置13および送信回路15を通じてタグ読書き端末2に送信する。この場合に、温度センサ4の最大値だけをICタグ3に記憶させ、タグ読書き端末2に送信させるようにしても良い。タグ読書き端末2に送信された温度測定結果は、常に管理ホスト機28(図2)に送信しても良いし、ある一定の条件に達したときのみに管理ホスト機28に送信するようにしても良い。上記一定の条件に達したか否かの判断は、タグ読書き端末2に設けた条件判定手段(図示せず)によって行わせる。このような操作を、1台のタグ読書き端末2で多数の、例えば100台分のICタグ・センサ付き軸受1Aにつき行うようにしても良い。このように1台のタグ読書き端末2で多くのICタグ・センサ付き軸受1Aを監視することができ、またICタグ・センサ付き軸受1Aがある条件に達した場合の情報のみを管理ホスト機28に送信すれば良いため、例えば1台の機械設備10における数百台のICタグ・センサ付き軸受1Aについて、数台のタグ読書き端末2を設けるだけで済む。温度測定の結果、一定の条件以上に達すると、軸受1が異常を起こす可能性があっても、すぐに交換しなくても良い場合は、できるだけ連続して監視して、運転停止時など、時期を見て軸受1の交換を行うようにしても良い。
車両走行中に、ICタグ・センサ付き軸受1Aがタグ読書き端末2に近づく。このときに電力を軸受1Aの電源回路5に供給し、その電力で温度センサ4を駆動し、温度測定を行う。温度センサ4の温度測定値は、ICタグ3の中央処理装置13および送信回路15を通じてタグ読書き端末2に送信する。この場合に、温度センサ4の最大値だけをICタグ3に記憶させ、タグ読書き端末2に送信させるようにしても良い。タグ読書き端末2に送信された温度測定結果は、常に管理ホスト機28(図2)に送信しても良いし、ある一定の条件に達したときのみに管理ホスト機28に送信するようにしても良い。上記一定の条件に達したか否かの判断は、タグ読書き端末2に設けた条件判定手段(図示せず)によって行わせる。このような操作を、1台のタグ読書き端末2で多数の、例えば100台分のICタグ・センサ付き軸受1Aにつき行うようにしても良い。このように1台のタグ読書き端末2で多くのICタグ・センサ付き軸受1Aを監視することができ、またICタグ・センサ付き軸受1Aがある条件に達した場合の情報のみを管理ホスト機28に送信すれば良いため、例えば1台の機械設備10における数百台のICタグ・センサ付き軸受1Aについて、数台のタグ読書き端末2を設けるだけで済む。温度測定の結果、一定の条件以上に達すると、軸受1が異常を起こす可能性があっても、すぐに交換しなくても良い場合は、できるだけ連続して監視して、運転停止時など、時期を見て軸受1の交換を行うようにしても良い。
このため、鉄道車両10Aに温度センサの他に送信装置および常時駆動用の電源を付けずに、ICタグ3と供給電力を温度センサに伝える電源回路5を設けるだけで済む。そのため、設置スペースが少なくて済み、設備費用も少なくて済む。また、温度測定の結果により、異常が発生する前に交換することができるので、鉄道車両10A自体の故障に繋がらず、鉄道車両10A自体を傷めずに済む。また、鉄道車両10Aを停止した定期保守時に不良兆候のある軸受を交換することもできるので、交換用の軸受や軸受ユニット等の必要な在庫が行い易い。
また、ICタグ3を用いるため、このICタグ3に、このICタグ3を設けた転がり軸受1の識別情報を記憶させておくこともできる。上記識別情報は、製品番号やロット番号等である。軸受1の識別情報が温度測定情報と共に得られると、データベース等から軸受の諸元等を知ることができるので、管理ホスト機28等による寿命判断や管理がより一層容易になる。また、ICタグ3には、さらに鉄道車両10Aに対する軸受1の設置場所の情報を記憶させても良い。
上記のように温度センサ4の測定結果の最大値をICタグ3に記憶させるについては、例えばICタグ3を次のように構成しても良い。すなわち、図7に示すようにICタグ3を、最大値記憶部14aと最大値更新手段51とを有するものとする。最大値更新手段51は、タグ読書き端末2で給電を行ったときの温度センサ4の温度検出値を、最大値記憶部14aに記憶された温度検出値と比較して大きい方の値を上記最大値記憶部に記憶するものとする。ICタグ3には、識別情報等記憶部14bを設け、上記識別情報等を記憶させておいても良い。
最大値更新手段51は、ICタグ3とは別に軸受装備電子部品6に設けた電子回路部品等により構成しても良い。また、最大値更新手段51をICタグ・センサ付き軸受1Aに設ける代わりに、タグ読書き端末2に設けても良い。この場合にもICタグ3には最大値記憶部14aを設けておく。
最大値更新手段51は、ICタグ3とは別に軸受装備電子部品6に設けた電子回路部品等により構成しても良い。また、最大値更新手段51をICタグ・センサ付き軸受1Aに設ける代わりに、タグ読書き端末2に設けても良い。この場合にもICタグ3には最大値記憶部14aを設けておく。
また、上記のように温度センサ4の測定結果がある一定の条件に達したときのみ送信させる場合に、例えば次の構成が採用できる。すなわち、図8に示すように、ICタグ3に条件記憶部14cを設けて上記一定の条件を記憶させておく。また、タグ読書き端末2に、設定条件記憶部14cの設定条件に従って処理を行う条件判定処理手段55を設ける。このようにICタグ3に条件記憶部14cを設けて条件を記憶させておくと、タグ読書き端末2に設ける条件判定処理手段55は、異なるICタグ・センサ付き軸受1Aにつき、同じ処理を行うものとしても、各軸受1Aに対応した内容の処理が行える。
上記の作用説明は、センサとして温度センサ4だけを設けた場合につき行ったが、例えば図4の例などのように振動センサ17を設けた場合は、次の処理が行える。軸受1の寿命は、振動によっても判断される。温度情報の他に振動の情報が得られると、より精度良く軸受異常の判断が行える。例えば、振動センサ17の検出信号から検出される積算回転数を記憶する積算回転数記憶処理部(図示せず)を、タグ読書き端末2または軸受装備電子部品6におけるICタグ3やその外の部品に設けておくことで、積算回転数に基づく寿命判定が可能になる。積算回転数は、ICタグ3に記憶させる。
1…転がり軸受
1A…ICタグ・センサ付き軸受
2…タグ読書き端末
3…ICタグ
4…温度センサ
5…電源回路
6…軸受装備電子部品
10A…鉄道車両
12…アンテナ
13…中央処理装置
17…振動センサ
1A…ICタグ・センサ付き軸受
2…タグ読書き端末
3…ICタグ
4…温度センサ
5…電源回路
6…軸受装備電子部品
10A…鉄道車両
12…アンテナ
13…中央処理装置
17…振動センサ
Claims (14)
- 機械設備に組込まれた転がり軸受を、ICタグと、温度センサと、上記ICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体とされて非接触で軸受外部から給電され上記センサを駆動する電源回路とを有するICタグ・センサ付き軸受とし、上記ICタグに対する情報の読書きと、上記電源回路に対する給電とを非接触で行うタグ読書き端末を設けたICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項1において、上記ICタグ・センサ付き軸受が、上記温度センサの他に、振動センサを有し、上記電源回路は上記振動センサの駆動が可能なものとしたICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項1または請求項2において、上記ICタグにこのICタグを設けた転がり軸受の識別情報を記憶させたICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、上記機械設備は、上記ICタグ・センサ付き軸受が複数されたものであるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項4において、上記ICタグ・センサ付き軸受の配列に沿って上記タグ読書き端末を読書きおよび給電が可能なように移動させる端末移動手段を設けたICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項4または請求項5において、上記機械設備がベルトコンベヤまたはローラコンベヤ等のコンベヤラインであり、上記ICタグ・センサ付き軸受が、ベルト支持用のローラまたはコンベヤローラを支持する軸受であるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項6において、上記機械設備が火力発電所の石炭をボイラへ運搬するベルトコンベヤであり、上記ICタグ・センサ付き軸受が、ベルトを支持するローラに組込まれてこのローラを支持する軸受であるICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、上記機械設備が鉄道車両であって、上記ICタグ・センサ付き軸受が車輪支持軸受であり、上記鉄道車両を走行させる経路に、上記鉄道車両の走行時に上記ICタグに対する読取りおよび上記電源回路に対する給電が可能なように上記タグ用受信機を設置したICタグ・センサ付き軸受の異常検査システム。
- 機械設備に組込まれた転がり軸受を、ICタグと、温度センサと、上記ICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体とされて非接触で軸受外部から給電され上記センサを駆動する電源回路とを有するICタグ・センサ付き軸受とし、上記ICタグに対する記憶情報の読書きおよび上記電源回路に対する給電を非接触で行うタグ読書き端末を用いて定期的にまたは任意時に上記温度センサを駆動させ、かつICタグの記憶情報を読み取るICタグ・センサ付き軸受の異常検査方法。
- 転がり軸受に、ICタグと、温度センサと、上記ICタグに内蔵されまたはこのICタグとは別体とされて非接触で軸受外部から給電され上記センサを駆動する電源回路とを有するICタグ・センサ付き軸受。
- 請求項10において、上記ICタグ、温度センサ、および電源回路を、転がり軸受の軌道輪に固定したICタグ・センサ付き軸受。
- 請求項10において、ICタグ、上記温度センサ、および電源回路を、転がり軸受のシールに固定したICタグ・センサ付き軸受。
- 請求項10において、上記ICタグ、温度センサ、および電源回路を、転がり軸受の保持器に固定したICタグ・センサ付き軸受。
- 請求項10において、上記ICタグ、温度センサ、および電源回路を、転がり軸受内に設けられた固体潤滑剤内に埋め込んだICタグ・センサ付き軸受。
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