以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の電子楽器100と携帯電話(移動通信体)200とサーバ300とから構成される演奏情報転送システムを模式的に示す図である。この演奏情報転送システムでは、電子楽器100と携帯電話200とサーバ300とから構成され、インターネット400経由でサーバ300からMIDIデータや歌詞データ(歌詞情報)等を含むソングデータ(演奏情報)が携帯電話200に取得され、携帯電話200に取得されたソングデータが電子楽器100へ送信されるものである。
電子楽器100は、赤外線信号を伝送する無線回線1を介して携帯電話200と接続されており、携帯電話200から出力(発信)される赤外線信号によりソングデータを受信するように構成されている。
一方、携帯電話200は、電波を伝送する無線回線(電話回線)2によりインターネット400に接続されており、このインターネット400を介して遠隔のサーバ300と接続されている。詳細には、この無線回線2は、非図示の基地局に接続されており、この基地局を経由して非図示のアクセスポイントからプロバイダと称されるインターネットの接続業者に接続され、このプロバイダを介してインターネット400に接続されている。携帯電話200は、このインターネットを介して遠隔のサーバ300に記憶されるソングデータを、無線回線2を介して受信できるように構成されている。
電子楽器100は、図1に示すように、電子楽器100の操作やソングデータに関する表示を行うための後述する操作パネル120(図3参照)と携帯電話200から赤外線信号として送信されるソングデータを受信するための赤外線ポート150とを主に備えている。
一方、携帯電話200は、この携帯電話200を操作するための操作子215と、LCDである表示部216と、電子楽器1へ赤外線信号としてソングデータを送信する赤外線ポート250とを主に備えている。
図2は、本発明の電子楽器100と携帯電話(移動通信体)200とサーバ300とから構成される演奏情報転送システムの電気的構成を示したブロック図である。
電子楽器100は、CPU110と、ROM111と、RAM112と、携帯電話200より受信したソングデータを不揮発的に記憶するフラッシュROM(FlashROM)113と、楽音信号を生成する音源114と、複数の鍵から構成され、楽音の発音又は消音を指示する鍵盤115と、この電子楽器100を動作させるために操作される操作子116と、自動演奏に関する情報を視覚的に表示するためにLCDなどで構成される表示器117と、フレキシブルディスクドライブ(FDD)など外部記憶装置118と、携帯電話200と赤外線信号による通信(送受信)を行うためのデータ通信部101と、これらの構成間を接続するバスライン119とを主に搭載している。なお、操作子116の一部と表示器117とから後述する操作パネル120(図3)が構成される。
CPU110は、電子楽器100全体を制御する中央演算処理装置であり、ROM111には、このCPU110により実行される各種の制御プログラムや、その実行の際に参照される固定値データが格納されている。なお、後述するファイル受信処理(図7)のフローチャートを実行するプログラムや、ファイル受信処理において情報ファイルを作成する際に参照されるマジックナンバ及び機種データなどもこのROM111に記憶されている。RAM113は、CPU110で実行される制御プログラムに必要な各種レジスタ群などが設定されたワーキングエリアや、処理中のデータを一時的に格納するテンポラリエリア等を有しランダムにアクセスできる書き換え可能なメモリである。
データ通信部101は、携帯電話200と赤外線信号による送受信を行うための赤外線ポート150を含み、このデータ通信部101は、赤外線を伝送する無線回線1を介して携帯電話200と接続されている。
携帯電話200は、携帯電話200全体を制御する中央演算処理装置であるCPU210と、ROM211と、RAM212と、フラッシュROM(FlashROM)213と、音声回路214と、この携帯電話200を動作させるために操作される操作子215と、情報を視覚的に表示するLEDなどの表示器216と、各種メモリカード対応リーダライタなどの外部記憶装置217と、インターネット400を介して遠隔のサーバ300と無線回線2を介して通信(送受信)するためのデータ通信部201と、電子楽器100と赤外線信号による通信(送受信)を行うためのデータ通信部202と、これらの構成間を接続するバスライン218とを主に搭載している。
ROM211は、データ通信部201、データ通信部202、又は、送受信アンテナ(図示せず)を介して実行される通話動作やシステム動作を制御する制御プログラムや、その実行の際に参照される固定値データ等を格納した書換不能なメモリである。
RAM212は、CPU210で実行される制御プログラムに必要な各種レジスタ群などが設定されたワーキングエリアや、処理中のデータを一時的に格納するテンポラリエリア等を有しランダムにアクセスできる書き換え可能なメモリである。
フラッシュROM(FlashROM)213は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、この演奏情報転送システムにおいて、インターネット400を介してサーバ300(図1参照)にアクセスし、ソングデータを受信(ダウンロード)するためのアプリケーションプログラム(以下、演奏情報転送アプリケーション、又は、単にアプリケーションと称する。)や、サーバ300からダウンロードされたソングデータ等が保存されている。
なお、この演奏情報転送アプリケーションは、例えば、インターネット400を介してアクセスし得るサーバ300(図1参照)からダウンロードすることにより得られる。また、このアプリケーションには、アプリケーションを特定するマジックナンバとアプリケーションに対応する機種を示す機種データとが固定的に記憶されている。更に、このアプリケーションでは、ソングデータを取得(ダウンロード)することをサーバへ要求できない(サーバへのソングデータの取得要求が不許可である)ように初期設定されている。ユーザは、この演奏情報転送アプリケーションのダウンロード後、ます、このアプリケーションに対応する(電子楽器の)機種を認識させることによって、サーバへのソングデータの取得要求を許可させる(図5参照)。
データ通信部202は、電子楽器100と赤外線信号による送受信を行うための赤外線ポート250を主に備えており、このデータ通信部202は、赤外線を伝送する無線回線1を介して電子楽器100と接続されている。
一方、データ通信部201は、CPU210の指示により電波の送受信を実行するものである。このデータ通信部201には、CPU210の指示により電波の送受信を実行する無線部(図示せず)と無線回線2に接続される送受信アンテナ(図示せず)とを主に備えており、この無線部と送受信アンテナとの動作により、携帯電話200は、インターネット(基地局)へ接続される。
音声回路214は、データ通信部201に備えられている非図示の無線部から入力されたデジタル受信信号をアナログ音声信号に変換してスピーカーなどの音声出力部(図示せず)に出力したり、マイクなどの音声入力部(図示せず)から入力されるアナログ音声信号をデジタル送信信号として無線部(図示せず)に出力するものである。
図3は、本発明の電子楽器100の操作パネル120の正面図である。操作パネル120は、LCDから構成される表示器117と、機能拡張スイッチ(機能拡張SW)131と、INCスイッチ(+)132と、DECスイッチ(−)133と、ロータリエンコーダ134と、表示器117における指定された箇所に触れることにより操作されるタッチパネル135とを備えている。この操作パネル120では、機能拡張SW131を操作することにより、記憶・自動再生モード、削除モード、演奏モード等の各種モードに対応する画面が表示器117に表示される。ユーザは、表示器117の表示に従い、INCボタン132やDECボタン133やロータリエンコーダ134やタッチパネル135とを操作することにより、所望の設定又は動作を選択し実行する。
図4は、本発明の電子楽器100において作成され、携帯電話200へ送信される情報ファイルを模式的に示す図である。この情報ファイルは電子楽器100の個体情報を示すファイルであり、16進数で表されるアドレス0x0000〜0x0003には、マジックナンバが記憶され、アドレス0x0004〜0x0013には、電子楽器100の機種を表す機種データが記憶され、アドレス0x0014〜0x0017には、フラッシュROM113の空きメモリ容量を示す情報が記憶されている。この情報ファイルは、後述するファイル転送処理(図6)において携帯電話200に参照され、所定の条件を満たすか否かに応じて、ソングデータファイルを電子楽器100へ送信するか否かが制御される。
次に、図5〜図6のフローチャートを参照して、上記のように構成された携帯電話200のCPU210で実行される各処理について説明する。図5は、この携帯電話200で実行される演奏情報転送におけるメイン処理のフローチャートである。
このメイン処理は、演奏情報転送を行う演奏情報転送アプリケーションの起動に伴い起動される処理であり、まず、ソングデータの取得要求が許可されているか否かを確認する(S501)。
S501の処理により確認した結果、ソングデータの取得要求が許可されていなければ(S501:No)、演奏情報を転送しようとする電子楽器100に対して情報ファイルを出力するよう要求する(S502)。S502の処理後、出力要求から所定時間内(例えば、10秒)に情報ファイルが受信されたか否かを確認し(S503)、所定時間内に情報ファイルが受信されなければ(S503:No)、エラー処理を行い(S513)、S502の処理へ戻る。なお、エラー処理(S513)では、情報ファイルが受信されたなかったことをユーザに報知すると共に、再度、出力要求するよう促す表示が表示器216に一定時間の間表示される。
一方、S503の処理により確認した結果、所定時間内に情報ファイルが受信されれば(S503:Yes)、受信した情報データから機種データを読み出す(S504)。S504の処理後、読み出された機種データは、フラッシュROM213に記憶されたこの演奏情報転送アプリケーションのプログラムの一部として固定的に記録されている対応機種データに該当するか否かを確認する(S505)。
S505の処理により確認した結果、S504の処理により読み出された機種データがこのアプリケーションに対応する機種でなければ(S505:No)、このアプリケーションに対応しない機種であることを報知する表示を表示器216に一定時間行うエラー処理を行い(S514)、この演奏情報転送処理を終了する。
一方、S505の処理により確認した結果、S504の処理により読み出された機種データがこのアプリケーションに対応する機種であれば(S505:Yes)、サーバ300に対しソングデータファイルの取得要求をすることを許可し(S506)、S507の処理へ移行する。
S506の処理により、サーバ300へのソングデータファイル取得要求を許可された携帯電話200は、サーバ300から、この演奏情報転送アプリケーションの対応機種に対応するソングデータファイルを取得できる。一方、この演奏情報転送アプリケーションに対応する機種の電子楽器と通信し得ない携帯電話200は、サーバへのソングデータファイル取得要求が許可されないので、この演奏情報転送アプリケーションの対応機種にしか対応しないソングデータファイルが、サーバ300から取得されることはない。通常、インターネットを介して外部のサーバからソングデータファイルを取得する場合には、ソングデータファイル毎に課金される料金と、ソングデータファイルのデータ量に応じた通信料が課金されるので、例えば、ユーザがこのアプリケーションに対応しない機種の電子楽器を所有している場合には、自身の所有機種に対応しない無駄なソングデータファイルの受信による無駄な課金がされることなく好都合である。
一方、S501の処理により確認した結果、ソングデータファイルの取得要求が許可されている場合には、S502〜S506、S513、S514の処理はスキップされ、S507の処理へ移行する。即ち、アプリケーションの初期設定において不許可であったソングデータファイルの取得要求が一旦許可されると、それ以降(次回)のアプリケーションの起動からは、S502〜S506、S513、S514の処理はスキップされ、ソングデータの送受信に関する処理(後述するS507〜S512、S515〜S517の処理が実行される。
S507の処理では、この演奏情報転送アプリケーションの終了が指示されたか否かを確認する。S507の処理により確認した結果、アプリケーションの終了が指示された場合は(S507:Yes)、この演奏情報転送処理を終了する。
一方、S507の処理により確認した結果、アプリケーションの終了が指示されなければ(S507:No)、アプリケーションの動作指示がされたか否かを確認する(S508)。S508の処理により確認した結果、動作指示がされていない場合(S508:No)、S507の処理へ戻り、アプリケーション終了の指示又は動作指示されるのを待機する。
S508の処理により確認した結果、動作指示が行われていれば(S508:Yes)、その動作指示の指示は何かを確認する(S509)。S509の処理により確認した結果、その指示が、サーバ300からソングデータファイルを受信する受信処理である場合(S509:受信処理)、サーバ300に対し、取得(ダウンロード)を所望するソングデータファイルの取得要求を行う(S510)。次いで、S510の処理によるソングデータファイルの取得要求が行われてから所定時間(例えば、30〜60秒)内にソングデータファイルが受信されたか否かを確認し(S511)、所定時間内にソングデータファイルが受信されなければ(S511:No)、ソングデータファイルが受信されたなかったことをユーザに報知する表示を表示器216に一定時間行うエラー処理を行い(S516)、S507の処理へ移行する。
一方、S511の処理により確認した結果、所定時間内にソングデータファイルが受信されたことが確認されると(S511:Yes)、RAM212に受信したソングデータファイルをフラッシュROM213に記憶し(S512)、S507の処理へ移行する。
また、S509の処理により確認した結果、動作指示が、携帯電話200のフラッシュROM213から電子楽器100への送信(転送)を所望するソングデータファイルを選択した後、電子楽器100へ送信の実行を指示するものである場合(S509:送信処理)、後述するファイル送信処理を実行し(S515)、S507の処理へ移行する。
更に、S509の処理により確認した結果、動作指示が、受信処理又は送信処理以外の処理であった場合(S509:その他の処理)、その他の処理として、その動作指示に応じたその他の処理(例えば、フラッシュROM213に既に記憶されるソングデータファイルの中からソングデータファイルを削除する処理)が行われる(S517)。S517の処理後、S507の処理へ移行する。
次に、図6のフローチャートを参照して、ファイル送信処理(S515)について説明する。このファイル送信処理(S515)では、まず、ファイル転送先の電子楽器100に対して、情報ファイルの出力を要求する(S601)。
S601の処理後、情報ファイルの出力要求から所定時間(例えば、10秒)内に情報ファイルが受信されたか否かを確認する(S602)。S602の処理により確認した結果、S601の処理による情報ファイルの出力要求から所定時間内に情報ファイルが受信されなければ(S602:No)、情報ファイルが受信されなかったことをユーザに報知する表示を表示器216に行うエラー処理を行い(S613)、このファイル転送処理(S515)を終了する。
一方、S602の処理により確認した結果、所定時間内に情報ファイルが受信されれば(S602:Yes)、受信した情報ファイルから、マジックナンバを読み出す(S603)。S603の処理後、読み出されたマジックナンバが、フラッシュROM213に記憶される演奏情報転送アプリケーションのプログラムの一部として固定的に記録されるマジックナンバであるか否かを確認する(S604)。
S604の処理により確認した結果、情報ファイルから読み出されたマジックナンバの値が、この演奏処理転送システムに合致するマジックナンバであれば(S604:Yes)、次いで、情報ファイルから機種データを読み出す(S605)。S605の処理後、読み出された機種データが、フラッシュROM213に記憶される演奏情報転送アプリケーションのプログラムの一部として固定的に記録される対応機種データに該当するか否かを確認する(S606)。S606の処理により確認した結果、情報ファイルから読み出された機種データが、このアプリケーションに対応する機種であれば(S606:Yes)、情報ファイルから電子楽器100の空きメモリの容量を読み出す(S607)。
S607の処理後、S509の動作指示において、電子楽器100へ送信(転送)するために選択されたソングデータファイルのヘッダから、そのソングデータファイルのデータサイズを読み出す(S608)。なお、本実施例では、ソングデータファイルのヘッダからデータサイズを読み出すよう構成したが、ソングデータファイルのデータサイズは、ソングデータファイルと対応づけて記憶されていればよい。なお、携帯電話200のフラッシュROM213に記憶される各ソングデータファイルのファイルサイズを、表示器216に表示されるソングデータリストの一部として、ソングデータファイル名と共に表示するように構成してもよい。
S608の処理後、読み出されたソングデータサイズが、S607の処理により読み出された空きメモリ容量以下(S607の処理により読み出された空きメモリ容量≧S608の処理により読み出されたデータサイズ)であるか否かを確認する(S609)。
S609の処理により確認した結果、S608の処理により読み出されたソングデータサイズが、S607の処理により読み出された空きメモリ容量以下(空きメモリ容量≧ソングデータサイズ)であれば(S609:Yes)、S509の動作指示において選択されたソングデータファイルを電子楽器100へ送信し(S610)、このファイル転送処理(S515)を終了する。
一方、S609の処理により確認した結果、S608の処理により読み出されたソングデータサイズが、S607の処理により読み出された空きメモリ容量を越える場合(空きメモリ容量<ソングデータサイズ)であれば(S609:No)、電子楽器100には、送信選択されたソングデータファイルを受信し得るだけのメモリの空き容量がないことをユーザに報知する表示を表示器216に行うエラー処理を行い(S611)、エラー番号を含むエラーファイルを電子楽器100に送信する(S612)。S612の処理により送信されたエラーファイルが電子楽器100に受信されると、電子楽器100は受信したエラーファイルに基づいて所定のエラー処理を実行する(図7参照)。S612の処理後、このファイル転送処理を終了する。
S609〜S612の処理により、ソングデータファイルの転送先である電子楽器100に、選択されたソングデータファイルを記憶するのに十分な空きメモリ容量がある場合にはソングデータファイルを送信するが、電子楽器100が十分な空きメモリ容量を有さない場合には、ソングデータファイルは送信されない。これにより、携帯電話200から電子楽器100へソングデータファイルの送信を開始してから、電子楽器100側のメモリ不足により、途中まで実行されたファイル送信処理がキャンセルされ、時間及び労力が無駄にされることを抑制できる。
また、S604の処理により確認した結果、情報ファイルから読み出されたマジックナンバの値が、この演奏情報転送システムに対応しないマジックナンバであった場合(S604:No)、ファイルが正しくない(この演奏情報転送システムに合致しないファイルである)ことをユーザに報知する表示を表示器216に行うエラー処理を行い(S613)、このファイル転送処理(S515)を終了する。S604の処理により、所定の値のマジックナンバを有さない、即ち、この演奏情報転送システムに対応しない電子楽器100にはソングデータファイルが送信されない。従って、ソングデータファイルが不特定多数の電子機器(電子楽器、コンピュータなど)に送信されることを抑制でき、それにより、例えば、コンピュータによりソングデータファイルが不正に複製されることを抑止することができる。
更に、S606の処理により確認した結果、情報ファイルから読み出された機種データが、このアプリケーションに対応する機種でない場合(S606:No)、ソングデータ送信先の電子楽器100がアプリケーションに対応しない機種であることをユーザに報知する表示を表示器216に行うエラー処理を行い(S613)、このファイル転送処理(S515)を終了する。606の処理により、アプリケーションに未対応、即ち、このアプリケーションによって送信されるソングデータファイルが未対応であり使用できない機種の電子楽器100に対してはソングデータファイルを送信しない。よって、無駄な転送処理を抑制すると共に、無駄な課金を抑制することができる。また、S613又はS611のエラー処理により、各種エラーに関する情報が表示器216に表示されるので、ユーザはそのエラーの原因を知ることができる。
次に、図7のフローチャートを参照して、本発明の電子楽器100のCPU110で実行されるファイル受信処理について説明する。このファイル受信処理は、携帯電話200のファイル転送処理(図6)のS601の処理において出力された情報ファイルの出力要求が受信されると起動する処理である。
このファイル受信処理では、まず、RAM112に設けられた非図示のタイマカウンタTの値を「0」にセットする(S701)。S701の処理後、マジックナンバと機種データとフラッシュROM113の空きメモリ容量の情報とを含む情報ファイル(図4)を作成する(S702)。S702の処理後、作成された情報ファイルを、情報ファイルの出力要求のあった携帯電話200へ送信する(S703)。
S703の処理により、電子楽器100に関する情報が携帯電話200へ送信されると、携帯電話200で実行されるファイル送信処理(図6)において、その内容に応じて、ソングデータファイルの送信が制御され、電子楽器100がこの演奏情報転送システムに対応しない場合、及び、電子楽器100のフラッシュROM113の空きメモリ容量がソ
ングデータファイルを記憶するのに十分でない場合には、携帯電話200から電子楽器100ははソングデータファイルが送信されない。よって、無駄な転送処理を省くことができる。
S703の処理後、タイマカウンタTに「1」加算する(S704)。S704の処理後、タイマカウンタTの値が予め設定された待ち受け時間Tmax(例えば、10秒)より小さい(T<Tmax)か否かを確認する(S705)。
S705の処理により確認した結果、タイマカウンタTの値がTmaxに達した(T≧Tmax)場合(S705:No)、ファイルが受信されなかったことをユーザに報知する表示を表示器117に行うエラー処理を行い(S709)、このファイル受信処理を終了する。即ち、ソングデータファイル又はエラーファイルのいずれかが、情報ファイルを携帯電話200へ送信してから所定時間内に受信されなければ、これらのソングデータファイル及びエラーファイルの受信を待たずに、このファイル受信処理を終了する。ここで、携帯電話200からソングデータファイル又はエラーファイルが受信されないことは、通信障害によるか、又は、情報ファイルに含まれるマジックナンバもしくは機種データがアプリケーションに対して非対応であることを示す(S604、S606参照)。よって、電子楽器100がこの演奏情報転送システムに非対応である場合、無駄な転送処理が行われず、電子楽器100のフラッシュROM113には無駄なソングデータが書き込まれることもない。
一方、S705の処理により確認した結果、タイマカウンタTの値がTmaxに達していない(T<Tmax)場合(S705:Yes)、ファイルが受信されたか否かを確認する(S706)。S706の処理により確認した結果、ファイルがまだ受信されていなければ(706:No)、S704の処理に戻り、タイマカウンタTの値がTmaxに達するか、ファイルが受信されるまで、S704〜S706の処理を繰り返して待機する。
S706の処理により確認した結果、ファイルが受信されると(S706:Yes)、受信したファイルがソングデータファイルか否かを確認する(S707)。S707の処理により確認した結果、受信したファイルがソングデータファイルであれば(S707:Yes)、受信したソングデータファイルを、フラッシュROM113へ記憶する(S708)。ここで、S708の処理において、テンポラリメモリであるRAM112にまず記憶してから、フラッシュROM113へ記憶するように処理してもよい。S708の処理後、このファイル受信処理を終了する。なお、S708の処理においてフラッシュROM113に記憶されたソングデータファイルは、このファイル受信処理終了後に、ユーザが所望のソングデータファイルを選択し、演奏を実行させると、選択されたソングデータを音源114に入力して楽音を生成することにより、自動演奏を行うことができる。あるいは、S708の処理後、ファイル受信処理を終了する前に、フラッシュROM113へ記憶したソングデータファイルに基づいて自動演奏を行うように構成してもよい。
一方、S707の処理により確認した結果、受信したファイルが、フラッシュROM113の空きメモリ容量不足であることを示すエラーファイルであれば(S707:No)、受信したエラーファイルに含まれるエラー番号に従い、フラッシュROMの空き容量が不足していることをユーザに報知する表示を表示器117に行うエラー処理を行い(S709)、このファイル受信処理を終了する。なお、この場合、エラー処理(S709)において、フラッシュROM113の空き容量を確保するために、既に記憶されているソングデータファイルの削除をユーザに促す表示を行ってもよい。S709のエラー処理により、各種エラーに関する情報が表示器117に表示されるので、ユーザはそのエラーの原因を知ることができる。
以上のように、本発明の電子楽器100によれば、携帯電話200から情報ファイルを送信するよう要求され、その要求に応じて、マジックナンバと機種データとフラッシュROM113の空きメモリ容量の情報とを含む情報ファイルが携帯電話200へ送信される。ここで、携帯電話200側では、受信した情報ファイルに応じて、この演奏情報転送システムに合致しない場合、及び、フラッシュROM113の空きメモリ容量がソングデータサイズに対して十分でない場合には、ソングデータファイルを送信しない。従って、情報ファイルが所定の条件を満たさない電子楽器100はソングデータファイルが受信できない。即ち、電子楽器の個体情報である情報ファイルを、転送元の携帯電話200へ送信することにより、通信規格や通信プロトコルでは制御できないソングデータの転送制御をすることができる。
なお、請求項1記載の演奏手段としては、「フラッシュROM113に記憶されたソングデータを音源114に入力し楽音を生成する」ことが該当し、請求項1記載の作成手段としては、ファイル受信処理(図7)におけるS702の処理が該当する。また、請求項2記載のエラー処理手段としては、ファイル受信処理(図7)のS709の処理において、「ファイルが受信されなかったことをユーザに報知する表示を表示器117に行うエラー処理を行い、このファイル受信処理を終了する」部分が該当する。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、電子楽器100と携帯電話200との間の通信は、赤外線を媒介とする無線回線による通信であるように構成したが、これに変えて、ブルートゥース(blue tooth)通信のような電波を媒体とする通信であっても良い。また、MIDI(Musical Instrument Disital Interface)やUSB(Universal Serial Bus)などのの通信インターフェースを介して、携帯電話200と電子楽器100との間を接続ケーブルにより接続した有線通信であってもよい。
また、本実施例では、携帯電話200が電子楽器100へ送信する演奏情報はソングデータであったが、これに限らず、ミュージックスタイルデータや画像データや着メロデータなどの他のデータであってもよい。
また、本実施例では情報の媒体としてファイルを利用したが、これに代えて、MIDIのSysExc(システムエクスクルーシブ)メッセージの形態であってもよい。
また、本実施例では、携帯電話200が記憶する演奏情報は、インターネット経由で取得されるものであったが、他の通信方法、例えば、赤外線通信などの無線通信、又は、MIDI又はUSBなどのインターフェイスを介した有線通信であってもよい。
また、本実施例では、携帯電話200から電子楽器100へソングデータを転送したが、転送元として、携帯電話200の代わりに他の電子機器(例えば、コンピュータ、PDA(Personal Degital Assistant)など)で構成しても良く、転送先として、電子楽器100の代わりに他の電子機器(例えば、他の電子楽器、炊飯器のような家電製品など)で構成してもよい。
また、本実施例では、実行形式を示すマジックナンバ、転送先の電子楽器100の機種データ、転送先の電子楽器100の空きメモリ容量を含む情報ファイルを確認した結果に応じて、ソングデータの転送を制御するよう構成したが、ソングデータの転送を制御する情報ファイルに含まれる情報としては、マジックナンバ、機種データ、空き容量メモリ情報に限られることなく、例えば、電子楽器100の所有者を特定するユーザID情報、電子楽器100の個体を特定するシリアルナンバ、メーカー名、機器の種類(例えば、コンピュータ、電子ピアノ、炊飯器など)などを利用してもよい。