JP2005030979A - 放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法 - Google Patents

放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高速増殖炉を保有する施設で深刻な問題となりつつある、放射性物質を含むアルコール廃液の貯蔵量増加を解決するための処理方法を提供する。
【解決手段】 炭酸塩生成槽2において、アルコールと、放射性物質を含むナトリウムとを主たる成分とする放射性アルコール廃液に、炭酸ガス又はドライアイスを加えてナトリウムを炭酸塩として析出させた後、減圧乾燥装置4において、減圧乾燥処理して析出物を除去する。析出物は、更に水に溶解させて水溶液とした後にろ過し、放射性固形物を分離することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法に関し、更に詳しくは、高速増殖炉等の原子炉内で取扱われる機器のナトリウム洗浄時に生じる、放射性アルコール廃液の処理方法に関する。
高速増殖炉では冷却材に液体金属ナトリウムを使用しているため、ナトリウム液面上部にはアルゴンカバーガスが満たされている。炉心や大型ナトリウム機器である主冷却系循環ポンプ等は、このカバーガス層を介して設置されている。これらの機器は大気中に設置されている駆動部を除いてメンテナンスフリーに設計されており、したがって、通常の保守は定期点検期間を通じて冷却材バウンダリーを開放せずに行われる。
しかし、例えば、燃料交換作業においては、燃料交換時にグリッパと呼ばれる掴み具を使用し、このグリッバを使用して燃料棒の炉内外への出し入れを行なう。このため、グリッパには放射化されたナトリウムが大量に付着しており、グリッパを専用の洗浄槽にて洗浄して放射化したナトリウムを除去する必要がある。
また、修理・改造等なんらかの理由で、これら大型ナトリウム機器を系外に引抜き、メンテナンスを行なう場合がある。この場合にも、ナトリウムの付着した機器部品の保守、修理、試験、検査、廃棄にあたって、まずナトリウムを洗浄処理しなければならない。
ここで、このナトリウムは、原子炉内で多量の高速中性子に曝された結果、放射化されて放射能を有している。また、炉内構造物から生じるコバルト60、マンガン54等の放射性腐食生成物(CP)も含まれているので、これらを有効かつ安全に洗浄処理し、かつ熱や腐食等で機器を損なわないように行なうのは容易な作業ではなく、ナトリウム取扱い技術の中で最も注意を要する作業の一つである。
上記の放射化されたナトリウムの洗浄方法としては、真空蒸留等の物理的方法や水蒸気洗浄、アンモニア洗浄、水洗浄、アルコール洗浄等の化学的方法があるが、上記のうち、アルコール洗浄は、比較的ナトリウム除去率が高く、反応速度がゆるやかであり、アルカリ腐食を起こす可能性が少ないのでナトリウム機器の構造材料への影響が少ないと考えられている。このため国内外において広く利用されており、特に上述の燃料交換時のグリッパ洗浄に多く用いられている。
しかし、上記のアルコール洗浄法においては、上記放射化されたナトリウムを含むアルコール廃液が大量に発生することとなるので、現在高速増殖炉を保有する施設でその処理が深刻な問題となりつつある。
このアルコール廃液には、ナトリウムと洗浄に用いたアルコール類(エタノール、イソプロパノール)および水が含まれている。ここでアルコールとナトリウムは化学的に反応し、アルコラートを生成している。例えば、エタノールとナトリウムが反応して、アルコラート(エチラート)を生成する化学反応式は以下のように表される。
OH+Na→CONa+1/2H
この放射性物質を含むアルコール廃液を処理するためには、アルコールとナトリウムとを完全に分離することが必要不可欠である。しかし、アルコラートを含む限り、アルコールとナトリウムを完全に分離することができないことが廃液処理を困難にしている。また、アルコラートは30〜50℃で自然発火する性質を持つ危険な物質であるだけでなく、潮解性を有するため保管には湿度管理が必要であるという問題点もある。
上記のアルコール廃液の処理方法に関する従来技術として、放射性アルコール廃液を蒸発処理容器に収容し、該蒸発処理容器内を負圧状態で且つ減圧沸騰しない条件に維持しながらストリップガスとして窒素ガスを流して前記放射性アルコール廃液を蒸発処理することで、主としてアルコール分を蒸発させ蒸発処理容器外に排出してアルコールを回収し、蒸発処理容器内では、アルコールの蒸発に伴い相対的に増加する水によりナトリウムアルコラートの加水分解を進行させてアルコールだけを蒸発回収する方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、アルコールと放射性物質を含んだナトリウムを主たる成分とするアルコール廃液に水を加えて加水分解し、アルコラートを水酸化ナトリウムとした後、電気透析処理でナトリウムを除去し、更に必要に応じて、前記ナトリウムが除去されたアルコールを気化した後、触媒酸化処理で分解することが開示されている(特許文献2参照)。
更に、高速炉で燃料取扱いグリッパ等に付着したナトリウムを、エチルアルコールを用いて洗浄した際に発生する放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法としてドライアイス添加法が行われていることが開示されており、ドライアイス添加法は、水分含有量が多い場合、ナトリウムの沈澱分離効率が低いことが記載されている(特許文献3参照)。
特開2000−65987号公報 特開2002−202398号公報 特開平5−161824号公報
しかし、上記の特開2000−65987号公報の方法においては、放射性物質を含むアルコール溶液からアルコールだけを分離することは可能であるものの、減圧下のアルコール蒸発に伴う水の濃縮によって徐々に加水分解が進行するため、加水分解が完全でなく、アルコール除去率が100%とならない。このため、アルコール分離後の残査溶液には、ある程度のアルコールが残留し、この結果、残査溶液に含まれるアルコールとナトリウムは化学的に反応し、アルコラートを生成する。
つまり、上記従来技術においては、放射性物質を含むアルコール廃液のアルコール濃度を低下させるとともに、アルコールを回収することは可能であるが、アルコールとナトリウムを完全に分離することは不可能であり、アルコラートの残存が避けられないという問題点がある。また、上記従来技術は負圧状態で且つ減圧沸騰しない条件に維持しながら蒸発処理することを特徴とするので、処理時間がかかり、大量のアルコール廃液の処理には適さないという問題点もある。
一方、特開平5−161824号公報に記載されているようなドライアイス添加法においては、アルコール廃液にドライアイスを投入した後、一定期間静置させて炭酸塩を析出させ、ろ過などを行なって炭酸塩(ナトリウム)とアルコールを分離させることが通常行なわれている。しかし、アルコール廃液の含水率が高い場合、炭酸塩の沈殿分離効率が悪く、分離したアルコールにナトリウム塩が混入するという問題があり、析出した炭酸塩は回収できるものの、アルコールや水に溶解した炭酸塩は回収できずに、アルコールと混合したままで分離できなかった。
したがって、本発明の目的は、上記の廃液から、溶解している炭酸塩についてもアルコールと分離し、通常の放射性廃棄物処理施設へ投入することが可能であり、迅速かつ大量に廃液処理が可能である、放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法を提供することである。
上記の従来技術の問題点を解決するため、本発明の放射性アルコール廃液の処理方法は、アルコールと、放射性物質を含むナトリウムとを主たる成分とする放射性アルコール廃液に、炭酸ガス又はドライアイスを加えて、前記ナトリウムを炭酸塩として析出させた後、減圧乾燥処理によって前記析出物を除去することを特徴とする。
本発明の方法によれば、炭酸ガス又はドライアイス処理の後、減圧乾燥処理を行なうので、アルコール及び水を速やかに気化して分離することができる。したがって、アルコール廃液の含水率が高い場合においても、ナトリウムを短時間で効率良く分離することができる。
また、アルコール廃液を直接減圧乾燥せずに、炭酸塩として析出させた後に減圧乾燥するので、ナトリウムが水酸化ナトリウムとして減圧乾燥装置の容器壁面等に付着することがない。水酸化ナトリウムは強アルカリで潮解性を有し、その後の処理が非常に煩雑になるが、本発明においては炭酸塩として回収されるので析出後の取扱いが容易である。
本発明の処理方法においては、前記減圧乾燥処理後の析出物を水に溶解させて水溶液とした後、該水溶液をろ過して放射性固形物を分離することが好ましい。これによれば、更に、回収された炭酸塩を水に溶解した後、ろ過処理を行なうことで、本来アルコール廃液中に混入している、炉内構造物由来の固形物(放射性核種)であるカーボンスラッジや、Co、Mn、Csなどの金属粉を除去することができる。これによって、処理後のアルコール廃液の放射線量を大幅に低減することができる。また、ろ過後の放射性廃棄物をろ過フィルターとともに燃焼させることができ、放射性廃棄物の減容化を図ることができる。
また、本発明においては、前記放射性アルコール廃液が、高速増殖炉等の原子炉内で取扱われる機器のナトリウム洗浄時に生じる廃液であることが好ましい。上記の方法は、アルコール廃液からナトリウム等の放射性物質の分離を、迅速かつ大量に処理可能であるので、高速増殖炉を保有する施設で問題となっている、ナトリウム洗浄時に生じる廃液の処理に好適に用いることができる。
本発明の方法によれば、ナトリウムを炭酸塩として効率良く分離できるので、迅速かつ大量に、しかも安全にアルコール廃液を処理することができる。したがって、このアルコール廃液の処理方法は、現在高速増殖炉を保有する施設で深刻な問題となりつつある、放射性物質を含むアルコール廃液の貯蔵量増加を解決することができる。
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法の一実施形態を示す工程概略図である。
図1に示すように、この実施形態においては、アルコール廃液に炭酸ガスを加えて炭酸塩を析出させる析出工程、析出した炭酸塩及びアルコールを減圧乾燥装置で分離する分離工程、分離された炭酸塩を水溶液とする水溶液化工程、炭酸塩水溶液に酸を加える中和工程、の4工程からなっている。以下、各工程について詳細に説明する。
まず、析出工程では、アルコール廃液タンク1に貯留されている放射性物質を含むアルコール廃液と、炭酸ガスタンク3から供給される炭酸ガスとを、炭酸塩生成槽2において混合し、金属ナトリウムを炭酸塩として析出させる。炭酸塩生成槽2としては、公知の混合装置等を用いることができる。
アルコール廃液としては、例えば、高速実験炉「常陽」の燃料交換機、燃料出入機の燃料掴み部に付着したナトリウムを、市販されている変性エタノールで洗浄したときの廃液が一例として挙げられる。この組成は、エタノールが約65vol%、イソプロピルアルコールが約10vol%であり、残り25vol%が水である。これに加えて、冷却材由来のナトリウムが濃度約4.8g/Lで存在し、炉内構造物の腐食生成物由来の金属成分として、鉄、ニッケル、クロム、マンガン、コバルトなどが0.1〜28ppm程度含まれる。更にこれらの一部は放射化されていることから、放射性核種としてNa22,Co60、Cs157等の放射性物質の存在が確認されている。
炭酸塩生成槽2においては、上記のアルコール廃液と、炭酸ガスとが混合されることにより、以下のように反応して炭酸塩を生じて析出する。
Figure 2005030979
したがって、本発明における炭酸塩としては、(1)の炭酸水素ナトリウム、(2)の炭酸ナトリウム、(3)のエチル炭酸ナトリウムを含むものであると考えられるが、その割合は、(1)の炭酸水素ナトリウムが99.5%、(3)のエチル炭酸ナトリウムが0.5%程度と推定されるため、大部分は炭酸水素ナトリウムである。この炭酸水素ナトリウムは、アルコールに不溶性であることから、炭酸水素ナトリウム生成槽2内部では、生成した炭酸水素ナトリウムが析出し、アルコールと分離した状態となる。
炭酸ガスの供給量としては、アルコール廃液に含まれるナトリウム量や水分量等の組成によって異なり、特に限定されないが、例えば、上記の高速実験炉「常陽」に付着したナトリウムを洗浄したときの廃液組成である、エタノール65vol%、イソプロピルアルコールが10vol%、水25vol、ナトリウム濃度4.8g/Lの組成の場合には、アルコール廃液1Lに対して9g以上の吹き込み量であることが好ましい。吹き込み量が9g未満であると、ナトリウムの析出が不充分であるので好ましくない。
また、炭酸ガスの吹き込み方法は特に限定されないが、フィルター等のない直管の吹込み管を用いることが好ましい。ガラスフィルター等がついた吹込み管を用い、炭酸ガスを微細な泡にして吹き込むと、炭酸塩がガラスフィルター上に析出し、容易に吹込み管が閉塞してしまうので好ましくない。
また、直管の吹き込み管のアルコール廃液への挿入深さを大きくし、吹込みの流速を遅くすることが好ましい。これにより、気泡がアルコール廃液と接触する時間を長くでき、炭酸ガスのアルコール廃液への吸収を効率的に行なうことができる。挿入深さは廃液深さに対して50%以上挿入することが好ましく、吹込みの流速は0.1〜50L/分であることが好ましい。
なお、本発明においては、上記の炭酸ガスタンク3から炭酸ガスを吹き込む代わりに、炭酸塩生成槽2に直接ドライアイスを加えてもよい。
次に、分離工程では、析出した炭酸塩を含む、アルコール及び水とを、減圧乾燥装置4によって、減圧下で分離、乾燥する。この減圧乾燥装置4による減圧乾燥により、アルコール及び水を速やかに気化して分離することができ、アルコール廃液の含水率が高い場合においても、ナトリウムを短時間で効率良く分離することができる。
減圧乾燥装置4としては、公知のハイエバポレーターを用いることができる。このハイエバポレーターは、筒型をした容器であり、内部が真空ポンプで減圧可能となっている。また容器外周に水蒸気を循環させることで、加熱されるように構成されている。また、容器内部の壁面に付着する炭酸塩を剥離するため、容器内側には回転翼が設けられており、この回転翼の回転によって、壁面に付着した炭酸塩を剥離する構造となっている。
そして、この容器の上部から、上記の析出工程後の処理液(アルコール+水+炭酸塩)を投入すると、アルコール+水は速やかに気化し、容器外に排出される。これによって、炭酸塩は析出、乾燥し、容器の底部に落下する。
このようなハイエバポレーターの市販品としては、例えば、株式会社櫻製作所製のハイエバオレータ(商品名)等を使用することができる。なお、減圧乾燥装置4の運転条件である、加熱用蒸気の温度や圧力、容器内の真空度、回転翼の回転数、処理能力等は適宜設定可能であり限定されない。
なお、本発明においては、ナトリウムは炭酸塩として析出しており、水酸化ナトリウムを生成していないので、減圧乾燥装置4における、強アルカリによる容器の腐蝕等の劣化を低減することができる。
減圧乾燥装置4において蒸発した、アルコール蒸気及び水蒸気は、凝縮器10によって液化されたのち、再度グリッパ洗浄用アルコールとして再利用される。凝縮器10としては、公知のコールドトラップ等を用いることができる。これにより、洗浄用アルコール溶液の有効利用を図ることができ、廃液処理を経済的に行なうことができる。
なお、本発明においては、アルコール蒸気は、公知の触媒酸化装置等に導入して二酸化炭素と水蒸気に分解して放出してもよい。このアルコール蒸気は放射性物質が完全に除去されているので、分解生成物である二酸化炭素と水蒸気は、そのまま環境中に放出することが可能である。これにより、大量の廃液を処理した場合においても、アルコールとしての廃液貯蔵量の増加を防止することが可能となる。
一方、減圧乾燥装置4において析出、分離された炭酸塩は、溶解槽7において、水タンク6から供給される水に溶解される。この水溶液化工程によって、炭酸塩は主に炭酸水素ナトリウム水溶液となる。
その後、中和工程において、酸タンク8から供給される硝酸等の酸水溶液と混合され、中和槽9において最終的に中性の炭酸塩水溶液となる。この炭酸塩水溶液は放射能を有するため、既存の放射性廃液処理施設に投入され、処理が行なわれる。
このように、この実施形態の方法によれば、炭酸ガス処理と減圧乾燥処理を組み合わせたので、アルコール及び水を速やかに気化して分離することができ、従来困難であった、アルコール廃液の含水率が高い場合においても、ナトリウムを短時間で効率良く分離することができる。
図2には、本発明の他の実施形態の工程概略図が示されている。なお、以下の実施形態の説明においては、前記実施形態と同一部分には同符合を付して、その説明を省略することにする。
図2に示すように、この実施形態においては、減圧乾燥装置4による分離工程の後に、ろ過処理装置5によるろ過工程が追加されている点が上記の実施形態と異なっている。
上記の分離工程後の炭酸塩には、本来アルコール廃液中に混入している、炉内構造物由来の固形物(放射性核種)であるカーボンスラッジや、Co、Mn、Csなどの金属粉が含まれている。このため、この実施形態によれば、更に、ろ過工程において固形物を除去することで、炭酸塩水溶液の放射線量を大幅に低減することができる。
ろ過処理装置5としては、公知のろ過膜処理装置を用いることができる。また、ろ過後の放射性廃棄物はろ過膜とともに燃焼させることができ、ろ過膜や固形物を構成するカーボンスラッジを熱分解すれば、二次廃棄物(最終廃棄物)として回収されるのは金属だけとなるので、放射性廃棄物の減容化を図ることができる。
ろ過膜の材質としては特に限定されず、セラミック、高分子等の各種の分離フィルター等が使用可能であるが、燃焼が可能である点から高分子が好ましい。また、アルコールなどの有機溶媒や強アルカリ耐性を有しており、更に、燃焼した時に有害ガスを発生しないという観点から、非ハロゲン系の高分子がより好ましい。このような材質としては、例えばポリプロピレン等の精密ろ過膜が挙げられる。
ろ過膜のポアサイズは30μm以下のフィルターを用いることが好ましく、10μm以下がより好ましい。ポアサイズが30μmより大きいと、前記放射性の腐食生成物や金属紛からなる固形物を完全に濾過分離することができず、濾液に前記固形物が残存するので好ましくない。なお、本発明においてはCo60の除染係数が80%以上となるような、ろ過膜を選択して用いることが好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
模擬アルコール廃液として、エタノール65vol%、イソプロピルアルコールが10vol%、水25vol、ナトリウム濃度4.8g/Lの組成の模擬溶液を調整した。ただし模擬溶液であり放射性物質は含んでいない。
この模擬アルコール廃液0.1Lに炭酸ガスを吹き込み、炭酸ガス吹き込み量(g)を変化させた場合のナトリウム濃度(g/L)を測定した。その結果を図3に示す。
また、炭酸水素ナトリウムを、各種含水率のエタノール中に溶解させ、溶解度(g/100mL)を測定した。その結果を図4に示す。
図3より、炭酸ガス吹き込み量の増加に伴って、アルコール廃液中のナトリウム濃度が低下しており、ナトリウムが炭酸水素ナトリウムとして析出していることがわかる。これによれば、試験開始前に存在したナトリウムのうち、95%を炭酸水素ナトリウムとして析出させることが可能であった。
なお、この模擬アルコール廃液には25vol%の水分が含まれているが、図4に示すように、炭酸水素ナトリウムの溶解度は、含水率が0〜30vol%(エタノール濃度で70〜100%)においては、ほとんどアルコール(エタノール)に溶解しない。したがって、炭酸水素ナトリウムは大半を固体として析出させることが可能であることがわかる。
また、一度生成した炭酸水素ナトリウムは、図3に示すように、そのまま18時間、44時間放置しても濃度が変化しなかった。したがって、炭酸水素ナトリウムはアルコール中で安定して存在していることがわかる。
実施例2
表1の組成で模擬アルコール廃液を作成した。ただし模擬溶液であり放射性物質は含んでいない。
Figure 2005030979
この模擬アルコ−ル廃液を、図1に示すような構成の装置を用い、炭酸塩析出槽2で炭酸塩を析出させた後、減圧乾燥装置4で炭酸塩を分離した。
炭酸塩析出槽2においては、模擬アルコール廃液5Lに炭酸ガス100g(50L)を吹き込み、炭酸塩を析出させた。
なお、減圧乾燥装置4としては、株式会社櫻製作所製のハイエバオレータType1503(商品名)を用い、運転条件として、加熱用蒸気温度140℃、蒸気圧力2.5kg/cm、容器内の真空度200Torr、回転翼の回転数1200rpm(40Hz)の条件で運転し、処理速度20〜30L/hで、上記の炭酸塩を含むアルコール廃液を容器内部に投入した。
その結果、ナトリウムの移行率(アルコール中への混入した量)は約2%、アルコールの移行率(ナトリウム塩へ混入した量)は0.006%であり、模擬アルコール廃液から、ナトリウムとアルコールとを充分に分離することが可能であった。
実施例3
実際に高速増殖炉から排出されるアルコール廃液を用い、図2に示すような構成の装置と同等の機能を有する実験装置を用い、炭酸塩を分離した。
なお、ろ過装置5としては、ポリプロピレン製のポアサイズ10μmの精密ろ過膜を用い、ろ過速度1.5L/minでろ過を行なった。
その結果、ろ過状況は良好であり、ろ過膜の変質、溶解、破損は確認されなかった。また、このろ過装置5によるCo60の除染係数は85%であり、ろ過後の液においては、充分に放射性レベルを低下することが可能であった。
本発明は、放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法に関し、更に詳しくは、高速増殖炉等の原子炉内で取扱われる機器のナトリウム洗浄時に生じる、放射性アルコール廃液の処理方法に利用することができる。
本発明の放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法の一実施形態を示す工程概略図である。 本発明の放射性物質を含むアルコール廃液の処理方法の他の実施形態を示す工程概略図である。 実施例における、炭酸ガス吹き込み量とナトリウム濃度との関係を示す図表である。 実施例における、エタノール含水量と、炭酸水素ナトリウムの溶解度との関係を示す図表である。
符号の説明
1 アルコール廃液タンク
2 炭酸塩生成槽
3 炭酸ガスタンク
4 減圧乾燥装置
5 ろ過処理装置
6 水タンク
7 溶解槽
8 酸タンク
9 中和槽
10 凝縮器

Claims (3)

  1. アルコールと、放射性物質を含むナトリウムとを主たる成分とする放射性アルコール廃液に、炭酸ガス又はドライアイスを加えて、前記ナトリウムを炭酸塩として析出させた後、減圧乾燥処理によって前記析出物を除去することを特徴とする放射性アルコール廃液の処理方法。
  2. 前記減圧乾燥処理後の析出物を水に溶解させて水溶液とした後、該水溶液をろ過して放射性固形物を分離する請求項1記載の放射性アルコール廃液の処理方法。
  3. 前記放射性アルコール廃液が、高速増殖炉等の原子炉内で取扱われる機器のナトリウム洗浄時に生じる廃液である請求項1又は2記載の放射性アルコール廃液の処理方法。
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