JP2005030802A - 基礎杭評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基礎杭の性状を容易に把握できる基礎杭評価方法を提供する。
【解決手段】基礎杭10に軸方向に沿った孔12を穿孔する。その孔12にボアホールレーダの送受信部1Bを挿入し、所定深さ位置での杭直方向全周の反射データを取得する。これを、所定深さ単位に実施することで、基礎杭10における評価対象部分の3次元のデータを取得する。その取得したデータに基づき、上記基礎杭10の評価対象部分についての、フェンスダイアグラム表示で反射データの連続性を評価することで品質を把握し、軸直方向若しくはほぼ軸直方向でスライスした円板状の断面イメージを、軸方向に連続的にずらして表示するスライスアニメーション表示を行う。これによって、杭の性状が容易に理解しやすくなる。
【選択図】 図3
【解決手段】基礎杭10に軸方向に沿った孔12を穿孔する。その孔12にボアホールレーダの送受信部1Bを挿入し、所定深さ位置での杭直方向全周の反射データを取得する。これを、所定深さ単位に実施することで、基礎杭10における評価対象部分の3次元のデータを取得する。その取得したデータに基づき、上記基礎杭10の評価対象部分についての、フェンスダイアグラム表示で反射データの連続性を評価することで品質を把握し、軸直方向若しくはほぼ軸直方向でスライスした円板状の断面イメージを、軸方向に連続的にずらして表示するスライスアニメーション表示を行う。これによって、杭の性状が容易に理解しやすくなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート杭や無筋コンクリート杭からなる基礎杭を非破壊探査装置を使用して評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に構築された基礎杭を評価する方法としては、例えば、地盤を掘削して杭頭部を露出させた後に、その頭部を打撃して得られる弾性波からなる反射波の到達時間や反射波形から既存コンクリート杭の長さを測定することで杭の健全性を評価する方法が知られている。しかし、この評価方法では、杭の長さが長い場合には正確な測定を行うのが困難である。さらに、この評価方法では、杭の形状や鉄筋位置を評価することが出来ない。
【0003】
また、指向性の超音波を利用した非破壊探査装置を使用する方法として、例えば特許文献1に記載したものがある。これは、対象物の表壁に対して超音波を発信して対向する表壁からの反射波を受信し、その受信した反射波データによって上記対象物の表面(壁面)の3次元の面的情報を静的な映像として表示して目視確認するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−306923号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記方法では、非破壊探査装置と対向する測定対象物の外表壁の形状を単に探査するものであるため、杭内部に存在する鉄筋位置や形状を評価することができない。また、上記評価方法で、杭外壁を測定しようとすると、杭の外周全周に対して探査装置の送受信部を挿入できるだけ空間を確保せざるを得ず、杭形状の測定が面倒である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、基礎杭の性状を容易に把握できる基礎杭評価方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、コンクリート杭からなる基礎杭を評価する方法であって、基礎杭に対し軸方向に沿って開口している孔若しくは軸方向に穿孔した孔に対し、指向性を有する非破壊探査装置の送受信部を挿入し、その非破壊探査装置によって、所定深さ位置での杭軸に交差する所定円板状平面に沿った周方向全周における複数ヶ所の杭外表面位置及び鉄筋位置までの反射データを取得し、この円板状平面に沿った反射データの取得を、杭軸方向に沿った複数ヶ所の深度位置で実施することで、上記基礎杭における評価対象部分の3次元データを取得し、その取得したデータに基づき、上記基礎杭の評価対象部分についての、杭の軸に交差する面でスライスした断面イメージを、軸方向に連続的にずらして表示するスライスアニメーション表示を行うことを特徴とするものである。
【0007】
次に、請求項2に記載した構成は、請求項1に記載した構成に対し、上記円板状平面に沿った反射データの取得は、送信部から杭軸に交差する方向に電磁波及び超音波のどちらか一方若しくは両方を別時間で発信し、杭の外表面若しくは杭内の鉄筋で反射した反射波を受信部で受信することで実施し、これを上記円板状平面に沿って周方向に発信方向をずらしながら間欠的に行うことで、所定深さ位置における周方向全周における複数ヶ所の少なくとも1種の反射データを取得して解析することを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「杭軸に交差する平面」とは、軸に直交若しくはほぼ直交する平面に限定されない意である。軸直方向の平面に対し所定角度だけ上下に傾斜した平面で切断した円板状の平面に設定しても良い。
また、杭に交差する方向について、探査時における杭との交差角度と、表示時における杭との交差角度とは、必ずしも一致させる必要はない。
【0009】
本発明によれば、杭の軸方向に沿って連続的に断面の状態が連続的に表示されることで、杭の外表面の位置や状態、杭内の鉄筋の位置や配置状態の評価が容易となる。これによって、既存杭や新たに構築した杭などの、基礎杭の健全性を所定の精度で確認可能となる。なお、この評価で使用可能な状態と確認できた場合には、新たに基礎杭を構築し直す必要が無くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、指向性を有する非破壊探査装置として、シングルホール反射法によるボアホールレーダを使用した場合を例に挙げて説明する。ここで、上記シングルホール反射法のボアホールレーダは、送信部である送信アンテナ部からパルス状の電磁波を発信し、反射体からの反射波を受信アンテナ部で受信して、その受信した反射波に基づき反射体の位置情報を検出するものである。
【0011】
先ず、上記処理を行う装置の一例について、図を参照して説明する。
本装置は、図1に示すように、探査装置1、移動装置2、位置検出装置3、コントローラ4、画像処理部6、及び表示装置7を備える。
上記探査装置1は、上述のように、指向性のボアホールレーダであって、送信アンテナ部1Baと受信アンテナ部1Bbとが一体に設定されて孔12内に挿入される送受信部1Bと、その送受信部1Bによる電磁波の送受信を制御する探査装置本体1Aとから構成される。
【0012】
上記送信アンテナ部1Baは、図2のように、孔12内において、杭軸Pに交差する一例である軸直方向である径方向に送信可能に設定されて、探査装置本体1Aからの発信信号によってパルス状の電磁波を径方向に向けて発信する。受信アンテナ部1Bbは、杭10の外表面若しくは鉄筋11で反射した電磁波の反射波を受信し、この受信に応じた電気信号を探査装置本体1Aに出力する。探査装置本体1Aは、コントローラ4からの同期信号によって探査を実施し、探査による反射データをコントローラ4に供給する。
【0013】
上記移動装置2は、孔12に挿入した上記送受信部1Bを支持して、当該送受信部1Bを孔12内で昇降させ所望の深さ位置に設定する昇降部2Aと、上記送受信部1Bを孔12内において、上下軸Pの廻りに周方向に360度全周、回転変位させて、送受信部1Bの送信及び受信の向きを周方向に沿って所定角度づつ回動変位させる回動部2Bとを備え、コントローラ4からの位置指令に応じた位置に、送受信部1Bの深さ位置、及び周方向の向きを調整する。
【0014】
上記位置検出装置3は、上記送受信部1Bの上下方向の深さ位置(深度)及び周方向における発信方向を検出し、その検出信号をコントローラ4に出力する。なお、検出は、上記移動装置2の作動量から検出しても良いし、直接に送受信部1Bの位置を検出するようにしても良い。
上記コントローラ4は、移動装置制御部4A、及び探査装置制御部4Bを備える。符号5は記憶部である。
移動装置制御部4Aは、位置検出装置3からの信号でフィードバック制御を行いながら、探査装置制御部4Bからの指令に基づき、指令通りの深度及び探査向きに送受信部1Bを位置させるための作動指令を上記移動装置2に出力する。
【0015】
探査装置制御部4Bは、予め入力された処理データ列に基づき、上記移動装置制御部4Aを介して、送受信部1Bを初期の深さ位置(評価対象部における上端部位置)まで孔12内に挿入し且つ探査方向の向きも初期位置の方向とする指令を上記移動装置2に出力し、続いて、所定時間単位に所定角度だけ探査の向きを回動変位させる指令を移動装置2に出力する。また、上記回動変位の移動完了に同期をとって探査装置1に探査開始指令を出力し、探査装置1から、現在の深さ及び向きにおける反射データに関する情報を受信する。さらに、探査向きが360度まで回転したと判定したら、つまりその深度位置での全周の探査が終了したと判定したら所定下降量だけ送受信部1Bを下降させる指令を上記移動装置2に送る。これを、評価対象部分の最下部まで実施する。上記受信した反射データの情報は、深さ位置及び向きの情報と共に記憶部5に格納される。
【0016】
ここで、評価対象部分は杭10の全長であっても良いし、杭頭から所定深さまでの部分であっても良いし、軸方向途中部分における所定長さ部分だけであっても良い。
上記画像処理部6は、上記記憶部5に格納された、上記評価対象となる部分についての3次元の円柱状を表示可能な上記反射データに基づき、評価対象となる杭10の部分についての径方向で切断した横断面の輪郭形状を、上部から下方に向けて、若しくは下部から上方に向けて設定されたスライス幅単位に順次イメージを形成し、所定時間毎に表示装置7の表示部(液晶部分など)にアニメーション表示する。例えば、スライス幅を上下の探査位置間(深度間隔)の距離に設定しておき、各探査深度位置単位のデータに基づき、その位置での周方向全周の円板状の面データを、各探査深度位置毎に形成し、その円板状の面データイメージを順次、所定時間間隔でアニメーション表示するようにする。
【0017】
次に、上記装置を使用した杭評価の方法について説明する。
先ず、図2に示すように、地盤中に構築してある対象とする基礎杭10の頭部を露出させ、探査に先立って、杭10の軸Pに沿って穿孔することで軸Pに沿った孔12を形成する。また、新たに構築した基礎杭10の場合には、予め杭構築の際に孔12を設けている場合には、上記穿孔作業は不要である。
【0018】
次に、上記孔12内に送受信部1Bを挿入し、所定深さ位置に配置する。
次に、図3に示すように、送受信部1Bの送信アンテナ部1Baから径方向にパルス状の電磁波を発信し、杭10外周位置(杭10と地盤との境界面)若しくは鉄筋11からの反射波を受信アンテナ部1Bbにて受信し、その反射波の受信時間によって距離を検出する。なお、反射波の強度など、当該反射波の状態によって杭10外周面からの反射か鉄筋11からの反射かは判別可能である。
【0019】
これを円周方向に所定角度づつずらしながら全周に亘って実施することで、径方向全周における複数カ所の杭10の外表面若しくは鉄筋11の位置までの軸中心部からの反射データを取得する。なお、これらのデータによって、その深度位置における、図4のような横断面形状(輪郭形状)の円板状表示や、円周方向に展開した図5のような帯状の距離表示が可能となる。
【0020】
この処理を、上記送受信部1Bの設定深さ位置を順次、探査位置間(深度間隔)の距離だけ下降させて実施することで、評価対象部位について、3次元の円柱状のイメージを表示可能なデータを取得する。そして、取得した3次元の円柱状のデータに基づき、横断面表示を所定スライス幅と表示時間間隔で上側から連続的に下側にずらしながらアニメーション表示を行う。なお、表示における視点位置は、上方でも、側方でも、斜め上方など、その位置に設定しても良い。
【0021】
このスライスアニメーション表示によって杭10の形状及び鉄筋11の配置状態、さらには鉄筋11などの軸方向に沿った形状状態が良く理解可能となる。この評価によって、その基礎杭10の性状が容易に理解されて使用可能か否かを判定できる。
ここで、孔12の延在方向に沿った反射データがある場合には、その反射データを加味して、図6(a)のように、各深度位置での円板状の面データイメージ(各深度の断面形状(輪郭形状))の表示と共に、その面データと交差する上下方向の深度方向の測線イメージも併せて表示、すなわちフェンスダイアフラム表示を行うと、円板状の面データの連続性を確認できることから、探査データの品質を向上させることが可能となる。このような表示を行う場合には、図6(b)〜(d)のように、視点変更/回転や拡大・縮小機能を使いながら上下方向の面データイメージの連続性を詳細に確認することが可能となる。
【0022】
また、図7に示すように、鉄筋11の配置や杭10の外表壁の位置など反射波が強い部分を強調し、3次元的に透過してあたかも空間に杭10と鉄筋11が浮いて見えるような表示を行っても良い。
なお、上記の実施形態では、電磁波を利用する非破壊探査装置1を使用することにより、杭10の各部の径方向の反射データを検出しているが、これに限定されない。
また、電磁波に代えて、超音波を利用することにより、杭10の各部の径の測定、杭10内の鉄筋11位置の検出などを行うようにしても良い。また、ソナーを併用してデータの精度を向上させても良い。
【0023】
また、上記の実施形態では、送信アンテナ部1Baからの電磁波の発信方向を、杭10の径方向、すなわち、杭10の軸直方向とした。しかし、電磁波の発信方向は、必ずしも軸直方向でなくても良く、軸直方向に対して所定角度だけ傾斜した平面上の方向であっても良い。
さらにまた、上記の実施形態では、送受信部1Bを間欠的に回動変位させながら電磁波を発信しこれを受信するようにしたが、その送受信部1Bの回動変位は連続回転または間欠回転のいずれでも良い。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、基礎杭を地中から露出または杭を切断することなく、杭の形状や杭内の鉄筋位置の検出ができ、さらには鉄筋の変化状態なども容易に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る杭と送受信部との関係を示す断面図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る杭と送受信部との関係を示す模式的斜視図である。
【図4】円板状のイメージを示す平面図である。
【図5】帯状に展開表示した場合の例を示す図である。
【図6】スライス幅単位の円板状イメージと深度方向の測線との合成によるイメージを示す図であり、(b)は縮小表示した場合を、(c)(d)は視点変換をした場合を示す。
【図7】透視表示をした場合を示す図である。
【符号の説明】
1 探査装置
1B 送受信部
2 移動装置
3 位置検出装置
4 コントローラ
6 画像処理部
7 表示装置
10 杭
11 鉄筋
12 孔
P 杭の軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート杭や無筋コンクリート杭からなる基礎杭を非破壊探査装置を使用して評価する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に構築された基礎杭を評価する方法としては、例えば、地盤を掘削して杭頭部を露出させた後に、その頭部を打撃して得られる弾性波からなる反射波の到達時間や反射波形から既存コンクリート杭の長さを測定することで杭の健全性を評価する方法が知られている。しかし、この評価方法では、杭の長さが長い場合には正確な測定を行うのが困難である。さらに、この評価方法では、杭の形状や鉄筋位置を評価することが出来ない。
【0003】
また、指向性の超音波を利用した非破壊探査装置を使用する方法として、例えば特許文献1に記載したものがある。これは、対象物の表壁に対して超音波を発信して対向する表壁からの反射波を受信し、その受信した反射波データによって上記対象物の表面(壁面)の3次元の面的情報を静的な映像として表示して目視確認するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−306923号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記方法では、非破壊探査装置と対向する測定対象物の外表壁の形状を単に探査するものであるため、杭内部に存在する鉄筋位置や形状を評価することができない。また、上記評価方法で、杭外壁を測定しようとすると、杭の外周全周に対して探査装置の送受信部を挿入できるだけ空間を確保せざるを得ず、杭形状の測定が面倒である。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、基礎杭の性状を容易に把握できる基礎杭評価方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、コンクリート杭からなる基礎杭を評価する方法であって、基礎杭に対し軸方向に沿って開口している孔若しくは軸方向に穿孔した孔に対し、指向性を有する非破壊探査装置の送受信部を挿入し、その非破壊探査装置によって、所定深さ位置での杭軸に交差する所定円板状平面に沿った周方向全周における複数ヶ所の杭外表面位置及び鉄筋位置までの反射データを取得し、この円板状平面に沿った反射データの取得を、杭軸方向に沿った複数ヶ所の深度位置で実施することで、上記基礎杭における評価対象部分の3次元データを取得し、その取得したデータに基づき、上記基礎杭の評価対象部分についての、杭の軸に交差する面でスライスした断面イメージを、軸方向に連続的にずらして表示するスライスアニメーション表示を行うことを特徴とするものである。
【0007】
次に、請求項2に記載した構成は、請求項1に記載した構成に対し、上記円板状平面に沿った反射データの取得は、送信部から杭軸に交差する方向に電磁波及び超音波のどちらか一方若しくは両方を別時間で発信し、杭の外表面若しくは杭内の鉄筋で反射した反射波を受信部で受信することで実施し、これを上記円板状平面に沿って周方向に発信方向をずらしながら間欠的に行うことで、所定深さ位置における周方向全周における複数ヶ所の少なくとも1種の反射データを取得して解析することを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「杭軸に交差する平面」とは、軸に直交若しくはほぼ直交する平面に限定されない意である。軸直方向の平面に対し所定角度だけ上下に傾斜した平面で切断した円板状の平面に設定しても良い。
また、杭に交差する方向について、探査時における杭との交差角度と、表示時における杭との交差角度とは、必ずしも一致させる必要はない。
【0009】
本発明によれば、杭の軸方向に沿って連続的に断面の状態が連続的に表示されることで、杭の外表面の位置や状態、杭内の鉄筋の位置や配置状態の評価が容易となる。これによって、既存杭や新たに構築した杭などの、基礎杭の健全性を所定の精度で確認可能となる。なお、この評価で使用可能な状態と確認できた場合には、新たに基礎杭を構築し直す必要が無くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、指向性を有する非破壊探査装置として、シングルホール反射法によるボアホールレーダを使用した場合を例に挙げて説明する。ここで、上記シングルホール反射法のボアホールレーダは、送信部である送信アンテナ部からパルス状の電磁波を発信し、反射体からの反射波を受信アンテナ部で受信して、その受信した反射波に基づき反射体の位置情報を検出するものである。
【0011】
先ず、上記処理を行う装置の一例について、図を参照して説明する。
本装置は、図1に示すように、探査装置1、移動装置2、位置検出装置3、コントローラ4、画像処理部6、及び表示装置7を備える。
上記探査装置1は、上述のように、指向性のボアホールレーダであって、送信アンテナ部1Baと受信アンテナ部1Bbとが一体に設定されて孔12内に挿入される送受信部1Bと、その送受信部1Bによる電磁波の送受信を制御する探査装置本体1Aとから構成される。
【0012】
上記送信アンテナ部1Baは、図2のように、孔12内において、杭軸Pに交差する一例である軸直方向である径方向に送信可能に設定されて、探査装置本体1Aからの発信信号によってパルス状の電磁波を径方向に向けて発信する。受信アンテナ部1Bbは、杭10の外表面若しくは鉄筋11で反射した電磁波の反射波を受信し、この受信に応じた電気信号を探査装置本体1Aに出力する。探査装置本体1Aは、コントローラ4からの同期信号によって探査を実施し、探査による反射データをコントローラ4に供給する。
【0013】
上記移動装置2は、孔12に挿入した上記送受信部1Bを支持して、当該送受信部1Bを孔12内で昇降させ所望の深さ位置に設定する昇降部2Aと、上記送受信部1Bを孔12内において、上下軸Pの廻りに周方向に360度全周、回転変位させて、送受信部1Bの送信及び受信の向きを周方向に沿って所定角度づつ回動変位させる回動部2Bとを備え、コントローラ4からの位置指令に応じた位置に、送受信部1Bの深さ位置、及び周方向の向きを調整する。
【0014】
上記位置検出装置3は、上記送受信部1Bの上下方向の深さ位置(深度)及び周方向における発信方向を検出し、その検出信号をコントローラ4に出力する。なお、検出は、上記移動装置2の作動量から検出しても良いし、直接に送受信部1Bの位置を検出するようにしても良い。
上記コントローラ4は、移動装置制御部4A、及び探査装置制御部4Bを備える。符号5は記憶部である。
移動装置制御部4Aは、位置検出装置3からの信号でフィードバック制御を行いながら、探査装置制御部4Bからの指令に基づき、指令通りの深度及び探査向きに送受信部1Bを位置させるための作動指令を上記移動装置2に出力する。
【0015】
探査装置制御部4Bは、予め入力された処理データ列に基づき、上記移動装置制御部4Aを介して、送受信部1Bを初期の深さ位置(評価対象部における上端部位置)まで孔12内に挿入し且つ探査方向の向きも初期位置の方向とする指令を上記移動装置2に出力し、続いて、所定時間単位に所定角度だけ探査の向きを回動変位させる指令を移動装置2に出力する。また、上記回動変位の移動完了に同期をとって探査装置1に探査開始指令を出力し、探査装置1から、現在の深さ及び向きにおける反射データに関する情報を受信する。さらに、探査向きが360度まで回転したと判定したら、つまりその深度位置での全周の探査が終了したと判定したら所定下降量だけ送受信部1Bを下降させる指令を上記移動装置2に送る。これを、評価対象部分の最下部まで実施する。上記受信した反射データの情報は、深さ位置及び向きの情報と共に記憶部5に格納される。
【0016】
ここで、評価対象部分は杭10の全長であっても良いし、杭頭から所定深さまでの部分であっても良いし、軸方向途中部分における所定長さ部分だけであっても良い。
上記画像処理部6は、上記記憶部5に格納された、上記評価対象となる部分についての3次元の円柱状を表示可能な上記反射データに基づき、評価対象となる杭10の部分についての径方向で切断した横断面の輪郭形状を、上部から下方に向けて、若しくは下部から上方に向けて設定されたスライス幅単位に順次イメージを形成し、所定時間毎に表示装置7の表示部(液晶部分など)にアニメーション表示する。例えば、スライス幅を上下の探査位置間(深度間隔)の距離に設定しておき、各探査深度位置単位のデータに基づき、その位置での周方向全周の円板状の面データを、各探査深度位置毎に形成し、その円板状の面データイメージを順次、所定時間間隔でアニメーション表示するようにする。
【0017】
次に、上記装置を使用した杭評価の方法について説明する。
先ず、図2に示すように、地盤中に構築してある対象とする基礎杭10の頭部を露出させ、探査に先立って、杭10の軸Pに沿って穿孔することで軸Pに沿った孔12を形成する。また、新たに構築した基礎杭10の場合には、予め杭構築の際に孔12を設けている場合には、上記穿孔作業は不要である。
【0018】
次に、上記孔12内に送受信部1Bを挿入し、所定深さ位置に配置する。
次に、図3に示すように、送受信部1Bの送信アンテナ部1Baから径方向にパルス状の電磁波を発信し、杭10外周位置(杭10と地盤との境界面)若しくは鉄筋11からの反射波を受信アンテナ部1Bbにて受信し、その反射波の受信時間によって距離を検出する。なお、反射波の強度など、当該反射波の状態によって杭10外周面からの反射か鉄筋11からの反射かは判別可能である。
【0019】
これを円周方向に所定角度づつずらしながら全周に亘って実施することで、径方向全周における複数カ所の杭10の外表面若しくは鉄筋11の位置までの軸中心部からの反射データを取得する。なお、これらのデータによって、その深度位置における、図4のような横断面形状(輪郭形状)の円板状表示や、円周方向に展開した図5のような帯状の距離表示が可能となる。
【0020】
この処理を、上記送受信部1Bの設定深さ位置を順次、探査位置間(深度間隔)の距離だけ下降させて実施することで、評価対象部位について、3次元の円柱状のイメージを表示可能なデータを取得する。そして、取得した3次元の円柱状のデータに基づき、横断面表示を所定スライス幅と表示時間間隔で上側から連続的に下側にずらしながらアニメーション表示を行う。なお、表示における視点位置は、上方でも、側方でも、斜め上方など、その位置に設定しても良い。
【0021】
このスライスアニメーション表示によって杭10の形状及び鉄筋11の配置状態、さらには鉄筋11などの軸方向に沿った形状状態が良く理解可能となる。この評価によって、その基礎杭10の性状が容易に理解されて使用可能か否かを判定できる。
ここで、孔12の延在方向に沿った反射データがある場合には、その反射データを加味して、図6(a)のように、各深度位置での円板状の面データイメージ(各深度の断面形状(輪郭形状))の表示と共に、その面データと交差する上下方向の深度方向の測線イメージも併せて表示、すなわちフェンスダイアフラム表示を行うと、円板状の面データの連続性を確認できることから、探査データの品質を向上させることが可能となる。このような表示を行う場合には、図6(b)〜(d)のように、視点変更/回転や拡大・縮小機能を使いながら上下方向の面データイメージの連続性を詳細に確認することが可能となる。
【0022】
また、図7に示すように、鉄筋11の配置や杭10の外表壁の位置など反射波が強い部分を強調し、3次元的に透過してあたかも空間に杭10と鉄筋11が浮いて見えるような表示を行っても良い。
なお、上記の実施形態では、電磁波を利用する非破壊探査装置1を使用することにより、杭10の各部の径方向の反射データを検出しているが、これに限定されない。
また、電磁波に代えて、超音波を利用することにより、杭10の各部の径の測定、杭10内の鉄筋11位置の検出などを行うようにしても良い。また、ソナーを併用してデータの精度を向上させても良い。
【0023】
また、上記の実施形態では、送信アンテナ部1Baからの電磁波の発信方向を、杭10の径方向、すなわち、杭10の軸直方向とした。しかし、電磁波の発信方向は、必ずしも軸直方向でなくても良く、軸直方向に対して所定角度だけ傾斜した平面上の方向であっても良い。
さらにまた、上記の実施形態では、送受信部1Bを間欠的に回動変位させながら電磁波を発信しこれを受信するようにしたが、その送受信部1Bの回動変位は連続回転または間欠回転のいずれでも良い。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、基礎杭を地中から露出または杭を切断することなく、杭の形状や杭内の鉄筋位置の検出ができ、さらには鉄筋の変化状態なども容易に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る杭と送受信部との関係を示す断面図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係る杭と送受信部との関係を示す模式的斜視図である。
【図4】円板状のイメージを示す平面図である。
【図5】帯状に展開表示した場合の例を示す図である。
【図6】スライス幅単位の円板状イメージと深度方向の測線との合成によるイメージを示す図であり、(b)は縮小表示した場合を、(c)(d)は視点変換をした場合を示す。
【図7】透視表示をした場合を示す図である。
【符号の説明】
1 探査装置
1B 送受信部
2 移動装置
3 位置検出装置
4 コントローラ
6 画像処理部
7 表示装置
10 杭
11 鉄筋
12 孔
P 杭の軸
Claims (2)
- コンクリート杭からなる基礎杭を評価する方法であって、基礎杭に対し軸方向に沿って開口している孔若しくは軸方向に穿孔した孔に対し、指向性を有する非破壊探査装置の送受信部を挿入し、その非破壊探査装置によって、所定深さ位置での杭軸に交差する所定円板状平面に沿った周方向全周における複数ヶ所の杭外表面位置及び鉄筋位置までの反射データを取得し、この円板状平面に沿った反射データの取得を、杭軸方向に沿った複数ヶ所の深度位置で実施することで、上記基礎杭における評価対象部分の3次元データを取得し、その取得したデータに基づき、上記基礎杭の評価対象部分についての、杭の軸に交差する面でスライスした断面イメージを、軸方向に連続的にずらして表示するスライスアニメーション表示を行うことを特徴とする基礎杭評価方法。
- 上記円板状平面に沿った反射データの取得は、送信部から杭軸に交差する方向に電磁波及び超音波のどちらか一方若しくは両方を別時間で発信し、杭の外表面若しくは杭内の鉄筋で反射した反射波を受信部で受信することで実施し、これを上記円板状平面に沿って周方向に発信方向をずらしながら間欠的に行うことで、所定深さ位置における周方向全周における複数ヶ所の少なくとも1種の反射データを取得して解析することを特徴とする請求項1に記載した基礎杭評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003193639A JP2005030802A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 基礎杭評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003193639A JP2005030802A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 基礎杭評価方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005030802A true JP2005030802A (ja) | 2005-02-03 |
Family
ID=34205053
Family Applications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005030802A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011149858A (ja) * | 2010-01-22 | 2011-08-04 | Toyo Asano Foundation Co Ltd | 非破壊測定用治具、及びそれを用いたコンクリート被り厚測定装置、sc杭におけるコンクリート被り厚測定方法 |
JP2019094711A (ja) * | 2017-11-27 | 2019-06-20 | 株式会社大林組 | 地中物の形状評価方法及び地中物計測装置 |
-
2003
- 2003-07-08 JP JP2003193639A patent/JP2005030802A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011149858A (ja) * | 2010-01-22 | 2011-08-04 | Toyo Asano Foundation Co Ltd | 非破壊測定用治具、及びそれを用いたコンクリート被り厚測定装置、sc杭におけるコンクリート被り厚測定方法 |
JP2019094711A (ja) * | 2017-11-27 | 2019-06-20 | 株式会社大林組 | 地中物の形状評価方法及び地中物計測装置 |
JP7039958B2 (ja) | 2017-11-27 | 2022-03-23 | 株式会社大林組 | 地中物の形状評価方法及び地中物計測装置 |
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