上記特許文献1に開示された調湿装置では、ケーシングが上下に2つの空間に仕切られ、このうち下側の空間に冷却用熱交換器が設けられている。このため、冷却用熱交換器としては、その高さがケーシングの高さの半分以下のものを用いなければならず、冷凍サイクル動作中に蒸発器となる冷却用熱交換器の伝熱面積を充分に確保できないという問題があった。そして、このことに起因して、冷凍サイクルのCOP(成績係数)が低くなり、調湿装置の運転に要するエネルギが嵩むという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷媒回路を備える調湿装置において、冷凍サイクル中に蒸発器となる熱交換器の熱交換能力を向上させて、調湿装置の省エネルギー化を図ることにある。
第1の発明は、ファン(95,96)と吸着素子(81,82)とが内部に設けられたケーシング(10)内で被処理空気を流通させ、上記吸着素子(81,82)を用いて被処理空気の湿度調節を行う調湿装置を対象としている。そして、上記吸着素子(81,82)を再生するために該吸着素子(81,82)へ向かう被処理空気を加熱する加熱用熱交換器(102)と、吸着素子(81,82)を通過した被処理空気との熱交換により冷媒を蒸発させるための熱源用熱交換器(103,104)とが接続された冷媒回路を備える一方、上記ケーシング(10)内には、上記吸着素子(81,82)及び加熱用熱交換器(102)が設置される上流側空間(92)と、上記熱源用熱交換器(103,104)が設置される下流側空間(91)とが形成され、上記ケーシング(10)内のうち上流側空間(92)に隣接する部分には、上記吸着素子(81,82)へ向かう被処理空気が流れる流入側通路(66,68)と、上記吸着素子(81,82)を通過した被処理空気が流れて下流側空間(91)に接続する流出側通路(65,67)とが重なって形成されるものである。
第2の発明は、請求項1に記載の調湿装置において、ファン(95,96)は、下流側空間(91)に設置されるものである。
第3の発明は、請求項1又は2に記載の調湿装置において、ケーシング(10)は、直方体状に形成され、下流側空間(91)は、ケーシング(10)の前面部(11)に沿って形成される一方、流入側通路(66,68)及び流出側通路(65,67)は、上記ケーシング(10)の前面部(11)と直交する側面部(71,72)に沿って形成され、熱源用熱交換器(103,104)は、ケーシング(10)の前面部(11)と直交するように設けられるものである。
第4の発明は、請求項1又は2に記載の調湿装置において、ケーシング(10)は、直方体状に形成され、下流側空間(91)は、ケーシング(10)の前面部(11)に沿って形成される一方、流入側通路(66,68)及び流出側通路(65,67)は、上記ケーシング(10)の前面部(11)と直交する側面部(71,72)に沿って形成され、熱源用熱交換器(103,104)は、その一辺がケーシング(10)の前面部(11)と側面部(71,72)により形成された隅角部に位置し、ケーシング(10)の前面部(11)に対して傾斜する姿勢で配置されるものである。
第5の発明は、請求項1乃至4の何れか1つに記載の調湿装置において、熱源用熱交換器(103,104)は、ケーシング(10)の底面部に対して傾斜するように設けられるものである。
第6の発明は、請求項1又は2に記載の調湿装置において、流出側通路(65,66)における下流側の部分は、その断面積が下流側空間(91)へ近づくにつれて徐々に拡大するものである。
第7の発明は、請求項1又は2に記載の調湿装置において、流出側通路(65,66)は、流入側通路(67,68)の上側に形成されており、熱源用熱交換器(103,104)の下方には、該熱源用熱交換器(103,104)で発生したドレン水を受けるためのドレンパン(105,106)が設置されるものである。
−作用−
上記第1の発明では、ケーシング(10)の内部に下流側空間(91)と上流側空間(92)とが形成されている。下流側空間(91)には、熱源用熱交換器(103,104)が設置されている。上流側空間(92)には、吸着素子(81,82)及び加熱用熱交換器(102)が設置されている。また、上流側空間(92)に隣接する部分には、流入側通路(66,68)と流出側通路(65,67)とが重なった状態で形成されている。
ファン(95,96)を駆動すると、被処理空気がケーシング(10)内に取り込まれる。ケーシング(10)内において、被処理空気は、流入側通路(66,68)を通って上流側空間(92)の吸着素子(81,82)へ流入する。被処理空気をそのまま吸着素子(81,82)へ供給すると、被処理空気中の水分が吸着素子(81,82)に吸着されて被処理空気が除湿される。一方、被処理空気を加熱用熱交換器(102)で加熱して吸着素子(81,82)へ供給すると、吸着素子(81,82)から脱離した水分によって被処理空気が加湿される。
吸着素子(81,82)を通過した被処理空気は、上流側空間(92)から流出側通路(65,67)へ送り出される。流出側通路(65,67)を流れる被処理空気は、下流側空間(91)へ流入し、その流れが流入側通路(66,68)の方向に拡大した後、熱源用熱交換器(103,104)を通過する。
また、冷媒回路では、加熱用熱交換器(102)が凝縮器となり、熱源用熱交換器(103,104)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。加熱用熱交換器(102)では、冷媒が被処理空気へ放熱して凝縮する。また、熱源用熱交換器(103,104)では、冷媒が被処理空気から吸熱して蒸発する。
上記第2の発明では、ファン(95,96)が下流側空間(91)に設置されている。このファン(95,96)を運転すると、被処理空気が流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へと引き込まれる。そして、下流側空間(91)へ流入した被処理空気は、熱源用熱交換器(103,104)を通過後にケーシング(10)の外へ送り出される。
上記第3の発明では、ケーシング(10)の前面部(11)に沿って下流側空間(91)が形成され、ケーシング(10)の前面部(11)と直交する側面部(71,72)に沿って流入側通路(66,68)及び流出側通路(65,67)が形成される。また、下流側空間(91)において、熱源用熱交換器(103,104)が、ケーシング(10)の前面部(11)と直交するように設けられている。つまり、熱源用熱交換器(103,104)は、ケーシング(10)の側面部(71,72)と平行に設けられている。
吸着素子(81,82)を通過した被処理空気は、ケーシング(10)の側面部(71,72)に沿って流出側通路(65,67)を流れ、下流側空間(91)のうちケーシング(10)の側面部(71,72)と熱源用熱交換器(103,104)とに挟まれた部分へ流入する。そして、下流側空間(91)へ流入した被処理空気は、熱源用熱交換器(103,104)を通過する。
上記第4の発明では、ケーシング(10)の前面部(11)に沿って下流側空間(91)が形成され、ケーシング(10)の前面部(11)と直交する側面部(71,72)に沿って流入側通路(66,68)及び流出側通路(65,67)が形成される。また、下流側空間(91)において、熱源用熱交換器(103,104)は、その一辺がケーシング(10)の隅角部に位置しており、ケーシング(10)の前面部(11)側から見て左奥又は右奥へ向かって斜めに配置されている。
ケーシング(10)の側面部(71,72)に沿う流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ流入した被処理空気は、斜めに配置された熱源用熱交換器(103,104)を通過する際に左方向又は右方向へ案内され、その流れの方向がケーシング(10)の前面部(11)から見て前後方向から左右方向へとスムーズに変更される。
上記第5の発明では、熱源用熱交換器(103,104)が、ケーシング(10)の底面部に対して傾斜するように設けられている。つまり、ケーシング(10)の底面部に対し、熱源用熱交換器(103,104)は、垂直ではなく傾いた姿勢で設置されている。
上記第6の発明では、吸着素子(81,82)を通過後の被処理空気が、流出側通路(65,67)を通って下流側空間(91)へ流入する。この流出側通路(65,67)の下流側の部分、即ち下流側空間(91)寄りの部分は、下流側空間(91)へ近づくにつれて、その断面積が徐々に拡大している。このため、流出側通路(65,67)を流れる被処理空気は、その流れが下流側空間(91)へ近づくにつれて徐々に拡大してゆく。
上記第7の発明では、熱源用熱交換器(103,104)の下方には、この熱源用熱交換器(103,104)で生じたドレン水を受けるためのドレンパン(105,106)が設けられている。また、ケーシング(10)内では、流出側通路(65,67)が流入側通路(66,68)よりも上側に設けられている。流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ流入した被処理空気は、その流れが下方へと拡大する。
本発明では、上流側空間(92)において流入側通路(66,68)と重なるように流出側通路(65,67)を形成し、この流出側通路(65,67)に接続する下流側空間(91)に熱源用熱交換器(103,104)を配置している。このため、下流側空間(91)では、流出側通路(65,67)の側方から流入側通路(66,68)の側方に亘って熱源用熱交換器(103,104)を設けることができる。そして、従来のように比較的狭い流出側通路(65,67)に熱源用熱交換器(103,104)を設けた場合に比べ、熱源用熱交換器(103,104)における伝熱面積を拡大することができる。従って、この発明によれば、冷媒回路を備える調湿装置において、冷凍サイクル中に蒸発器となる熱交換器の熱交換能力が向上し、冷凍サイクルのCOPが向上するため、装置の省エネルギー化を図ることができる。
上記第2の発明では、ファン(95,96)が設けられる下流側空間(91)に熱源用熱交換器(103,104)を配置している。つまり、熱源用熱交換器(103,104)の設置される下流側空間(91)を利用してケーシング(10)にファン(95,96)を収納している。従って、本発明によれば、ファン(95,96)を設置するためのスペースをケーシング(10)内に別途確保する必要がなくなり、ケーシング(10)の小型化を図ることができる。
上記第3の発明では、流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ流入した被処理空気は、その流れが流出側通路(65,67)と流入側通路(66,68)の積層方向へ拡大し、その後に熱源用熱交換器(103,104)を通過する。よって、この発明によれば、熱源用熱交換器(103,104)の全面に亘って被処理空気の通過風量を均一化することができ、熱源用熱交換器(103,104)における熱交換能力を充分に発揮させることができる。
上記第4の発明では、下流側空間(91)において熱源用熱交換器(103,104)を斜めに配置することで、この熱源用熱交換器(103,104)によって被処理空気の流れがスムーズに変更される。つまり、この発明によれば、斜めに配置された熱源用熱交換器(103,104)を利用して、下流側空間(91)へ流入した被処理空気の流れをガイドすることができる。このため、下流側空間(91)を通過する際の被処理空気の圧力損失を低減でき、ファン(95,96)の駆動に要する電力を削減できる。
また、この発明によれば、熱源用熱交換器(103,104)を斜めに配置することで、熱源用熱交換器(103,104)におけるケーシング(10)の隅角部と直交する辺の長さを、前面部(11)に対する下流側空間(91)の奥行きよりも大きくすることができる。よって、この発明によれば、熱源用熱交換器(103,104)を大型化して伝熱面積を拡大することができ、熱源用熱交換器(103,104)の熱交換能力を向上させることができる。
上記第5の発明によれば、熱源用熱交換器(103,104)において、ケーシング(10)の底面部に対して傾斜する辺の長さを、この底面部と垂直な方向におけるケーシング(10)の辺の長さよりも大きくすることができる。よって、この発明によれば、ケーシング(10)の大きさは変化させずに熱源用熱交換器(103,104)を大型化して伝熱面積を拡大することができ、熱源用熱交換器(103,104)の熱交換能力を向上させることができる。
上記第6の発明によれば、流出側通路(65,67)を流れる被処理空気は、下流側空間(91)へ近づくにつれて、その流れが徐々に拡大してゆく。このため、下流側空間(91)へ流入する被処理空気は、その流れが急拡大せず、滑らかに導入される。よって、流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ流入する際の被処理空気の圧力損失が低減される。また、熱源用熱交換器(103,104)の通過風量をその全面に亘って均一化でき、熱源用熱交換器(103,104)における熱交換能力を向上させることができる。
上記第7の発明では、ケーシング(10)内の上側に流出側通路(65,67)を形成しており、流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ流入する際には、被処理空気の流れが下方へ拡大する。ここで、ケーシング(10)内の下側に流出側通路(65,67)が形成されている場合には、流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ流入した被処理空気が流速の高い状態でドレンパン(105,106)に衝突することとなり、被処理空気の流れが大きく乱れ、被処理空気の圧力損失が大きくなる。
これに対し、この発明では、ケーシング(10)の上側に流出側通路(65,67)を設け、この流出側通路(65,67)から下流側空間(91)へ被処理空気を流入させている。このため、熱源用熱交換器(103,104)の下方に設置されたドレンパン(105,106)に衝突する被処理空気の流速は、流出側通路(65,67)を下側に設ける場合に比べて低くなる。従って、この発明によれば、ドレンパン(105,106)の設置に伴う通風抵抗の増大を抑制することができ、ファン(95,96)の駆動に要する電力を削減できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態に係る調湿装置は、減湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行うように構成されている。また、この調湿装置は、冷媒回路と2つの吸着素子(81,82)とを備え、いわゆるバッチ式の動作を行うように構成されている。ここでは、本実施形態に係る調湿装置の構成について、図1,図6を参照しながら説明する。尚、本実施形態1の説明において、「上」 「下」 「左」 「右」 「前」 「後」 「手前」 「奥」 は、特にことわらない限り、図1に示す調湿装置を正面側から見た場合のものを意味している。
図1に示すように、上記調湿装置は、高さの低い扁平な直方体状のケーシング(10)を備えている。このケーシング(10)には、2つの吸着素子(81,82)と冷媒回路とが収納されている。尚、図1において、(A)は左側面図、(B)は平面図、(C)は右側面図を示す。また、この点は、図2〜4,図7〜9においても同様である。
冷媒回路には、加熱用熱交換器(102)、第1の熱源用熱交換器である第1熱源用熱交換器(103)、第2の熱源用熱交換器である第2熱源用熱交換器(104)、圧縮機(101)、及び膨張弁が設けられている。尚、図1では、加熱用熱交換器(102)、第1熱源用熱交換器(103)、第2熱源用熱交換器(104)及び圧縮機(101)だけを図示している。この冷媒回路では、充填された冷媒を循環させることによって冷凍サイクルが行われる。また、冷媒回路は、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)のうち、少なくとも一方が蒸発器となる動作を行う。本実施形態の調湿装置では、第1熱源用熱交換器(103)が蒸発器となる動作と、第2熱源用熱交換器(104)が蒸発器となる動作とが切り換えて行われる。
図6に示すように、上記吸着素子(81,82)は、平板状の平板部材(83)と波形状の波板部材(84)とを交互に積層して構成されている。波板部材(84)は、隣接する波板部材(84)の稜線方向が互いに90度ずれる姿勢で積層されている。そして、吸着素子(81,82)は、全体として直方体状ないし四角柱状に形成されている。
上記吸着素子(81,82)には、平板部材(83)及び波板部材(84)の積層方向において、調湿側通路(85)と冷却側通路(86)とが平板部材(83)を挟んで交互に区画形成されている。この吸着素子(81,82)において、平板部材(83)の長辺側の側面に調湿側通路(85)が開口し、平板部材(83)の短辺側の側面に冷却側通路(86)が開口している。
上記吸着素子(81,82)において、調湿側通路(85)に臨む平板部材(83)の表面や、調湿側通路(85)に設けられた波板部材(84)の表面には、水蒸気を吸着するための吸着剤が塗布されている。この種の吸着剤としては、例えばシリカゲル、ゼオライト、イオン交換樹脂等が挙げられる。
図1に示すように、上記ケーシング(10)において、最も手前側には前面部としての第1パネル(11)が設けられ、最も奥側には第2パネル(12)が設けられている。また、ケーシング(10)において、第1パネル(11)及び第2パネル(12)の端部には、第1パネル(11)及び第2パネル(12)と直交するように、右側面部(71)と左側面部(72)とが設けられている。
上記第1パネル(11)には、その右寄りの中央に第1の吹出口である排気口(14)が形成され、その左寄りの中央に第2の吹出口である給気口(16)が形成されている。一方、上記第2パネル(12)には、その右端寄りの下部に室外側吸込口(13)が形成され、その左端寄りの下部に室内側吸込口(15)が形成されている。
ケーシング(10)の内部は、第1パネル(11)側の空間と第2パネル(12)側の空間とに仕切られている。
ケーシング(10)の第1パネル(11)側に形成された空間である下流側空間(91)は、左右に2つの空間に区画されている。この2つの空間のうち、右側の空間が第1空間(41)を構成し、左側の空間が第2空間(42)を構成している。
一方、ケーシング(10)の第2パネル(12)側に形成された空間は、右側面部(71)及び左側面部(72)と平行に設けられる右側仕切板(20)と左側仕切板(30)とによって、左右に3つの空間に区画されている。
上記下流側空間(91)のうち第1空間(41)は、排気口(14)を介して室外に連通している。この第1空間(41)内には、左側から順に、冷媒回路の圧縮機(101)と、第1のファンである排気ファン(95)と、第1熱源用熱交換器(103)とが設置されている。
第1熱源用熱交換器(103)は、厚みの薄い直方体状に形成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、その厚さ方向に空気が通過可能となっている。この第1熱源用熱交換器(103)は、第1パネル(11)と直交するように設けられている。また、第1熱源用熱交換器(103)は、その右側面が右側仕切板(20)と概ね一致するように設けられている。第1熱源用熱交換器(103)は、その幅が第1空間(41)の奥行きと、その高さがケーシング(10)の高さとそれぞれ概ね等しくなっている。第1熱源用熱交換器(103)の下方には、第1熱源用熱交換器(103)で発生したドレン水を受けるための第1ドレンパン(105)が設けられている。
上記下流側空間(91)のうち第2空間(42)は、給気口(16)を介して室内に連通している。この第2空間(42)内には、右側から順に、第2のファンである給気ファン(96)と第2熱源用熱交換器(104)とが設置されている。
第2熱源用熱交換器(104)は、第1熱源用熱交換器(103)と同様に、厚みの薄い直方体状に形成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、その厚さ方向に空気が通過可能となっている。この第2熱源用熱交換器(104)は、第1パネル(11)と直交するように設けられている。また、第2熱源用熱交換器(104)は、その左側面が左側仕切板(30)と概ね一致するように設けられている。第2熱源用熱交換器(104)は、その幅が第2空間(42)の奥行きと、その高さがケーシング(10)の高さとそれぞれ概ね等しくなっている。第2熱源用熱交換器(104)の下方には、第2熱源用熱交換器(104)で発生したドレン水を受けるための第2ドレンパン(106)が設けられている。
上記ケーシング(10)の第2パネル(12)側に形成された空間のうち右側仕切板(20)の右側の右側面部(71)に沿う空間は、上下に仕切られている。そして、この空間は、上側の空間が流出側通路としての右上部流路(65)を構成し、下側の空間が流入側通路としての右下部流路(66)を構成している。右上部流路(65)は、第1空間(41)と連通する。右下部流路(66)は、室外側吸込口(13)と連通する一方、第1空間(41)から仕切られている。
左側仕切板(30)の左側の左側面部(72)に沿う空間は、上下に仕切られている。そして、この空間は、上側の空間が流出側通路としての左上部流路(67)を構成し、下側の空間が流入側通路としての左下部流路(68)を構成している。左上部流路(67)は、第2空間(42)と連通する。左下部流路(68)は、室内側吸込口(15)と連通する一方、第2空間(42)から仕切られている。
右側仕切板(20)と左側仕切板(30)との間には、上流側空間(92)が形成されている。この上流側空間(92)には、2つの吸着素子(81,82)が設置されている。これら吸着素子(81,82)は、所定の間隔をおいて前後に並んだ状態に配置されている。具体的には、手前側の第1パネル(11)寄りに第1の吸着素子である第1吸着素子(81)が設けられ、奥側の第2パネル(12)寄りに第2の吸着素子である第2吸着素子(82)が設けられている。
第1,第2吸着素子(81,82)は、それぞれにおける平板部材(83)及び波板部材(84)の積層方向がケーシング(10)の左右方向と一致する姿勢で設置されている。この姿勢の各吸着素子(81,82)では、その上下の側面に調湿側通路(85)が開口し、その前後の側面に冷却側通路(86)が開口する一方、その左右の端面には何れの通路(85,86)も開口していない。
上記上流側空間(92)は、第1流路(51)、第2流路(52)、第1上部流路(53)、第1下部流路(54)、第2上部流路(55)、第2下部流路(56)及び中央流路(57)に区画されている。
第1流路(51)は、第1吸着素子(81)の手前側に形成され、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)に連通している。第2流路(52)は、第2吸着素子(82)の奥側に形成され、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)に連通している。
第1上部流路(53)は、第1吸着素子(81)の上側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第1下部流路(54)は、第1吸着素子(81)の下側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第2上部流路(55)は、第2吸着素子(82)の上側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。第2下部流路(56)は、第2吸着素子(82)の下側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。
中央流路(57)は、第1吸着素子(81)と第2吸着素子(82)の間に形成され、両吸着素子(81,82)の冷却側通路(86)に連通している。この中央流路(57)には、加熱用熱交換器(102)がほぼ垂直に立った状態で設置されている。この加熱用熱交換器(102)は、中央流路(57)を流れる空気を冷媒回路の冷媒と熱交換させる。そして、加熱用熱交換器(102)は、凝縮器として機能し、空気を加熱するための加熱器を構成している。
中央流路(57)と第1下部流路(54)の間の仕切りには、第1シャッタ(61)が設けられている。一方、中央流路(57)と第2下部流路(56)の間の仕切りには、第2シャッタ(62)が設けられている。第1シャッタ(61)と第2シャッタ(62)とは、何れもが開閉自在に構成されている。
右側仕切板(20)には、第1右側開口(21)、第2右側開口(22)、第1右上開口(23)、第1右下開口(24)、第2右上開口(25)、及び第2右下開口(26)が形成されている。これらの開口(21,22,…)は、それぞれが開閉シャッタを備えて開閉自在に構成されている。
第1右側開口(21)は、右側仕切板(20)における手前側の下部に設けられている。第1右側開口(21)の開閉シャッタが開いた状態では、第1流路(51)と右下部流路(66)が互いに連通する。第2右側開口(22)は、右側仕切板(20)における奥側の下部に設けられている。第2右側開口(22)の開閉シャッタが開いた状態では、第2流路(52)と右下部流路(66)が互いに連通する。
第1右上開口(23)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられている。第1右上開口(23)の開閉シャッタが開いた状態では、第1上部流路(53)と右上部流路(65)が互いに連通する。第1右下開口(24)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられている。第1右下開口(24)の開閉シャッタが開いた状態では、第1下部流路(54)と右下部流路(66)が互いに連通する。
第2右上開口(25)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられている。第2右上開口(25)の開閉シャッタが開いた状態では、第2上部流路(55)と右上部流路(65)が互いに連通する。第2右下開口(26)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられている。第2右下開口(26)の開閉シャッタが開いた状態では、第2下部流路(56)と右下部流路(66)が互いに連通する。
左側仕切板(30)には、第1左側開口(31)、第2左側開口(32)、第1左上開口(33)、第1左下開口(34)、第2左上開口(35)、及び第2左下開口(36)が形成されている。これらの開口(31,32,…)は、それぞれが開閉シャッタを備えて開閉自在に構成されている。
第1左側開口(31)は、左側仕切板(30)における手前側の下部に設けられている。第1左側開口(31)の開閉シャッタが開いた状態では、第1流路(51)と左下部流路(68)が互いに連通する。第2左側開口(32)は、左側仕切板(30)における奥側の下部に設けられている。第2左側開口(32)の開閉シャッタが開いた状態では、第2流路(52)と左下部流路(68)が互いに連通する。
第1左上開口(33)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられている。第1左上開口(33)の開閉シャッタが開いた状態では、第1上部流路(53)と左上部流路(67)が互いに連通する。第1左下開口(34)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられている。第1左下開口(34)の開閉シャッタが開いた状態では、第1下部流路(54)と左下部流路(68)が互いに連通する。
第2左上開口(35)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられている。第2左上開口(35)の開閉シャッタが開いた状態では、第2上部流路(55)と左上部流路(67)が互いに連通する。第2左下開口(36)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられている。第2左下開口(36)の開閉シャッタが開いた状態では、第2下部流路(56)と左下部流路(68)が互いに連通する。
−運転動作−
上記調湿装置の運転動作について説明する。この調湿装置は、除湿運転と加湿運転とを切り換えて行う。また、この調湿装置は、第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって除湿運転や加湿運転を行う。
《除湿運転》
図1,図2に示すように、除湿運転時において、給気ファン(96)を駆動すると、室外空気(OA)が室外側吸込口(13)を通じてケーシング(10)内の右下部流路(66)へ第1空気として取り込まれる。一方、排気ファン(95)を駆動すると、室内空気(RA)が室内側吸込口(15)を通じてケーシング(10)内の左下部流路(68)へ第2空気として取り込まれる。また、除湿運転時において、冷媒回路では、加熱用熱交換器(102)が凝縮器となり、第2熱源用熱交換器(104)が蒸発器となる一方、第1熱源用熱交換器(103)が休止している。
(第1動作)
除湿運転の第1動作について、図1,図5を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。つまり、第1動作では、第1吸着素子(81)で空気が減湿されると同時に、第2吸着素子(82)の吸着剤が再生される。
図1に示すように、右側仕切板(20)では、第1右下開口(24)と第2右上開口(25)とが連通状態となり、残りの開口(21,22,23,26)が遮断状態となっている。この状態では、第1右下開口(24)によって右下部流路(66)と第1下部流路(54)とが連通され、第2右上開口(25)によって第2上部流路(55)と右上部流路(65)とが連通される。
左側仕切板(30)では、第1左側開口(31)と第1左上開口(33)とが連通状態となり、残りの開口(32,34,35,36)が遮断状態となっている。この状態では、第1左側開口(31)によって左下部流路(68)と第1流路(51)とが連通され、第1左上開口(33)によって第1上部流路(53)と左上部流路(67)とが連通される。
第1シャッタ(61)は閉鎖状態となり、第2シャッタ(62)は開口状態となっている。この状態では、中央流路(57)と第2下部流路(56)とが、第2シャッタ(62)を介して連通される。
第1空気は、右下部流路(66)から第1右下開口(24)を通って第1下部流路(54)へ流入する。一方、第2空気は、左下部流路(68)から第1左側開口(31)を通って第1流路(51)へ流入する。
図5(a)にも示すように、第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第1空気に含まれる水蒸気が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で減湿された第1空気は、第1上部流路(53)へ流入する。
一方、第1流路(51)の第2空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して加熱用熱交換器(102)を通過する。その際、加熱用熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第2下部流路(56)へ流入する。
第1吸着素子(81)及び加熱用熱交換器(102)で加熱された第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。つまり、第2吸着素子(82)の再生が行われる。吸着剤から脱離した水蒸気は、第2空気と共に第2上部流路(55)へ流入する。
図1に示すように、第1上部流路(53)へ流入した減湿後の第1空気は、第1左上開口(33)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に第2空間(42)へ流入する。第1空気は、左上部通路(67)から第2空間(42)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第2空間(42)では、第1空気の流れが右方向へ曲がる。そして、第1空気は、第2熱源用熱交換器(104)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。減湿されて冷却された第1空気は、給気ファン(96)に吸い込まれ、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、第2上部流路(55)へ流入した第2空気は、第2右上開口(25)を通って右上部流路(65)へ流入し、その後に第1空間(41)へ流入する。第2空気は、右上部通路(65)から第1空間(41)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第1空間(41)では、第2空気の流れが左方向へ曲がる。そして、第2空気は、第1熱源用熱交換器(103)を通過する。その際、第1熱源用熱交換器(103)は休止しており、第2空気は加熱も冷却もされない。第1吸着素子(81)の冷却と第2吸着素子(82)の再生に利用された第2空気は、排気ファン(95)に吸い込まれ、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
(第2動作)
除湿運転の第2動作について、図2,図5を参照しながら説明する。この第2動作では、第1動作時とは逆に、第2吸着素子(82)についての吸着動作と、第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。つまり、第2動作では、第2吸着素子(82)で空気が減湿されると同時に、第1吸着素子(81)の吸着剤が再生される。
図2に示すように、右側仕切板(20)では、第1右上開口(23)と第2右下開口(26)とが連通状態となり、残りの開口(21,22,24,25)が遮断状態となっている。この状態では、第1右上開口(23)によって第1上部流路(53)と右上部流路(65)とが連通され、第2右下開口(26)によって右下部流路(66)と第2下部流路(56)とが連通される。
左側仕切板(30)では、第2左側開口(32)と第2左上開口(35)とが連通状態となり、残りの開口(31,33,34,36)が遮断状態となっている。この状態では、第2左側開口(32)によって左下部流路(68)と第2流路(52)とが連通され、第2左上開口(35)によって第2上部流路(55)と左上部流路(67)とが連通される。
第1シャッタ(61)は開口状態となり、第2シャッタ(62)は閉鎖状態となっている。この状態では、中央流路(57)と第1下部流路(54)とが、第1シャッタ(61)を介して連通される。
第1空気は、右下部流路(66)から第2右下開口(26)を通って第2下部流路(56)へ流入する。一方、第2空気は、左下部流路(68)から第2左側開口(32)を通って第2流路(52)へ流入する。
図5(b)にも示すように、第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第1空気に含まれる水蒸気が吸着剤に吸着される。第2吸着素子(82)で減湿された第1空気は、第2上部流路(55)へ流入する。
一方、第2流路(52)の第2空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して加熱用熱交換器(102)を通過する。その際、加熱用熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第1下部流路(54)へ流入する。
第2吸着素子(82)及び加熱用熱交換器(102)で加熱された第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。つまり、第1吸着素子(81)の再生が行われる。吸着剤から脱離した水蒸気は、第2空気と共に第1上部流路(53)へ流入する。
図2に示すように、第2上部流路(55)へ流入した減湿後の第1空気は、第2左上開口(35)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に第2空間(42)へ流入する。第1空気は、左上部通路(67)から第2空間(42)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第2空間(42)では、第1空気の流れが右方向へ曲がる。そして、第1空気は、第2熱源用熱交換器(104)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。減湿されて冷却された第1空気は、給気ファン(96)に吸い込まれ、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、第1上部流路(53)へ流入した第2空気は、第1右上開口(23)を通って右上部流路(65)へ流入し、その後に第1空間(41)へ流入する。第2空気は、右上部通路(65)から第1空間(41)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第1空間(41)では、第2空気の流れが左方向へ曲がる。そして、第2空気は、第1熱源用熱交換器(103)を通過する。その際、第1熱源用熱交換器(103)は休止しており、第2空気は加熱も冷却もされない。第1吸着素子(81)の再生と第2吸着素子(82)の冷却に利用された第2空気は、排気ファン(95)に吸い込まれ、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
《加湿運転》
図3,図4に示すように、加湿運転時において、給気ファン(96)を駆動すると、室外空気(OA)が室外側吸込口(13)を通じてケーシング(10)内の右下部流路(66)へ第2空気として取り込まれる。一方、排気ファン(95)を駆動すると、室内空気(RA)が室内側吸込口(15)を通じてケーシング(10)内の左下部流路(68)へ第1空気として取り込まれる。また、加湿運転時において、冷媒回路では、加熱用熱交換器(102)が凝縮器となり、第1熱源用熱交換器(103)が蒸発器となる一方、第2熱源用熱交換器(104)が休止している。
(第1動作)
加湿運転の第1動作について、図3,図5を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。つまり、第1動作では、第2吸着素子(82)で空気が加湿され、第1吸着素子(81)の吸着剤が水蒸気を吸着する。
図3に示すように、右側仕切板(20)では、第1右側開口(21)と第1右上開口(23)とが連通状態となり、残りの開口(22,24,25,26)が遮断状態となっている。この状態では、第1右側開口(21)によって右下部流路(66)と第1流路(51)とが連通され、第1右上開口(23)によって第1上部流路(53)と右上部流路(65)とが連通される。
左側仕切板(30)では、第1左下開口(34)と第2左上開口(35)とが連通状態となり、残りの開口(31,32,33,36)が遮断状態となっている。この状態では、第1左下開口(34)によって左下部流路(68)と第1下部流路(54)とが連通され、第2左上開口(35)によって第2上部流路(55)と左上部流路(67)とが連通される。
第1シャッタ(61)は閉鎖状態となり、第2シャッタ(62)は開口状態となっている。この状態では、中央流路(57)と第2下部流路(56)とが、第2シャッタ(62)を介して連通される。
第1空気は、左下部流路(68)から第1左下開口(34)を通って第1下部流路(54)へ流入する。一方、第2空気は、右下部流路(66)から第1右側開口(21)を通って第1流路(51)へ流入する。
図5(a)にも示すように、第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第1空気に含まれる水蒸気が吸着剤に吸着される。第1吸着素子(81)で水分を奪われた第1空気は、第1上部流路(53)へ流入する。
一方、第1流路(51)の第2空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して加熱用熱交換器(102)を通過する。その際、加熱用熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第2下部流路(56)へ流入する。
第1吸着素子(81)及び加熱用熱交換器(102)で加熱された第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。つまり、第2吸着素子(82)の再生が行われる。そして、吸着剤から脱離した水蒸気が第2空気に付与され、第2空気が加湿される。第2吸着素子(82)で加湿された第2空気は、その後に第2上部流路(55)へ流入する。
図3に示すように、第2上部流路(55)へ流入した第2空気は、第2左上開口(35)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に第2空間(42)へ流入する。第2空気は、左上部通路(67)から第2空間(42)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第2空間(42)では、第2空気の流れが右方向へ曲がる。そして、第2空気は、第2熱源用熱交換器(104)を通過する。その際、第2熱源用熱交換器(104)は休止しており、第2空気は加熱も冷却もされない。加湿された第2空気は、給気ファン(96)に吸い込まれ、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、第1上部流路(53)へ流入した第1空気は、第1右上開口(23)を通って右上部流路(65)へ流入し、その後に第1空間(41)へ流入する。第1空気は、右上部通路(65)から第1空間(41)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第1空間(41)では、第1空気の流れが左方向へ曲がる。そして、第1空気は、第1熱源用熱交換器(103)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。水分と熱を奪われた第1空気は、排気ファン(95)に吸い込まれ、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
(第2動作)
加湿運転の第2動作について、図4,図5を参照しながら説明する。この第2動作では、第1動作時とは逆に、第2吸着素子(82)についての吸着動作と、第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。つまり、この第2動作では、第1吸着素子(81)で空気が加湿され、第2吸着素子(82)の吸着剤が水蒸気を吸着する。
図4に示すように、右側仕切板(20)では、第2右側開口(22)と第2右上開口(25)とが連通状態となり、残りの開口(21,23,24,26)が遮断状態となっている。この状態では、第2右側開口(22)によって右下部流路(66)と第2流路(52)とが連通され、第2右上開口(25)によって第2上部流路(55)と右上部流路(65)とが連通される。
左側仕切板(30)では、第1左上開口(33)と第2左下開口(36)とが連通状態となり、残りの開口(31,32,34,35)が遮断状態となっている。この状態では、第1左上開口(33)によって第1上部流路(53)と左上部流路(67)とが連通され、第2左下開口(36)によって左下部流路(68)と第2下部流路(56)とが連通される。
第1シャッタ(61)は開口状態となり、第2シャッタ(62)は閉鎖状態となっている。この状態では、中央流路(57)と第1下部流路(54)とが、第1シャッタ(61)を介して連通される。
第1空気は、左下部流路(68)から第2左下開口(36)を通って第2下部流路(56)へ流入する。一方、第2空気は、右下部流路(66)から第2右側開口(22)を通って第2流路(52)へ流入する。
図5(b)にも示すように、第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第1空気に含まれる水蒸気が吸着剤に吸着される。第2吸着素子(82)で水分を奪われた第1空気は、第2上部流路(55)へ流入する。
一方、第2流路(52)の第2空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着剤に吸着される際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央流路(57)へ流入して加熱用熱交換器(102)を通過する。その際、加熱用熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第1下部流路(54)へ流入する。
第2吸着素子(82)及び加熱用熱交換器(102)で加熱された第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着剤が加熱され、吸着剤から水蒸気が脱離する。つまり、第1吸着素子(81)の再生が行われる。そして、吸着剤から脱離した水蒸気が第2空気に付与され、第2空気が加湿される。第1吸着素子(81)で加湿された第2空気は、その後に第1上部流路(53)へ流入する。
図4に示すように、第1上部流路(53)へ流入した第2空気は、第1左上開口(33)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に第2空間(42)へ流入する。第2空気は、左上部通路(67)から第2空間(42)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第2空間(42)では、第2空気の流れが右方向へ曲がる。そして、第2空気は、第2熱源用熱交換器(104)を通過する。その際、第2熱源用熱交換器(104)は休止しており、第2空気は加熱も冷却もされない。そして、加湿された第2空気は、給気ファン(96)に吸い込まれ、その後に給気口(16)を通って室内へ供給される。
一方、第2上部流路(55)へ流入した第1空気は、第2右上開口(25)を通って右上部流路(65)へ流入し、その後に第1空間(41)へ流入する。第1空気は、右上部通路(65)から第1空間(41)へ流入する際、その流れがケーシング(10)の高さ方向に拡大する。第1空間(41)では、第1空気の流れが左方向へ曲がる。そして、第1空気は、第1熱源用熱交換器(103)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。水分と熱を奪われた第1空気は、排気ファン(95)に吸い込まれ、その後に排気口(14)を通って室外へ排出される。
−実施形態1の効果−
本実施形態では、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)が設置される第1空間(41)及び第2空間(42)は、その高さがケーシング(10)の高さと等しくなっている。このため、第1空間(41)及び第2空間(42)には、ケーシング(10)の高さと同程度の高さの第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を設置することができる。よって、従来のようなケーシング(10)の高さの半分以下の熱交換器を使用する場合に比べ、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)における伝熱面積を拡大することができる。従って、本実施形態によれば、冷媒回路を備える調湿装置において、冷凍サイクル動作中に蒸発器となる熱交換器の熱交換能力が向上し、冷凍サイクルのCOPが向上するため、装置の省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態では、排気ファン(95)及び給気ファン(96)が設けられる下流側空間(91)に第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を配置している。つまり、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の設置される下流側空間(91)を利用してケーシング(10)に排気ファン(95)及び給気ファン(96)を収納している。従って、本実施形態によれば、排気ファン(95)及び給気ファン(96)を設置するためのスペースをケーシング(10)内に別途確保する必要がなくなり、ケーシング(10)の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、右上部流路(65)から第1空間(41)へ流入した空気は、その流れがケーシング(10)の高さ方向へ拡大し、その後に第1熱源用熱交換器(103)を通過する。同様に、左上部流路(67)から第2空間(42)へ流入した空気は、その流れがケーシング(10)の高さ方向へ拡大し、その後に第2熱源用熱交換器(104)を通過する。従って、本実施形態によれば、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の全面に亘って空気の通過風量を均一化することができ、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)における熱交換能力を充分に発揮させることができる。
更に、本実施形態では、ケーシング(10)内の上側に右上部流路(65)及び左上部流路(67)を形成しており、右上部流路(65)及び左上部流路(67)から第1空間(41)又は第2空間(42)へ流入する際には、空気の流れが下方へ拡大する。
ここで、ケーシング(10)内の下側に右上部流路(65)が形成されている場合には、右上部流路(65)から第1空間(41)へ流入した空気が流速の高い状態で第1ドレンパン(105)に衝突することとなり、空気の流れが大きく乱れ、空気の圧力損失が大きくなる。また、ケーシング(10)内の下側に左上部流路(67)が形成されている場合も、左上部流路(67)から第2空間(42)へ流入した空気が第2ドレンパン(106)に衝突し、同様の問題が生じる。
これに対し、本実施形態では、ケーシング(10)の上方に右上部流路(65)及び左上部流路(67)を設け、右上部流路(65)から第1空間(41)へ、左上部流路(67)から第2空間(42)へそれぞれ空気を流入させている。このため、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の下方に設置された第1,第2ドレンパン(105,106)に衝突する空気の流速は、右上部流路(65)及び左上部流路(67)を下方に設ける場合に比べて低くなる。従って、本実施形態によれば、ドレンパン(105,106)の設置に伴う通風抵抗の増大を抑制することができ、ファン(95,96)の駆動に要する電力を削減できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の調湿装置において、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
図7に示すように、本実施形態の調湿装置において、第1空間(41)に設置される第1熱源用熱交換器(103)は、手前側の一辺が第1パネル(11)と右側面部(71)とにより形成されるケーシング(10)の隅角部に位置している。また、第1熱源用熱交換器(103)の奥側の一辺は、手前側の一辺よりも左寄りに位置している。つまり、第1熱源用熱交換器(103)は、手前から左奥へ向かって第1空間(41)を斜めに横断するように設けられている。また、第1熱源用熱交換器(103)は、その高さがケーシング(10)の高さと概ね等しくなっている。
一方、第2空間(42)に設置される第2熱源用熱交換器(104)は、手前側の一辺が第1パネル(11)と左側面部(72)とにより形成されるケーシング(10)の隅角部に位置している。また、第2熱源用熱交換器(104)の奥側の一辺は、手前側の一辺よりも右寄りに位置している。つまり、第2熱源用熱交換器(104)は、手前から右奥へ向かって第2空間(42)を斜めに横断するように設けられている。また、第2熱源用熱交換器(104)は、その高さがケーシング(10)の高さと概ね等しくなっている。
右上部通路(65)を通過する空気は、第1空間(41)へ流入する際、その流れが下方へ拡大する。第1空間(41)において、空気は、第1熱源用熱交換器(103)を通過する際に左方向へ案内され、その流れの方向がケーシング(10)の前後方向から左右方向へとスムーズに変更される。一方、左上部通路(67)を通過する空気は、第2空間(42)へ流入する際、その流れが下方へ拡大する。第2空間(42)において、空気は、第2熱源用熱交換器(104)を通過する際に右方向へ案内され、その流れの方向がケーシング(10)の前後方向から左右方向へとスムーズに変更される。そして、第1空間(41)及び第2空間(42)では、流れの方向の変化した空気が排気ファン(95)及び給気ファン(96)へ吸い込まれる。
このように、本実施形態では、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を斜めに配置し、この第1,第2熱源用熱交換器(103,104)によって空気の流れを排気ファン(95)や給気ファン(96)の方向へ案内している。つまり、本実施形態によれば、斜めに配置された第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を利用して、第1空間(41)や第2空間(42)へ流入した空気を排気ファン(95)や給気ファン(96)の方向へガイドすることができる。このため、第1空間(41)や第2空間(42)を通過する際の空気の圧力損失を低減でき、ファン(95,96)の駆動に要する電力を削減できる。
また、本実施形態によれば、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を斜めに配置することで、第1空間(41)及び第2空間(42)において、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)における水平方向の辺の長さを、第1空間(41)及び第2空間(42)の奥行きよりも大きくすることができる。よって、本実施形態によれば、第1,第2の熱交換器(103,104)を大型化して伝熱面積を拡大することができ、第1,第2の熱交換器(103,104)の熱交換能力を向上させることができる。
−実施形態2の変形例−
上記実施形態2の調湿装置において、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の構成を変更してもよい。ここでは、本変形例について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
図8に示すように、本変形例では、第1空間(41)に設置される第1熱源用熱交換器(103)は、その中央部付近で右側面部(71)側へ折れ曲がった「く」の字状に形成されている。また、第2空間(42)に設置される第2熱源用熱交換器(104)は、その中央部付近で左側面部(72)側へ折れ曲がった「く」の字状に形成されている。
本変形例によれば、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)における水平方向の辺の長さを大きくすることができ、その伝熱面積を一層拡大することができる。従って、本変形例によれば、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の熱交換能力を一層向上させることができる。
《その他の実施形態》
−第1変形例−
上記実施形態1及び2の調湿装置において、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の構成を変更してもよい。
具体的に、上記調湿装置では、第1空間(41)及び第2空間(42)において、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を、ケーシング(10)の底面部に対して傾いた姿勢で設置してもよい。本変形例において、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)は、第1空間(41)及び第2空間(42)の高さ方向の全体に亘って設けられている。つまり、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)は、ケーシング(10)の底面部に対して傾斜する辺の長さが、ケーシング(10)の高さよりも大きくなっている。
本変形例によれば、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)において、ケーシング(10)の底面部に対して傾斜する辺の長さを、ケーシング(10)の高さよりも大きくすることができる。従って、本変形例によれば、ケーシング(10)の大きさは変化させずに第1,第2熱源用熱交換器(103,104)を大型化して伝熱面積を拡大することができ、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の熱交換能力を向上させることができる。
−第2変形例−
上記実施形態1及び2の調湿装置では、右上部流路(65)及び左上部流路(67)の構成を変更してもよい。ここでは、本変形例を、上記実施形態1に適用した場合について説明する。
図9に示すように、本変形例の調湿装置では、右上部流路(65)及び左上部流路(67)の下流側の部分、即ち下流側空間(91)寄りの部分の高さが、下流側空間(91)へ近づくにつれて徐々に高くなっている。つまり、右上部流路(65)及び左上部流路(67)は、その下流側の部分の断面積が、下流側空間(91)へ近づくにつれて徐々に拡大している。
具体的に、右上部流路(65)及び左上部流路(67)は、その下流側の部分が、右下部流路(66)及び左下部流路(68)側へ一定の角度で傾斜している。また、これに限らず、右上部流路(65)及び左上部流路(67)は、その下流側の部分において、右下部流路(66)及び左下部流路(68)側への傾斜角度が徐々に増加するものであってもよい。
本変形例によれば、右上部流路(65)及び左上部流路(67)を流れる空気は、下流側空間(91)へ近づくにつれてその流れが徐々に拡大してゆく。このため、下流側空間(91)へ流入する空気は、その流れが急拡大せず、ケーシング(10)の高さ方向全体に滑らかに導入される。よって、右上部流路(65)及び左上部流路(67)から第1空間(41)又は第2空間(42)へ流入する際の空気の圧力損失が低減される。また、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)の通過風量をその全面に亘って均一化でき、第1,第2熱源用熱交換器(103,104)における熱交換能力を向上させることができる。