JP2005029553A - 養殖魚の酸化ストレス抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マダイなどの養殖魚の酸化ストレスを防止するためフェルラ酸およびγ−オリザノールなどのフェニールプロパノイド化合物を配合した養殖魚の酸化ストレス改善剤を提供する。
【解決手段】フェニールプロパノイド化合物を用いる事を特徴とする養殖魚の酸化ストレス改善剤。
【解決手段】フェニールプロパノイド化合物を用いる事を特徴とする養殖魚の酸化ストレス改善剤。
Description
本発明は養殖魚の酸化ストレス抑制剤に関し、さらに詳しくはフェニールプロパノイド化合物、特にフェルラ酸およびγ−オリザノールの少なくとも1種の化合物を含有する養殖魚の酸化ストレス抑制剤に関する。
養殖魚は、天然魚に比べ水深の浅い場所でしかも過密な状態で養殖されるので、種々ストレスを受けている。中でも、養殖魚にかかる酸化ストレスは、体色の黒化、肉質の低下、脂質の劣化などを招き、養殖魚の品質を低下させている。さらに酸化ストレスは種々の疾病の原因になり、養殖魚の健全な成長を妨げている(熊井英水編、最新海産魚の養殖、湊文社、2000、岡村由起子、養殖臨時増刊、p164−166、緑書房、2000)。また、種苗生産用の親魚にかかる酸化ストレスは、孵化発生率の低下や稚魚の奇形発生の原因になっている。これらの酸化ストレスを防止するため、ビタミンC,ビタミンEなどの抗酸化活性を持つビタミン類の投与が行われているが、これのみでは充分な効果をあげているとは言い難い。また、例えばカテキンなどの天然抗酸化剤を投与する方法(H.Nakagawa et al.,Fisheries Science,66,321−326(2000))もあるが、価格と効果の点で問題がある。
本発明の目的は、養殖魚に特有の酸化ストレスを抑制することにある。
本発明は、前記の目的を達成するため、種々の天然抗酸化活性物質について検討を重ねた結果、米ぬかに含まれるフェルラ酸またはγ−オリザノールなどのフェニールプロパノイド化合物が養殖魚の酸化ストレスを軽減する効果を持つということを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、フェルラ酸またはγ−オリザノールなどのフェニールプロパノイド化合物を養殖魚に投与することにより過酸化脂質の生成を抑制し、酸化ストレスが改善でき得るということを見い出した。本発明によるフェニールプロパノイド化合物はドライペレット、モイストペレットをはじめ、自家製の飼料などいずれの形態の養魚飼料にも添加することができる。フェルラ酸またはγ−オリザノールは純品もしくはこれらの化合物を含む米ぬか抽出物を用いることもできる。
養魚用配合飼料に添加するフェルラ酸またはγ−オリザノールの量は、適宜添加することができるが、好ましくは0.0001−1%の範囲であり、さらに好ましくは0.005−0.5%である。また、フェルラ酸とγ−オリザノールを混合して用いることもできる。これらの化合物の投与期間も特に限定されるものではないが、養殖の全期間を通じて投与することが好ましい。
本発明において用いられるフェニールプロパノイド化合物のうち、典型的に使用されるフェルラ酸およびγ−オリザノールは、下記の化1で示される化合物である。
フェルラ酸は、前記化1においてR=Hの化合物である。また、γ−オリザノールは前記化1において、R=ステロール、トリテルペンアルコール、高級アルコールの化合物である。これらの化合物は、米ぬかをはじめ多くの食物に含まれ、かつヒトが常に摂取しているものであるから、その安全性は確立されている。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
マダイ1年魚での試験
(1)試験飼料調整法:魚粉60%、穀類15%、植物性油かす類10%、そうこう類(米ぬか、ふすま)5%、その他(動物油脂、ビール酵母、炭酸カルシュウム、リン酸カルシュウム)10%からなる配合飼料[マダイ育成用配合飼料マダイEP45(キリンフィード株)]に、表1に示すごとくフェルラ酸またはγ−オリザノールを添加した試験飼料を調整した(コントロール区は無添加)。
マダイ1年魚での試験
(1)試験飼料調整法:魚粉60%、穀類15%、植物性油かす類10%、そうこう類(米ぬか、ふすま)5%、その他(動物油脂、ビール酵母、炭酸カルシュウム、リン酸カルシュウム)10%からなる配合飼料[マダイ育成用配合飼料マダイEP45(キリンフィード株)]に、表1に示すごとくフェルラ酸またはγ−オリザノールを添加した試験飼料を調整した(コントロール区は無添加)。
(2)飼育条件:平均体重280g前後のマダイを一群30尾ずつ2×2×2.5mの網生簀に収容して8試験区を設け海面で飼育試験を98日間行った。その飼育成績を表2に示した。
過酸化物生成抑制効果
各試験区から5尾の肝臓を取り出し、肝臓中の過酸化物量をチオバルビツール酸法で求めた(福沢建治、寺尾純二著、過酸化脂質実験法、廣川書店、1990)。表3に各試験区の魚の肝臓の過酸化物量をマロンヂアルデヒド(MDA)含量で示した。コントロール区(1区)に比べて、フェルラ酸およびγ−オリザノール投与区(2−8区)ではマロンヂアルデヒド含量が減少していた。これらの結果は、フェルラ酸およびγ−オリザノール投与により魚の酸化ストレスが軽減されたことを示している。また表2に示したようにコントロール区(1区)に比べてフェルラ酸およびγ−オリザノール投与によって体重、飼料効率とも増加した。
各試験区から5尾の肝臓を取り出し、肝臓中の過酸化物量をチオバルビツール酸法で求めた(福沢建治、寺尾純二著、過酸化脂質実験法、廣川書店、1990)。表3に各試験区の魚の肝臓の過酸化物量をマロンヂアルデヒド(MDA)含量で示した。コントロール区(1区)に比べて、フェルラ酸およびγ−オリザノール投与区(2−8区)ではマロンヂアルデヒド含量が減少していた。これらの結果は、フェルラ酸およびγ−オリザノール投与により魚の酸化ストレスが軽減されたことを示している。また表2に示したようにコントロール区(1区)に比べてフェルラ酸およびγ−オリザノール投与によって体重、飼料効率とも増加した。
親魚を用いたフィールド試験
(1)試験飼料調整法:フェルラ酸5kgとγ−オリザノール10kgを乾燥脱脂米ぬか985kgと混合したプレミックスを作成した。これをカタクチイワシなどを主成分とする生餌と市販の配合飼料を1:1で混合したモイストペレットに添加し、試験飼料を作成した。このプレミックスの無添加区を1区(コントロール区)、プレミックス1%添加区を2区、プレミックス2%添加区を3区とした。
(2)飼育条件:平均体重1100g前後のマダイ2年魚を一群10、000尾ずつ12×12×10mの網生簀に収容して3試験区を設け海面で上記飼料を与えた飼育試験を122日間行った。
(1)試験飼料調整法:フェルラ酸5kgとγ−オリザノール10kgを乾燥脱脂米ぬか985kgと混合したプレミックスを作成した。これをカタクチイワシなどを主成分とする生餌と市販の配合飼料を1:1で混合したモイストペレットに添加し、試験飼料を作成した。このプレミックスの無添加区を1区(コントロール区)、プレミックス1%添加区を2区、プレミックス2%添加区を3区とした。
(2)飼育条件:平均体重1100g前後のマダイ2年魚を一群10、000尾ずつ12×12×10mの網生簀に収容して3試験区を設け海面で上記飼料を与えた飼育試験を122日間行った。
試験開始122日後、各試験区から無作為に5尾ずつをとり、その魚体重の測定、および血漿の過酸化物量をチオバルビツール酸法で測定した。その結果を表4に示した。
表4に示した様に、マダイ親魚の血漿中のマロンヂアルデヒド含量(MAD)はコントロール区(1区)で52.5nmol/mlであるのに対して、フェルラ酸とγ−オリザノール混合物プレミックス1%投与区(2区)で42.3nmol/ml、プレミックス2%投与区(3区)で38.3nmol/mlと減少していた。この結果は、フェルラ酸とγ−オリザノール混合物の投与によって魚の酸化ストレスが軽減されたことを示している。またコントロール区(1区)に比べて2区および3区で体重増加が認められた。これらの結果より、マダイ親魚を用いたフィールド試験でもフェルラ酸とγ−オリザノールの投与により酸化ストレスが軽減され、養殖魚の生育にプラスの効果を与えることが明らかになった。
本発明は、養殖魚の酸化ストレスを抑制するため、フェルラ酸およびγ−オリザノールなどのフェニールプロパノイド化合物を使用するものであり、本発明により、養殖魚の酸化ストレスの軽減が図られる。
Claims (2)
- フェニールプロパノイド化合物を有効成分とする養殖魚の酸化ストレス抑制剤。
- フェニールプロパノイド化合物がフェルラ酸およびγ−オリザノールの少なくとも1種の化合物である請求項1記載の養殖魚の酸化ストレス抑制剤。
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JP2003293226A JP2005029553A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 養殖魚の酸化ストレス抑制剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007068527A (ja) * | 2005-09-08 | 2007-03-22 | Res Inst For Prod Dev | 養殖フグのストレス抑制剤 |
WO2009119047A1 (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-01 | 坂本飼料株式会社 | 魚類を用いた植物生理活性物質の濃縮・蓄積方法 |
JP2013055949A (ja) * | 2012-11-12 | 2013-03-28 | Tokyo Univ Of Marine Science & Technology | 魚類のタンパク質節約を目的とした飼料 |
-
2003
- 2003-07-08 JP JP2003293226A patent/JP2005029553A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009119047A1 (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-01 | 坂本飼料株式会社 | 魚類を用いた植物生理活性物質の濃縮・蓄積方法 |
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