JP2005029533A - O−モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の課題は入手が容易な2,3-ジヒドロキシナフタレンを出発原料としてO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを簡便な操作で製造する方法を提供することである。
【解決手段】
2,3-ジヒドロキシナフタレンを出発原料とするO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造における反応混合物からのO-モノ置換体の精製において、反応混合物のそれぞれのヒドロキシル基に着目し、それらのアルカリ金属塩の水や有機溶媒への溶解度の違いを利用することで上記課題を解決した。
【選択図】
なし
本発明の課題は入手が容易な2,3-ジヒドロキシナフタレンを出発原料としてO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを簡便な操作で製造する方法を提供することである。
【解決手段】
2,3-ジヒドロキシナフタレンを出発原料とするO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造における反応混合物からのO-モノ置換体の精製において、反応混合物のそれぞれのヒドロキシル基に着目し、それらのアルカリ金属塩の水や有機溶媒への溶解度の違いを利用することで上記課題を解決した。
【選択図】
なし
Description
本発明は、入手が容易な2,3-ジヒドロキシナフタレンを出発原料としたO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造法に関するものであって、有機合成の分野だけでなく、医農薬等の属する分野においても有用な中間体であるO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを簡便な操作で製造する方法に関するものである。
O-モノ置換ジヒドロキシナフタレンは、ジヒドロキシナフタレンの二つのヒドロキシル基の一つが置換されている化合物で、未置換のヒドロキシル基に異なる置換基を導入することができ、O,O'-二置換ジヒドロキシナフタレンを合成することができる有用な合成中間体である。
また、O-モノ置換ジヒドロキシナフタレンは、医農薬等の合成における不斉配位子や不斉補助剤として有用な光学活性ビナフトールの合成原料である。例えば、2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンは、二量化により得られるラセミ体のビナフトールを官能基変換し3,3'-ジヒドロキシ-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルへと導き、アセチル化した後、リパーゼによって選択的に加水分解する方法(例えば非特許文献1)や光学活性バナジウム錯体を触媒とした酸化的二量化法(例えば非特許文献2)による光学活性ビナフトールの合成に利用されている。
従来、O-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを製造する方法として、例えば2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンの場合、2,3-ジヒドロキシナフタレンにベンジルクロリドを反応させ、カラムクロマトグラフィーにより2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンを精製する方法が報告されている(例えば非特許文献3)。
K. Tanaka, T. Furuta, K. Fuji, Y. Miwa, T. Taga, Tetrahedron Asymmetry, 7 2199 (1996)
S. -W. Hon, C. -H. Li, J. -H. Kuo, N. B. Barhate, Y. -H. Liu, Y. Wang, C. -T. Chen, Org. Lett., 3, 869 (2001)
H. M. Colquhoun, E. P. Goodings, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1985, 607
しかしながら、上記の方法は、2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンから未反応の2,3-ジヒドロキシナフタレンと二つのヒドロキシル基の両方がベンジル化された2,3-ジベンジルオキシナフタレンを除去するために、カラムクロマトグラフィーが必要である。一般に、カラムクロマトグラフィーによる精製は多量の溶媒を必要とし、多くの時間を必要とするという問題点を有している。また、このときの収率は21%と低く満足できるものではない。有機合成の分野だけでなく、医農薬等の分野においてもO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを簡便な操作で入手できる方法が強く求められている。
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。本発明は、O-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを簡便な操作で製造する方法に関するものである。すなわち、本発明は、下記反応式1
(ただし、R1はアルキル基、アリールアルキル基、アルキルオキシメチル基から選択され、Xはハロゲン原子から選択される)に示すとおりO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを合成し、簡便な操作で、O-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを分離、精製するものである。
本発明の代表的な例として2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンの製造法を示す。これは本発明の有用性を明らかにするための例示であって、本発明を限定するものではない。
本発明は、入手が容易な2,3-ジヒドロキシナフタレンを下記反応式2
に示すとおりベンジル化する。反応後、反応容器には、(A)、(B)、(C)の3種類の化合物が存在する。この3種類の混合物に水とエーテルを加えてエーテル層を分取し、このエーテル層に高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を加え、ヒドロキシル基をナトリウム塩にする。このとき、二つのヒドロキシル基の両方がベンジル化しているナフタレン(C)は塩にならないためエーテル中に存在する。一方、少なくとも一つ以上のヒドロキシル基を有する(A)と(B)は、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液によりナトリウム塩となり、その塩はエーテルに溶解しないため沈澱する。したがって、ろ過することで(A)と(B)のナトリウム塩が得られる。次に、これらにエーテルと塩酸の混合溶液を加え、エーテル層を分取する。このエーテル層に希薄な水酸化ナトリウム水溶液を加えることで、(A)は水層に、(B)は有機層に分離することができる。したがって、2,3-ジヒドロキシナフタレンをベンジル化し、ろ過と分液操作のみで2-ヒドロキシ-3-ベンジルオキシナフタレンを精製することができる。
上記のように、本発明は入手が容易な2,3-ジヒドロキシナフタレンを出発原料としてO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを合成し、ろ過と分液操作のみで未反応のジヒドロキシナフタレンと副生成物からO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを分離精製することができる。したがって、本発明により従来必要であった煩雑な精製操作、特にカラムクロマトグラフィーによる精製を行うことなく、簡便な操作でO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを得ることができる。
上記のように、本発明は有機合成の分野だけでなく、医農薬等の属する分野においても有用な中間体であるO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを簡便な操作で製造する方法を提供するものである。本発明は、煩雑な操作、特にカラムクロマトグラフィーによる精製を行うことなく、簡便な操作でしかも高い収率でO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンを入手することができる極めて有用な方法である。
以下に好ましい実施例を記載するが、これは例示であり、本発明を制限するものではない。
実施例1 2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンの合成
2,3-ジヒドロキシナフタレン100g(0.62mol)をジメチルホルムアミド600mlに溶解し、炭酸水素ナトリウム55.0g(0.66mol)を数回に分け加え、100℃で30分間攪拌した。この溶液にベンジルクロリド72ml(0.62mol)を滴下し、100℃で4時間攪拌した。その後、炭酸水素ナトリウム11.0g(0.13mol)、ベンジルクロリド7.2ml(0.06mol)を追加し、反応液を1時間攪拌した。その後、反応液をエーテル1lと水1lの混合溶液に加え、分液し、水層はエーテル1lで再び抽出した。抽出した有機層を合わせ、水1l(3回)、飽和食塩水で洗浄した。この有機層に6.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液104ml(0.62mol)を0℃でゆっくりと加え、30分間攪拌し、析出した白色沈殿物を濾取しエーテル150ml(2回)で洗浄した。その後、沈殿物をエーテル1.5l、塩酸水溶液の混合溶液に加え、分液し、有機層を0.2mol/l水酸化ナトリウム水溶液500ml(2回)、1mol/l塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥させ、ろ過し、ろ液から溶媒を常圧留去し、2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンの薄茶色固体107.1g(収率69%)を得た。
2,3-ジヒドロキシナフタレン100g(0.62mol)をジメチルホルムアミド600mlに溶解し、炭酸水素ナトリウム55.0g(0.66mol)を数回に分け加え、100℃で30分間攪拌した。この溶液にベンジルクロリド72ml(0.62mol)を滴下し、100℃で4時間攪拌した。その後、炭酸水素ナトリウム11.0g(0.13mol)、ベンジルクロリド7.2ml(0.06mol)を追加し、反応液を1時間攪拌した。その後、反応液をエーテル1lと水1lの混合溶液に加え、分液し、水層はエーテル1lで再び抽出した。抽出した有機層を合わせ、水1l(3回)、飽和食塩水で洗浄した。この有機層に6.0mol/l水酸化ナトリウム水溶液104ml(0.62mol)を0℃でゆっくりと加え、30分間攪拌し、析出した白色沈殿物を濾取しエーテル150ml(2回)で洗浄した。その後、沈殿物をエーテル1.5l、塩酸水溶液の混合溶液に加え、分液し、有機層を0.2mol/l水酸化ナトリウム水溶液500ml(2回)、1mol/l塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、乾燥させ、ろ過し、ろ液から溶媒を常圧留去し、2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンの薄茶色固体107.1g(収率69%)を得た。
得られた2-ベンジルオキシ-3-ヒドロキシナフタレンの物性値を以下に示す。
融点:94-95℃
IR(KBr):3516, 3439, 3055, 1514, 1481 cm-1
1H-NMR(200MHz, CDCl3):δ5.21 (s, 2H), 5.96 (s, 1H), 7.15-7.55 (m, 9H), 7.60-7.70 (m, 2H)
元素分析(C17H14O2の理論値C 81.58, H 5.64):実測値C 81.71, H 5.57
融点:94-95℃
IR(KBr):3516, 3439, 3055, 1514, 1481 cm-1
1H-NMR(200MHz, CDCl3):δ5.21 (s, 2H), 5.96 (s, 1H), 7.15-7.55 (m, 9H), 7.60-7.70 (m, 2H)
元素分析(C17H14O2の理論値C 81.58, H 5.64):実測値C 81.71, H 5.57
Claims (2)
- 下記構造式
反応混合物にアルカリ水溶液を加え、下記構造式
- 請求項1において、R1がベンジル基、XがCl、MがNa、アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液であることを特徴とするO-モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003272661A JP2005029533A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | O−モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003272661A JP2005029533A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | O−モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造法 |
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JP2003272661A Withdrawn JP2005029533A (ja) | 2003-07-10 | 2003-07-10 | O−モノ置換ジヒドロキシナフタレンの製造法 |
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JP (1) | JP2005029533A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017150622A1 (ja) * | 2016-03-01 | 2017-09-08 | 日本ゼオン株式会社 | モノエーテル化体を含む溶液組成物の製造方法、溶液組成物、及び重合性化合物の製造方法 |
-
2003
- 2003-07-10 JP JP2003272661A patent/JP2005029533A/ja not_active Withdrawn
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