JP2005029435A - 金属−セラミックス焼結積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 工程が少なく効率的な金属−セラミックス焼結積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 金属粉とセラミックス粉、または金属粉と金属粉およびセラミックスの混合粉とセラミックス粉とを積層充填して圧縮成形し、その成形体を、無酸化性雰囲気中で、含有する金属の融点未満の温度で加熱し焼結して、金属−セラミックス焼結積層体を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属粉とセラミックス粉、または金属粉と金属粉およびセラミックスの混合粉とセラミックス粉とを積層充填して圧縮成形し、その成形体を、無酸化性雰囲気中で、含有する金属の融点未満の温度で加熱し焼結して、金属−セラミックス焼結積層体を得る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、耐熱性と熱伝導性、あるいは電気絶縁性と電気伝導性および熱伝導性を兼ね備え、熱応力緩和が求められる金属とセラミックスの積層体を、粉末冶金法によって製造する方法に関する。当該積層体は、半導体装置の放熱材料、熱電変換発電装置の接合パッド等に利用される。
耐熱性と放熱性を兼ね備えた金属−セラミックス積層体としては、特許文献1に記載のように、金属層(銅、ニッケル、タングステン等)とセラミックス層(アルミナ、窒化アルミニウム、窒化硼素等)との間に、金属とセラミックスの混合成分の中間層を有し、中間層が段階的または連続的に変化しているものがある。このような積層体は、セラミックス基板に、金属を含む層を、溶射によって積層したり、ペーストを印刷して積層したりした後、ホットプレスやHIP(熱間静水圧圧縮)、あるいは成形体に直接電圧を印加して粒子間に放電プラズマを起こさせる通電加熱法等で焼結することにより製造されている。
また、特許文献2には、アルミナ基板と銅板の間に、タングステン、銀−銅合金、チタンを含み、銅板側の組成が銀−銅合金量の多い中間層が形成されたものが記載されている。中間組成物はペーストを印刷して積層し、焼結は、真空中、あるいは窒素ガス、水素ガス、アルゴンガスのいずれかの雰囲気中で行っている。
また、特許文献2には、アルミナ基板と銅板の間に、タングステン、銀−銅合金、チタンを含み、銅板側の組成が銀−銅合金量の多い中間層が形成されたものが記載されている。中間組成物はペーストを印刷して積層し、焼結は、真空中、あるいは窒素ガス、水素ガス、アルゴンガスのいずれかの雰囲気中で行っている。
上記従来技術は、予め焼結されたセラミックス基板に、金属層を溶射またはペースト印刷により積層し、次いで金属層を焼結して得るものであり、品質上は、セラミックスの強度が高く、金属層も緻密なので熱伝導性も良好であるとされている。しかしながら、このような製造方法においては、セラミックスを高温で焼成した後、異なる組成の金属含有粉末を、順次溶射したり、ペーストにした材料の印刷、乾燥を繰り返したりするので、工程が多く製造時間が長くなり、かつ、煩雑であることから、より簡単に製造できることが望まれている。
よって本発明は、工程が少なく効率的な金属−セラミックス焼結積層体の製造方法を提供することを目的としている。
よって本発明は、工程が少なく効率的な金属−セラミックス焼結積層体の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、金属粉とセラミックス粉、または金属粉と金属粉およびセラミックスの混合粉とセラミックス粉とを積層充填して圧縮成形し、その成形体を、無酸化性雰囲気中で、含有する金属の融点未満の温度で加熱し、焼結することを特徴としている。
上記本発明の金属粉の金属種としては、銅、アルミニウム、銀、ニッケルのいずれか、またはこれらのうちの少なくとも2種の混合物が用いられる。また、セラミックスの種類としては、アルミナまたは窒化アルミニウムが挙げられる。
本発明では、さらに次の形態を追加させることができる。
セラミックス粉に、硼酸、無水硼砂、三硼酸ナトリウム、五硼酸ナトリウム、ソーダ石灰ガラスのうちの少なくとも1種の低融点粉末を、50質量%以下の割合で混合する。また、セラミックス粉に、メチルセルロース(MC)、ボリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のいずれかの結着材を、1質量%以下の割合で混合する。また、セラミックス粉に結着材を混合する場合、その混合粉の粒径を150μm以下に造粒して用いる。さらに、金属とセラミックスの混合粉として異なる組成の2種類以上の混合粉を用いる場合、金属層側には金属とセラミックスの容積比が同じか金属成分が多い混合粉を用い、セラミックス側にはセラミックス成分が多い混合粉を用いる。
セラミックス粉に、硼酸、無水硼砂、三硼酸ナトリウム、五硼酸ナトリウム、ソーダ石灰ガラスのうちの少なくとも1種の低融点粉末を、50質量%以下の割合で混合する。また、セラミックス粉に、メチルセルロース(MC)、ボリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のいずれかの結着材を、1質量%以下の割合で混合する。また、セラミックス粉に結着材を混合する場合、その混合粉の粒径を150μm以下に造粒して用いる。さらに、金属とセラミックスの混合粉として異なる組成の2種類以上の混合粉を用いる場合、金属層側には金属とセラミックスの容積比が同じか金属成分が多い混合粉を用い、セラミックス側にはセラミックス成分が多い混合粉を用いる。
本発明によれば、粉末冶金法による粉末の成形、焼結の工程を経ることにより、金属−セラミックス焼結積層体を、工程が少なく能率よく製造することができるといった効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
まず、使用する個々の材料および製造方法の好ましい例について詳述する。
(1)セラミックス粉
セラミックス粉は、電気絶縁性、熱伝導性に優れるアルミナ、窒化アルミニウムが用いられる。両者のうちでは、粉末の圧縮成形性に優れるとともに、比較的低融点であることから、アルミナが特に好ましい。セラミックス層を形成するセラミックス粉は、圧縮成形によってできるだけ緻密化し、焼結性も良好であることが望ましいので、粒度が細かいものが好ましい。なお、粒度が細かい故に粉末流動性に劣る場合には、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の結着材を用いて50〜150μm程度に造粒すると、粉末の流動性が向上して成形金型への粉末充填が容易になり、かつ、成形体の強度が高くなるので好ましい。また、粒度の細かい粉末と比較して粗粉を混合すると、焼結性と粉末流動性を改良することができる。中間層となる金属とセラミックスの混合物に混合されるセラミックス粉は、金属粉中に均一に分散され、金属粉が焼結されるように、金属粉の粒度と類似した粒度のものを用いると良い。
まず、使用する個々の材料および製造方法の好ましい例について詳述する。
(1)セラミックス粉
セラミックス粉は、電気絶縁性、熱伝導性に優れるアルミナ、窒化アルミニウムが用いられる。両者のうちでは、粉末の圧縮成形性に優れるとともに、比較的低融点であることから、アルミナが特に好ましい。セラミックス層を形成するセラミックス粉は、圧縮成形によってできるだけ緻密化し、焼結性も良好であることが望ましいので、粒度が細かいものが好ましい。なお、粒度が細かい故に粉末流動性に劣る場合には、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の結着材を用いて50〜150μm程度に造粒すると、粉末の流動性が向上して成形金型への粉末充填が容易になり、かつ、成形体の強度が高くなるので好ましい。また、粒度の細かい粉末と比較して粗粉を混合すると、焼結性と粉末流動性を改良することができる。中間層となる金属とセラミックスの混合物に混合されるセラミックス粉は、金属粉中に均一に分散され、金属粉が焼結されるように、金属粉の粒度と類似した粒度のものを用いると良い。
(2)セラミックス粉に添加する低融点粉末
セラミックス粉だけで構成されたセラミックス層は、金属層を焼結する温度で加熱しても焼結が不十分であり、ハンドリングは可能だが強い衝撃を与えると破壊するおそれがある。セラミックス層の強度をより高くするために、金属層の焼結温度で軟化または液相を発生する電気絶縁性のある物質を粉末の形で混合しておくと、比較的低温で液相焼結され、これによってセラミックス層が強固なものとなる。
このような低融点粉末は次のようなものが挙げられる。
a)硼酸(H3BO3):無水硼酸の状態で融点577℃
b)無水硼砂(Na2B4O7):融点741℃
c)五硼酸ナトリウム(NaB5O8・5H2O):融点750℃
d)三硼酸ナトリウム(NaB3O5):融点694℃
e)ソーダ石灰ガラス(SiO2−Na2O−CaO−Al2O3−MgO):
軟化点500〜700℃、融点約725℃
低融点粉末は、融点の低いものと高いものとを複数で添加することができる。添加量は0.1質量%程度で強度が向上することが認められる。多量に添加すると、焼結中および金属−セラミックス焼結積層体の使用温度が高い場合において液相が表面に吹き出すおそれがあるので、50質量%以下の添加量が好ましい。
セラミックス粉だけで構成されたセラミックス層は、金属層を焼結する温度で加熱しても焼結が不十分であり、ハンドリングは可能だが強い衝撃を与えると破壊するおそれがある。セラミックス層の強度をより高くするために、金属層の焼結温度で軟化または液相を発生する電気絶縁性のある物質を粉末の形で混合しておくと、比較的低温で液相焼結され、これによってセラミックス層が強固なものとなる。
このような低融点粉末は次のようなものが挙げられる。
a)硼酸(H3BO3):無水硼酸の状態で融点577℃
b)無水硼砂(Na2B4O7):融点741℃
c)五硼酸ナトリウム(NaB5O8・5H2O):融点750℃
d)三硼酸ナトリウム(NaB3O5):融点694℃
e)ソーダ石灰ガラス(SiO2−Na2O−CaO−Al2O3−MgO):
軟化点500〜700℃、融点約725℃
低融点粉末は、融点の低いものと高いものとを複数で添加することができる。添加量は0.1質量%程度で強度が向上することが認められる。多量に添加すると、焼結中および金属−セラミックス焼結積層体の使用温度が高い場合において液相が表面に吹き出すおそれがあるので、50質量%以下の添加量が好ましい。
(3)セラミックス粉の結着材
セラミックス層の圧縮成形体は、セラミックス粉の粒度分布を調整することで取扱いができる強度を得ることができるが、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような結着剤を混合し、あるいは造粒の結着剤として添加すると、より強度が高いものとすることができる。これによって粉末成形および焼結工程で搬送する際に、割れや欠損を生じ難くすることができる。結着剤を用いなくても製造できるが、金型充填性を良くするために造粒して粉末流動性を改善することが望ましい。
結着材は、焼結の際の加熱によって消失する。結着剤の多量の添加は、焼結後のセラミックス層の密度を低くし、かつ、熱伝導性を悪くするので、1質量%以下の添加量が望ましい。
セラミックス層の圧縮成形体は、セラミックス粉の粒度分布を調整することで取扱いができる強度を得ることができるが、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような結着剤を混合し、あるいは造粒の結着剤として添加すると、より強度が高いものとすることができる。これによって粉末成形および焼結工程で搬送する際に、割れや欠損を生じ難くすることができる。結着剤を用いなくても製造できるが、金型充填性を良くするために造粒して粉末流動性を改善することが望ましい。
結着材は、焼結の際の加熱によって消失する。結着剤の多量の添加は、焼結後のセラミックス層の密度を低くし、かつ、熱伝導性を悪くするので、1質量%以下の添加量が望ましい。
(4)金属層の粉末
金属粉は、電気伝導性と熱伝導性を兼ね備える金属層を形成し、銅、アルミニウム、銀、ニッケルのいずれか、またはこれらのうちの少なくとも2種の混合物が用いられる。混合物としては、例えば銅とアルミニウムの組合せが挙げられる。これらの粉末は圧縮性が良好であるが、金型充填が容易であるように100メッシュ篩を通過する程度の粉末粒度が好ましい。微粉を用いる場合は、造粒によって粉末流動性を改善することができる。
金属粉は、電気伝導性と熱伝導性を兼ね備える金属層を形成し、銅、アルミニウム、銀、ニッケルのいずれか、またはこれらのうちの少なくとも2種の混合物が用いられる。混合物としては、例えば銅とアルミニウムの組合せが挙げられる。これらの粉末は圧縮性が良好であるが、金型充填が容易であるように100メッシュ篩を通過する程度の粉末粒度が好ましい。微粉を用いる場合は、造粒によって粉末流動性を改善することができる。
(5)中間層の粉末
中間層は、金属粉とセラミックス粉とを容積比で約1:1で混合したもの、または、中間層を複数に形成する場合は、金属層側に向かって金属粉の量が多い混合粉と、セラミックス層側に向かってセラミックス粉の量が多い混合粉とによって形成される。セラミックス粉は造粒されることなく金属粉と混合され、互いに均一に分散した混合粉とされる。
中間層は、金属粉とセラミックス粉とを容積比で約1:1で混合したもの、または、中間層を複数に形成する場合は、金属層側に向かって金属粉の量が多い混合粉と、セラミックス層側に向かってセラミックス粉の量が多い混合粉とによって形成される。セラミックス粉は造粒されることなく金属粉と混合され、互いに均一に分散した混合粉とされる。
(6)成形潤滑剤
上記金属粉は圧縮性が良いので成形潤滑剤を混合する必要はないが、成形金型から抜出す際の離型を容易にするために、成形金型の内壁に金属ステアレート等の潤滑剤を塗布することが望ましい。成形潤滑剤を塗布するには、静電塗布あるいは液体分散したものを塗布する方法がある。
上記金属粉は圧縮性が良いので成形潤滑剤を混合する必要はないが、成形金型から抜出す際の離型を容易にするために、成形金型の内壁に金属ステアレート等の潤滑剤を塗布することが望ましい。成形潤滑剤を塗布するには、静電塗布あるいは液体分散したものを塗布する方法がある。
(7)積層構造
積層構造は、積層方向の一端面側から順に、金属層−セラミックス層、金属層−中間層−セラミックス層、金属層−中間層−セラミックス層−中間層、金属層−中間層−セラミックス層−中間層−金属層の形態が挙げられる。中間層は、1種または複数が積層されたものである。セラミックス層は熱伝導性が比較的劣るので薄く形成することが望ましいが、あまり薄く形成しようとすると、隣り合う金属を含む層が混在し易くなって電気絶縁性が低減するおそれがあるので、圧縮成形体のセラミックス層の厚さは、0.5〜2mm程度が好ましい。
積層構造は、積層方向の一端面側から順に、金属層−セラミックス層、金属層−中間層−セラミックス層、金属層−中間層−セラミックス層−中間層、金属層−中間層−セラミックス層−中間層−金属層の形態が挙げられる。中間層は、1種または複数が積層されたものである。セラミックス層は熱伝導性が比較的劣るので薄く形成することが望ましいが、あまり薄く形成しようとすると、隣り合う金属を含む層が混在し易くなって電気絶縁性が低減するおそれがあるので、圧縮成形体のセラミックス層の厚さは、0.5〜2mm程度が好ましい。
(8)粉末の積層充填
成形体の外周を造形するダイおよび上下のパンチで構成される成形金型内に各粉末を充填するには、ダイキャビティに向かって進退する粉末フィーダを用いことができる。粉末フィーダは、進退方向に複数の粉箱が結合され、例えば、積層構造が金属層−中間層−セラミックス−中間層−金属層である場合には、3個の粉箱を有し、前方から金属粉、中間粉末、セラミックス粉が装填される。下パンチをダイ上面と面一な状態で粉末フィーダを前進させて金属粉の入った粉箱を下パンチの上に停止させ、下パンチまたはダイを移動させてキャビティを形成すると、金属粉が充填される。次に、中間層粉末をダイキャビティ上に移動させ、同様に充填する。セラミックス粉も同様にして充填した後、粉末フィーダを順次後退させながら、5層の積層充填を行うことができる。複数の粉箱間に空間を設けた粉末フィーダ構造とし、1種の粉末を充填した後、空間をキャビティ上に停止させた状態で、充填した粉末をダイ面から下降させてキャビティを形成するとともに、空間から上パンチ、あるいはフィーダに付設した簡易的なパンチによりダイキャビティの壁面に付着する充填粉末を掻き落とす操作を行うと、より区画された積層構造の圧縮成形体を得ることができる。
成形体の外周を造形するダイおよび上下のパンチで構成される成形金型内に各粉末を充填するには、ダイキャビティに向かって進退する粉末フィーダを用いことができる。粉末フィーダは、進退方向に複数の粉箱が結合され、例えば、積層構造が金属層−中間層−セラミックス−中間層−金属層である場合には、3個の粉箱を有し、前方から金属粉、中間粉末、セラミックス粉が装填される。下パンチをダイ上面と面一な状態で粉末フィーダを前進させて金属粉の入った粉箱を下パンチの上に停止させ、下パンチまたはダイを移動させてキャビティを形成すると、金属粉が充填される。次に、中間層粉末をダイキャビティ上に移動させ、同様に充填する。セラミックス粉も同様にして充填した後、粉末フィーダを順次後退させながら、5層の積層充填を行うことができる。複数の粉箱間に空間を設けた粉末フィーダ構造とし、1種の粉末を充填した後、空間をキャビティ上に停止させた状態で、充填した粉末をダイ面から下降させてキャビティを形成するとともに、空間から上パンチ、あるいはフィーダに付設した簡易的なパンチによりダイキャビティの壁面に付着する充填粉末を掻き落とす操作を行うと、より区画された積層構造の圧縮成形体を得ることができる。
充填された粉末の表面は、微視的には凹凸があるため、隣り合う粉末とは僅かの部分で混合された状態を形成する。中間層とセラミックス層も同様であり、各層は画然と組成が分かれているわけではなく層間は絡み合っているので、層間が剥離しにくいものとなる。
(9)粉末の圧縮成形
上記金属粉のうち、銅、銀、アルミニウムは100〜300MPa程度の成形圧力、ニッケルは400MPa程度の成形圧力で、密度比が95%以上になり、電気伝導性および熱伝導性が良好になる。一方、セラミックス粉がアルミナの場合は、600MPa程度の成形圧力で、密度比が約50%程度、700MPaで60%程度となり、これ以上の成形圧力では密度上昇が緩やかなので、積層充填された粉末の成形圧力は700〜1000MPa程度が好ましい。
上記金属粉のうち、銅、銀、アルミニウムは100〜300MPa程度の成形圧力、ニッケルは400MPa程度の成形圧力で、密度比が95%以上になり、電気伝導性および熱伝導性が良好になる。一方、セラミックス粉がアルミナの場合は、600MPa程度の成形圧力で、密度比が約50%程度、700MPaで60%程度となり、これ以上の成形圧力では密度上昇が緩やかなので、積層充填された粉末の成形圧力は700〜1000MPa程度が好ましい。
(10)焼結
金属−セラミックス圧縮成形体の焼結温度は、金属が銅の場合は700〜950℃程度、アルミニウムの場合は500〜600℃程度、銀の場合は700〜850℃程度、ニッケルの場合は800〜1150℃程度である。焼結時の雰囲気は無酸化性雰囲気または真空とする。無酸化性ガスは、水素、窒素、アルゴン、水素と窒素の混合が挙げられる。なお、金属粉が銀の場合は、大気中で行っても焼結することができる。焼結によって、成形潤滑剤や結着剤は消失し、セラミックス層、中間層および金属層が焼結される。セラミックス層にソーダ石灰ガラス等の低融点粉末を含む場合では、セラミックス層を高温度にしなくても低融点粉末が溶融し、セラミックス層が焼結するとともに中間層との境界の結合力が高くなる。特にセラミックス粉に低融点粉末を添加し、かつ、融点が低いアルミニウムを用いると、アルミニウムを溶融させずに低い温度でセラミックス層が焼結するので、好ましい方法である。
金属層は焼結されて電気伝導性、熱伝導性を備え、また、焼結積層体を使用する際に行われるろう付けや接着剤による接着の際のぬれ性の確保に寄与する。
金属−セラミックス圧縮成形体の焼結温度は、金属が銅の場合は700〜950℃程度、アルミニウムの場合は500〜600℃程度、銀の場合は700〜850℃程度、ニッケルの場合は800〜1150℃程度である。焼結時の雰囲気は無酸化性雰囲気または真空とする。無酸化性ガスは、水素、窒素、アルゴン、水素と窒素の混合が挙げられる。なお、金属粉が銀の場合は、大気中で行っても焼結することができる。焼結によって、成形潤滑剤や結着剤は消失し、セラミックス層、中間層および金属層が焼結される。セラミックス層にソーダ石灰ガラス等の低融点粉末を含む場合では、セラミックス層を高温度にしなくても低融点粉末が溶融し、セラミックス層が焼結するとともに中間層との境界の結合力が高くなる。特にセラミックス粉に低融点粉末を添加し、かつ、融点が低いアルミニウムを用いると、アルミニウムを溶融させずに低い温度でセラミックス層が焼結するので、好ましい方法である。
金属層は焼結されて電気伝導性、熱伝導性を備え、また、焼結積層体を使用する際に行われるろう付けや接着剤による接着の際のぬれ性の確保に寄与する。
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1(a)〜(e)は、それぞれ金属−セラミックス焼結積層体5A〜5Eを示す断面図であり、これらは、金属が銅、セラミックスがアルミナで構成されている。
図1(a)に示す焼結積層体5Aは、銅層3上にセラミックス層1が積層された2層構造で、銅層3は電解銅粉、セラミックス層1はアルミナ粉に1質量%の無水硼砂(Na2B4O7)を混合した粉末を用いている。焼結積層体5Aを製造するには、まずこれら粉末を、成形金型内に所定の厚さで順に積層充填し、成形圧力800MPaで圧縮成形して成形圧縮体を得る。次いで、この成形圧縮体を焼結炉内に装入し、炉内を分解アンモニアガス雰囲気としてから820℃で適宜時間加熱して焼結する。こうして得られた焼結積層体5Aは、無水硼砂が溶融してアルミナが焼結されることにより一体的に焼結接合されたものとなる。
図1(a)〜(e)は、それぞれ金属−セラミックス焼結積層体5A〜5Eを示す断面図であり、これらは、金属が銅、セラミックスがアルミナで構成されている。
図1(a)に示す焼結積層体5Aは、銅層3上にセラミックス層1が積層された2層構造で、銅層3は電解銅粉、セラミックス層1はアルミナ粉に1質量%の無水硼砂(Na2B4O7)を混合した粉末を用いている。焼結積層体5Aを製造するには、まずこれら粉末を、成形金型内に所定の厚さで順に積層充填し、成形圧力800MPaで圧縮成形して成形圧縮体を得る。次いで、この成形圧縮体を焼結炉内に装入し、炉内を分解アンモニアガス雰囲気としてから820℃で適宜時間加熱して焼結する。こうして得られた焼結積層体5Aは、無水硼砂が溶融してアルミナが焼結されることにより一体的に焼結接合されたものとなる。
この焼結積層体5Aは、例えば放熱部材として用いられ、その場合には、昇温しているセラミックス製品あるいはセラミックス部材にセラミックス層1を当接させ、銅層3に放熱フィンが付設される使用形態が採られる。また、銅層3に熱伝導性および電気伝導性が求められ、セラミックス層1に電気絶縁性が求められる場合では、電気伝導性が求められる側に銅層3を当接させ、電気絶縁性が求められる側にセラミックス層1を当接させて用いられる。この焼結積層体5Aの場合には、銅層3とセラミックス層1とで構成されているので、高温で用いると熱膨張の差によって層間が剥離することになるので、このような現象が生じない程度の比較的低温で用いられる。
以下、図1(b)〜(e)に示す焼結積層体5B〜5Eを説明するが、これらの焼結方法は、上記焼結積層体5Aと同様である。なお、以下の中間層は、アルミナ粉と銅粉の混合粉から構成されている。
図1(b)に示す焼結積層体5Bは、銅層3とセラミックス層1の間に、組成が異なる2つの中間層21、23をサンドイッチして積層した構造である。銅層3側の中間層23はアルミナ粉と銅粉を質量比15:85(アルミナの容積比が約30%)で混合した混合粉で形成され、セラミックス層1側の中間層22は、アルミナ粉と銅粉を質量比30:70(アルミナの容積比が約50%)で混合した混合粉で形成されている。すなわち、銅層3側の中間層23は銅含有量が多く、セラミックス層1側の中間層22はセラミックス含有量が多いものとなっている。この焼結積層体5Bは、図1(a)の焼結積層体5Aと比較すると、周囲の温度変化や繰り返し熱衝撃が加わるヒートサイクルによって生じる熱応力を緩和できる点で有利な構造を有している。
図1(b)に示す焼結積層体5Bは、銅層3とセラミックス層1の間に、組成が異なる2つの中間層21、23をサンドイッチして積層した構造である。銅層3側の中間層23はアルミナ粉と銅粉を質量比15:85(アルミナの容積比が約30%)で混合した混合粉で形成され、セラミックス層1側の中間層22は、アルミナ粉と銅粉を質量比30:70(アルミナの容積比が約50%)で混合した混合粉で形成されている。すなわち、銅層3側の中間層23は銅含有量が多く、セラミックス層1側の中間層22はセラミックス含有量が多いものとなっている。この焼結積層体5Bは、図1(a)の焼結積層体5Aと比較すると、周囲の温度変化や繰り返し熱衝撃が加わるヒートサイクルによって生じる熱応力を緩和できる点で有利な構造を有している。
図1(c)に示す焼結積層体5Cは、2つの銅層3a,3bの間にセラミックス層1をサンドイッチして積層した構造である。銅層3a,3bは熱伝導性および電気伝導性を有しており、中間のセラミックス層1は電気絶縁性を有している。したがって、銅層3aと銅層3bはセラミックス層1で電気絶縁されている。この焼結積層体5Cは、例えば、一方の銅層3a側が加熱され、他方の銅層3b側が放熱されて冷却を担うように用いられる。セラミックス層1と銅層3a,3bが直接接していることから耐熱衝撃性が不足する場合があるので、比較的低温または温度差の少ない環境での使用が好ましい。
図1(d)に示す焼結積層体5Dは、上記焼結積層体5Cの構造において、セラミックス層1と各銅層3a,3bの間に、さらに中間層22a,22bをそれぞれサンドイッチして積層した構造である。各中間層22a,22bは、アルミナの容積比が約50%とされている。図1(e)に示す焼結積層体5Eは、上記焼結積層体5Dの構造において、中間層22a,22bとセラミックス層1との間に、それぞれ中間層21a,21b(アルミナの容積比が約70%)をサンドイッチし、さらに、中間層22a,22bと銅層3a,3bとの間に、それぞれ中間層23a,23b(アルミナの容積比が約30%)をサンドイッチした構造で、セラミックス層1と銅層3a,3b間の中間層が3層とされている。これら焼結積層体5D,5Eのように、セラミックス層1と銅層3a,3bとの間に中間層を挟むことにより、熱応力が緩和されて耐熱衝撃性に優れたものとなる。
次に、図2(a),(b)を参照して上記焼結積層体5A〜5Eの具体的な使用例を説明する。なお、図2(a),(b)では、符号5によって焼結積層体5A〜5Eのいずれかであることを示している。
図2(a)は、N型素子とP型素子とが交互に複数配置され、それぞれの熱電素子8を焼結積層体5で直列に連結し、両端部に全体を固定する熱伝導性の良い金属板(例えば銅板、以下では銅板とする)7でサンドイッチした構造を有する熱電変換モジュール6Aの断面を示している。焼結積層体5は、接合パッドとして用いられている。この熱電変換モジュール6Aによれば、一端に熱を与え、他端を冷却することにより、末端の熱電素子8に取り付けた端子から電力が得られる。このような熱電変換モジュール6Aは、炉などの放熱部とウォータージャケット等の冷却手段との間に挟み込んだ状態で取り付けられ、使用される。
図2(a)は、N型素子とP型素子とが交互に複数配置され、それぞれの熱電素子8を焼結積層体5で直列に連結し、両端部に全体を固定する熱伝導性の良い金属板(例えば銅板、以下では銅板とする)7でサンドイッチした構造を有する熱電変換モジュール6Aの断面を示している。焼結積層体5は、接合パッドとして用いられている。この熱電変換モジュール6Aによれば、一端に熱を与え、他端を冷却することにより、末端の熱電素子8に取り付けた端子から電力が得られる。このような熱電変換モジュール6Aは、炉などの放熱部とウォータージャケット等の冷却手段との間に挟み込んだ状態で取り付けられ、使用される。
図2(a)の熱電変換モジュール6Aでは、熱電素子8と焼結積層体5とが半田や黒鉛塗料によって接合されることにより、両者間の電気伝導性および熱伝導性が確保され、積層体5と銅板7とは半田、黒鉛塗料、水ガラス、高融点ガラス等によって接合されることにより、熱伝導性が確保されている。図2(b)の熱電変換モジュール6Bは、上記熱電変換モジュール6Aと基本構成を同じくするものであるが、各部材が積層されて当接する状態が、2つの銅板7を締結するボルト10およびナット11によって保持されている。
これら熱電変換モジュール6A,6Bに使用される焼結積層体5として、上記焼結積層体5A〜5Eを用いることができるが、特に、焼結積層体5D,5Eが好適である。それは、銅層3a,3bは導電性および熱伝導性が良好でり、セラミックス層1により銅層3a,3b間が電気絶縁され、中間層(21a,22a,23a)によって高温側と低温側の熱膨張差による熱応力やヒートサイクルによって生じる熱応力を緩和でき、発電性能および信頼性が向上することによる。
1…セラミックス層
3,3a,3b…銅層(金属層)
5(5A〜5E)…金属−セラミックス焼結積層体
21,21a,22a,23,23a…中間層
3,3a,3b…銅層(金属層)
5(5A〜5E)…金属−セラミックス焼結積層体
21,21a,22a,23,23a…中間層
Claims (6)
- 金属粉とセラミックス粉、または金属粉と金属粉およびセラミックスの混合粉とセラミックス粉とを積層充填して圧縮成形し、その成形体を、無酸化性雰囲気中で、含有する金属の融点未満の温度で加熱し、焼結することを特徴とする金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記金属が、銅、アルミニウム、銀、ニッケルのいずれか、またはこれらのうちの少なくとも2種の混合物で、前記セラミックスが、アルミナまたは窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記セラミックス粉に、硼酸、無水硼砂、三硼酸ナトリウム、五硼酸ナトリウム、ソーダ石灰ガラスのうちの少なくとも1種の低融点粉末を、50質量%以下の割合で混合することを特徴とする請求項1に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記セラミックス粉に、メチルセルロース(MC)、ボリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のいずれかの結着材を、1質量%以下の割合で混合することを特徴とする請求項1に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記セラミックス粉に前記結着材を混合した混合粉の粒径が、150μm以下に造粒されたものであることを特徴とする請求項4に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 金属とセラミックスの混合粉が、異なる組成の2種類以上の混合粉であり、かつ、金属層側には金属とセラミックスの容積比が同じか金属成分が多い混合粉を用い、セラミックス側にはセラミックス成分が多い混合粉を用いることを特徴とする請求項1に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
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