JP2005029308A - 移動棚装置 - Google Patents

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JP2005029308A
JP2005029308A JP2003194344A JP2003194344A JP2005029308A JP 2005029308 A JP2005029308 A JP 2005029308A JP 2003194344 A JP2003194344 A JP 2003194344A JP 2003194344 A JP2003194344 A JP 2003194344A JP 2005029308 A JP2005029308 A JP 2005029308A
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Kazuyuki Tauchi
和行 田内
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Abstract

【課題】棚の移動速度を抑えて障害物との衝突をできるだけ回避する。
【解決手段】バンパセンサ24a,24bによる障害物の検出が不能な異常状態の棚20を例に説明すると、強制移動手段によって棚20を強制的に移動させるときは、通常状態よりも移動速度を半分程度に低く制限した(速度制限手段)。このように強制的に移動させる棚20の移動速度を通常よりも低く制限したので、棚20を移動させた場合でも障害物に当たるのを回避できる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の棚,センサおよび移動制御盤を備えた移動棚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
省スペース化および空間の有効利用を図るために、倉庫や工場等ではレール上を移動可能な複数の棚を設置し、一以上の棚を移動させて目的とする棚の相互間で作業通路を確保する移動棚装置が用いられている。もし棚を移動させる方向に障害物が存在するとき、そのまま棚を移動させたのでは障害物に当たってしまう。そこで、光センサを用いて障害物を検出したときには、棚の移動を停止させる構成とした移動棚装置を既に開示している(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、光センサ自体が故障等したり、信号ケーブルが断線する等のような事態が発生することもある。このような事態の下では原則として棚の移動を禁止するが、どうしても棚を移動させて作業通路を確保しなければならない場合もある。この場合には、モータに直接給電して棚を移動させる技術が開示されている(例えば特許文献2を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−45242号公報(第3頁,図4)
【特許文献2】
特開平11−322023号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光センサを用いて障害物を検出できないような状況下でモータに直接給電して棚を移動させたのでは、棚の移動が速過ぎて障害物との衝突を回避できない事態も起こり得る。また、単に一のスイッチを操作するだけでモータに直接給電する構成では、誤操作した場合に棚の移動を禁止できない。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、棚の移動速度を抑えて障害物との衝突をできるだけ回避するとともに、誤操作した場合でも棚の移動を極力抑えた移動棚装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、移動可能に構成した複数の棚と、各棚に備えられて移動の際に障害となる障害物を検出する障害物センサと、いずれか一以上の棚を移動させる制御と前記障害物センサによって障害物を検出すると棚の移動を停止させる制御とを行う移動制御盤と、棚を強制的に移動させる強制移動手段とを備えた移動棚装置であって、障害物センサによる障害物の検出が不能な異常状態の棚を前記強制移動手段によって強制的に移動させるときは、前記障害物センサによる障害物の検出が可能な通常状態(言い換えれば正常状態)の棚を移動させる移動速度よりも低く制限する速度制限手段を有する。
【0007】
解決手段1によれば、強制移動手段によって強制的に移動される異常状態の棚について、速度制限手段はその移動速度を通常状態の棚の移動速度よりも低く制限するので、異常状態の棚を移動させた場合でも障害物に当たるのを回避することが可能になる。
なお移動制御盤は、特定の棚について移動/停止を制御可能になっていればよく、有線/無線の通信方式を問わない。また、移動制御盤と棚との関係は一対一に限らず、一対複数の関係や、複数対一の関係で構成してもよい。
【0008】
(2)解決手段2は、請求項1に記載した移動棚装置であって、前記強制移動手段は、移動制御盤における所定の操作が行われ続けることを条件として、異常状態の棚を強制的に移動させる。
【0009】
解決手段2によれば、強制移動手段は移動制御盤で所定の操作が行われ続けて初めて棚を強制的に移動させるので、誤操作が行われたときには棚の移動を最小限に抑えることができる。
なお所定の操作は、例えば特定のボタンを押す操作などが該当するが、一の操作を適用してもよく、複数の操作を組み合わせて適用してもよい。この場合、保留期間(例えば5秒間等)内では操作し続けても棚を移動させず、当該保留期間を超えて操作し続けて初めて棚を移動させ始めるように構成すると誤操作をより確実に防止できる。さらには保留期間の長さを設定可能にするとなおよい。
【0010】
(3)解決手段3は、請求項1または2に記載した移動棚装置であって、異常状態の棚を移動可能に切り換える切換手段を備え、前記強制移動手段は前記切換手段によって移動可能に切り換えられた棚のみを強制的に移動させるように構成する。
【0011】
解決手段3によれば、切換手段によって移動可能に切り換えられた棚のみについて、所定の操作が行われ続けて初めて棚を強制的に移動させる。言い換えれば、切り換え操作と所定の操作とが行われない限り、棚を強制的に移動させられない。よって、一方の操作のみでは棚を移動させられない点で、誤操作による棚の移動を最小限に抑えることができる。
【0012】
(4)解決手段4は、請求項1から3のいずれか一項に記載した移動棚装置であって、異常状態の棚を前記強制移動手段によって移動させる場合に、当該移動方向に通常状態の棚が存在するとき、移動制御盤は前記通常状態の棚を先に移動させる制御を行う構成とした。
【0013】
解決手段4によれば、通常状態の棚は移動する際に障害物を検出すれば停止するので、そのまま移動させても構わない。二以上の棚を移動させたい場合であっても、強制移動のための操作を各棚ごとに行う必要がない。よって操作が簡単になり、しかも目的の作業通路を素早く確保することができる。
【0014】
(5)解決手段5は、請求項1から4のいずれか一項に記載した移動棚装置であって、障害物センサによる障害物の検出が可能か否かを検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果を報知する報知手段とを有する。
【0015】
解決手段5によれば、検査手段による検査結果が報知手段によって報知されるので、どの棚が異常状態か通常状態かを一目で知り得る。よって異常状態の棚を早期に発見することができ、各状態に合わせた操作を行えるので各棚を移動させる際の誤操作を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、CPU装置と移動スイッチとの間にリレーを介在させた構成からなる一例であって、図1〜図6を参照しながら説明する。なお、単に「接続する」という場合には、電気的に接続することを意図している。
【0017】
図1には、移動棚装置の全体構成を模式的に斜視図で示す。当該図1に示す移動棚装置は、個別にレールR上を所定方向(例えば図面の矢印D2方向)に移動可能に構成し、台車として機能する複数の棚10,20,30,…,Z0を有する。レールRの端側に配置された棚10の側壁には操作盤12,14を備え、棚Z0の側壁には操作盤Z2を備える。同様に棚20,30,…の側壁には、それぞれ操作盤22,32,…を備える。操作盤12,14,22,32,…,Z2はそれぞれ移動制御盤に相当し、通信回線によって接続されている。棚を移動させる際には、作業者がいずれか一の操作盤を操作する。
【0018】
上述した複数の棚10,20,30,…,Z0のうちで、棚10,20について横から見た側面図を図2に示し、さらに棚20を下から見た底面図を図3に示す。図2に示す棚10には、上述した操作盤12,14のほかに、レールR上を走行する車輪18a,18bや、当該車輪18a,18bを回転させて棚10を移動させるモータM2、移動方向に存在する障害物を検出可能なバンパセンサ16a,16b(例えば光センサ)などを有する。棚Z0もまた棚10と同様に構成している。他の棚20,30,…については、操作盤12に対応するものが無い点を除けば、それぞれほぼ同様に構成している。すなわち図2に示す棚20は、操作盤22や、車輪26a,26b、モータM4、バンパセンサ24a,24bなどを有する。モータM4は図4に示すように回転停止用のブレーキMB4を備え、他のモータM2等についても同様である。なお、バンパセンサ16a,16b,24a,24b,…は、それぞれ障害物センサに相当する。
【0019】
次に、操作盤の構成例について説明する。棚10に備える操作盤12は、移動中に発生した非常時に棚10を停止させる非常停止ボタン12aや、移動棚装置の電源スイッチ12c、当該電源スイッチ12cの状態(すなわちオン/オフ)を表示する電源灯12b、建物と棚10との間の通路(以下「一番通路」と呼ぶ。)を確保した固定状態を表示する通路固定表示灯12f、一番通路を開放して棚を移動可能にする開放状態を表示する通路開放表示灯12e、一番通路の固定状態と開放状態とを切り換える固定開放スイッチ12dなどを有する。
【0020】
棚20に備える操作盤22は、上述した操作盤12と同様に、隣りに配置された棚20と棚30との間の通路(以下「三番通路」と呼ぶ。)を確保した固定状態を表示する通路固定表示灯22aや、三番通路を開放して棚を移動可能にする開放状態を表示する通路開放表示灯22g、三番通路の固定状態と開放状態とを切り換える固定開放スイッチ22bを有する。さらに操作盤22は、棚20を手動で一方向(例えば図面左方向)に移動させる左移動スイッチ22cや、棚20を手動で他方向(例えば図面右方向)に移動させる右移動スイッチ22f、棚20を手動で移動させるか否かを切り換える切換スイッチ22d、手動による棚20の移動を表示する移動表示灯22eなどを有する。これらのスイッチのうちで、切換スイッチ22dは切換手段に相当する。
なお、棚10に備える操作盤14は上述した操作盤22と同様に構成されており、棚10と棚20との間の通路(以下「二番通路」と呼ぶ。)を対称とする点を除けば同様の機能を有する。このことは操作盤32,…でも同様である。上述した一番通路,二番通路および三番通路は、それぞれ作業通路に相当する。
【0021】
次に、複数の棚10,20,30,…,Z0の回路構成例について説明する。これらの棚10,20,30,…,Z0ほぼ同様の回路を構成するので、ここでは棚20にかかる回路構成例を代表して説明する。
【0022】
図4に示す回路構成例において、操作盤22には、交流を直流に変換するAC/DCコンバータ100や、棚20の移動を制御するCPU装置104、当該CPU装置104によって制御されるインバータ106、手動切換用のリレーMN、ブレーキMB4用のリレーBKなどを有する。CPU装置104は周知の構成と同様であるので省略するが、CPU(プロセッサ)のほかに、制御手順などを記憶させたROMや、一時的なデータを記憶するRAMなどを備える。制御手順には、後述する異常状態処理を含む(図5,図6を参照)。当該CPU装置104には移動表示灯22eなどを接続する。インバータ106は、出力周波数を変化させることによりモータM4を回転駆動させる。
【0023】
三相交流電源AC(例えばR相,S相,T相)の電力は、上述したAC/DCコンバータ100や、インバータ106などに供給する。また、三相交流電源ACのうちの二相(例えばR相とS相)の電力は、リレーBK(B接点)を介してブレーキMB4に供給する。
【0024】
AC/DCコンバータ100のプラス電極側は、手動切換用のリレーMN(コイル部)や、ブレーキMB4用のリレーBK(コイル部)、CPU装置104などに接続する。同様にしてマイナス電極側は、CPU装置104や、移動表示灯22e、切換スイッチ22d、バンパセンサ24a,24b、右移動スイッチ22f、左移動スイッチ22cなどに接続する。このうち移動表示灯22eは、CPU装置104によって点灯/消灯が制御される。
なおAC/DCコンバータ100は三相交流電源ACから供給される電力を用いてCPU装置104等に供給するが、停電時等にはバッテリ102に蓄えた電力を用いてCPU装置104等に供給する構成としてもよい。当該バッテリ102は、蓄電装置に相当する。
【0025】
また、リレーMN(コイル部)と切換スイッチ22dとの間を接続する。リレーBK(コイル部)とバンパセンサ24aとの間には、接点スイッチ108およびリレーMN(B接点)を直列に介在させて接続する。この接続並行して、リレーBK(コイル部)とバンパセンサ24bとの間には、接点スイッチ110およびリレーMN(B接点)を直列にを介在させて接続する。これらの接点スイッチ108,110は、CPU装置104によってオン/オフが制御される。
すなわち、棚20を一方向(例えば図2の図面左方向)に移動させるときは接点スイッチ110がオンになり、バンパセンサ24aまたは左移動スイッチ22cが機能するようになる。一方、棚20を他方向(例えば図2の図面右方向)に移動させるときは接点スイッチ108がオンになり、バンパセンサ24bまたは右移動スイッチ22fが機能するようになる。
【0026】
さらに、接点スイッチ108とリレーMN(B接点)との間の接続点Paは、リレーMN(A接点)を介在させて右移動スイッチ22fに接続する。同様に接点スイッチ110とリレーMN(B接点)との間の接続点Pcは、リレーMN(A接点)を介在させて左移動スイッチ22cに接続する。接続点Pa,Pcや、リレーMN(コイル部)と切換スイッチ22dとの間の接続点Pbなどにかかる各信号をCPU装置104に入力する。
【0027】
上述した回路構成例によれば、切換スイッチ22dがオフの状態(すなわち通常モード)では、リレーMN(コイル部)に電流が流れないため、リレーMN(B接点)がオンになり、リレーMN(A接点)がオフになる。よって、バンパセンサ24a,24bが有効になり、左移動スイッチ22cおよび右移動スイッチ22fの操作が無効になる。
【0028】
一方、切換スイッチ22dがオンの状態(すなわち棚20を手動で移動させる手動モード)では、リレーMN(コイル部)に電流が流れるため、リレーMN(A接点)がオンになり、リレーMN(B接点)がオフになる。よって、左移動スイッチ22cおよび右移動スイッチ22fの操作が有効になり、バンパセンサ24a,24bが無効になる。なお切換スイッチ22dがオンの状態になっても、左移動スイッチ22cまたは右移動スイッチ22fのいずれが操作されてオンにならない限りは、リレーBK(コイル部)に電流が流れず、ブレーキMB4を開放することができない。したがって、切換スイッチ22dをオンに切り換えただけでは棚20が移動しないようにロックを維持できる。
【0029】
棚20の操作盤22内に備えたCPU装置104における制御手順、すなわち異常状態処理について図5,図6を参照しながら説明する。当該異常状態処理は、バンパセンサ24a,24bによる障害物の検出が不能になった状態(異常状態)において棚20を強制的に移動させる制御を実現する。なお図5と図6との間は、結合子J2,J4を通じて処理が継続する。
【0030】
図5の異常状態処理において、切換スイッチ22dがオンの状態(すなわち手動モード)に切り換わっているときは(ステップS14でYES)、左移動スイッチ22cおよび右移動スイッチ22fの操作が有効になる。よって、作業者は障害物の有無を確認しながら棚20を移動させ得るので、次の処理を行う。
【0031】
まず、左移動スイッチ22cまたは右移動スイッチ22fが押されてオンになっているときは(ステップS20でYES)、同じ移動スイッチが保留期間(例えば5秒間)を超えて押され続けられているときに限って(ステップS22でYES)、図6に移って移動表示灯22eを点灯させて報知を行うとともに〔ステップS34〕、インバータ106から出力する周波数を通常状態よりも低くして棚20を低速で移動させる〔ステップS36〕。保留期間の長さや、移動速度を通常状態よりもどの程度低くするかは、予めCPU装置104内のROMやRAMに設定しておく。バンパセンサ24a,24bが機能していない点を考慮すると、移動速度は通常状態の半分程度に設定するのが望ましい。
【0032】
ただし、棚20を移動させようとする方向に他の棚(図1の例では棚10または棚30,…,Z0)が存在するために、棚20を移動させることができない場合がある(ステップS28でYES)。この場合には、当該他の棚を動かすべく信号を他の操作盤に対して伝達し〔ステップS32〕、他の棚が動いてから(ステップS34でYES)、移動表示灯22eによる報知や〔ステップS34〕、棚20の低速移動を行う必要がある〔ステップS36〕。もし通信回線の断線やその他の故障等を原因として移動方向に存在する他の棚を動かすことができなければ(ステップS34でNO)、棚20を動かすこともできないので、そのまま異常状態処理を終えてリターンする。
【0033】
図5に戻って、左移動スイッチ22cまたは右移動スイッチ22fが押されなくなったら(ステップS20でNO)、即座にブレーキMB4を効かせて棚20を停める〔ステップS26〕。これらの移動スイッチが押され続けられても保留期間内であれば(ステップS22でNO)、作業者に注意を促すために棚20を停める〔ステップS26〕。こうすることによって、作業者が不用意に左移動スイッチ22cや右移動スイッチ22fを操作した場合でも、棚20の移動を最小限に抑えることができるので、棚20が障害物に当たるのを未然に防止できる。
【0034】
さらに、切換スイッチ22dがオフの状態(すなわち通常モード)に切り換わっているときは(ステップS14でNO)、棚20を通常通りに制御するべく通常状態処理を実行する〔ステップS24〕。なお、通常状態処理の内容については、周知と同様の手続きであるので図示および説明を省略する。
【0035】
上述のように構成した移動棚装置において、棚を移動させる例について図7を参照しながら説明する。ここでは、図7(A)に示すように棚30と棚40との間に確保されていた作業通路(すなわち四番通路)を開放し、図7(B)に示すように棚10と棚20との間に作業通路(すなわち二番通路)を確保する例を説明する。ただし、棚20に備えたバンパセンサ24b(図2を参照)について障害物の検出が不能な状態(異常状態)になっているものと仮定する。なお図7では、分かり易くするために異常状態になった棚に斜線ハッチを施している。
【0036】
この場合、作業者は棚20に備えた操作盤22を操作することによって二番通路を確保することになる。すなわち作業者は、切換スイッチ22dをオン(手動モード)に切り換えたうえで、右移動スイッチ22fを操作し続けても、移動方向に棚30が存在する。そのため図7(A)に示すように、先に棚30を図面右側(矢印D4方向)に移動させる(図6のステップS30)。当該棚30に備えたバンパセンサは正常であるので、通常状態処理によって自動的に移動する。こうして棚30の移動(あるいは移動開始)を確認すると、図7(B)に示すように、作業者が障害物を確認しながら棚20を通常状態よりも低速で図面右側(矢印D6方向)に移動させることができる(図6のステップS36)。
【0037】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
(a1)異常状態の棚20を強制的に移動させるときは、通常状態よりも移動速度を半分程度に低く制限した{速度制限手段;図6のステップS36を参照}。このように強制的に移動させる棚20の移動速度を通常よりも低く制限したので、棚20を移動させた場合でも障害物に当たるのを回避できる。
【0038】
(a2)所定の操作として操作盤22に備えた移動スイッチ(すなわち左移動スイッチ22cまたは右移動スイッチ22f)を押し続けることを条件として、バンパセンサ24a,24bによる障害物の検出が不能な異常状態の棚20を強制的に移動させた{強制移動手段;図5のステップS20,S22および図6のステップS36を参照}。移動スイッチが押され続けて初めて棚20を強制的に移動させるので、誤操作が行われたときでも棚20の移動を最小限に抑えることができ、障害物に当たるのをより確実に回避できる。
【0039】
(a3)異常状態の棚20を移動可能に切り換える切換スイッチ22d(切換手段)を備えた{図2を参照}。この切換スイッチ22dによってオン状態(すなわち手動モード)に切り換えられた棚20のみについて、上述した移動スイッチが押され続けて初めて棚20を強制的に移動させた{強制移動手段;図5のステップS14,S20,S22および図6のステップS36を参照}。言い換えれば、切り換え操作と所定の操作とが行われない限り、棚20を強制的に移動させられずロックする。よって、一方の操作のみでは棚20を移動させられない点で、誤操作による棚20の移動を最小限に抑えることができる。
【0040】
(a4)異常状態の棚20を移動させる場合に、その移動方向に通常状態の棚(例えば棚10や棚30等)が存在するとき、操作盤22は当該通常状態の棚を先に移動させる制御を行なった{図6のステップS28,S30を参照}。こうすれば二以上の棚を移動させたい場合であっても、強制移動のための操作を各棚ごとに行う必要がない。よって操作が簡単になり、しかも目的の作業通路を素早く確保することができる。
【0041】
(a5)バッテリ102に蓄えられた電力を用いて、異常状態の棚20を強制的に移動させ得る構成とした{図4を参照}。この構成により、停電等で電力線から供給されなくなったとしても、棚20を強制的に移動させることができる。
【0042】
(a6)棚20を強制的に移動させる際に報知を行う移動表示灯22eを備えた{移動報知手段;図2および図6のステップS34を参照}。こうすれば、作業者は障害物を検出できない状況を認識しながら棚20を移動させるようになるので、不用意な操作を防止できる。本例では棚20の移動とともに移動表示灯22eを点灯させる形態を実現したが、スピーカを備えることにより音(警報音や音楽等)を鳴らす形態を実現してもよい。
【0043】
〔実施の形態2〕
実施の形態2はCPU装置と移動スイッチとを直結させた構成からなる一例であって、図8を参照しながら説明する。なお移動棚装置の構成等は実施の形態1と同様であり、図示および説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図8に示す回路構成例は図4に示す回路構成例と比較してみると、左移動スイッチ22cおよび右移動スイッチ22fをそれぞれCPU装置104に直結し、リレーMN(B接点)に並列してリレーMN(A接点)を接続した点で異なる。この回路構成例によれば、切換スイッチ22dがオンの状態になれば、左移動スイッチ22cや右移動スイッチ22fを操作するまでもなく、リレーBK(コイル部)に電流が流れてブレーキMB4を開放する。こうすればCPU装置104やインバータ106に不具合が生じてモータM2を駆動させられない状況になったとしても、切換スイッチ22dをオンに切り換えさえすればブレーキMB4が開放されるので、作業者は棚20を手押しすることが可能になる。
【0045】
図5および図6に示す異常状態処理を実行すると、上述した実施の形態1と同様に、操作盤22に備えた移動スイッチ(すなわち左移動スイッチ22cまたは右移動スイッチ22f)を押し続けることを条件として棚20を強制的に移動させることができる。よって、移動スイッチをCPU装置104に直結する等を除けば実施の形態1と同等の構成であるので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は障害物センサが障害物を検出できるか否かを検査可能にした構成からなる一例であって、図9および図5を参照しながら説明する。なお移動棚装置の構成等は実施の形態1と同様であり、図示および説明を簡単にするために実施の形態3では実施の形態1と異なる点について説明する。よって実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図2の例に示す棚20には、障害物センサとしてバンパセンサ24a,24bを備えている。これらのセンサは同一の構成であるので、ここではバンパセンサ24aを代表し、障害物を検出できるか否かを検査する構成例を図9に示す。バンパセンサ24aに光センサを用いたときは、図9(A),図9(B)に示すように発光体24a2と受光体24a4とからなる。発光体24a2が出した光L(例えばレーザ光)を受光体24a4が受けたときは、棚20の近傍に障害物が存在しないことになる。そこで、図9(B)のようにロッド114を突出させたり、図9(A)のようにロッド114を引っ込ませたりするソレノイド112を受光体24a4の近傍の棚20に備える。
【0048】
発光体24a2が光Lを試験的に出した状態で、図9(B)のようにロッド114を突出させたときに受光体24a4が光Lを受光できず、図9(A)のようにロッド114を引っ込ませたとき受光体24a4が光Lを受光できれば、バンパセンサ24aは正常である。これに対して、図9(A),図9(B)の状態にかかわらず、受光体24a4が光Lを受光できないときは、バンパセンサ24a自体やその回路に異常が発生している。
【0049】
図5において、上述したソレノイド112についてロッド114の姿勢を変化させてバンパセンサ24a,24bを検査し、必要に応じて検査結果を移動表示灯22eに表示したり、スピーカを通じて警告音を出す〔ステップS10〕。そして、バンパセンサ24a,24bの双方について検査結果が正常であれば(ステップS12でYES)、切換スイッチ22dがオフの状態に切り換わっているときに限って(ステップS14でNO)、棚20を通常通りに制御するべく通常状態処理を実行する〔ステップS24〕。
【0050】
これに対して、バンパセンサ24a,24bの一方または双方について検査結果が異常であれば(ステップS12でNO)、切換スイッチ22dの切り換え状態にかかわらず、一定条件下で棚20を動かすのが望ましい(ステップS16以降について実施の形態1と同様)。バンパセンサに異常が発生しているにもかかわらず、切換スイッチ22dが誤ってオフの状態になっていたとしても、通常通りには棚20を制御できない。したがって、センサの異常時には棚20の移動が禁止されるので、障害物との衝突を未然に防止することができる。また、移動表示灯22eやスピーカ(結果報知手段)によって検査結果が報知されるので、どの棚のバンパセンサが異常状態か通常状態かを即時に知り得る。よって異常状態の棚を早期に発見することができ、各状態に合わせた操作を行えるので各棚を移動させる際の誤操作を防止できる。
【0051】
〔他の実施の形態〕
上述した移動棚装置にかかる他の部分の構造,形状,大きさ,材質,配置および動作条件等については、上記実施の形態に限定されるものでない。例えば、次の各形態を実施することもできる。
(b1)実施の形態1から3では、いずれも棚20について本発明を適用した例を説明した。他の棚10,30,…,Z0についても同様に本発明を適用することができる。これらの棚10,30,…,Z0は棚20と同等に構成しているので、実施の形態1から3と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
(b2)実施の形態1から3では、作業者が操作する移動制御盤(具体的には操作盤12,14,22,32,…,Z2)を棚の側壁に備えた{図1,図2等を参照}。この形態に代えて、一以上の移動制御盤については無線で操作するように構成してもよい。この場合の移動制御盤は、例えば受信部と送信部とからなり、受信部を棚に備え、当該受信部に対して操作された情報を送信する。この構成によれば、作業者は移動しながら切換スイッチ22dや移動スイッチ(左移動スイッチ22cまたは右移動スイッチ22f)等を操作することができるようになるので、障害物の有無を確認しながら棚を動かせるようになる。したがって、棚と障害物との衝突をより確実に回避することが可能になる。
【0053】
(b3)実施の形態1から3では、いずれもバンパセンサ16a,16b,24a,24b,…として光センサを用いた。この形態に代えて、光センサ以外の非接触型センサ(例えば赤外線センサ,磁気センサ等)を用いてもよく、接触型センサ(例えばボタン,スイッチ,タッチパネル,圧力センサ等)を用いてもよく、認識システム(例えば音声認識システム,画像認識システム等)などを用いてもよい。これらのセンサ等であっても、障害物を検出することができ、棚と障害物との衝突を回避することが可能になる。
【0054】
(b4)実施の形態1から3では、一の棚について見ると、移動方向に対するバンパセンサを一つ備えた{図2,図3を参照}。図3において、例えば図面左方向への移動に対しては一のバンパセンサ24bを備え、図面右方向への移動に対しては一のバンパセンサ24aを備えている。この形態に代えて、一の移動方向に対して複数のバンパセンサを並列して接続する構成としてもよい。こうすれば、一のバンパセンサが故障等を起こした場合でも、他のバンパセンサによって障害物を検出することができるようになる。なお、光センサ等のように同種のセンサを用いた場合には光の干渉等によって誤検出が起こる可能性が残る。このような誤検出を防止するには、波長の帯域が異なる光センサを用いて構成するか、異種のセンサを用いて構成するのが望ましい。
【0055】
(b5)実施の形態1から3では、棚10,20,30,…,Z0をレールR上で移動させるレール式の移動棚装置について本発明を適用した{図1等を参照}。この形態に代えて、床面上で移動させるレールレス式の移動棚装置について本発明を適用することも可能である。レールレス式の移動棚装置についても棚の移動速度よりも低く制限することにより、障害物に当たるのを回避することができ、誤操作した場合でも棚の移動を極力抑えることができる。
【0056】
(b6)その他には、棚の周囲(特に移動方向)を照らす照明灯を備え、異常状態の棚を動かす場合には照明灯を点灯させる構成としてもよい。具体的には、切換スイッチを手動モードに切り換えたときに照明灯を点灯させるか、あるいは切換スイッチを手動モードに切り換え且つ移動スイッチを操作したときに照明灯を点灯させる。こうすれば、作業者は棚を移動させる方向に障害物があるか否かを確認しながら作業を行うことができる。
地震センサを棚(あるいは棚の操作盤と通信回線で接続されたコンピュータ等が設置された建物等)に備え、異常状態の棚を動かす場合に所定値以上の震度を感知したときは即座にブレーキを効かせて棚を停める構成としてもよい。こうすれば、棚の移動中に地震が発生しても、すぐに棚の移動がロックされるので、隣りの棚との衝突を防止することができる。
【0057】
【他の発明の態様】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載した発明の態様のみならず他の発明の態様を有するものである。この発明の態様を以下に列挙するとともに、必要に応じて関連説明を行う。
【0058】
〔態様1〕請求項1から5のいずれか一項に記載した移動棚装置であって、強制移動手段は、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて、異常状態の棚を強制的に移動させる。蓄電装置は、例えばバッテリや燃料電池等が該当する。
【0059】
態様1によれば、通常は電力線から供給される電力を用いて棚を移動させるが、異常状態の棚では電力線から電力の供給が受けられない故障等が発生している可能性もある。このような棚であっても蓄電装置に蓄えられた電力を用いることにより、棚を強制的に移動させることができる。
【0060】
〔態様2〕請求項1から5および態様1のいずれか一項に記載した移動棚装置であって、強制移動手段によって棚を強制的に移動させる際に報知を行う移動報知手段を有する。移動報知手段は、例えば表示灯やスピーカ等が該当する。
【0061】
態様2によれば、棚の移動とともに表示灯を点灯させたり、スピーカから警報音を鳴らすなどを行う。こうすれば、作業者は障害物を検出できない状況を認識しながら棚を移動させるようになるので、不用意な操作を防止できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、棚の移動速度を低く抑えて棚が障害物に当たるのを回避することができ、誤操作した場合でも棚の移動を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動棚装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】一部の棚について横から見た側面図を示す図である。
【図3】棚を下から見た底面図を示す図である。
【図4】回路構成例を説明する模式図である。
【図5】異常状態処理の手続きを示すフローチャートである。
【図6】図5に続く手続きを示すフローチャートである。
【図7】棚の移動例を説明する図である。
【図8】回路構成例を説明する模式図である。
【図9】バンパセンサの検査を説明する図である。
【符号の説明】
10,20,30,…,Z0 複数の棚
12,14,22,32,…,Z2 操作盤(移動制御盤)
16a,16b,24a,24b,… バンパセンサ(障害物センサ)
22d 切換スイッチ(切換手段)
22e 移動表示灯(移動報知手段)
102 バッテリ(蓄電装置)
104 CPU装置(強制移動手段,速度制限手段)
BK,MN リレー
M2,M4,… モータ(駆動体)
MB4,… ブレーキ

Claims (5)

  1. 移動可能に構成した複数の棚と、各棚に備えられて移動の際に障害となる障害物を検出する障害物センサと、いずれか一以上の棚を移動させる制御と前記障害物センサによって障害物を検出すると棚の移動を停止させる制御とを行う移動制御盤と、棚を強制的に移動させる強制移動手段とを備えた移動棚装置であって、
    障害物センサによる障害物の検出が不能な異常状態の棚を前記強制移動手段によって強制的に移動させるときは、前記障害物センサによる障害物の検出が可能な通常状態の棚を移動させる移動速度よりも低く制限する速度制限手段を有する移動棚装置。
  2. 請求項1に記載した移動棚装置であって、
    前記強制移動手段は、移動制御盤における所定の操作が行われ続けることを条件として、異常状態の棚を強制的に移動させる移動棚装置。
  3. 請求項1または2に記載した移動棚装置であって、
    異常状態の棚を移動可能に切り換える切換手段を備え、
    前記強制移動手段は、前記切換手段によって移動可能に切り換えられた棚のみを強制的に移動させる移動棚装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載した移動棚装置であって、
    異常状態の棚を前記強制移動手段によって移動させる場合に、当該移動方向に通常状態の棚が存在するとき、移動制御盤は前記通常状態の棚を先に移動させる制御を行う移動棚装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載した移動棚装置であって、
    障害物センサが障害物を検出できるか否かを検査する検査手段と、
    前記検査手段による検査結果を報知する結果報知手段とを有する移動棚装置。
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