JP2005028992A - 衝突対応車両制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】実用的な衝突対応制御を行うことができる車両制御システムを得る。
【解決手段】オートクルーズ(ACC)制御,プリクラッシュセーフティ(PC)制御を、前方存在物Cfの幅Wcf,自車両C0に対する幅方向位置ΔQ(Cf)等の幅関連情報に基づいて行う。例えば、自車両C0と前方存在物Cfが衝突すると仮定した場合のラップ率Lapに応じて、シートベルト等の乗員保護装置の作動形態を変更する。具体的には、ラップ率Lapが高い場合に、プリテンショナの作動開始のタイミングを早めたり、引張荷重を強めたりする。また、前方存在物Cfが自車線上に存在する否かについても、上記幅関連情報に基づいて判断する。幅関連情報の取得については、例えば、レーダ装置によって検出された前方存在物の概略位置を手掛かりにして、カメラによって撮像された画像データを画像処理することによって行う。
【選択図】 図15

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるACC制御,PCS制御といった車両の衝突防止、車両の衝突からの乗員の保護といった車両衝突に対応するための車両制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両の制御に関して、自車両の前方に存在する前方存在物との衝突に対応するための制御技術の開発が進んでいる。かかる制御として、例えば、前方存在物との衝突を防止するあるいは衝突を回避するといった制御も存在し、また、衝突が発生した場合を想定して乗員の保護の保護を図るといった制御も存在する。前者の代表的なものとして、例えば、いわゆるACC制御(Auto−Cruise−Controlあるいは Adaptive−Cruise−Control)がよく知られている。ACC制御は、概して言えば、先行車両との車間状態が設定された状態で前方車両に追従するように、エンジン装置等の出力の調整等を行うといった制御である。また、後者の代表的なものとして、いわゆるPCS制御(Pre−Clash−Safety)がよく知られている。PCS制御は、概して言えば車両の衝突を予測して、シートベルト等の保護装置を衝突前に作動させるといった制御である。このような衝突対応制御に対しては、より実用的であることが常に望まれている。
【0003】
例えば、下記〔特許文献1〕〔特許文献2〕に記載されているように、自車両の前方に存在する物体を検出し、それとの距離および相対速度に基づいて、衝突の可能性を判断し、シートベルト装置のプリテンショナを作動させるといった技術が存在する。このような技術が衝突対応制御としての一般的な技術である。一方、衝突対応制御において、衝突する可能性の高い物体と自車両の位置関係は、正確に把握することが望まれる。車両の周囲の物体の位置を正確に取得する技術として、例えば、下記〔特許文献3〕に記載された技術が存在する。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−142321号公報
【特許文献2】
特許第2946995号公報
【特許文献3】
【0005】
上記〔特許文献3〕に記載された技術は、物体の幅等を検知する装置に関するものであが、衝突対応制御にどのように実用化されるのか不明である。また、その装置では、他車両に特定の反射物(リフレクタ)があること前提に、その反射物からの反射により、その他車両の幅等を検知しようとするものである。現在の車両においては、未だ、そのような反射物を設けた車両は実用化されておらず、この技術は、インフラストラクチャの整備が進んだ段階でなければ実現しないものと考えられれる。その点においても、実用性に欠けるものとなっている。
【0006】
そこで、本発明は、実用的な衝突対応制御を行うことができる車両制御システムを得ること課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の衝突対応車両制御システムが得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能である。
【0007】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項と(4)項とを合わせたものが請求項3に、(6)項が請求項4に、(7)項が請求項5に、(8)項が請求項6に、(9)項が請求項7に、(10)項が請求項8に、(11)項が請求項9に、それぞれ相当する。
【0008】
(1)自車両の前方に存在する1以上の前方存在物の各々についての情報であって少なくとも自車両に対する位置に関する情報を含む存在物情報を取得する存在物情報取得装置と、
自車両を減速させる車両減速装置,衝突時に乗員を保護する乗員保護装置等、自車両が前方存在物に衝突する可能性が高い状態において作動する作動装置と、
前記存在物情報取得装置によって取得された前記存在物情報に基づいて、前記作動装置の制御を行う衝突対応制御装置と
を含む衝突対応車両制御システムであって、
前記存在物情報取得装置が、前記1以上の前方存在物のうちの少なくとも1つのものである特定存在物について、それの幅,それの幅方向の位置等に関する情報である幅関連情報を前記存在物情報として取得する幅関連情報取得装置を備え、前記衝突対応制御装置が、取得された前記特定存在物の幅関連情報に基づいて、前記作動装置を制御することを特徴とする衝突対応車両制御システム。
【0009】
本項に記載の態様の制御システムは、平たく言えば、前方存在物の幅寸法を把握する、前方存在物が自車両の幅方向(長手方向に直行する方向であり、以下、本明細書でおいて「幅方向」とは、特に断りのない限り、自車両の幅方向を意味する)におけるどの位置に存在するかを特定する等して、ACC制御,PCS制御といった衝突対応制御を行うシステムである。幅関連情報は、前方存在物の自車両に対する位置関係を正確に認識するために有益な情報であり、幅関連情報に基づく衝突対応制御を行う本項に記載のシステムは、効率的なシステムであり、実用的なシステムとなる。
【0010】
「幅関連情報」は、自車両の幅方向における、前方存在物の位置に関するデータであり、詳しく言えば、例えば、前方存在物の自車両から見た幅(前方存在物が先行車両である場合は概ねその車両の車両幅と考えてよい)、幅方向における前方存在物の自車両を基準とした変位(例えば、自車両の基準から、前方存在物の特定の箇所の幅方向における位置等)等である。幅関連情報取得装置によって一次取得されたそれらのデータに基づいて、例えば衝突対応制御装置によって演算処理することにより、別の幅関連情報を二次取得することも可能である。例えば、前方存在物の幅と幅方向の中心位置とを一次取得し、その一次取得したものから、演算等によって、その前方存在物の幅方向端の位置を二次取得するような態様である。本項に記載の態様では、このような場合における二次取得された幅関連情報も、「取得された特定存在物の幅関連情報」に含むものと解釈する。
【0011】
本システムの中核をなす「衝突対応制御装置」は、コンピュータを主体とし、ACC制御,PCS制御等の衝突対応制御を行う制御装置とすることが可能である。ACC制御は、設定された車速の範囲内において先行車両への追従を目的とする制御であり、詳しくは、先行車両との衝突を防止すべく、先行車両との車間状態を適正に維持する制御である。PCS制御は、前方存在物への衝突が予測される場合に、衝突に先駆けて乗員保護装置の作動(作動の準備を含む)を開始する、あるいは、衝突を回避するための制動等を行うといった制御である。このように、衝突対応制御には種々のものが存在するが、衝突対応制御装置は、それらのいずれをも実行可能な制御装置であってもよく、また、いずれか1以上の制御を実行可能な制御装置であってもよい。「前方存在物への衝突の可能性」は、衝突対応制御の種類によってその程度に差があり、一律に取り扱われるものではない。つまり、衝突の可能性は制御の種類によって異なる相対的な概念である。例えば、一般的には、PCS制御の場合は、ACC制御の場合と比較して、より衝突の可能性の高い状態において作動装置の作動が開始するように設定される。
【0012】
衝突対応制御において、自車両が前方存在物に衝突する可能の高さは、前方存在物との距離,前方存在物に対する到達時間,衝突時間等のパラメータによって判断するのが便利である。(以下、これら、距離,到達時間,衝突時間等を、衝突に関連する2物間の相対関係を規定するパラメータとして、「衝突関連相対関係パラメータ」、または、略して「相対関係パラメータ」と呼ぶ場合がある。到達時間とは、現在の自車速のままで前方存在物の存在する位置まで到達するのに必要な時間であり、前方存在物の移動速度に依拠しない時間である。これに対し、衝突時間とは、前方存在物との相対速度が維持された場合に、前方存在物と衝突するのに必要な時間である。前方存在物が先行車両である場合には、上記距離は車間距離と、上記到達時間は車間時間と呼ぶことができる。)例えば、衝突対応制御においては、直前に存在する存在物である直前存在物(先行車両である場合は直前走行車両)が、直接の衝突が予想される前方存在物であり、その直前存在物と自車両との間の相対関係パラメータによって、直前走行車両との衝突の可能性を判断することができる。
【0013】
衝突対応制御装置の具体的な機能構成に関して例示すれば、本項に記載の衝突対応制御装置は、(a)存在物情報取得装置から存在物情報を入手する存在物情報入手部と、(b)存在物情報入手部が入手した存在物情報に基づいて、制御における対象となる前方存在物を特定する制御対象物特定部と、(c)特定された前方存在物の存在物情報に基づいて作動装置の作動形態(作動開始の条件,作動状態等を含む概念である)を決定する作動形態決定部と、(d)決定された作動形態に従って、作動装置の作動を制御する作動制御部とを含む構成とすることができる。後に詳しく説明するが、このような機能構成の制御装置によって幅関連情報に基づく衝突対応制御行う場合、例えば、上記制御対象物特定部による前方存在物を特定において、幅関連情報に基づいた特定を行うことが可能であり、また、上記作動形態決定部による作動装置の作動形態の決定において、幅関連情報に基づいた決定を行うことが可能である。
【0014】
「作動装置」は、特に限定されるものではなく、例えば、上記例示列挙した自車両を減速させる車両減速装置,衝突時に乗員を保護する乗員保護装置の他、衝突対応制御によって制御可能な各種の車両搭載装置が作動装置となり得る。「車両減速装置」は、例えば、ブレーキ装置(液圧ブレーキ装置等)が代表的なものであるが、エンジンブレーキ,回生ブレーキ等による制動力も期待できることから、広く、エンジン装置,車両駆動モータ装置等の車両駆動力発生装置も車両減速装置に含ませることができ、また、それらの制動力をより効果的なものとするためにギヤチェンジを制限するような場合にあっては、トランスミッション装置も車両減速装置の一部に含ませることができる。「乗員保護装置」は、例えば、シートベルト装置(プリテンショナ付きのものが望ましい),エアバッグ装置,ステアリングコラムに衝撃吸収機構を備えたステアリング装置,衝撃発生時に退避してその衝撃を吸収するブレーキペダル等のペダル装置等が該当する。またその他の車両搭載装置として、例えば、衝突を回避するための操舵機構を備えたステアリング装置、衝撃を減少させるために車高を変化させることのできるサスペンション装置,後方の車両に衝突の可能性を報知するブレーキランプ等の後方表示灯装置や通信装置等も、本項に記載の作動装置に該当する。
【0015】
本項における「前方存在物」は、走行車両のような移動物であってもよく、また、路上に停止する停車車両や、路上に放置、設置された障害物等の静止物であってもよい。「特定存在物」は、存在物情報取得装置によって存在物情報が取得される前方存在物のうち、幅関連情報取得装置よって幅関連情報が取得されるものである。前方存在物のすべてが特定存在物されてもよく、また、一部のものが特定存在物とされてもよい。直前に存在する存在物である直前存在物が直接の衝突が予想される前方存在物であるため、少なくとも直前存在物が特定存在物とされることが望ましい。「幅関連情報取得装置」は、その具体的な態様が特に限定されるものではなく、上記幅関連情報を取得可能な装置であればよい。具体的には、自車両に対する位置を検知可能なレーダ装置、後に説明するところのカメラ装置と画像処理装置とを含んで構成される装置等、種々のものを採用することができる。
【0016】
(2)前記幅関連情報取得装置が、前記1以上の前方存在物を撮像するカメラ装置と、そのカメラ装置によって得られた画像データを画像処理する画像処理装置とを有して、前記特定存在物の幅関連情報を取得するものである(1)項に記載の衝突対応車両制御システム。
【0017】
本項に記載のシステムは、カメラによる撮像データから幅関連情報を取得する態様のシステムである。先に説明したように、レーダ装置によって幅関連情報を取得する場合には、前方存在物の特定の箇所にリフレクタを設ける等しなければ、正確な幅関連情報を取得できない、これに対し、画像処理によれば、そのようなリフレクタ等がなくても正確な幅関連情報が取得できるため、本項に記載のシステムは実用的なものとなる。カメラ装置は、その撮像デバイスが特に限定されるものではなく、CCDカメラ,COMSカメラ等を備える装置を採用することができる。また、白黒画像、カラー画像のいずれを取得する装置であってもよい。画像処理装置は、コンピュータを主体とするものでよく、カメラ装置,処理内容等に応じて、適切なものを採用することが可能である。幅関連情報を取得するための画像処理のプロセスは特に限定されるものではなく、画像処理装置として、既に公知のプロセスに従った処理を行う適切な画像処理装置を用いることが可能である。なお、カメラ装置は、1つのカメラを含んで構成されるものでもよく、複数のカメラを含んで構成されるものであってもよい。例えば、互いに離間した位置にある2つのカメラを備え、ステレオ方式のカメラ装置として構成することも可能である。ステレオ方式であれば、前方存在物の前後方向における位置をも取得可能である。
【0018】
(3)前記存在物情報取得装置が、前記幅関連情報取得装置とは別に、前記1以上の前方存在物を探知可能なレーダ装置を備えた(1)項または(2)項に記載の衝突対応車両制御システム。
【0019】
本項に記載のシステムは、存在物情報取得装置として、幅関連装置とレーダ装置との2つの装置を含んで構成されるシステムである。例えば、画像処理による幅関連情報取得装置の場合は、画像処理に時間がかかることから、前方存在物が数多く存在する場合等には、その装置への負担が大きくなる。これに対して、レーダ装置は、複数の前方存在物の探知を容易に行い得るというメリットがある。本システムは、レーダ装置のメリットを活かすことで、効率のよい存在物情報の取得が可能となり、より実用的なシステムが実現する。なお、レーダ装置は、特に限定されるものではないが、前方存在物の各々と自車両との距離,その各々の自車両に対する方位およびその各々と自車両との相対速度を検出可能なものであることが望ましい。ミリ波を検知波とするレーダ装置は、それらのすべてを検出可能であることから好適である。またミリ波レーダ装置は、比較的長い波長の電波を検知波とするレーダ装置であり、レーザを利用したレーダ装置等とは異なり、回折現象,路面等による反射等を利用して、直前走行車両に少なくともその一部が隠れた前方存在物であっても、それの距離,方位,相対速度等の情報を取得可能ある。上記画像処置による幅関連情報取得装置は、前方存在物の陰に隠れた前方存在物の幅関連情報を取得できないことから、ミリ波レーダ装置は、幅関連情報取得装置を補完する機能をも果たし得る。後に詳しく説明するが、ミリ波レーダ装置は、FM−CWレーダ装置であってデジタル・ビーム・フォーミング(DBF)技術による走査が可能なレーダ装置であることが望ましい。
【0020】
(4)前記レーダ装置が、前記1以上の前方存在物の概略位置に関する情報を取得するものであり、前記幅関連情報取得装置が、その概略位置に関する情報に基づいて、前記特定存在物の幅関連情報を取得するものである(3)項に記載の衝突対応車両制御システム。
【0021】
本項に記載の態様は、レーダ装置を備えた存在物情報取得装置に関する一態様である。後に詳しく説明するように、レーダ装置は、一般的に、前方存在物の正確な位置を検出するのには不十分である場合があるが、迅速に前方存在物の概略位置を取得できる。本態様のように、レーダ装置によって取得された概略位置を基に、幅関連情報取得装置がその前方存在物の幅関連情報を取得すれば、幅関連情報取得装置の負担を減らすことが可能である。幅関連情報取得装置が画像処理によって幅関連情報を取得するものである場合、具体的には、レーダ装置によって検出された前方存在物の概略位置を基に、撮像された画面内においてその前方存在物の画像を特定し、その特定した画像に基づく画像処理を行って,その存在物の幅,幅方向の位置を検出するような態様とすることができる。
【0022】
(5)前記レーダ装置が探知した前方存在物のうちの一部のものを前記特定存在物としてそれの幅関連情報を取得するものとされた(3)項または(4)項に記載の衝突対応車両制御システム。
【0023】
本項に記載の態様は、レーダ装置を備えた存在物情報取得装置に関する一態様である。先に述べたように、例えば、幅関連情報取得装置が、画像処理によるものである場合、その処理に時間がかかり、幅関連情報取得装置への負担が大きくなる。本態様では、レーダ装置によって探知された前方存在物の一部を特定存在物とし、その特定存在物についてのみ幅関連情報を取得するため、効率的な存在物情報の取得が可能となる。具体的は、例えば、レーダ装置によって探知された前方存在物のうち、衝突対象制御における対象とはならない前方存在物を除いたものの幅関連情報を取得する態様,自車線上に存在する可能性のあるもののみについての幅関連情報を取得する態様等とすることができる。
【0024】
(6)前記衝突対応制御装置が、前記特定存在物の幅関連情報としてのその特定存在物の幅方向における中心の位置に基づく制御を行うものである(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
【0025】
本項に記載の態様は、衝突対応制御において、前方存在物のどの部分を基準として前方存在物の位置を認識するかについての一態様である。本態様のように、前方存在物の幅方向の中心を前方存在物の位置基準とすれば、簡便な制御処理が可能となる。
【0026】
(7)前記衝突対応制御装置が、前記特定存在物の幅関連情報としてのその特定存在物の幅方向における両側の少なくとも一方の位置に基づく制御を行うものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
【0027】
本項に記載の態様は、衝突対応制御において、前方存在物のどの部分を基準として前方存在物の位置を認識するかについての一態様である。本項に記載の態様のように、前方存在物の幅方向の端部を基準とすれば、例えば、後述するところのその前方存在物が自車線上に存在するか否かの判定を始めとする各種の処理を、簡便に行い得る。
【0028】
(8)前記衝突対応制御装置が、前記取得された特定存在物の幅関連情報に基づいて、その特定存在物と自車両とが衝突すると仮定した場合における自車両の幅に対してのその特定存在物と自車両との重なる部分の幅の割合であるラップ率を推定し、その推定されたラップ率に基づいて、前記作動装置を制御するものである(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
【0029】
自車両と前方存在物とが衝突する場合、その衝突時に互いに接触する部分の面積が大きいときには、自車両の受ける衝撃は大きいものとなる。例えば、同じ幅の車両どうしが衝突する場合を例にとって考えれば、一般的に、両者の車両中心線が一線上に位置する状態(ラップ率100%に相当)で衝突する場合は衝撃が大きいが、車両中心線が一線上に位置しないオフセット衝突の場合は、それに比べ衝撃が小さく、両車両の車両中心線がずれればずれる程、衝撃は小さくなると考えることができる。つまり、上記ラップ率は、衝突衝撃の大きさを表すパラメータとなり得る。衝突対応制御、特にPCS制御において、衝突衝撃の大きさを加味した制御を行うことは、現実に即した制御を行うことに繋がる。したがって、上記ラップ率に基づいて制御を行う本項に記載のシステムは、より実用的なシステムとなる。
【0030】
(9)前記衝突対応制御装置が、前記推定されたラップ率が大きい場合に、小さい場合に比較して、前記作動装置の作動を開始させるタイミングを早める制御を行うものである(8)項に記載の衝突対応車両制御システム。
【0031】
本項に記載の態様は、ラップ率に基づく衝突対応制御に関する一態様である。ラップ率が大きい場合は、衝突による衝撃が大きいものと推認することができ、本項に記載の態様によれば、例えば、そのような場合において、作動装置の作動を遅れを、効果的に低減することが可能である。「作動装置の作動を開始させるタイミングを早める」態様は、ACC制御,PCS制御による作動装置の開始条件を緩和する態様が含まれる。例えば、自車両と直前先行車両と上記相対関係パラメータに依拠する開示条件である場合に、そのパラメータの値が両者の衝突の可能性が低いことを示す値であっても、作動装置を作動させる態様である。具体的には、例えば、ACC制御において、自車両を減速させるタイミング、詳しくは、エンジン等の出力制限,トランスミッションのシフトダウン,液圧ブレーキの作動を早めたりすることや、PCS制御において、シートベルトに衝突前張力を付与して乗員を拘束するプリテンショナの作動のタイミングを早めたり、緊急ブレーキのタイミングを早めたりする態様とすることが可能である。なお、作動装置の作動開始のタイミングは、連続的に早められるような態様であってもよく、また、段階的な制御モードを設定し、その制御モードに応じて段階的に早められるような態様であってもよい。
【0032】
(10)前記衝突対応制御装置が、前記推定されたラップ率がが大きい場合に、小さい場合に比較して、前記作動装置の作動によって得られる効果を増大させる制御を行うものである(8)項または(9)項に記載の衝突対応車両衝突システム。
【0033】
本項に記載の態様は、ラップ率に基づく衝突対応制御に関する一態様である。ラップ率が大きい場合は、衝突による衝撃が大きいものと推認することができ、本項に記載の態様によれば、例えば、そのような場合において、より確実に作動装置の機能を発揮させることが可能である。「作動装置の作動によって得られる効果を増大させる」態様は、平たく言えば、作動装置の作動量を大きくしたり,作動装置が発揮する力を大きくしたりする態様である。その態様には、例えば、ACC制御,PCS制御における自車両の減速効果,乗員保護効果を増大させる態様が含まれ、具体的には、例えば、ACC制御において行われる自車両の減速の際の減速度を、通常の場合と比較して大きくするような態様、より具体的には、ブレーキ装置が液圧式ブレーキシリンダを備えた装置である場合に、そのシリンダの液圧を高くするような態様とすることができる。また、PCS制御において、前述のプリテンショナによるシートベルトの引込量を多くする等して、衝突前におけるシートベルトの引張荷重を通常に比較して大きくするような態様とすることができる。なお、作動装置の作動による効果は、連続的に増大させられるような態様であってもよく、また、段階的な制御モードを設定し、その制御モードに応じて段階的に増大させられるような態様であってもよい。
【0034】
(11)前記衝突対応制御装置が、前記取得された特定存在物の幅関連情報に基づいて、その特定存在物が自車両が走行を予定するの走行車線上に位置するか否かを判断し、その判断に基づいて前記作動装置の制御を行うものである(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
【0035】
衝突対応制御においては、自車線上存在物が制御における対象となる前方存在物とされる。自車線上存在物は、自車両が走行を予定する走行車線(任意に設定された幅を有する車線として観念できるものであり、路面に描かれた車線とは同一である必要はない)である自車線上に存在する前方存在物であり、前方存在物が自車線上存在物であるか否かを判断する際に、その前方存在物の幅関連情報は価値の高い情報となる。本項に記載のシステムでは、制御における対象となる前方存在物の特定において、幅関連情報を利用するものであり、効率的な特定が可能とされたシステムとなる。
【0036】
(12)前記衝突対応制御装置が、前記自車両の走行車線の幅の内側に、前記特定存在物の少なくとも一部分が存在する場合に、その特定存在物が自車両の走行線上に位置すると判断するものである(11)項に記載の衝突対応車両制御システム。
【0037】
本項に記載の態様は、自車線上存在物の特定に関する一態様である。本項に記載の態様は、具体的には、例えば、先に説明した幅関連情報である前方存在物の幅方向における両側の少なくとも一方の位置に基づき、その位置が自車線の幅の内側に位置する場合に、その前方存在物が自車線上に存在すると判断するような態様とすることができる。本項に記載の態様によれば、自車線上存在物の特定を簡便に行うことが可能となる。
【0038】
(13)前記存在物情報取得装置が、前記特定存在物としての自車両の前方を走行する先行車両の幅関連情報を取得するものであり、前記衝突対応制御装置が、取得された先行車両の幅関連情報に基づいて、前記作動装置を制御するものである(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
【0039】
衝突対応制御は、先行車両を対象として行われることが多い。特に、ACC制御においては、直前先行車両への追従を目的とすることから、その車両の幅関連情報を取得することに意義があり、また、PCS制御においても、先行車両へのい追突を想定する場合において、その車両の幅関連情報を取得することに、意義がある。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態について、図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、決して、下記実施形態に限定されるものではなく、下記実施形態の他、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0041】
<システムの全体構成>
図1に、本発明の実施形態である衝突対応車両制御システムの全体構成についてのブロック図を示す。図1に示すように、本システムは、いくつかの電子制御ユニット(コンピュータを主体とする制御装置であり、以下、「ECU」と略す)を含んで構成されている。本システムの中核をなすECUは、衝突対応制御装置としての衝突対応ECU10であり、この衝突対応ECU10は、後に詳しく説明するが、自車両の前方に存在する前方存在物と自車両との相対位置関係等を把握するとともに、その相対位置関係等に基づいて後に説明する作動装置を制御することによって、自車両に関するACC制御、PCS制御等の衝突対応制御を行う。
【0042】
衝突対応ECU10は、センサ系LAN12(車両内LAN、他のLANも同様である)を介して、各種センサ装置と繋がっており、それらのセンサ装置を制御するともに、それらのセンサ装置から自車両の周辺情報,自車両の挙動に関する情報を入手する。本システムには、本発明に関係あるセンサ装置として、レーダ装置14、カメラ装置としての2つのCCDカメラ16と画像処理装置18とを含んで構成される画像依拠情報取得装置20、自車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ22が設けられている。なお、上記レーダ装置14と、上記画像依拠情報取得装置20とを含んで、本システムにおける存在物情報取得装置が構成されている。
【0043】
また、衝突対応ECU10は、制御系LAN30に接続されており、このLAN30には、各種作動装置が接続されている。各種作動装置は電子制御式のものであり、作動装置のECUと衝突対応ECU10とがLAN30を介して接続されているのである。本発明に関係の深い作動装置として、図には、エンジンECU32と電子スロットルアクチュエータ(以下、「アクチュエータ」を「ACT」と略す)34とを備える駆動力発生装置としてのエンジン装置、トランスミッションECU36とトランスミッションACT38とを備えるトランスミッション装置、ブレーキECU42とブレーキACT44とを備えるブレーキ装置、ステアリングECU46とステアリングACT48とを備えるステアリング装置、シートベルトECU50とシートベルトACT52とを備えるシートベルト装置、エアバッグECU54とエアバッグACT56とを備えるエアバッグ装置等を示してある。これらの作動装置は、衝突対応ECU10からの制御信号に基づいて、作動する。これらの作動装置の動作については、後に詳しく説明する。なお、ブレーキ装置は車輪速センサ64を、ステアリング装置は操舵角センサ66を有しており、衝突対応ECU10は、こられのセンサ64,66によって検出された車両速度(4輪の車輪速を平均化処理する等して算出する)、操舵角(ステアリングホイールの操作角であってもよく、また、転舵車輪の舵角であってもよい)を自車両情報の1つとして入手する。
【0044】
さらに、本システムには、周辺車両との間、および、車路に間隔をおいて設けられた通信ユニットとの間の通信を行う車々間・車路間通信装置70を備えており。通信装置70は、カーナビ情報等に関するネットワークであるAV系LAN72に接続され、このLAN72は、ゲートウェイECU74を介して制御系LAN30に接続されている。このような接続により、衝突対応ECU10は、周辺車両の情報を入手するとともに、自車両の情報を周辺車両等に送達するようにされているのである。なお、車々間・車路間通信装置70は、先に説明した存在物情報取得装置の一部分を構成するものである。
【0045】
本システムは、おおまかに言えば、レーダ装置14,CCDカメラ16等により探知された先行車両等の前方存在物の状態,情況に応じて、その前方存在物と自車両との衝突を防止するように、また、衝突した場合であっても乗員を適切に保護するように、作動装置を制御するものであり、先に説明したACC制御,PCS制御の両者を行い得るシステムとされている
【0046】
<レーダ装置>
本システムが備えるレーダ装置14は、ミリ波を探知波とするミリ波レーダであり、連続波(CW)に周波数変調(FM)が施された送信信号を用いるFM−CWレーダ装置である。このレーダ装置14は、自車両に搭載され、前方の車両や道路標識等の前方存在物を検出し、その前方存在物と自車両の相対位置関係および相対速度を同時に取得可能とされている。このレーダ装置14においては、アダプディブアレーアンテナフィルタが用いられるとともに、デジタル・ビーム・フォーミング(DBF)技術によるアンテナビームの形成および走査が行われ、前方存在物が点情報として検出されるのである。FM−CWレーダ装置の探知原理,DBF技術等は、本件出願人による特許出願(特開2003−130945号,特開平8−220220号)等に詳しく説明されており、既に公知の技術であるため、本明細書においての詳しい説明は省略する。
【0047】
本レーダ装置14は、設定された探知範囲において前方存在物を探知する。詳しく言えば、自車両の前方の設定された角度範囲(例えば、10゜〜20゜といった範囲)において走査するとともに、最遠方探知距離も設定されており(例えば200mとかいった値)、遠方に存在する前方存在物の探知を行わないようにされている。また、本レーダ装置14は、カーブ路を走行する際には、操舵角センサ66によって検出された操舵角および車輪速センサ64によって検出された車両速度に基づいて(ヨーレイトセンサ22によるヨーレイトに基づいてもよい)、その走行線に応じて前方存在物の探知範囲を左右方向に変更可能とされている。
【0048】
本レーダ装置14は、レーザを利用したレーダ装置等とは異なり、1つの前方存在物の陰に隠れた他の前方存在物をも探知可能である。例えば、直進路において先行車両が2台以上存在するような場合でも、直前先行車両の先を走行する先々行車両をも探知可能なのである。例えば、図2に模式的に示すように、本レーダ装置14は比較的長い波長の電波にて探知するものであるため、回折現象によって直前先行車両Cfの向こうに位置する先々行車両Cffに探知波が到達し、その先々行車両Cffからの反射波も自車両C0に帰ってくるのである。また、例えば、図3に模式的に示すように、直前先行車両Cfの車体の下方において路面に反射する等して、探知波が先々行車両Cffに届き、その反射波も自車両C0に届くのである。後に詳しく説明するが、本システムでは、このような特徴を利用して、直前先行車両の前方に存在する先々行車両等の前方存在物の相対位置関係を取得し、その情報を、ACC制御,PCS制御に有効に活用する。
【0049】
レーダ装置14による場合、概ね前方存在物の最も電波が強く反射する箇所が探知される。前方存在物が走行車両である場合を例にとって説明すれば、図4に示すように、概して先行車両Cnの後端面のある箇所が最強反射箇所Q’(Cn)となり、自車両C0の前端中央O(自車両の基準となる箇所)との間の相対位置関係、相対速度が、両者間の相対位置関係等として取得される。具体的に言えば、図4の場合は、両者間の車間距離lCn−C0(相対関係パラメータの一種である),自車両C0を基準とする方位θCn,Q’(Cn)とOとを結ぶ線に沿った方向の相対速度VCn−C0(本実施形態では、両者が近づく場合に正の値となるものとする)が取得されるのである。なお、前方存在物が停止車両等の静止物であっても、同様に、両者間の相対位置関係等が取得される。なお、相対速度VCn−C は、方位θCnが大きくなる場合には車両の走行速度VCo,VCnの差を正確に反映するものとはならないが、実際のACC制御,PCS制御においては、自車両の前方存在物への衝突、すなわち距離lCn−C0の変化を問題とするため、検出される相対速度VCn−C0は、それらの制御に好都合なパラメータとなる。
【0050】
一方、前述の前方存在物において上記最強反射箇所は、自車両と前方存在物との位置関係等に応じて異なり、常に一定の箇所とはならない。したがって、自車両の幅方向における前方存在物の位置を推定する場合、その推定位置には、何某かの誤差を含む可能性がある。前方存在物の幅方向位置の推定誤差が問題となり、より精度の高い制御が必要とされる場合には、何らかの手段を講じることが望ましい。
【0051】
レーダ装置14は、極短い時間間隔(例えば、数十msec)をおいて連続的に探知を行う。レーダ装置14は、CPUを主体として探知結果を処理する処理装置を備えており、直近の複数回の検出結果を基に、監視対象物の特定を行う。言い換えれば、レーダ装置14は、特定の前方存在物を追従して監視する機能を備えているのである。この特定のプロセスは、得られた相対位置関係,相対速度の変化等に基づいて行われ、ノイズ,ガードレール等の路側物等が監視対象から外される。このプロセスは、特に限定されるものではないが、例えば、前述の本件出願人の特許出願(特開平8−220220号)等に詳しく説明されているためここでの説明は省略する。この処理により、先行車両,路上に存在する停止車両等の静止物等、目的に応じた前方存在物が、特定存在物として監視の対象とされるのである。これら特定存在物についての相対位置関係,相対速度に関するデータは、画像依拠情報取得装置20に送られるとともに、衝突対応ECU10の要求に基づいて、衝突対応ECU10に送られる。
【0052】
<画像依拠情報取得装置>
画像依拠情報取得装置20は、2つのCCDカメラ16と、コンピュータを主体とする画像処理装置18とを含んで構成される。2つのCCDカメラ16は、その各々が、例えば、ドアミラーの各々,フロントグリルの両端部の各々等、車幅方向に離間して配置される。いわゆるステレオ方式のカメラ装置である。詳しい説明は省略するが、画像依拠情報取得装置20は、この2つのCCDカメラ16の各々の視差を利用することで、いわゆる三角測量の原理に従って、自車両の基準点(前述の前端中央O)に対する前方存在物の位置を検出する。
【0053】
画像処理装置18は、レーダ装置14から送られた前記特定存在物についての相対位置関係等の情報に基づいて画像処理を行う。つまり、その情報により、特定存在物のおおまかな位置(前述の距離および方位)が把握できているため、その位置を基準としてカメラの視野内において一体的に移動する部分を、その特定存在物の画像として認識する。認識処理の具体的なプロセスは、特に限定されるものではなく、公知のプロセスにしたがえばよく、ここでの説明は省略する。
【0054】
画像処理によって得られる情報は、特定存在物が走行車両である場合を例示する図5を参照して説明すれば、特定存在物の各々の幅(幅寸法)WCn、および、幅方向(自車両の幅方向)における中心Q(Cn)の存在する位置ΔX(Cn)(自車両中心線CLの延長線からの幅方向の偏り量:右方向へ偏る場合を正,左方向へ偏る場合を負とする)である。これらは、上記認識処理によって特定存在物として認識された画像の部分の幅方向の両端を検出し、それらの位置から演算によって得られる。例えば、特定存在物が車両である場合は、車両の両側の車幅灯等を画像認識し、その車幅灯等の位置を特定存在物の幅方向の両端とみなして、幅WCn,中心存在位置ΔX(Cn)を取得することも可能である。取得された情報である幅WCn,中心存在位置ΔX(Cn)等は、特定存在物の幅関連情報であり、画像依拠情報取得装置20は、幅関連情報取得装置として機能するのである。
【0055】
上述したように、レーダ装置14による探知が探知波の反射の強い不定の箇所Q’(Cn)の位置をもって前方存在物の位置とするのに対して、画像情報依拠装置20によれば、前方存在物の正確な位置の特定が可能となる。つまり、本実施形態では、画像処理依拠装置20は、レーダ装置14によって取得された前方存在物の概略位置に基づいて、その前方存在物の幅および正確な幅方向の位置を検出するものとされているのである。なお、本実施形態においては、画像処理装置18は、極短い時間間隔(例えば、数十msec)をおいて連続的に処理を行うようにされており、レーダ装置14同様、特定存在物を追従して監視する機能を備えているのである。
【0056】
取得された、特定存在物の各々の幅WCn,中心存在位置ΔX(Cn)等は、衝突対応ECU10の要求に基づいて、衝突対応ECU10に送られる。なお、例えば、直前先行車両の正面に位置する先行車両等、手前の前方存在物に隠れる前方存在物は、カメラ16による撮像データでは認識できないことがある。この場合は、その特定存在物については、画像処理による位置検出は行わず、その旨が衝突対応ECU10に送られることになる。
【0057】
本画像依拠情報取得装置20では、2つのCCDカメラ16の視差を利用して位置検出を行っているが、この方法に代え、一方のカメラ16の画面内において、レーダ装置14による相対位置関係等の情報に基づいて特定対象物を推定し、その推定された特定対象物における各所の画面内の位置を検出し、その検出結果に基づいて上記幅関連情報を取得することも可能である。このような方法に従えば、互いに離れた位置にある2つのカメラ16を単独で用いることができ、手前の前方存在物によって死角となる範囲を小さくすることが可能である。また、カメラ16を1つのみ備える態様の画像依拠情報取得装置とすることも可能である。
【0058】
本画像依拠情報取得装置20の備える2つのCCDカメラ16は、ともに、カラー画像を撮像可能なカメラとされている。そのため、画像依拠情報取得装置20は、特定存在物あるいはそれの一部分の色彩等を認識することも可能であり、例えば、特定存在物が、車両である場合、その車両のブレーキランプ,ハザードランプ,方向指示ランプ等の表示灯の点灯状態を認識することが可能とされている。本実施形態では、画像処理装置18は、特定存在物が直前先行車両である場合において、その車両のブレーキランプの点灯を、その車両の操作操作状態示唆情報として取得し、その情報を、前記幅関連情報とともに衝突対応ECU10に送信する。つまり、画像依拠情報取得装置20は、操作状態示唆情報取得装置としても機能するのである。
【0059】
<衝突対応制御>
本システムによる衝突対応制御は、衝突対応ECU10内のメモリに格納されている衝突対応制御プログラムが実行されることによって行われる。このプログラムは、図6にフローチャートで示すように、ステップ0(以下「S0」と略す。他のステップも同様とする。)の初期処理に続くS1の自車線上存在物特定ルーチン、S2のACC・PCS対象特定ルーチン、S3の第1モード決定ルーチン、S4の第2モード決定ルーチン、S5のACC・PCS作動ルーチンの4つのルーチンを含んでおり、S0の初期処理において各種のパラメータ,モード値,フラグ等のリセット等が行われた後、それらのステップが順次実行される。衝突対応制御プログラムは、自車両のイグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数十msec)をおいて繰り返し実行される。以下、各ルーチンが実行されて行われる処理の内容を、順を追って説明する。
【0060】
i)自車線上存在物特定ルーチン
自車線上存在物特定ルーチンは、図7に示すフローチャートに従った処理を行う。まず、S101において、レーダ装置14から、その装置が取得したところの、監視対象としての前方存在物である特定存在物Cn(n=1,2,・・・)の各々についての存在物情報が入手される。具体的には、各特定存在物Cnの自車両との距離lCn−C0,自車両を基準とする方位θCn,自車両との相対速度VCn−C0が入手される。次いで、S102において、操舵角センサ66によって検出された操舵角φおよび車輪速センサ64によって検出された自車両の速度である自車速度VC0に基づいて(ヨーレイトセンサ22によるヨーレイトγに基づいてもよい)、自車両が走行を予定する走行車線である自車線OLが推定される。自車線は、一定の幅のある仮想車線であり、具体的には、前記自車両基準点Oが通過する軌跡である自車線中心線COLが求められ、その自車線中心線COLを中心として、予め設定されている自車線幅WOL(例えば3m)を有する車線として推定されるのである。自車線OLは、車両が直進しているときには、自車両の車両中心線CLと平行に真直ぐに延びるものとなり、車両が旋回しているときには、その旋回半径に依存して曲がった車線となる。
【0061】
続くS103において、特定存在物Cnの絞込みが行われる。この処理は、予め自車線OLに存在する蓋然性が高い前方存在物を選定する処理である。図8に、レーダ装置14によって認識されたいくつかの特定存在物と自車両との相対位置関係を概念的に示す。この図は、自車両C0が緩やかに旋回している場合の図であり、この図では、6つの先行車両が前方存在物Cnとして路上に存在している。また、図9に、1つの走行車両を拡大して示す。これらの図を参照しつつ説明すれば、各特定存在物Cn、詳しくは、各特定存在物Cnのレーダ装置14によって認識されている箇所Q’(Cn)と自車線基準点Oとの距離lCn−C0,方位θCnのデータと、自車線中心線COLのデータとに基づいて、上記箇所Q’(Cn)の自車線中心線COLからの変位量ΔQ’(Cn)が取得される。つまり、幅方向において自車線中心線COLからどの程度離れているかが算出されるのである。そして、各特定存在物Cnの変位量ΔQ’(Cn)の絶対値が、自車線幅WOLより大きい場合に、制御における対象から外され、特定存在物Cnの絞込みが行われるのである。具体的には、例えば、図9(a)のものは対象とされるが、図9(b)のものは、対象から外される。レーダ装置14による探知では、前方存在物の幅等が検出できないため、本ステップにおける処理は判断の基準に余裕を持たせ、その基準値を自車線幅WOLとしているのである(幅方向の位置が正確に特定できれば、基準値はWOL/2とすればよい)。つまり、自車線幅WOLの2倍の幅を有する車線中に、レーダ装置14によって認識されている箇所Q’(Cn)が存在するか否かの判断を行っているのである。この判断基準となる値は、上記値に限定されず、制御の目的等に応じて任意に設定することができる。このような絞込みの結果、例えば、図8における場合では、走行車両C2,C5が対象から外されることになる。
【0062】
次に、S104において、絞り込まれた特定存在物Cnについての幅関連情報である幅WCn,中心存在位置ΔX(Cn)が、画像依拠情報取得装置20から入手される。続いて、その絞り込まれた特定存在物Cnの各々について、3つの幅方向位置が、別の幅関連情報として算出取得される。3つの幅方向位置は、図10に示すように、特定存在物の幅方向の中心Q(Cn)の自車線中心線COLからの変位量である中心変位量ΔQ(Cn)、左右の幅方向端Q(Cn),Q(Cn)のそれぞれの自車線中心線COLからの変位量である右端変位量ΔQ(Cn),左端変位量ΔQ(Cn)である。なお、算出にあたっては、上記Q(Cn)Q(Cn),Q(Cn)のいずれもが、前記レーダ装置14によって取得された距離lCn−C0だけ自車両から離れているものと擬制して演算が行われる。また、ΔQ(Cn),ΔQ(Cn),ΔQ(Cn)は、Q(Cn),Q(Cn),Q(Cn)が自車線中心線COLより車両進行方向に向かって右側に位置するときには正の値となり、左側に位置するときは負の値となる。なお、自車両が直進している場合(旋回していない場合)は、中心変位量ΔQ(Cn)は、中心存在位置ΔX(Cn)と同じ値となる。
【0063】
続く、S106〜S113の処理によって、絞り込まれた特定存在物Cnの各々が自車線OL上にあるか否かが判断される。図11を参照しつつ説明すれば、まずS106において、中心変位量ΔQ(Cn)の値の正負によって、特定存在物Cnが自車線中心線COLに対して幅方向のいずれの方向に変位しているかが判断される。右方向に変位している場合(図11(a),(b))は、S107において、左端変位量ΔQ(Cn)が自車線幅WOLの半分より小さいか否か、つまり、その特定存在物Cnが少しでも自車線OLに掛かっているか否かが判断される。掛かっている場合(図11(a))は、特定存在物Cnが自車線上存在物であると擬制され、S109において自車線判定フラグFCnが1とされる。掛かっていない場合(図11(b))は、S110において特定存在物Cnは自車線上存在物ではないと擬制され、自車線判定フラグFCnが0とされる。S106において左方向に変位している場合(図11(c),(d))は、S110において、右端変位量ΔQ(Cn)の絶対値が自車線幅WOLの半分より小さいか否か、つまり、その特定存在物Cnが少しでも自車線OLに掛かっているか否かが判断される。掛かっている場合(図11(c))は、特定存在物Cnが自車線上存在物であると擬制され、S111において自車線判定フラグFCnが1とされる。掛かっていない場合(図11(d))は、S112において特定存在物Cnは自車線上存在ではないと擬制され、自車線判定フラグFCnが0とされる。つまり上記処理は、前方存在物Cnの少なくとも一部が自車両C0の走行車線の幅WOLの内側に存在する場合に、その前方存在物Cnが自車線OL上に存在すると認定する処理である。以上の処理を繰り返し、S113において、絞り込まれたすべての特定存在物Cnについての判定が終了したのを確認して、本自車線上存在物特定ルーチンの実行が終了する。図8の例によれば、絞り込まれた特定存在物Cnの中から、先行車両C3が自車線外に存在すると判断され、先行車両C1,C4,C6が自車線上存在物として特定されることになる。
【0064】
なお、先に説明したように、画像依拠情報取得装置20による幅関連情報の取得処理において、手前の前方存在物に隠れる前方存在物であったために、その前方存在物の幅情報が取得できなかった場合は、その旨の情報が入手される。絞り込まれた特定存在物Cnのうちのいずれかが、そのような前方存在物であった場合は、レーダ装置14による検出箇所Q’(Cn)を中心位置Q(Cn)とみなすとともに、右端変位量ΔQ(Cn),左端変位量ΔQ(Cn)を0とみなして処理を行う。つまり、その特定存在物Cnは、自車線OL上に存在するものとして処理される。また、特定存在物Cnが1つも存在しない場合は、フローチャートには示していないが、S106〜S113をスキップするようにされている。
【0065】
上記判定処理は、特定存在物の幅方向における中心の位置に基づいて行われるとともに、特定存在物の幅方向における両側の少なくとも一方の位置に基づいて行われる処理である。つまり、幅関連情報に基づいて、自車線上存在物であるか否かの判定を行っているため、レーダ装置14によって得られる存在物情報のみに基づいて行われる判定処理と比較して、判定の信頼度が高いものとされているのである。なお、自車線上に存在するか否かの判定の精度を、それ程要求されない場合には、上記S103〜S113の判定処理を省略し、S101〜S103によって絞り込まれた特定存在物Cnを、自車線上存在物として特定する態様で実施することが可能である。
【0066】
また、S101〜S103の一連の処理は、前述したレーダ装置14の処理装置によって行うことも可能である。その場合、絞り込まれた特定存在物に関する情報が画像依拠情報取得装置20に送られ、画像処理装置18は、その絞り込まれた特定存在物についてのみ画像処理を行って、それらについての幅関連情報を取得する態様で実施することも可能である。この態様によれば、画像処理の対象をさらに減らすことができ、画像処理の負担が軽減する。
【0067】
ii)ACC・PCS対象特定ルーチン
自車線上存在物特定ルーチンが実行された後に、図12にフローチャートを示すACC・PCS対象特定ルーチンが実行される。まず、S201において、自車線上存在物が存在するか否かが判断される。自車線上存在物が存在しない場合は、S5のACC・PCS作動ルーチンに移行する。自車線上存在物が存在する場合は、S202において、直前存在物Cfが特定される。具体的には、自車線上存在物が自車両の前方に1つしか存在しない場合は、その存在物が直前存在物Cfとされる。複数の自車線上存在物が存在する場合は、それらの中から、レーダ装置14によって取得された自車両との距離lCn−C0の値の最も小さいものが、直前存在物Cfとして特定される。直前存在物Cfは、ACC制御,PCS制御における直接的な衝突対象物として位置づけられるものである。対象直前存在物Cfは、それが走行車両である場合には直前先行車両Cfであり、図8の例においては、先行車両C1が直前先行車両Cfとして特定される。
【0068】
続くS203において、直前存在物Cfの自車両C0との距離lCf−C0,相対速度VCf−C0,自車両の直前存在物への到達時間TaCf−C0,衝突時間TbCf−C0,直前存在物Cfの移動速度Vcfが算出される(到達時間,衝突時間は相対関係パラメータの一種である)。具体的には、距離lCf−C0,相対速度VCf−C0は、レーダ装置によって取得された直前存在物CfについてのlCf−C0,VCn−C0の値がそのまま採用され、到達時間TaCf−C0は、距離lCf−C0を車輪速センサ64によって取得された自車両走行速度vC0で除して求められ、衝突時間TbCf−C0は、距離lCf−C0を相対速度VCf−C0で除して求められる。移動速度VCfは、自車両走行速度VC0から相対速度VCf−C0を減じることによって求められる。前方存在物が先行車両である場合には、到達時間は車間時間と呼ばれるものであり、移動速度は、走行速度である(静止物の場合は概ね0となる)。
【0069】
次のS204において、直前存在物Cfの前方に、自車線上存在物が存在するか否かが判断される。自車線上存在物が存在しない場合は、S4の第2モード決定ルーチンに移行する。自車線上存在物が存在する場合は、S205において、次前存在物Cffが特定される。具体的には、直前存在物Cfの前方に1つの自車線上存在物しか存在しない場合は、その存在物が次前存在物Cffとされる。複数の自車線上存在物が存在する場合は、それらの中から、取得された自車両との距離lCn−C0の値の最も小さいものが、次前存在物Cffとして特定される。次前存在物Cffは、それが走行車両である場合には先々行車両(厳密には、先々行車両のうちの最も自車両に近いもの)Cffであり、図8の例においては、先行車両C4が先々行車両Cffとして特定される。
【0070】
続くS206において、次前存在物Cffと直前存在物Cfとの距離lCffCf,相対速度VCff−Cf,直前存在物Cfの次前存在物Cffの存在位置への到達時間TaCff−Cf,衝突時間TbCff−Cf,次前存在物Cfの移動速度VCff、さらには減速度GCffが算出される。具体的には、距離lCffCfは、レーダ装置14によって取得された次前存在物CffについてのlCn−C0の値から、直前存在物Cfのその値を減じて求められ、相対速度VCff−Cfは、次前存在物CffのVCn−C0の値から直前存在物Cfのその値を減じて求められる。到達時間TaCff−Cfは、距離lCffCfを先に求めた直前存在物Cfの移動速度VCfで除して求められ、衝突時間TbCff−Cfは、距離lCffCfを相対速度VCff−Cfで除して求められる。移動速度VCffは、自車両走行速度VC0から、取得されたVCf−C0を減じることによって求められる。衝突対応ECU10は、先回の本プログラムの実行時の移動速度VCffを記憶しており、減速度GCffは、今回求められた移動速度VCffから先回の移動速度VCffを減じて得られた速度差を、プログラムの実行間隔時間で除することによって求められる。このS206を終了して、本ACC・PCS対象特定ルーチンの実行が終了する。
【0071】
iii)第1モード決定ルーチン
図13にフローチャートを示す第1モード決定ルーチンは、ACC制御・PCS制御の制御モードを決定するためのルーチンであり、詳しくは、直前存在物Cfと次前存在物Cffとの関係に基づいてACC制御・PCS制御のモードを変更するためのルーチンである。モードの変更は、図8の例のように直前存在物Cfが直前走行車両Cfである場合において、有効な手段である。そのため、本ルーチンは、直前存在物Cfを直前走行車両Cfとして説明する。S301〜S304は、PCS制御に関するモード決定処理が実行され、S305〜S309では、ACC制御に関するモード決定処理が実行される。
【0072】
まず、S301において、直前走行車両Cfと次前存在物Cffとの衝突時間TbCff−Cfが、設定されている閾時間TbPCS(例えば、0.65sec)より短いか否かが判断される。つまり、S301において判断される条件は、PCS制御に関して、直前先行車両Cfと次前存在物Cffと衝突の可能性が高いと判断し得る条件であり、衝突時間TbCff−Cfに基づくその条件を具備する場合に、自車両C0と直前先行車両Cfとの衝突の可能性も高いと推認するのである。続くS302およびS303において判断される条件は、次前存在物Cffが先々行車両Cffである場合に有効な条件であり、先々行車両Cffと直前走行車両Cfとの衝突の可能性を判断する条件である。S302では、先々行車両Cffの減速度GCffに基づく判断がなされ、減速度GCffが、設定された閾減速度GPCS(例えば、0.5G)より大きいか否かが判断される。S303では、直前先行車両Cfの次前存在物Cffの存在位置への到達時間、つまり、直前走行車両Cfと先々行車両Cffとの車間時間TaCff−Cfに基づく判断がなされ、車間時間TaCff−Cfが、設定されている閾時間TaPCS(例えば、1.0sec)より小さいか否かが判断される。例えば、直前走行車両Cfと先々行車両Cffとの車間距離が比較的小さい状態において、先々行車Cffが急ブレーキを掛けたような場合に、前先行車両Cfと次前存在物Cffと衝突の可能性が高いと判断し、自車両C0と直前先行車両Cfとの衝突の可能性も高いと推認するのである。S301における条件を具備するか、あるいは、S302における条件とS303における条件との両者を具備する場合に、S304の処理が実行される。
【0073】
S304においては、PCS制御における作動装置の動作開始時期を規定するPCS開始時間TsPCSを変更し、また、作動装置の動作モードを示す値であるPCS動作モード値MPCSを変更する。PCS開始時間TsPCSは、直前先行車両Cfと自車両C0との衝突時間に関連付けられた閾時間であり、後に説明するように、自車両C0と直前先行車両Cfとの衝突時間TbCf−C0がその閾時間以下となった場合に、作動装置の動作が開始するように設定された時間(例えば、1.0sec)である。S304では、上記PCS開始時間TsPCSの値を、設定された変更量ΔTsPCS1(例えば、0.2sec)だけ大きくする。つまり、この処理は、PCS制御において作動装置の動作開始のタイミングを早めるようにする処理であり、開始時期に対するモードを変更する処理である。また、PCS動作モード値MPCSは、概して言えば、作動装置がPSC制御で作動した場合において、その作動による効果の大きさを決定付けるパラメータである。PCS動作モード値MPCSは、初期設定では0とされており、その値が大きくなるにつれて、作動によって得られる効果が大きくなる。S304では、この値に設定された変更量ΔMPCS1(例えば、1)だけ大きくする。つまり、この処理は、作動効果に対するモードを変更する処理である。
【0074】
次のS305においては、直前走行車両Cfと次前存在物Cffとの衝突時間TbCff−Cfが、設定されている閾時間TbACC(例えば、1.0sec)より短いか否かが判断される。つまり、S305において判断される条件は、ACC制御に関して、直前先行車両Cfと次前存在物Cffと衝突の可能性が高いと判断し得る条件であり、衝突時間TbCff−Cfに基づくその条件を具備する場合に、自車両C0と直前先行車両Cfとの衝突の可能性も高いと推認するのである。続くS306ないしS308において判断される条件は、次前存在物Cffが先々行車両Cffである場合に有効な条件であり、先々行車両Cffと直前走行車両Cfとの衝突の可能性を判断する条件である。S306では、先々行車両Cffの減速度GCffに基づく判断がなされ、減速度GCffが、設定された閾減速度GACC(例えば、0.2G)より大きいか否かが判断される。S307では、直前先行車両Cfの次前存在物Cffの存在位置への到達時間、つまり、直前走行車両Cfと先々行車両Cffとの車間時間TaCff−Cfに基づく判断がなされ、車間時間TaCff−Cfが、設定されている閾時間TaACC(例えば、2.0sec)より小さいか否かが判断される。さらに、S308では、直前先行車両Cfのブレーキ操作が判断される。具体的には、操作状態示唆情報であるところの、画像情報依拠装置20によって取得されたブレーキランプの点灯状態の検出情報、あるいは、車々間・車路間通信70によって受信された直前走行車両Cfのブレーキ操作情報に基づいて判断される。PCS制御の場合と同様、例えば、直前走行車両Cfの走行速度が比較的速く、直前走行車両Cfと先々行車両Cffとの車間距離が比較的小さい状態において、先々行車Cffが急ブレーキを掛け、それに伴って直前先行車両Cfがブレーキ操作を行ったたような場合に、前先行車両Cfと次前存在物Cffと衝突の可能性が高いと判断し、自車両C0と直前先行車両Cfとの衝突の可能性も高いと推認するのである。S305における条件を具備するか、あるいは、S306ないしS308における3つの条件を具備する場合に、S309の処理が実行される。
【0075】
S309においては、ACC制御(厳密に言えば、後に説明する減速ACC制御である)における作動装置の動作開始時期を規定するACC開始時間TsACCを変更し、また、作動装置の動作モードを示す値であるACC動作モード値MAC を変更する。ACC開始時間TsACCは、自車両C0と直前先行車両との車間時間に関連付けられた閾時間であり、後に説明するように、自車両C0と直前先行車両Cfとの車間時間TaCf−C0がその閾時間以下となった場合に、作動装置の動作が開始するように設定された時間である。なお、この閾時間は、例えば、2.0secといった固定時間でもよく、天候,時刻(昼夜)等の環境的要素等によって、2.4sec,2.0sec,1.8secといった具合に選択的に切替えられる時間であってもよい。S304では、上記ACC開始時間TsPCSの値を、設定された変更量ΔTsACC1(例えば、0.4sec)だけ大きくする。つまり、この処理は、ACC制御における作動装置の動作開始のタイミングを早めるようにする処理であり、開始時期に対するモードを変更する処理である。また、ACC動作モード値MPCSは、概して言えば、作動装置がACC制御で作動した場合において、その作動による効果の大きさを変更させるパラメータである。ACC動作モード値MACCは、初期設定では0とされており、その値が大きくなるにつれて、作動によって得られる効果が大きくなる。S309では、この値に設定された変更量ΔMACC1(例えば、1)だけ大きくする。つまり、この処理は、作動効果に対するモードを変更する処理である。なお、PCS開始時間TsPCS,PCS動作モード値MPCS,ACC開始時間TsACC,ACC動作モード値MACCは、本プログラムの実行の度に、S1の初期処理において、リセットされる。
【0076】
iv)第2モード決定ルーチン
図14にフローチャートを示す第2モード決定ルーチンは、PCS制御の制御モードを決定するためのルーチンであり、詳しくは、直前存在物Cfと自車両C0との関係に基づいてPCS制御のモードを変更するためのルーチンである。より詳しくは、直前存在物Cfと自車両C0とが衝突したと仮定した場合の両者のラップ率LAPに基づいてPCS制御のモードを変更するためのルーチンである。なお、ラップ率LAPに基づくPCS制御は、直前存在物Cfが直前走行車両である場合だけでなく、静止物である場合にも有効な手段である。
【0077】
まず、S401において、直前存在物Cfと自車両C0との衝突におけるラップ率Lapが算出される。ラップ率Lapは、図15(a)に直前存在物Cfが直前走行車両Cfである場合を示すように、両者が衝突した場合における自車両の幅WC0(予め設定されている)に対しての、前方存在物Cfと自車両C0との重なる部分の幅Wの割合(百分率)である。自車両C0の幅WC0,直前存在物Cfの幅WCf,直前存在物の中心の自車線中心線からの変位量ΔQ(Cf)と、重なり幅Wとの関係(図15(b)参照)から、ラップ率Lapは、次式で表されるものとすることができる
Figure 2005028992
なお、本実施形態では、直前存在物Cf幅WCfは自車両の幅WC0よりも小さくないものと仮定している。S401ではこの式に従って、ラップ率Lapが算出される。
【0078】
次に、S402において、算出されたラップ率Lapが、設定された第1閾値Lap1(例えば20%)を超えているか否かが判断される。超えていない場合は、本ルーチンを終了する。第1閾値を超えている場合は、S403において、PCS開始時間TsPCSが、設定されている変更量ΔTsPCS2(例えば、0.2sec)だけ早められるとともに、PCS動作モード値MPCSが、設定されている変更量ΔMPCS2(例えば、1)だけ増加させられる。
【0079】
続く、S404において、算出されたラップ率Lapが、設定された第2閾値Lap2を超えているか否かが判断される。なお、第2閾値Lap2は、上記第1閾値Lap1より大きい値(例えば、80%)に設定されている。第2閾値Lap2を超えていない場合は、本ルーチンを終了する。超えている場合は、S405において、PCS開始時間TsPCSが、さらに、設定されている変更量ΔTsPCS3(例えば、0.2sec)だけ早められるとともに、PCS動作モード値MPCSが、さらに、設定されている変更量ΔMPCS3(例えば、1)だけ増加させられる。本ルーチンによれば、前方存在物Cfとのラップ率Lapに応じて、PCS制御のモードが段階的に変更されることになる。
【0080】
v)ACC・PCS作動ルーチン
図16にフローチャートを示すACC・PCS作動ルーチンは、ACC制御,PCS制御を実行するルーチンであり、詳しくは、S3の第1モード決定ルーチン,S4の第2モード決定ルーチンによって決定されたそれぞれの制御モードに従って、ACC制御,PCS制御を行うルーチンである。
【0081】
本ルーチンでは、まず、S501において、PCS制御を開始するための一般的な条件を具備しているか否かが判断される。この条件は、通常のPCS制御における条件に従えばよく、例えば、自車両C0の速度VC0が、設定された作動条件速度VsPCS(例えば、20km/h)を超えていること等が条件とされる。条件を具備していない場合は、PCS制御は行われない。次のS502はスキップされてS505に移行する。具備している場合は、次のS502において、自車両C0と直前存在物Cfとの衝突時間TbCf−C0が、変更されたあるいは変更されていないPCS開始時間TsPCS以下であるか否かが判断される。PCS開始時間に至っていない場合は、PCS制御は行われずに、S505に移行する。衝突時間TbCf−C0がPCS開始時間TsPCS以下である場合は、S503において、ACC制御動作が禁止されるとともにPCS制御動作が許容され、次のS504において、変更されたあるいは変更されていないPCS動作モード値MPCSに基づくPCS動作制御が開始される。このPCS制御における作動装置の動作については、後に説明する。PCS制御が開始された後に、本ルーチンの実行を終了する。
【0082】
S505に移行した場合は、まず、PCS制御動作が禁止されるとともにACC制御動作が許容される。続くS506において、ACC制御を開始するための一般的な条件を具備しているか否かが判断される。この条件は、通常のACC制御における条件に従えばよく、例えば、ACC制御スイッチがON状態とされているか、自車両C0の速度VC0が、設定された作動条件速度VsACC(例えば、40km/h)を超えていること、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材が操作されていないこと等が条件とされる。この条件を具備していない場合は、ACC制御は行われず、本ルーチンを終了する。条件を具備する場合は、S507において、自車両C0の直前先行車両Cfとの車間時間TaCf−C0が、変更されたあるいは変更されていないACC開始時間TsACC以下であるか否かが判断される。ACC開始時間TsACCに至っていない場合は、S509において、定速ACC制御が行われ、本ルーチンを終了する。到達時間TaCf−C0がACC開始時間TsACC以下の場合は、変更されたあるいは変更されていないACC動作モード値MACCに基づく減速ACC制御が開始され、その後の本ルーチンを終了する。これら定速ACC制御,減速ACC制御における作動装置の動作については、後に説明する。
【0083】
<ACC制御,PCS制御における作動装置の動作>
ACC制御,PCS制御自体は、既によく知られた制御であり、本実施形態においても、作動装置の一般的な動作は公知の制御に従って行えばよい。そのため、一般的な説明は簡単なものに留め、ここでの説明は、本発明に関係の深い部分を中心に行う。
【0084】
ACC制御は、大きくは、定速ACC制御と減速ACC制御とに分けられる。定速ACC制御は、直前先行車両Cfが車間時間TaCf−C0内に存在しない場合の制御であり、この場合は、自車両C0の走行速度VC0が、定められた範囲(例えば、40〜100km/h)において運転者によって設定されたACC車速VACCを維持するように制御される。具体的に言えば、衝突対応ECU10は、ACC車速VACCと自車速VC0との偏差に基づいて、自車両C0に必要となる加減速度である目標加減速度を算出し、この目標加減速度をエンジンECU32に送る。エンジンECU32は、目標加減速度に応じて電子スロットルACT34を動作させ、エンジン装置の出力を調整するのである。
【0085】
減速ACC制御は、直前先行車両Cfが車間時間TaCf−C0内に存在する場合の制御であり、車間時間TaCf−C0のACC開始時間TsACCに対する偏差および直前先行車両Cfと自車両C0との相対速度VCf−C0に基づいて、自車両C0の減速が行われる。具体的に言えば、まず、衝突対応ECU10は、上記偏差および相対速度VCf−C0に基づいて、自車両C0に必要とされる目標減速度Gを算出する。この算出された目標減速度Gは、エンジンECU32,トランスミッションECU36,ブレーキECU42に送られる。これら各ECU32,36,42は、それぞれ、その目標減速度Gに応じて電子スロットルACT34,電子スロットルACT34,ブレーキACT44を動作させることで、それぞれの作動装置はその目標減速度Gに応じた制動力を自車両C0に与えるのである。より詳しく言えば、目標減速度Gがある範囲にある場合はエンジン装置の出力制限のみが行われ、その範囲を超えて目標減速度Gが大きい場合には、さらに、トランスミッション装置のシフトダウンあるいはシフトチェンジの制限がなされ、さらに目標減速度Gが大きい場合には、ブレーキ装置による制動が行われる。このように目標減速度Gに応じて作動装置が段階的に作動させられるのである。
【0086】
先に説明した第1モード決定ルーチンによって、ACC制御のモードが変更されている場合は、ACC開始時間TsACCの値が大きくされており、車間時間TaCf−C0が大きな段階で上記減速ACC制御が開始される。すなわち制御の開始のタイミングが早められるのである。これについては、先に説明したとおりである。モードの変更がなされている場合、減速ACC制御においては、衝突対応ECU10は、ACC動作モード値MACCの大きさに応じて、算出される目標減速度Gの値を変更するようにされている(例えば、MACCの値が1(初期設定では0)である場合には、算出された目標減速度Gを1.2倍する)。各作動装置は、目標減速度Gに応じた制御がなされることから、モード変更によって、目標減速度が大きくされれば、上記トランスミッション装置の作動,ブレーキ装置の作動のタイミングが早められることになり、また、各作動装置によって得られる制動力が大きなものとなるのである。より具体的に言えば、例えば、本実施形態のブレーキ装置はブレーキACT44としての液圧ブレーキシリンダ備えており、そのブレーキシリンダへ供給される液圧が目標減速度Gに応じて決定されるため、目標減速度Gが大きな値に変更されれば、高いブレーキシリンダ液圧が供給され、大きなブレーキ力が得られることになるのである。
【0087】
PCS制御においては、ブレーキ装置準備制御,シートベルト装置の作動制御等が行われる。ブレーキ装置準備制御は、衝突直前に運転者がブレーキ操作を行うことを予想して、そのブレーキ操作の準備を行う制御である。具体的には、先に説明したように、自車両C0と直前存在物Cfとの衝突時間TbCf−C0がPCS開始時間TsPCSとなった場合に、衝突対応ECU10から、ブレーキECU42にPCS制御開始の信号が送られ、ブレーキECU42は、ブレーキACT44の一種である液圧ポンプの作動が開始される。第1モード決定ルーチンと第2モード決定ルーチンとの少なくともいずれかにおいてモード変更がなされている場合は、PCS開始時間TsPCSが大きな値に変更されており、液圧ポンプの作動開始のタイミングが早められるのである。また、ブレーキECU42には、前述のPCS動作モード値MPCSも送られ、ブレーキECU42は、そのモード値MPCSに応じた圧力(例えば、モード値がMPCS大きくなるほど、目標圧力が高い)となるように液圧ポンプを駆動させる。つまり、より強いブレーキ操作が行われることを想定して、ブレーキ装置の準備動作が行われるのである。なお、PCS制御においても、衝突回避のための緊急減速制御を行うことが可能である。、その場合、上記減速ACC制御に類似した制御(減速ACC制御よりも大きな制動力を発生させる)を行なえばよい。
【0088】
シートベルト装置は、シートベルトACT52として、シートベルトに張力を与える巻取り装置(プリテンショナ)を備えており、PCS制御においては、自車両の衝突前にこのプリテンショナが作動させられる。先に述べた開始条件でPCS制御が開始され、衝突対応ECU10から、シートベルトECU50にプリテンショナの作動指令が発せられる。シートベルトECU50は、その指令を受けてプリテンショナを作動させる。モードが変更されている場合は、PCS制御の開始が早められることから、プリテンショナの作動のタイミングが早められることになる。プリテンショナは、その引張荷重を変更可能な構造とされており、その荷重は、PCS動作モード値MPCSに応じた値となるようにシートベルトECU50によって制御される(例えば、モード値MPCSが0の場合は80N,1の場合は100N,2の場合は150N,3の場合は200N)。つまり、作動装置の作動効果が増大させられるのである。
【0089】
PCS制御においては、また、制御の開始直後に、後方の車両の追突を防止すべく、自車両C0のブレーキランプが点灯させられる。ブレーキランプも作動装置の一種であり、モードに応じて、点灯のタイミングが変更させられることになる。また、ブレーキランプ点灯の代わりにあるいはブレーキランプ点灯とともに、車々間・車路間通信装置70によって、後方車両に向けて自車両C0の衝突の可能性が高いことを報知することも可能である。また、エアバッグ装置等、他の乗員保護装置の作動をモードによって変更することも可能であり、ステアリング装置による回避動作を行う場合に、その動作のタイミング,回避動作量をモードに応じて変更することも可能である。
【0090】
<衝突対応ECUの機能構成>
上記衝突対応制御プログラムに従って衝突対応ECU10が実行する処理に鑑みれば、衝突対応ECU10の機能構成は、図17のブロック図のように表現できる。この図に従って、衝突対応ECU10の機能構成を説明すれば、以下のようである。衝突対応ECU10は、レーダ装置14,画像依拠情報取得装置20,車々間・車路間通信装置70を含む存在物情報取得装置100から、存在物情報を入手する存在物情報入手部102を備える。この存在物情報入手部102が入手した存在物情報は、制御対象物特定部104,作動形態決定部106,作動制御部108の各々の処理において用いられる。
【0091】
制御対象特定部104は、存在物情報に基づいて、ACC制御,PCS制御の対象となる前方存在物Cf,Cffを特定する。具体的には、上記自車線上存在物特定ルーチンS1およびACC・PCS対象特定ルーチンS2を実行する部分が該当する。制御対象物特定部104は、大きくは、自車線上存在物特定ルーチンS1を実行する部分である自車線上存在物特定部110と、ACC・PCS対象特定ルーチンS2を実行する部分である直前・次前存在物決定部112とに分けることができる。自車線上存在物特定部110は、制御対象物の特定の第1段階である自車線上存在物を特定する。この特定に際して、S106〜S113の処理を実行することにより、幅関連情報に基づく自車線上存在物の特定が行われる。つまり、それらの処理を実行する部分が、幅関連情報依拠特定部114として機能するのである。直前・次前存在物決定部112は、自車線上存在物の中から、直前存在物(直前先行車両)Cfおよびそれの前方に存在する次前存在物(直前車前方存在物,先々行車両)Cffを、ACC制御,PCS制御のために特定する。
【0092】
作動形態決定部106は、制御対象物特定部104の特定結果と特定された制御対象物Cf,Cffの存在物情報とに基づいて、ACC制御,PCS制御における作動装置の作業形態、つまり、制御モードを決定する。具体的には、第1モード決定ルーチンS3および第2モード決定ルーチンS4を実行する部分が該当する。作動形態決定部106は、大きくは、第1モード決定ルーチンS3を実行する部分である次前存在物依拠決定部116と、第2モード決定ルーチンを実行する部分である幅関連情報依拠決定部118とに分けることができる。次前存在物依拠決定部116は、次前存在物である直前車前方存在物Cffの状態に依拠して作動形態を決定する。具体的には、その直前車前方存在物である先々行車両Cffの減速度GCff、直前先行車両Cfとその直前車前方存在物Cffとの到達時間TaCff−Cf,衝突時間TbCff−Cf等に基づいて、ACC制御,PCS制御における制御モードを決定する。幅関連情報依拠決定部118は、幅関連情報に基づいて直前存在物Cfとのラップ率Lapを推定し、その推定されたラップ率Lapに基づいて、PCS制御の制御モードを決定する。
【0093】
作動制御部108は、エンジン装置,ブレーキ装置,シートベルト装置等の作動装置120の制御を、特定された制御対象物Cf,Cffの存在物情報に基づいて、作動形態決定部106によって決定された作動形態に従って実行する部分である。具体的には、ACC・PCS作動ルーチンS5を実行する部分が該当する。
【0094】
また、衝突対応ECUは、制御対象特定部104,作動形態決定部106,作動制御部108による処理で利用される各種の設定パラメータ,閾値等を格納する設定パラメータ等格納部122を備えている。設定パラメータ格納部122には、具体的には、例えば、自車両幅WC0、自車線幅WOL、到達時間,衝突時間等に関する閾値TaPCS,TbACC等、PCS開始時間,ACC開始時間,PCS動作モード値,ACC動作モード値の初期設定値TsPCS,TsACC,MPCS,MACCおよびそれらの変更量ΔTsPCS1〜3,ΔMPCS1〜3等、ラップ率に関する閾値Lap1,Lap2等が格納されている。なお、それらの設定パラメータ等は、変更が可能であり、それらを変更することにより制御条件,制御態様等を任意に変更することが可能とされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である衝突対応車両制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】レーダ装置が直前先行車両の陰に隠れる先々行車両を回折現象を利用して探知する様子を模式的に示す図である。
【図3】レーダ装置が直前先行車両の陰に隠れる先々行車両を路面の反射を利用して探知する様子を模式的に示す図である。
【図4】レーダ装置によって取得される前方存在物との相対位置関係、相対速度を示す概念図である。
【図5】画像依拠情報取得装置によって取得される特定存在物の幅関連情報を示す概念図である。
【図6】衝突対応制御ECUによって実行される衝突対応制御プログラムを示すフローチャートである。
【図7】衝突対応制御プログラムを構成する前方存在物情報取得ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】レーダ装置によって認識されたいくつかの特定存在物と自車両の相対位置関係を示す概念図である。
【図9】特定存在物の絞込みを説明するための概念図である。
【図10】画像依拠情報取得装置によって取得された幅関連情報に基づいて算出される特定存在物の幅関連位置を示す概念図である。
【図11】特定存在物が自車両の走行線上に存在するか否かの判断を説明するための概念図である。
【図12】衝突対応制御プログラムを構成するACC・PCS対象特定ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】衝突対応制御プログラムを構成する第1モード決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図14】衝突対応制御プログラムを構成する第2モード決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】PCS制御の制御モードを変更するためのパラメータである前方存在物とのラップ率を説明するための概念図である。
【図16】衝突対応制御プログラムを構成するACC・PCS作動ルーチンを示すフローチャートである。
【図17】衝突対応ECUの機能に関するブロック図である。
【符号の説明】
10:衝突対応ECU(衝突対応制御装置) 14:レーダ装置 16:CCDカメラ(カメラ装置) 18:画像処理装置 20:画像依拠情報取得装置(幅関連情報取得装置) 70:車々間・車路間通信装置 100:存在物情報取得装置 102:存在物情報入手部 104:制御対象物特定部 106:作動形態決定部 108:作動制御部 110:自車線上存在物特定部 112:直前・次前存在物決定部 114:幅関連情報依拠特定部 116:次前存在物依拠決定部 118:幅関連情報依拠決定部 120:作動装置 122:設定パラメータ格納部

Claims (9)

  1. 自車両の前方に存在する1以上の前方存在物の各々についての情報であって少なくとも自車両に対する位置に関する情報を含む存在物情報を取得する存在物情報取得装置と、
    自車両を減速させる車両減速装置,衝突時に乗員を保護する乗員保護装置等、自車両が前方存在物に衝突する可能性が高い状態において作動する作動装置と、
    前記存在物情報取得装置によって取得された前記存在物情報に基づいて、前記作動装置の制御を行う衝突対応制御装置と
    を含む衝突対応車両制御システムであって、
    前記存在物情報取得装置が、前記1以上の前方存在物のうちの少なくとも1つのものである特定存在物について、それの幅,それの幅方向の位置等に関する情報である幅関連情報を前記存在物情報として取得する幅関連情報取得装置を備え、前記衝突対応制御装置が、取得された前記特定存在物の幅関連情報に基づいて、前記作動装置を制御することを特徴とする衝突対応車両制御システム。
  2. 前記幅関連情報取得装置が、前記1以上の前方存在物を撮像するカメラ装置と、そのカメラ装置によって得られた画像データを画像処理する画像処理装置とを有して、前記特定存在物の幅関連情報を取得するものである請求項1に記載の衝突対応車両制御システム。
  3. 前記存在物情報取得装置が、前記幅関連情報取得装置とは別に、前記1以上の前方存在物を探知可能であってその1以上の前方存在物の概略位置に関する情報を取得するレーダ装置を備え、前記幅関連情報取得装置が、その概略位置に関する情報に基づいて、前記特定存在物の幅関連情報を取得するものである請求項1または請求項2に記載の衝突対応車両制御システム。
  4. 前記衝突対応制御装置が、前記特定存在物の幅関連情報としてのその特定存在物の幅方向における中心の位置に基づく制御を行うものである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
  5. 前記衝突対応制御装置が、前記特定存在物の幅関連情報としてのその特定存在物の幅方向における両側の少なくとも一方の位置に基づく制御を行うものである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
  6. 前記衝突対応制御装置が、前記取得された特定存在物の幅関連情報に基づいて、その特定存在物と自車両とが衝突すると仮定した場合における自車両の幅に対してのその特定存在物と自車両との重なる部分の幅の割合であるラップ率を推定し、その推定されたラップ率に基づいて、前記作動装置を制御するものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
  7. 前記衝突対応制御装置が、前記推定されたラップ率が大きい場合に、小さい場合に比較して、前記作動装置の作動を開始させるタイミングを早める制御を行うものである請求項6に記載の衝突対応車両制御システム。
  8. 前記衝突対応制御装置が、前記推定されたラップ率がが大きい場合に、小さい場合に比較して、前記作動装置の作動によって得られる効果を増大させる制御を行うものである請求項6または請求項7に記載の衝突対応車両衝突システム。
  9. 前記衝突対応制御装置が、前記取得された特定存在物の幅関連情報に基づいて、その特定存在物が自車両が走行を予定するの走行車線上に位置するか否かを判断し、その判断に基づいて前記作動装置の制御を行うものである請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の衝突対応車両制御システム。
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