JP2024087347A - 運転支援装置及び、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】減速制御の意図しない禁止又は解除を防止する。
【解決手段】運転支援装置は、物標認識部40と、プロセッサ10とを備える。プロセッサ10は、物標に衝突する可能性がある第1条件が成立した場合に、衝突を回避又は被害を軽減するための第1制御を実行する第1制御部150と、ドライバによるステアリング操作が所定の操作状態にある第2条件が成立する場合には、第1条件が成立する場合であっても、第1制御の実行を禁止又は解除する第2制御を実行する第2制御部160と、ドライバのステアリング操作状態、或いは、自車両の挙動が、自車両の走行中の走行路に対して適切でない特定状態にあるかを判定するとともに、特定状態にあると判定した場合には、特定状態にないと判定した場合に比べ、第2条件が成立し難くなるように、第2条件の成立を判定するための判定条件を変更する条件変更部160とを備える。
【選択図】図5
【解決手段】運転支援装置は、物標認識部40と、プロセッサ10とを備える。プロセッサ10は、物標に衝突する可能性がある第1条件が成立した場合に、衝突を回避又は被害を軽減するための第1制御を実行する第1制御部150と、ドライバによるステアリング操作が所定の操作状態にある第2条件が成立する場合には、第1条件が成立する場合であっても、第1制御の実行を禁止又は解除する第2制御を実行する第2制御部160と、ドライバのステアリング操作状態、或いは、自車両の挙動が、自車両の走行中の走行路に対して適切でない特定状態にあるかを判定するとともに、特定状態にあると判定した場合には、特定状態にないと判定した場合に比べ、第2条件が成立し難くなるように、第2条件の成立を判定するための判定条件を変更する条件変更部160とを備える。
【選択図】図5
Description
本開示は、運転支援装置及び、プログラムに関し、車両の前方に検知した物体との衝突の可能性に基づき制御を行う運転支援装置及び、プログラムに関する。
特許文献1は、車両のドライバによるアクセルペダルの誤踏み操作が発生したと判定した場合には、誤踏み操作が発生したと判定していない場合に比べ、衝突を回避又は衝突による被害を軽減するための制御(Pre-Crash Safety Control:以下、PCS制御)のステアオーバーライドの実行条件を成立し難くする装置を開示する。
ドライバが運転中に疲労等によって周囲に注意を向けていない不注意状態にある場合には、ドライバのステアリング操作が適切に行われない可能性がある。このようなドライバのステアリング操作の信頼性が低下している状況において、ステアオーバーライドの実行条件を容易に成立させてしまうと、PCS制御による減速制御が意図せず禁止又は解除されてしまう虞がある。
本開示の技術は、PCS制御による減速制御がステアオーバーライドによって意図せず禁止又は解除されることを効果的に防止することを目的とする。
本開示は、車両の運転支援装置であって、前記運転支援装置は、自車両の周囲に存在する物標を認識する物標認識部と、プロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記自車両が前記物標認識部によって認識した物標に衝突する可能性があるとの第1条件が成立した場合に、当該物標と前記自車両との衝突を回避又は衝突による被害を軽減するための第1制御を実行する第1制御部と、前記自車両のドライバによるステアリング操作が所定の操作状態にある第2条件が成立する場合には、前記第1条件が成立する場合であっても、前記第1制御の実行前であれば前記第1制御の実行を禁止し、前記第1制御の実行中であれば前記第1制御を解除する第2制御を実行する第2制御部と、前記ドライバのステアリング操作状態、或いは、前記ドライバのステアリング操作による前記自車両の挙動が、前記自車両の走行中の走行路に対して適切でない特定状態にあるか否かを判定するとともに、前記特定状態にあると判定した場合には、前記特定状態にないと判定した場合に比べ、前記第2条件が成立し難くなるように、前記第2条件の成立を判定するための判定条件を変更する条件変更部と、を備えることを特徴とする。
以下、図面を参照して本実施形態に係る運転支援装置及び、プログラムを説明する。
[ハードウェア構成]
図1は、本実施形態に係る運転支援装置が適用された車両SVのハードウェア構成を示す模式図である。以下では、車両SVは、他車両等と区別する必要がある場合、自車両と称する場合もある。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置が適用された車両SVのハードウェア構成を示す模式図である。以下では、車両SVは、他車両等と区別する必要がある場合、自車両と称する場合もある。
車両SVは、ECU(Electronic Control Unit)10を有する。ECU10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13及びインターフェース装置14等を備える。CPU11は、ROM12に格納されている各種プログラムを実行するプロセッサである。ROM12は、不揮発性メモリであって、CPU11が各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。RAM13は、揮発性メモリであって、各種プログラムがCPU11によって実行される際に展開される作業領域を提供する。インターフェース装置14は、外部装置と通信するための通信デバイスである。
ECU10は、PCS制御、追従車間距離制御(Adaptive Cruise Control:以下、ACC)や、車線維持支援制御(Lane Trace Asist:以下、LTA)、レーン逸脱抑制制御(Lane Departure Alert Control:以下、LDA)等の運転支援制御を行う中枢となる装置である。運転支援制御は、自動運転制御を含む概念である。ECU10には、駆動装置20、操舵装置21、制動装置22、内界センサ装置30、ステアリングタッチセンサ(以下、タッチセンサ)38、外界センサ装置40、LTA起動スイッチ65、表示装置90、スピーカ95等が通信可能に接続されている。
駆動装置20は、車両SVの駆動輪に伝達する駆動力を発生させる。駆動装置20としては、例えば、電動機、エンジンが挙げられる。本実施装置において、車両SVは、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)、電気自動車(BEV)、エンジン車の何れであってもよい。操舵装置21は、車両SVの車輪に転舵力を付与する。制動装置22は、車両SVの車輪に制動力を付与する。
内界センサ装置30は、車両SVの状態を検出するセンサ類である。具体的には、内界センサ装置30は、車速センサ31、アクセルセンサ32、ブレーキセンサ33、操舵角センサ34、ヨーレイトセンサ35等を備えている。
車速センサ31は、車両SVの走行速度(車速V)を検出する。アクセルセンサ32は、ドライバによる不図示のアクセルペダルの操作量を検出する。ブレーキセンサ33は、ドライバによる不図示のブレーキペダルの操作量を検出する。操舵角センサ34は、車両SVの不図示のステアリングホイール又はテアリングシャフトの回転角、すなわち操舵角を検出する。ヨーレイトセンサ35は、車両SVのヨーレイトを検出する。内界センサ装置30は、各センサ31~35によって検出される車両SVの状態をECU10に所定の周期で送信する。
タッチセンサ38は、ドライバがステアリングホイールを把持しているか否かを検出するセンサである。タッチセンサ38は、ドライバがステアリングホイールを把持している場合、把持信号をECU10に送信する。なお、内界センサ装置30が操舵トルクを検出する操舵トルクセンサを備える場合、ドライバによるステアリングホイールの把持は、操舵トルクに基づいて検出してもよい。
外界センサ装置40は、車両SVの周囲の物標に関する物標情報を認識するセンサ類である。具体的には、外界センサ装置40は、レーダセンサ41、カメラセンサ42等を備える。ここで、物標情報としては、例えば、周辺車両、歩行者、信号機、道路の白線、標識、落下物等が挙げられる。
レーダセンサ41は、例えば、車両SVの前部に設けられており、車両SVの前方領域に存在する物標を検知する。レーダセンサ41には、ミリ波レーダ及び、又はライダが含まれる。ミリ波レーダは、ミリ波帯の電波(ミリ波)を放射し、放射範囲内に存在する物標によって反射されたミリ波(反射波)を受信する。ミリ波レーダは、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及び、ミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、車両SVと物標との相対距離、車両SVと物標との相対速度等を取得する。ライダは、ミリ波よりも短波長のパルス状のレーザ光を複数の方向に向けて順次走査し、物標により反射される反射光を受光することにより、車両SVの前方に検知された物標の形状、車両SVと物標との相対距離、車両SVと物標との相対速度等を取得する。
カメラセンサ42は、例えば、ステレオカメラや単眼カメラであり、CMOSやCCD等の撮像素子を有するデジタルカメラを用いることができる。カメラセンサ42は、例えば、車両SVのフロントウインドシールドガラスの上部に配設されている。カメラセンサ32は、車両SVの前方を撮像し、撮像した画像データを処理することにより、車両SVの前方の物標情報を取得する。物標情報は車両SVの前方に検知された物標の種類、車両SVと物標との相対距離、車両SVと物標との相対速度等を表す情報である。物標の種類は、例えば、パターンマッチング等の機械学習によって認識すればよい。
外界センサ装置40は、取得した物標情報をECU10に所定の時間が経過する毎に繰り返し送信する。ECU10は、レーダセンサ41によって得られた車両SVと物標との相対関係と、カメラセンサ42によって得られた車両SVと物標との相対関係とを合成することにより、車両SVと物標との相対関係を決定する。なお、外界センサ装置40は、必ずしも、レーダセンサ41及びカメラセンサ42の両方を備える必要はなく、例えば、レーダセンサ41のみ、又は、カメラセンサ42のみを含んでいてもよい。
LTA起動スイッチ65は、運転席の近傍(例えば、ステアリングホイール等)に設けられている。LTA起動スイッチ65は、ドライバがLTAを起動するか終了するかを選択するためのON/OFFスイッチである。
表示装置90は、例えば、マルチインフォメーションディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、ナビゲーションシステムのディスプレイ等であって、ECU10からの指令に応じて各種画像を表示する。スピーカ95は、例えば、音響システムやナビゲーションシステムのスピーカであって、ECU10からの指令に応じて警告音等を出力する。
[ソフトウェア構成]
図2(A)は、本実施形態に係るECU10のソフトウェア構成を示す模式図である。図2(A)に示すように、ECU10は、LTA制御部110、ふらつき判定部120、手放し判定部130、不注意判定部140、PCS制御部150、ステアオーバーライド制御部160等を機能要素として備える。これら各機能要素110~160は、ECU10のCPU11がROM12に格納されているプログラムをRAM13に読み出して実行することにより実現される。なお、各機能要素110~160の全部又は一部は、ECU10とは別体の他のECU、或いは、車両SVと通信可能な施設(管理センタ等)の情報処理装置に設けることもできる。
図2(A)は、本実施形態に係るECU10のソフトウェア構成を示す模式図である。図2(A)に示すように、ECU10は、LTA制御部110、ふらつき判定部120、手放し判定部130、不注意判定部140、PCS制御部150、ステアオーバーライド制御部160等を機能要素として備える。これら各機能要素110~160は、ECU10のCPU11がROM12に格納されているプログラムをRAM13に読み出して実行することにより実現される。なお、各機能要素110~160の全部又は一部は、ECU10とは別体の他のECU、或いは、車両SVと通信可能な施設(管理センタ等)の情報処理装置に設けることもできる。
LTA制御部110は、自車両SVの位置が走行車線内の目標走行ライン付近に維持されるように、操舵角(転舵輪の転舵角)を自動的に変更するLTAを実行する。LTA自体は周知であるため、以下、簡単に説明する。LTA制御部110は、LTA起動スイッチ65がONされると、外界センサ装置40によって認識される白線、又は、ACCによる追従対象車両(即ち、先行車両)の走行軌跡(以下、先行車軌跡)の何れか一方又は両方に基づいて、自車両SVの目標走行ラインを設定する。先行車軌跡は、外界センサ装置40から送信される物標情報に基づいて取得すればよい。LTA制御部110は、自車両SVの横位置(即ち、道路に対する車幅方向の自車両SVの位置)が走行車線内の目標走行ライン付近に維持されるように、操舵装置21の作動を制御することにより、自車両SVの操舵角を変更する。なお、LTAの実行条件は、LTA起動スイッチ65のONに加え、ACCが実行中であることを含んでもよい。
ふらつき判定部120は、内界センサ装置30及び、外界センサ装置40の検出結果に基づき、車両SVの走行挙動が安定しない「ふらつき状態」にあるかを判定する。図2(B)~(D)は、車両SVの挙動がふらついている例を説明する模式図である。ふらつき判定部120は、操舵角センサ34の検出結果に基づき、ドライバのステアリング操作量を取得する。ふらつき判定部120は、図2(B)に示されるように、車両SVの横方向の挙動が瞬間的に大きくなった場合、具体的には、ドライバが所定の第1閾値時間内に所定の閾値操作量を超えてステアリングを切り増した後に切り戻した場合、車両SVをふらつき状態と判定する。また、ふらつき判定部120は、図2(C)に示されるように、車両SVが長期的に横方向への挙動変化を繰り返しながら走行した場合、具体的には、ドライバが所定の第2閾値時間内に所定の閾値回数を超えてステアリングの切り増し及び切り戻しを繰り返した場合、車両SVをふらつき状態と判定する。第2閾値時間は、第1閾値時間よりも長い時間である。
さらに、ふらつき判定部120は、外界センサ装置40の検出結果に基づき、車両SVが走行中のレーンの境界線を認識し、車両SVの少なくとも一部分が境界線を超えるレーン逸脱回数をカウントする。ふらつき判定部120は、図2(D)に示されるように、車両SVが連続的にレーンを逸脱した場合、具体的には、所定の第3閾値時間内にレーン逸脱回数が所定の閾値回数を超えた場合、車両SVをふらつき状態と判定する。第3閾値時間は、少なくとも第1閾値時間よりも長い時間であり、第2閾値時間と同じであってもよい。ふらつき判定部120は、車両SVをふらつき状態にあると判定すると、表示装置90及び、又はスピーカ95によりドライバに休憩などを促すふらつき警報を実行する。なお、ふらつき判定部120は、上記の例示に限定されず、例えばLDAの実行頻度等に基づき、車両SVのふらつき状態を判定することも可能である。
手放し判定部130は、タッチセンサ38の検出結果に基づき、ドライバがLTAの使用中にステアリングホイールを把持していない「手放し状態」にあるかを判定する。手放し判定部130は、LTA起動スイッチ65がONの状態で、タッチセンサ38から把持信号を受信しない状態が所定の第4閾値時間継続した場合、ドライバを手放し状態と判定する。この場合、手放し判定部130は、表示装置90及び、又はスピーカ95による手放し警告を行う。また、手放し判定部130は、LTA起動スイッチ65がONの状態で、タッチセンサ38から把持信号を受信しない状態が第4閾値時間よりも長い所定の上限閾値時間に達した場合、実行中のLTAを強制的に終了(解除)する。
不注意判定部140は、ドライバが車両SVの運転中に疲労等によって周囲に注意を向けていない不注意状態にあるかを判定する。具体的には、不注意判定部140は、ふらつき判定部120が、車両SVの挙動をふらつき状態にあると判定した場合、及び、又は、手放し判定部130が、ドライバを手放し状態にあると判定した場合、ドライバを不注意状態と判定する。不注意判定部140は、ドライバを不注意状態と判定すると、判定結果をPCS制御部150及び、ステアオーバーライド制御部160にそれぞれ送信する。
PCS制御部150は、自車両SVと前方物標との衝突を回避又は衝突の被害を軽減するためのPCS制御を実行する。PCS制御部150は、外界センサ装置40から送信される物標情報に基づき、自車両SVの前方に存在する物体の座標情報を取得する。また、PCS制御部150は、車速センサ31、操舵角センサ34及び、ヨーレイトセンサ35の検出結果に基づいて自車両SVの旋回半径を演算し、この旋回半径に基づいて自車両SVの軌道を演算する。PCS制御部150は、自車両SVの前方の移動物及び、静止物が、自車両SVに衝突する可能性のある障害物であるかを判定する。PCS制御部150は、物体が移動物の場合、移動物の座標情報に基づいて移動物の軌道を演算し、移動物の軌道と自車両SVの軌道とが交差する場合に、移動物を障害物と判定する。また、PCS制御部150は、物体が静止物の場合、自車両SVの軌道が静止物の現在位置に交差する場合に、静止物を障害物と判定する。
PCS制御部150は、物体を障害物と判定すると、自車両SVから障害物までの距離L及び、自車両SVの障害物に対する相対速度Vrに基づいて、自車両SVが障害物に衝突するまでの衝突予測時間(Time To Collision:以下、TTC)を演算する。TTCは自車両SVが障害物に衝突する可能性を示す指標値である。TTCは、自車両SVから障害物までの距離Lを相対速度Vrで除することにより求めることができる(TTC=L/vr)。PCS制御部150は、TTCが所定の衝突判定閾値Tv以下となる状態が所定の第1待機時間T1以上継続した場合、自車両SVが障害物に衝突する可能性を高いと判定する。PCS制御部150は、衝突する可能性が高いと判定すると、スピーカ95による警報を実行するとともに、減速制御を開始する。減速制御は、制動装置22の作動を制御することにより、車両SVの減速度が予め設定された目標減速度と一致するように車両SVを減速させる制御である。このように、TTCが衝突判定閾値Tv以下となる状態が第1待機時間T1以上継続することを減速制御や警報の実行条件とすることで、これら減速制御や警報の不要作動を効果的に抑えることができる。
ここで、ドライバが不注意状態にある場合には、減速制御や警報の実行条件を緩和することにより、減速制御や警報の作動を早期化することが望まれる。PCS制御部150は、不注意判定部140によりドライバが不注意状態にあると判定された場合には、作動早期化フラグF1をオン(F1=1)にする。また、PCS制御部150は、作動早期化フラグF1をオンすると、第1待機時間T1から所定時間Td1を減算した緩和閾値時間T1’(=T1-Td1)に基づき、減速制御や警報を実行するか否かを判定する。これにより、ドライバが不注意状態にある場合には、減速制御や警報の作動の早期化が図られるようになり、ドライバに対して早期に危険を知らせることが可能になる。第1待機時間T1を短縮する所定時間Td1は固定値でもよく、或は、可変値であってもよい。可変値とする場合は、例えば、車速Vが高いほど所定時間Td1を増加すればよい。
ステアオーバーライド制御部160は、ドライバのステアリング操作に応じて、PCS制御による減速制御の開始前であれば減速制御の実行を禁止し、PCS制御による減速制御の実行中であれば減速制御を解除(強制終了)するステアオーバーライド制御を実施する。ドライバが障害物を認識して、ドライバ自らのステアリング操作により衝突を回避しようとするケースがある。このようなケースで、PCS制御による減速制御が開始又は、実行中の減速制御が継続してしまうと、ドライバの意図した軌道で車両SVを走行させることができなくなる。ステアオーバーライド制御部160は、操舵角センサ34によって検出される操舵角が所定の第2待機時間T2以上継続して所定の閾値舵角を超えた場合、PCS制御の減速制御を禁止又は解除するステアオーバーライド制御を実行する。
ここで、ドライバが不注意状態にある場合は、ドライバのステアリング操作の信頼性が低いと考えられる。すなわち、ドライバが不注意状態にある場合には、操舵角が第2待機時間T2以上継続して閾値舵角を超えたとしても、ドライバのステアリング操作が実際にはステアオーバーライドを意図していない可能性がある。ステアオーバーライド制御部160は、不注意判定部140によってドライバが不注意状態にあると判定された場合には、条件難化フラグF2をオン(F2=1)にする。また、ステアオーバーライド制御部160は、条件難化フラグF2をオンすると、第2待機時間T2に所定時間Td2を加算した難化閾値時間T2’(=T2+Td2)に基づき、ステアオーバーライド制御を実行するか否かを判定する。これにより、ドライバが不注意状態にある場合には、ステアオーバーライドによる意図しない減速制御の禁止又は解除が抑えられるようになり、安全性の向上を図ることが可能になる。第2待機時間T2に加算する所定時間Td2は固定値でもよく、或は、可変値であってもよい。
図3(A)は、ECU10のCPU11によるドライバ不注意判定処理のルーチンを説明するフローチャートである。本ルーチンは、例えば車両SVが走行すると開始される。
ECU10は、ステップS100及び、ステップS110の処理を並行して実行する。具体的には、ステップS100では、ECU10は、内界センサ装置30及び、外界センサ装置40の検出結果に基づき、車両SVの走行挙動が安定しないふらつき状態にあるかを判定する。判定結果が肯定(Yes)の場合、ECU10は、ステップS120の処理に進み、判定結果が否定(No)の場合、ECU10は、本ルーチンをリターンする。一方、ステップS110では、ECU10は、タッチセンサ38の検出結果に基づき、ドライバがLTAの使用中にステアリングホイールを把持していない手放し状態にあるかを判定する。判定結果が肯定(Yes)の場合、ECU10は、ステップS120の処理に進み、判定結果が否定(No)の場合、ECU10は、本ルーチンをリターンする。
ステップS120では、ECU10は、ドライバを不注意状態と判定し、その後、本ルーチンをリターンする。
図3(B)は、ECU10のCPU11による作動早期化処理及び、条件難化処理のルーチンを説明するフローチャートである。本ルーチンは、図3(A)に示すドライバ不注意判定処理のルーチンと並行して実行される。なお、本ルーチンの開始時において、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2は、何れもオフ(F1=0、F2=0)に設定されているものとする。
ステップS200では、ECU10は、図3(A)に示すドライバ不注意判定処理によりドライバが不注意状態と判定されているかを判定する。ドライバが不注意状態と判定されている場合(Yes)、ECU10は、ステップS210の処理に進む。一方、ドライバが不注意状態と判定されていない場合(No)、ECU10は、本ルーチンをリターンする。
ステップS210では、ECU10は、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオン(F1=1、F2=1)にする。次いで、ステップS220では、ECU10は、図3(A)に示すドライバ不注意判定処理により、ドライバが依然として不注意状態と判定されているかを判定する。ドライバが不注意状態と判定されている場合(Yes)、ECU10は、ステップS210の処理に戻る。すなわち、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオンに維持する。一方、ドライバが不注意状態と判定されていない場合(No)、ECU10は、ステップS230の処理に進み、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオフ(F1=0、F2=0)に切り替え、その後、本ルーチンをリターンする。
図4は、ECU10のCPU11によるPCS制御の処理のルーチンを説明するフローチャートである。本ルーチンは、車両SVが走行すると開始され、図3(A),(B)に示す各処理のルーチンと並行して実行される。
ステップS300では、ECU10は、外界センサ装置40から送信される物標情報に基づき、自車両SVの前方領域に存在する物体の座標情報を取得する。次いで、ステップS310では、ECU10は、車速センサ31、操舵角センサ34及び、ヨーレイトセンサ35の検出結果に基づき、自車両SVの軌道を演算する。なお、ステップS300及び、ステップS310の各処理は、順不同であり、同時であってもよい。
ステップS320では、ECU10は、自車両SVの前方の物体が、自車両SVに衝突する可能性のある障害物であるかを判定する。ECU10は、物体が移動物の場合、移動物の軌道と自車両SVの軌道とが交差する場合に、移動物を障害物と判定する。また、ECU10は、物体が静止物の場合、自車両SVの軌道が静止物の現在位置に交差する場合、静止物を障害物と判定する。ECU10は、自車両SVの前方の物体を障害物と判定した場合(Yes)、ステップS330の処理に進む。一方、ECU10は、自車両SVの前方の物体を障害物でないと判定した場合(No)、本ルーチンをリターンする。
ステップS330では、ECU10は、自車両SVから障害物までの距離Lを相対速度Vrで除することによりTTC(=L/vr)を演算する。次いで、ステップS340では、ECU10は、TTCが衝突判定閾値Tv以下であるかを判定する。ECU10は、TTCが衝突判定閾値Tv以下である場合(Yes)、ステップS350の処理に進む。一方、ECU10は、TTCが衝突判定閾値Tvよりも大きい場合(No)、本ルーチンをリターンする。
ステップS350では、ECU10は、図3(B)に示す作動早期化処理により、作動早期化フラグF1がオンにされているかを判定する。作動早期化フラグF1がオンにされている場合(Yes)、ECU10は、ステップS360の処理に進む。
ステップS360では、ECU10は、減速制御や警報の作動の早期化を図るべく、第1待機時間T1から所定時間Td1を減算した緩和閾値時間T1’(=T1-Td1)に基づき、自車両SVが障害物に衝突する可能性が高いか否かを判定する。具体的には、TTCが衝突判定閾値Tv以下の状態が、緩和閾値時間T1’以上継続するかを判定する。判定結果が否定(No)の場合、ECU10は、本ルーチンをリターンする。一方、判定結果が肯定(Yes)の場合、ECU10は、ステップS380に進み、警報及び減速制御を実行し、本ルーチンをリターンする。
ステップS350の判定が否定(No)の場合、すなわち、作動早期化フラグF1がオフ(F1=0)の場合、ECU10は、ステップS370の処理に進む。ステップS370では、ECU10は、通常の第1待機時間T1に基づき、自車両SVが障害物に衝突する可能性が高いか否かを判定する。具体的には、TTCが衝突判定閾値Tv以下の状態が、第1待機時間T1以上継続するかを判定する。判定結果が否定(No)の場合、ECU10は、本ルーチンをリターンする。一方、判定結果が肯定(Yes)の場合、ECU10は、ステップS380に進み、警報及び減速制御を実行し、本ルーチンをリターンする。
図5は、ECU10のCUP11によるステアオーバーライド制御の処理のルーチンを説明するフローチャートである。本ルーチンは、図4に示すPCS制御のルーチンにて、ステップS340の処理でTTCが衝突判定閾値Tv以下と判定されると開始される。
ステップS400では、ECU10は、図3(B)に示す条件難化処理により、条件難化フラグF2がオン(F2=1)にされているかを判定する。条件難化フラグF2がオンにされている場合(Yes)、ECU10は、ステップS410の処理に進む。一方、条件難化フラグF2がオンにされていない場合(No)、すなわち、条件難化フラグF2がオフ(F2=0)の場合、ECU10は、ステップS460の処理に進む。
ステップS460の処理に進むと、ECU10は、通常の第2待機時間T2に基づき、ステアオーバーライド制御を実行するか否かを判定する。具体的には、操舵角センサ34により検出される操舵角が第2待機時間T2以上継続して所定の閾値舵角を超えたかを判定する。判定結果が否定(No)の場合、ECU10は、本ルーチンをリターンする。一方、判定結果が肯定(Yes)の場合、ECU10は、ステップS470の処理に進む。
ステップS400の判定が肯定(Yes)の場合、すなわち、条件難化フラグF2がオンの場合、ECU10は、ステップS410の処理に進み、ステアオーバーライドの実行条件の難化を図るべく、第2待機時間T2に所定時間Td2を加算した難化閾値時間T2’(=T2+Td2)に基づき、ステアオーバーライド制御を実行するか否かを判定する。具体的には、操舵角センサ34により検出される操舵角が難化閾値時間T2’以上継続して所定の閾値舵角を超えたかを判定する。判定結果が否定(No)の場合、ECU10は、本ルーチンをリターンする。すなわち、減速制御の意図しない禁止又は解除の防止が図られる。一方、判定結果が肯定(Yes)の場合、ECU10は、ステップS470の処理に進む。
ステップS470では、ECU10は、PCS制御による警報及び、又は減速制御が実行中か否かを判定する。警報及び、又は減速制御が実行中でない場合(No)、ECU10は、ステップS480の処理に進み、PCS制御による警報及び、又は減速制御の実行を禁止し、本ルーチンをリターンする。一方、警報及び、又は減速制御が実行中の場合(Yes)、ECU10は、ステップS490の処理に進み、PCS制御による警報及び、又は減速制御を解除し、本ルーチンをリターンする。
以上、本実施形態に係る運転支援装置及び、プログラムについて説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
[変形例]
例えば、ECU10は、車両SVをふらつき状態と判定した回数、及び又は、ドライバを手放し状態と判定した回数を累積した累積回数Nsを算出し、累積開始から所定の第1時間TM1が経過するまでの間に、累積回数Nsが所定の上限閾値回数Nmに達した場合に、ドライバを不注意状態と判定してもよい。また、ECU10は、累積回数Nsが上限閾値回数Nmに達したことにより、ドライバを不注意状態と判定した時から所定の第2時間TM2が経過するまでの間、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオンに維持してもよい。
例えば、ECU10は、車両SVをふらつき状態と判定した回数、及び又は、ドライバを手放し状態と判定した回数を累積した累積回数Nsを算出し、累積開始から所定の第1時間TM1が経過するまでの間に、累積回数Nsが所定の上限閾値回数Nmに達した場合に、ドライバを不注意状態と判定してもよい。また、ECU10は、累積回数Nsが上限閾値回数Nmに達したことにより、ドライバを不注意状態と判定した時から所定の第2時間TM2が経過するまでの間、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオンに維持してもよい。
図6(A)は、変形例のECU10(CPU11)が実行するドライバ不注意判定処理のルーチンを説明するフローチャートである。
ステップS500では、ECU10は、車両SVをふらつき状態と判定した回数、及び又は、ドライバを手放し状態と判定した回数を累積する。次いで、ステップS510では、ECU10は、累積回数Nsが上限閾値回数Nmに達したか否かを判定する。累積回数Nsが上限閾値回数Nmに達した場合(Yes)、ECU10は、ステップS530の処理に進む。一方、累積回数Nsが上限閾値回数Nmに達していない場合(No)、ECU10は、ステップS570の処理に進み、累積開始からの経過時間が第1時間TM1に達したかを判定する。経過時間が第1時間TM1に達している場合(Yes)、ECU10は、ステップS580の処理に進み、累積回数Nsをリセットし、本ルーチンをリターンする。一方、経過時間が第1期間TM1に達していない場合(No)、ECU10は、ステップS500の処理に戻る。上限閾値回数Nm及び、第1時間TM1は、固定値でもよく、車両SVが走行している道路の種別や交通状況、時間帯等に応じた可変値であってもよい。
ステップS510の判定が肯定(Yes)の場合、すなわち、累積回数Nsが上限閾値回数Nmに達した場合、ECU10は、ステップS520の処理に進み、ドライバを不注意状態と判定し、その後、本ルーチンをリターンする。
図6(B)は、変形例のECU10のCPU11が実行する作動早期化処理及び、条件難化処理のルーチンを説明するフローチャートである。なお、本ルーチンの開始時において、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2は、何れもオフ(F1=0、F2=0)に設定されているものとする。
ステップS600では、ECU10は、図6(A)に示すドライバ不注意判定処理によってドライバが不注意状態と判定されているかを判定する。ドライバが不注意状態と判定されている場合(Yes)、ECU10は、ステップS610の処理に進む。一方、ドライバが不注意状態と判定されていない場合(No)、ECU10は、本ルーチンをリターンする。
ステップS610では、ECU10は、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオン(F1=1、F2=1)にする。次いで、ステップS620では、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオンにしてからの経過時間が第2時間TM2に達したかを判定する。経過時間が第2時間TM2に達した場合(Yes)、ECU10は、ステップS630の処理に進み、作動早期化フラグF1及び、条件難化フラグF2をオフ(F1=0、F2=0)にし、本ルーチンをリターンする。一方、経過時間が第2時間TM2に達していない場合(No)、ECU10は、ステップS620の処理に戻る。第2時間TM2は、固定値でもよく、車両SVが走行している道路の種別や交通状況、時間帯等に応じた可変値であってもよい。
Claims (5)
- 車両の運転支援装置であって、
前記運転支援装置は、自車両の周囲に存在する物標を認識する物標認識部と、プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記自車両が前記物標認識部によって認識した物標に衝突する可能性があるとの第1条件が成立した場合に、当該物標と前記自車両との衝突を回避又は衝突による被害を軽減するための第1制御を実行する第1制御部と、前記自車両のドライバによるステアリング操作が所定の操作状態にある第2条件が成立する場合には、前記第1条件が成立する場合であっても、前記第1制御の実行前であれば前記第1制御の実行を禁止し、前記第1制御の実行中であれば前記第1制御を解除する第2制御を実行する第2制御部と、前記ドライバのステアリング操作状態、或いは、前記ドライバのステアリング操作による前記自車両の挙動が、前記自車両の走行中の走行路に対して適切でない特定状態にあるか否かを判定するとともに、前記特定状態にあると判定した場合には、前記特定状態にないと判定した場合に比べ、前記第2条件が成立し難くなるように、前記第2条件の成立を判定するための判定条件を変更する条件変更部と、を備える運転支援装置。 - 請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記条件変更部は、前記特定状態にないと判定した回数を累積するとともに、当該累積した回数が所定の第1時間内に所定の上限回数に達した場合には、前記上限回数に達した時から所定の第2時間が経過するまでの間、前記第2条件が成立し難くなるように、前記判定条件を変更する運転支援装置。 - 請求項1又は2に記載の運転支援装置であって、
前記条件変更部は、前記自車両の横方向への挙動変化状態、又は、前記自車両の走行中のレーンからの逸脱状態、又は、前記自車両を走行中のレーンに維持するためのレーン維持制御の実行中における前記ドライバのステアリングホイールの把持状態に基づき、前記特定状態にあるか否かを判定する運転支援装置。 - 請求項1に記載の運転支援装置であって、
前記条件変更部は、前記特定状態にあると判定した場合には、前記特定状態にないと判定した場合に比べ、前記第1条件が成立し易くなるように、前記第1条件の成立を判定するための判定条件を緩和する運転支援装置。 - 自車両の周囲に存在する物標を認識する物標認識部を備える車両の運転支援装置のプロセッサに、
前記自車両が前記物標認識部によって認識した物標に衝突する可能性があるとの第1条件が成立した場合に、当該物標と前記自車両との衝突を回避又は衝突による被害を軽減するための第1制御を実行する第1制御処理と、前記自車両のドライバによるステアリング操作が所定の操作状態にある第2条件が成立する場合には、前記第1条件が成立する場合であっても、前記第1制御の実行前であれば前記第1制御の実行を禁止し、前記第1制御の実行中であれば前記第1制御を解除する第2制御を実行する第2制御処理と、前記ドライバのステアリング操作状態、或いは、前記ドライバのステアリング操作による前記自車両の挙動が、前記自車両の走行中の走行路に対して適切でない特定状態にあるか否かを判定するとともに、前記特定状態にあると判定した場合には、前記特定状態にないと判定した場合に比べ、前記第2条件が成立し難くなるように、前記第2条件の成立を判定するための判定条件を変更する条件変更処理と、を実行させるプログラム。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024087347A true JP2024087347A (ja) | 2024-07-01 |
Family
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