JP2005028520A - 硬質膜被覆工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】
硬質膜の剥離、チッピングを抑制し、耐摩耗性および耐欠損性を向上させた硬質膜被覆工具を提供することを目的とする。
【解決手段】
硬質膜被覆工具において、切れ刃近傍部の該硬質膜の残留圧縮応力をσAと表したとき、0GPa≦σA≦1.0GPaであり、中央部の該硬質膜の残留圧縮応力をσBと表したとき、1.5GPa≦σB≦2.5GPaである硬質膜被覆工具は、硬質膜の剥離、チッピングが抑制されるため、耐摩耗性および耐欠損性が向上する。このときの硬質膜は、周期律表4a、5a、6a族元素、Si、Alの炭化物、窒化物、酸化物、硼化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも1種の単層または多層であると好ましい。
硬質膜の剥離、チッピングを抑制し、耐摩耗性および耐欠損性を向上させた硬質膜被覆工具を提供することを目的とする。
【解決手段】
硬質膜被覆工具において、切れ刃近傍部の該硬質膜の残留圧縮応力をσAと表したとき、0GPa≦σA≦1.0GPaであり、中央部の該硬質膜の残留圧縮応力をσBと表したとき、1.5GPa≦σB≦2.5GPaである硬質膜被覆工具は、硬質膜の剥離、チッピングが抑制されるため、耐摩耗性および耐欠損性が向上する。このときの硬質膜は、周期律表4a、5a、6a族元素、Si、Alの炭化物、窒化物、酸化物、硼化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも1種の単層または多層であると好ましい。
Description
本発明は、基材に硬質膜を被覆させた硬質膜被覆工具に関するものであり、特に旋削工具、フライス工具、ドリルなどの切削工具として用いる硬質膜被覆工具に関するものである。
基材に硬質膜が被覆された被覆工具が実用化されている。その中でも硬質膜の残留応力に注目した技術としては、次のようなものがある。
被覆立方晶窒素化硼素焼結体において被膜の表面側と基材側とで異なる残留応力を持つ被覆立方晶窒素化硼素焼結体が開示されている。これは、被膜の深さ方向の応力分布に着目し、被膜の表面側と基材側で1.0GPa以上の応力差を持たせることで耐摩耗性と靭性それぞれの向上を図っている(例えば、特許公報1参照。)。しかしながら、切れ刃近傍部と中央部での残留応力が同一であるため、耐欠損性および耐摩耗性の向上が十分でなく、過酷な条件での加工中に切れ刃がチッピングを起こし、短寿命になるという問題があった。
また、超硬合金を基材とした場合について物理蒸着法により形成されたTiN硬質膜を成膜するに際し、成膜開始時よりバイアス電圧を下げるように制御し、結晶粒径や残留応力を制御した硬質層被覆切削工具が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、硬質層はTiNに限定されており、耐摩耗性が低く、主に切れ刃にチッピングを起こしやすく、短寿命になることが問題であった。
高速加工、高能率加工の要求と共に、従来の被覆工具を過酷な切削条件において使用すると短寿命になるという問題があった。本発明は、硬質膜の剥離、チッピングを抑制し、耐摩耗性および耐欠損性を向上させた硬質膜被覆工具を提供することを目的とする。
本発明者は、基材に被覆した硬質膜の応力分布が切削性能に与える影響に関して検討していたところ、切れ刃近傍部と、切れ刃から離れた中央部における硬質膜の残留応力値をそれぞれ適正範囲とすることで、硬質膜被覆工具の寿命を向上させることができるという知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。
本発明は、基材に硬質膜を被覆させた硬質膜被覆工具において、切れ刃から表面に沿って1mmまでの切れ刃近傍部の該硬質膜の残留圧縮応力をσAと表したとき、0GPa≦σA≦1.0GPaであり、切れ刃から表面に沿って3mm以上離れた中央部の該硬質膜の残留圧縮応力をσBと表したとき、1.5GPa≦σB≦2.5GPaであることを特徴とする硬質膜被覆工具である。
本発明の硬質膜被覆工具において、切れ刃から表面に沿って1mmまでの切れ刃近傍部の硬質膜の残留圧縮応力σAが1.0GPaを超えると、硬質膜が自壊を起こしやすく耐摩耗性にばらつきが生じ、σAが0GPa未満であると、すなわち残留引張応力であると、耐摩耗性が十分に向上しない。そのため、0GPa≦σA≦1.0GPaとした。切れ刃から3mm以上離れた中央部の硬質膜の残留圧縮応力σBが2.5GPaを超えると剥離しやすくなり、σBが1.5GPa未満であると耐欠損性向上の効果が低くなる。よって、1.5GPa≦σB≦2.5GPaとした。なお、硬質膜の残留圧縮応力は、いずれの方法によって測定してもよいが、たとえば、X線回折法によって測定することができる。
本発明の硬質膜被覆工具の基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶窒化硼素焼結体などが挙げられるが、特に超硬合金、立方晶窒化硼素焼結体であると大きな効果が得られるため、好ましい。
本発明の硬質膜被覆工具の硬質膜は、周期律表4a、5a、6a族元素、Si、Alの炭化物、窒化物、酸化物、硼化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも1種の単層または多層であると耐摩耗性が高いため好ましい。また、硬質膜の膜厚が0.5μm未満では硬質膜を被覆した効果がほとんどみられない。また、10μmを超えると、耐欠損性が低下する。したがって、硬質膜の膜厚は0.5〜10μmであると好ましい。
本発明の硬質膜被覆工具は、物理蒸着法(以下、PVD法という。)、化学蒸着法(以下、CVD法という。)またはプラズマCVD法を用いて作製することが可能である。特に、硬質膜は、PVD法により作製すると残留圧縮応力が発生しやすく、また、残留圧縮応力の調整が容易になることからも、好ましい。
本発明の硬質膜被覆工具を得るには、基材を被覆処理前の予備加熱温度を高くし、プラズマ表面処理よる基材表面のクリーニングを行った上で、成膜中の反応容器内の圧力を低真空に保ち、被覆時の基材へのバイアス電圧を高くすることが重要である。たとえば、予備加熱温度500〜600℃、成膜中の反応容器内圧力0.53〜0.8Pa、バイアス電圧-150〜-200Vという条件を挙げることができる。
本発明の硬質膜被覆工具の切れ刃近傍部の硬質膜の残留圧縮応力σAを、 0GPa≦σA≦1.0GPaとすることにより、被膜の自壊が生じず、十分な耐摩耗性を維持することができ、また、本発明の硬質膜被覆工具の中央部の残留圧縮応力σBを、 1.5GPa≦σB≦2.5GPaとすることにより、被覆による強度低下を抑制しつつ十分な密着性を維持することができる。これらの作用により、硬質膜被覆工具の長寿命化を図るものである。
基材としてISO規格TNGA160408形状の超硬合金台金に、立方晶窒化硼素:75体積%と、TiNとAlからなる結合相:残部とで構成される立方晶窒化硼素焼結体をろう付けした立方晶窒化硼素焼結体基材を用意し、切れ刃にはR0.03mmの丸ホーニングを施す。基材を洗浄し、基材をPVD装置内に設置し、プラズマ電流200A、圧力0.2Pa、Arガス流量100cc/min、時間90minで予備加熱を行い、表1に示す予備加熱温度まで加熱した。プラズマ電流100A、圧力0.15Pa、Arガス流量60 cc/min、基材バイアス電圧-400V、時間30minという条件でイオンボンバード処理を施した。この後、プラズマ電流150A、Arガス流量50 cc/min 、N2ガス流量100 cc/min 、C2H2ガス流量10 cc/min 、時間90minとし、表1に示す成膜圧力、基材バイアス電圧に設定して、基材表面に表1に示す膜厚の炭窒化チタンをコーティングし、発明品の試料番号1〜8および比較品の試料番号9〜14を得た。
こうして得られた発明品の試料番号1〜8と比較品の試料番号9〜14について、すくい面に沿って切れ刃から工具中心方向へ1mm離れた箇所の硬質膜の残留圧縮応力σAと、切れ刃から工具中心方向へ3mm離れた硬質膜の残留圧縮応力σBをX線回折法によって測定した。その結果を表4に示した。発明品と比較品について表2に示す切削条件で切削試験を行い、逃げ面摩耗量を測定することで耐摩耗性を評価し、表3に示す切削条件で切削試験を行い、被膜の欠損までの時間を測定することで耐欠損性の評価した。これらの結果を表4に示した。
73.0WC-7.5TiC-10.5TaC-0.5NbC-8.5Co(以上重量%)からなる超硬合金をISO規格SDKN1203AETNの幅1.2mmのサライ刃を付けた形状に加工した。得られた超硬合金製切削工具基材を洗浄し乾燥した後、PVD装置内に設置した。プラズマ電流200A、圧力0.2Pa、Arガス流量100cc/min、時間90minで予備加熱を行い、表5に示す予備加熱温度まで加熱した。その後、プラズマ電流100A、圧力0.15Pa、Arガス流量60 cc/min、基材バイアス電圧-400V、時間30minという条件でイオンボンバード処理を施した。プラズマ電流150A、Arガス流量50 cc/min 、N2ガス流量100 cc/min 、C2H2ガス流量10 cc/min 、時間90minとし、表5に示す成膜圧力、基材バイアス電圧に設定して、基材表面に表5に示す膜厚の炭窒化チタンをコーティングし、発明品の試料番号15〜22および比較品の試料番号23〜28を得た。
得られた発明品の試料番号15〜22と比較品の試料番号23〜28について、すくい面に沿って切れ刃から工具中心方向へ1mm離れた箇所の硬質膜の残留圧縮応力σAと、切れ刃から工具中心方向へ3mm離れた箇所の硬質膜の残留圧縮応力σBをX線回折法によって測定した。その結果を表8に示す。発明品と比較品について表6に示す切削条件で切削試験を行い、逃げ面摩耗量を測定することで耐摩耗性を評価し、表7に示す切削条件で切削試験を行い、欠損するまでの切削長さ(最大2.4mまで)で、耐欠損性の評価を行った。これらの結果を表8 に示す。
上述のとおり、σAが1.0GPaを超えると、耐摩耗性が十分でなく、σBが1.5GPa未満または2.5GPaを超えると、耐欠損性が十分ではなかった。
σA、σBが、0GPa≦σA≦1.0GPa、1.5≦σB≦2.5GPaの範囲にあることにより、耐摩耗性と耐欠損性を両立させるという効果が得られた。
σA、σBが、0GPa≦σA≦1.0GPa、1.5≦σB≦2.5GPaの範囲にあることにより、耐摩耗性と耐欠損性を両立させるという効果が得られた。
Claims (2)
- 基材に硬質膜を被覆させた硬質膜被覆工具において、切れ刃から表面に沿って1mmまでの切れ刃近傍部の該硬質膜の残留圧縮応力をσAと表したとき、0GPa≦σA≦1.0GPaであり、切れ刃から表面に沿って3mm以上離れた中央部の該硬質膜の残留圧縮応力をσBと表したとき、1.5GPa≦σB≦2.5GPaであることを特徴とする硬質膜被覆工具。
- 上記硬質膜は、周期律表4a、5a、6a族元素、Si、Alの炭化物、窒化物、酸化物、硼化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも1種の単層または多層であることを特徴とする請求項1に記載の硬質膜被覆工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003271280A JP2005028520A (ja) | 2003-07-07 | 2003-07-07 | 硬質膜被覆工具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003271280A JP2005028520A (ja) | 2003-07-07 | 2003-07-07 | 硬質膜被覆工具 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family
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Family Applications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101509121B (zh) * | 2005-02-16 | 2011-10-19 | 株式会社神户制钢所 | 硬膜,多层硬膜及它们的制造方法 |
JP2013158868A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆切削工具 |
CN103962589A (zh) * | 2013-01-24 | 2014-08-06 | 三菱综合材料株式会社 | 表面包覆切削工具 |
JP2018183864A (ja) * | 2017-04-21 | 2018-11-22 | 株式会社タンガロイ | 被覆切削工具 |
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2003
- 2003-07-07 JP JP2003271280A patent/JP2005028520A/ja active Pending
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