JP2005026932A - 固定手段外し忘れ防止構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】輸送時に枠体に光学系部材を固定するための固定手段の外し忘れを確実に防止することができるようにする。
【解決手段】所定の枠体21と、この枠体21内に移動可能に装着され、且つ光学的に原稿画像を読み取るべく構成された光学系部材としての、枠体21内で移動可能な光源およびミラー枠22,23とを備えてなり、且つ画像形成装置10に装着される光学系ユニット20を輸送するに際し、光源およびミラー枠22,23の枠体21に対する一時的固定に使用される固定ピン30が、光学系ユニット20の画像形成装置10への装着作業時に外し忘れられるのを防止すべく用いられる固定ピン30外し忘れ防止構造に関するものであり、輸送後に光学系ユニット20が画像形成装置10に装着された状態で、光源およびミラー枠22,23を枠体21に固定した固定ピン30の外し忘れを検出するための近接スイッチ40を備えて構成されている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機やファクシミリ装置等の被装着装置としての画像形成装置への適用が好適な光学系ユニットを対象とし、この光学系ユニットの輸送時に内部の光学系部材が動かないように装着され、開包後の被装着装置への据付け時に取り外される固定手段の外し忘れ防止構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、例えば複写機やファクシミリ装置等の画像形成装置には、原稿の画像を光学的に読み取る光学系ユニットが採用されている。この光学系ユニットは、底のない枡形の枠体に光源やレンズさらにはミラー等の光学部品が搭載された光学系部材が装着されて構成されている。枠体の対向壁部間には例えば2本のガイドロッドが平行に架設され、前記光学系部材はこれら2本のガイドロッドに貫通されることにより、各ガイドロッドに案内されながら移動可能になっている。かかる光学系部材は、適所に設けられた駆動モータの駆動によって環状に配設されたワイヤを介して移動するようになっており、装置本体の頂面のコンタクトガラス上に載置された原稿の画像を移動しながら光源からの照射光によって走査し、その反射光を読み取ることによって別途設けられた記憶装置に当該原稿画像を記憶させるようになされている。
【0003】
このような光学系ユニットは、特に光学系部材が精密部品の集積物であるため、製造現場から画像形成装置の組み付け現場に輸送するに際し、光学系部材が振動などによって枠体内で移動して壁面に衝突したりすると破損する虞がある。かかる不都合を回避するために、特許文献1には、光学系ユニットの輸送に際して予め枠体と光学系部材とをねじ(固定手段)によって互いに固定することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−240821号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光学系ユニットの枠体と光学系部材とを予め仮止め用のねじで互いに締結しておくことにより、光学系ユニットの輸送時に枠体内での光学系部材の移動が阻止されるため、輸送時の光学系部材の破損を防止する上で極めて有効であるが、組み立て現場に運び込まれた光学系ユニットを画像形成装置の装置本体内に組み付けるに際し、枠体から仮止め用のねじを取り外すのを失念する場合がある。
【0006】
そして、仮止めねじの取り外しを失念したまま画像形成装置の組み立てが完了した後、電源を入れて駆動モータを駆動させると、光学系部材は枠体に対して相対的に動き得ないにも拘らず、環状ワイヤを介して強制的に動かされようとするため、過負荷が加わって駆動モータが焼損したり、光学系部材が破損するなどの不具合が生じる。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、輸送時に枠体に光学系部材を固定するための固定手段の外し忘れを確実に防止することができ、これによって被装着装置の組み付け完了時に駆動モータの焼損や光学系部材の破損を防止することができる固定手段外し忘れ防止構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、所定の枠体と、この枠体内に駆動手段の駆動によって移動可能に装着され、且つ光学的に原稿画像を読み取るべく構成された光学系部材とを備えてなる光学系ユニットを輸送するに際し、前記光学系部材の前記枠体に対する一時的固定に使用される固定手段が、光学系ユニットの使用時に外し忘れられるのを防止すべく用いられる固定手段外し忘れ防止構造であって、前記輸送後に光学系部材を枠体に固定した前記固定手段の外し忘れを検出するための外し忘れセンサを備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
この発明によれば、光学系ユニットは、その製造現場から使用現場や光学系ユニットが装着される被装着装置の組み立て現場まで輸送されるに先立って、光学系部材が固定手段によって枠体に固定されることにより一体化しているため、輸送過程で光学系部材が枠体内で移動することはなく、したがって、光学系部材が枠体の壁面に衝突するなどして破損するような不都合の発生が防止される。
【0010】
そして、光学系ユニットの輸送が終わった後の光学系ユニットの使用時(セットアップ時)に、光学系部材を枠体に固定した固定手段を外し忘れていたときには、外し忘れセンサがそのことを検出するため、この検出に基づいて固定手段を取り外すことができる。したがって、光学系ユニットのセットアップ時等に固定手段が取り外されていないにも拘らず電源スイッチを入れることにより、光学系部材を移動させるための駆動モータが焼損したり、光学系部材が破損する等の不都合を確実に防止することができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記外し忘れセンサの検出信号が固定手段の外し忘れを検出したとき、この外し忘れを報知する報知手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、光学系ユニットの使用に先立って報知手段の報知により固定手段の外し忘れを認識することができ、即座に固定手段を取り外すことができる。報知手段としては、所定のモニター画面に、例えば「光学系部材を枠体に固定している固定ピン(固定手段)を外してください」というようなメッセージを文字出力するようなものであってもよいし、ブザーによって警報を吹鳴したり、前記メッセージを音声出力するようなものを挙げることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記駆動手段の駆動を制御する制御手段が設けられ、この制御手段は、前記外し忘れセンサの検出信号に基づいて前記駆動手段へ駆動停止の制御信号を出力するものであることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、光学系ユニットのセットアップ時等に固定手段の取り外しが失念されたままの状態でたとえ駆動手段の電源スイッチが入れられても、外し忘れセンサの検出信号に基づいて制御手段が駆動手段を駆動させないように制御するため、固定手段の外し忘れがあった状態で駆動手段が駆動することはなく、したがって、駆動手段の駆動による駆動モータの焼損や、光学系部材の損傷が生じることはない。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記外し忘れセンサは、前記光学系部材のホームポジションを検出するために設けられたホームポジションセンサが兼用されていることを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、外し忘れセンサとして光学系部材のホームポジションを検出するために設けられたホームポジションセンサが兼用されているため、固定手段の外し忘れの検出のために専用のセンサを採用する必要がなくなり、その分部品コストの低減化に貢献する。
【0017】
請求項5記載の発明は、所定の枠体と、この枠体内に駆動手段の駆動によって移動可能に装着され、且つ光学的に原稿画像を読み取るべく構成された光学系部材とを備えてなる光学系ユニットを輸送するに際し、前記光学系部材の前記枠体に対する一時的固定に使用される固定手段が、光学系ユニットの使用時に外し忘れられるのを防止すべく用いられる固定手段外し忘れ防止構造であって、前記光学系ユニットが装着され前記駆動手段に電力が供給された状態で当該駆動手段の負荷を検出する負荷センサと、この負荷センサの検出結果に基づいて駆動手段への電力の供給を遮断するように制御する制御手段とが備えられ、前記制御手段は、負荷センサによる検出値が、予め設定された基準値を越えているときに固定手段の外し忘れがあったと判別して駆動手段への電力供給を遮断するものであることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、光学系ユニットは、その製造現場から光学系ユニットの使用現場や、光学系ユニットが装着される被装着装置の組み立て現場まで輸送されるに先立って、光学系部材が固定手段によって枠体に固定されることにより一体化しているため、輸送過程で光学系部材が枠体内で移動することはなく、したがって、光学系部材が枠体の壁面に衝突するなどして破損するような不都合の発生が防止される。
【0019】
そして、光学系ユニットの輸送が終わった後の当該光学系ユニットのセットアップ時等に、固定手段を外し忘れていたときには、所定の電源スイッチのオン操作で駆動手段に電力を供給することにより駆動手段は駆動しようとするが、固定手段の存在で駆動手段の負荷は基準値を越えて大きくなる。この基準値を越えた負荷値は負荷センサによって検出されるとともに、制御手段は、この検出結果に基づいて固定手段が外されていないと判別し、駆動手段への電力の供給を遮断する制御を行うため、たとえ電源スイッチがオンされていても駆動手段は駆動せず、したがって、固定手段が外されていないにも拘らずに駆動手段が駆動することで光学系部材に無理な力が加わり、光学系ユニットが破損するような不都合や、駆動手段が焼損するような不都合が確実に防止される。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記負荷センサの検出値が基準値を越えているとき報知する報知手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、駆動手段に電力が供給された時点で、報知手段の報知により固定手段の外し忘れを認識することができ、即座に対応することができる。報知手段としては、所定のモニター画面に、例えば「光学系部材を枠体に固定している固定ピン(固定手段)を外してください」というようなメッセージを文字出力するようなものであってもよいし、ブザーによって警報を吹鳴したり、さらには、前記メッセージを音声出力するようなものを挙げることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る外し忘れ防止構造が適用された画像形成装置の一実施形態を示す側面断面視の説明図である。画像形成装置10は、原稿P1の原稿画像を読み取り、この読み取った画像を用紙P2へ転写し、この画像が転写された用紙P2を排出するように構成されたものであり、原稿画像を読み取るための原稿P1を載置するための原稿自動送り部11と、この原稿自動送り部11に載置された原稿P1から原稿画像を読み取る画像読取部12と、この画像読取部12で読み取られた原稿画像を用紙P2にトナー画像として転写する作像部13と、この作像部13で転写された用紙のトナー画像を定着する定着部14と、前記作像部13に向けて給紙する用紙P2を貯留する用紙貯留部15とが箱形を呈した装置本体101に装着されることによって形成されている。
【0023】
前記原稿自動送り部11は、開閉可能なカバー蓋体111と、装置本体101の上面中央部の矩形状開口に嵌めこまれたコンタクトガラス115とを備えて構成されている。前記カバー蓋体111の上面中央部には窪んだ部分が形成され、この窪んだ部分に原稿トレー112が形成されている。この原稿トレー112は、複数枚の原稿P1を積層状態で載置して各原稿P1の原稿画像を連続的に読み取らせるときに使用されるものである。そして、この原稿トレー112の一側部(図1の左方)には、載置された原稿P1の束から1枚ずつを繰り出させてコンタクトガラス115に向かわせる原稿自動送り装置113が設けられている。、
この原稿自動送り装置113によってコンタクトガラス115上で画像が読み取られたのちの原稿P1は、他側部(図1の右方)から原稿トレー112上に戻されるようになっている。
【0024】
また、カバー蓋体111は、図略のヒンジ軸回りに回動してコンタクトガラス115に対して開閉し得るように装置本体101に取り付けられている。そして、原稿Pを1枚ずつ手置きでコンタクトガラス115に供給する場合や、原稿P1がブック状のものである場合には、カバー蓋体111を開放して原稿P1をコンタクトガラス115上に載置し、その後、この原稿P1に重ねるようにカバー蓋体111を閉じた状態で画像読取部12による画像の読み取りが行われるようになっている。
【0025】
前記コンタクトガラス115に密着した原稿画像を走査する光学系ユニット20を備えて構成されている。この光学系ユニット20には、移動しながら原稿画像に光を照射する移動光源121と、この移動光源121からの光の原稿画像での反射光を所定の光路に沿うように反射する複数のミラー122や、光路の光を収束させるレンズ部材123等を有している。
【0026】
そして、移動光源121がコンタクトガラス115と平行に移動しながら原稿面に照射した光の反射光がミラー122およびレンズ部材123を介してCCD124へ入力されることで原稿画像が順次走査されるようになっている。かかる走査で得られたアナログ量からなる画面情報は、CCD124で逐一デジタル信号に変換されたのち図略の記憶装置に一旦記憶され、必要に応じて作像部13へ向けてレーザー光の状態で出力されるようになっている。
【0027】
前記作像部13は、周面に静電画像およびトナー画像が順次形成される感光体ドラム131と、この感光体ドラム131の周面に用紙P2を送り込む転写ベルト132とを備えて構成されている。軸心回りに回転している感光体ドラム131の周面には、原稿P1の原稿画像を走査することにより得られた画像情報を有するレーザー光がレーザー光発信器133から照射され、これによって感光体ドラム131の周面に静電画像が順次形成されるとともに、走査光照射位置の下流側で静電画像に現像部134からトナーが供給されることにより感光体ドラム131の周面にトナー画像が形成されるようになっている。そして、このトナー画像が転写ベルト132によって給紙された用紙P2に転写されるようになっている。
【0028】
前記定着部14は、作像部13で感光体ドラム131により画像の転写された用紙P2の転写画像に対し定着処理を施すものであり、内部に通電発熱体等の発熱部材が装着された定着ローラ141と、下部でこの定着ローラ141に対向配置された加圧ローラ142とを有している。そして、前記作像部13から転写ベルト132の周回駆動に伴って導出された用紙P2は、定着ローラ141および加圧ローラ142間に給紙され、ここで定着ローラ141により加熱されることによってトナー画像が用紙P2に定着されるようになっている。定着部14を通過した用紙P2は、最下流端に設けられた搬出ローラ対143を介して系外に搬出されるようになっている。
【0029】
前記用紙貯留部15は、装置本体101に対して挿脱自在に内装された複数段の用紙カセット151を備えて構成されている。各用紙カセット151には、一方の端部(図1に示す例では右端部)にピックアップローラ152や給紙ローラ153等が設けられ、ピックアップローラ152の駆動回転で用紙カセット151に装填されている用紙P2の束の最上位のものが順次繰り出され、給紙ローラ153を介して搬送路102に向けて導出されるようになっている。
【0030】
そして、ピックアップローラ152および給紙ローラ153を介して用紙カセット151から導出された用紙P2は、転写ベルト132によって搬送されつつ、感光体ドラム131の周面のトナー画像が転写され、引き続き定着部14で定着ローラ141による熱定着処理が施された後、搬出ローラ対143を通って装置本体101の排紙口から外部に排出される。
【0031】
そして、装置本体101の側面の適所には電源スイッチ103が設けられているとともに、同上面の適所にはスタートボタン104が設けられ、電源スイッチ103がスイッチオンされた状態でスタートボタン104が押下されることによって原稿自動送り部11、画像読取部12、作像部13、定着部14および用紙貯留部15がそれぞれの機能で動作することにより原稿P1の画像の用紙P2への転写処理が実行されるようになっている。
【0032】
さらに、装置本体101内の適所には、画像形成処理を全般的に制御するための制御装置80が設けられており、本発明に係る後述の固定ピン(固定手段)30の外し忘れ防止制御もこの制御装置80に制御の一部として組み込まれている。制御装置80による固定ピン30の外し忘れ防止制御については後に詳述する。
【0033】
なお、本実施形態においては、定着部14と用紙貯留部15との間に用紙裏返し部16が介設されている。この用紙裏返し部16は、用紙P2に両面印刷処理を施すときに使用されるものであり、定着部14で第1面の定着処理が完了した用紙P2は、一旦この用紙裏返し部16へ導入され、ここで反転処理(裏返し処理)が施されたのち作像部13へ戻され、作像部13での第2面の転写処理および定着部14での定着処理が実行されてから排紙口を介して後処理部30へ向けて送り出されるようになっている。
【0034】
図2は、本発明に係る固定手段外し忘れ防止構造が適用される光学系ユニット20の一実施形態を示す斜視図である。なお、図2において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。この図に示すように、光学系ユニット20は、平面視で矩形状を呈した枠体21と、この枠体21内に前後方向へ向けて移動可能に装着された光源枠(光学系部材)22と、同移動可能に装着されたミラー枠(光学系部材)23と、光源およびミラー枠22,23を移動させる駆動源としての駆動モータ24と、この駆動モータ24の駆動軸231に同心で固定された巻取りドラム25と、この巻取りドラム25に巻き付けられた状態で前記光源およびミラー枠22,23に連結された張設ワイヤ26とを備えて構成されている。
【0035】
前記枠体21は、幅方向に延びた一対の横枠211と、各横枠211の端部間に架設された前後方向に延びる幅方向一対の前後枠212とからなっている。各前後枠212の対向面には図略の光源およびミラー枠22,23のガイドレールがそれぞれ設けられ、光源およびミラー枠22,23は、いずれもこれらのガイドレールに案内されつつ円滑に前後動し得るようになっている。
【0036】
図3は、前記光源枠22およびミラー枠23を説明するための図2のA−A線断面図である。この図に示すように、光源枠22は、幅方向一対の側板221(図3には一方の側板221のみが示されている)と、これら一対の側板221の前縁部間に架設された前部架設板222と、同後縁部間に架設された後部架設板223とからなっている。前部架設板222の上部には、前記横枠211に対する対向面が当該横枠211と平行に設定された平行板224が形成されている。
この平行板224の適所には、後述の固定ピン30が螺着されるねじ孔225が螺設されている。
【0037】
そして、一対の側板221間であって上方後部位置には移動光源121が架設されているとともに、各側板221における前後の架設板222,223の下端縁部から下方に延設された部分(下方延設部227)間には、第1ミラー1221が架設されている。この第1ミラー1221は、下方延設部227の後方上部から前方に向けて先下がりに角度設定され、これによって移動光源121からの光の原稿面における反射光は、この第1ミラー1221で反射されて前記ミラー枠23に向かうようになっている。
【0038】
前記ミラー枠23は、互いに対向配置された幅方向一対の側板231(図3には一方の側板231のみが示されている)と、これら一対の側板231を支持した状態で当該側板231間に架設された水平架設板232とを備えて構成されている。水平架設板232は、一対の側板231に外嵌された状態で各側板231の上下方向の略中間位置に固定されることにより、前縁部が側板231より若干前方に突出している。この突出した部分に横枠211と平行な幅方向(図2の紙面に直交する方向)に延びる平行板233が立設され、その適所にも後述の固定ピン30が螺着されるねじ孔234が螺設されている。
【0039】
そして、一対の側板231間であって水平架設板232より上方位置には、第2ミラー1222が架設されているとともに、同水平架設板232より下方位置には第3ミラー1223が架設されている。第2ミラー1222は、前記第1ミラー1221と対向した状態で後方(図2の右方)に向けて傾倒されている一方、第3ミラー1223は、第2ミラー1222と上下で対向した状態で前方に向けて傾倒されている。そして、第1ミラー1221で反射した光は、第2ミラー1222で反射して第3ミラー1223に導かれ、第3ミラー1223で反射したのちレンズ部材123を介してCCD124へ入光されるようになっている。
【0040】
かかる光源枠22およびミラー枠23は、図略のガイドレールに案内されつつ駆動モータ24(図1)の駆動により巻取りドラム25を介して張設ワイヤ26(図2)に牽引されながら前後方向(図2の左右方向)に正逆移動するようになっている。そして、ミラー枠23の移動速度は、ワイヤ掛け構造が適切に構成されることによって光源枠22の移動速度の1/2に設定され、これによって光源およびミラー枠22,23がそれぞれ移動しても、第1ミラー1221からレンズ部材123に到る光路の距離は常に一定になるようにしている。
【0041】
図4は、光源およびミラー枠22,23がホームポジション(ミラー枠23の移動光源121が原稿画面の走査を開始する位置)よりさらに前方の梱包ポジション(横枠211に近接したポジション)に位置した状態を示す図3相当図である。この図に示すように、光源およびミラー枠22,23が梱包ポジションに位置設定された状態では、各枠22,23は、いずれも同一位置で一部が重なり合った状態になり、特に光源枠22の平行板224と、ミラー枠23の平行板233とが上下方向に延びる同一平面上に位置した状態になるようになされている。
【0042】
そして、光学系ユニット20を、例えばその製造現場から画像形成装置10の組み立て現場に輸送するような場合、前記梱包位置に位置設定された光源およびミラー枠22,23は、それぞれ枠体21の横枠211に固定ピン30で固定され、これによって輸送中の振動によっても光源およびミラー枠22,23が枠体21内でがたついて破損するような不都合の生じることがないようにしている。
【0043】
そのために、横枠211における各ねじ孔225,234に対応した部分には、固定ピン30が貫通し得る上下一対の貫通孔214(図5)が穿設されている。固定ピン(固定手段)30は、貫通孔214より僅かに小径のピン本体31と、このピン本体31の基端側に同心で一体に形成されたピン本体31より大径の頭部32とからなっている。ピン本体31の先端には雄ねじの螺設された雄ねじ部33が形成され、ピン本体31が貫通孔214に貫通された状態で雄ねじ部33を光源およびミラー枠22,23の各ねじ孔225,234に螺着することにより、光源およびミラー枠22,23がそれぞれ枠体21に固定されるようになっている。
【0044】
そして、本発明は、光学系ユニット20がその製造現場から画像形成装置10の組み立て現場に輸送され、組み立てに供されたときに、固定ピン30の外し忘れを防止するための固定ピン外し忘れ防止構造に関するものである。
【0045】
図5は、固定ピン外し忘れ防止構造の第1実施形態を示す一部切欠き部分拡大斜視図であり、(イ)は、近接スイッチ40が横枠211に装着される直前の状態、(ロ)は、近接スイッチ40が横枠211に装着された状態をそれぞれ示している。また、(ハ)は、(ロ)のB−B線断面図である。図5の(イ)および(ロ)において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という(因みに、図5における右方と左方とは図2におけるそれらと逆になっている)。なお、図5では、光源枠22に関するものを例に挙げて示しているが、ミラー枠23に関しても同様である。
【0046】
図5に示すように、第1実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造は、横枠211の内面側に、貫通孔214に対応して固定された非接触式の対物センサである近接スイッチ(外し忘れセンサ)40を備えて構成されている。
【0047】
前記近接スイッチ40は、凹字状に形成された筐体41と、この筐体に内装された近接センサ42とからなっている。前記筐体41は、底板411と、この底板411の両側部に立設された一対の側板412とからなり、一対の筐体412間に固定ピン30のピン本体31が挿通されるピン挿通空間43が形成されている。一対の側板412は、底板411より前方に向けて延ばされ、この部分の対向面に上下方向に延びる嵌込み溝44がそれぞれ凹設されているとともに、各嵌込み溝44の前方部分に対向面間の距離が前方に向かうに従って漸増するように傾斜した傾斜面を有するフック45がそれぞれ形成されている。
【0048】
前記嵌込み溝44の溝幅寸法は、枠体21の横枠211の厚み寸法より僅かに広く設定されているとともに、前記フック45間の最大内寸法は、側板412間の内寸法より若干大きめに設定されている。
【0049】
一方、横枠211に穿設された固定ピン30を挿通するための貫通孔214の左右対称位置には、一対のフック45に対応した幅方向一対の角孔213が穿設されている。これらの角孔213は、上下寸法がフック45の上下寸法より僅かに大きく設定されているとともに、孔幅寸法が嵌込み溝44の溝底の厚み寸法より僅かに広く設定されている。
【0050】
したがって、一対のフック45を対応した角孔213にそれぞれ圧入することにより、各フック45は、その対向部分が圧縮弾性変形しながら角孔213を通過し、これによって図5の(ロ)に示すように、近接スイッチ40が横枠211に装着された状態になる。
【0051】
前記近接センサ42は、本実施形態においては、数100Hz〜数MHzの高周波を電極板に供給し、この電極板からの高周波出力によってピン挿通空間43内に高周波電界を形成させるようにした、いわゆる静電容量タイプのものが採用されている。かかる近接センサ42によれば、ピン挿通空間43内にピン本体31が挿入されると、ピン本体31の表面と電極版の表面との間で分極減少が起こり、これによって静電容量が増加するため、高周波の発振条件が助長されて発振の振幅が増加する。この発振振幅の大きさを計測することによってピン挿通空間43内にピン本体31が存在するか否かが検出される。
【0052】
そして、製造現場で製造された光学系ユニット20は、画像形成装置10の組み立て現場に輸送されるに先立って、光源枠22およびミラー枠23がホームポジションを越えて枠体21の一方側の横枠211に当接させられ、この状態で固定ピン30のピン本体31が貫通孔214に挿入され、図5の(ロ)および(ハ)に示すように、近接スイッチ40のピン挿通空間43を介して光源およびミラー枠22,23の各ねじ孔225,234に螺着締結される(図5の(ロ)および(ハ)では固定ピン30が光源枠22のねじ孔225に螺着された状態のみを代表で示している)。
【0053】
そして、画像形成装置10が組み立てられた状態で前記スタートボタン104が押下されると、近接センサ42に高周波が印加され、これによって近接スイッチ40のピン挿通空間43にピン本体31が存在するか否か(すなわち固定ピン30の外し忘れが起こっているか否か)が検出されるようになされている。
【0054】
以下、図6を基に、固定ピン30の外し忘れ防止制御について説明する。図6は、第1実施形態の固定ピン30の外し忘れ防止構造に係る外し忘れ防止制御を説明するためのブロック図である。なお、この図に示すように、制御装置80は、中央演算処理装置であるCPU81と、読出し専用の外部記憶装置であるROM82と、読み書き自在の外部記憶装置であるRAM83と、固定ピン30の外し忘れを表示する表示部84とを備えて構成されている。
【0055】
ROM82には、ピックアップローラ52による用紙押圧制御に係るプログラムが記憶され、画像形成装置10の電源スイッチ103がスイッチオンされることによりROM82に記憶されたプログラムがCPU81に読み込まれるようになっている。この読み込み操作で制御装置80は、固定ピン30の外し忘れ防止制御が実行し得る状態に設定される。
【0056】
RAM83には、近接スイッチ40の近接センサ42からどのような検出信号が出力されると固定ピン30が外し忘れられているかを示す判断基準が記憶されている。この判断基準は、本実施形態においては、近接センサ42が出力する高周波の発振信号の振幅の基準レベル(近接スイッチ40のピン挿通空間43にピン本体31が存在するか否かの判断基準になる高周波の発振振幅)である。RAM83に記憶されているかかる基準レベルは、状況に応じて書き換えることができる。
【0057】
前記CPU81は、固定ピン外し忘れ判別部811と、制御信号出力部812とを有している。固定ピン外し忘れ判別部811は、電源スイッチ103がスイッチオンされた状態で、近接センサ42からの検出値と前記基準値とを比較し、その比較結果からピン挿通空間43にピン本体31が存在するか否かを判別し、その判別結果を指令信号として制御信号出力部812および表示部84に向けて出力するものである。
【0058】
前記制御信号出力部812は、固定ピン外し忘れ判別部811からの指令信号に基づいて駆動モータ24に対する電力供給をオン・オフさせるものである。具体的には、制御信号出力部812は、固定ピン外し忘れ判別部811からの外し忘れに対応した指令信号(この指令信号は、近接センサ42からの検出信号値が前記基準値を越えているときに出力される)を受けると、機器本体11(図1)内の適所に設けられた電力供給切替器241へ向けて電源242からの電力を当該駆動モータ24へ供給させるための制御信号を出力するようになっている。
【0059】
この制御信号を受けた電力供給切替器241は、普段はオンになっている回路(すなわち電源242からの電力をスタートボタン104を介して駆動モータ24に供給し得るようになっている回路)を切り換えて電源242からの電力が駆動モータ24に供給されないようにするため、ユーザーがたとえスタートボタン104を押下しても、駆動モータ24が駆動することはなく、固定ピン30が枠体21から外されない状態、すなわち、光源およびミラー枠22,23のいずれか一方が動き得ない状態で駆動モータ24に電力が供給されてしまい、光源およびミラー枠22,23のいずれか一方または双方が動き得ないにも拘らず、スタートボタン104を押下することによって電力が駆動モータ24に供給されてしまい、過負荷で駆動モータ24が焼損するような不都合が回避される。
【0060】
因みに、前記電力供給切替器241は、電源スイッチ103がスイッチオンされた初期状態で電源242からの電力を、スタートボタン104を介して駆動モータ24へ供給するように回路設定されている。したがって、制御信号出力部812からの電力供給遮断の制御信号が入力されない限り、スタートボタン104が押下されると電源242からの電力が電力供給切替器241を介して駆動モータ24へ供給されることになる。
【0061】
前記表示部84は、装置本体101の上面の適所であって、ユーザーによって視認し易い位置に設けられている。この表示部84は、固定ピン外し忘れ判別部811からの外し忘れ表示の指令信号を受けると、例えば「電源スイッチを切ってから固定ピンを外してください」等の警報メッセージを画面表示するように構成されている。したがって、ユーザーは、この警報メッセージに基づいて電源スイッチ103をスイッチオフした後、固定ピン30を枠体21から取り外すことになるが、電源スイッチ103オフにより電力供給切替器241は通電可能な初期状態に戻るため、固定ピン30を取り外したのちスタートボタン104を押下することで駆動モータ24は正常に駆動する。
【0062】
図7は、第1実施形態の固定ピン外し忘れ制御のフローを示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて第1実施形態の固定ピン外し忘れ制御のフローについて説明する。電源スイッチ103がスイッチオンされるとこの制御がスタートする。
【0063】
まず、ステップS1で、固定ピン外し忘れ判別部811により光源枠22用の近接センサ42の検出値が基準値未満であるか否かが判別される。そして、近接センサ42の検出値が基準値未満のとき(S1でYES)にはステップS2が実行され、前記同様にミラー枠23用の近接センサ42が基準値未満であるかが判別され、ここでも基準値未満であるときは、何らのアクションもされずに制御は終了する。
【0064】
これに対し、ステップS1で光源枠22用の近接センサ42の検出値が基準値以上のとき(S1でNOのとき)、またはステップS1でYESであってもステップS2でミラー枠23用の近接センサ42の検出値が基準値以上のとき(S2でNOのとき)、すなわち、光源枠22用およびミラー枠23用を固定していた各固定ピン30のいずれかが抜き忘れられていたときは、ステップS3が実行され電力供給切替器241がオフされて電源242からの電力が駆動モータ24へは供給されないようにされる。これと同時に固定ピン外し忘れ判別部811からの指令信号によって表示部84に固定ピン30抜き忘れを警報するための警報メッセージが表示される(S4)。
【0065】
図8は、固定ピン外し忘れ防止構造の第2実施形態を示す一部切欠き部分拡大斜視図であり、(イ)は、被検出板52が近接スイッチ40によって検出され得る状態(光源枠22が固定ピン30によって光学系ユニット20の枠体21に固定される直前の状態)、(ロ)は、被検出板52が近接スイッチ40によって検出されない状態(光源枠22が固定ピン30によって光学系ユニット20の枠体21に固定された状態)をそれぞれ示している。図8において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という(因みに、図8における右方と左方とは図2におけるそれらと逆になっている)。なお、図8では、光源枠22に関するものを例に挙げて示しているが、ミラー枠23に関しても同様である。
【0066】
この実施形態においては、外し忘れ防止構造は、固定ピン30の外し忘れを検出するために固定ピン30と近接スイッチ40との間に介設される被検出金具50を備えて構成されている。この被検出金具50は、光源枠22の前部架設板222と前端上部の前記平行板224との間に介設された棚板226上に設けられており、棚板226の左側部に立設された立設軸501回りに回動自在に軸支されている。
【0067】
かかる被検出金具50は、立設軸501の位置から左方よりも右方に向かって若干長めに延びた立設状態の被押圧板51と、右側部が前記立設軸501に貫通され、且つ被押圧板51の下縁部に一体的に接合された左方に向かって延びる長尺の被検出板52と、前記被押圧板51の上縁部の立設軸501に対応した位置から立設軸501の方向に向かって延設され、且つ立設軸501に貫通されたブラケット片53とを備えて構成されている。
【0068】
前記立設軸501は、平行板224に螺設されたねじ孔225よりも若干左方位置に設けられているとともに、被押圧板51は、右側部が前後方向でねじ孔225に対向し得るように長さ寸法が設定されている。また、前記被検出板52は、その左側部が棚板226の左端縁から外方に向けて若干突出するように長さ設定されている。
【0069】
かかる被押圧板51の右端上縁部には、上方に向かって突出した係止小片511が突設されているとともに、平行板224の係止小片511に対向した部分には、係止小片511に向かって切り起こされて形成した切起し片2241が設けられ、この切起し片2241と前記係止小片511との間に引張りコイルばね54が張設され、これによって被検出金具50は、平面視で立設軸501回りに反時計方向に向かう力を引張りコイルばね54から受けるようになっている。
【0070】
そして、棚板226の左端の後方縁部には、棚板226の一部が切り起こされることによって形成したストッパ片2261が突設され、引張りコイルばね54によって付勢された被検出金具50は、被検出板52がこのストッパ片2261に当止することによって普段は定常姿勢に姿勢設定されるようになっている。
【0071】
一方、近接スイッチ40は、光学系ユニット20の枠体21の前後枠212における定常姿勢に姿勢設定された被検出金具50の被検出板52と対向するように固定され、これによって光源枠22が梱包位置に位置設定された状態で被検出板52の先端が一対の側板412間の検出空間46に位置するように設置位置が設定されている。
【0072】
因みに、この実施形態で用いられる近接スイッチ40は、第1実施形態のものとは異なり、前記嵌込み溝44やフック45の設けられていないものが採用され、その底板411の外面側が前後枠212の内面側に当接された状態でねじ止め等によって前後枠212に固定されるようになっている。
【0073】
前記固定ピン30は、枠体21の横枠211の貫通孔214を介して光源枠22の平行板224に螺設されたねじ孔225に螺着され、これによって光源枠22が枠体21に固定された状態で、ピン本体31の先端が被押圧板51を立設軸501回りに所定角度だけ回動させ、これによって被検出板52の先端が近接スイッチ40の検出空間46から外れ得るように長さ寸法が設定されている。
【0074】
このように被検出金具50を有する第2実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造によれば、光学系ユニット20の梱包作業時に光源枠22がその平行板224を横枠211に当接させた梱包位置に位置設定された状態で、被検出金具50の被検出板52は、図8の(イ)に示すように、その先端部が近接スイッチ40の検出空間46に位置した定常姿勢に姿勢設定されている。
【0075】
この状態で、輸送時に光源枠22ががたつかないように固定ピン30が横枠211の貫通孔214を介して平行板224のねじ孔225に螺着締結されることにより、被検出金具50の被押圧板51は、ピン本体31の先端が被押圧板51を押圧し、これによる引張りコイルばね54の付勢力に抗した被検出金具50の立設軸501回りの時計方向へ向かう回動によって、被検出板52は、図8の(ロ)に示すように、その先端部が近接スイッチ40の検出空間46から外れた状態になる。
【0076】
この状態で、光学系ユニット20は、その製造現場から画像形成装置10の組み立て現場に輸送され、組み立てに供されることになる。この組み立て作業において、光源枠22を枠体21に固定していた固定ピン30は取り外されなければならないが、この取り外しが失念されることがある。そして、固定ピン30の取り外しが忘れられたままでは、被検出金具50の被検出板52が、図8の(ロ)に示すように、近接スイッチ40の検出空間46から外れた状態になっているため、この状態が近接スイッチ40によって検出されることにより、制御装置80は、固定ピン30の外し忘れを判別し、たとえ画像形成装置10の電源スイッチ103が入れられた状態でスタートボタン104が押下されても、駆動モータ24が駆動しないように制御するとともに、表示部84に前記同様の警報メッセージを出力するように構成されている。
【0077】
したがって、第2実施形態においては、制御装置80の構成は、図6に示す第1実施形態のものと同様であるが、固定ピン外し忘れ判別部811におけるピン外し忘れの判別方法が、第1実施形態と反対になっており、近接スイッチ40による検出値が、予めRAM83に記憶されている基準値より小さいときは、固定ピン外し忘れ判別部811は、固定ピン30の外し忘れが生じていると判別するのである。
【0078】
したがって、第2実施形態における固定ピン30の外し忘れ防止制御のフローチャートは、図7に示す第1実施形態の制御風呂において、ステップS1の「光源枠用の近接センサ検出値<基準値」という表現を、「光源枠用の近接センサ検出値>基準値」と変更するとともに、ステップS2の「ミラー枠用の近接センサ検出値>基準値」と変更することによって完成することになる。
【0079】
図9は、固定ピン外し忘れ防止構造の第3実施形態を示す一部切欠き部分拡大斜視図であり、(イ)は、光源枠22が梱包位置に位置設定された状態(光源枠22が固定ピン30によって光学系ユニット20の枠体21に固定される直前の状態)、(ロ)は、光源枠22が固定ピン30によって枠体21に固定された状態(光源枠22が固定ピン30によって光学系ユニット20の枠体21に固定された状態)をそれぞれ示している。なお、図9においてXおよびYの示す方向は図8において示す方向と同じである。
【0080】
第3実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造は、固定ピン30の外し忘れを検出するセンサとして、枠体21に既設品として設けられている、画像形成装置10の通常の運転時に光源枠22がホームポジションに戻ったことを検出するホームポジション用近接スイッチ40′が兼用されている点が先の実施形態のものと相違している。
【0081】
かかる第3実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造は、図9に示すように、光学系ユニット20の枠体21の内の光源枠22側に設けられた回動操作部材60と、同枠体21側に設けられた前記回動操作部材60により回転させられる被回動部材70とを備えて構成されている。
【0082】
前記回動操作部材60は、側面視でL字状を呈したL字操作板61と、このL字操作板61に固定された支軸62と、L字操作板61に付勢力を付与する第1コイルスプリング63とを備えている。前記L字操作板61は、上下方向に延びるように配置される短尺操作板611と、この短尺操作板611の基端縁部から直交状態で後方に向けて延設された長尺操作板612とからなっている。そして、前記前記支軸62は、このようなL字操作板61における短尺操作板611と長尺操作板612との交差部分を幅方向に貫通した状態でL字操作板61に装着されている。
【0083】
一方、光源枠22の棚板226および前部架設板222には、その左側部後方位置が切り欠かれて形成した切欠き部2221が設けられているとともに、この切欠き部2221に対応して幅方向一対の軸受け片2262が上方に向けて突設されている。前記回動操作部材60は、支軸62の両側部がこれらの軸受け片2262の支持孔に嵌挿されることによって長尺操作板612が切欠き部2221に臨んだ状態で支軸62回りに回動自在に軸支されている。
【0084】
前記支軸62には、第1コイルスプリング63が外嵌され、先端部が折り曲げられたその一側部が圧接状態で短尺操作板611に当止されるとともに、他側部が圧接状態で棚板226の上面に当止され、これによってL字操作板61は、支軸62回りに図9における反時計方向へ付勢されている。
【0085】
一方、棚板226には長尺操作板612近傍の縁部に当該長尺操作板612の上方への回動を阻止するストッパ片2263が設けられ、長尺操作板612が第1コイルスプリング63の付勢力によってこのストッパ片2263に当止することによりL字操作板61は、普段、その短尺操作板611が略垂直方向に延びるとともに長尺操作板612が略水平方向に延びた基準姿勢に姿勢設定されるようになっている。
【0086】
前記被回動部材70は、長尺操作板612の直下で幅方向一対の前後枠212間に架設された架設軸71と、この架設軸71に長尺操作板612と対応するように一体的に軸支された被操作板72と、この被操作板72の外側位置で前後枠212から若干離間して前記架設軸71に一体的に軸支されたL字状の被検出部材73と、この被検出部材73に付勢力を付与する第2コイルスプリング74とを備えて構成されている。被操作板72および被検出部材73は、いずれも架設軸71から略同一位相で(すなわち架設軸71の略同一径方向に向けて)突設されている。
【0087】
前記被検出部材73は、架設軸71から径方向に向けて突設された径方向突設板731と、この径方向突設板731の先端から架設軸71の周方向に向けて延設された被検出板732とからなっている。被検出板732は、被検出板732の先端から図9における反時計方向に延設されている。
【0088】
一方、枠体21の前後枠212には、棚板226と同一高さレベルであって、架設軸71の略直上位置に、ホームポジション用近接スイッチ40′がその開口を内方に向け、且つ一対の側板412が水平方向に延びるように取り付けられている。これによってホームポジション用近接スイッチ40′の検出空間46は、棚板226の縁部と対向するようになっている。
【0089】
また、前後枠212には、ホームポジション用近接スイッチ40′の下部であって、架設軸71後方の斜め下方位置にその一部が内側に向けて押し起しされることによって形成したストッパ片2121が設けられ、被検出部材73は、径方向突設板731がこのストッパ片2121に当止した傾斜姿勢と、径方向突設板731が略立直することにより被検出板732がホームポジション用近接スイッチ40′の検出空間46内に嵌り込んだ立直姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。なお、被検出部材73と架設軸71を介して一体の被操作板72も、被検出部材73と合わせて同様に傾斜姿勢と立直姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。
【0090】
前記第2コイルスプリング74は、架設軸71に外嵌された状態で径方向突設板731および前後枠212間に介設され、これによって被検出部材73を架設軸71回りに時計方向に付勢している。したがって、普段、被操作板72および被検出部材73は、第2コイルスプリング74の付勢力でそれぞれ強制的に傾斜姿勢に姿勢設定されている。
【0091】
前記被操作板72は、傾斜姿勢に姿勢設定された状態で、その先端が基準姿勢に姿勢設定されているL字操作板61の長尺操作板612の裏面側に若干の隙間を介して対向するように長さ寸法が設定されている。したがって、傾斜姿勢に姿勢設定されていた被操作板72(図9の(イ))は、基準姿勢に姿勢設定されているL字操作板61が傾斜姿勢(図9の(ロ))に姿勢変更されることにより、被操作板72の先端が長尺操作板612によって押圧され、これによって図9の(ロ)に示すように立直姿勢に姿勢変更されることになる。
【0092】
また、被操作板72は、傾斜姿勢に姿勢設定された状態で、その先端が基準姿勢に姿勢設定されているL字操作板61の長尺操作板612の裏面側に当接しないようになされているため、光源枠22の移動時に長尺操作板612と干渉することはない。
【0093】
そして、平行板224の前記ねじ孔225は、L字操作板61の短尺操作板611に対向する位置に螺設されているとともに、横枠211の前記貫通孔214はねじ孔225に対向して穿設されている。
【0094】
そして、本実施形態においては、棚板226の幅方向の縁部に、ホームポジション用近接スイッチ40′によって光源枠22のホームポジションを検出するためのホームポジション用検出片2264が外方に向かって突設されている。このホームポジション用検出片2264は、光源枠22がホームポジションに位置した状態で、ホームポジション用近接スイッチ40′の検出空間46に位置し得るように設定値が設定されている。
【0095】
したがって、図9に示すように、光源枠22が輸送のための梱包位置に位置設定された状態では、ホームポジション用検出片2264は、ホームポジション用近接スイッチ40′より若干前方寄りのところに位置しており、ホームポジション用近接スイッチ40′によって検出されないようになっている。
【0096】
このように構成された第3実施形態のピン外し忘れ防止構造によれば、光学系ユニット20の製造現場から画像形成装置10の組み立て現場に光学系ユニット20を輸送するに際し、光源枠22は、まず、図9の(イ)に示すように、枠体21内で梱包位置に位置設定され、しかる後に固定ピン30のピン本体31を横枠211の貫通孔214を介して平行板224のねじ孔225に螺着しねじ込んでいく。
【0097】
そうすると、ピン本体31の先端がL字操作板61の短尺操作板611に当止し、その後、短尺操作板611を後方に向けて押圧していくので、L字操作板61は支軸62回りに時計方向に回動する。この回動によって長尺操作板612が被操作板72の先端を前方に向けて押圧するため、被操作板72は、架設軸71回りに反時計方向に回動し、これによって被操作板72と一体回動していた被検出部材73の被検出板732が、図9の(ロ)に示すように、ホームポジション用近接スイッチ40′の検出空間46に嵌り込んだ状態になる。また、この状態で、光源枠22が枠体21に一体的に固定され得るようにピン本体31の長さ寸法が設定されている。
【0098】
そして、固定ピン30によって光源枠22が枠体21に固定されるとともに、被検出板732がホームポジション用近接スイッチ40′の検出空間46に嵌り込んだ状態で光学系ユニット20に対して所定の梱包が行われ、輸送されることになる。
【0099】
このようにして画像形成装置10の組み立て現場に運び込まれた光学系ユニット20は、画像形成装置10の組み立てに供されたのち、組み立て完了直前に固定ピン30が枠体21から取り外されるのであるが、このとき、たとえ固定ピン30が外し忘れられたままで電源スイッチ103がスイッチオンされ、引き続きスタートボタン104が押下されても、ホームポジション用近接スイッチ40′が被検出板732を検出し、これによって駆動モータ24への電力の供給が遮断されるとともに、表示部84に警報メッセージが出力されることについては、第1実施形態のものと同様である。
【0100】
そして、第3実施形態においては、固定ピン30の外し忘れを検出するものとして、光源枠22のホームポジションを検出するためのホームポジション用近接スイッチ40′が兼用されているため、ホームポジション用近接スイッチ40′とは別に高価な近接スイッチ40を設けなくてもよく、その分部品コストの低減化に貢献することができる。
【0101】
図10は、固定ピン外し忘れ構造の第4実施形態を説明するためのブロック図である。第4実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造は、先の実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造と異なり、機械的な部材を使用することなく、電気的な処理によって固定ピンの外し忘れを検出するものである。
【0102】
すなわち、本実施形態においては、駆動モータ24に電流値を検出する電流センサ(負荷センサ)243が付設され、この電流センサ243からの検出信号(すなわち電流値)が制御装置80に入力されるようになっている。そして、制御装置80がこの検出信号(電流値)に基づいて固定ピン30の外し忘れが生じているのか否かを判別し、固定ピン30が外し忘れられていた場合には、駆動モータ24への電力の供給を遮断するとともに、表示部84に警報メッセージを出力するようになっている。
【0103】
そして、第4実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造は、駆動モータ24に付設された電流センサ243と、電流センサ243の検出結果に基いて固定ピン30の外し忘れがあるか否かを判別するように構成された制御装置80の固定ピン外し忘れ判別部811とを備えて構成されている。
【0104】
第4実施形態の外し忘れ防止構造に用いられる制御装置80は、CPU81、ROM82、RAM83および表示部84を備えて構成され、特に、CPU81が固定ピン外し忘れ判別部811および制御信号出力部812を有していることについては先の実施形態と同様であるが、先の実施形態においては、RAM83に近接スイッチ40の検出信号に対する基準値が記憶されているのに対し、本実施形態は、RAM83に駆動モータ24の基準電流値(駆動モータ24が正常に駆動するときの電流値)が記憶されている点が先の実施形態と相違している。
【0105】
そして、本実施形態においては、固定ピン外し忘れ判別部811は、電流センサ243が検出した電流値(検出電流値)と予め記憶されている基準電流値とを比較し、検出電流値が基準電流値を越えている場合に、固定ピン30が外し忘れられていると判別するようになっている。
【0106】
このようにされるのは以下の理由による。すなわち、固定ピン30の外し忘れがあると、スタートボタン104の押下で電源242からの電力が駆動モータ24に供給されても、光源およびミラー枠22,23は、固定ピン30によって枠体21に固定されたままになっているため、光源およびミラー枠22,23が動くことはなく、したがって、駆動モータ24には極めて大きな負荷(過負荷)がかかった状態になるため、これに対抗して駆動モータ24に過大な電流が供給されるからである。そして、本実施形態では、この過大な電流を検出することによって固定ピン30の外し忘れを見出すのである。
【0107】
前記固定ピン外し忘れ判別部811が固定ピン30の外し忘れを判別した後の処理、すなわち、制御信号出力部812からの制御信号によって電力供給切替器241が切り替えられて駆動モータ24への電力供給が遮断されるとともに、固定ピン外し忘れ判別部811からの指令信号に基づいて表示部84が警報メッセージを表示出力することについては、先の実施形態と同様である。
【0108】
図11は、第4実施形態の固定ピン外し忘れ制御のフローを示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて第4実施形態の固定ピン外し忘れ制御のフローについて説明する。電源スイッチ103がスイッチオンされるとこの制御がスタートする。
【0109】
まず、ステップS10で、スタートボタン104が押下されたか否かが判別され、押下されると(S10でYES)、電流センサ243の検出値が基準値未満であるか否かが判別される(S11)。そして、電流センサ243の検出値が基準値未満のとき(S11でYES)には固定ピン30が外されているため制御は終了する。
【0110】
これに対し、ステップS11で電流センサ243の検出値が基準値以上のとき(S11でNOのとき)、すなわち、光源枠22用およびミラー枠23用を固定していた各固定ピン30のいずれかが抜き忘れられていたときは、ステップS12が実行され電力供給切替器241がオフされて電源242からの電力が駆動モータ24へは供給されないようにされる。これと同時に固定ピン外し忘れ判別部811からの指令信号によって表示部84に固定ピン30抜き忘れを警報するための警報メッセージが表示される(S13)。
【0111】
第4実施形態の固定ピン外し忘れ防止構造によれば、先の実施形態のような、固定ピン30の存在を検出するための機械的な構成の部品を使用することがなく、光学系ユニット20そのものに全くの加工を施す必要がなく、電気的な処理のみでしかも固定ピン30の外し忘れを確実に検出することを可能とした上で、部品コストおよび組み付けコストの低減化に大いに貢献することができる。
【0112】
以上詳述したように、本発明の固定ピンの外し忘れ防止構造は、所定の枠体21と、この枠体21内に移動可能に装着され、且つ光学的に原稿画像を読み取るべく構成された光学系部材としての、枠体21内で移動可能な光源およびミラー枠22,23とを備えてなり、且つ画像形成装置10に装着される光学系ユニット20を輸送するに際し、光源およびミラー枠22,23の枠体21に対する一時的固定に使用される固定ピン30が、光学系ユニット20の画像形成装置10への装着作業時に外し忘れられるのを防止すべく用いられる固定ピン30外し忘れ防止構造に関するものである。
【0113】
そして、この固定ピンはずし忘れ防止構造は、輸送後に光学系ユニット20が画像形成装置10に装着された状態で、光源およびミラー枠22,23を枠体21に固定した固定ピン30の外し忘れを検出するための近接スイッチ40を備えて構成されているため、光学系ユニット20は、その製造現場から光学系ユニット20が装着される画像形成装置10の組み立て現場までの輸送過程で光源およびミラー枠22,23が枠体21内で移動することはなく、したがって、光源およびミラー枠22,23が枠体21の壁面に衝突するなどして破損するような不都合の発生を防止した上で、光学系ユニット20の輸送が終わった後にこの光学系ユニット20を画像形成装置10に装着した状態で、光源およびミラー枠22,23を枠体21に固定した固定ピン30を外し忘れていたときには、近接スイッチ40がそのことを検出し、この検出結果に基づいて固定ピン30を取り外すことができる。
【0114】
したがって、画像形成装置10の組み付け完了時に固定ピン30が取り外されていないにも拘らず電源スイッチ103を入れることにより、光源およびミラー枠22,23を移動させるための駆動モータ24が焼損したり、光源およびミラー枠22,23が破損する等の不都合を確実に防止することができる。
【0115】
また、画像形成装置10には、近接スイッチ40の検出信号が固定ピン30の外し忘れを検出したとき、この外し忘れを報知する表示部84が設けられているため、画像形成装置10の組み立てが完了した時点で、表示部84の報知により固定ピン30の外し忘れを認識することができ、即座に固定ピン30を取り外すことができる。
【0116】
また、画像形成装置10には、光源およびミラー枠22,23を枠体21内で移動させる駆動モータ24の駆動を制御する制御装置80が設けられ、この制御装置80は、近接スイッチ40の検出信号に基づく固定ピン外し忘れ判別部811の判別結果(すなわち外し忘れているという判別結果)によって制御信号出力部812が電力供給切替器241に向けて駆動モータ24停止のための制御信号を出力するようにしているため、光学系ユニット20の画像形成装置10への装着作業時に、固定ピン30の取り外しが失念されたままの状態でたとえ駆動モータ24の電源スイッチ103が入れられても、駆動モータ24が駆動することはなく、したがって、駆動モータ24の駆動による駆動モータ24の焼損や、光学系部材の損傷を確実に防止することができる。
【0117】
また、固定ピン外し忘れ防止構造として、駆動モータ24に電力が供給された状態で当該駆動モータ24の負荷(電流値)を検出する電流センサ243を設け、制御装置80は、この電流センサ243の検出結果に基づいて駆動モータ24への電力の供給を遮断するようにすれば(第4実施形態)、光学系ユニット20の輸送が終わった後にこの光学系ユニット20を画像形成装置10に装着した状態で、光源およびミラー枠22,23を枠体21に固定した固定ピン30を外し忘れていたときには、所定の電源スイッチ103のオン操作で駆動モータ24に電力を供給することにより駆動モータ24は駆動しようとするが、固定ピン30の存在で駆動モータ24の負荷は基準値を越えて大きくなるため、この基準値を越えた負荷値は電流センサ243によって検出されるとともに、制御装置80は、この検出結果に基づいて固定ピン30が外されていないと判別し、駆動モータ24への電力の供給を遮断する制御を行い、たとえ電源スイッチ103がオンされ、且つスタートボタン104が押下されても駆動モータ24は駆動せず、固定ピン30が外されていないにも拘らずに駆動モータ24が駆動することで光学系部材に無理な力が加わり、光学系ユニット20が破損するような不都合や、駆動モータ24が焼損するような不都合を確実に防止することができる。
【0118】
また、外し忘れセンサとして電流センサ243を用いることにより、枠体21や光源およびミラー枠22,23に機械的な構造の固定ピン30の外し忘れ検出用の各種部品を設ける必要がなくなり、その分、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献することができる。
【0119】
なお、上記の第1実施形態においては、固定ピン30の存在を検出する近接スイッチ40として静電容量式の近接センサ42を採用したものが用いられているが、本発明は、近接センサ42が静電容量式のものであることに限定されるものではなく、ストライカーを用いた機械式(例えばリミットスイッチ等)や、高周波タイプのもの、電磁タイプのもの、さらには発光素子と受光素子とを備えてなる光センサ等の各種のセンサを採用することができる。
【0120】
また、上記の第2実施形態(図8)においては、近接スイッチ40は、光源枠22がホームポジションに位置した状態で被検出金具50と対向するように設置位置が設定されているが、こうする代わりに近接スイッチ40を、光源枠22がホームポジションに位置した状態で被検出金具50と対向する位置に設けてもよい。こうすることによって近接スイッチ40を、第3実施形態と同様にホームポジション用近接スイッチとして兼用することが可能になるため、その分部品点数の削減に貢献することができる。
【0121】
本明細書においては、本発明を固定手段外し忘れ防止装置としてとれえているが、本発明を、「光学系ユニットおよび画像形成装置」としてとらえることも可能である。このようにとらえると、本発明は、以下のようになる。
【0122】
第1の発明:所定の枠体に対して往復動可能に設けられ、画像を光学的に読み取る走査光学系部を備える光学系ユニットであって、前記走査光学系部を往復動の一方端で前記枠体に解除可能に固定する固定手段と、固定手段の存在を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする光学系ユニット。
【0123】
第2の発明:前記枠体の前記光学系部を固定する部位に近接センサを備え、前記固定手段は、前記近接センサで検知可能な位置で前記光学系部を固定するものであることを特徴とする第1の発明。
【0124】
第3の発明:前記枠体は前記往復動の基端側に相当する位置に基準位置センサを備え、前記固定手段は、前記光学系部を固定した状態で位置変移する可動部を備え、前記可動部は前記固定した状態で前記近接センサで検知可能な位置に変移するものであることを特徴とする第1の発明。
【0125】
第4の発明:第1〜第3のいずれかの発明の光学系ユニットと、この光学系ユニットが組み付けられ、読み取った原稿画像を記録紙に転写する画像形成装置本体とからなり、前記画像形成装置本体は、前記検出手段が固定手段の存在を検出しているとき、前記検出手段からの信号を受けて固定解除忘れを報知する報知手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0126】
第5の発明:所定の枠体に対して往復動可能に設けられ、画像を光学的に読み取る走査光学系部を備えると共に、前記走査光学系部を往復動の一方端で前記枠体に解除可能に固定する固定手段と備えた光学系ユニットと、この光学系ユニットが組み付けられ、光学系部を駆動源によって往復動させて読み取った原稿画像を記録紙に転写する画像形成装置本体とからなり、前記画像形成装置本体は、前記駆動源への駆動負荷を検出する負荷検出手段と、負荷検出手段が所定レベル以上の負荷を検出した時は、駆動動作を停止する駆動停止手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0127】
第6の発明:前記負荷検出手段が所定レベル以上の負荷を検出した時に固定解除忘れを報知する報知手段を備えたことを特徴とする第5の発明。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、光学系部材を枠体に固定した固定手段の外し忘れを検出するための外し忘れセンサを備えているため、光学系ユニットの出荷のための輸送後のセットアップ時に、光学系部材を枠体に固定した固定手段を外し忘れていたときには、外し忘れセンサがそのことを検出し、この検出に基づいて固定手段を取り外すことができる。
【0129】
したがって、光学系ユニットのセットアップ時に固定手段が取り外されていないにも拘らず電源スイッチを入れることにより、光学系部材を移動させるための駆動モータが焼損したり、光学系部材が破損する等の不都合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外し忘れ防止構造が適用された画像形成装置の一実施形態を示す側面断面視の説明図である。
【図2】本発明に係る固定手段外し忘れ防止構造が適用される光学系ユニット20の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】前記光源枠およびミラー枠を説明するための図2のA−A線断面図である。
【図4】光源およびミラー枠がホームポジション(ミラー枠の移動光源が原稿画面の走査を開始する位置)よりさらに前方の梱包ポジション(横枠に近接したポジション)に位置した状態を示す図3相当図である。
【図5】固定ピン外し忘れ防止構造の第1実施形態を示す一部切欠き部分拡大斜視図であり、(イ)は、近接スイッチが横枠に装着される直前の状態、(ロ)は、近接スイッチが横枠に装着された状態をそれぞれ示している。
【図6】第1実施形態の固定ピンの外し忘れ防止構造に係る外し忘れ防止制御を説明するためのブロック図である。
【図7】第1実施形態の固定ピン外し忘れ制御のフローを示すフローチャートである。
【図8】固定ピン外し忘れ防止構造の第2実施形態を示す一部切欠き部分拡大斜視図であり、(イ)は、被検出板52が近接スイッチ40によって検出され得る状態(光源枠22が固定ピン30によって光学系ユニット20の枠体21に固定される直前の状態)、(ロ)は、被検出板52が近接スイッチ40によって検出されない状態(光源枠22が固定ピン30によって光学系ユニット20の枠体21に固定された状態)をそれぞれ示している。
【図9】固定ピン外し忘れ防止構造の第3実施形態を示す一部切欠き部分拡大斜視図であり、(イ)は、光源枠が梱包位置に位置設定された状態(光源枠が固定ピンによって光学系ユニットの枠体に固定される直前の状態)、(ロ)は、光源枠が固定ピンによって枠体に固定された状態(光源枠が固定ピンによって光学系ユニットの枠体に固定された状態)をそれぞれ示している。
【図10】固定ピン外し忘れ構造の第4実施形態を説明するためのブロック図である。
【図11】第4実施形態の固定ピン外し忘れ制御のフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像形成装置 101 装置本体
102 搬送路 103 電源スイッチ
104 スタートボタン 11 原稿自動送り部
111 カバー蓋体 112 原稿トレー
113 原稿給紙機構 115 コンタクトガラス
12 画像読取部 121 移動光源
122 ミラー 123 レンズ部材
124 CCD 13 作像部
131 感光体ドラム 132 転写ベルト
133 レーザー光発信器 134 現像部
141 定着ローラ 142 加圧ローラ
143 搬出ローラ対 151 用紙カセット
152 ピックアップローラ 153 給紙ローラ
20 光学系ユニット 21 枠体
211 横枠 212 前後枠
213 角孔 214 貫通孔
22 光源枠(光学系部材) 221 側板
222 前部架設板 2221 切欠き部
223 後部架設板 224 平行板
225 ねじ孔 226 棚板
2261 ストッパ片 2262 軸受け片
2263 ストッパ片 2264 ホームポジション用検出片
227 下方延設部 23 ミラー枠(光学系部材)
231 側板 232 水平架設板
233 平行板 234 ねじ孔
24 駆動モータ 241 電力供給切替器
242 電源 243 電流センサ(負荷センサ)
25 巻取りドラム 26 張設ワイヤ
30 固定ピン(固定手段) 31 ピン本体
32 頭部 33 雄ねじ部
40近接スイッチ(外し忘れセンサ)
40′ ホームポジション用近接スイッチ(外し忘れセンサ)
41 筐体 411 底板
412 側板 42 近接センサ
43 ピン挿通空間 44 嵌込み溝
45 フック 46 検出空間
50 被検出金具 501 立設軸
51 被押圧板 511 係止小片
52 被検出板 53 ブラケット片
54 引張りコイルばね 60 回動操作部材
61 L字操作板 611 短尺操作板
612 長尺操作板 62 支軸
63 第1コイルスプリング 70 被回動部材
71 架設軸 72 被操作板
73 被検出部材 731 径方向突設板
732 被検出板 74 第2コイルスプリング
80 制御装置 81 CPU
811 固定ピン外し忘れ判別部
812 制御信号出力部 83 RAM
84 表示部

Claims (6)

  1. 所定の枠体と、この枠体内に駆動手段の駆動によって移動可能に装着され、且つ光学的に原稿画像を読み取るべく構成された光学系部材とを備えてなる光学系ユニットを輸送するに際し、前記光学系部材の前記枠体に対する一時的固定に使用される固定手段が、光学系ユニットの使用時に外し忘れられるのを防止すべく用いられる固定手段外し忘れ防止構造であって、
    前記輸送後に光学系部材を枠体に固定した前記固定手段の外し忘れを検出するための外し忘れセンサを備えて構成されていることを特徴とする固定手段外し忘れ防止構造。
  2. 前記外し忘れセンサの検出信号が固定手段の外し忘れを検出したとき、この外し忘れを報知する報知手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の固定手段外し忘れ防止構造。
  3. 前記駆動手段の駆動を制御する制御手段が設けられ、この制御手段は、前記外し忘れセンサの検出信号に基づいて前記駆動手段へ駆動停止の制御信号を出力するものであることを特徴とする請求項1または2記載の固定手段外し忘れ防止構造。
  4. 前記外し忘れセンサは、前記光学系部材のホームポジションを検出するために設けられたホームポジションセンサが兼用されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固定手段外し忘れ防止構造。
  5. 所定の枠体と、この枠体内に駆動手段の駆動によって移動可能に装着され、且つ光学的に原稿画像を読み取るべく構成された光学系部材とを備えてなる光学系ユニットを輸送するに際し、前記光学系部材の前記枠体に対する一時的固定に使用される固定手段が、光学系ユニットの使用時に外し忘れられるのを防止すべく用いられる固定手段外し忘れ防止構造であって、
    前記光学系ユニットが装着され前記駆動手段に電力が供給された状態で当該駆動手段の負荷を検出する負荷センサと、この負荷センサの検出結果に基づいて駆動手段への電力の供給を遮断するように制御する制御手段とが備えられ、
    前記制御手段は、負荷センサによる検出値が、予め設定された基準値を越えているときに固定手段の外し忘れがあったと判別して駆動手段への電力供給を遮断するものであることを特徴とする固定手段外し忘れ防止構造。
  6. 前記負荷センサの検出値が基準値を越えているとき報知する報知手段が設けられていることを特徴とする請求項5記載の固定手段外し忘れ防止構造。
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