JP2005026160A - 密閉型蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部発生ガスによる缶胴部の膨れ発生前にガスを排出させる安全弁機構を備え、特にその電池の製造過程において構成部品の脱落を効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能な密閉型蓄電池を提供する。
【解決手段】蓄電池外装缶2に配置された排気口4を気密に封口する蓋体6aを備えた密閉型蓄電池1aであって、上記蓋体6aは上記排気口4を覆うように気密に固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より突出してその内部に弾性弁体5aが装着される空間10を形成する膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成した排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5aが排気口4に押圧されて排気口4が封口されると共に、上記空間10内部に装着される弾性弁体5aが、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有することを特徴とする密閉型蓄電池1aである。
【選択図】 図1
【解決手段】蓄電池外装缶2に配置された排気口4を気密に封口する蓋体6aを備えた密閉型蓄電池1aであって、上記蓋体6aは上記排気口4を覆うように気密に固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より突出してその内部に弾性弁体5aが装着される空間10を形成する膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成した排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5aが排気口4に押圧されて排気口4が封口されると共に、上記空間10内部に装着される弾性弁体5aが、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有することを特徴とする密閉型蓄電池1aである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は密閉型蓄電池に係り、特に内部発生ガスによる電池缶胴部の膨れ発生前にガスを排出させる安全弁機構を備え、その電池の製造過程において構成部品の脱落を効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能な密閉型蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、リチウムイオン蓄電池などの密閉型蓄電池1は、図4(a)、(b)に示すように、有底角筒状または有底円筒状に成形した金属製外装缶2内に、セパレータを介して正極と負極を積層した発電要素を収納した後、電解液を注液し、外装缶2の開口に封口板3を溶接する事により作成される。封口板3には電池内部に発生したガスを排気するためのガス排気口4が設けられており、このガス排気口4に弾性弁体(安全弁装置)5を備えた金属製の蓋体6を配置し、この金属製の蓋体6の周囲を封口板3に溶接して電池を密閉化している。
【0003】
また、上記蓋体6は上記ガス排気口4を覆うように気密に固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より突出してその内部に弾性弁体5が装着される空間10を形成する膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成した排気用開口部9とから成り、この弾性弁体5がガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成されている。
【0004】
上記構成の密閉型蓄電池1において、弾性弁体5を装着した金属製の蓋体6を封口板3に押圧固定すると、弾性弁体5は厚さ方向に圧縮状態で蓋体6内に配設されているため、蓋体6を固定した後には電池内は密閉状態に保持される。一方、電池に対して過充電や逆充電などの異常な使用を行った場合において、電池内部にガスが発生して内圧が所定値よりも高くなると、弾性弁体5は圧縮変形して電池内に発生したガスを、ガス排気口4および排気用開口部9を経由して電池外に速やかに放出させて電池の膨れや破裂を防止する。さらに、電池内の内圧が所定値よりも低下すると弾性弁体5は圧縮力から開放されるため、自動復帰して再びガス排気口4を封口するため、電池内は元の密閉状態に保持される。
【0005】
しかしながら、上述した従来の弾性弁体5は、図4(b)に示すように、平断面の長辺方向の寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも小さく、しかも短辺方向の寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも小さく設定されているため、金属製の蓋体6が封口板3のガス排気口4に装着固定されるまでは金属製の蓋体6内に、遊嵌状態で単に挿入されているだけであるため、弾性弁体5が蓋体6から外れ易い欠点がある。そのため、電池の製造過程において、例えば図4(c)に示すように予め弾性弁体5と蓋体6とを組み合わせた状態で搬送したり、電池への組み込み操作を実施すると、周囲から作用する振動や衝撃により、弾性弁体5が金属製の蓋体6から脱落して不良品が増大化し電池の製造歩留りが低下してしまうという問題点が生じていた。
【0006】
上記弾性弁体の金属製蓋体6からの脱落を防止する構造として、例えば、膨出部の側壁の下端部に同側壁より内方に向けて突出する突起部を形成し、この突起部により弾性弁体を保持することにより、弾性弁体が蓋体から脱落しないように構成する保持構造も提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−285883号公報 (第1〜3頁、図1(d))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記膨出部の側壁の下端部から内方に向けて突出する突起部を形成し、この突起部により弾性弁体を保持し脱落を防止する構造においては、弾性弁体を保持できるような形状に突起部を加工形成することが困難であり、高度の技量を要すると共に加工工程が複雑になる難点があった。
【0009】
さらに、上記弾性弁体の金属製蓋体からの脱落を防止する手段として、接着剤を用いて弾性弁体を金属製の蓋体内に接着し、電池の製造工程における蓋体の搬送時や組立て時に作用する振動や衝撃等による弾性弁体の脱落を防止する方法も広く採用されている。
【0010】
しかしながら、上記接着構造の電池の製造工程においては、上記接着剤の塗布量を均一にすることが困難であり、期待した程度の顕著な効果は得られなかった。また、接着剤の塗布量を一定にするための設備管理も簡単ではなく、製造工程が複雑化するという問題点も生じていた。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、内部発生ガスによる缶胴部の膨れ発生前にガスを排出させる安全弁機構を備え、特にその電池の製造過程において構成部品の脱落を効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能な密閉型蓄電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る密閉型蓄電池は、蓄電池外装缶に配置された排気口を気密に封口する蓋体を備えた密閉型蓄電池であって、上記蓋体は上記排気口を覆うように気密に固着されるフランジ部と、このフランジ部より突出してその内部に弾性弁体が装着される空間を形成する膨出部と、上記膨出部の側壁に形成した排気用開口部とから成り、上記弾性弁体が排気口に押圧されて排気口が封口されると共に、上記空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において上記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有することを特徴とする。
【0013】
上記弾性弁体において膨出部の内のり寸法より大きい部分の大きさは、弾性弁体の弾力性によっても異なるが、膨出部の内のり寸法より2〜8%程度大きく設定することが好ましい。
【0014】
上記構成に係る密閉型蓄電池によれば、膨出部の空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において前記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有するため、装着後において弾性弁体は圧縮状態で膨出部内部に装着されることになり、弾性弁体は蓋体より脱落しないように保持される。
【0015】
すなわち、弾性弁体の少なくとも一部を膨出部の内のり寸法より大きく形成することにより、弾性弁体を予め組み入れた蓋体の搬送組立て時等において蓋体に振動や衝撃が作用した場合においても、弾性弁体が金属製の蓋体より脱落することが効果的に防止できるため、電池の製造歩留りを向上させることが可能になる。また、弾性弁体を保持するための接着剤が不要になるため、製造設備管理が簡略化され蓋体の取付け加工操作が容易になる。
【0016】
また、上記密閉型蓄電池において、前記弾性弁体および膨出部の平面形状を矩形とすると共に、装着前の状態において上記弾性弁体の長辺寸法が膨出部の長辺方向の内のり寸法よりも大きいことが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、装着前の状態において弾性弁体の長辺寸法が膨出部の長辺方向の内のり寸法よりも大きいため、この弾性弁体を膨出部の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体の短辺方向の面が膨出部の内面に密着して弾性弁体が蓋体より脱落しないように保持される。
【0018】
さらに、前記弾性弁体および膨出部の平面形状を矩形とすると共に、装着前の状態において上記弾性弁体の短辺寸法が膨出部の短辺方向の内のり寸法よりも大きく成るように構成することも可能である。
【0019】
この場合、装着前の状態において弾性弁体の短辺寸法が膨出部の短辺方向の内のり寸法よりも大きいため、この弾性弁体を膨出部の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体の長辺方向の面が膨出部の内面に密着して弾性弁体が蓋体より脱落しないように保持される。
【0020】
また、上記密閉型蓄電池において、前記排気口に押圧されて排気口を封口する弾性弁体の押圧部の外方に、前記排気用開口部と連通する切欠部を形成することが好ましい。
【0021】
上記排気用開口部と連通する切欠部を弾性弁体の押圧部の外方に形成することにより、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体が作動して電池缶内のガスが蓋体の空間部に放出された場合においても、放出ガスは切欠部を通り、さらに排気用開口部を経由して円滑に電池外に排出される。
【0022】
さらに、上記密閉型蓄電池において、前記排気用開口部は、前記弾性弁体と膨出部とが密着しない膨出部の側壁に形成されていることが好ましい。
【0023】
上記排気用開口部を、前記弾性弁体と膨出部とが密着しない膨出部の側壁に形成することにより、排気用開口部が膨出部によって閉塞される恐れがなく、且つ弾性弁体と膨出部との間にガスの放出路が形成されるので、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体が作動して電池缶内のガスが蓋体の空間部に放出された場合においても、放出ガスは上記放出路を通り、さらに排気用開口部を経由して円滑に電池外に排出される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について以下の実施例および図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
(実施例1)
ニッケルめっきを施した厚さ0.3mmの鋼板を打ち抜き金型を使用して打ち抜くことにより図1(a)、(b)に示すような本実施例1に係る密閉型蓄電池1aの蓋体6aを調製した。この蓋体6aは、電池の封口板3に抵抗溶接によって固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より上方に突出してその内部に弾性弁体5aが装着される空間10を備えた膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成された排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5aの下端部が封口板3に穿設されたガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成される。
【0026】
また、上記膨出部8の空間10内部に装着される弾性弁体5aは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されており、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有するように形成されている。具体的には、上記弾性弁体5aおよび膨出部8の平面形状を矩形とすると共に、図1(b)に示すように装着前の状態において上記弾性弁体5aの短辺寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも5%だけ大きく設定されている。
【0027】
上記実施例1に係る密閉型蓄電池1aの蓋体6aによれば、装着前の状態において弾性弁体5aの短辺寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも大きいため、この弾性弁体5aを膨出部8の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体5aの長辺方向の面が膨出部8の内面に密着して弾性弁体5aが蓋体6aにより脱落しないように保持される。
【0028】
また、図1(a)、(b)に示すように、上記排気用開口部9を、前記弾性弁体5aと膨出部8とが密着しない膨出部8の側壁に形成することにより、排気用開口部9が膨出部8によって閉塞される恐れがなく、且つ弾性弁体5aと膨出部8との間にガスの放出路が形成されるので、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体が作動して電池缶内のガスが蓋体6aの空間部10に放出された場合においても、放出ガスは上記放出路を通り、さらに排気用開口部9を経由して円滑に電池外に排出される効果が得られる。
【0029】
(実施例2)
ニッケルめっきを施した厚さ0.3mmの鋼板を打ち抜き金型を使用して打ち抜くことにより図2(a)、(b)に示すような実施例2に係る密閉型蓄電池1bの蓋体6bを調製した。この蓋体6bは、電池の封口板3に抵抗溶接によって固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より上方に突出してその内部に弾性弁体5bが装着される空間10を備えた膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成された排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5bの下端部が封口板3に穿設されたガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成される。
【0030】
また、上記膨出部8の空間10内部に装着される弾性弁体5bは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されており、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有するように形成されている。具体的には、上記弾性弁体5bおよび膨出部8の平面形状を矩形とすると共に、図2(b)に示すように装着前の状態において上記弾性弁体5bの長辺寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも5%だけ大きく設定されている。
【0031】
上記実施例2に係る密閉型蓄電池1bの蓋体6bによれば、装着前の状態において弾性弁体5bの長辺寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも大きいため、この弾性弁体5bを膨出部8の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体5bの短辺方向の面が膨出部8の内面に密着して弾性弁体5bが蓋体6bにより脱落しないように保持される。
【0032】
(比較例)
一方、比較例として図4(a)、(b)に示すような従来の密閉型蓄電池1の蓋体6を調製した。この比較例で用いた蓋体6は、装着する弾性弁体5の膨出部の内のり寸法に対する寸法を下記のように設定した以外は上記実施例1および2と同一条件で調製したものである。すなわち、ニッケルめっきを施した厚さ0.3mmの鋼板を打ち抜き金型を使用して打ち抜くことにより図4(a)、(b)に示すような比較例に係る密閉型蓄電池1の蓋体6を調製しており、この蓋体6は、電池の封口板3に抵抗溶接によって固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より上方に突出してその内部に弾性弁体5が装着される空間10を備えた膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成された排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5の下端部が封口板3に穿設されたガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成される。
【0033】
また、上記膨出部8の空間10内部に装着される弾性弁体5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されており、装着前の状態において、この従来の弾性弁体5は、図4(b)に示すように、平断面の長辺方向の寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも10%小さく、しかも短辺方向の寸法bも膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも10%小さく設定されている。
【0034】
こうして、上記実施例1〜2および比較例に係る密閉型蓄電池1、1a、1bの蓋体6、6a、6bを10000個ずつ用意し、実際に密閉型蓄電池1、1a、1bを調製する工程に供し、これらの蓋体を搬送・組立てする途中で弾性弁体5、5a、5bが蓋体から脱落した電池個数を測定する脱落試験を実施し、下記の表1に示す結果を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1に示す結果から明らかなように、膨出部8の空間内部に装着される弾性弁体5a、5bが、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有する各実施例1〜2に係る密閉型蓄電池用の蓋体6a、6bにおいては、装着後において弾性弁体5a、5bは圧縮状態で膨出部8内部に装着されることになり、弾性弁体5a、5bは蓋体6a、6bより脱落しないように保持されるため、弾性弁体5a、5bを予め組み入れた蓋体の搬送・組立て時等において蓋体6a、6bに振動や衝撃が作用した場合においても、弾性弁体5a、5bが金属製の蓋体6a、6bより脱落することが効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能であることが確認できた。また、弾性弁体5a、5bを保持するための接着剤が不要になるため、製造設備管理が簡略化され蓋体の取付け加工操作が容易になることも判明した。
【0037】
一方、比較例においては、弾性弁体5は、図4(b)に示すように、平断面の長辺方向の寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも小さく、しかも短辺方向の寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも小さく設定されているため、金属製の蓋体6が封口板3のガス排気口4に装着固定されるまでは金属製の蓋体6内に、遊嵌状態で単に挿入されているだけであるため、弾性弁体5が蓋体6から外れ易いことが再確認できた。そのため、電池の製造過程において、例えば図4(b)に示すように予め弾性弁体5と蓋体6とを組み合わせた状態で搬送したり、電池への組み込み操作を実施したりすると、周囲から作用する振動や衝撃により、弾性弁体5が金属製の蓋体6から脱落して不良品が増大化し電池の製造歩留りが低下することが判明した。
【0038】
(実施例3)
実施例3として図3(a)、(b)に示すような蓋体6cを備えた密閉型蓄電池1cを調製した。この実施例3で用いた蓋体6cは、ガス排気口4に押圧されてガス排気口4を封口する弾性弁体5cの押圧部の外方に、排気用開口部9と連通する切欠部11を形成した点以外は、上記実施例2と同一条件で調製したものである。
【0039】
上記実施例3のように、排気用開口部9と連通する切欠部11を弾性弁体5cの押圧部の外方に形成することにより、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体5cが作動して電池缶内のガスが蓋体6cの空間部10に放出された場合においても、放出ガスは切欠部11を通り、さらに排気用開口部9を経由して円滑に電池外に排出されるという効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る密閉型蓄電池によれば、膨出部の空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において前記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有するため、装着後において弾性弁体は圧縮状態で膨出部内部に装着されることになり、弾性弁体は蓋体より脱落しないように保持される。すなわち、弾性弁体の少なくとも一部を膨出部の内のり寸法より大きく形成することにより、弾性弁体を予め組み入れた蓋体の搬送組立て時等において蓋体に振動や衝撃が作用した場合においても、弾性弁体が金属製の蓋体より脱落することが効果的に防止できるため、電池の製造歩留りを向上させることが可能になる。また、弾性弁体を保持するための接着剤が不要になるため、製造設備管理が簡略化され蓋体の取付け加工操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図。
【図2】第2実施例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図。
【図3】第3実施例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図。
【図4】従来の比較例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図、(c)は蓋体に弾性弁体を装着した状態を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 密閉型蓄電池
2 電池外装缶
3 封口板
4 ガス排気口
5、5a、5b、5c 弾性弁体(安全装置)
6、6a、6b、6c 蓋体
7 フランジ部
8 膨出部
9 排気用開口部
10 空間部
11 切欠部
【発明の属する技術分野】
本発明は密閉型蓄電池に係り、特に内部発生ガスによる電池缶胴部の膨れ発生前にガスを排出させる安全弁機構を備え、その電池の製造過程において構成部品の脱落を効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能な密閉型蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、リチウムイオン蓄電池などの密閉型蓄電池1は、図4(a)、(b)に示すように、有底角筒状または有底円筒状に成形した金属製外装缶2内に、セパレータを介して正極と負極を積層した発電要素を収納した後、電解液を注液し、外装缶2の開口に封口板3を溶接する事により作成される。封口板3には電池内部に発生したガスを排気するためのガス排気口4が設けられており、このガス排気口4に弾性弁体(安全弁装置)5を備えた金属製の蓋体6を配置し、この金属製の蓋体6の周囲を封口板3に溶接して電池を密閉化している。
【0003】
また、上記蓋体6は上記ガス排気口4を覆うように気密に固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より突出してその内部に弾性弁体5が装着される空間10を形成する膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成した排気用開口部9とから成り、この弾性弁体5がガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成されている。
【0004】
上記構成の密閉型蓄電池1において、弾性弁体5を装着した金属製の蓋体6を封口板3に押圧固定すると、弾性弁体5は厚さ方向に圧縮状態で蓋体6内に配設されているため、蓋体6を固定した後には電池内は密閉状態に保持される。一方、電池に対して過充電や逆充電などの異常な使用を行った場合において、電池内部にガスが発生して内圧が所定値よりも高くなると、弾性弁体5は圧縮変形して電池内に発生したガスを、ガス排気口4および排気用開口部9を経由して電池外に速やかに放出させて電池の膨れや破裂を防止する。さらに、電池内の内圧が所定値よりも低下すると弾性弁体5は圧縮力から開放されるため、自動復帰して再びガス排気口4を封口するため、電池内は元の密閉状態に保持される。
【0005】
しかしながら、上述した従来の弾性弁体5は、図4(b)に示すように、平断面の長辺方向の寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも小さく、しかも短辺方向の寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも小さく設定されているため、金属製の蓋体6が封口板3のガス排気口4に装着固定されるまでは金属製の蓋体6内に、遊嵌状態で単に挿入されているだけであるため、弾性弁体5が蓋体6から外れ易い欠点がある。そのため、電池の製造過程において、例えば図4(c)に示すように予め弾性弁体5と蓋体6とを組み合わせた状態で搬送したり、電池への組み込み操作を実施すると、周囲から作用する振動や衝撃により、弾性弁体5が金属製の蓋体6から脱落して不良品が増大化し電池の製造歩留りが低下してしまうという問題点が生じていた。
【0006】
上記弾性弁体の金属製蓋体6からの脱落を防止する構造として、例えば、膨出部の側壁の下端部に同側壁より内方に向けて突出する突起部を形成し、この突起部により弾性弁体を保持することにより、弾性弁体が蓋体から脱落しないように構成する保持構造も提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−285883号公報 (第1〜3頁、図1(d))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記膨出部の側壁の下端部から内方に向けて突出する突起部を形成し、この突起部により弾性弁体を保持し脱落を防止する構造においては、弾性弁体を保持できるような形状に突起部を加工形成することが困難であり、高度の技量を要すると共に加工工程が複雑になる難点があった。
【0009】
さらに、上記弾性弁体の金属製蓋体からの脱落を防止する手段として、接着剤を用いて弾性弁体を金属製の蓋体内に接着し、電池の製造工程における蓋体の搬送時や組立て時に作用する振動や衝撃等による弾性弁体の脱落を防止する方法も広く採用されている。
【0010】
しかしながら、上記接着構造の電池の製造工程においては、上記接着剤の塗布量を均一にすることが困難であり、期待した程度の顕著な効果は得られなかった。また、接着剤の塗布量を一定にするための設備管理も簡単ではなく、製造工程が複雑化するという問題点も生じていた。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、内部発生ガスによる缶胴部の膨れ発生前にガスを排出させる安全弁機構を備え、特にその電池の製造過程において構成部品の脱落を効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能な密閉型蓄電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る密閉型蓄電池は、蓄電池外装缶に配置された排気口を気密に封口する蓋体を備えた密閉型蓄電池であって、上記蓋体は上記排気口を覆うように気密に固着されるフランジ部と、このフランジ部より突出してその内部に弾性弁体が装着される空間を形成する膨出部と、上記膨出部の側壁に形成した排気用開口部とから成り、上記弾性弁体が排気口に押圧されて排気口が封口されると共に、上記空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において上記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有することを特徴とする。
【0013】
上記弾性弁体において膨出部の内のり寸法より大きい部分の大きさは、弾性弁体の弾力性によっても異なるが、膨出部の内のり寸法より2〜8%程度大きく設定することが好ましい。
【0014】
上記構成に係る密閉型蓄電池によれば、膨出部の空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において前記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有するため、装着後において弾性弁体は圧縮状態で膨出部内部に装着されることになり、弾性弁体は蓋体より脱落しないように保持される。
【0015】
すなわち、弾性弁体の少なくとも一部を膨出部の内のり寸法より大きく形成することにより、弾性弁体を予め組み入れた蓋体の搬送組立て時等において蓋体に振動や衝撃が作用した場合においても、弾性弁体が金属製の蓋体より脱落することが効果的に防止できるため、電池の製造歩留りを向上させることが可能になる。また、弾性弁体を保持するための接着剤が不要になるため、製造設備管理が簡略化され蓋体の取付け加工操作が容易になる。
【0016】
また、上記密閉型蓄電池において、前記弾性弁体および膨出部の平面形状を矩形とすると共に、装着前の状態において上記弾性弁体の長辺寸法が膨出部の長辺方向の内のり寸法よりも大きいことが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、装着前の状態において弾性弁体の長辺寸法が膨出部の長辺方向の内のり寸法よりも大きいため、この弾性弁体を膨出部の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体の短辺方向の面が膨出部の内面に密着して弾性弁体が蓋体より脱落しないように保持される。
【0018】
さらに、前記弾性弁体および膨出部の平面形状を矩形とすると共に、装着前の状態において上記弾性弁体の短辺寸法が膨出部の短辺方向の内のり寸法よりも大きく成るように構成することも可能である。
【0019】
この場合、装着前の状態において弾性弁体の短辺寸法が膨出部の短辺方向の内のり寸法よりも大きいため、この弾性弁体を膨出部の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体の長辺方向の面が膨出部の内面に密着して弾性弁体が蓋体より脱落しないように保持される。
【0020】
また、上記密閉型蓄電池において、前記排気口に押圧されて排気口を封口する弾性弁体の押圧部の外方に、前記排気用開口部と連通する切欠部を形成することが好ましい。
【0021】
上記排気用開口部と連通する切欠部を弾性弁体の押圧部の外方に形成することにより、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体が作動して電池缶内のガスが蓋体の空間部に放出された場合においても、放出ガスは切欠部を通り、さらに排気用開口部を経由して円滑に電池外に排出される。
【0022】
さらに、上記密閉型蓄電池において、前記排気用開口部は、前記弾性弁体と膨出部とが密着しない膨出部の側壁に形成されていることが好ましい。
【0023】
上記排気用開口部を、前記弾性弁体と膨出部とが密着しない膨出部の側壁に形成することにより、排気用開口部が膨出部によって閉塞される恐れがなく、且つ弾性弁体と膨出部との間にガスの放出路が形成されるので、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体が作動して電池缶内のガスが蓋体の空間部に放出された場合においても、放出ガスは上記放出路を通り、さらに排気用開口部を経由して円滑に電池外に排出される。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について以下の実施例および図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
(実施例1)
ニッケルめっきを施した厚さ0.3mmの鋼板を打ち抜き金型を使用して打ち抜くことにより図1(a)、(b)に示すような本実施例1に係る密閉型蓄電池1aの蓋体6aを調製した。この蓋体6aは、電池の封口板3に抵抗溶接によって固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より上方に突出してその内部に弾性弁体5aが装着される空間10を備えた膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成された排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5aの下端部が封口板3に穿設されたガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成される。
【0026】
また、上記膨出部8の空間10内部に装着される弾性弁体5aは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されており、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有するように形成されている。具体的には、上記弾性弁体5aおよび膨出部8の平面形状を矩形とすると共に、図1(b)に示すように装着前の状態において上記弾性弁体5aの短辺寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも5%だけ大きく設定されている。
【0027】
上記実施例1に係る密閉型蓄電池1aの蓋体6aによれば、装着前の状態において弾性弁体5aの短辺寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも大きいため、この弾性弁体5aを膨出部8の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体5aの長辺方向の面が膨出部8の内面に密着して弾性弁体5aが蓋体6aにより脱落しないように保持される。
【0028】
また、図1(a)、(b)に示すように、上記排気用開口部9を、前記弾性弁体5aと膨出部8とが密着しない膨出部8の側壁に形成することにより、排気用開口部9が膨出部8によって閉塞される恐れがなく、且つ弾性弁体5aと膨出部8との間にガスの放出路が形成されるので、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体が作動して電池缶内のガスが蓋体6aの空間部10に放出された場合においても、放出ガスは上記放出路を通り、さらに排気用開口部9を経由して円滑に電池外に排出される効果が得られる。
【0029】
(実施例2)
ニッケルめっきを施した厚さ0.3mmの鋼板を打ち抜き金型を使用して打ち抜くことにより図2(a)、(b)に示すような実施例2に係る密閉型蓄電池1bの蓋体6bを調製した。この蓋体6bは、電池の封口板3に抵抗溶接によって固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より上方に突出してその内部に弾性弁体5bが装着される空間10を備えた膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成された排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5bの下端部が封口板3に穿設されたガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成される。
【0030】
また、上記膨出部8の空間10内部に装着される弾性弁体5bは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されており、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有するように形成されている。具体的には、上記弾性弁体5bおよび膨出部8の平面形状を矩形とすると共に、図2(b)に示すように装着前の状態において上記弾性弁体5bの長辺寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも5%だけ大きく設定されている。
【0031】
上記実施例2に係る密閉型蓄電池1bの蓋体6bによれば、装着前の状態において弾性弁体5bの長辺寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも大きいため、この弾性弁体5bを膨出部8の空間に圧縮して装着した場合には、弾性弁体5bの短辺方向の面が膨出部8の内面に密着して弾性弁体5bが蓋体6bにより脱落しないように保持される。
【0032】
(比較例)
一方、比較例として図4(a)、(b)に示すような従来の密閉型蓄電池1の蓋体6を調製した。この比較例で用いた蓋体6は、装着する弾性弁体5の膨出部の内のり寸法に対する寸法を下記のように設定した以外は上記実施例1および2と同一条件で調製したものである。すなわち、ニッケルめっきを施した厚さ0.3mmの鋼板を打ち抜き金型を使用して打ち抜くことにより図4(a)、(b)に示すような比較例に係る密閉型蓄電池1の蓋体6を調製しており、この蓋体6は、電池の封口板3に抵抗溶接によって固着されるフランジ部7と、このフランジ部7より上方に突出してその内部に弾性弁体5が装着される空間10を備えた膨出部8と、この膨出部8の側壁に形成された排気用開口部9とから成り、上記弾性弁体5の下端部が封口板3に穿設されたガス排気口4に押圧されてガス排気口4が封口されるように構成される。
【0033】
また、上記膨出部8の空間10内部に装着される弾性弁体5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)で形成されており、装着前の状態において、この従来の弾性弁体5は、図4(b)に示すように、平断面の長辺方向の寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも10%小さく、しかも短辺方向の寸法bも膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも10%小さく設定されている。
【0034】
こうして、上記実施例1〜2および比較例に係る密閉型蓄電池1、1a、1bの蓋体6、6a、6bを10000個ずつ用意し、実際に密閉型蓄電池1、1a、1bを調製する工程に供し、これらの蓋体を搬送・組立てする途中で弾性弁体5、5a、5bが蓋体から脱落した電池個数を測定する脱落試験を実施し、下記の表1に示す結果を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1に示す結果から明らかなように、膨出部8の空間内部に装着される弾性弁体5a、5bが、装着前の状態において上記膨出部8の内のり寸法より大きい部分を有する各実施例1〜2に係る密閉型蓄電池用の蓋体6a、6bにおいては、装着後において弾性弁体5a、5bは圧縮状態で膨出部8内部に装着されることになり、弾性弁体5a、5bは蓋体6a、6bより脱落しないように保持されるため、弾性弁体5a、5bを予め組み入れた蓋体の搬送・組立て時等において蓋体6a、6bに振動や衝撃が作用した場合においても、弾性弁体5a、5bが金属製の蓋体6a、6bより脱落することが効果的に防止でき、電池の製造歩留りを向上させることが可能であることが確認できた。また、弾性弁体5a、5bを保持するための接着剤が不要になるため、製造設備管理が簡略化され蓋体の取付け加工操作が容易になることも判明した。
【0037】
一方、比較例においては、弾性弁体5は、図4(b)に示すように、平断面の長辺方向の寸法aが膨出部8の長辺方向の内のり寸法Aよりも小さく、しかも短辺方向の寸法bが膨出部8の短辺方向の内のり寸法Bよりも小さく設定されているため、金属製の蓋体6が封口板3のガス排気口4に装着固定されるまでは金属製の蓋体6内に、遊嵌状態で単に挿入されているだけであるため、弾性弁体5が蓋体6から外れ易いことが再確認できた。そのため、電池の製造過程において、例えば図4(b)に示すように予め弾性弁体5と蓋体6とを組み合わせた状態で搬送したり、電池への組み込み操作を実施したりすると、周囲から作用する振動や衝撃により、弾性弁体5が金属製の蓋体6から脱落して不良品が増大化し電池の製造歩留りが低下することが判明した。
【0038】
(実施例3)
実施例3として図3(a)、(b)に示すような蓋体6cを備えた密閉型蓄電池1cを調製した。この実施例3で用いた蓋体6cは、ガス排気口4に押圧されてガス排気口4を封口する弾性弁体5cの押圧部の外方に、排気用開口部9と連通する切欠部11を形成した点以外は、上記実施例2と同一条件で調製したものである。
【0039】
上記実施例3のように、排気用開口部9と連通する切欠部11を弾性弁体5cの押圧部の外方に形成することにより、異常操作によって電池内圧が上昇し安全装置である弾性弁体5cが作動して電池缶内のガスが蓋体6cの空間部10に放出された場合においても、放出ガスは切欠部11を通り、さらに排気用開口部9を経由して円滑に電池外に排出されるという効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明の通り、本発明に係る密閉型蓄電池によれば、膨出部の空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において前記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有するため、装着後において弾性弁体は圧縮状態で膨出部内部に装着されることになり、弾性弁体は蓋体より脱落しないように保持される。すなわち、弾性弁体の少なくとも一部を膨出部の内のり寸法より大きく形成することにより、弾性弁体を予め組み入れた蓋体の搬送組立て時等において蓋体に振動や衝撃が作用した場合においても、弾性弁体が金属製の蓋体より脱落することが効果的に防止できるため、電池の製造歩留りを向上させることが可能になる。また、弾性弁体を保持するための接着剤が不要になるため、製造設備管理が簡略化され蓋体の取付け加工操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図。
【図2】第2実施例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図。
【図3】第3実施例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図。
【図4】従来の比較例に係る密閉型蓄電池の蓋体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は一部破断した平面図、(c)は蓋体に弾性弁体を装着した状態を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 密閉型蓄電池
2 電池外装缶
3 封口板
4 ガス排気口
5、5a、5b、5c 弾性弁体(安全装置)
6、6a、6b、6c 蓋体
7 フランジ部
8 膨出部
9 排気用開口部
10 空間部
11 切欠部
Claims (5)
- 蓄電池外装缶に配置された排気口を気密に封口する蓋体を備えた密閉型蓄電池であって、上記蓋体は上記排気口を覆うように気密に固着されるフランジ部と、このフランジ部より突出してその内部に弾性弁体が装着される空間を形成する膨出部と、この膨出部の側壁に形成した排気用開口部とから成り、上記弾性弁体が排気口に押圧されて排気口が封口されると共に、上記空間内部に装着される弾性弁体が、装着前の状態において上記膨出部の内のり寸法より大きい部分を有することを特徴とする密閉型蓄電池。
- 前記弾性弁体および膨出部の平面形状を矩形とすると共に、装着前の状態において上記弾性弁体の長辺寸法が膨出部の長辺方向の内のり寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の密閉型蓄電池。
- 前記弾性弁体および膨出部の平面形状を矩形とすると共に、装着前の状態において上記弾性弁体の短辺寸法が膨出部の短辺方向の内のり寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の密閉型蓄電池。
- 前記排気口に押圧されて排気口を封口する弾性弁体の押圧部の外方に、前記排気用開口部と連通する切欠部を形成したことを特徴とする請求項1記載の密閉型蓄電池。
- 前記排気用開口部は、前記弾性弁体と膨出部とが密着しない膨出部の側壁に形成されていることを特徴とする請求項1記載の密閉型蓄電池。
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