JP2005025503A - フィルタの設計方法、フィルタ、欠陥検査方法および欠陥検査装置 - Google Patents

フィルタの設計方法、フィルタ、欠陥検査方法および欠陥検査装置 Download PDF

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多聞 井殿
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泰広 上田
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Abstract

【課題】欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することが可能なフィルタの設計方法、フィルタ、欠陥検査方法および欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】モアレ縞無しのムラ欠陥画像である第1の画像21と欠陥無しのモアレ縞画像である第2の画像22とを取得し、これらの分散値P1,P2を取得する。次にパラメータaを仮設定したフィルタ1を用いて、第1および第2の画像21,22から第3および第4の画像23,24を生成し、これらの分散値P3(a),P4(a)を取得する。次に第1および第3の画像の分散値の比Q1(a)と、第2および第4の画像の分散値の比Q2(a)とに基づく評価値I(a)を求める。さらにパラメータaを変更して、前記第4〜第6工程を行う。最終的に全ての評価値I(a)に基づいて、処理パラメータaを決定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象物を撮像した入力画像を画像処理して、入力画像のモアレ縞を除去するフィルタの設計方法、フィルタ、欠陥検査方法および欠陥検査装置に関する。
【0002】
本発明において、モアレ縞の発生を抑制する状態は、モアレ縞が皆無の状態を含む。
【0003】
【従来の技術】
半導体基板および液晶基板などの基板を検査する方法には、検査員が検査対象物である基板を直接、目視する方法がある。ところが、この目視検査方法は、熟練の検査員であっても良品判定を同一の基準で行うことが非常に困難である。そこで、基板を撮像し、撮像した入力画像を画像処理して、基板の欠陥部の有無を判定する自動検査が行われている。
【0004】
基板を撮像する場合、基板の周期性パターンの形成ピッチと、電荷結合素子(Charge Coupled Device、略称CCD)カメラのたとえば周波数とによって、入力画像に干渉によるモアレ縞が発生してしまうことがある。このようなモアレ縞の発生によって、所望の欠陥認識領域の画像情報が失われるだけでなく、基板の欠陥部の有無を判定することができなくなる。
【0005】
そこで検査対象物に対して、レンズをデフォーカスにしたうえで、前記検査対象物を撮像する技術(特許文献1)が実用に供されている。またCCDカメラと検査対象物との相対位置を変位させつつ、複数の検査対象画像を撮像する。これとともに各検査対象画像における同一座標の画素のうち最大の濃度値を、同画素の濃度値に設定して1枚の最大値画像を定める。この最大値画像に基づいて検査対象画像を検査する技術(特許文献1)も提案されている。
【0006】
一方、入力画像に単に平滑化フィルタなどの画像処理を行い、入力画像からモアレ縞を除去する技術(特許文献2)も提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−148210号公報
【特許文献2】
特開2001−111836号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のレンズをデフォーカスにして検査対象物を撮像する技術では、予め定める画像領域よりも小さい欠陥部および濃淡差の比較的小さい欠陥部が検査できなくなる場合がある。
【0009】
特許文献1の前記最大値画像に基づいて検査対象画像を検査する技術では、CCDカメラと検査対象物との相対位置を変位させなければならない。それ故、検査対象物の寸法が大きくなればなる程、前記相対位置を変位させる装置が大形化する。これによって検査装置の製作コストが増大する。しかも検査対象物の寸法が大きくなればなる程、検査対象物を撮像する回数が増加する。これによってタクトタイムが増加する。
【0010】
特許文献2の技術では、入力画像からモアレ縞が除去されるとともに、欠陥部の特徴量、すなわち欠陥部の画像領域自体も減少してしまう。
【0011】
したがって本発明の目的は、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することが可能なフィルタの設計方法、フィルタ、欠陥検査方法および欠陥検査装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、検査対象物を撮像した入力画像を、設定される処理パラメータを用いて画像処理し、入力画像から欠陥部の画像領域を抽出するフィルタの設計方法であって、
欠陥部を含む検査対象物モデルの画像である第1の画像を取得する第1工程と、
モアレ縞を含む第2の画像を取得する第2工程と、
第1および第2の画像における特徴量であり、欠陥部の有無に依存する特徴量をそれぞれ取得する第3工程と、
前記フィルタにおける処理パラメータとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータを選択して処理パラメータの候補として仮設定し、このフィルタを用いて、第1の画像を画像処理して第3の画像を生成するとともに、第2の画像を画像処理して第4の画像を生成する第4工程と、
第3および第4の画像における前記特徴量をそれぞれ取得する第5工程と、
第1および第3の画像の特徴量の比と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求める第6工程と、
処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6工程を行う第7工程と、
全ての評価値に基づいて、前記パラメータ群から処理パラメータを決定する第8工程とを有することを特徴とするフィルタの設計方法である。
【0013】
本発明に従えば、第1工程においては、欠陥部を含む検査対象物モデルの画像である第1の画像を取得し、第2工程においては、モアレ縞を含む第2の画像を取得する。第3工程においては、第1および第2の画像における特徴量であり、欠陥部の有無に依存する特徴量をそれぞれ取得する。第4工程においては、前記フィルタにおける処理パラメータとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータを選択して処理パラメータの候補として仮設定し、このフィルタを用いて、第1の画像を画像処理して第3の画像を生成するとともに、第2の画像を画像処理して第4の画像を生成する。第5工程においては、第3および第4の画像における前記特徴量をそれぞれ取得する。第6工程においては、第1および第3の画像の特徴量の比と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求める。第7工程においては、処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6工程を行う。第8工程においては、全ての評価値に基づいて、前記パラメータ群から処理パラメータを決定する。このような第1〜第8工程を実行することによって、入力画像から欠陥画像を抽出するためのフィルタを設計することが可能となる。
【0014】
特に第6工程において、第1および第3の画像の特徴量の比と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求め、第7工程において、処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて第4〜第6工程を行っているので、パラメータ群の各パラメータに対して評価値を求めることができる。このようにパラメータ群の各パラメータに対して評価値を求めたうえで、第8工程において、全ての評価値に基づいて、パラメータ群から処理パラメータを決定することができる。
【0015】
このように決定された処理パラメータを用いたフィルタによって、入力画像であって検査対象物を撮像した入力画像を画像処理する。これによって、たとえば入力画像の特徴量を小さくすることなく、モアレ縞を除去することが可能となる。換言すれば、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から欠陥部の画像領域だけを抽出することが可能となる。したがって欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。
【0016】
また本発明は、第1工程は、欠陥部を含む検査対象物モデルを、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像するので、モアレ縞がほとんどない第1の画像を取得することができる。逆に言えば、検査対象物モデルにおいては、撮像条件によってモアレ縞の発生を積極的に抑制することができる。このようにモアレ縞の発生を抑制した状態で、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像することで、第1の画像の取得を実現することができる。
【0018】
また本発明は、第2工程は、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像して非欠陥画像を取得する段階と、
非欠陥画像にモアレ縞を発生させて第2の画像を得る段階とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、非欠陥画像を取得する段階において、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像する。これによって非欠陥画像を取得する。次の段階において、取得した非欠陥画像にモアレ縞を発生させる。このようにしてモアレ縞だけを含む第2の画像の取得を実現することができる。換言すれば、欠陥部の画像領域を有していない第2の画像を取得することが可能となる。
【0020】
また本発明は、撮像条件は、モアレ縞の発生を皆無にすることができる条件であることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、撮像条件は、モアレ縞の発生を皆無にすることができる条件であるので、第1の画像においては、たとえば欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像するだけで、簡単に第1の画像を取得することができる。第2の画像においては、たとえば欠陥部の画像領域を有していない非欠陥画像を確実に取得したうえで、前記非欠陥画像にモアレ縞を発生させて第2の画像を取得することができる。
【0022】
また本発明は、検査対象物を撮像した入力画像を、設定される処理パラメータを用いて画像処理し、入力画像から欠陥部の画像領域を抽出するフィルタの設計方法であって、
相互に異なる複数種類の欠陥部を含む検査対象物モデルの画像であって、欠陥部の種類毎に異なる第1の画像を取得する第1の工程と、
モアレ縞を含む第2の画像を取得する第2の工程と、
各第1および第2の画像における特徴量であり、欠陥部の有無に依存する特徴量をそれぞれ取得する第3の工程と、
前記フィルタにおける処理パラメータとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータを選択して処理パラメータの候補として仮設定し、このフィルタを用いて、各第1の画像を画像処理して各第3の画像を生成するとともに、第2の画像を画像処理して第4の画像を生成する第4の工程と、
各第3および第4の画像における前記特徴量をそれぞれ取得する第5の工程と、
欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像の特徴量の比の総和と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求める第6の工程と、
処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6の工程を行う第7の工程と、
全ての評価値に基づいて、前記パラメータ群から処理パラメータを決定する第8の工程とを有することを特徴とするフィルタの設計方法である。
【0023】
本発明に従えば、第1の工程においては、相互に異なる複数種類の欠陥部を含む検査対象物モデルの画像であって、欠陥部の種類毎に異なる第1の画像を取得する。第2の工程においては、モアレ縞を含む第2の画像を取得する。第3の工程においては、各第1および第2の画像における特徴量であり、欠陥部の有無に依存する特徴量をそれぞれ取得する。第4の工程においては、前記フィルタにおける処理パラメータとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータを選択して処理パラメータの候補として仮設定し、このフィルタを用いて、各第1の画像を画像処理して各第3の画像を生成するとともに、第2の画像を画像処理して第4の画像を生成する。第5の工程においては、各第3および第4の画像における前記特徴量をそれぞれ取得する。第6の工程においては、欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像の特徴量の比の総和と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求める。第7の工程においては、処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6の工程を行う。第8の工程においては、全ての評価値に基づいて、前記パラメータ群から処理パラメータを決定する。このような第1〜第8の工程を実行することによって、入力画像から欠陥画像を抽出するためのフィルタを設計することが可能となる。
【0024】
特に第7の工程において、処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6の工程を行う。これによってパラメータ群の各パラメータに対して評価値を求めることができる。しかも第6の工程で求める評価値は、欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像の特徴量の比の総和と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく。
【0025】
このような評価値を、パラメータ群の各パラメータに対して求めたうえで、第8の工程において、全ての評価値に基づいて、パラメータ群から処理パラメータを決定する。これによって入力画像から各種類の欠陥部の画像領域を抽出するのに最適な処理パラメータを、パラメータ群から決定することが可能となる。すなわち入力画像から複数種類の欠陥部の画像領域を抽出するフィルタの最適化を図ることが可能となる。
【0026】
このように決定された処理パラメータを用いたフィルタによって、入力画像を画像処理する。これによって、たとえば各種類の欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から複数種類の欠陥部の画像領域を抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、複数種類の欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。
【0027】
また本発明は、前記フィルタの設計方法によって設計されたフィルタである。本発明に従えば、フィルタは、前述のようなフィルタの設計方法によって設計されるので、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から欠陥部の画像領域を抽出することが可能となる。したがってこのフィルタによって入力画像を画像処理することによって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。
【0028】
また本発明は、検査対象物を撮像して入力画像を得る工程と、
前記フィルタの設計方法によって設計されたフィルタを用いて、前記工程で得られた入力画像を画像処理する工程とを備えることを特徴とする欠陥検査方法である。
【0029】
本発明に従えば、検査対象物を撮像して入力画像を得て、この入力画像を、前述のフィルタを用いて画像処理する。これによって、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から欠陥部の画像領域だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。このように欠陥部の画像領域だけが抽出された画像を用いて、たとえば欠陥部の有無を検査することによって、欠陥部の有無を確実に検査することが可能となる。
【0030】
また本発明は、検査対象物を撮像して入力画像を得る撮像手段と、
前記フィルタの設計方法によって設計されたフィルタを用いて、前記撮像手段によって得られた入力画像を画像処理する画像処理手段とを備えることを特徴とする欠陥検査装置である。
【0031】
本発明に従えば、撮像手段によって、検査対象物を撮像して入力画像を得て、画像処理手段によって、この入力画像を、前述のフィルタを用いて画像処理する。これによって、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から欠陥部の画像領域だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。このように欠陥部の画像領域だけが抽出された画像を用いて、たとえば欠陥部の有無を検査することによって、欠陥部の有無を確実に検査することが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態であるフィルタ1の設計方法を段階的に示すフローチャートである。図2は、検査対象物2を撮像した入力画像3を説明するための図である。図3は、フィルタ1の構造を模式的に示す図である。前記フィルタ1は、検査対象物2を撮像した入力画像3を、本実施形態のフィルタ1の設計方法で設定される処理パラメータaを用いて画像処理し、入力画像3から欠陥部の画像領域4を抽出するフィルタである。
【0033】
本実施形態において、図1に示されるフローチャートに基づくフィルタ1の設計プログラムは、後述の欠陥検査装置6の画像処理部7に格納されている。ただしフィルタ1の設計プログラムは、必ずしも前記画像処理部7に格納されているとは限らず、たとえばパーソナルコンピュータのメモリに格納されていてもよい。またフィルタ1の設計プログラムは、たとえば磁気ディスク、光ディスクおよびフレキシブルディスクなどの種々の記録媒体に記憶されていてもよい。
【0034】
本実施形態においては、検査対象物2を検査するために、検査対象物2を撮像するにあたって、入力画像3にたとえば欠陥部の方向と略同一方向の並び方向のモアレ縞8が発生する場合に、本発明のフィルタ1、欠陥検査方法および欠陥検査装置6を適用した一例を示す。前記略同一方向は、同一方向を含む。入力画像3においては、画像の濃度値が変化する図2の矢符Yにて示す方向を、欠陥部の方向およびモアレ縞8の方向と定義する。モアレ縞8の方向はモアレ縞8の並び方向と同義である。以下、「矢符Yにて示す方向」を「Y方向」と記載することがある。
【0035】
また本実施形態においては、検出すべき欠陥部の種類はたとえば1つであり、検査対象物2は1種類の欠陥部を含む。この欠陥部はたとえばムラ欠陥である。ただし検出すべき欠陥部は、必ずしも1種類に限定されるものではなく、複数種類の場合もあり得る。これらの欠陥部は、たとえばムラ欠陥、キズ欠陥および異物混入欠陥などである。
【0036】
前記検査対象物2は、その一表面部9が繰り返し形状を有する対象物、すなわちその一表面部9に周期性を有するパターンが形成された対象物である。この検査対象物2は、たとえば半導体基板および液晶基板などである。ただし検査対象物2は、必ずしもこれらの半導体基板および液晶基板に限定されるものではない。本実施形態においては、検査対象物2は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、略称TFT)液晶基板である。
【0037】
入力画像3は、欠陥部を含む検査対象物2を撮像した入力画像である。さらに詳しくは、入力画像3は、周期性を有するパターンが形成された一表面部9に欠陥部が存在する検査対象物2の前記一表面部9を撮像した入力画像である。図2においては、理解を容易にするために、欠陥部の画像領域4を斜線で示している。さらにモアレ縞8による濃度値の変化が解るように、濃度値が予め定めるしきい値よりも高い領域を黒で示し、濃度値が予め定めるしきい値よりも低い領域を、白で示している。
【0038】
入力画像3は、欠陥部を有していない検査対象物2を撮像した入力画像であってもよい。さらに詳しくは、入力画像3は、周期性を有するパターンが形成された一表面部9に欠陥部が存在しない検査対象物2の前記一表面部9を撮像した入力画像であってもよい。
【0039】
本実施形態において、フィルタ1は、いわゆる平滑化フィルタである。フィルタ1は、Y方向平滑化フィルタである。すなわちフィルタ1は、欠陥部の方向およびモアレ縞8の方向であるY方向に関して、入力画像3を平滑化するフィルタである。以下、「フィルタ1」を「平滑化フィルタ1」と記載することがある。また「フィルタ1による画像処理」を、「平滑化フィルタ処理」と記載することがある。
【0040】
平滑化フィルタ1は、複数の重み係数cを含む。各重み係数cの値は、処理パラメータaによって決まる。本実施形態においては、重み係数は4つであり、平滑化フィルタ処理に影響を与えるフィルタサイズは、図3に示されるように1×4である。ただしフィルタサイズは、必ずしも1×4に限定されるものではない。平滑化フィルタ1においては、各重み係数cが並ぶ図3の矢符Yにて示す方向を配列方向と定義する。
【0041】
フィルタサイズは、検査対象物2の欠陥部の寸法を考慮して、予め決定されている。さらに詳しくは、フィルタサイズは、平滑化フィルタ1を入力画像3にあてはめたときに、Y方向に関して、平滑化フィルタ1の寸法が欠陥部の画像領域4の寸法よりも小さくなるように選ばれている。これによって欠陥部の画像領域4が不所望に除去されてしまうという不具合を極力防ぐことが可能となる。
【0042】
平滑化フィルタ1の各重み係数cは、配列方向の一方から順に第1係数c1、第2係数c2、第3係数c3および第4係数c4と区別して記載することがある。パラメータaに2を乗じた値に2を加える。さらにこの値の逆数を求める。第1および第4係数c1,c4は、1に前記逆数を乗じた値をそれぞれ有する。第2および第3係数c1,c3は、パラメータaに前記逆数を乗じた値をそれぞれ有する。
【0043】
平滑化フィルタ1における処理パラメータa、すなわち前記各重み係数cを決定する処理パラメータaとして採用可能なパラメータ群は、3つのパラメータaを含む。パラメータ群の各パラメータaは、「1」、「2」および「3」である。パラメータ群の各パラメータaは、必ずしも「1」、「2」および「3」に限られるものではない。また前記パラメータ群に含まれるパラメータaの個数は、必ずしも3つに限らず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0044】
本実施形態のフィルタ1の設計方法によって平滑化フィルタ1を設計するにあたっては、フィルタサイズは変更せず、パラメータaだけを変更する。そして各パラメータaのうちの1つを平滑化フィルタ1における処理パラメータaとして決定する。つまり本実施形態のフィルタ1の設計方法は、平滑化フィルタ1における処理パラメータaを決定する方法である。
【0045】
図4は、欠陥検査装置6の構成を簡略化して示すブロック図である。欠陥検査装置6は、検査対象物2の欠陥部の有無を検査する装置である。この欠陥検査装置6は、ステージ11、光源12、撮像手段13、コントローラ14、画像処理部7および装置制御部15を含む。
【0046】
ステージ11は、検査対象物2を保持する。このステージ11は、少なくとも、検査対象物2の検査すべき一表面部9、すなわち周期性を有するパターンが形成された一表面部9を、露出させた状態で、検査対象物2を保持する。
【0047】
光源12は、ステージ11によって保持される検査対象物2の前記一表面部9を照明する。撮像手段13は、ステージ11によって保持された状態で光源12に照明されている検査対象物2の前記一表面部9を、予め定める分解能H1で撮像して入力画像3を得る。この撮像手段13は電荷結合素子(Charge Coupled Device、略称CCD)カメラを含む。
【0048】
コントローラ14は、ステージ11、光源12および撮像手段13をそれぞれ動作させる。画像処理部7は画像処理手段に相当する。この画像処理部7は、後述の図15に示されるフローチャートに基づく欠陥検査プログラムを格納している。画像処理部7は、撮像手段13によって得られた入力画像3を、本実施形態のフィルタ1の設計方法によって設計された平滑化フィルタ1を用いて、画像処理する。また画像処理部7は、前記平滑化フィルタ1を用いて入力画像3を画像処理することによって得られた画像を用いて、検査対象物2に対して欠陥部の有無を判定する。装置制御部15は、コントローラ14および画像処理部7を制御する。
【0049】
欠陥検査装置6は、本実施形態のフィルタ1の設計方法によって平滑化フィルタ1を設計するときにも用いることができる。この場合、画像処理部7は、図1に示されるフローチャートに基づくフィルタ1の設計プログラムを格納している。平滑化フィルタ1を設計するときは、検査対象物2に代えて検査対象物モデルを、撮像手段13によって撮像する。画像処理部7は、撮像手段13によって撮像された画像を用いて、前記フィルタ1の設計プログラムを実行することによって平滑化フィルタ1を設計する。
【0050】
図1のステップS1で平滑化フィルタ1の設計を開始すると、ステップS2に移行する。ステップS2では、モアレ縞無しのムラ欠陥画像21と、欠陥無しのモアレ縞画像22とを準備し、これらの画像21,22を画像処理部7に入力する。このステップS2は第1および第2工程に相当する。モアレ縞無しのムラ欠陥画像21は、欠陥部を含む検査対象物モデルの画像である第1の画像21に相当する。前記検査対象物モデルは、検査対象物2の検査に先だって予め準備されるモデルであって、前記検査対象物2とは異なるものである。欠陥無しのモアレ縞画像22は、モアレ縞8を含む第2の画像22に相当する。以下、「モアレ縞無しのムラ欠陥画像21」を、「第1の画像21」と記載することがある。また「欠陥無しのモアレ縞画像22」を、「第2の画像22」と記載することがある。第1および第2の画像21,22の取得方法については後述する。
【0051】
第1および第2の画像21,22を取得した後、ステップS3では、第1および第2の画像21,22に対して特徴量をそれぞれ測定する。このステップS3は第3工程に相当する。前記特徴量は、欠陥部の有無に依存する量である。すなわち特徴量は、検査対象物モデルが欠陥部を含むか否かによって、その値が異なる。また特徴量は、検査対象物2が欠陥部を含むか否かによって、その値が異なる。この特徴量としては、後述の欠陥検査方法において、検査対象物2の欠陥部の有無を判定するための特徴量と同じものが用いられる。
【0052】
本実施形態においては、特徴量として、濃度分散値が用いられる。以下、「濃度分散値」を、単に「分散値」と記載することがある。つまりステップS3では、第1および第2の画像21,22に対して分散値P1,P2をそれぞれ測定する。
【0053】
図5は、分散値P1,P2を測定する測定領域26,27を説明するための図であり、図5(1)は第1の画像21において分散値P1を測定する測定領域26を示し、図5(2)は第2の画像22において分散値P2を測定する測定領域27を示す。
【0054】
第1の画像21は、欠陥部を含む検査対象物モデルを、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像した画像である。検査対象物モデルに含まれる欠陥部の種類は、検査対象物2の検出すべき欠陥部の種類と同一である。第1の画像21においては、画像の濃度値が変化する図5(1)の矢符Yにて示す方向を欠陥部の方向と定義する。
【0055】
第1の画像21に対しては、各対象領域毎に分散値がそれぞれ測定される。前記対象領域は、後述の欠陥検査方法で分散値を測定する検査領域と同様の領域である。すなわち対象領域は、検査領域と同じ大きさであり、かつ検査領域と同じ形状である。本実施形態においては、対象領域の形状は矩形である。各対象領域の分散値のうち最も大きい分散値が第1の画像21の分散値P1として選ばれ、この分散値P1を有する対象領域が測定領域26として選ばれる。第1の画像21に対しては、後述の欠陥検査方法で、検査対象物2の欠陥部の有無を判定する際に分散値を測定する方法と同様の方法で分散値P1が測定される。この第1の画像21に対して分散値P1を測定する工程は、前記ステップS3すなわち第3工程に相当する。
【0056】
第2の画像22は、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像して非欠陥画像を取得し、この非欠陥画像にモアレ縞8を発生させることによって得られる画像である。第2の画像22においては、画像の濃度値が変化する図5(2)の矢符Yにて示す方向をモアレ縞8の方向と定義する。
【0057】
第2の画像22に対しては、各対象領域毎に分散値がそれぞれ測定される。前記対象領域は、後述の欠陥検査方法で分散値を測定する検査領域と同様の領域である。各対象領域の分散値のうち最も大きい分散値が第2の画像22の分散値P2として選ばれ、この分散値P2を有する対象領域が測定領域27として選ばれる。換言すれば、検査の際に最もモアレ縞の影響を受ける対象領域が測定領域27として選ばれる。この第2の画像22に対して分散値P2を測定する工程は、前記ステップS3すなわち第3工程に相当する。
【0058】
第1および第2の画像21,22における分散値P1,P2を測定した後、図1のステップS4では、平滑化フィルタ1のパラメータaの初期値、すなわち初期パラメータaを設定する。本実施形態においては、前記パラメータaの初期値を「1」に設定する。ただしパラメータaの初期値は、必ずしも「1」に限定されるものではない。次にステップS5では、平滑化フィルタ1を用いて、第1および第2の画像21,22を平滑化フィルタ処理して第3および第4の画像23,24を生成する。
【0059】
このようにステップS4において、平滑化フィルタ1における処理パラメータaとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータaを選択して処理パラメータaの候補として仮設定する。具体的には、パラメータaの初期値を先ず「1」に設定する。次にステップS5において、仮設定した平滑化フィルタ1を用いて、第1の画像21を平滑化フィルタ処理して第3の画像23を生成するとともに、第2の画像22を平滑化フィルタ処理して第4の画像24を生成する。これらのステップS4およびステップS5が第4工程に相当する。
【0060】
第3および第4の画像23,24を生成した後、ステップS6では、第3および第4の画像23,24に対して分散値P3(a),P4(a)をそれぞれ測定する。このステップS6は第5工程に相当する。第3の画像23に対しては、第1の画像21における測定領域26に対応する領域が測定領域として選ばれる。この測定領域で測定される分散値が、第3の画像23の分散値P3(a)として用いられる。第4の画像24に対しては、第2の画像22における測定領域27に対応する領域が測定領域として選ばれる。この測定領域で測定される分散値が、第4の画像24の分散値P4(a)として用いられる。
【0061】
次にステップS7では、前述のステップS3およびステップS6で測定した分散値P1,P2;P3(a),P4(a)に基づいて、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)と、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)とを求める。この後、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)を、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)で除す。これによって平滑化フィルタ1のパラメータaに対する評価値I(a)を求める。換言すれば、欠陥部の画像領域4を含む画像に対する平滑化フィルタ処理前後の分散値の比を、欠陥部の画像領域4を含まずモアレ縞8を含む画像に対する平滑化フィルタ処理前後の分散値の比で除す。これによって平滑化フィルタ1の評価値I(a)を求める。このステップS7は第6工程に相当する。
【0062】
評価値I(a)を求めた後、ステップS8では、全てのパラメータaについて評価値I(a)を算出したか否かを判断する。ステップS8において、評価値I(a)を算出していないパラメータaがあると判断すると、ステップS9に移行する。ステップS9では、予め定める条件に従って、平滑化フィルタ1のパラメータaを変更して設定して、ステップS5に戻る。前記予め定める条件は、仮設定されたパラメータaの値を1、増加させるという条件である。具体的にステップS9では、パラメータaの初期値「1」に1を加えた「2」を新たなパラメータaとして設定する。この新たなパラメータa(a=2)に基づいて、前述のステップS5〜ステップS7を実行する。ステップS8において、全てのパラメータaについて評価値I(a)を算出したと判断すると、ステップS10に移行する。ステップS5〜ステップS9のサブルーチンは第7工程に相当する。
【0063】
本実施形態では、求めるべき評価値I(a)に対応する全てのパラメータaは、初期値「1」、前記初期値に1を加えた「2」、この値に1を加えた「3」と、予め設定されている。したがって前述のようにパラメータa(a=1)に基づいて、ステップS5〜ステップS7の工程を実行し、その後パラメータa(a=2)に基づいて、再びステップS5〜ステップS7の工程を繰り返す。最終的にパラメータa(a=3)に基づいて、再びステップS5〜ステップS7の工程を繰り返す。
【0064】
ステップS10では、全てのパラメータaのうち評価値I(a)が最大となるパラメータaすなわち処理パラメータaで平滑化フィルタ1を設計する。このステップS10は第8工程に相当する。このように処理パラメータaを決定した後、ステップS11に移行し、平滑化フィルタ1の設計を終了する。設計された平滑化フィルタ1は、欠陥検査装置6の画像処理部7で用いられる。
【0065】
図6は、平滑化フィルタ処理の前後の各画像を説明するための図であり、図6(1)は第1の画像21および各第3の画像23を示し、図6(2)は第2の画像22および各第4の画像24を示す。
【0066】
平滑化フィルタ1を用いて第1の画像21を平滑化フィルタ処理するときは、平滑化フィルタ1の配列方向と欠陥部の方向とが略同一方向となるようにする。また平滑化フィルタ1を用いて第2の画像22を平滑化フィルタ処理するときは、平滑化フィルタ1の配列方向とモアレ縞8の方向とが略同一方向となるようにする。
【0067】
ここで図3を参照して、第1の画像21に対する平滑化フィルタ処理を詳細に述べる。第2の画像22に対する平滑化フィルタ処理は、第1の画像21に対する平滑化フィルタ処理と同様であるので、重複を避けるために説明を省略する。
【0068】
第1の画像21に対する平滑化フィルタ処理では、第1の画像21の画素のうち1つを注目画素とする。この注目画素の濃度値に第2係数c2を乗じ、注目画素のY方向の一方に隣接する画素の濃度値に第1係数c1を乗じ、注目画素のY方向の他方に隣接する画素の濃度値に第3係数c3を乗じ、第3係数c3を乗じる画素のY方向の他方に隣接する画素の濃度値に第4係数c4を乗じる。これらの乗算の結果の和を、第3の画像23の前記注目画素に対応する画素の濃度値とする。このような処理を、第1の画像21の各画素を注目画素として行う。これによって第1の画像21から第3の画像23を生成する。
【0069】
前記パラメータ群の各パラメータaを処理パラメータaの候補として仮設定した各平滑化フィルタ1を用いて、第1の画像21を前述のように平滑化フィルタ処理することによって、各パラメータa毎に第3の画像23が生成される。前記パラメータ群の各パラメータaを処理パラメータaの候補として仮設定した各平滑化フィルタ1を用いて、第2の画像22を平滑化フィルタ処理することによって、各パラメータa毎に第4の画像24が生成される。
【0070】
図7は、処理パラメータaの決定方法を説明するためのグラフであり、図7(1)はパラメータaの値と、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)との関係を示し、図7(2)はパラメータaの値と、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)との関係を示し、図7(3)はパラメータaの値と評価値I(a)との関係を示す。図7(1)において、横軸はパラメータaの値を示し、縦軸は第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)を示す。図7(2)において、横軸はパラメータaの値を示し、縦軸は第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)を示す。図7(3)において、横軸はパラメータaの値を示し、縦軸は評価値I(a)を示す。
【0071】
第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)は、第3の画像23の分散値P3(a)を第1の画像21の分散値P1で除した値である。この第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)は、平滑化フィルタ処理による欠陥部の画像領域4への影響を示す。図3に示されるような平滑化フィルタ1が用いられた場合、パラメータaの値が増加するにつれて、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)は、次第に増加し1に近づく傾向にある。換言すると、パラメータaの値が増加するにつれて、平滑化フィルタ処理の影響が弱まり、欠陥部の画像領域4の除去具合が弱まる傾向がある。
【0072】
第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)は、第4の画像24の分散値P4(a)を第2の画像22の分散値P2で除した値である。第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)は、平滑化フィルタ処理によるモアレ縞8の除去具合を示す。図3に示されるような平滑化フィルタ1が用いられた場合、パラメータaの値が増加するにつれて、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)は、次第に増加し1に近づく傾向にある。換言すると、パラメータaの値が増加するにつれて、モアレ縞8の除去具合が弱まる傾向がある。
【0073】
評価値I(a)は、各パラメータa毎に求められる。評価値I(a)は、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)を第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)で除した値である。評価値I(a)は、平滑化フィルタ処理による、欠陥部の画像領域4への影響とモアレ縞8の除去具合とのバランスを考慮するための指標となる。
【0074】
前述の図1のステップS10では、全ての評価値I(a)のうち最も高い評価値I(a)のパラメータaを平滑化フィルタ1における処理パラメータaとして決定する。すなわち欠陥部の画像領域4への影響とモアレ縞8の除去具合とのバランスが取れるパラメータaを処理パラメータaとする。図7(3)では、全ての評価値I(a)のうちパラメータaが「2」のときに、評価値I(a)が最大となっている。この場合は、パラメータa(a=2)を平滑化フィルタ1における処理パラメータaとして決定する。
【0075】
本実施形態では、複数のパラメータaに対して評価値I(a)を求めたうえで、全ての評価値I(a)に基づいて、前記複数のパラメータaから処理パラメータaを決定する。しかも前記評価値I(a)は、後述の欠陥検査方法で検査対象物2の欠陥部の有無を判定するための分散値を用いて、求められる。したがって後述の欠陥検査方法に従う欠陥検査に好適な処理パラメータaを決定することができる。
【0076】
評価値I(a)は、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)を第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)で除した値であってもよい。仮にこのようにしても、前述の処理パラメータaの決定方法と同じ処理パラメータaを決定することができる。ただしこの場合、前述の図1のステップS10では、全ての評価値I(a)のうち最も低い評価値I(a)のパラメータaを平滑化フィルタ1における処理パラメータaとして決定する。またこの場合、前述の図7(3)に相当するパラメータaと評価値I(a)との関係は、全ての評価値I(a)のうちパラメータaが「2」のときに、評価値I(a)が最小となる。
【0077】
パラメータ群の各パラメータaは、各パラメータaの値の間隔を小さくしてもよく、また個数を増加してもよい。各パラメータaの値の間隔を小さくし、かつパラメータaの個数を増加することによって、欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8を極力除去するために、より好適な処理パラメータaを決定することが可能となる。
【0078】
本実施形態のフィルタ1の設計方法では、第1の画像21を取得した後に第2の画像22を取得してもよいし、第2の画像22を取得した後に第1の画像21を取得してもよい。換言すれば、第1工程は、第2工程の前でもよいし、後でもよい。第1および第2の画像21,22のどちらを先に取得したとしても、同じ平滑化フィルタ1を設計することができる。すなわち同じ処理パラメータaを決定することができる。
【0079】
図8は、第1の画像21の取得方法の一例を段階的に示すフローチャートである。ステップA1で第1の画像21の取得を開始すると、ステップA2に移行する。ステップA2では、複数の検査対象物モデルを準備する。これらの複数の検査対象物モデルは、検査対象物2に類似するが、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2とは異なる。逆に言えば、これらの検査対象物モデルにおいては、後述のステップA4でモアレ縞無しの画像を確実に取得すべく、前記パターンのピッチを、実際の検査対象物2と異ならせている。
【0080】
次にステップA3では、本検査と同じ分解能H1、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像するときと同じ分解能H1で、各検査対象物モデルを撮像する。こうしてステップA4でモアレ縞無しの画像を得る。次にステップA5では、前記各モアレ縞無しの画像から、欠陥のある画像、すなわち検査対象物モデルの欠陥部の画像領域4を含む画像を選出する。こうしてステップA6で第1の画像21を得る。このようにして第1の画像21を取得した後、ステップA7に移行し、第1の画像21の取得を終了する。
【0081】
図8に示される第1の画像21の取得方法では、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2とは異なる検査対象物モデルを、検査対象物2を撮像するときと同じ分解能H1で撮像する。特に、検査対象物モデルのパターンのピッチを、検査対象物2のパターンのピッチと異ならせていることによって、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現している。
【0082】
このようにパターンのピッチを実際の検査対象物モデルと異ならせたうえで、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で検査対象物モデルを撮像する。撮像した各画像から欠陥部の画像領域4を含む画像を選出するので、モアレ縞8がほとんどない第1の画像21を取得することができる。逆に言えば、検査対象物モデルにおいては、この撮像条件によってモアレ縞8の発生を積極的に抑制することができる。このようにモアレ縞8の発生を抑制した状態で、検査対象物モデルを撮像し、撮像した各画像から欠陥部の画像領域4を含む画像を選出することで、第1の画像21を取得することができる。
【0083】
図9は、第2の画像22の取得方法の一例を段階的に示すフローチャートである。図10は、式(1)を説明するためのグラフである。図11は、第2の画像22のY方向の座標位置と、濃度値との関係を示すグラフである。図10において、横軸は式(1)のxの値を示し、縦軸は式(1)の値を示す。図11において、横軸はY方向の座標位置を示し、縦軸は濃度値を示す。
【0084】
ステップB1で第2の画像22の取得を開始すると、ステップB2に移行する。ステップB2では、複数の検査対象物モデルを準備する。これらの複数の検査対象物モデルは、検査対象物2に類似するが、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2とは異なる。逆に言えば、これらの検査対象物モデルにおいては、後述のステップB4でモアレ縞無しの画像を確実に取得すべく、パターンのピッチを実際の検査対象物2と異ならせている。
【0085】
次にステップB3では、本検査と同じ分解能H1、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像するときと同じ分解能H1で、各検査対象物モデルを撮像する。こうしてステップB4でモアレ縞無しの画像を得る。次にステップB5では、前記各モアレ縞無しの画像から、欠陥のない画像、すなわち検査対象物モデルの欠陥部の画像領域4を有していない画像を選出する。検査対象物モデルの欠陥部の画像領域4を有していない画像は、非欠陥画像に相当する。これらのステップB3〜ステップB5は、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像して非欠陥画像を取得する段階に相当する。
【0086】
次にステップB6では、非欠陥画像に、式(1)によって表される信号を、画像処理によって付加する。すなわち非欠陥画像にモアレ縞8を擬似的に付加する。こうしてステップB7で第2の画像22を得る。これらのステップB6およびステップB7は、非欠陥画像にモアレ縞8を発生させて第2の画像22を得る段階に相当する。このようにして第2の画像22を取得した後、ステップB8に移行し、第2の画像22の取得を終了する。
C sin[2πfnx−θ1]cos[2π(f−fn)x−θ2]…(1)
【0087】
式(1)では、検査対象物2の周期性パターンの形成ピッチ周波数をfで表し、CCDカメラの周波数fsの半分の周波数であって、いわゆる折り返し周波数に相当する周波数をfnで表す。またCは定数を示し、θ1およびθ2は位相定数を示し、xは座標位置を示す。
【0088】
非欠陥画像にモアレ縞8を付加するための式(1)は、検査対象物2の周期性パターンの形成ピッチ周波数fと、CCDカメラの周波数fsとから理論的に求められる。式(1)は、検査対象物2の周期性パターンの形成ピッチ周波数fの波と、CCDカメラの周波数fsから検査対象物2の周期性パターンの形成ピッチ周波数fを引いた周波数(fs−f)の波との合成波として計算することにより得られる。
【0089】
式(1)の余弦成分は、図10の低周波W1を示し、モアレ縞8の周波数を示す。式(1)の正弦成分は、図10の高周波W2を示す。より具体的には、周波数fnに座標位置xおよび2πを乗じた値から、位相定数θ1を減じる。さらにこの値の正弦値を求める。一方、形成ピッチ周波数fから周波数fnを減じ、この値に座標位置xおよび2πを乗じた値から位相定数θ2を減じる。さらにこの値の余弦値を求める。前記正弦値に余弦値を乗じ、さらに定数Cを乗じる。この式(1)によって表される信号を、非欠陥画像に対して付加することによって、図11に示されるように、濃度値が変化する第2の画像22を生成することができる。
【0090】
図9に示される第2の画像22の取得方法では、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2とは異なる検査対象物モデルを、検査対象物2を撮像するときと同じ分解能H1で撮像する。特に、検査対象物モデルのパターンのピッチを、検査対象物2のパターンのピッチと異ならせていることによって、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現している。
【0091】
非欠陥画像を取得する段階では、このようにモアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で検査対象物モデルを撮像し、撮像した各画像から欠陥部の画像領域4を有していない画像である非欠陥画像を選出する。これによって非欠陥画像を取得する。次の段階では、取得した非欠陥画像にモアレ縞8を発生させる。このようにしてモアレ縞8だけを含む第2の画像22の取得を実現することができる。換言すれば、欠陥部の画像領域4を有していない第2の画像22を取得することが可能となる。
【0092】
前述の図8および図9に示される第1および第2の画像21,22の取得方法では、検査対象物2のパターンのピッチとは異なるピッチを有するパターンが形成される検査対象物モデルを用いる。これによって、検査対象物2を撮像するときと検査対象物モデルを撮像するときとで光学的な調整をしなくても、すなわち分解能を変えなくても、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現することができる。ただし第1および第2の画像21,22を取得するための各検査対象物モデルは、一表面部に形成されるパターンのピッチが同じである。
【0093】
図12は、第1の画像21の取得方法の他の例を段階的に示すフローチャートである。ステップC1で第1の画像21の取得を開始すると、ステップC2に移行する。ステップC2では、複数の検査対象物モデルを準備する。これらの複数の検査対象物モデルは、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2と同じである。図12に示される第1の画像21の取得方法では、検査対象物モデルは、検査対象物2であってもよい。仮に検査対象物2を用いたとしても、本取得方法によって第1の画像21を取得することができる。
【0094】
次にステップC3では、本検査とは異なる分解能H2(H2≠H1)、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像するときとは異なる分解能H2で、各検査対象物モデルを撮像する。次にステップC4では、各検査対象物モデルを撮像した各画像の解像度を、たとえば各画像の一部を間引くなどの画像処理を行い、調整する。これによって本検査と同じ解像度、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像した入力画像3の解像度と同じ解像度のモアレ縞無しの画像を得る。
【0095】
次にステップC5では、解像度を調整したモアレ縞無しの各画像から、欠陥のある画像、すなわち検査対象物モデルの欠陥部の画像領域4を含む画像を選出する。こうしてステップC6で第1の画像21を得る。このようにして第1の画像21を取得した後、ステップC7に移行し、第1の画像21の取得を終了する。
【0096】
図12に示される第1の画像21の取得方法では、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2と同じである検査対象物モデルを、検査対象物2を撮像するときとは異なる分解能H2で撮像する。これによってモアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現している。
【0097】
このようにモアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で検査対象物モデルを撮像し、撮像した各画像の解像度を調整して、解像度を調整した各画像から欠陥部の画像領域4を含む画像を選出する。これによってモアレ縞8がほとんどない第1の画像21を取得することができる。逆に言えば、検査対象物モデルにおいては、この撮像条件によってモアレ縞8の発生を積極的に抑制することができる。このようにモアレ縞8の発生を抑制した状態で、検査対象物モデルを撮像し、撮像した各画像の解像度を調整して、解像度を調整した各画像から欠陥部の画像領域4を含む画像を選出することで、第1の画像21を取得することができる。
【0098】
欠陥部を含むことが予め判っている検査対象物モデルがある場合には、その欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像し、撮像した画像の解像度を調整して、解像度を調整した画像を第1の画像21としてもよい。これによっても、第1の画像21を取得することができる。
【0099】
図13は、第2の画像22の取得方法の他の例を段階的に示すフローチャートである。ステップD1で第2の画像22の取得を開始すると、ステップD2に移行する。ステップD2では、複数の検査対象物モデルを準備する。これらの複数の検査対象物モデルは、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2と同じである。図13に示される第2の画像22の取得方法では、検査対象物モデルは、検査対象物2であってもよい。仮に検査対象物2を用いたとしても、本取得方法によって第2の画像22を取得することができる。
【0100】
次にステップD3では、本検査とは異なる分解能H2、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像するときとは異なる分解能H2で、各検査対象物モデルを撮像する。次にステップD4では、各検査対象物モデルを撮像した各画像の解像度を、たとえば各画像の一部を間引くなどの画像処理を行い、調整する。これによって本検査と同じ解像度、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像した入力画像3の解像度と同じ解像度のモアレ縞無しの画像を得る。
【0101】
次にステップD5では、解像度を調整したモアレ縞無しの各画像から、欠陥のない画像、すなわち検査対象物モデルの欠陥部の画像領域4を有していない画像を選出する。検査対象物モデルの欠陥部の画像領域4を有していない画像は、非欠陥画像に相当する。
【0102】
これらのステップD3〜ステップD5は、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像して非欠陥画像を取得する段階に相当する。
【0103】
次にステップD6では、非欠陥画像に、前記式(1)によって表される信号を、画像処理によって付加する。すなわち非欠陥画像にモアレ縞8を擬似的に付加する。こうしてステップD7で第2の画像22を得る。これらのステップD6およびステップD7は、非欠陥画像にモアレ縞8を発生させて第2の画像22を得る段階に相当する。このようにして第2の画像22を取得した後、ステップD8に移行し、第2の画像22の取得を終了する。
【0104】
図13に示される第2の画像22の取得方法では、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2と同じである検査対象物モデルを、検査対象物2を撮像するときとは異なる分解能H2で撮像する。これによってモアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現している。
【0105】
非欠陥画像を取得する段階では、このようにモアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で検査対象物モデルを撮像し、撮像した各画像の解像度を調整して、解像度を調整した各画像から欠陥部の画像領域4を有していない画像である非欠陥画像を選出する。これによって非欠陥画像を取得する。次の段階では、取得した非欠陥画像にモアレ縞8を発生させる。このようにしてモアレ縞8だけを含む第2の画像22の取得を実現することができる。換言すれば、欠陥部の画像領域4を有していない第2の画像22を取得することが可能となる。
【0106】
欠陥部を有していないことが予め判っている検査対象物モデルがある場合には、その欠陥部を有していない検査対象物モデルを撮像し、撮像した画像の解像度を調整して、解像度を調整した画像を非欠陥画像としてもよい。これによっても、非欠陥画像を取得することができる。このように撮像した画像の解像度を単に調整するだけで、非欠陥画像を容易に取得することができる。
【0107】
前述の図12および図13に示される第1および第2の画像21,22の取得方法では、検査対象物2を撮像するときと検査対象物モデルを撮像するときとで、分解能を変えることによって、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現することができる。換言すれば、検査対象物2のパターンのピッチと検査対象物モデルのパターンのピッチとが同じでも、また検査対象物モデルとして検査対象物2を用いても、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件を実現することができる。ただし第1および第2の画像21,22を取得するための各検査対象物モデルは、一表面部に形成されるパターンのピッチが相互に同じである。
【0108】
図14は、第2の画像22の取得方法のさらに他の例を段階的に示すフローチャートである。ステップE1で第2の画像22の取得を開始すると、ステップE2に移行する。ステップE2では、検査対象物モデルを準備する。検査対象物モデルは、一表面部に形成されるパターンのピッチが検査対象物2と同じである。検査対象物モデルは、検査対象物2であってもよい。仮に検査対象物2を用いたとしても、本取得方法によって第2の画像22を取得することができる。
【0109】
次のステップE3では、本検査と同じ分解能H1、すなわち欠陥検査のために検査対象物2を撮像するときと同じ分解能H1で、検査対象物モデルを撮像する。検査対象物モデルを撮像するときと欠陥検査のために検査対象物2を撮像するときとの分解能が同じであり、かつ検査対象物モデルのパターンのピッチと検査対象物2のパターンのピッチとが同じであるので、検査対象物2を撮像した入力画像3がモアレ縞8を含む場合は、検査対象物モデルを撮像した画像も、モアレ縞8を含む。
【0110】
次にステップE4では、検査対象物モデルを撮像した画像の中から、欠陥無しと判定できる領域を選択する。こうしてステップE5で第2の画像22を得る。このようにして第2の画像22を取得した後、ステップE6に移行し、第2の画像22の取得を終了する。
【0111】
図14に示される第2の画像22の取得方法では、ステップE2で複数の検査対象物モデルを準備して、ステップE3で各検査対象物モデルを撮像し、ステップE4で各検査対象物モデルを撮像した各画像から、欠陥部の画像領域4を有していない画像を選出してもよい。これによっても第2の画像22を得ることができる。
【0112】
前述の図12〜図14に示される第1および第2の画像21,22の取得方法では、検査対象物モデルとして検査対象物2を用いて、第1および第2の画像21,22を取得することができる。この第1および第2の画像21,22を用いて平滑化フィルタ1を設計することによって、検査対象物2の検査に好適な平滑化フィルタ1を設計することが可能となる。
【0113】
第1および第2の画像21,22の取得方法は、前述の図8〜図14に示される方法に限られるものではない。第1および第2の画像21,22は、これらの第1および第2の画像21,22をたとえば記憶装置などに記憶しておき、この記憶装置から読み取ることによって取得してもよい。仮にこのように取得しても、前述の取得方法で取得するときと同じ処理パラメータaを決定することができる。
【0114】
図15は、欠陥検査方法を段階的に示すフローチャートである。この欠陥検査方法は、前述の図4に示される欠陥検査装置6を用いて、検査対象物2を検査する方法である。
【0115】
ステージ11によって検査対象物2を保持して、ステップF1で欠陥検査を開始すると、ステップF2に移行する。ステップF2では、撮像手段13によって検査対象物2を撮像して入力画像3を得る。撮像手段13は、この入力画像3を画像処理部7に与える。ステップF2は、検査対象物2を撮像して入力画像3を得る工程に相当する。
【0116】
次にステップF3では、画像処理部7によって、前述の図1に示されるフィルタ1の設計方法によって設計された平滑化フィルタ1を用いて、入力画像3を平滑化フィルタ処理する。このとき、平滑化フィルタ1の配列方向と入力画像3のモアレ縞の方向とが略同一方向となるようにする。ステップF3は、前述の図1に示されるフィルタ1の設計方法によって設計された平滑化フィルタ1を用いて、前記工程で得られた入力画像3を平滑化フィルタ処理する工程である。
【0117】
次にステップF4では、入力画像3を平滑化フィルタ処理することによって得られた画像における分散値を測定し、分散値に基づいて、検査対象物2の欠陥部の有無を判定する。分散値は、各検査領域毎にそれぞれ算出される。前記検査領域は、予め定める大きさおよび予め定める形状の領域である。本実施形態においては、検査領域の形状は矩形である。検査対象物2の欠陥部の有無を判定した後、ステップF5に移行し、欠陥検査を終了する。
【0118】
図15に示される欠陥検査方法では、前述の図1に示されるフィルタ1の設計方法によって設計された平滑化フィルタ1を用いて、画像処理部7によって入力画像3を平滑化フィルタ処理するので、入力画像3の分散値を小さくすることなく、モアレ縞8の画像領域を除去することが可能となる。換言すれば、欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8を極力除去することが可能となる。このように入力画像3から欠陥部の画像領域4だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の分散値を失うことなく、入力画像3からモアレ縞8だけを極力除去することができる。
【0119】
さらに欠陥部の画像領域4だけが抽出された画像を用いて、欠陥部の有無の有無を判定することによって、欠陥部の有無を正確に判定することができる。したがって高精度な周期性パターンの検査を行うことができる。
【0120】
以上説明したフィルタ1の設計方法によれば、特にステップS7において、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)と、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4(a)の比Q2(a)とに基づく評価値I(a)を求め、ステップS9において、処理パラメータaの候補として仮設定されるパラメータaを変更して、この変更したパラメータaに基づいてステップS5〜ステップS7を行っているので、パラメータ群の各パラメータaに対して評価値I(a)を求めることができる。このようにパラメータ群の各パラメータaに対して評価値I(a)を求めたうえで、ステップS10において、全ての評価値I(a)に基づいて、パラメータ群から処理パラメータaを決定することができる。
【0121】
このように決定された処理パラメータaを用いた平滑化フィルタ1によって、入力画像3であって、検査対象物2を撮像した入力画像3を平滑化フィルタ処理する。これによって、たとえば入力画像3の分散値を小さくすることなく、モアレ縞8を除去することが可能となる。換言すれば、たとえば欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像3から欠陥部の画像領域4だけを抽出することが可能となる。したがって欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の分散値を失うことなく、入力画像3からモアレ縞8だけを極力除去することができる。
【0122】
またフィルタ1の設計方法によれば、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像するので、モアレ縞8がほとんどない第1の画像21を取得することができる。逆に言えば、検査対象物モデルにおいては、撮像条件によってモアレ縞8の発生を積極的に抑制することができる。このようにモアレ縞8の発生を抑制した状態で、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像することで、第1の画像21の取得を実現することができる。
【0123】
またフィルタ1の設計方法によれば、非欠陥画像を取得する段階において、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞8の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像する。これによって非欠陥画像を取得する。次の段階において、取得した非欠陥画像にモアレ縞8を発生させる。このようにしてモアレ縞8だけを含む第2の画像22の取得を実現することができる。換言すれば、欠陥部の画像領域4を有していない第2の画像22を取得することが可能となる。
【0124】
平滑化フィルタ1は、前述のようなフィルタ1の設計方法によって設計されるので、たとえば欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像3から欠陥部の画像領域4を抽出することが可能となる。したがってこの平滑化フィルタ1によって入力画像3を平滑化フィルタ処理することによって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の分散値を失うことなく、入力画像3からモアレ縞8だけを極力除去することができる。
【0125】
欠陥検査方法によれば、検査対象物2を撮像して入力画像3を得て、この入力画像3を、前述の平滑化フィルタ1を用いて平滑化フィルタ処理する。これによって、たとえば欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像3から欠陥部の画像領域4だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の分散値を失うことなく、入力画像3からモアレ縞8だけを極力除去することができる。このように欠陥部の画像領域4だけが抽出された画像を用いて、たとえば欠陥部の有無を検査することによって、欠陥部の有無を確実に検査することが可能となる。
【0126】
欠陥検査装置6は、撮像手段13によって、検査対象物2を撮像して入力画像3を得て、画像処理部7によって、この入力画像3を、前述の平滑化フィルタ1を用いて平滑化フィルタ処理する。これによって、たとえば欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像3から欠陥部の画像領域4だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の分散値を失うことなく、入力画像3からモアレ縞8だけを極力除去することができる。このように欠陥部の画像領域4だけが抽出された画像を用いて、たとえば欠陥部の有無を検査することによって、欠陥部の有無を確実に検査することが可能となる。
【0127】
図16は、本発明の実施の他の形態であるフィルタ1の設計方法を段階的に示すフローチャートである。前記フィルタ1は、検査対象物2が複数種類の欠陥部を有する対象物である場合でも適用することができるフィルタである。検査対象物2が有する欠陥部は、たとえば異物混入欠陥、ムラ欠陥およびキズ欠陥などである。検査対象物2が有する欠陥部は、これらの異物混入欠陥、ムラ欠陥およびキズ欠陥に限られるものではない。また欠陥部の種類は、4以上であってもよい。本実施形態は、前述の実施形態に類似するので、対応する部分は重複を避けるために説明を省略する。
【0128】
ステップG1で平滑化フィルタ1の設計を開始すると、ステップG2に移行する。ステップG2では、前述の図1のステップS2と同様にして、各第1および第2の画像21,22を取得する。本実施形態においては、第1の画像21を複数、取得する。第1の画像21は、相互に異なる複数種類の欠陥部を含む検査対象物モデルの画像であって、欠陥部の種類毎に異なる。各検査対象物モデルは1種類の欠陥部を含み、各検査対象物モデルに含まれる欠陥部の種類は、相互に異なる。換言すると、第1の画像21は、欠陥部の種類毎に取得される。ステップG2は第1および第2の工程に相当する。
【0129】
各第1および第2の画像21,22を取得した後、ステップG3では、前述の図1のステップS3と同様にして、各第1および第2の画像21,22に対して分散値P1,P2をそれぞれ測定する。第1の画像21に対する分散値P1は、欠陥部の種類毎にそれぞれ測定される。このステップG3は第3の工程に相当する。
【0130】
各第1および第2の画像21,22における分散値P1,P2を測定した後、ステップG4では、前述の図1のステップS4と同様にして、平滑化フィルタ1のパラメータaの初期値を設定する。次にステップS5では、前述の図1のステップS5と同様にして、平滑化フィルタ1を用いて、各第1および第2の画像21,22を平滑化フィルタ処理して各第3および第4の画像23,24を生成する。これらのステップG4およびステップG5が第4の工程に相当する。
【0131】
各第3および第4の画像23,24を生成した後、ステップG6では、前述の図1のステップS6と同様にして、各第3および第4の画像23,24に対して分散値P3(a),P4(a)をそれぞれ測定する。第3の画像23に対する分散値P3(a)は、欠陥部の種類毎にそれぞれ測定される。このステップG6は第5の工程に相当する。
【0132】
次にステップG7では、前述のステップG3およびステップG6で測定した分散値P1,P2;P3(a),P4(a)に基づいて、平滑化フィルタ1のパラメータaに対する評価値J(a)を求める。前記評価値J(a)を求めるにあたっては、先ず、欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)の総和S(a)を求める。すなわち欠陥部の種類毎に、第1および第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)を求め、さらにこれらの分散値P1,P3(a)の比Q1(a)の総和S(a)を求める。また第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4の比Q2(a)を求める。この後、欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)の総和S(a)を、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4の比Q2(a)で除す。このようにして前記評価値J(a)を求める。このステップG7は第6の工程に相当する。
【0133】
評価値J(a)を求めた後、ステップG8では、前述の図1のステップS8と同様にして、全てのパラメータaについて評価値J(a)を算出したか否かを判断する。ステップG8において、評価値J(a)を算出していないパラメータaがあると判断すると、ステップG9に移行する。ステップG9では、前述の図1のステップS9と同様にして、予め定める条件に従って、平滑化フィルタ1のパラメータaを変更して設定して、ステップG5に戻る。ステップG8において、全てのパラメータaについて評価値J(a)を算出したと判断すると、ステップG10に移行する。ステップG5〜ステップG9のサブルーチンは第7の工程に相当する。
【0134】
ステップG10では、前述の図1のステップS10と同様にして、全てのパラメータaのうち評価値J(a)が最大となるパラメータaすなわち処理パラメータaで平滑化フィルタ1を設計する。このステップG10は第8の工程に相当する。このように処理パラメータaを決定した後、ステップG11に移行し、平滑化フィルタ1の設計を終了する。
【0135】
本実施形態では、複数のパラメータaに対して評価値J(a)を求めたうえで、全ての評価値J(a)に基づいて、前記複数のパラメータaから処理パラメータaを決定する。しかも前記評価値J(a)は、後述の欠陥検査方法で検査対象物2の欠陥部の有無を判定するための分散値を用いて、求められる。したがって複数種類の欠陥部を有する検査対象物2を後述の欠陥検査方法に従って検査するのに好適な処理パラメータaを決定することができる。
【0136】
図16を用いて説明したフィルタ1の設計方法によれば、特にステップG9において、処理パラメータaの候補として仮設定されるパラメータaを変更して、この変更したパラメータaに基づいてステップG5〜ステップG7を行う。これによってパラメータ群の各パラメータaに対して評価値J(a)を求めることができる。しかもステップG7で求める評価値J(a)は、欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像21,23の分散値P1,P3(a)の比Q1(a)の総和S(a)と、第2および第4の画像22,24の分散値P2,P4の比Q2(a)とに基づく。
【0137】
このような評価値J(a)を、パラメータ群の各パラメータaに対して求めたうえで、ステップG10において、全ての評価値J(a)に基づいて、パラメータ群から処理パラメータaを決定する。これによって入力画像3から各種類の欠陥部の画像領域4を抽出するのに最適な処理パラメータaを、パラメータ群から決定することが可能となる。すなわち前記入力画像3から複数種類の欠陥部の画像領域4を抽出する平滑化フィルタ1の最適化を図ることが可能となる。
【0138】
このように決定された処理パラメータaを用いた平滑化フィルタ1によって、入力画像3を平滑化フィルタ処理する。これによって、たとえば各種類の欠陥部の画像領域4を除去することなく、モアレ縞8だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像3から複数種類の欠陥部の画像領域4を抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、複数種類の欠陥部の分散値を失うことなく、入力画像3からモアレ縞8だけを極力除去することができる。
【0139】
前述の各実施形態では、特徴量は分散値であるが、この特徴量は、たとえば濃度値そのものであってもよいし、濃度値の勾配であってもよい。また特徴量は、予め定めるパターン画像との整合性を示す相関係数であってもよい。濃度値、濃度値の勾配および相関係数を特徴量として用いても、前述の各実施形態と同様の効果を達成することができる。
【0140】
また検査対象物モデルを撮像するときの撮像条件は、モアレ縞8の発生を皆無にすることができる条件であってもよい。この場合、第1の画像21においては、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像するだけで、簡単に第1の画像21を取得することができる。また第2の画像22においては、たとえば欠陥部を有していない非欠陥画像を確実に取得したうえで、前記非欠陥画像にモアレ縞8を発生させて第2の画像22を取得することができる。
【0141】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、パラメータ群の各パラメータに対して評価値を求めたうえで、全ての評価値に基づいて、パラメータ群から処理パラメータを決定することができる。
【0142】
このように決定された処理パラメータを用いたフィルタによって、検査対象物を撮像した入力画像を画像処理する。これによって、たとえば入力画像の特徴量を小さくすることなく、モアレ縞を除去することが可能となる。換言すれば、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。このように入力画像から欠陥部の画像領域だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。
【0143】
また本発明によれば、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像するので、モアレ縞がほとんどない第1の画像を取得することができる。逆に言えば、検査対象物モデルにおいては、撮像条件によってモアレ縞の発生を積極的に抑制することができる。このようにモアレ縞の発生を抑制した状態で、欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像することで、第1の画像の取得を実現することができる。
【0144】
また本発明によれば、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像して非欠陥画像を取得する。この取得した非欠陥画像にモアレ縞を発生させる。このようにしてモアレ縞だけを含む第2の画像の取得を実現することができる。換言すれば、欠陥部を有していない第2の画像を取得することが可能となる。
【0145】
また本発明によれば、撮像条件は、モアレ縞の発生を皆無にすることができる条件であるので、第1の画像においては、たとえば欠陥部を含む検査対象物モデルを撮像するだけで、簡単にモアレ縞がない第1の画像を取得することができる。第2の画像においては、たとえば欠陥部を有していない非欠陥画像を確実に取得したうえで、前記非欠陥画像にモアレ縞を発生させて第2の画像を取得することができる。
【0146】
また本発明によれば、評価値は、欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像の特徴量の比の総和と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく。この評価値を、パラメータ群の各パラメータに対して求めたうえで、全ての評価値に基づいて、パラメータ群から処理パラメータを決定する。これによって入力画像から各種類の欠陥部の画像領域を抽出するのに最適な処理パラメータを、パラメータ群から決定することが可能となる。すなわち前記入力画像から複数種類の欠陥部の画像領域を抽出するフィルタの最適化を図ることが可能となる。
【0147】
このように決定された処理パラメータを用いたフィルタによって、入力画像を画像処理する。これによって、たとえば各種類の欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から複数種類の欠陥部の画像領域を抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、複数種類の欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。
【0148】
また本発明によれば、フィルタは、前述のようなフィルタの設計方法によって設計されるので、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち欠陥部の画像領域を抽出することができる。したがってこのフィルタによって入力画像を画像処理することによって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。
【0149】
また本発明によれば、検査対象物を撮像して入力画像を得て、この入力画像を、前述のフィルタを用いて画像処理する。これによって、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から欠陥部の画像領域だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。このように欠陥部の画像領域だけが抽出された画像を用いて、たとえば欠陥部の有無を検査することによって、欠陥部の有無を確実に検査することが可能となる。
【0150】
また本発明によれば、撮像手段によって、検査対象物を撮像して入力画像を得て、画像処理手段によって、この入力画像を、前述のフィルタを用いて画像処理する。これによって、たとえば欠陥部の画像領域を除去することなく、モアレ縞だけを極力除去することが可能となる。すなわち入力画像から欠陥部の画像領域だけを抽出することが可能となる。したがって、欠陥検査に要するコストおよびタクトタイムの低減を図るとともに、欠陥部の特徴量を失うことなく、入力画像からモアレ縞だけを極力除去することができる。このように欠陥部の画像領域だけが抽出された画像を用いて、たとえば欠陥部の有無を検査することによって、欠陥部の有無を確実に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるフィルタ1の設計方法を段階的に示すフローチャートである。
【図2】検査対象物2を撮像した入力画像3を説明するための図である。
【図3】フィルタ1の構造を模式的に示す図である。
【図4】欠陥検査装置6の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図5】分散値P1,P2を測定する測定領域26,27を説明するための図である。
【図6】平滑化フィルタ処理の前後の各画像を説明するための図である。
【図7】処理パラメータaの決定方法を説明するためのグラフである。
【図8】第1の画像21の取得方法の一例を段階的に示すフローチャートである。
【図9】第2の画像22の取得方法の一例を段階的に示すフローチャートである。
【図10】式(1)を説明するためのグラフである。
【図11】第2の画像22のY方向の座標位置と、濃度値との関係を示すグラフである。
【図12】第1の画像21の取得方法の他の例を段階的に示すフローチャートである。
【図13】第2の画像22の取得方法の他の例を段階的に示すフローチャートである。
【図14】第2の画像22の取得方法のさらに他の例を段階的に示すフローチャートである。
【図15】欠陥検査方法を段階的に示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の他の形態であるフィルタ1の設計方法を段階的に示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 フィルタ
2 検査対象物
3 入力画像
4 欠陥部の画像領域
6 欠陥検査装置
7 画像処理部
8 モアレ縞
13 撮像手段
21 第1の画像
22 第2の画像
23 第3の画像
24 第4の画像

Claims (8)

  1. 検査対象物を撮像した入力画像を、設定される処理パラメータを用いて画像処理し、入力画像から欠陥部の画像領域を抽出するフィルタの設計方法であって、
    欠陥部を含む検査対象物モデルの画像である第1の画像を取得する第1工程と、
    モアレ縞を含む第2の画像を取得する第2工程と、
    第1および第2の画像における特徴量であり、欠陥部の有無に依存する特徴量をそれぞれ取得する第3工程と、
    前記フィルタにおける処理パラメータとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータを選択して処理パラメータの候補として仮設定し、このフィルタを用いて、第1の画像を画像処理して第3の画像を生成するとともに、第2の画像を画像処理して第4の画像を生成する第4工程と、
    第3および第4の画像における前記特徴量をそれぞれ取得する第5工程と、
    第1および第3の画像の特徴量の比と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求める第6工程と、
    処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6工程を行う第7工程と、
    全ての評価値に基づいて、前記パラメータ群から処理パラメータを決定する第8工程とを有することを特徴とするフィルタの設計方法。
  2. 第1工程は、欠陥部を含む検査対象物モデルを、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像することを特徴とする請求項1に記載のフィルタの設計方法。
  3. 第2工程は、欠陥部を有していない検査対象物モデルを、モアレ縞の発生を抑制することができる撮像条件下で撮像して非欠陥画像を取得する段階と、
    非欠陥画像にモアレ縞を発生させて第2の画像を得る段階とを有することを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタの設計方法。
  4. 撮像条件は、モアレ縞の発生を皆無にすることができる条件であることを特徴とする請求項2または3に記載のフィルタの設計方法。
  5. 検査対象物を撮像した入力画像を、設定される処理パラメータを用いて画像処理し、入力画像から欠陥部の画像領域を抽出するフィルタの設計方法であって、
    相互に異なる複数種類の欠陥部を含む検査対象物モデルの画像であって、欠陥部の種類毎に異なる第1の画像を取得する第1の工程と、
    モアレ縞を含む第2の画像を取得する第2の工程と、
    各第1および第2の画像における特徴量であり、欠陥部の有無に依存する特徴量をそれぞれ取得する第3の工程と、
    前記フィルタにおける処理パラメータとして採用可能なパラメータ群から1つのパラメータを選択して処理パラメータの候補として仮設定し、このフィルタを用いて、各第1の画像を画像処理して各第3の画像を生成するとともに、第2の画像を画像処理して第4の画像を生成する第4の工程と、
    各第3および第4の画像における前記特徴量をそれぞれ取得する第5の工程と、
    欠陥部の種類毎に異なる各第1および各第3の画像の特徴量の比の総和と、第2および第4の画像の特徴量の比とに基づく評価値を求める第6の工程と、
    処理パラメータの候補として仮設定されるパラメータを変更して、この変更したパラメータに基づいて前記第4〜第6の工程を行う第7の工程と、
    全ての評価値に基づいて、前記パラメータ群から処理パラメータを決定する第8の工程とを有することを特徴とするフィルタの設計方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルタの設計方法によって設計されたフィルタ。
  7. 検査対象物を撮像して入力画像を得る工程と、
    請求項1〜5のいずれかに記載のフィルタの設計方法によって設計されたフィルタを用いて、前記工程で得られた入力画像を画像処理する工程とを備えることを特徴とする欠陥検査方法。
  8. 検査対象物を撮像して入力画像を得る撮像手段と、
    請求項1〜5のいずれかに記載のフィルタの設計方法によって設計されたフィルタを用いて、前記撮像手段によって得られた入力画像を画像処理する画像処理手段とを備えることを特徴とする欠陥検査装置。
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