JP2005025020A - 波長可変干渉フィルタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電駆動方式の波長可変干渉フィルタにおいて、その故障の原因となる可動部と電極間の放電や電気的短絡を確実に防止し、信頼性の向上に寄与する波長可変干渉フィルタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】可動鏡を有する可動部13が静電引力の作用により変位可能に構成された波長可変干渉フィルタにおいて、前記可動部13はシリコンからなり、その表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜14を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】可動鏡を有する可動部13が静電引力の作用により変位可能に構成された波長可変干渉フィルタにおいて、前記可動部13はシリコンからなり、その表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜14を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用した、波長可変干渉フィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用した波長可変干渉フィルタは、2つの高反射膜を所定の平行な間隔(光学的ギャップともいう)を隔てて対向配置したもので、波長の選択性が高いことから、特に波長分割多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光通信の技術分野にて注目されているものである。このような波長可変干渉フィルタとしては、ポリシリコンからなり、表面に高反射膜(可動鏡)を形成した静電駆動電極側の可動部下面に円周状に複数の突起を設けたファブリ・ペローフィルタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、n型シリコンウエハからなり、静電気により変位させる可動鏡を有するファブリ・ペローフィルタも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第6271052号明細書(第1−2頁、図1C、図1D)
【特許文献2】
米国特許第6271052号明細書(第3−4頁、図4H)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の突起は過剰な駆動電圧が印加された場合、可動鏡を有する可動部と電極が接触、固着することを防止するためのものである。しかしながら、該可動部および突起はポリシリコンで出来ているため、可動部と電極が異常に接近したり、または接触した場合には、放電や電気的短絡が生じる可能性があった。
一方、上記特許文献2では、可動部または駆動用電極には、絶縁膜が設けられていない。可動部下面(駆動用電極側の面)には、シャドウマスクによる反射防止膜が設けられているが、この方法では、静電ギャップ部分に反射防止膜を堆積することは出来ず、該反射防止膜は絶縁膜としては機能しないものである。
【0005】
したがって、本発明は、静電駆動方式の波長可変干渉フィルタにおいて、その故障の原因となる可動部と電極間の放電や電気的短絡を確実に防止し、信頼性の向上に寄与する波長可変干渉フィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の波長可変干渉フィルタは、可動鏡を有する可動部が静電引力の作用により変位可能に構成された波長可変干渉フィルタにおいて、前記可動部はシリコンからなり、その表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
可動鏡が形成される可動部の表面には絶縁膜が形成されているので、可動部に過剰の静電引力が働いた場合や、外力により、可動部が通常の可動範囲を超えて、静電駆動電極である支持基板に異常に接近または接触した場合に、放電または電気的短絡が生じないため、波長可変干渉フィルタの信頼性を向上させることができる。
【0007】
また、本発明において、前記可動部の光学的ギャップ側の前記絶縁膜上には前記可動鏡として高反射膜が形成され、前記可動部の静電ギャップ側の前記絶縁膜上には反射防止膜が形成されているものである。
このように構成することにより、上記の効果に加えて、可動部は、支持基板との間に直流または交流電界を印加することで静電引力により変位するため、干渉条件が変化し、高反射膜からなる可動鏡の位置に応じて特定波長の光を分離することができる。
【0008】
ここで、前記高反射膜および反射防止膜は誘電体膜の多層膜からなるものであり、具体的には、シリコン酸化(SiO2)膜および五酸化タンタル(Ta2O5)膜、またはシリコン酸化(SiO2)膜と五酸化タンタル(Ta2O5)膜とシリコン窒化(SiN)膜を交互に積層した多層膜からなるものである。
このような誘電体膜の多層膜とすることで、非常に高い反射率をもつ高反射膜、および非常に低い反射率をもつ反射防止膜が得られる。
【0009】
また、本発明において、前記可動部はシリコンからなり、その外周部が複数のヒンジ部を介して同じシリコンからなる基板接合部に連結されているものである。
この構成により、可動部を支持基板上で水平に浮かせた状態で支持することが可能となり、静電引力の作用により水平に平行に変位させることが可能となる。これによって、高反射膜の固定鏡との間に形成される光学的ギャップは平行に変化する。
【0010】
また、本発明において、前記可動部と所定の静電ギャップを介して対向する基板はシリコンからなり、その基板表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜が形成されているものである。
絶縁膜は、支持基板の表面に形成されていても良いものである。すなわち、静電ギャップを形成する可動部および支持基板の対向面の少なくとも一方に絶縁膜が形成されていればよい。
【0011】
本発明の波長可変干渉フィルタの製造方法は、SOI基板を用いて、ドライエッチングにより、前記SOI基板の活性層に可動部および該可動部を支持する複数のヒンジ部を形成するとともに、前記SOI基板の支持基板に貫通穴を形成する工程と、
ウェットエッチングにより、前記可動部およびヒンジ部の下にある絶縁層を除去する工程と、
前記可動部および支持基板のいずれか一方または両方の表面に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜を形成する工程と、
前記可動部の裏面の前記絶縁膜上には、誘電体膜の反射防止膜を形成し、前記可動部の表面の前記絶縁膜上には、誘電体膜の高反射膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明では、SOI基板を出発材料として可動基板すなわち静電駆動用基板を形成するものである。可動部およびこれを支持するヒンジ部は、SOI基板の活性層の部分に形成され、静電駆動電極となる部分はSOI基板のシリコン支持基板に形成される。可動部およびヒンジ部を浮かせた状態に形成するために、シリコン支持基板には貫通穴がドライエッチングで形成され、さらに可動部およびヒンジ部の下にある絶縁層がウェットエッチングにより除去される。そして、この可動部およびシリコン支持基板のいずれか一方または両方の面に前記絶縁膜を施すことにより、信頼性の高い波長可変干渉フィルタを製造することができる。
また、前記絶縁膜は、熱酸化、減圧熱CVD、またはプラズマCVDのいずれかの方法により形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における波長可変干渉フィルタの断面図、図2は図1の第2の基板を省いて示す第1の基板の上面図である。
この波長可変干渉フィルタ10は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板からなる第1の基板11と、例えばガラス基板からなる第2の基板12とから構成されている。第1の基板11と第2の基板12とは例えば、陽極接合により接合されている。
【0014】
第1の基板11は、特に限定するものではないが、ここではSOI基板を用いて可動基板または静電駆動用基板を構成することにしている。SOI基板は、シリコン支持基板111と、絶縁層(例えば、SiO2膜)112と、Siの活性層113とを順次積層した構造からなっている。SOI基板は市販品を用いても良いし、SiO2膜が形成されたシリコン基板を貼り合わせることによりSOI基板を作製しても良い。
このSOI基板の活性層113の部分に後述する方法により可動鏡を有する可動部13が形成される。可動部13は、シリコンからなり、その表面には、熱酸化、減圧熱CVD、または、プラズマCVD等の方法により、シリコン酸化(SiO2)膜、シリコン窒化(SiN)膜、シリコンオキシナイトライド(SiOHN)等の絶縁膜14が形成されている。
【0015】
そして、可動鏡を構成する高反射膜15と、入射光の反射を防止し効率よく透過させるための反射防止膜16が、それぞれ可動部13の表裏面の上記絶縁膜14上に形成されている。
高反射膜15は、特に限定するものではないが、例えば、屈折率の異なる誘電体膜の、SiO2とTa2O5の薄膜、または、SiO2とTa2O5とSiNの薄膜を交互に2〜40層程度積層した多層膜からなっており、例えば、蒸着法により形成される。高反射膜15の膜厚は、λ/4n(但し、λ:透過させる光の中心波長、n:各々の膜の屈折率)から導いている。また、高反射膜というときは、例えば、反射率95%以上の反射膜をいう。本実施形態では反射率は98%以上となっている。
反射防止膜16は、高反射膜15と同様な誘電体膜の多層膜の構成となっており、例えば、SiO2とTa2O5の薄膜、または、SiO2とTa2O5とSiNの薄膜を交互に2〜40層程度、蒸着法により積層した多層膜である。反射防止膜16と高反射膜15は各層の膜厚を変化させることにより目的の膜に形成される。反射防止膜16の反射率は5%以下が好ましい。
【0016】
可動部13は、図2に示すように、複数のヒンジ部17により外周部を支持され、同じシリコンからなる基板接合部18にヒンジ部17を介して連結されている。
ヒンジ部17は、可動部13の周囲部分をエッチングで円弧状の開口部19に除去することにより、さらに可動部13およびヒンジ部17下部の絶縁層部分(後記の埋め込みSiO2膜をいう)をエッチングで除去することにより、可動部13がシリコン支持基板111上に浮いた状態で形成される。このヒンジ部17は、可動部13とその周囲の同じ活性層である基板接合部18とを連結する支持梁、すなわち可動部13の外周部を支持する梁の形態をなすもので、ばね性を有する。また、ヒンジ部17は実質的に同一の厚さ・幅・長さで2本以上、可動部13の中心に対し対称に設けることが好ましい。可動部13の形状は特に円形に限定されるものではなく、正方形など多角形でもよい。
したがって、可動鏡の高反射膜15が形成された可動部13は、複数のばね性を有するヒンジ部17により、図1において上下方向に変位可能に支持される。
【0017】
可動部13の下方部分に対応するシリコン支持基板111の部分には、エッチングにより可動部13の外径より若干小さい内径をもつ貫通穴20が形成される。光はこの貫通穴20を通して入射される。シリコン支持基板111の上面、すなわち貫通穴20の周縁部分の基板面は可動部13の内側に若干入り込んでおり、可動部13下面との間に間隙すなわち静電ギャップEGが設けられる。静電ギャップEGの初期値(設定値)は例えば4μmであり、可動部13の最大変位量は例えば0.7μmとしている。
静電ギャップEGの一方の面を形成するシリコン支持基板111の上面にも例えば、シリコン酸化膜からなる絶縁膜21が形成されている。
【0018】
第2の基板12は、固定基板であり、ここではガラス基板から構成されている。なお、シリコン基板あるいはSOI基板を用いても良い。第2の基板12にはガラスの等方性エッチングにより凹部22が形成される。凹部22の深さ(エッチング深さ)Hは、特に限定されるものではないが、またこの干渉フィルタ10の分離すべき波長帯域、用途等により異なるが、ここではH=10〜50μmの範囲内で設定される。凹部22の底面23(図示の場合、凹部の上面)は平坦かつ平滑な面となっており、また第2の基板12のエッチング開始面と平行な面を形成する。底面22の面粗さは数nm以下であり、うねりも長さ1mm当たり100オングストローム(0.01μm)以下となっている。光学的面粗さ精度は一般的に波長の1/100以下(Cバンドの場合、15nm以下)とされているので、凹部22のガラスエッチング底面23は光学的面粗さ精度の要求を十分に満たすものとなっている。
【0019】
そして、この凹部22の底面23に固定鏡となる高反射膜24が上記可動部13の高反射膜15と所定の平行間隔すなわち光学的ギャップOG(例えば、間隔:30μm)で対向して形成されている。また、第2の基板12の上面(光出射面)には反射防止膜25が形成されている。高反射膜24および反射防止膜25は、上記第1の基板11における高反射膜15および反射防止膜16と同様の構成からなる誘電体膜の多層膜である。
また、上記のようにエッチングにより形成された凹部22の周囲部分は支柱部26となっており、該支柱部26の高さは凹部22の深さに等しい。
【0020】
第2の基板12は、第1の基板11と陽極接合を行うために、例えばNaやK等のアルカリ金属を含有したガラスが適している。この種のガラスとしてはホウケイ酸系ガラスが適当である。中でも、ホウケイ酸系ガラスの一種であるコーニング社製のパイレックスガラス(♯7740、商品名)が好適である。なお、第2の基板12のエッチングはウェットエッチングまたはドライエッチングのいずれも適用可能である。
【0021】
以上のように構成された第1の基板11は、活性層の基板接合部18にて前記第2の基板12の支柱部26と陽極接合により接合される。これにより、固定鏡の高反射膜24と可動鏡の高反射膜15との間の光学的ギャップOGが高精度に形成、保持される。光学的ギャップOGの距離hは、ファブリペロー干渉計の干渉条件である式(1)により設定される。
h=mλ/2 ・・・(1)
但し、λ:分離する光の波長
m:整数
【0022】
また、この波長可変干渉フィルタ10のフリースペクトル間隔FSR(Free Spectral Range)Δλは式(2)であらわされる。
h=λm 2/2nΔλから、
Δλ=λm+1−λm=λm 2/2nh=Δh・λm/h ・・・(2)
ここに、λm :干渉により選択されるm次の光の波長
Δλ:隣接する透過光波長の差
n :2つの高反射膜間の媒質(ここでは空気)の屈折率
h :2つの高反射膜間の間隔(光学的ギャップ量OG)
Δh:可動部の変位量
【0023】
次に、この波長可変干渉フィルタ10の動作について、図1を参照しながら説明する。
SOI基板からなる第1の基板11の活性層113とシリコン支持基板111に例えば、可変直流電源30を図示のように接続し、活性層113とシリコン支持基板111との間に駆動電圧を印加する。これにより、活性層113と同電位の可動部13はプラスに帯電し、シリコン支持基板111はマイナスに帯電するため、両者間には静電引力が発生してこの静電引力の作用により、可動部13はシリコン支持基板111側に引き寄せられ、ばね性を有するヒンジ部17がたわみ、可動部13は水平状態を保持したまま平行に変位する。この可動部13の位置は駆動電圧を変化させることにより任意の位置に設定することができる。また、直流電圧に代えて、例えば60Hzの交流正弦波電圧やパルス状の電圧を印加した場合でも可動部13は同様の動作を行う。
【0024】
例えば、赤外領域の波長を含む光を第1の基板11に設けられた貫通穴20を通して可動部13に垂直に入射すると、入射された光は可動部13下面の反射防止膜16によりほとんど反射されることなく可動部13を透過し、上下平行に設けられた2つの高反射膜15と24間の空間で反射を繰り返し、上記式(1)の干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰して、最終的にこの干渉条件を満たす波長の光だけが第2の基板12を透過し、基板上面から出射する。このとき、基板12の上面には反射防止膜25が設けられているので、両者の接合界面で反射されることなく目的の波長の光を効率良く取り出す(分離する)ことができる。なお、光は、図示とは逆に図1の上から下へ入射させても同様の作用効果が得られる。
【0025】
可動部13は前述のように任意の位置に変位させることができるため、光の波長を式(2)であらわされるFSR(Δλ)で選択的に分離して取り出すことができる。例えば、光通信におけるCバンド領域である1550nm帯を対象とする場合において、光学的ギャップ量h=30μm、可動部13の変位量Δh=0.7μmのとき、FSRは約40nmのバンド幅に対して各波長を分離することができる。
【0026】
この実施形態によれば、静電ギャップEGを形成する可動部13の下面およびシリコン支持基板111の上面には、絶縁膜14、21が形成されているので、たとえ、可動部13に過剰の静電引力が作用した場合や、何らかの外力により、可動部13が通常の可動範囲を超えて、シリコン支持基板11に異常に接近したり、あるいは接触したりするようなことがあっても、放電や電気的短絡は発生しない。したがって、この波長可変干渉フィルタ10の信頼性は格段に向上する。なお、当該絶縁膜は、可動部13、または電極を構成するシリコン支持基板111のいずれか一方に形成されていればよい。
また、本実施形態の波長可変干渉フィルタ10では、凹部底面23が高精度に形成されているため、光学的ギャップOGもnmオーダーで高精度に形成することができる。そのため、選択的に分離すべき光の波長分離特性が著しく向上することになる。
【0027】
実施の形態2.
ここでは、前述の波長可変干渉フィルタ10の製造方法の一例を図3〜図5に従って説明する。
A.第1の基板の製造方法(図3、図4参照)
(a)SOI基板の準備
基板材料として、厚さ100〜800μmのシリコン層のシリコン支持基板111、厚さ2〜10μmのSiO2膜の絶縁層112、および厚さ10〜200μmのシリコンの活性層113からなるSOI基板110を用いる。本実施形態では、厚さは、シリコン支持基板500μm、絶縁層(SiO2)4μm、活性層10μmとした。
【0028】
(b)エッチングマスクの形成
上記SOI基板110に対してその両面に下記の方法によりエッチングマスク114を形成する。これには2通りの方法があり、いずれを用いてもよい。
1)レジストの場合
東京応化製OFPR800シリーズ(商品名)の30cPをレジストコータにて、3000rpmの回転数でスピンコートし、所定のプリベークを施し、1.5μm厚さのレジスト膜をSOI基板110の両面に形成する。
2)SiO2膜の場合
SOI基板110を熱酸化炉にて、95℃の純水中を通過させたO2ガス雰囲気中で、1100℃、200分の処理を行い、SOI基板110の両面に1.2μmのSiO2膜を形成する。
【0029】
(c)パターニング
1)エッチングマスクがレジストの場合
SOI基板110の裏面に貫通穴のパターンを有するフォトマスクにて、レジストにエッチングパターン115を形成する。
2)エッチングマスクがSiO2膜の場合
SiO2膜上にレジスト膜を形成し、前述の方法によりパターンを形成した後、レジストパターンをマスクに、下地のSiO2膜をフッ酸系エッチング液にて処理し、SiO2膜に貫通穴のエッチングパターン115を形成し、その後レジスト膜を除去する。
【0030】
(d)裏面の異方性ドライエッチング
いわゆる「Bosch」プロセスにより、プラズマエッチング装置にて、エッチングガスとしてSF6等、穴側壁保護膜形成用ガスとして、C4F8等を交互に供給し、高周波電力を印加して、シリコン支持基板111が貫通するまで異方性ドライエッチングを行い、貫通穴116を形成する。
【0031】
(e)表面の異方性ドライエッチング
可動部やヒンジ部を形成するためのパターンを表面に形成したエッチングマスク(レジストまたはSiO2膜)に形成し、上記のBoschプロセスにより、SiをSiO2の絶縁層112が現れるまで異方性ドライエッチングを行う。これにより、可動部117の周囲部分に円弧状の開口部118が形成される。
【0032】
(f)エッチングマスクの除去
1)レジストの場合
95℃に加熱した硫酸−過酸化水素水(硫酸20%)にてエッチングマスクのレジストを剥離する。
2)SiO2膜の場合
フッ酸系エッチング液に浸漬し、エッチングマスクのSiO2膜を剥離する。
【0033】
(g)埋め込みSiO2膜の除去
フッ酸系エッチング液にて、可動部およびヒンジ部下部の埋め込みSiO2膜をエッチング除去する。これにより、可動部およびヒンジ部下部に膜除去部119を形成することで、可動部117の下面とシリコン支持基板111の上面との間に前記静電ギャップ部EGが形成される。
【0034】
(h)絶縁膜の形成
可動部117の放電や電気的短絡を防止するための絶縁膜120を次のように形成する。この方法には次の2通りがあり、いずれを用いてもよい。
1)熱酸化の場合
上記のように各部が形成されたSOI基板110を熱酸化炉にて、O2ガス雰囲気中で、1000℃、100分の処理を行い、SOI基板110のSi露出部分に0.1μm厚さのSiO2膜を形成する。
2)CVDの場合
モノシラン(SiH4)ガスとO2ガスの混合雰囲気中で、400℃、10分の処理を行い、SOI基板110の全面に1μm厚さのSiO2膜を形成する。
なお、絶縁膜120は、上記SiO2膜のほか、窒化シリコン(SiN)あるいはシリコンオキシナイトライド(SiON)でもよい。上記の熱酸化や、減圧熱CVD、プラズマCVD等により形成する。
【0035】
(i)高反射膜、反射防止膜の形成
最後に、可動部117の表面の高反射膜121と裏面の反射防止膜122を形成するために、2〜40層程度、SiO2、Ta2O5、SiNなどを蒸着装置にて交互に積層する。なお、高反射膜121は可動部117の表面のみに形成するため、シャドウマスクを使用する。反射防止膜122を形成する際にもシャドウマスクを使用する。
【0036】
以上により、SOI基板110から、図1に示す第1の基板11に相当する静電駆動用基板130を高精度に製造することができる。また、SOI基板を用いているので、埋め込みSiO2膜がエッチングストップとして働くため、時間管理によらず、正確なエッチング深さが得られ、可動鏡を構成する可動部およびヒンジ部を高精度に形成することができるという利点がある。
【0037】
B.第2の基板の製造方法(図5参照)
(a)エッチングマスク(Cr/Au)のパターニング
コーニング社製パイレックスガラス(商品名)等からなるガラス基板200の両面に、エッチングマスクとなるCr/Auを例えば、スパッタ装置にて成膜し(厚さはCrの場合0.03μm、Auの場合は0.07μm)、ガラス基板200下面のCr/Au膜にレジストを形成後、フォトリソグラフィおよびエッチングを行うことにより、凹部形成用パターン201を形成する。
【0038】
(b)ガラスエッチング
次に、このガラス基板200に対してエッチングを行う。例えば、東京製品開発研究所製のMAX−7011G(商品名、液組成:H2O2とNH4HF2の混合液)を使用してウェットエッチングを行い、凹部202を形成する。25℃、30時間のエッチングで、30μm深さの凹部202を形成することができる。
【0039】
(c)エッチングマスクの除去
Cr/Auのエッチングマスクをそれぞれのエッチング液に順に浸漬してエッチング除去する。
(d)高反射膜および反射防止膜の形成
そして、上記凹部202の底面に高反射膜204を、ガラス基板200の上面に反射防止膜203を、例えば、蒸着装置にて成膜する。高反射膜204、反射防止膜203の膜構成は前述の通り、SiO2、Ta2O5、SiNなどを2〜40層程度積層した多層膜である。
【0040】
以上により、図1に示す第2の基板12に相当するガラス基板(ガラスキャップ)210を製造することができる。なお、凹部202を形成するためのガラスエッチングは上記の一水素二フッ化アンモニウム系エッチング液(例えば、H2O2とNH4HF2の混合液)が優れているが、その他にフッ酸系エッチング液を使用してもよい。
この製造方法では、エッチング時間をコントロールすることにより、凹部202の深さを自由にコントロールでき、かつその凹部底面(上面)を高精度に形成することができる。
【0041】
C.第1の基板と第2の基板の接合
前述の方法により製造されたガラスキャップ210と静電駆動用基板130とを陽極接合により接合する。陽極接合の際にはガラスキャップ210の凹部上面に形成された高反射膜204と静電駆動用基板130の可動部上面に形成された高反射膜121とを平行に対向させて接合する。陽極接合は、例えば、次のようにして行う。
まず、ガラスキャップ210を直流電源のマイナス端子、ガラスキャップ210に接合すべき静電駆動用基板130の活性層113を直流電源のプラス端子にそれぞれ接続する。そして、両基板をともに加熱しながら電圧を印加する。この加熱により、ガラスキャップ210中のナトリウム(Na+)イオンが移動しやすくなる。このNa+イオンの移動により、ガラスの接合面はマイナスに帯電し、シリコンの接合面はプラスに帯電する。その結果、ガラスとシリコンとは強固に接合される。なお、陽極接合以外には、ガラスの軟化点程度に加熱して圧力をかけて接合する方法(溶着法)も実施可能である。
【0042】
また、第1および第2の基板11、12が共にシリコン基板である場合には、直接接合または表面活性化接合により接合される。直接接合は、例えば、次のようにして行われる。
まず、シリコンキャップ210と静電駆動用基板130を共に、硫酸−過酸化水素水混合液(95℃)に一定時間浸漬し、洗浄する。その後、流水洗浄し、乾燥させた後、接合すべき面同士を位置合わせ後、突き合わせて、圧着し、ある程度の接合強度を得る。ついで基板同士を完全に一体化するため、接合体を1000℃の炉で熱処理し、シリコン原子同士の共有結合による直接接合に至らしめる。
【0043】
表面活性化接合は、超高真空(例えば、真空度10−4Pa程度)下で、アルゴン原子ビームにて、接合面のクリーニングを行い、接合すべき面を原子レベルでの清浄面(自然酸化膜もない状態)とし、超高真空下で、基板同士を位置合わせ、突き合わせて、圧着することで、シリコン同士の共有結合による直接接合に至らしめる。この方法は、室温でも可能なため、熱による反り等の問題も発生せず、望ましい接合方法である。
【0044】
実施の形態3.
図示は省略するが、第1の基板11における高反射膜15と反射防止膜16を図1とは上下反対に可動部13の絶縁膜14上に形成することもできる。この場合、第2の基板12はSOI基板のシリコン支持基板111の下面に接合され、しかも平坦な基板で構わない。そして、かかる平坦な第2の基板の上面に固定鏡の高反射膜24を形成し、その裏面に反射防止膜25を形成すればよい。また、シリコン支持基板111に設けられた貫通穴20を介して前記光学的ギャップが形成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す波長可変干渉フィルタの断面図。
【図2】図1の第1の基板の上面図。
【図3】本発明の実施の形態2を示す第1の基板の製造工程図。
【図4】図3に続く製造工程図。
【図5】第2の基板の製造工程図。
【符号の説明】
10 波長可変干渉フィルタ、11 第1の基板、12 第2の基板、13 可動部、14 絶縁膜、15 高反射膜、16 反射防止膜、17 ヒンジ部、18 基板接合部、19 開口部、20 貫通穴、21 絶縁膜、22 凹部、23 凹部の底面、24 高反射膜、25 反射防止膜、26 支柱部、30 可変直流電源、110 SOI基板、111 シリコン支持基板、112 絶縁層、113 活性層、114 エッチングマスク、115 エッチングパターン、116 貫通穴、117 可動部、118 開口部、119 膜除去部、120 絶縁膜、121 高反射膜、122 反射防止膜、130 静電駆動用基板、200 ガラス基板、201 凹部形成用パターン、202 凹部、203 反射防止膜、204 高反射膜、210 ガラス基板(ガラスキャップ)、OG光学的ギャップ、EG 静電ギャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用した、波長可変干渉フィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファブリ・ペロー干渉計の原理を利用した波長可変干渉フィルタは、2つの高反射膜を所定の平行な間隔(光学的ギャップともいう)を隔てて対向配置したもので、波長の選択性が高いことから、特に波長分割多重伝送(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光通信の技術分野にて注目されているものである。このような波長可変干渉フィルタとしては、ポリシリコンからなり、表面に高反射膜(可動鏡)を形成した静電駆動電極側の可動部下面に円周状に複数の突起を設けたファブリ・ペローフィルタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、n型シリコンウエハからなり、静電気により変位させる可動鏡を有するファブリ・ペローフィルタも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第6271052号明細書(第1−2頁、図1C、図1D)
【特許文献2】
米国特許第6271052号明細書(第3−4頁、図4H)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の突起は過剰な駆動電圧が印加された場合、可動鏡を有する可動部と電極が接触、固着することを防止するためのものである。しかしながら、該可動部および突起はポリシリコンで出来ているため、可動部と電極が異常に接近したり、または接触した場合には、放電や電気的短絡が生じる可能性があった。
一方、上記特許文献2では、可動部または駆動用電極には、絶縁膜が設けられていない。可動部下面(駆動用電極側の面)には、シャドウマスクによる反射防止膜が設けられているが、この方法では、静電ギャップ部分に反射防止膜を堆積することは出来ず、該反射防止膜は絶縁膜としては機能しないものである。
【0005】
したがって、本発明は、静電駆動方式の波長可変干渉フィルタにおいて、その故障の原因となる可動部と電極間の放電や電気的短絡を確実に防止し、信頼性の向上に寄与する波長可変干渉フィルタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の波長可変干渉フィルタは、可動鏡を有する可動部が静電引力の作用により変位可能に構成された波長可変干渉フィルタにおいて、前記可動部はシリコンからなり、その表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
可動鏡が形成される可動部の表面には絶縁膜が形成されているので、可動部に過剰の静電引力が働いた場合や、外力により、可動部が通常の可動範囲を超えて、静電駆動電極である支持基板に異常に接近または接触した場合に、放電または電気的短絡が生じないため、波長可変干渉フィルタの信頼性を向上させることができる。
【0007】
また、本発明において、前記可動部の光学的ギャップ側の前記絶縁膜上には前記可動鏡として高反射膜が形成され、前記可動部の静電ギャップ側の前記絶縁膜上には反射防止膜が形成されているものである。
このように構成することにより、上記の効果に加えて、可動部は、支持基板との間に直流または交流電界を印加することで静電引力により変位するため、干渉条件が変化し、高反射膜からなる可動鏡の位置に応じて特定波長の光を分離することができる。
【0008】
ここで、前記高反射膜および反射防止膜は誘電体膜の多層膜からなるものであり、具体的には、シリコン酸化(SiO2)膜および五酸化タンタル(Ta2O5)膜、またはシリコン酸化(SiO2)膜と五酸化タンタル(Ta2O5)膜とシリコン窒化(SiN)膜を交互に積層した多層膜からなるものである。
このような誘電体膜の多層膜とすることで、非常に高い反射率をもつ高反射膜、および非常に低い反射率をもつ反射防止膜が得られる。
【0009】
また、本発明において、前記可動部はシリコンからなり、その外周部が複数のヒンジ部を介して同じシリコンからなる基板接合部に連結されているものである。
この構成により、可動部を支持基板上で水平に浮かせた状態で支持することが可能となり、静電引力の作用により水平に平行に変位させることが可能となる。これによって、高反射膜の固定鏡との間に形成される光学的ギャップは平行に変化する。
【0010】
また、本発明において、前記可動部と所定の静電ギャップを介して対向する基板はシリコンからなり、その基板表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜が形成されているものである。
絶縁膜は、支持基板の表面に形成されていても良いものである。すなわち、静電ギャップを形成する可動部および支持基板の対向面の少なくとも一方に絶縁膜が形成されていればよい。
【0011】
本発明の波長可変干渉フィルタの製造方法は、SOI基板を用いて、ドライエッチングにより、前記SOI基板の活性層に可動部および該可動部を支持する複数のヒンジ部を形成するとともに、前記SOI基板の支持基板に貫通穴を形成する工程と、
ウェットエッチングにより、前記可動部およびヒンジ部の下にある絶縁層を除去する工程と、
前記可動部および支持基板のいずれか一方または両方の表面に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜を形成する工程と、
前記可動部の裏面の前記絶縁膜上には、誘電体膜の反射防止膜を形成し、前記可動部の表面の前記絶縁膜上には、誘電体膜の高反射膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明では、SOI基板を出発材料として可動基板すなわち静電駆動用基板を形成するものである。可動部およびこれを支持するヒンジ部は、SOI基板の活性層の部分に形成され、静電駆動電極となる部分はSOI基板のシリコン支持基板に形成される。可動部およびヒンジ部を浮かせた状態に形成するために、シリコン支持基板には貫通穴がドライエッチングで形成され、さらに可動部およびヒンジ部の下にある絶縁層がウェットエッチングにより除去される。そして、この可動部およびシリコン支持基板のいずれか一方または両方の面に前記絶縁膜を施すことにより、信頼性の高い波長可変干渉フィルタを製造することができる。
また、前記絶縁膜は、熱酸化、減圧熱CVD、またはプラズマCVDのいずれかの方法により形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における波長可変干渉フィルタの断面図、図2は図1の第2の基板を省いて示す第1の基板の上面図である。
この波長可変干渉フィルタ10は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板からなる第1の基板11と、例えばガラス基板からなる第2の基板12とから構成されている。第1の基板11と第2の基板12とは例えば、陽極接合により接合されている。
【0014】
第1の基板11は、特に限定するものではないが、ここではSOI基板を用いて可動基板または静電駆動用基板を構成することにしている。SOI基板は、シリコン支持基板111と、絶縁層(例えば、SiO2膜)112と、Siの活性層113とを順次積層した構造からなっている。SOI基板は市販品を用いても良いし、SiO2膜が形成されたシリコン基板を貼り合わせることによりSOI基板を作製しても良い。
このSOI基板の活性層113の部分に後述する方法により可動鏡を有する可動部13が形成される。可動部13は、シリコンからなり、その表面には、熱酸化、減圧熱CVD、または、プラズマCVD等の方法により、シリコン酸化(SiO2)膜、シリコン窒化(SiN)膜、シリコンオキシナイトライド(SiOHN)等の絶縁膜14が形成されている。
【0015】
そして、可動鏡を構成する高反射膜15と、入射光の反射を防止し効率よく透過させるための反射防止膜16が、それぞれ可動部13の表裏面の上記絶縁膜14上に形成されている。
高反射膜15は、特に限定するものではないが、例えば、屈折率の異なる誘電体膜の、SiO2とTa2O5の薄膜、または、SiO2とTa2O5とSiNの薄膜を交互に2〜40層程度積層した多層膜からなっており、例えば、蒸着法により形成される。高反射膜15の膜厚は、λ/4n(但し、λ:透過させる光の中心波長、n:各々の膜の屈折率)から導いている。また、高反射膜というときは、例えば、反射率95%以上の反射膜をいう。本実施形態では反射率は98%以上となっている。
反射防止膜16は、高反射膜15と同様な誘電体膜の多層膜の構成となっており、例えば、SiO2とTa2O5の薄膜、または、SiO2とTa2O5とSiNの薄膜を交互に2〜40層程度、蒸着法により積層した多層膜である。反射防止膜16と高反射膜15は各層の膜厚を変化させることにより目的の膜に形成される。反射防止膜16の反射率は5%以下が好ましい。
【0016】
可動部13は、図2に示すように、複数のヒンジ部17により外周部を支持され、同じシリコンからなる基板接合部18にヒンジ部17を介して連結されている。
ヒンジ部17は、可動部13の周囲部分をエッチングで円弧状の開口部19に除去することにより、さらに可動部13およびヒンジ部17下部の絶縁層部分(後記の埋め込みSiO2膜をいう)をエッチングで除去することにより、可動部13がシリコン支持基板111上に浮いた状態で形成される。このヒンジ部17は、可動部13とその周囲の同じ活性層である基板接合部18とを連結する支持梁、すなわち可動部13の外周部を支持する梁の形態をなすもので、ばね性を有する。また、ヒンジ部17は実質的に同一の厚さ・幅・長さで2本以上、可動部13の中心に対し対称に設けることが好ましい。可動部13の形状は特に円形に限定されるものではなく、正方形など多角形でもよい。
したがって、可動鏡の高反射膜15が形成された可動部13は、複数のばね性を有するヒンジ部17により、図1において上下方向に変位可能に支持される。
【0017】
可動部13の下方部分に対応するシリコン支持基板111の部分には、エッチングにより可動部13の外径より若干小さい内径をもつ貫通穴20が形成される。光はこの貫通穴20を通して入射される。シリコン支持基板111の上面、すなわち貫通穴20の周縁部分の基板面は可動部13の内側に若干入り込んでおり、可動部13下面との間に間隙すなわち静電ギャップEGが設けられる。静電ギャップEGの初期値(設定値)は例えば4μmであり、可動部13の最大変位量は例えば0.7μmとしている。
静電ギャップEGの一方の面を形成するシリコン支持基板111の上面にも例えば、シリコン酸化膜からなる絶縁膜21が形成されている。
【0018】
第2の基板12は、固定基板であり、ここではガラス基板から構成されている。なお、シリコン基板あるいはSOI基板を用いても良い。第2の基板12にはガラスの等方性エッチングにより凹部22が形成される。凹部22の深さ(エッチング深さ)Hは、特に限定されるものではないが、またこの干渉フィルタ10の分離すべき波長帯域、用途等により異なるが、ここではH=10〜50μmの範囲内で設定される。凹部22の底面23(図示の場合、凹部の上面)は平坦かつ平滑な面となっており、また第2の基板12のエッチング開始面と平行な面を形成する。底面22の面粗さは数nm以下であり、うねりも長さ1mm当たり100オングストローム(0.01μm)以下となっている。光学的面粗さ精度は一般的に波長の1/100以下(Cバンドの場合、15nm以下)とされているので、凹部22のガラスエッチング底面23は光学的面粗さ精度の要求を十分に満たすものとなっている。
【0019】
そして、この凹部22の底面23に固定鏡となる高反射膜24が上記可動部13の高反射膜15と所定の平行間隔すなわち光学的ギャップOG(例えば、間隔:30μm)で対向して形成されている。また、第2の基板12の上面(光出射面)には反射防止膜25が形成されている。高反射膜24および反射防止膜25は、上記第1の基板11における高反射膜15および反射防止膜16と同様の構成からなる誘電体膜の多層膜である。
また、上記のようにエッチングにより形成された凹部22の周囲部分は支柱部26となっており、該支柱部26の高さは凹部22の深さに等しい。
【0020】
第2の基板12は、第1の基板11と陽極接合を行うために、例えばNaやK等のアルカリ金属を含有したガラスが適している。この種のガラスとしてはホウケイ酸系ガラスが適当である。中でも、ホウケイ酸系ガラスの一種であるコーニング社製のパイレックスガラス(♯7740、商品名)が好適である。なお、第2の基板12のエッチングはウェットエッチングまたはドライエッチングのいずれも適用可能である。
【0021】
以上のように構成された第1の基板11は、活性層の基板接合部18にて前記第2の基板12の支柱部26と陽極接合により接合される。これにより、固定鏡の高反射膜24と可動鏡の高反射膜15との間の光学的ギャップOGが高精度に形成、保持される。光学的ギャップOGの距離hは、ファブリペロー干渉計の干渉条件である式(1)により設定される。
h=mλ/2 ・・・(1)
但し、λ:分離する光の波長
m:整数
【0022】
また、この波長可変干渉フィルタ10のフリースペクトル間隔FSR(Free Spectral Range)Δλは式(2)であらわされる。
h=λm 2/2nΔλから、
Δλ=λm+1−λm=λm 2/2nh=Δh・λm/h ・・・(2)
ここに、λm :干渉により選択されるm次の光の波長
Δλ:隣接する透過光波長の差
n :2つの高反射膜間の媒質(ここでは空気)の屈折率
h :2つの高反射膜間の間隔(光学的ギャップ量OG)
Δh:可動部の変位量
【0023】
次に、この波長可変干渉フィルタ10の動作について、図1を参照しながら説明する。
SOI基板からなる第1の基板11の活性層113とシリコン支持基板111に例えば、可変直流電源30を図示のように接続し、活性層113とシリコン支持基板111との間に駆動電圧を印加する。これにより、活性層113と同電位の可動部13はプラスに帯電し、シリコン支持基板111はマイナスに帯電するため、両者間には静電引力が発生してこの静電引力の作用により、可動部13はシリコン支持基板111側に引き寄せられ、ばね性を有するヒンジ部17がたわみ、可動部13は水平状態を保持したまま平行に変位する。この可動部13の位置は駆動電圧を変化させることにより任意の位置に設定することができる。また、直流電圧に代えて、例えば60Hzの交流正弦波電圧やパルス状の電圧を印加した場合でも可動部13は同様の動作を行う。
【0024】
例えば、赤外領域の波長を含む光を第1の基板11に設けられた貫通穴20を通して可動部13に垂直に入射すると、入射された光は可動部13下面の反射防止膜16によりほとんど反射されることなく可動部13を透過し、上下平行に設けられた2つの高反射膜15と24間の空間で反射を繰り返し、上記式(1)の干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰して、最終的にこの干渉条件を満たす波長の光だけが第2の基板12を透過し、基板上面から出射する。このとき、基板12の上面には反射防止膜25が設けられているので、両者の接合界面で反射されることなく目的の波長の光を効率良く取り出す(分離する)ことができる。なお、光は、図示とは逆に図1の上から下へ入射させても同様の作用効果が得られる。
【0025】
可動部13は前述のように任意の位置に変位させることができるため、光の波長を式(2)であらわされるFSR(Δλ)で選択的に分離して取り出すことができる。例えば、光通信におけるCバンド領域である1550nm帯を対象とする場合において、光学的ギャップ量h=30μm、可動部13の変位量Δh=0.7μmのとき、FSRは約40nmのバンド幅に対して各波長を分離することができる。
【0026】
この実施形態によれば、静電ギャップEGを形成する可動部13の下面およびシリコン支持基板111の上面には、絶縁膜14、21が形成されているので、たとえ、可動部13に過剰の静電引力が作用した場合や、何らかの外力により、可動部13が通常の可動範囲を超えて、シリコン支持基板11に異常に接近したり、あるいは接触したりするようなことがあっても、放電や電気的短絡は発生しない。したがって、この波長可変干渉フィルタ10の信頼性は格段に向上する。なお、当該絶縁膜は、可動部13、または電極を構成するシリコン支持基板111のいずれか一方に形成されていればよい。
また、本実施形態の波長可変干渉フィルタ10では、凹部底面23が高精度に形成されているため、光学的ギャップOGもnmオーダーで高精度に形成することができる。そのため、選択的に分離すべき光の波長分離特性が著しく向上することになる。
【0027】
実施の形態2.
ここでは、前述の波長可変干渉フィルタ10の製造方法の一例を図3〜図5に従って説明する。
A.第1の基板の製造方法(図3、図4参照)
(a)SOI基板の準備
基板材料として、厚さ100〜800μmのシリコン層のシリコン支持基板111、厚さ2〜10μmのSiO2膜の絶縁層112、および厚さ10〜200μmのシリコンの活性層113からなるSOI基板110を用いる。本実施形態では、厚さは、シリコン支持基板500μm、絶縁層(SiO2)4μm、活性層10μmとした。
【0028】
(b)エッチングマスクの形成
上記SOI基板110に対してその両面に下記の方法によりエッチングマスク114を形成する。これには2通りの方法があり、いずれを用いてもよい。
1)レジストの場合
東京応化製OFPR800シリーズ(商品名)の30cPをレジストコータにて、3000rpmの回転数でスピンコートし、所定のプリベークを施し、1.5μm厚さのレジスト膜をSOI基板110の両面に形成する。
2)SiO2膜の場合
SOI基板110を熱酸化炉にて、95℃の純水中を通過させたO2ガス雰囲気中で、1100℃、200分の処理を行い、SOI基板110の両面に1.2μmのSiO2膜を形成する。
【0029】
(c)パターニング
1)エッチングマスクがレジストの場合
SOI基板110の裏面に貫通穴のパターンを有するフォトマスクにて、レジストにエッチングパターン115を形成する。
2)エッチングマスクがSiO2膜の場合
SiO2膜上にレジスト膜を形成し、前述の方法によりパターンを形成した後、レジストパターンをマスクに、下地のSiO2膜をフッ酸系エッチング液にて処理し、SiO2膜に貫通穴のエッチングパターン115を形成し、その後レジスト膜を除去する。
【0030】
(d)裏面の異方性ドライエッチング
いわゆる「Bosch」プロセスにより、プラズマエッチング装置にて、エッチングガスとしてSF6等、穴側壁保護膜形成用ガスとして、C4F8等を交互に供給し、高周波電力を印加して、シリコン支持基板111が貫通するまで異方性ドライエッチングを行い、貫通穴116を形成する。
【0031】
(e)表面の異方性ドライエッチング
可動部やヒンジ部を形成するためのパターンを表面に形成したエッチングマスク(レジストまたはSiO2膜)に形成し、上記のBoschプロセスにより、SiをSiO2の絶縁層112が現れるまで異方性ドライエッチングを行う。これにより、可動部117の周囲部分に円弧状の開口部118が形成される。
【0032】
(f)エッチングマスクの除去
1)レジストの場合
95℃に加熱した硫酸−過酸化水素水(硫酸20%)にてエッチングマスクのレジストを剥離する。
2)SiO2膜の場合
フッ酸系エッチング液に浸漬し、エッチングマスクのSiO2膜を剥離する。
【0033】
(g)埋め込みSiO2膜の除去
フッ酸系エッチング液にて、可動部およびヒンジ部下部の埋め込みSiO2膜をエッチング除去する。これにより、可動部およびヒンジ部下部に膜除去部119を形成することで、可動部117の下面とシリコン支持基板111の上面との間に前記静電ギャップ部EGが形成される。
【0034】
(h)絶縁膜の形成
可動部117の放電や電気的短絡を防止するための絶縁膜120を次のように形成する。この方法には次の2通りがあり、いずれを用いてもよい。
1)熱酸化の場合
上記のように各部が形成されたSOI基板110を熱酸化炉にて、O2ガス雰囲気中で、1000℃、100分の処理を行い、SOI基板110のSi露出部分に0.1μm厚さのSiO2膜を形成する。
2)CVDの場合
モノシラン(SiH4)ガスとO2ガスの混合雰囲気中で、400℃、10分の処理を行い、SOI基板110の全面に1μm厚さのSiO2膜を形成する。
なお、絶縁膜120は、上記SiO2膜のほか、窒化シリコン(SiN)あるいはシリコンオキシナイトライド(SiON)でもよい。上記の熱酸化や、減圧熱CVD、プラズマCVD等により形成する。
【0035】
(i)高反射膜、反射防止膜の形成
最後に、可動部117の表面の高反射膜121と裏面の反射防止膜122を形成するために、2〜40層程度、SiO2、Ta2O5、SiNなどを蒸着装置にて交互に積層する。なお、高反射膜121は可動部117の表面のみに形成するため、シャドウマスクを使用する。反射防止膜122を形成する際にもシャドウマスクを使用する。
【0036】
以上により、SOI基板110から、図1に示す第1の基板11に相当する静電駆動用基板130を高精度に製造することができる。また、SOI基板を用いているので、埋め込みSiO2膜がエッチングストップとして働くため、時間管理によらず、正確なエッチング深さが得られ、可動鏡を構成する可動部およびヒンジ部を高精度に形成することができるという利点がある。
【0037】
B.第2の基板の製造方法(図5参照)
(a)エッチングマスク(Cr/Au)のパターニング
コーニング社製パイレックスガラス(商品名)等からなるガラス基板200の両面に、エッチングマスクとなるCr/Auを例えば、スパッタ装置にて成膜し(厚さはCrの場合0.03μm、Auの場合は0.07μm)、ガラス基板200下面のCr/Au膜にレジストを形成後、フォトリソグラフィおよびエッチングを行うことにより、凹部形成用パターン201を形成する。
【0038】
(b)ガラスエッチング
次に、このガラス基板200に対してエッチングを行う。例えば、東京製品開発研究所製のMAX−7011G(商品名、液組成:H2O2とNH4HF2の混合液)を使用してウェットエッチングを行い、凹部202を形成する。25℃、30時間のエッチングで、30μm深さの凹部202を形成することができる。
【0039】
(c)エッチングマスクの除去
Cr/Auのエッチングマスクをそれぞれのエッチング液に順に浸漬してエッチング除去する。
(d)高反射膜および反射防止膜の形成
そして、上記凹部202の底面に高反射膜204を、ガラス基板200の上面に反射防止膜203を、例えば、蒸着装置にて成膜する。高反射膜204、反射防止膜203の膜構成は前述の通り、SiO2、Ta2O5、SiNなどを2〜40層程度積層した多層膜である。
【0040】
以上により、図1に示す第2の基板12に相当するガラス基板(ガラスキャップ)210を製造することができる。なお、凹部202を形成するためのガラスエッチングは上記の一水素二フッ化アンモニウム系エッチング液(例えば、H2O2とNH4HF2の混合液)が優れているが、その他にフッ酸系エッチング液を使用してもよい。
この製造方法では、エッチング時間をコントロールすることにより、凹部202の深さを自由にコントロールでき、かつその凹部底面(上面)を高精度に形成することができる。
【0041】
C.第1の基板と第2の基板の接合
前述の方法により製造されたガラスキャップ210と静電駆動用基板130とを陽極接合により接合する。陽極接合の際にはガラスキャップ210の凹部上面に形成された高反射膜204と静電駆動用基板130の可動部上面に形成された高反射膜121とを平行に対向させて接合する。陽極接合は、例えば、次のようにして行う。
まず、ガラスキャップ210を直流電源のマイナス端子、ガラスキャップ210に接合すべき静電駆動用基板130の活性層113を直流電源のプラス端子にそれぞれ接続する。そして、両基板をともに加熱しながら電圧を印加する。この加熱により、ガラスキャップ210中のナトリウム(Na+)イオンが移動しやすくなる。このNa+イオンの移動により、ガラスの接合面はマイナスに帯電し、シリコンの接合面はプラスに帯電する。その結果、ガラスとシリコンとは強固に接合される。なお、陽極接合以外には、ガラスの軟化点程度に加熱して圧力をかけて接合する方法(溶着法)も実施可能である。
【0042】
また、第1および第2の基板11、12が共にシリコン基板である場合には、直接接合または表面活性化接合により接合される。直接接合は、例えば、次のようにして行われる。
まず、シリコンキャップ210と静電駆動用基板130を共に、硫酸−過酸化水素水混合液(95℃)に一定時間浸漬し、洗浄する。その後、流水洗浄し、乾燥させた後、接合すべき面同士を位置合わせ後、突き合わせて、圧着し、ある程度の接合強度を得る。ついで基板同士を完全に一体化するため、接合体を1000℃の炉で熱処理し、シリコン原子同士の共有結合による直接接合に至らしめる。
【0043】
表面活性化接合は、超高真空(例えば、真空度10−4Pa程度)下で、アルゴン原子ビームにて、接合面のクリーニングを行い、接合すべき面を原子レベルでの清浄面(自然酸化膜もない状態)とし、超高真空下で、基板同士を位置合わせ、突き合わせて、圧着することで、シリコン同士の共有結合による直接接合に至らしめる。この方法は、室温でも可能なため、熱による反り等の問題も発生せず、望ましい接合方法である。
【0044】
実施の形態3.
図示は省略するが、第1の基板11における高反射膜15と反射防止膜16を図1とは上下反対に可動部13の絶縁膜14上に形成することもできる。この場合、第2の基板12はSOI基板のシリコン支持基板111の下面に接合され、しかも平坦な基板で構わない。そして、かかる平坦な第2の基板の上面に固定鏡の高反射膜24を形成し、その裏面に反射防止膜25を形成すればよい。また、シリコン支持基板111に設けられた貫通穴20を介して前記光学的ギャップが形成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す波長可変干渉フィルタの断面図。
【図2】図1の第1の基板の上面図。
【図3】本発明の実施の形態2を示す第1の基板の製造工程図。
【図4】図3に続く製造工程図。
【図5】第2の基板の製造工程図。
【符号の説明】
10 波長可変干渉フィルタ、11 第1の基板、12 第2の基板、13 可動部、14 絶縁膜、15 高反射膜、16 反射防止膜、17 ヒンジ部、18 基板接合部、19 開口部、20 貫通穴、21 絶縁膜、22 凹部、23 凹部の底面、24 高反射膜、25 反射防止膜、26 支柱部、30 可変直流電源、110 SOI基板、111 シリコン支持基板、112 絶縁層、113 活性層、114 エッチングマスク、115 エッチングパターン、116 貫通穴、117 可動部、118 開口部、119 膜除去部、120 絶縁膜、121 高反射膜、122 反射防止膜、130 静電駆動用基板、200 ガラス基板、201 凹部形成用パターン、202 凹部、203 反射防止膜、204 高反射膜、210 ガラス基板(ガラスキャップ)、OG光学的ギャップ、EG 静電ギャップ
Claims (8)
- 可動鏡を有する可動部が静電引力の作用により変位可能に構成された波長可変干渉フィルタにおいて、前記可動部はシリコンからなり、その表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜が形成されていることを特徴とする波長可変干渉フィルタ。
- 前記可動部の光学的ギャップ側の前記絶縁膜上には前記可動鏡として高反射膜が形成され、前記可動部の静電ギャップ側の前記絶縁膜上には反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の波長可変干渉フィルタ。
- 前記高反射膜および反射防止膜は誘電体膜の多層膜からなることを特徴とする請求項2記載の波長可変干渉フィルタ。
- 前記高反射膜および反射防止膜はSiO2およびTa2O5、またはSiO2とTa2O5とSiNを交互に積層した多層膜からなることを特徴とする請求項2または3記載の波長可変干渉フィルタ。
- 前記可動部はシリコンからなり、その外周部が複数のヒンジ部を介して同じシリコンからなる基板接合部に連結されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の波長可変干渉フィルタ。
- 前記可動部と所定の静電ギャップを介して対向する基板はシリコンからなり、その基板表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の波長可変干渉フィルタ。
- SOI基板を用いて、ドライエッチングにより、前記SOI基板の活性層に可動部および該可動部を支持する複数のヒンジ部を形成するとともに、前記SOI基板の支持基板に貫通穴を形成する工程と、
ウェットエッチングにより、前記可動部およびヒンジ部の下にある絶縁層を除去する工程と、
前記可動部および支持基板のいずれか一方または両方の表面に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコンオキシナイトライド等の絶縁膜を形成する工程と、
前記可動部の裏面の前記絶縁膜上には、誘電体膜の反射防止膜を形成し、前記可動部の表面の前記絶縁膜上には、誘電体膜の高反射膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする波長可変干渉フィルタの製造方法。 - 前記絶縁膜は、熱酸化、減圧熱CVD、またはプラズマCVDのいずれかの方法により形成することを特徴とする請求項7記載の波長可変干渉フィルタの製造方法。
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