JP2005024798A - ディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】小形で低コストなヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】利用者の頭部に装着される表示ユニット2は、反射型液晶ディスプレイ等のマイクロディスプレイ5と、画像を利用者の網膜21に結像させる結像レンズ6を備える。光源ユニット3は、表示ユニット2とは独立したケース3aに、発光ダイオード10R,10G,10Bを備える。表示ユニット2と光源ユニット3の間は光配線4で接続される。発光ダイオード10R,10G,10Bで出射した光は光配線4に入射し、この光配線4を導波されてマイクロディスプレイ5を照射する。光配線4を用いることで光源ユニット3が分離できることから、表示ユニット2の小型化を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】利用者の頭部に装着される表示ユニット2は、反射型液晶ディスプレイ等のマイクロディスプレイ5と、画像を利用者の網膜21に結像させる結像レンズ6を備える。光源ユニット3は、表示ユニット2とは独立したケース3aに、発光ダイオード10R,10G,10Bを備える。表示ユニット2と光源ユニット3の間は光配線4で接続される。発光ダイオード10R,10G,10Bで出射した光は光配線4に入射し、この光配線4を導波されてマイクロディスプレイ5を照射する。光配線4を用いることで光源ユニット3が分離できることから、表示ユニット2の小型化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像を直接網膜上に結像させて観察できるようにしたディスプレイに関する。詳しくは、表示ユニットに対して光配線を用いて光源を分離することで、表示ユニットの小形化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
映像を直接網膜上に結像させて観察できるようにすることで、映像ソフト、ゲーム、コンピュータ画面、映画等を自分だけの大画面で楽しめるディスプレイとして、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display;HMD)の開発がなされている。すなわち、ヘッドマウントディスプレイは、利用者の頭部に装着されるユニットに液晶ディスプレイ等の表示手段や、画像を利用者の網膜で結合させるレンズ等を備えたものである。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図10はこのような従来のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図で、以下、図面を参照して、従来のヘッドマウントディスプレイの構成について説明する。
【0004】
従来のヘッドマウントディスプレイ100は、マイクロディスプレイ101と、マイクロディスプレイ101の像を利用者の目120の網膜121に結像する結合レンズ102と、利用者の網膜121で反射した反射光の明るさを検出する反射光検出手段103と、利用者の網膜121での反射光を反射光検出手段103へ導くプリズム104と、反射光の明るさにより網膜上の結像を最適化するように、マイクロディスプレイ101と結合レンズ102の位置関係を調整する位置調整手段105と、マイクロディスプレイに光を照射する光源106から構成されている。
【0005】
以上の構成では、目120の水晶体122の状況に拘わらず、マイクロディスプレイ101と結合レンズ102との位置関係が自動的に網膜上での結像を最適化するように調整される。このため、水晶体122の働きによりマイクロディスプレイ102の位置で焦点が合うように調整される前に、水晶体122の状態に合わせて焦点が調整されるため、外界を見る目の状態でマイクロディスプレイ102の画像を違和感無く観察することができる。
【0006】
ヘッドマウントディスプレイ100に組み込まれるマイクロディスプレイ101としては、小型液晶ディスプレイの液晶層により各画素を形成する。この場合、シリコン基板上に形成することが論理回路作製に好適であるため、反射型の液晶ディスプレイが好ましい。
【0007】
そして、利用者の頭部に装着されるケース106の内部に、光源105としてR(赤),G(緑),B(青)の3原色の発光ダイオード(LED)を設けておき、各発光ダイオードを液晶層の各画素と同期させて駆動することで、その混合色の反射色によりカラー表示をさせることができる。
【0008】
また、マイクロディスプレイ101として、シリコンなどの基板上に形成された制御回路と有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子による発光素子から画素を構成するものも考えられている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−188193号公報(図3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のヘッドマウントディスプレイでは、小型化、高信頼性、低コスト化の全てを満足することはできないという問題がある。すなわち、マイクロディスプレイとして反射型の液晶ディスプレイを用いる方式では、カラー表示を行うためには、R,G,Bからなる3色の発光ダイオードをケース内部に収納する必要がある。このため、利用者の頭部に装着するケースが大きくなるという問題がある。利用者の頭部に装着して使用されるヘッドマウントディスプレイとしては、操作性の向上のためにも小型化が要求されている。
【0011】
また、マイクロディスプレイとして有機ELを使用した場合、発光寿命の限界が短く信頼性に欠けるという問題がある。また、制御回路と有機ELを組み合わせて製造することは高度な技術を必要としコストが増大するという問題がある。ゲーム機やパーソナルコンピュータに接続して使用されるヘッドマウントディスプレイとしては、低コスト化が要求されている。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、小形で信頼性が高く、かつ低コストなディスプレイを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係るディスプレイは、光の照射を受けて画像を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットと独立した筐体に発光手段を収納した光源ユニットと、表示ユニットと光源ユニットを光学的に接続し、発光手段で出射した光を表示手段に照射する可とう性を有した光配線手段とを備えたものである。
【0014】
本発明に係るディスプレイによれば、光源ユニットの発光手段から照射された光は、光配線手段によって表示ユニットへ導かれ、表示手段を照射する。これにより、表示手段に表示された画像を観察することができる。
【0015】
表示ユニットと光源ユニットを光配線手段で接続することで、光源ユニットを表示ユニットから離した形態で使用が可能である。よって、表示ユニットを小形にすることができる。したがって、表示ユニットが利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイに適用すれば、操作性を向上させることができる。
【0016】
また、カラー表示を行う場合は、発光手段として、赤色の発光素子と、緑色の発光素子と、青色の発光素子を用いるが、各発光素子を表示ユニットに設ける必要がないので、カラー表示を行う場合も、表示ユニットが大型になることはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明のディスプレイの実施の形態について説明する。図1は本発明のディスプレイが適用された本実施の形態のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図である。
【0018】
本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1は、利用者の頭部に装着される表示ユニット2に対して光源ユニット3を分離し、表示ユニット2と光源ユニット3を光配線4で接続したものである。
【0019】
表示ユニット2は、ケース2aの内部にマイクロディスプレイ5と、結像レンズ6と、プリズム7と、反射光検出素子8と、位置調整機構9等を備える。マイクロディスプレイ5は表示手段の一例で、反射型の液晶ディスプレイから構成される。
【0020】
結像レンズ6は結像手段の一例で、ガラスまたはプラスチックの凸レンズから構成される。結像レンズ6はマイクロディスプレイ5と対向して配置され、マイクロディスプレイ2上の画像を集光して、利用者の目20の網膜21に結像させる。
【0021】
プリズム7は、マイクロディスプレイ5と結像レンズ6との間に配置され、利用者の網膜21からの反射光の光路を90°変換する。なお、プリズム7に代えて、ハーフミラーを用いてもよい。
【0022】
反射光検出素子8は反射光検出手段の一例で、フォトダイオード等から構成される。反射光検出素子8は、プリズム7により変換された反射光の光路上に位置し、利用者の網膜21からの反射光を検出する。
【0023】
位置調整機構9は位置調整手段の一例で、磁石9aと駆動コイル9b等から構成される。例えば、磁石9aがケース2a側に取り付けられ、駆動コイル9bが結像レンズ6に取り付けられ、駆動電流が駆動コイル9bに供給されることで、結像レンズ6が矢印方向に移動する構成である。
【0024】
光源ユニット3は、表示ユニット2のケース2aと独立した筐体であるケース3aを備える。このケース3aの内部に、R(赤)の発光ダイオード10Rと、G(緑)の発光ダイオード10Gと、B(青)の発光ダイオード10Bを備える。
【0025】
また、光源ユニット3には、発光ダイオード10R,10G,10Bを駆動する図示しない駆動回路が備えられる。なお、表示ユニット2のマイクロディスプレイ5の画素の駆動と発光ダイオード10R,10G,10Bの駆動を同期させるための信号の送受や電源の供給のため、光源ユニット3と表示ユニット2の間を接続する図示しないケーブルを有する。
【0026】
光配線4は光配線手段の一例で、平面型導波路や光ファイバ等で構成される。光配線4の構成の詳細については後述するが、光配線4の一方の端部側に入射部11aを有し、他方の端部側に出射部11bを有する。光配線4は一方の端部側が光源ユニット3に接続され、発光ダイオード10R,10G,10Bで出射した光が入射部11aに入射するように構成される。また、光配線4の他方の端部側が表示ユニット2に接続され、光配線4を導波され出射部11bから出射される光がマイクロディスプレイ5を照射するように構成される。
【0027】
以下に、ヘッドマウントディスプレイ1の動作を説明すると、発光ダイオード10R,10G,10Bから出射された3色の光、すなわち、R、G、Bの3原色の光は、光配線4の入射部11aから入射する。光配線4に入射した光はこの光配線4を導波され、出射部11bから出射してマイクロディスプレイ5を照射する。各発光ダイオード10R,10G,10Bを、マイクロディスプレイ5を構成する液晶層の各画素と同期させて駆動することで、混合色の反射光によりカラー表示が行われる。
【0028】
マイクロディスプレイ5に表示された画像は、結像レンズ6により集光され、利用者の目20の網膜21に結像する。これにより、利用者はマイクロディスプレイ5に表示された画像を観察することができる。
【0029】
さて、利用者20の網膜21で反射した光は、プリズム7にて光路を変え反射光検出素子8に入射する。結像レンズ6による網膜21への結像が最適であれば、網膜21による反射光も最も大きく、焦点がずれると反射光が小さくなる。
【0030】
このため、駆動コイル9bに駆動電流を供給して結像レンズ6を移動させながら、反射光検出素子8へ入射する網膜21からの反射光の検出量が最大となる位置を探す。そして、反射光検出素子8で検出した反射光量が最大となる位置で駆動コイル9bへの駆動電流の供給を停止して、結像レンズ6の移動を停止する。
【0031】
これにより、利用者の目20の水晶体22の状態に拘わらず、結像レンズ6が自動的に最適な位置に調整され、網膜21上で結像させることができる。よって、水晶体22の働きによりマイクロディスプレイ5の位置で焦点が合うように調整される前に、水晶体22の状態に合わせて焦点が調整されるため、外界を見る目20の状態でマイクロディスプレイ5の画像を違和感無く観察することができる。なお、利用者の網膜21に焦点を合わせる場合、マイクロディスプレイ5と結像レンズ6の相対的な位置関係で焦点位置が決まるため、結像レンズ6ではなく、マイクロディスプレイ5を移動させる構成としてもよい。また、マイクロディスプレイと結像レンズ6の両方を移動させる構成でもよい。
【0032】
ヘッドマウントディスプレイ1の変形例として、例えば、マイクロディスプレイ5として、カラーフィルタを有する反射型の液晶ディスプレイを備えるとともに、光源ユニット3に発光素子として白色の発光ダイオードを備える構成とする。以上の構成では、白色の発光ダイオードから出射される光を光配線4で表示ユニット2内に導波し、フロントライトとして使用することで、カラー表示を行うことができる。よって、光配線4としては、1色の光を導波すれば良いことから、周知の光ファイバケーブルを利用することが可能となる。
【0033】
また、位置調整手段として、手動で結像レンズ6の位置を調整する構成を備えても良い。以上の構成では、プリズム7、反射光検出素子8、磁石9aおよび駆動コイル9bが不要となることから、表示ユニット2の構成の複雑化を防ぎ、小型化を図ることができる。
【0034】
さらに、表示手段として、小形電気機械式走査装置(MEMS)と透過型のイメージパネルを用いる構成でもよい。すなわち、光源ユニット3からの光を合波し、小形電気機械式走査装置の反射手段であるミラーに出射する構成を例えば光配線4に備えるとともに、表示ユニット2に結像手段として複数枚のレンズからなるレンズ群を備える。以上の構成によれば、光配線4の出射部11bから出射した光は、小形電気機械式走査装置のミラーで走査されてイメージパネルに画像が形成され、このイメージパネルを透過した光がレンズ群で利用者の網膜に結像されて、利用者が観察できるようになる。
【0035】
以下に、光配線4のいくつかの構成例について説明する。まず、図2は第1の実施の形態の光配線4Aの構成例を示す説明図で、図2(a)は入射部側の斜視図、図2(b)は平面図である。ここで、以下の光配線4の説明では、発光ダイオード10R,10G,10Bは模式的に示している。
【0036】
光配線4Aは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。図1に示すように、光源ユニット3には、発光手段として3色(R,G,B)の発光ダイオード10R,10G,10Bが備えられる。光配線4Aは、発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合するため、図1に示す光源ユニット3と接続する入射部11a側に3本のコア12R,12G,12Bを備える。各コア12R,12G,12Bの端面は光配線4Aの入射部11aの端面に露出し、コア12Rが発光ダイオード10Rと光学的に結合する。また、コア12Gが発光ダイオード10Gと光学的に結合し、コア12Bが発光ダイオード10Bと光学的に結合する。
【0037】
コア12R,12G,12Bはクラッド13の内部で1本に集結してコア12を構成する。そして、図1に示す表示ユニット2と接続する光配線4Aの出射部11bの端面に、コア12の端面が露出している。なお、コア12(R,G,B)の屈折率は、クラッド13の屈折率よりも0.2〜3.0%大きい方が望ましい。
【0038】
以上の構成では、発光ダイオード10Rを発光させて出射した光は、光配線4Aのコア12Rの端面に入射し、コア12Rからコア12を導波されて、コア12の端面から出射して、図1に示すマイクロディスプレイ5を照射する。同様に、発光ダイオード10Gを発光させて出射した光は、光配線4Aのコア12Gの端面に入射し、コア12Gからコア12を導波されて、コア12の端面から出射してマイクロディスプレイ5を照射する。さらに、発光ダイオード10Bを発光させて出射した光は、光配線4Aのコア12Bの端面に入射し、コア12Bからコア12を導波されて、コア12の端面から出射してマイクロディスプレイ5を照射する。
【0039】
本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1は、光源として発光ダイオード10R,10G,10Bを備えている。このため、光配線4の入射部11a側は、独立したコアを有する形状が望ましい。これに対して、光配線4の出射部11b側は、MEMSを用いる場合等は、各色の光を合波して1点から出射できる必要がある。図2に示す構成の光配線4Aは、周知のプロセスで容易に製造できるものであり、本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1に好適である。
【0040】
図3は第2の実施の形態の光配線4Bの構成例を示す説明図で、図3(a)は入射部側の斜視図、図3(b)は平面図である。光配線4Bは、コアまたはクラッドの1種類の材料からなるシート状の平面型高分子光導波路である。光配線4Bは、入射部11aの端面の全面において発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合する。
【0041】
そして、発光ダイオード10R,10G,10Bの何れかを発光させて出射した光は、光配線4Bの入射部11aの端面から入射し、シート状の光配線4内を導波されて、出射部11bの端面から図1に示すケース2a内に出射する。なお、このシート状の高分子光導波路からなる光配線4Bは、具体的には光源として白色の発光ダイオードを用いる構成に適用することが考えられる。また、光配線4Bとして、光の入射側の幅が広く、出射側の幅が次第に狭くなるようなテーパ形状を有する構成とすれば、光源として、R,G,Bの3色の発光ダイオードを用いる構成への適用が考えられる。
【0042】
図4は第3の実施の形態の光配線4Cの構成例を示す説明図で、図4は入射部側の平面図である。光配線4Cは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。図1に示すように、光源ユニット3には、発光手段として3色(R,G,B)の発光ダイオード10R,10G,10Bが備えられる。
【0043】
光配線4Cは、発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合するため、図1に示す光源ユニット3と接続する入射部11a側に3本のコア12R,12G,12Bを備える。各コア12R,12G,12Bにはテーパ状の導入部14を備える。
【0044】
導入部14は、各コア12R,12G,12Bの光配線4Cの入射部11aの端面に露出する部分の幅を最も広くし、出射部に向かうに従い幅を狭くした形状である。なお、厚みは均一である。これにより、コア12Rはテーパ状の導入部14の最も幅が大きくなる端面で発光ダイオード10Rと光学的に結合する。同様に、コア12Gはテーパ状の導入部14の最も幅が大きくなる端面で発光ダイオード10Gと光学的に結合し、コア12Bはテーパ状の導入部14の最も幅が大きくなる端面で発光ダイオード10Bと光学的に結合する。
【0045】
なお、図4においては光配線4Cの出射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコア12R,12G,12Bをクラッド13の内部で1本に集結する構成である。
【0046】
以上の構成では、発光ダイオード10Rを発光させて出射した光は、コア12Rの導入部14の端面から入射する。同様に、発光ダイオード10Gを発光させて出射した光は、コア12Gの導入部14の端面から入射し、発光ダイオード10Bを発光させて出射した光は、コア12Bの導入部14の端面から入射する。
【0047】
以下に、テーパ状の導入部を設けた光導波路における損出をシミュレーションによって求めた結果を示す。図5はテーパ状の導入部を設けた光導波路におけるシミュレーションの結果を示す説明図で、図5(a)に導入部(コア)の形状を示し、図5(b)に強度を濃淡で示す。コアの屈折率n1=1.543、クラッドの屈折率n2=1.516、発光ダイオードからの光が入射する部分の幅が100μmで、テーパー形状により幅50μmに狭められる長さ2mmの光導波路をモデルとした。シミュレーションの結果では、このテーパ状の光導波路における損失は−0.2dBであり、ほとんどの光がコア内部を伝搬することが判る。
【0048】
よって、図4に示すように光の入射する部分のコアにテーパ状の導入部14を有する光配線4Cを用いて、図1に示す表示ユニット2と光源ユニット3との間を接続することとすれば、発光ダイオード10R,10G,10Bの光を効率良くコア12R,12G,12Bに結合させることができる。
【0049】
また、光配線4Cにおいては、出射部側のコア12を絞ることになる。マイクロディスプレイ5あるいはMEMSに用いる光源としては、点光源ある方が望ましく、できるだけ出射部に露出するコアの端面を小さくする必要がある。
【0050】
図6は第4の実施の形態の光配線4Dの構成例を示す説明図で、図6は出射部側の平面図である。光配線4Dは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。光配線4Dの出射部11b側のコア12に、絞り手段の一例として、端面に向かうに従い幅が狭くなるテーパ部15を備えて、出射する光を絞る。
【0051】
これにより、図1に示すマイクロディスプレイ5等に照射される光源の点を小さくすることができる。絞り手段の他の例としては、出射部11bに露出するコア12に対向してマイクロレンズを設ける構成でもよい。また、出射部11bに露出するコア12の端面を凸状に加工にして集光レンズの機能を持たせる構成でもよい。
【0052】
なお、図6においては光配線4Dの入射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコアをクラッドの内部で1本に集結する構成で、かつ、図4に示すように、各コアがテーパ状の導入部を有する構成とすると良い。
【0053】
図7は第5の実施の形態の光配線4Eの構成例を示す説明図で、図7(a),(b)ともに出射部側の平面図である。光配線4Eは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。
【0054】
図7(a)では、光配線4Eの出射部側11bのクラッド13を、出射側に向けて次第に幅が細くなるようにテーパ状に削除して光路遮断部16を備え、光配線4Eの出射部11b側の端面では、コア12の周囲に例えば5μmのみクラッド13を残す構造である。以上の構成では、クラッドモードとして伝播する迷光を、光路遮断部16で反射あるいは屈折させて除去することができる。
【0055】
図7(b)に示す光配線4Fは、図7(a)に示す光配線4Eの変形例であり、出射部11b側のコア12に、端面に向かうにしたがい幅が狭くなるテーパ部15を備えて、出射する光を絞る。これにより、図1に示すマイクロディスプレイ5等に照射される光源の点を小さくすることができる。
【0056】
なお、図7においては光配線4Eの出射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコアをクラッドの内部で1本に集結する構成で、かつ、図4に示すように、各コアがテーパ状の導入部を有する構成とすると良い。
【0057】
図8は第6の実施の形態の光配線4Gの構成例を示す説明図で、図8(a)は入射部側の側面図、図8(b)は入射部側の平面図である。光配線4Gは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。
【0058】
光配線4Gは入射部11aに反射面17を備える。反射面17は、入射部11aの端面を例えば45°の角度で切削して形成される。発光ダイオード10R,10G,10Bは、光配線4Gの反射面17に対向して配置される。
【0059】
光配線4Gは、発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合するため、入射部側に3本のコア12R,12G,12Bを備える。発光ダイオード10Rから出射した光は、反射面17で反射してコア12Rに入射する。同様に、発光ダイオード10Gから出射した光は、反射面17で反射してコア12Gに入射し、発光ダイオード10Bから出射した光は、反射面17で反射してコア12Bに入射する。
【0060】
ここで、図8(b)に示すように、各コア12R,12G,12Bにテーパ状の導入部14を備えることで、発光ダイオード10R,10G,10Bの光を効率良くコア12R,12G,12Bに結合させることができる。
【0061】
なお、図8においては光配線4Gの出射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコア12R,12G,12Bをクラッド13の内部で1本に集結する構成である。
【0062】
次に、光配線4として図2〜図8で説明した平面型高分子光導波路を構成する材料について説明する。平面型高分子光導波路を構成する材料としては、オキセタン樹脂を使用することが好適である。
【0063】
オキセタン樹脂を用いて光導波路を形成する方法は、特開2000−356720号公報に詳述されている。以下にオキセタン樹脂を簡単に説明すると、オキセタン樹脂は、オキセタン環を有するオキセタン化合物と、オキシラン環を有するオキシラン化合物と、連鎖反応によりオキセタン化合物の重合を開始させるカチオン重合開始剤とを含み、紫外線等のエネルギービームを照射することにより硬化する樹脂成分であって、例えばソニーケミカル(株)から入手できる。
【0064】
オキセタン化合物として、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(室温で液体)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンとジ[4−(1−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)]ベンジルエーテルとの混合物(以下、キシレンジオキセタンともいう。)(室温で液体)、フェノールノボラックオキセタン(室温で固体)、オキセタニルシルセスキオキセタン(室温で液体)等が挙げられる。
【0065】
オキシラン化合物として、例えばリモネンジオキサイド、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物(混合比約1:1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0066】
また、カチオン重合開始剤は、例えば4−4′ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(旭電化社製)である。オキセタン化合物の屈折率(25℃、ナトリウムD線)は、オキセタン化合物の種類によって異なり、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルで1.4544、またフェノールノボラックオキセタンで1.57程度である。
【0067】
また、オキシラン化合物の屈折率(25℃、D線)は、例えばリモネンジオキサイドで1.4656、またビスフェノールA型エポキシ樹脂で1.5683である。
【0068】
オキセタン樹脂は、オキセタン化合物及びオキシラン化合物の種類並びに配合比を調整することにより、屈折率を調節することができる。
【0069】
例えば、光導波路のコア部を形成するためには、クラッド部との屈折率の差が安定して得られるように、屈折率が1.5未満のものを10〜30重量%含み、屈折率が1.5以上のものを40〜60重量%含み、残部がオキシラン化合物であるオキセタン樹脂を使用する。また、クラッド部を形成するためには、屈折率が1.5未満のオキセタン化合物を40重量%よりも多く含み、残部がオキシラン化合物であって、屈折率が1.5以上のオキセタン化合物を含まないオキセタン樹脂を使用する。
【0070】
具体的には、例えば、キシレンジオキセタン10重量部、フェノールノボラックオキセタン20重量部、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物20重量部、およびビスフェノールA型エポキシ樹脂20重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路コア形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0071】
また、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル22重量部、オキセタニルシルセスキオキセタン13重量部、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂35重量部、および二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路クラッド形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0072】
図9はオキセタン樹脂の透過スペクトルの測定結果を示すグラフである。この試料の膜厚は120μmである。クラッド材料とコア材料のオキセタン樹脂は、波長400nmから850nmの範囲において、90%以上の透過率を有する樹脂であった。よって、可視光を透過させる特性を持っており、本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1において、表示ユニット2と光源ユニット3を接続する光配線4に好適である。
【0073】
このオキセタン樹脂の伝送損失をカットバック法により測定した。コア40×60μmの矩形光導波路の伝送損失は、波長850nmにおいて0.5dB/cm、波長650nmにおいて0.5dB/cmであった。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1は、表示ユニット2と光源ユニット3の間を光配線4で接続する構成としたことで、利用者の頭部に装着される表示ユニット2の小型化を図ることができる。よって、サングラスのようにかけるだけで、臨場感あふれる映像をいつでもどこでも気軽に体感できるディスプレイである。テレビ受信機、ビデオ再生装置、DVD(digital versatile disk)プレーヤー、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に接続するだけで、周囲に気兼ねせず、自由な姿勢で、好きな映像を、擬似的に大画面で楽しむことができる。そして、既存の非発光型表示素子を用いたディスプレイを利用できることから、小形のヘッドマウントディスプレイを低コストにて製造することができる。
【0075】
なお、以上の実施の形態ではディスプレイとして利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを例に説明したが、例えば、利用者が覗き込む形態のディスプレイ等に適用しても、同様の効果が得られる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、光の照射を受けて画像を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットと独立した筐体に発光手段を収納した光源ユニットと、表示ユニットと光源ユニットを光学的に接続し、発光手段で出射した光を表示手段に照射する可とう性を有した光配線手段とを備えたものである。
【0077】
このように、表示ユニットと光源ユニットを光配線手段で接続することで、光源ユニットを表示ユニットから離した形態で使用が可能である。よって、表示ユニットを小形にすることができる。したがって、表示ユニットが利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイに適用すれば、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図である。
【図2】第1の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図3】第2の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図4】第3の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図5】テーパ状の導入部を設けた光導波路におけるシミュレーションの結果を示す説明図である。
【図6】第4の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図7】第5の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図8】第6の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図9】オキセタン樹脂の透過スペクトルの測定結果を示すグラフである。
【図10】従来のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッドマウントディスプレイ、2・・・表示ユニット、2a・・・ケース、3・・・光源ユニット、3a・・・ケース、4・・・光配線、5・・・マイクロディスプレイ、6・・・結像レンズ、7・・・プリズム、8・・・反射光検出素子、9・・・位置調整機構、9a・・・磁石、9b・・・駆動コイル、10R・・・発光ダイオード、10G・・・発光ダイオード、10B・・・発光ダイオード、11a・・・入射部、11b・・・出射部、12(R,G,B)・・・コア、13・・・クラッド、14・・・導入部、15・・・テーパ部、16・・・光路遮断部、17・・・反射面
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像を直接網膜上に結像させて観察できるようにしたディスプレイに関する。詳しくは、表示ユニットに対して光配線を用いて光源を分離することで、表示ユニットの小形化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
映像を直接網膜上に結像させて観察できるようにすることで、映像ソフト、ゲーム、コンピュータ画面、映画等を自分だけの大画面で楽しめるディスプレイとして、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display;HMD)の開発がなされている。すなわち、ヘッドマウントディスプレイは、利用者の頭部に装着されるユニットに液晶ディスプレイ等の表示手段や、画像を利用者の網膜で結合させるレンズ等を備えたものである。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図10はこのような従来のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図で、以下、図面を参照して、従来のヘッドマウントディスプレイの構成について説明する。
【0004】
従来のヘッドマウントディスプレイ100は、マイクロディスプレイ101と、マイクロディスプレイ101の像を利用者の目120の網膜121に結像する結合レンズ102と、利用者の網膜121で反射した反射光の明るさを検出する反射光検出手段103と、利用者の網膜121での反射光を反射光検出手段103へ導くプリズム104と、反射光の明るさにより網膜上の結像を最適化するように、マイクロディスプレイ101と結合レンズ102の位置関係を調整する位置調整手段105と、マイクロディスプレイに光を照射する光源106から構成されている。
【0005】
以上の構成では、目120の水晶体122の状況に拘わらず、マイクロディスプレイ101と結合レンズ102との位置関係が自動的に網膜上での結像を最適化するように調整される。このため、水晶体122の働きによりマイクロディスプレイ102の位置で焦点が合うように調整される前に、水晶体122の状態に合わせて焦点が調整されるため、外界を見る目の状態でマイクロディスプレイ102の画像を違和感無く観察することができる。
【0006】
ヘッドマウントディスプレイ100に組み込まれるマイクロディスプレイ101としては、小型液晶ディスプレイの液晶層により各画素を形成する。この場合、シリコン基板上に形成することが論理回路作製に好適であるため、反射型の液晶ディスプレイが好ましい。
【0007】
そして、利用者の頭部に装着されるケース106の内部に、光源105としてR(赤),G(緑),B(青)の3原色の発光ダイオード(LED)を設けておき、各発光ダイオードを液晶層の各画素と同期させて駆動することで、その混合色の反射色によりカラー表示をさせることができる。
【0008】
また、マイクロディスプレイ101として、シリコンなどの基板上に形成された制御回路と有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子による発光素子から画素を構成するものも考えられている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−188193号公報(図3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のヘッドマウントディスプレイでは、小型化、高信頼性、低コスト化の全てを満足することはできないという問題がある。すなわち、マイクロディスプレイとして反射型の液晶ディスプレイを用いる方式では、カラー表示を行うためには、R,G,Bからなる3色の発光ダイオードをケース内部に収納する必要がある。このため、利用者の頭部に装着するケースが大きくなるという問題がある。利用者の頭部に装着して使用されるヘッドマウントディスプレイとしては、操作性の向上のためにも小型化が要求されている。
【0011】
また、マイクロディスプレイとして有機ELを使用した場合、発光寿命の限界が短く信頼性に欠けるという問題がある。また、制御回路と有機ELを組み合わせて製造することは高度な技術を必要としコストが増大するという問題がある。ゲーム機やパーソナルコンピュータに接続して使用されるヘッドマウントディスプレイとしては、低コスト化が要求されている。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、小形で信頼性が高く、かつ低コストなディスプレイを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係るディスプレイは、光の照射を受けて画像を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットと独立した筐体に発光手段を収納した光源ユニットと、表示ユニットと光源ユニットを光学的に接続し、発光手段で出射した光を表示手段に照射する可とう性を有した光配線手段とを備えたものである。
【0014】
本発明に係るディスプレイによれば、光源ユニットの発光手段から照射された光は、光配線手段によって表示ユニットへ導かれ、表示手段を照射する。これにより、表示手段に表示された画像を観察することができる。
【0015】
表示ユニットと光源ユニットを光配線手段で接続することで、光源ユニットを表示ユニットから離した形態で使用が可能である。よって、表示ユニットを小形にすることができる。したがって、表示ユニットが利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイに適用すれば、操作性を向上させることができる。
【0016】
また、カラー表示を行う場合は、発光手段として、赤色の発光素子と、緑色の発光素子と、青色の発光素子を用いるが、各発光素子を表示ユニットに設ける必要がないので、カラー表示を行う場合も、表示ユニットが大型になることはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明のディスプレイの実施の形態について説明する。図1は本発明のディスプレイが適用された本実施の形態のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図である。
【0018】
本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1は、利用者の頭部に装着される表示ユニット2に対して光源ユニット3を分離し、表示ユニット2と光源ユニット3を光配線4で接続したものである。
【0019】
表示ユニット2は、ケース2aの内部にマイクロディスプレイ5と、結像レンズ6と、プリズム7と、反射光検出素子8と、位置調整機構9等を備える。マイクロディスプレイ5は表示手段の一例で、反射型の液晶ディスプレイから構成される。
【0020】
結像レンズ6は結像手段の一例で、ガラスまたはプラスチックの凸レンズから構成される。結像レンズ6はマイクロディスプレイ5と対向して配置され、マイクロディスプレイ2上の画像を集光して、利用者の目20の網膜21に結像させる。
【0021】
プリズム7は、マイクロディスプレイ5と結像レンズ6との間に配置され、利用者の網膜21からの反射光の光路を90°変換する。なお、プリズム7に代えて、ハーフミラーを用いてもよい。
【0022】
反射光検出素子8は反射光検出手段の一例で、フォトダイオード等から構成される。反射光検出素子8は、プリズム7により変換された反射光の光路上に位置し、利用者の網膜21からの反射光を検出する。
【0023】
位置調整機構9は位置調整手段の一例で、磁石9aと駆動コイル9b等から構成される。例えば、磁石9aがケース2a側に取り付けられ、駆動コイル9bが結像レンズ6に取り付けられ、駆動電流が駆動コイル9bに供給されることで、結像レンズ6が矢印方向に移動する構成である。
【0024】
光源ユニット3は、表示ユニット2のケース2aと独立した筐体であるケース3aを備える。このケース3aの内部に、R(赤)の発光ダイオード10Rと、G(緑)の発光ダイオード10Gと、B(青)の発光ダイオード10Bを備える。
【0025】
また、光源ユニット3には、発光ダイオード10R,10G,10Bを駆動する図示しない駆動回路が備えられる。なお、表示ユニット2のマイクロディスプレイ5の画素の駆動と発光ダイオード10R,10G,10Bの駆動を同期させるための信号の送受や電源の供給のため、光源ユニット3と表示ユニット2の間を接続する図示しないケーブルを有する。
【0026】
光配線4は光配線手段の一例で、平面型導波路や光ファイバ等で構成される。光配線4の構成の詳細については後述するが、光配線4の一方の端部側に入射部11aを有し、他方の端部側に出射部11bを有する。光配線4は一方の端部側が光源ユニット3に接続され、発光ダイオード10R,10G,10Bで出射した光が入射部11aに入射するように構成される。また、光配線4の他方の端部側が表示ユニット2に接続され、光配線4を導波され出射部11bから出射される光がマイクロディスプレイ5を照射するように構成される。
【0027】
以下に、ヘッドマウントディスプレイ1の動作を説明すると、発光ダイオード10R,10G,10Bから出射された3色の光、すなわち、R、G、Bの3原色の光は、光配線4の入射部11aから入射する。光配線4に入射した光はこの光配線4を導波され、出射部11bから出射してマイクロディスプレイ5を照射する。各発光ダイオード10R,10G,10Bを、マイクロディスプレイ5を構成する液晶層の各画素と同期させて駆動することで、混合色の反射光によりカラー表示が行われる。
【0028】
マイクロディスプレイ5に表示された画像は、結像レンズ6により集光され、利用者の目20の網膜21に結像する。これにより、利用者はマイクロディスプレイ5に表示された画像を観察することができる。
【0029】
さて、利用者20の網膜21で反射した光は、プリズム7にて光路を変え反射光検出素子8に入射する。結像レンズ6による網膜21への結像が最適であれば、網膜21による反射光も最も大きく、焦点がずれると反射光が小さくなる。
【0030】
このため、駆動コイル9bに駆動電流を供給して結像レンズ6を移動させながら、反射光検出素子8へ入射する網膜21からの反射光の検出量が最大となる位置を探す。そして、反射光検出素子8で検出した反射光量が最大となる位置で駆動コイル9bへの駆動電流の供給を停止して、結像レンズ6の移動を停止する。
【0031】
これにより、利用者の目20の水晶体22の状態に拘わらず、結像レンズ6が自動的に最適な位置に調整され、網膜21上で結像させることができる。よって、水晶体22の働きによりマイクロディスプレイ5の位置で焦点が合うように調整される前に、水晶体22の状態に合わせて焦点が調整されるため、外界を見る目20の状態でマイクロディスプレイ5の画像を違和感無く観察することができる。なお、利用者の網膜21に焦点を合わせる場合、マイクロディスプレイ5と結像レンズ6の相対的な位置関係で焦点位置が決まるため、結像レンズ6ではなく、マイクロディスプレイ5を移動させる構成としてもよい。また、マイクロディスプレイと結像レンズ6の両方を移動させる構成でもよい。
【0032】
ヘッドマウントディスプレイ1の変形例として、例えば、マイクロディスプレイ5として、カラーフィルタを有する反射型の液晶ディスプレイを備えるとともに、光源ユニット3に発光素子として白色の発光ダイオードを備える構成とする。以上の構成では、白色の発光ダイオードから出射される光を光配線4で表示ユニット2内に導波し、フロントライトとして使用することで、カラー表示を行うことができる。よって、光配線4としては、1色の光を導波すれば良いことから、周知の光ファイバケーブルを利用することが可能となる。
【0033】
また、位置調整手段として、手動で結像レンズ6の位置を調整する構成を備えても良い。以上の構成では、プリズム7、反射光検出素子8、磁石9aおよび駆動コイル9bが不要となることから、表示ユニット2の構成の複雑化を防ぎ、小型化を図ることができる。
【0034】
さらに、表示手段として、小形電気機械式走査装置(MEMS)と透過型のイメージパネルを用いる構成でもよい。すなわち、光源ユニット3からの光を合波し、小形電気機械式走査装置の反射手段であるミラーに出射する構成を例えば光配線4に備えるとともに、表示ユニット2に結像手段として複数枚のレンズからなるレンズ群を備える。以上の構成によれば、光配線4の出射部11bから出射した光は、小形電気機械式走査装置のミラーで走査されてイメージパネルに画像が形成され、このイメージパネルを透過した光がレンズ群で利用者の網膜に結像されて、利用者が観察できるようになる。
【0035】
以下に、光配線4のいくつかの構成例について説明する。まず、図2は第1の実施の形態の光配線4Aの構成例を示す説明図で、図2(a)は入射部側の斜視図、図2(b)は平面図である。ここで、以下の光配線4の説明では、発光ダイオード10R,10G,10Bは模式的に示している。
【0036】
光配線4Aは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。図1に示すように、光源ユニット3には、発光手段として3色(R,G,B)の発光ダイオード10R,10G,10Bが備えられる。光配線4Aは、発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合するため、図1に示す光源ユニット3と接続する入射部11a側に3本のコア12R,12G,12Bを備える。各コア12R,12G,12Bの端面は光配線4Aの入射部11aの端面に露出し、コア12Rが発光ダイオード10Rと光学的に結合する。また、コア12Gが発光ダイオード10Gと光学的に結合し、コア12Bが発光ダイオード10Bと光学的に結合する。
【0037】
コア12R,12G,12Bはクラッド13の内部で1本に集結してコア12を構成する。そして、図1に示す表示ユニット2と接続する光配線4Aの出射部11bの端面に、コア12の端面が露出している。なお、コア12(R,G,B)の屈折率は、クラッド13の屈折率よりも0.2〜3.0%大きい方が望ましい。
【0038】
以上の構成では、発光ダイオード10Rを発光させて出射した光は、光配線4Aのコア12Rの端面に入射し、コア12Rからコア12を導波されて、コア12の端面から出射して、図1に示すマイクロディスプレイ5を照射する。同様に、発光ダイオード10Gを発光させて出射した光は、光配線4Aのコア12Gの端面に入射し、コア12Gからコア12を導波されて、コア12の端面から出射してマイクロディスプレイ5を照射する。さらに、発光ダイオード10Bを発光させて出射した光は、光配線4Aのコア12Bの端面に入射し、コア12Bからコア12を導波されて、コア12の端面から出射してマイクロディスプレイ5を照射する。
【0039】
本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1は、光源として発光ダイオード10R,10G,10Bを備えている。このため、光配線4の入射部11a側は、独立したコアを有する形状が望ましい。これに対して、光配線4の出射部11b側は、MEMSを用いる場合等は、各色の光を合波して1点から出射できる必要がある。図2に示す構成の光配線4Aは、周知のプロセスで容易に製造できるものであり、本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1に好適である。
【0040】
図3は第2の実施の形態の光配線4Bの構成例を示す説明図で、図3(a)は入射部側の斜視図、図3(b)は平面図である。光配線4Bは、コアまたはクラッドの1種類の材料からなるシート状の平面型高分子光導波路である。光配線4Bは、入射部11aの端面の全面において発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合する。
【0041】
そして、発光ダイオード10R,10G,10Bの何れかを発光させて出射した光は、光配線4Bの入射部11aの端面から入射し、シート状の光配線4内を導波されて、出射部11bの端面から図1に示すケース2a内に出射する。なお、このシート状の高分子光導波路からなる光配線4Bは、具体的には光源として白色の発光ダイオードを用いる構成に適用することが考えられる。また、光配線4Bとして、光の入射側の幅が広く、出射側の幅が次第に狭くなるようなテーパ形状を有する構成とすれば、光源として、R,G,Bの3色の発光ダイオードを用いる構成への適用が考えられる。
【0042】
図4は第3の実施の形態の光配線4Cの構成例を示す説明図で、図4は入射部側の平面図である。光配線4Cは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。図1に示すように、光源ユニット3には、発光手段として3色(R,G,B)の発光ダイオード10R,10G,10Bが備えられる。
【0043】
光配線4Cは、発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合するため、図1に示す光源ユニット3と接続する入射部11a側に3本のコア12R,12G,12Bを備える。各コア12R,12G,12Bにはテーパ状の導入部14を備える。
【0044】
導入部14は、各コア12R,12G,12Bの光配線4Cの入射部11aの端面に露出する部分の幅を最も広くし、出射部に向かうに従い幅を狭くした形状である。なお、厚みは均一である。これにより、コア12Rはテーパ状の導入部14の最も幅が大きくなる端面で発光ダイオード10Rと光学的に結合する。同様に、コア12Gはテーパ状の導入部14の最も幅が大きくなる端面で発光ダイオード10Gと光学的に結合し、コア12Bはテーパ状の導入部14の最も幅が大きくなる端面で発光ダイオード10Bと光学的に結合する。
【0045】
なお、図4においては光配線4Cの出射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコア12R,12G,12Bをクラッド13の内部で1本に集結する構成である。
【0046】
以上の構成では、発光ダイオード10Rを発光させて出射した光は、コア12Rの導入部14の端面から入射する。同様に、発光ダイオード10Gを発光させて出射した光は、コア12Gの導入部14の端面から入射し、発光ダイオード10Bを発光させて出射した光は、コア12Bの導入部14の端面から入射する。
【0047】
以下に、テーパ状の導入部を設けた光導波路における損出をシミュレーションによって求めた結果を示す。図5はテーパ状の導入部を設けた光導波路におけるシミュレーションの結果を示す説明図で、図5(a)に導入部(コア)の形状を示し、図5(b)に強度を濃淡で示す。コアの屈折率n1=1.543、クラッドの屈折率n2=1.516、発光ダイオードからの光が入射する部分の幅が100μmで、テーパー形状により幅50μmに狭められる長さ2mmの光導波路をモデルとした。シミュレーションの結果では、このテーパ状の光導波路における損失は−0.2dBであり、ほとんどの光がコア内部を伝搬することが判る。
【0048】
よって、図4に示すように光の入射する部分のコアにテーパ状の導入部14を有する光配線4Cを用いて、図1に示す表示ユニット2と光源ユニット3との間を接続することとすれば、発光ダイオード10R,10G,10Bの光を効率良くコア12R,12G,12Bに結合させることができる。
【0049】
また、光配線4Cにおいては、出射部側のコア12を絞ることになる。マイクロディスプレイ5あるいはMEMSに用いる光源としては、点光源ある方が望ましく、できるだけ出射部に露出するコアの端面を小さくする必要がある。
【0050】
図6は第4の実施の形態の光配線4Dの構成例を示す説明図で、図6は出射部側の平面図である。光配線4Dは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。光配線4Dの出射部11b側のコア12に、絞り手段の一例として、端面に向かうに従い幅が狭くなるテーパ部15を備えて、出射する光を絞る。
【0051】
これにより、図1に示すマイクロディスプレイ5等に照射される光源の点を小さくすることができる。絞り手段の他の例としては、出射部11bに露出するコア12に対向してマイクロレンズを設ける構成でもよい。また、出射部11bに露出するコア12の端面を凸状に加工にして集光レンズの機能を持たせる構成でもよい。
【0052】
なお、図6においては光配線4Dの入射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコアをクラッドの内部で1本に集結する構成で、かつ、図4に示すように、各コアがテーパ状の導入部を有する構成とすると良い。
【0053】
図7は第5の実施の形態の光配線4Eの構成例を示す説明図で、図7(a),(b)ともに出射部側の平面図である。光配線4Eは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。
【0054】
図7(a)では、光配線4Eの出射部側11bのクラッド13を、出射側に向けて次第に幅が細くなるようにテーパ状に削除して光路遮断部16を備え、光配線4Eの出射部11b側の端面では、コア12の周囲に例えば5μmのみクラッド13を残す構造である。以上の構成では、クラッドモードとして伝播する迷光を、光路遮断部16で反射あるいは屈折させて除去することができる。
【0055】
図7(b)に示す光配線4Fは、図7(a)に示す光配線4Eの変形例であり、出射部11b側のコア12に、端面に向かうにしたがい幅が狭くなるテーパ部15を備えて、出射する光を絞る。これにより、図1に示すマイクロディスプレイ5等に照射される光源の点を小さくすることができる。
【0056】
なお、図7においては光配線4Eの出射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコアをクラッドの内部で1本に集結する構成で、かつ、図4に示すように、各コアがテーパ状の導入部を有する構成とすると良い。
【0057】
図8は第6の実施の形態の光配線4Gの構成例を示す説明図で、図8(a)は入射部側の側面図、図8(b)は入射部側の平面図である。光配線4Gは、光を導波するコア12とコア12に光を閉じ込めるクラッド13から構成される平面型高分子光導波路である。
【0058】
光配線4Gは入射部11aに反射面17を備える。反射面17は、入射部11aの端面を例えば45°の角度で切削して形成される。発光ダイオード10R,10G,10Bは、光配線4Gの反射面17に対向して配置される。
【0059】
光配線4Gは、発光ダイオード10R,10G,10Bと光学的に結合するため、入射部側に3本のコア12R,12G,12Bを備える。発光ダイオード10Rから出射した光は、反射面17で反射してコア12Rに入射する。同様に、発光ダイオード10Gから出射した光は、反射面17で反射してコア12Gに入射し、発光ダイオード10Bから出射した光は、反射面17で反射してコア12Bに入射する。
【0060】
ここで、図8(b)に示すように、各コア12R,12G,12Bにテーパ状の導入部14を備えることで、発光ダイオード10R,10G,10Bの光を効率良くコア12R,12G,12Bに結合させることができる。
【0061】
なお、図8においては光配線4Gの出射部側は図示していないが、図2に示すように、3本のコア12R,12G,12Bをクラッド13の内部で1本に集結する構成である。
【0062】
次に、光配線4として図2〜図8で説明した平面型高分子光導波路を構成する材料について説明する。平面型高分子光導波路を構成する材料としては、オキセタン樹脂を使用することが好適である。
【0063】
オキセタン樹脂を用いて光導波路を形成する方法は、特開2000−356720号公報に詳述されている。以下にオキセタン樹脂を簡単に説明すると、オキセタン樹脂は、オキセタン環を有するオキセタン化合物と、オキシラン環を有するオキシラン化合物と、連鎖反応によりオキセタン化合物の重合を開始させるカチオン重合開始剤とを含み、紫外線等のエネルギービームを照射することにより硬化する樹脂成分であって、例えばソニーケミカル(株)から入手できる。
【0064】
オキセタン化合物として、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(室温で液体)、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンとジ[4−(1−エチル−3−オキセタニルメトキシメチル)]ベンジルエーテルとの混合物(以下、キシレンジオキセタンともいう。)(室温で液体)、フェノールノボラックオキセタン(室温で固体)、オキセタニルシルセスキオキセタン(室温で液体)等が挙げられる。
【0065】
オキシラン化合物として、例えばリモネンジオキサイド、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物(混合比約1:1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0066】
また、カチオン重合開始剤は、例えば4−4′ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(旭電化社製)である。オキセタン化合物の屈折率(25℃、ナトリウムD線)は、オキセタン化合物の種類によって異なり、例えばジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルで1.4544、またフェノールノボラックオキセタンで1.57程度である。
【0067】
また、オキシラン化合物の屈折率(25℃、D線)は、例えばリモネンジオキサイドで1.4656、またビスフェノールA型エポキシ樹脂で1.5683である。
【0068】
オキセタン樹脂は、オキセタン化合物及びオキシラン化合物の種類並びに配合比を調整することにより、屈折率を調節することができる。
【0069】
例えば、光導波路のコア部を形成するためには、クラッド部との屈折率の差が安定して得られるように、屈折率が1.5未満のものを10〜30重量%含み、屈折率が1.5以上のものを40〜60重量%含み、残部がオキシラン化合物であるオキセタン樹脂を使用する。また、クラッド部を形成するためには、屈折率が1.5未満のオキセタン化合物を40重量%よりも多く含み、残部がオキシラン化合物であって、屈折率が1.5以上のオキセタン化合物を含まないオキセタン樹脂を使用する。
【0070】
具体的には、例えば、キシレンジオキセタン10重量部、フェノールノボラックオキセタン20重量部、二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物20重量部、およびビスフェノールA型エポキシ樹脂20重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路コア形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0071】
また、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル22重量部、オキセタニルシルセスキオキセタン13重量部、多官能脂肪族環状エポキシ樹脂35重量部、および二官能脂肪族環状エポキシ樹脂30重量部を混合し、90℃で2時間加熱して溶解した後、カチオン重合開始剤2重量部を配合し、更に、フィルタリングを行ってダストなどを除去することにより、光導波路クラッド形成用のオキセタン樹脂を得ることができる。
【0072】
図9はオキセタン樹脂の透過スペクトルの測定結果を示すグラフである。この試料の膜厚は120μmである。クラッド材料とコア材料のオキセタン樹脂は、波長400nmから850nmの範囲において、90%以上の透過率を有する樹脂であった。よって、可視光を透過させる特性を持っており、本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1において、表示ユニット2と光源ユニット3を接続する光配線4に好適である。
【0073】
このオキセタン樹脂の伝送損失をカットバック法により測定した。コア40×60μmの矩形光導波路の伝送損失は、波長850nmにおいて0.5dB/cm、波長650nmにおいて0.5dB/cmであった。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態のヘッドマウントディスプレイ1は、表示ユニット2と光源ユニット3の間を光配線4で接続する構成としたことで、利用者の頭部に装着される表示ユニット2の小型化を図ることができる。よって、サングラスのようにかけるだけで、臨場感あふれる映像をいつでもどこでも気軽に体感できるディスプレイである。テレビ受信機、ビデオ再生装置、DVD(digital versatile disk)プレーヤー、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に接続するだけで、周囲に気兼ねせず、自由な姿勢で、好きな映像を、擬似的に大画面で楽しむことができる。そして、既存の非発光型表示素子を用いたディスプレイを利用できることから、小形のヘッドマウントディスプレイを低コストにて製造することができる。
【0075】
なお、以上の実施の形態ではディスプレイとして利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを例に説明したが、例えば、利用者が覗き込む形態のディスプレイ等に適用しても、同様の効果が得られる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、光の照射を受けて画像を表示する表示手段を有する表示ユニットと、この表示ユニットと独立した筐体に発光手段を収納した光源ユニットと、表示ユニットと光源ユニットを光学的に接続し、発光手段で出射した光を表示手段に照射する可とう性を有した光配線手段とを備えたものである。
【0077】
このように、表示ユニットと光源ユニットを光配線手段で接続することで、光源ユニットを表示ユニットから離した形態で使用が可能である。よって、表示ユニットを小形にすることができる。したがって、表示ユニットが利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイに適用すれば、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図である。
【図2】第1の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図3】第2の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図4】第3の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図5】テーパ状の導入部を設けた光導波路におけるシミュレーションの結果を示す説明図である。
【図6】第4の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図7】第5の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図8】第6の実施の形態の光配線の構成例を示す説明図である。
【図9】オキセタン樹脂の透過スペクトルの測定結果を示すグラフである。
【図10】従来のヘッドマウントディスプレイの構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッドマウントディスプレイ、2・・・表示ユニット、2a・・・ケース、3・・・光源ユニット、3a・・・ケース、4・・・光配線、5・・・マイクロディスプレイ、6・・・結像レンズ、7・・・プリズム、8・・・反射光検出素子、9・・・位置調整機構、9a・・・磁石、9b・・・駆動コイル、10R・・・発光ダイオード、10G・・・発光ダイオード、10B・・・発光ダイオード、11a・・・入射部、11b・・・出射部、12(R,G,B)・・・コア、13・・・クラッド、14・・・導入部、15・・・テーパ部、16・・・光路遮断部、17・・・反射面
Claims (16)
- 光の照射を受けて画像を表示する表示手段を有する表示ユニットと、
前記表示ユニットと独立した筐体に発光手段を収納した光源ユニットと、
前記表示ユニットと前記光源ユニットを光学的に接続し、前記発光手段で出射した光を前記表示手段に照射する可とう性を有した光配線手段と
を備えたことを特徴とするディスプレイ。 - 前記発光手段は、赤色の発光素子と、緑色の発光素子と、青色の発光素子を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記発光手段は、白色の発光素子を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記赤色の発光素子と前記緑色の発光素子と前記青色の発光素子と光学的に結合する入射部を有する平面型光導波路である
ことを特徴とする請求項2記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記赤色の発光素子と光学的に結合するコアと、前記緑色の発光素子と光学的に結合するコアと、前記青色の発光素子と光学的に結合するコアを有するとともに、前記複数本のコアを1本に集結させて光を出射する平面型光導波路である
ことを特徴とする請求項2記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記発光手段からの光の入射側の幅が広く、前記表示手段への光の出射側に向けて次第に幅が狭くなるテーパ状の導入部を有するコアを備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記表示手段へ出射する光を絞る絞り手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記絞り手段は、前記発光手段からの光の入射側に対して前記表示手段への光の出射側の幅を狭くしたテーパ部をコアに備えたものである
ことを特徴とする請求項7記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記表示手段への光の出射側へ向けて幅が狭くなるテーパ状の光路遮断部を有するクラッドを備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記発光手段からの光が入射される側の端面を傾斜させた反射面を備え、
前記光源ユニットは、前記反射面に対向して前記発光手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、前記反射面側の幅が広く、前記表示手段への光の出射側に向けて次第に幅が狭くなるテーパ状の導入部を有するコアを備えた
ことを特徴とする請求項10記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、ポリマー系樹脂で形成された平面型高分子光導波路である
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記光配線手段は、
オキセタン環を有するオキセタン化合物と、
オキシラン環を有するオキシラン化合物と、
連鎖反応によりオキセタン化合物の重合を開始させるカチオン重合開始剤とを含み、
エネルギービームを照射することにより硬化する樹脂成分からなるオキセタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記表示ユニットは、
前記表示手段の像を利用者の目の網膜に結像する結像手段と、
前記表示手段と前記結像手段の位置関係を調整する位置調整手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記表示ユニットは、
透過型のイメージパネルと、
前記光配線手段から出射される光を走査する反射手段を有し、前記イメージパネルに画像を形成する小形電気機械式走査装置を前記表示手段として備えるとともに、
前記光配線手段からの光を合波して前記反射手段へ出射する手段と、
前記イメージパネルを透過した光を利用者の網膜に結像させる結像手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。 - 前記表示ユニットは、利用者の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイである
ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ。
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-
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