JP2005024447A - 熱分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱分析装置において、測定部分に関わる部品保護のために、試料雰囲気以外に流通させているガスが試料雰囲気に流すキャリアガスに混入して排気することを防止する。
【解決手段】試料室用ガスは、一部が試料容器32を通過し、通過する際に測定試料から発生したガスと混合された排ガスとなって排ガス排出口107から比較的高濃度で排気され、残りの一部は、第1の連通口108を通って予備室103の流入し予備室用ガス流入口109から流入した予備室用ガスと混合されて予備室用ガス排出口110から排気される。これにより、試料から発生したガスの組成分析の精度が向上できる。
【選択図】 図1
【解決手段】試料室用ガスは、一部が試料容器32を通過し、通過する際に測定試料から発生したガスと混合された排ガスとなって排ガス排出口107から比較的高濃度で排気され、残りの一部は、第1の連通口108を通って予備室103の流入し予備室用ガス流入口109から流入した予備室用ガスと混合されて予備室用ガス排出口110から排気される。これにより、試料から発生したガスの組成分析の精度が向上できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱重量分析や差熱分析を行う共にガス組成分析が精度良く行える熱分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では試料容器雰囲気を腐食性ガス雰囲気にして熱分析を行うといった要望や、化学反応を起こすガス雰囲気にして熱分析の測定と反応後のガス成分分析とを行いたいという要望がある。
【0003】
しかしながら、従来の熱分析装置では試料容器雰囲気と熱分析用の検知機器や測定機器の一部の雰囲気が同じ不活性ガスで行っているのが一般的であり、腐食性ガスや化学反応を起こすような活性ガスを用いた場合は分析する測定機器の部分にもそれらのガスが流通するため測定部の寿命の短命化や、部品の腐食による精度低下が起こる可能性が高い。
【0004】
また、そういった腐食性ガス等を使用した場合でも劣化しにく材料を使用する方法もあるが、高価となると共に、完全に劣化を防止できるとは限らない。特に、昇温環境下で重量変化を測定する熱重量分析では重量変化を測定したり表示したりする部分に使用される材質には制限があり、劣化を完全に防止することは非常に困難となる。
【0005】
そこで、このようなガス雰囲気での熱分析における高精度化、長寿命化を狙った従来の技術としては、熱分析を行いたい試料の入った試料容器雰囲気ガスと分析用測定器やそれに必要な部品の一部の雰囲気ガスとを異なるガスとした構成の熱分析装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、図面を参照しながら上記従来の熱分析装置を説明する。
【0007】
図3は、従来のTG−DTA装置のような熱分析装置の正面断面図である。図3に示すように、上下方向に延びる細長い2本の試料ホルダー30の上端には、試料と基準物質をそれぞれ収容する2個の試料容器32があり、試料ホルダー30の下端は天秤34で支持されている。
【0008】
試料容器32は、セラミックスまたはガラス製の保護管35に取り囲まれ、保護管35の上部の周囲は加熱炉36で取り囲まれている。この加熱炉36は電気炉であり、加熱炉36の外周には加熱用のヒータ線37が巻き付けられている。
【0009】
試料ホルダー30は、スリーブ38に形成された貫通孔39を通過している。スリーブ38には、カーテンガス供給通路40と、ガス排出通路42とが一体に形成されている。スリーブ38の外周には延長管44が嵌まっており、この延長管44の上端は加熱炉36の下端付近まで延びている。
【0010】
水蒸気ガス46は上方から保護管35の内部に供給される。一方、乾燥窒素ガスまたは乾燥空気からなるカーテンガス48は、カーテンガス供給通路40と貫通孔39とを通って、延長管44の内部空間に入り、さらに、延長管44の上端の出口50から、保護管35の内部空間に供給される。
【0011】
これらの水蒸気ガスとカーテンガス、それに水蒸気ガスが凝縮した水は、保護管35と延長管44の間を通って、ガス排出通路42に入り、矢印52の方向に排出される。
【0012】
保護管35の下部の外周には空冷フィン54が取り付けられていて、保護管35の下部を冷却している。この空冷フィン54は、図示しないファンによって冷却される。また、スリーブ38の下側の基台39も水冷されている。
【0013】
これらの冷却機構により、延長管44の下部およびスリーブ38も冷却される。したがって、加熱炉36による試料の加熱が行われても、天秤34は比較的低温の一定温度を保つ。
【0014】
加熱炉36の下端から延長管44の上端までの距離Lは、このこでは10mmである。この距離Lをあまり大きくすると、比較的低温の試料ホルダー部分が水蒸気ガスに触れて、試料ホルダー30に結露が生じやすくなる。
【0015】
この距離Lは15mm以内とするのが好ましい。延長管44の上端を加熱炉36の下端よりも上に位置させてもよいが、結露の防止という観点からは、そこまでする必要はあまりない。
【0016】
延長管44の上端は絞られていて、出口50は、4mm×20mmの長丸の形状である。この出口50の断面積は約0.8平方cmである。一方、スリーブ38の上端付近の外径は20mmであり、この部分のスリーブ38の断面積は約3.1平方cmである。したがって、延長管44の出口50の断面積は、延長管44が嵌まっているスリーブ部分の断面積より相当小さくなっている。
【0017】
ここでは、カーテンガスの流量を50cc/minとしているが、このときの延長管44の出口50におけるカーテンガスの平均流速は約63cm/minとなる。この程度の流速があれば、水蒸気ガスが延長管44の出口50から延長管44の内部に侵入する恐れはない。
【0018】
カーテンガスの実用的な流量は30〜100cc/minの範囲内であり、このときの延長管44の出口50におけるカーテンガスの流速をある程度確保するには、出口50の断面積は1平方cm以下とするのが好ましい。
【0019】
なお、水蒸気ガスが延長管の内部に侵入しなくなるようなカーテンガスの流速は、水蒸気ガスの供給流量や保護管内部空間の圧力などにも依存すると考えられるので、上述の出口50の断面積の好ましい値は、大体の目安である。
【0020】
延長管44の材質としては、高温分析用としては白金やセラミックス(アルミナなど)を用いることができ、600℃以下の低温分析用としてはアルミニウムでもよい。
【0021】
延長管44の厚さは、熱伝導を少なくするために、薄くするのがよい。この延長管44はスリーブ38から取り外しできるようにしたので、雰囲気ガスによって延長管44の使用の有無を選択したり、分析温度によって延長管44を交換したりすることもできる。延長管44の出口50の形状は長丸以外にすることもでき、例えば2個の円形孔としてもよい。
【0022】
次に、このTG−DTAのような熱分析装置の動作を説明する。試料容器32に試料と基準物質を入れて、水蒸気ガス46を上方から導入し、カーテンガス48を下方から導入する。加熱炉36を用いて試料と基準物質とを所望の温度曲線で加熱し、水蒸気ガス中での試料の重量変化と吸発熱を測定する。
【0023】
カーテンガス48は延長管44の出口50から保護管35の内部空間に出ていく。したがって、延長管44の内部の試料ホルダー部分は水蒸気ガスに触れることはない。カーテンガスは上述のようにある程度の流速で出口50から出ていくので、水蒸気ガスが延長管44の内部に侵入することはない。
【0024】
カーテンガスと水蒸気ガスは、最終的に、保護管35の下部の内壁と延長管44の外壁との間を通過して、スリーブ38のガス排出通路42を通って、外部に排出される。
【0025】
保護管35の下部は空冷フィン54で冷却されているので、水蒸気ガスは保護管35の下部の内壁で凝縮しやすく、この凝縮した水も、ガス排出通路から排出される。水蒸気ガスの凝縮によって、保護管35の内壁と延長管44の外壁の間の空間では圧力が低下する。
【0026】
これにより、保護管35の上方の内部空間に存在するガスは、圧力の低い下方に引っ張られて、ガス排出作用が促進される。すなわち、試料周囲の雰囲気は、常に新しい水蒸気ガスで覆われて、試料と水蒸気ガスとの反応が正しくなされる。また、反応生成物のガスが試料付近に滞留する恐れもなくなる。
【0027】
【特許文献1】
実用新案登録第2573010号公報
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成は、例えば、腐食性ガス等の雰囲気で試料容器32に入れる試料を昇温させながら重量変化を測定すると共に、昇温により試料から発生するガスの組成割合を分析する場合、腐食性ガスは保護管35の上部で試料容器32の上方より供給し、試料ホルダー30の一部にカーテンガス48を流し、試料容器32を通過後に腐食性ガスとカーテンガス48を合流させて排出している。
【0029】
これにより、使用時に小さいながらも試料ホルダー30が酸化したり、還元されたり、腐食したり等による試料ホルダー30の重量変化に伴う精度低下は防止できる。
【0030】
つまり、通常は試料容器32の投入量は入れる物質の密度に関係するが数十から数mgであり、測定する重量変化は更に小さい重量を測定しなければならないことから、試料ホルダー30の重量変化の影響を大きく受け易くなるが、試料ホルダー30の一部に腐食性ガスを流通せずカーテンガス48を流通させるため、少しでも精度低下が抑制できる。
【0031】
しかしながら、試料通過後のガス組成を分析する場合は、前述したように、試料の量が微量であるため発生する単位時間当たりのガスも非常に微量となる。そして、この微量な発生ガスは流通する腐食性ガスだけではなくカーテンガス48と混合するため全体のガス量から更に濃度が低くなりガス組成分析する時に誤差を生じる。
【0032】
また、カーテンガス48の種類によっては試料から発生したガスとカーテンガス48とが反応し、発生した時点とカーテンガス48と合流した後ではガス組成が異なり目的とするガス組成を分析できず、誤った分析結果を得る可能性がある。
【0033】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、腐食性ガス等を用いた場合に熱分析の測定器の誤差を従来同等に小さく維持しながら、試料から発生したガスの組成分析精度を向上する熱分析装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の熱分析装置の発明は、試料容器と、試料容器または試料雰囲気を加熱する加熱手段と、前記試料容器の物性を検知し測定する物性検知測定手段と、前記試料容器が内部に設置された試料室と、前記物性検知測定手段の一部が内部に設置された予備室とを備え、前記予備室に流通させる予備室用ガスとは異なる試料室用ガスを試料室に流通させ、前記試料室から排出される試料容器を流通後の試料室排出ガスに予備室用ガスが混入させないものである。
【0035】
上記構成において、物性検知測定手段の一部が試料室用ガスに接触しないため、試料室用ガスに腐食性ガス等の物性検知測定手段を劣化させる易いようなガスを用いた場合においても従来同様に物性検知測定手段での測定精度低下を抑制できると共に、試料から発生したガスは予備室ガスと混合することなく試料室用ガスだけと共に排出されるので、従来の予備室ガスを混合して排出される場合に比して排気ガスにおける試料からの発生ガスの濃度を高くできることからガス組成分析時の精度が向上できる。
【0036】
本発明の請求項2に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、予備室用ガスに不活性ガスを用いたものである。
【0037】
上記構成において、物性検知測定手段の一部の流すガスが不活性ガスであることから、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、この不活性ガスと接触する部分や外部に位置する物性検知測定手段の部分の材料は制限が緩和されて、安価な材料を利用可能になる。
【0038】
本発明の請求項3に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、試料室排出ガスの排出口である試料室排出ガス排出口にガス組成や割合を一定時間毎に分析可能なプロセスガスクロマトグラフを設置したものである。
【0039】
上記構成において、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、物性検知測定手段で測定した時点と約同時点でのガス組成分析が精度良く行え、分析結果の照合が容易となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による熱分解装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による熱分析装置の正面断面図である。
【0042】
図1において、熱重量示差熱分析装置101は、測定試料と標準試料を同環境下で昇温させながら測定試料の重量変化の分析と同時に、比熱が明確な標準試料と測定試料との昇温時の温度測定によりその温度差から各温度での測定試料の熱量を分析する装置であり、試料室102と予備室103と加熱手段104と物性検知測定手段105とから構成されている。
【0043】
試料室102は、内部に測定試料及び標準試料を入れる試料容器32と、一端が試料容器32と接続され他端が天秤34に接続された試料ホルダー30の試料容器32の接続側の一部とを有すると共に、試料容器32より下方に試料の雰囲気ガスとなる不活性ガスの試料室用ガスを試料室102に流入させる試料室用ガス流入口106と、試料容器32より上方に試料容器32を通過後の排ガスを排気する排ガス排出口107と、底面に予備室103との連通口である第1の連通口108とを有している。
【0044】
予備室103は、内部に試料ホルダー30の一部を有すると共に、上面に第1の連通口108と、底面に窒素である予備室ガスを流入する予備室用ガス流入口109と、第1の連通口108と予備室用ガス流入口109との間に予備室用ガス排出口110を有している。
【0045】
加熱手段104は電気炉であり試料室102の外郭周辺で試料容器32に最も近くなる位置に設置されている。
【0046】
物性検知測定手段105は、試料ホルダー30と天秤34からなり、試料ホルダー30は内部にセンサ部が試料容器32に接触するように設置された熱電対を有し、第1の連通口108と予備室用ガス流入口109と第2の連通口111との各連通部の中心を壁面に当たらないように連通した細い直棒であり、外部に設置された天秤34に接続されている。
【0047】
天秤34は重量測定を行う共に試料ホルダー30内部の熱電対からの電圧から温度を測定も行えるようになっている。
【0048】
第2の連通口111は外部に設置した天秤34へ試料ホルダーを引き出すためのもので、予備室用ガス流入口109を通じて予備室103と連通している。
【0049】
以上のように構成された熱分析装置について、以下その動作を説明する。
【0050】
試料室用ガスを試料室用ガス流入口106から入れると同時に、試料室が予備室より高い圧力となるように予備室用ガス流入口109から予備室用ガスを入れる。その直後、加熱手段104を作動させて、図示しない試料室102内の温度センサにより試料室102の単位時間当たりの昇温を同じにする、つまり、昇温速度を一定になるように加熱手段104の発熱量を入力電圧を可変させることで制御する。
【0051】
このとき、試料室用ガス流入口106から流入した試料室用ガスは一部が試料容器32を通過し、通過する際に測定試料から発生したガスと混合された排ガスとなって排ガス排出口107から比較的高濃度で排気される。この排ガスを一定時間毎に採取してガス組成分析を行う。
【0052】
また、試料室用ガスの残りの一部は、第1の連通口108を通って予備室103の流入する。予備室103では外部から試料ホルダーの一部に接触しながら流通して予備室用ガス流入口109から流入した予備室用ガスと第1の連通口108から流入してきた試料室用ガスが混合されて予備室用ガス排出口110から外部へ排気される。
【0053】
ここで、第2の連通口111の圧力損出は予備室用ガス流入口109と第2の連通口111が合流する合流点から予備室103に開放する部分までの圧力損失に比べて大きくなるように設計されているため予備室用ガスが第2の連通口111を通じて外部に漏れる量は極めて少ない。
【0054】
以上より、試料ホルダーの一部は不活性な予備室用ガスであるため試料ホルダーの劣化を抑制できると共に、天秤34に漏れる少量のガスも不活性ガスである予備室用ガスとなることから天秤34の劣化も抑制でき、物性検知測定手段105の測定精度低下を抑えることが可能である。このように、物性検知測定手段105の測定精度低下抑制を維持しながら、測定試料から発生するガスを比較的高濃度で採取できガス組成分析の精度が向上できる。
【0055】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2による熱分析装置のシステム構成図である。尚、本発明の実施の形態1と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図2において、排ガス排出口107の下流に熱交換器112を接続し、熱交換器112の下流に一定時間毎にガスを吸入して吸入したガスの組成やその組成の濃度や量を自動分析するプロセスガスクロマトグラフ113を接続している。この点が実施の形態1と異なる点である。
【0057】
以上のように構成された熱分析装置について、以下その動作を説明する。
【0058】
熱重量示差熱分析装置101の排ガス排出口107から排出された排ガスは熱交換器112で適温に冷却された後にプロセスガスクロマトグラフ113に流入し、プロセスガスクロマトグラフ113の内部機構により、一定時間毎に所定量だけサンプリングしてガスの組成やその特定した組成の濃度等を分析し、サンプリングしていないときはそのまま外部へ排気する。分析した結果は時計機能の付いた図示しない記録装置に送られる。
【0059】
このとき、記録装置には天秤34の測定開始から一定時間毎に測定試料の重量と、測定試料と標準試料の温度を記しており、プロセスガスクロマトグラフ113がガスを吸入した時点での重量と温度がわかるようになっている。
【0060】
このことから、プロセスガスクロマトグラフ113がガスを吸入した時点での測定試料や標準試料の重量や温度の結果を精度良く参照することができることから、各分析結果の照合が容易となる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の熱分析装置の発明は、試料容器と、試料容器または試料雰囲気を加熱する加熱手段と、試料容器の物性を検知し測定する物性検知測定手段と、試料容器が内部に設置された試料室と、物性検知測定手段の一部が内部に設置された予備室とを備え、予備室に流通させる予備室用ガスとは異なる試料室用ガスを試料室に流通させ、試料室から排出される試料容器を流通後の試料室排出ガスに予備室用ガスが混入させないものである。
【0062】
上記構成において、物性検知測定手段の一部が試料室用ガスに接触しないため、試料室用ガスに腐食性ガス等の物性検知測定手段を劣化させる易いようなガスを用いた場合においても従来同様に物性検知測定手段での測定精度低下を抑制できると共に、試料から発生したガスは予備室ガスと混合することなく試料室用ガスだけと共に排出されるので、従来の予備室ガスを混合して排出される場合に比して排気ガスにおける試料からの発生ガスの濃度を高くできることからガス組成分析時の精度が向上できる。
【0063】
本発明の請求項2に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、予備室用ガスは不活性ガスを用いたものである。
【0064】
上記構成において、物性検知測定手段の一部の流すガスが不活性ガスであることから、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、この不活性ガスと接触する部分や外部に位置する物性検知測定手段の部分の材料は制限が緩和されて、安価な材料を利用可能になる。
【0065】
本発明の請求項3に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、試料室排出ガスの排出口である試料室排出ガス排出口にガス組成や割合を一定時間毎に分析可能なプロセスガスクロマトグラフを設置したものである。
【0066】
上記構成において、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、物性検知測定手段で測定した時点と約同時点でのガス組成分析が精度良く行え、分析結果の照合が容易となり利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による熱分析装置の正面断面図
【図2】本発明の実施の形態2による熱分析装置のシステム構成図
【図3】従来の熱分析装置の正面断面図
【符号の説明】
32 試料容器
102 試料室
103 予備室
104 加熱手段
105 物性検知測定手段
107 排ガス排出口
112 プロセスガスクロマトグラフ
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱重量分析や差熱分析を行う共にガス組成分析が精度良く行える熱分析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では試料容器雰囲気を腐食性ガス雰囲気にして熱分析を行うといった要望や、化学反応を起こすガス雰囲気にして熱分析の測定と反応後のガス成分分析とを行いたいという要望がある。
【0003】
しかしながら、従来の熱分析装置では試料容器雰囲気と熱分析用の検知機器や測定機器の一部の雰囲気が同じ不活性ガスで行っているのが一般的であり、腐食性ガスや化学反応を起こすような活性ガスを用いた場合は分析する測定機器の部分にもそれらのガスが流通するため測定部の寿命の短命化や、部品の腐食による精度低下が起こる可能性が高い。
【0004】
また、そういった腐食性ガス等を使用した場合でも劣化しにく材料を使用する方法もあるが、高価となると共に、完全に劣化を防止できるとは限らない。特に、昇温環境下で重量変化を測定する熱重量分析では重量変化を測定したり表示したりする部分に使用される材質には制限があり、劣化を完全に防止することは非常に困難となる。
【0005】
そこで、このようなガス雰囲気での熱分析における高精度化、長寿命化を狙った従来の技術としては、熱分析を行いたい試料の入った試料容器雰囲気ガスと分析用測定器やそれに必要な部品の一部の雰囲気ガスとを異なるガスとした構成の熱分析装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、図面を参照しながら上記従来の熱分析装置を説明する。
【0007】
図3は、従来のTG−DTA装置のような熱分析装置の正面断面図である。図3に示すように、上下方向に延びる細長い2本の試料ホルダー30の上端には、試料と基準物質をそれぞれ収容する2個の試料容器32があり、試料ホルダー30の下端は天秤34で支持されている。
【0008】
試料容器32は、セラミックスまたはガラス製の保護管35に取り囲まれ、保護管35の上部の周囲は加熱炉36で取り囲まれている。この加熱炉36は電気炉であり、加熱炉36の外周には加熱用のヒータ線37が巻き付けられている。
【0009】
試料ホルダー30は、スリーブ38に形成された貫通孔39を通過している。スリーブ38には、カーテンガス供給通路40と、ガス排出通路42とが一体に形成されている。スリーブ38の外周には延長管44が嵌まっており、この延長管44の上端は加熱炉36の下端付近まで延びている。
【0010】
水蒸気ガス46は上方から保護管35の内部に供給される。一方、乾燥窒素ガスまたは乾燥空気からなるカーテンガス48は、カーテンガス供給通路40と貫通孔39とを通って、延長管44の内部空間に入り、さらに、延長管44の上端の出口50から、保護管35の内部空間に供給される。
【0011】
これらの水蒸気ガスとカーテンガス、それに水蒸気ガスが凝縮した水は、保護管35と延長管44の間を通って、ガス排出通路42に入り、矢印52の方向に排出される。
【0012】
保護管35の下部の外周には空冷フィン54が取り付けられていて、保護管35の下部を冷却している。この空冷フィン54は、図示しないファンによって冷却される。また、スリーブ38の下側の基台39も水冷されている。
【0013】
これらの冷却機構により、延長管44の下部およびスリーブ38も冷却される。したがって、加熱炉36による試料の加熱が行われても、天秤34は比較的低温の一定温度を保つ。
【0014】
加熱炉36の下端から延長管44の上端までの距離Lは、このこでは10mmである。この距離Lをあまり大きくすると、比較的低温の試料ホルダー部分が水蒸気ガスに触れて、試料ホルダー30に結露が生じやすくなる。
【0015】
この距離Lは15mm以内とするのが好ましい。延長管44の上端を加熱炉36の下端よりも上に位置させてもよいが、結露の防止という観点からは、そこまでする必要はあまりない。
【0016】
延長管44の上端は絞られていて、出口50は、4mm×20mmの長丸の形状である。この出口50の断面積は約0.8平方cmである。一方、スリーブ38の上端付近の外径は20mmであり、この部分のスリーブ38の断面積は約3.1平方cmである。したがって、延長管44の出口50の断面積は、延長管44が嵌まっているスリーブ部分の断面積より相当小さくなっている。
【0017】
ここでは、カーテンガスの流量を50cc/minとしているが、このときの延長管44の出口50におけるカーテンガスの平均流速は約63cm/minとなる。この程度の流速があれば、水蒸気ガスが延長管44の出口50から延長管44の内部に侵入する恐れはない。
【0018】
カーテンガスの実用的な流量は30〜100cc/minの範囲内であり、このときの延長管44の出口50におけるカーテンガスの流速をある程度確保するには、出口50の断面積は1平方cm以下とするのが好ましい。
【0019】
なお、水蒸気ガスが延長管の内部に侵入しなくなるようなカーテンガスの流速は、水蒸気ガスの供給流量や保護管内部空間の圧力などにも依存すると考えられるので、上述の出口50の断面積の好ましい値は、大体の目安である。
【0020】
延長管44の材質としては、高温分析用としては白金やセラミックス(アルミナなど)を用いることができ、600℃以下の低温分析用としてはアルミニウムでもよい。
【0021】
延長管44の厚さは、熱伝導を少なくするために、薄くするのがよい。この延長管44はスリーブ38から取り外しできるようにしたので、雰囲気ガスによって延長管44の使用の有無を選択したり、分析温度によって延長管44を交換したりすることもできる。延長管44の出口50の形状は長丸以外にすることもでき、例えば2個の円形孔としてもよい。
【0022】
次に、このTG−DTAのような熱分析装置の動作を説明する。試料容器32に試料と基準物質を入れて、水蒸気ガス46を上方から導入し、カーテンガス48を下方から導入する。加熱炉36を用いて試料と基準物質とを所望の温度曲線で加熱し、水蒸気ガス中での試料の重量変化と吸発熱を測定する。
【0023】
カーテンガス48は延長管44の出口50から保護管35の内部空間に出ていく。したがって、延長管44の内部の試料ホルダー部分は水蒸気ガスに触れることはない。カーテンガスは上述のようにある程度の流速で出口50から出ていくので、水蒸気ガスが延長管44の内部に侵入することはない。
【0024】
カーテンガスと水蒸気ガスは、最終的に、保護管35の下部の内壁と延長管44の外壁との間を通過して、スリーブ38のガス排出通路42を通って、外部に排出される。
【0025】
保護管35の下部は空冷フィン54で冷却されているので、水蒸気ガスは保護管35の下部の内壁で凝縮しやすく、この凝縮した水も、ガス排出通路から排出される。水蒸気ガスの凝縮によって、保護管35の内壁と延長管44の外壁の間の空間では圧力が低下する。
【0026】
これにより、保護管35の上方の内部空間に存在するガスは、圧力の低い下方に引っ張られて、ガス排出作用が促進される。すなわち、試料周囲の雰囲気は、常に新しい水蒸気ガスで覆われて、試料と水蒸気ガスとの反応が正しくなされる。また、反応生成物のガスが試料付近に滞留する恐れもなくなる。
【0027】
【特許文献1】
実用新案登録第2573010号公報
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成は、例えば、腐食性ガス等の雰囲気で試料容器32に入れる試料を昇温させながら重量変化を測定すると共に、昇温により試料から発生するガスの組成割合を分析する場合、腐食性ガスは保護管35の上部で試料容器32の上方より供給し、試料ホルダー30の一部にカーテンガス48を流し、試料容器32を通過後に腐食性ガスとカーテンガス48を合流させて排出している。
【0029】
これにより、使用時に小さいながらも試料ホルダー30が酸化したり、還元されたり、腐食したり等による試料ホルダー30の重量変化に伴う精度低下は防止できる。
【0030】
つまり、通常は試料容器32の投入量は入れる物質の密度に関係するが数十から数mgであり、測定する重量変化は更に小さい重量を測定しなければならないことから、試料ホルダー30の重量変化の影響を大きく受け易くなるが、試料ホルダー30の一部に腐食性ガスを流通せずカーテンガス48を流通させるため、少しでも精度低下が抑制できる。
【0031】
しかしながら、試料通過後のガス組成を分析する場合は、前述したように、試料の量が微量であるため発生する単位時間当たりのガスも非常に微量となる。そして、この微量な発生ガスは流通する腐食性ガスだけではなくカーテンガス48と混合するため全体のガス量から更に濃度が低くなりガス組成分析する時に誤差を生じる。
【0032】
また、カーテンガス48の種類によっては試料から発生したガスとカーテンガス48とが反応し、発生した時点とカーテンガス48と合流した後ではガス組成が異なり目的とするガス組成を分析できず、誤った分析結果を得る可能性がある。
【0033】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、腐食性ガス等を用いた場合に熱分析の測定器の誤差を従来同等に小さく維持しながら、試料から発生したガスの組成分析精度を向上する熱分析装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の熱分析装置の発明は、試料容器と、試料容器または試料雰囲気を加熱する加熱手段と、前記試料容器の物性を検知し測定する物性検知測定手段と、前記試料容器が内部に設置された試料室と、前記物性検知測定手段の一部が内部に設置された予備室とを備え、前記予備室に流通させる予備室用ガスとは異なる試料室用ガスを試料室に流通させ、前記試料室から排出される試料容器を流通後の試料室排出ガスに予備室用ガスが混入させないものである。
【0035】
上記構成において、物性検知測定手段の一部が試料室用ガスに接触しないため、試料室用ガスに腐食性ガス等の物性検知測定手段を劣化させる易いようなガスを用いた場合においても従来同様に物性検知測定手段での測定精度低下を抑制できると共に、試料から発生したガスは予備室ガスと混合することなく試料室用ガスだけと共に排出されるので、従来の予備室ガスを混合して排出される場合に比して排気ガスにおける試料からの発生ガスの濃度を高くできることからガス組成分析時の精度が向上できる。
【0036】
本発明の請求項2に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、予備室用ガスに不活性ガスを用いたものである。
【0037】
上記構成において、物性検知測定手段の一部の流すガスが不活性ガスであることから、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、この不活性ガスと接触する部分や外部に位置する物性検知測定手段の部分の材料は制限が緩和されて、安価な材料を利用可能になる。
【0038】
本発明の請求項3に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、試料室排出ガスの排出口である試料室排出ガス排出口にガス組成や割合を一定時間毎に分析可能なプロセスガスクロマトグラフを設置したものである。
【0039】
上記構成において、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、物性検知測定手段で測定した時点と約同時点でのガス組成分析が精度良く行え、分析結果の照合が容易となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による熱分解装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による熱分析装置の正面断面図である。
【0042】
図1において、熱重量示差熱分析装置101は、測定試料と標準試料を同環境下で昇温させながら測定試料の重量変化の分析と同時に、比熱が明確な標準試料と測定試料との昇温時の温度測定によりその温度差から各温度での測定試料の熱量を分析する装置であり、試料室102と予備室103と加熱手段104と物性検知測定手段105とから構成されている。
【0043】
試料室102は、内部に測定試料及び標準試料を入れる試料容器32と、一端が試料容器32と接続され他端が天秤34に接続された試料ホルダー30の試料容器32の接続側の一部とを有すると共に、試料容器32より下方に試料の雰囲気ガスとなる不活性ガスの試料室用ガスを試料室102に流入させる試料室用ガス流入口106と、試料容器32より上方に試料容器32を通過後の排ガスを排気する排ガス排出口107と、底面に予備室103との連通口である第1の連通口108とを有している。
【0044】
予備室103は、内部に試料ホルダー30の一部を有すると共に、上面に第1の連通口108と、底面に窒素である予備室ガスを流入する予備室用ガス流入口109と、第1の連通口108と予備室用ガス流入口109との間に予備室用ガス排出口110を有している。
【0045】
加熱手段104は電気炉であり試料室102の外郭周辺で試料容器32に最も近くなる位置に設置されている。
【0046】
物性検知測定手段105は、試料ホルダー30と天秤34からなり、試料ホルダー30は内部にセンサ部が試料容器32に接触するように設置された熱電対を有し、第1の連通口108と予備室用ガス流入口109と第2の連通口111との各連通部の中心を壁面に当たらないように連通した細い直棒であり、外部に設置された天秤34に接続されている。
【0047】
天秤34は重量測定を行う共に試料ホルダー30内部の熱電対からの電圧から温度を測定も行えるようになっている。
【0048】
第2の連通口111は外部に設置した天秤34へ試料ホルダーを引き出すためのもので、予備室用ガス流入口109を通じて予備室103と連通している。
【0049】
以上のように構成された熱分析装置について、以下その動作を説明する。
【0050】
試料室用ガスを試料室用ガス流入口106から入れると同時に、試料室が予備室より高い圧力となるように予備室用ガス流入口109から予備室用ガスを入れる。その直後、加熱手段104を作動させて、図示しない試料室102内の温度センサにより試料室102の単位時間当たりの昇温を同じにする、つまり、昇温速度を一定になるように加熱手段104の発熱量を入力電圧を可変させることで制御する。
【0051】
このとき、試料室用ガス流入口106から流入した試料室用ガスは一部が試料容器32を通過し、通過する際に測定試料から発生したガスと混合された排ガスとなって排ガス排出口107から比較的高濃度で排気される。この排ガスを一定時間毎に採取してガス組成分析を行う。
【0052】
また、試料室用ガスの残りの一部は、第1の連通口108を通って予備室103の流入する。予備室103では外部から試料ホルダーの一部に接触しながら流通して予備室用ガス流入口109から流入した予備室用ガスと第1の連通口108から流入してきた試料室用ガスが混合されて予備室用ガス排出口110から外部へ排気される。
【0053】
ここで、第2の連通口111の圧力損出は予備室用ガス流入口109と第2の連通口111が合流する合流点から予備室103に開放する部分までの圧力損失に比べて大きくなるように設計されているため予備室用ガスが第2の連通口111を通じて外部に漏れる量は極めて少ない。
【0054】
以上より、試料ホルダーの一部は不活性な予備室用ガスであるため試料ホルダーの劣化を抑制できると共に、天秤34に漏れる少量のガスも不活性ガスである予備室用ガスとなることから天秤34の劣化も抑制でき、物性検知測定手段105の測定精度低下を抑えることが可能である。このように、物性検知測定手段105の測定精度低下抑制を維持しながら、測定試料から発生するガスを比較的高濃度で採取できガス組成分析の精度が向上できる。
【0055】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2による熱分析装置のシステム構成図である。尚、本発明の実施の形態1と同一構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
図2において、排ガス排出口107の下流に熱交換器112を接続し、熱交換器112の下流に一定時間毎にガスを吸入して吸入したガスの組成やその組成の濃度や量を自動分析するプロセスガスクロマトグラフ113を接続している。この点が実施の形態1と異なる点である。
【0057】
以上のように構成された熱分析装置について、以下その動作を説明する。
【0058】
熱重量示差熱分析装置101の排ガス排出口107から排出された排ガスは熱交換器112で適温に冷却された後にプロセスガスクロマトグラフ113に流入し、プロセスガスクロマトグラフ113の内部機構により、一定時間毎に所定量だけサンプリングしてガスの組成やその特定した組成の濃度等を分析し、サンプリングしていないときはそのまま外部へ排気する。分析した結果は時計機能の付いた図示しない記録装置に送られる。
【0059】
このとき、記録装置には天秤34の測定開始から一定時間毎に測定試料の重量と、測定試料と標準試料の温度を記しており、プロセスガスクロマトグラフ113がガスを吸入した時点での重量と温度がわかるようになっている。
【0060】
このことから、プロセスガスクロマトグラフ113がガスを吸入した時点での測定試料や標準試料の重量や温度の結果を精度良く参照することができることから、各分析結果の照合が容易となる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の熱分析装置の発明は、試料容器と、試料容器または試料雰囲気を加熱する加熱手段と、試料容器の物性を検知し測定する物性検知測定手段と、試料容器が内部に設置された試料室と、物性検知測定手段の一部が内部に設置された予備室とを備え、予備室に流通させる予備室用ガスとは異なる試料室用ガスを試料室に流通させ、試料室から排出される試料容器を流通後の試料室排出ガスに予備室用ガスが混入させないものである。
【0062】
上記構成において、物性検知測定手段の一部が試料室用ガスに接触しないため、試料室用ガスに腐食性ガス等の物性検知測定手段を劣化させる易いようなガスを用いた場合においても従来同様に物性検知測定手段での測定精度低下を抑制できると共に、試料から発生したガスは予備室ガスと混合することなく試料室用ガスだけと共に排出されるので、従来の予備室ガスを混合して排出される場合に比して排気ガスにおける試料からの発生ガスの濃度を高くできることからガス組成分析時の精度が向上できる。
【0063】
本発明の請求項2に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、予備室用ガスは不活性ガスを用いたものである。
【0064】
上記構成において、物性検知測定手段の一部の流すガスが不活性ガスであることから、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、この不活性ガスと接触する部分や外部に位置する物性検知測定手段の部分の材料は制限が緩和されて、安価な材料を利用可能になる。
【0065】
本発明の請求項3に記載の熱分析装置の発明は、請求項1に記載の発明において、試料室排出ガスの排出口である試料室排出ガス排出口にガス組成や割合を一定時間毎に分析可能なプロセスガスクロマトグラフを設置したものである。
【0066】
上記構成において、物性検知測定手段の精度低下抑制と試料からの発生ガス組成分析時の精度向上に加えて、物性検知測定手段で測定した時点と約同時点でのガス組成分析が精度良く行え、分析結果の照合が容易となり利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による熱分析装置の正面断面図
【図2】本発明の実施の形態2による熱分析装置のシステム構成図
【図3】従来の熱分析装置の正面断面図
【符号の説明】
32 試料容器
102 試料室
103 予備室
104 加熱手段
105 物性検知測定手段
107 排ガス排出口
112 プロセスガスクロマトグラフ
Claims (3)
- 試料容器と、試料容器または試料雰囲気を加熱する加熱手段と、前記試料容器の物性を検知し測定する物性検知測定手段と、前記試料容器が内部に設置された試料室と、前記物性検知測定手段の一部が内部に設置された予備室とを備え、前記予備室に流通させる予備室用ガスとは異なる試料室用ガスを試料室に流通させ、前記試料室から排出される試料容器を流通後の試料室排出ガスに予備室用ガスを混入させない熱分析装置。
- 予備室用ガスは不活性ガスを用いる請求項1記載の熱分析装置。
- 試料室排出ガスの排出口である排出ガス排出口にガス組成や割合を分析可能なプロセスガスクロマトグラフを設置した請求項1記載の熱分析装置。
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