JP2005023974A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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聡 梅村
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Abstract

【課題】オリフィス通路のチューニング周波数域の振動入力に際して、弾性可動板が充分に拘束されることにより、オリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく防振効果が高度に発揮され得る新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】弾性可動板70を挟んで受圧室84と反対側に作用空気室74を形成すると共に、該作用空気室74に対して外部から負圧と大気圧を選択的に及ぼすための空気圧作用通路76,142,148,152,154を設ける一方、弾性可動板70に対向位置する作用空気室74の底面75において、外周縁部を周方向に連続して延びる外周凹溝160を設けて中央部分を台地状凸部162とすると共に、該台地状凸部162の上端面164において外周凹溝160から延びる連通溝166を設けた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、例えば自動車用のエンジンマウントやボデーマウント、キャブマウント等として好適に用いられる流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、振動が入力される本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置が知られている。このような流体封入式防振装置においては、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて優れた防振効果が発揮されることから、例えば自動車のエンジンマウント等に採用されている。
【0003】
ところで、自動車用エンジンマウント等の流体封入式防振装置においては、車両走行状況に応じて入力される周波数や振幅の異なる複数種類の振動に対して、それぞれ、防振特性が要求されることとなる。一方、オリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく防振効果は、オリフィス通路のチューニングされた比較的に狭い周波数域でしか有効に発揮され難い傾向にある。その結果、特に、オリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動入力時にあっては、オリフィス通路の流体流通抵抗が著しく大きくなって防振性能が大幅に低下してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、上述の如き問題に鑑み、例えば、特許文献1等には、受圧室の圧力が一方の面に及ぼされる弾性可動板を配設して、オリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動入力時には、弾性可動板の弾性変形による微小変位に基づいて受圧室内の圧力変動を吸収することにより、オリフィス通路の反共振的作用による著しい高動ばね化を回避して良好な防振性能を確保するようにした流体封入式防振装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、このような構造とされた流体封入式防振装置においては、オリフィス通路のチューニング周波数域の振動入力時に、受圧室の圧力変動が弾性可動板に及ぼされて弾性可動板が弾性変形することに伴い受圧室の圧力変動が吸収されて小さくなってしまうことから、オリフィス通路を通じての流体流動量が低下して目的とする流体の共振作用に基づく防振効果が充分に発揮され難くなるおそれがあった。
【0006】
なお、このような問題に対処するために、例えば特許文献2〜4等にも示されているように、弾性可動板を挟んで受圧室と反対側に作用空気室を形成し、この作用空気室に負圧と大気圧を選択的に及ぼすようにした流体封入式防振装置が提案されている。かかる流体封入式防振装置においては、オリフィス通路による防振効果が要求される際に、作用空気室に負圧を及ぼして、弾性可動板に負圧吸引力を作用せしめて該弾性可動板の弾性変形を拘束することにより、液圧吸収が抑制される一方、オリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動が入力される際に、作用空気室に大気圧を及ぼすことによって、弾性可動板の弾性変形を許容して受圧室の圧力変動を吸収低減することにより、高動ばね化による防振性能の低下が回避されることから、複数の乃至は広い周波数域の振動に対して有効な防振効果を得ることが可能となる。
【0007】
ところで、近年では、自動車の走行性能の向上等に伴い、流体封入式防振装置においても一層高度な防振特性が要求されるようになっている。かかる要求に対処するために、例えば、負圧吸引によって弾性可動板を出来るだけ強固に拘束して弾性可動板の弾性変形を可及的に小さく抑えることが考えられる。しかしながら、負圧力にも限界があると共に、弾性可動板をあまり大きく変形させてしまうと耐久性の問題等も発生するおそれがある。加えて、自動車に用いられる流体封入式防振装置においては、負圧源として内燃機関のインテーク側で得られる負圧を利用することが多いが、かかる内燃機関のインテーク側で得られる負圧は車両の走行状態に応じて変動され易いことから、弾性可動板を略一定の拘束状態に安定して保持することが難しいという問題もあった。
【0008】
【特許文献1】
特許第2612783号公報
【特許文献2】
実開平3−62243号公報
【特許文献3】
特許第2884804号公報
【特許文献4】
特開平11−2282号公報
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、オリフィス通路のチューニング周波数域の振動入力に際して、弾性可動板が充分に拘束されることにより、オリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく防振効果が高度に発揮され得る新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、振動が及ぼされる本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設け、更に該受圧室の圧力変動が一方の面に及ぼされる弾性可動板を設けた流体封入式防振装置において、前記弾性可動板を挟んで前記受圧室と反対側に作用空気室を形成すると共に、該作用空気室に対して外部から負圧と大気圧を選択的に及ぼすための空気圧作用通路を設ける一方、該弾性可動板に対向位置する該作用空気室の底面において、外周縁部を周方向に連続して延びる外周凹溝を設けて中央部分を台地状凸部とすると共に、該台地状凸部の上端面において該外周凹溝から延びる連通溝を設けた流体封入式防振装置にある。
【0012】
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、空気圧作用通路を通じて作用空気室に負圧が及ぼされると、弾性可動板に負圧吸引力が作用せしめられて、弾性可動板における受圧室と反対側の面が台地状凸部の上端面に当接せしめられて重ね合わされる状態まで弾性可動板が変形し、かかる変形状態に維持されるにことにより、弾性可動板の弾性変形が実質不能に保持される。従って、弾性可動板を大きく弾性変形させることなく、弾性可動板に対して大きな拘束力を安定して及ぼすことが出来るのであり、弾性可動板のばね剛性が充分に硬く変化せしめられて、目的とする防振特性の変更が有利に実現可能となるのである。
【0013】
しかも、本態様では、弾性可動板が台地状凸部に当接せしめられて重ね合わされる際に、弾性可動板と台地状凸部の間に存在する空気が台地状凸部の上端面に形成された連通溝を通じて外周凹溝に速やかに逃がされることとなる。それ故、弾性可動板と台地状凸部の重ね合わせ面間に空気溜まりが生ぜしめられることがなく、そのような空気溜まりに起因する弾性可動板に弾性変形が防止され得て、弾性可動板の台地状凸部の上端面に対する重ね合わせ状態が安定して発現され得るのであり、台地状凸部による拘束力が弾性可動板に対して有効に且つ安定して及ぼされ得て、弾性可動板の拘束に基づく防振性能の調節が一層有利に実現され得るのである。
【0014】
しかも、弾性可動板が台地状凸部に重ね合わされた状態で、作用空気室に及ぼされる負圧が、弾性可動板と台地状凸部の重ね合わせ面間に対して、外周凹溝を通じて連通溝内に及ぼされることから、台地状凸部の上端面に重ね合わされた弾性可動板の下側全面に対して負圧がより一層効果的に且つ安定して及ぼされるのである。
【0015】
従って、弾性可動板に負圧吸引力を作用せしめた状態下でオリフィス通路のチューニング周波数域の振動が入力されると、弾性可動板の拘束状態が良好に保持されていることから、弾性可動板の弾性変形による受圧室の圧力変動の吸収が有効に防止される。それ故、オリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されて、該オリフィス通路を通じての流体の流動作用に基づく防振効果が高度に発揮され得るのである。
【0016】
一方、空気圧作用通路を通じて作用空気室に大気圧を及ぼした状態下では、弾性可動板への負圧吸引力の作用が解除されて、弾性可動板が台地状凸部から離隔して自由変形状態に保持されることにより、弾性可動板に対して微小な弾性変形が比較的容易に許容されることとなる。それ故、かかる状態下でオリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動が入力される際には、弾性可動板の微小弾性変形による受圧室の圧力変動吸収作用に基づいて有効な防振効果が発揮され得る。
【0017】
なお、本態様における弾性可動板の構造は、要求される防振特性に応じて適宜に設定変更され得る。具体的には、例えば、弾性可動板は、特許文献2におけるゴム弾性膜(60)や特許文献3におけるゴム弾性膜(44)等と同様に、一方の面が受圧室に直接に露呈されて受圧室の壁部の一部を構成するような構造とされて良く、或いは特許文献3における第一のダイヤフラム(56)や特許文献4におけるゴム弾性板(58)等と同様に、受圧室に対して流体流路を通じて接続される構造とされても良い。特に、後者の場合には、流体流路のチューニング周波数域がオリフィス通路のチューニング周波数域から独立して設定変更可能とされていることから、特定のチューニング周波数域の振動に対して一層優れた防振効果が発揮され得る。また、連通溝の形態は、何等限定されるものでなく、例えば放射状や格子状、複数の平行線状、渦巻き状等の各種態様が採用可能である。
【0018】
また、空気圧作用通路の構造等は、特に限定されるものでなく、例えば空気圧作用通路を大気圧を作用せしめる大気圧作用通路と負圧を作用せしめる負圧作用通路を含んで構成し、それら大気圧作用通路と負圧作用通路を作用空気室に対して、それぞれ独立して接続する構造が採用可能であるが、好ましくは、空気圧作用通路を一本の通路で構成し、該通路の作用空気室を通じて外方に延びる端部に切換弁を介して大気と負圧源を接続して、切換弁を切り換え作動することにより、作用空気室に対して大気圧と負圧を選択的に及ぼし得るようにした構造が採用され得る。
【0019】
また、オリフィス通路の形状や大きさ、構造等も、特定されるものでなく、更に、オリフィス通路を複数設けてそれぞれ異なる周波数域にチューニングすることにより複数の防振効果を選択的に発揮させるようにしても良い。具体的には、例えば、受圧室と平衡室の間において上記オリフィス通路と異なる周波数域にチューニングされた第二のオリフィス通路を設けると共に、オリフィス通路の平衡室への開口部を開閉弁やその他の連通/遮断機構によって連通/遮断状態に切り換え制御せしめることにより、オリフィス通路が遮断された状態では、第二のオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられることから、オリフィス通路による特定周波数域の防振効果と、第二のオリフィス通路による前記オリフィス通路と異なる特定周波数域の防振効果とを、選択的に発揮させることが可能となる。
【0020】
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式防振装置において、前記連通溝が、前記外周凹溝に比して浅底であることにある。
【0021】
このような本態様においては、連通溝を浅底とすることによって台地状凸部の上端面と該上端面と対向位置する弾性可動板の受圧室と反対側の面の間の隙間が小さくされることにより、作用空気室の容積が小さくされる。その結果、作用空気室に対して大気圧および負圧を含む空気圧を効率的に及ぼすことが可能であることから、作用空気室に負圧を作用せしめた際の弾性可動板における弾性変形の拘束状態と作用空気室に大気圧を及ぼした際の弾性可動板における弾性変形の許容状態とが、優れた応答性をもって高度に切り換え制御され得る。
【0022】
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る流体封入式防振装置において、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材によって支持された仕切部材を挟んだ一方の側に前記受圧室を他方の側に前記平衡室をそれぞれ形成する一方、該仕切部材によって前記弾性可動板を支持せしめて、該仕切部材を利用して前記作用空気室を形成したことにある。
【0023】
このような本態様においては、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材を巧く利用して、弾性可動板や作用空気室が優れたスペース効率をもって配設されることとなり、装置全体のコンパクト化が有利に実現され得る。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされており、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具14が自動車のボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向は、原則として、図1における上下方向をいう。
【0026】
より詳細には、第一の取付金具12は、下端が円錐台状に広がったロッド形状を有しており、上端面に開口して軸方向に延びるねじ穴18が形成されている。また、下端部分には、軸直角方向に広がるストッパプレート20が一体形成されている。而して、第一の取付金具12は、ねじ穴18に螺着される図示しないボルトによって自動車のパワーユニット側に取り付けられるようになっている。
【0027】
また、第二の取付金具14は、全体として略段付円筒形状を呈しており、軸方向中間部分に形成された段差部22を挟んで軸方向上側が小径部24とされていると共に、軸方向下側が大径部26とされている。そして、第二の取付金具14における小径部24の開口部の軸方向外方に離隔して、第一の取付金具12が配設されており、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0028】
この本体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を有しており、その大径側端面には、中央部分に開口する大径の凹所28が形成されている。そして、本体ゴム弾性体16は、その小径側端面が第一の取付金具12の下端部分に加硫接着されていると共に、その大径側端部外周面が第二の取付金具14における小径部24の内周面の略全体に加硫接着されていることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。これにより、第二の取付金具14の上側開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。
【0029】
なお、第一の取付金具12のストッパプレート20には、外周部分において上方に向かって突出するストッパゴム30が、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。また、図面に明示されていないが、第二の取付金具14の段差部22や大径部26の内周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成されるシールゴム層が加硫接着されている。
【0030】
また、第二の取付金具14の大径部26には、仕切部材32が嵌め込まれて組み付けられている。この仕切部材32は、図2〜4にも示されているように、それぞれ硬質の金属材や合成樹脂材等の硬質材で形成された仕切部材本体34、上蓋部材36および下蓋部材38を含んで構成されている。仕切部材本体34は、単体平面図が図5に示されているように、厚肉の略円板形状を有しており、その上面中央部分には大径で浅底の蓋嵌合凹所40が設けられていると共に、蓋嵌合凹所40の中央部分には、小径の中央凹所42が同心的に設けられている。
【0031】
また、仕切部材本体34の下面中央部分には、小径の略円形の下面中央凹所44が形成されている。この下面中央凹所44は、中央凹所42の底部まで達しない深さ寸法とされている。
【0032】
さらに、仕切部材本体34には、中央凹所42や下面中央凹所44の外周側に離隔位置する部分において、第一の連通孔46と第二の連通孔48が、それぞれ軸方向に貫通して形成されている。これら第一及び第二の連通孔46,48は、互いに周方向に充分に近接位置して形成されており、何れも、蓋嵌合凹所40に開口せしめられている。また、仕切部材本体34の上面には、蓋嵌合凹所40の外周部分を一周弱の長さで周方向に延びる上側周溝50が形成されており、この上側周溝50の周方向一方の端部に第一の連通孔46が開口位置せしめられていると共に、周方向他方の端部に第二の連通孔48が開口位置せしめられている。
【0033】
また一方、仕切部材本体34の下面には、下面中央凹所44の外周側に離隔位置する部分において、下側第一凹溝52と下側第二凹溝54が、互いに独立して形成されている。下側第一凹溝52は、第二の連通孔48から周方向一方の側に向かって略半周の長さで延びている。また、下側第二凹溝54は、第一の連通孔46から周方向他方の側に向かって略四半周の長さで延びている。そして、下側第二凹溝54は、第一の連通孔46への接続端と反対側の周方向端部において、下面中央凹所44に接続されている。なお、仕切部材本体34の下面の外周縁部近くには、周方向の全周に亘って延びる嵌合溝56が形成されている。
【0034】
さらに、上蓋部材36は、薄肉の略円板形状を呈しており、その中央部分には複数の通孔58が貫設されている。なお、本実施形態では、上蓋部材36の中央部分の下面が、下方に開口する略逆すり鉢形状とされている。また、上蓋部材36には、通孔58から外周側に離隔して、接続孔60が貫設されている。そして、上蓋部材36は、仕切部材本体34の蓋嵌合凹所40に嵌め合わされて、必要に応じてボルト固定されることにより、仕切部材本体34に組み付けられている。このような組付状態下、仕切部材本体34に形成された上側周溝50は、上蓋部材36で覆蓋されていると共に、上側周溝50における第一の連通孔46側の端部が、上蓋部材36の接続孔60を通じて外部に開口せしめられている。
【0035】
また、下蓋部材38は、薄肉の略円板形状を呈しており、その中央部分に内側接続孔62が貫設されている。更に、下蓋部材38には、内側接続孔62から外周側に離隔した位置に外側接続孔64が貫設されている。そして、下蓋部材38は、仕切部材本体34の下面に重ね合わされて、必要に応じてボルト固定されることにより、仕切部材本体34に組み付けられている。このような組み付け状態下、仕切部材本体34に形成された下側第一凹溝52と下側第二凹溝54は、ともに下蓋部材38によって覆蓋されている。また、下側第一凹溝52における閉鎖側端部は、下蓋部材38の外側接続孔64を通じて外部に開口せしめられている一方、仕切部材本体34における下面中央凹所44が、下蓋部材38の内側接続孔62を通じて外部に開口せしめられている。
【0036】
これにより、仕切部材32の内部には、接続孔60から上側周溝50,第二の連通孔48,下側第一凹溝52を通じて外側接続孔64に至る第一のオリフィス通路66が形成されている。また、かかる第一のオリフィス通路66から実質的に独立した形態をもって、接続孔60から第一の連通孔46,下側第二凹溝54,下面中央凹所44を通じて内側接続孔62に至る第二のオリフィス通路68が形成されている。
【0037】
さらに、仕切部材本体34の中央凹所42には、弾性可動板としての可動ゴム板70が配設されている。この可動ゴム板70は、所定厚さの略円板形状を有しており、その外周縁部には環状の嵌着金具72が加硫接着されている。そして、中央凹所42の周壁部に嵌着金具72が圧入されることによって、可動ゴム板70が中央凹所42の開口部を流体密に閉塞するように配設されている。これにより、中央凹所42には、作用空気室としての第一の作用空気室74が形成されている。なお、図面上に明示されていないが、嵌着金具72の軸方向下端部等には、可動ゴム板70と一体形成されたシールゴム層が配設されており、可動ゴム板70の仕切部材32に対する組み付け状態で、第一の作用空気室74の底面75(中央凹所42の底面)に弾性変形して密着保持されていることにより、第一の作用空気室74の流体密性が確保されるようになっている。
【0038】
また、仕切部材本体34には、第一の作用空気室74の外周壁面に開口して径方向外方に貫通して延びる空気給排路76が形成されており、この空気給排路76の外周側開口部が、仕切部材本体34の外周面に設けられた第一の接続ポート78とされている。そして、空気給排路76を通じて、第一の作用空気室74の空気圧を外部から調節可能となっている。なお、第一の接続ポート78は、仕切部材本体34に形成された凹所内に収容位置せしめられ、仕切部材本体34の外周面への突出が防止されている。
【0039】
そうして、これら仕切部材本体34や上下蓋部材36,38が相互に固定的に組み付けられた仕切部材32は、第二の取付金具14の大径部26の開口部側から嵌め込まれて、仕切部材本体34の上端面が第二の取付金具14の段差部22に当接されることにより第二の取付金具14に対して位置決めされている。
【0040】
さらに、仕切部材本体34には、下方から、可撓性膜としてのダイヤフラム80が組み付けられている。このダイヤフラム80は、薄肉ゴム膜によって形成されており、弛みをもたせて容易に変形が許容されるようにした浅底の袋形状を有していると共に、その開口周縁部には、環状の取付金具82が加硫接着されている。そして、ダイヤフラム80は、取付金具82が仕切部材本体34の嵌合溝56に嵌め入れられることにより、仕切部材32に対して位置決めされて組み付けられている。
【0041】
また、仕切部材32とダイヤフラム80は、第二の取付金具14の下端開口周縁部がかしめ加工されることにより、第二の取付金具14の大径部26に対して固定的に組み付けられている。
【0042】
これにより、第二の取付金具14の大径部26側の開口部が仕切部材32で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴム弾性体16と仕切部材32の対向面間に、所定の非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室84が画成されている。また、仕切部材32を挟んで受圧室84と反対側には、ダイヤフラム80と仕切部材32の対向面間に、所定の非圧縮性流体が封入されて振動が入力される平衡室86が画成されている。更にまた、これら受圧室84と平衡室86の間には、第一のオリフィス通路66と第二のオリフィス通路68が、互いに並列的に形成されて、両室84,86が相互に連通せしめられている。
【0043】
なお、本実施形態では、第一のオリフィス通路66における流路断面積:Aと流路長さ:Lの比の値:A/Lが、第二のオリフィス通路68のそれよりも小さく設定されており、第一のオリフィス通路66がシェイク等の低周波大振幅振動に対してチューニングされていると共に、第二のオリフィス通路68がアイドリング振動等の中周波中振幅振動に対してチューニングされている。
【0044】
また、受圧室84には、仕切部材32の通孔58が開口せしめられており、この通孔58を通じて、受圧室84の圧力が可動ゴム板70の上面に及ぼされるようになっている。要するに、可動ゴム板70は、実質的に受圧室84の壁部の一部を構成しており、可動ゴム板70の一方の面に受圧室84の圧力が作用せしめられるようになっている一方、可動ゴム板70の他方の面には、第一の作用空気室74の圧力が及ぼされるようになっている。
【0045】
更にまた、これら受圧室84や平衡室86等は、外部空間から遮断されて所定の非圧縮性流体が封入されている。なお、非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が好適に採用され、かかる流体の受圧室84や平衡室86への封入は、例えば、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品を構成する第二の取付金具14に対する仕切部材32やダイヤフラム80等の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと等によって、有利に実現される。
【0046】
さらに、ダイヤフラム80の下方には、空気圧式アクチュエータ88が配設されて組み付けられている。かかるアクチュエータ88は、薄肉の略カップ形状のハウジング金具90に対して、全体として略ハット形状を有する押圧部材92が収容状態で組み付けられた構造とされている。押圧部材92は、略逆カップ形状の押圧金具94と、該押圧金具94をハウジング金具90に対して弾性的に連結支持せしめる支持ゴム弾性体96を含んで構成されている。
【0047】
詳細には、押圧金具94には、開口周縁部から径方向外方に広がる円環板状の鍔部98が一体形成されている。また、支持ゴム弾性体96は、押圧金具94の表面を全体に亘って覆う被覆部100と、押圧金具94の鍔部98から径方向外方に向かって軸方向下方に僅かに傾斜して広がる円環板形状の支持部102を備えており、該支持部102の外周縁部にはリング金具104が加硫接着されている。更にまた、押圧金具94の内部には、該押圧金具94の上底部106の中央部分から軸方向下方に向かって突出する円形ブロック状の弾性嵌合部108が支持ゴム弾性体96と一体形成されている。
【0048】
そして、支持ゴム弾性体96の外周縁部に固着されたリング金具104がハウジング金具90に嵌め込まれて該ハウジング金具90の筒壁部110の下端部に対して嵌着固定されている。これにより、押圧金具94が、支持ゴム弾性体96の支持部102によってハウジング金具90に対して弾性的に支持されている。また、ダイヤフラム80とハウジング金具90の間に画成された空間が、押圧部材92によってハウジング金具90の底壁部112側と開口部側とに流体密に二分されており、以て、押圧部材92とダイヤフラム80の間にダイヤフラム80の変形を許容する空気室114が形成されていると共に、押圧部材92とハウジング金具90の底壁部112の間に、密閉された第二の作用空気室116が形成されている。
【0049】
また、ハウジング金具90の底壁部112の略中央には、第二の接続ポート118が貫通して取り付けられており、第二の作用空気室116に対して、第二の接続ポート118を通じて外部から空気圧を及ぼすことが出来るようになっている。
【0050】
さらに、第二の作用空気室116には、コイルスプリング120が収容されており、一方の端部が支持ゴム弾性体96の弾性嵌合部108に外嵌されると共に、他方の端部がハウジング金具90の底面中央に突設された支持部122に外嵌されることにより、ハウジング金具90の底壁部112と押圧金具94の上底部106との間に跨って配設されている。これにより、押圧金具94に対して、ハウジング金具90の底壁部112から離隔する方向に向かって、コイルスプリング120の付勢力が常時及ぼされている。
【0051】
かくの如きアクチュエータ88は、ハウジング金具90の開口周縁部に一体形成されたフランジ状部124が仕切部材32の下面に重ね合わされて、仕切部材32と共に第二の取付金具14でかしめ固定されることによって、仕切部材32や第二の取付金具14に対して組み付けられている。
【0052】
そして、そのような組み付け状態下、かかるアクチュエータ88にあっては、コイルスプリング120の付勢力で押圧金具94が上方に向かって弾性的に突出させられることにより、押圧金具94の上底部106が、ダイヤフラム80を押し上げて、ダイヤフラム80の中央部分126を仕切部材32の下面中央に押し当てるようになっている。これにより、仕切部材32における下蓋部材38に形成された内側接続孔62が、ダイヤフラム80の中央部分126によって閉塞されるようになっており、以て、内側接続孔62を通じて平衡室86に連通された第二のオリフィス通路68が、実質的に遮断されるようになっている。また、第一のオリフィス通路66を平衡室86に連通させる外側接続孔64は、押圧金具94によって押圧されるダイヤフラム80の当接部分から外れた位置に形成されており、それによって、第一のオリフィス通路66が、常時、連通状態に維持されるようになっている。
【0053】
なお、本実施形態では、第一の取付金具12側とアクチュエータ88側の両方から上下のカバー金具128,130が組み付けられている。上カバー金具128は、全体として大径の略段付円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成された段差部132と大径側端部のかしめ部134の間で、第二の取付金具14の全体を、仕切部材32等を含んで軸方向にかしめ固定するようにして組み付けられている。また、上カバー金具128の小径側の上端開口部には、径方向内方に突出する環状の当接部136が一体形成されており、この当接部136が、第一の取付金具12のストッパプレート20に突設されたストッパゴム30に対して軸方向で離隔して対向位置せしめられてストッパ機構を構成している。
【0054】
また、下カバー金具130は、アクチュエータ88のハウジング金具90よりも一回り大きなカップ形状を有しており、ハウジング金具90を全体に亘って覆うように組み付けられている。また、下カバー金具130の開口周縁部にはフランジ部138が一体形成されており、このフランジ部138が、ハウジング金具90のフランジ状部124と共に、第二の取付金具14でかしめ固定されることによって、仕切部材32や第二の取付金具14に対して組み付けられている。なお、下カバー金具130の底壁部分には取付ボルト140が植設されており、この取付ボルト140によって、下カバー金具130ひいては第二の取付金具14が、図示しない自動車のボデー側に取り付けられるようになっている。
【0055】
さらに、本実施形態のエンジンマウント10は、自動車への装着状態下において、第一の接続ポート78に第一のエア管路142が接続されると共に、第二の接続ポート118に第二のエア管路144が接続される。これら第一及び第二のエア管路142,144は、分岐弁146によって相互に接続連通せしめられており、一本の共通管路148を介して、切換弁150に接続されている。また、切換弁150には、共通管路148に加えて大気開放ポート152と負圧接続管路154を備えており、負圧接続管路154には負圧源156が接続されている。
【0056】
そして、自動車の走行状態に対応した切換信号を出力するコントローラ158の制御下で切換弁150が切換作動されることにより、第一及び第二のエア管路142,144が、共通管路148を通じて、大気開放ポート152と負圧接続管路154に対して選択的に切換接続されるようになっている。これにより、第一のエア管路142が開口せしめられた第一の作用空気室74と、第二のエア管路144が開口せしめられた第二の作用空気室116には、大気圧と負圧とが、択一的に、且つ同時に、及ぼされるようになっている。なお、負圧源156としては、自動車の内燃機関におけるエアインテーク部分に発生する負圧を利用したり、負圧力発生ポンプを設けたり、更に必要に応じて負圧タンクを増設したりすること等によって、有利に実現される。また、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、第一の作用空気室74に対して負圧と大気圧を選択的に及ぼす空気圧作用通路が、空気給排路76や第一のエア管路142、共通管路148、大気開放ポート152、負圧接続管路154を含んで構成されている。
【0057】
また、特に本実施形態では、図1,2,4,5に明示されているように、第一の作用空気室74の底面75に外周凹溝160が凹設されている。かかる外周凹溝160は、第一の作用空気室74の底面75の外周縁部から径方向内側に僅かに離隔した位置において、上方に開口する略一定の矩形断面をもって周方向に連続して延びる円環状とされている。また、外周凹溝160は、上方に向かって開口して第一の作用空気室74に連通されることから、第一の作用空気室74の一部として構成されている。更に、本実施形態では、第一の作用空気室74に対する空気給排路76の接続端部が、外周凹溝160の外周壁面に開口、形成されており、以て、空気給排路76の接続端部が、実質的に第一の作用空気室74の外周壁面に開口している。
【0058】
また、第一の作用空気室74の底面75に外周凹溝160が設けられることに伴い該底面75の中央部分には、台地状の円形凸部162が設けられている。この台地状凸部としての円形凸部162は、全体として略円柱形状を呈していると共に、その上端部分が第一の作用空気室74の底面75から軸方向上方に所定高さで突出位置せしめられている。また、第一の作用空気室74に大気圧が及ぼされて、可動ゴム板70に本来のばね特性が備わる状態においては、円形凸部162の円形を呈する上端面164が、第一の作用空気室74を介して可動ゴム板70の受圧室84と反対側の面と軸方向で離隔して対向位置せしめられている。
【0059】
さらに、円形凸部162の上端面164には、複数条の連通溝166が刻設されている。連通溝166は、円形凸部162の上端面164の中心部付近から径方向外方に向かって略一直線上に延びていると共に、連通溝166の外方端部が上端面164の外周縁部を切り欠いて、外周凹溝160、ひいては第一の作用空気室74に接続されている。これにより、連通溝166の上方開口部分が覆蓋された場合においても、連通溝166が、その径方向外方端部を通じて外周凹溝160と常時、連通されるようになっている。また、連通溝166の深さ寸法が、外周凹溝160の深さ寸法に比して充分に小さくされている。更に、本実施形態では、12個の連通溝166が、円形凸部162の上端面164の中心軸回りに、それぞれ、隣り合うように位置決め配置されており、それによって、上端面164に径方向に放射状に延びるようにして配設されている。
【0060】
このような構造とされたエンジンマウント10においては、第一及び第二のエア管路142,144をともに大気開放ポート152に接続することにより、第一の作用空気室74と第二の作用空気室116に同時に大気圧が及ぼされた状態下では、図1にも示されているように、可動ゴム板70の弾性変形が第一の作用空気室74で許容されていると共に、仕切部材32の内側接続孔62がダイヤフラム80で覆蓋されることにより第二のオリフィス通路68が遮断状態とされている。即ち、第一の作用空気室74に大気圧が及ぼされた状態では、可動ゴム板70において本来のばね特性が発揮されるようになっている。なお、本実施形態では、可動ゴム板70の形状や大きさ、材質等が適当に設定されて可動ゴム板70のばね剛性が調節されることにより、走行時のこもり音等の高周波小振幅振動の入力時に、受圧室84に惹起される圧力変動が、可動ゴム板70の本来のばね特性による弾性変形で有効に吸収されて低動ばね効果が発揮されるように可動ゴム板70がチューニングされている。
【0061】
従って、自動車の走行時において、切換弁150により第一の作用空気室74と第二の作用空気室116に対して同時に大気圧を及ぼすことによって、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動に対しては、受圧室84の圧力変動に伴い受圧室84と平衡室86の間の相対的な圧力差に基づいて、それら両室84,86の間で第一のオリフィス通路66を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用に基づいて、エンジンシェイク等に対して有効な防振効果が発揮され得る。また、走行時のこもり音等の高周波小振幅振動に対しては、受圧室84に圧力変動が惹起されると、受圧室84と第一の作用空気室74の間での圧力差変動に対し、可動ゴム板70が小さな変形量によって追従して弾性変形することにより、受圧室84の圧力変動が軽減乃至は吸収されて、低動ばね化による防振効果が発揮される。特に本実施形態では、受圧室84に圧力変動が惹起される際に、第二のオリフィス通路68が遮断せしめられていることにより、第二のオリフィス通路68の連通状態に伴い受圧室84と平衡室86の圧力差に基づいて第二のオリフィス通路68に流体流動が生ぜしめられることが防止されることとなり、第一のオリフィス通路66による防振効果が一層有効に発揮され得る。なお、このことからも明らかなように、車両の走行時には、低周波数域のシェイク振動と高周波数域の走行時のこもり音の何れに対しても、有効な防振性能が発揮され得る。
【0062】
また、かかるエンジンマウント10においては、第一及び第二のエア管路142,144をともに負圧接続管路154に接続することにより、第一の作用空気室74と第二の作用空気室116に同時に負圧が及ぼされた状態では、図6に示されているように、コイルスプリング120の付勢力に抗して、押圧部材92が下降せしめられて、ダイヤフラム80への押圧力が解除され、ダイヤフラム80が仕切部材32から離隔せしめられることにより、第二のオリフィス通路68が連通状態に維持される。
【0063】
さらに、可動ゴム板70には、第一の作用空気室74と面する受圧室84と反対側の面に対して負圧吸引力が及ぼされることとなり、可動ゴム板70が下方に向かって円形凸部162側に弾性変形せしめられる。特に本実施形態では、可動ゴム板70が円形凸部162の上端面164に当接せしめられて重ね合わされた状態まで変形して、かかる変形状態に維持されるように、第一の作用空気室74に及ぼされる負圧が設定されるようになっている。これにより、可動ゴム板70は、負圧吸引力の作用で所定量の弾性変形状態に保持されることでばね剛性が硬くされていると共に、円形凸部162への当接によってばね剛性が一層硬くされている。
【0064】
従って、自動車の停車時において、切換弁150により第一の作用空気室74と第二の作用空気室116に対して同時に負圧を及ぼすことにより、アイドリング振動等の中周波振動に対して、受圧室84の圧力変動に伴い受圧室84と平衡室86の相対的な圧力差に基づいて、それら両室84,86の間で第二のオリフィス通路68を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、かかる流体の共振作用に基づいて、アイドリング振動に対して有効な防振効果が発揮され得る。なお、第一のオリフィス通路66は、常時、連通状態にあるが、第二のオリフィス通路68よりも低周波数域にチューニングされており、流体の流通抵抗が大きいことから、第一のオリフィス通路66が実質的に閉塞状態となって第二のオリフィス通路68を通じての流体流動が有効に生ぜしめられる。
【0065】
そこにおいて、特に本実施形態では、第一の作用空気室74に負圧が及ぼされて、可動ゴム板70が円形凸部162に当接せしめられて重ね合わされる際に、可動ゴム板70と円形凸部162の間に発生する空気圧が円形凸部162の上端面164に形成された連通溝166を通じて外周凹溝160に導かれるようになっている。これにより、可動ゴム板70と円形凸部162の重ね合わせ面間に空気溜まりが生ぜしめられることが有効に回避されて、可動ゴム板70の弾性変形が実質不能に拘束、保持される。
【0066】
それ故、かかる状態下でアイドリング振動等の第二のオリフィス通路68のチューニング周波数域の振動が入力されるに際して、可動ゴム板70の拘束状態が良好に保持されていることにより、受圧室84の圧力変動が可動ゴム板70の弾性変形によって吸収されることが防止されるのであり、以て、第二のオリフィス通路68を通じての流体流動量が有利に確保されて、かかる流体の共振作用等による振動絶縁効果が一層有利に発揮され得るのである。
【0067】
また、本実施形態では、円形凸部162の上端面164における複数の連通溝166が、径方向内方から外方に向かって放射状に延びるように形成されていることにより、可動ゴム板70の円形凸部162への当接に際して、可動ゴム板70と円形凸部162の重ね合わせ面間に生ぜしめられる空気圧を拡散するようにして外周凹溝160側に導くことが可能となり、かかる空気圧の排出効率の向上等が図られ得る。
【0068】
さらに、本実施形態では、円形凸部162の上端部分が第一の作用空気室74の底面75よりも軸方向上方に突出せしめられていると共に、円形凸部162の上端面164が円形とされていることにより、可動ゴム板70の中央部分を円形凸部162に速やかに且つ安定して重ね合わせることが出来、可動ゴム板70の拘束状態が速やかに且つ安定して実現されることから、上述の如き第二のオリフィス通路68による防振効果の更なる向上が図られ得ると共に、可動ゴム板70を弾性変形可能な状態から拘束状態に換える応答性がより一層向上され得る。
【0069】
更にまた、本実施形態では、連通溝166が外周凹溝160よりも浅底とされることによって、第一の作用空気室74の容積が小さくされていることにより、該作用空気室74に対して大気圧や負圧を効率的に及ぼすことが出来、それら大気圧や負圧を小さく設定して可動ゴム板70の弾性変形を制御することも可能となる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0071】
例えば、前記実施形態では、外周凹溝が円環状とされていると共に、台地状凸部が略円柱形状の円形凸部とされ、更に台地状凸部の上端面に形成される連通溝が放射状とされていたが、これら外周凹溝や台地状凸部、連通溝の形状や大きさ、構造等は、弾性可動板や作用空気室の形状や大きさ、構造、或いは要求される空気圧特性等に応じて適宜に設定変更されるものであり、特に限定されるものでない。
【0072】
また、オリフィス通路の具体的形状や構造は、マウントに要求される防振特性等に応じて適宜に設定されるものであり、前記実施形態によって限定的に解釈されるものでない。具体的には、例えば前記実施形態では、第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路が設けられていたが、何れか一方のオリフィス通路だけが形成されても良く、その場合には、第二のエア管路144や第二の作用空気室を116含むアクチュエータ88等によるオリフィス通路の開閉乃至は切換機構は必ずしも設ける必要がない。
【0073】
また、可動ゴム板の配設部位は、例示の如き仕切部材の内部に限定されるものでなく、受圧室に面する各部位に可動ゴム板を配設することが可能であり、例えば、第一の取付金具を受圧室に面するように設けて、該第一の取付金具の受圧室に面する部位に可動ゴム板を配設しても良く、それに対応して、第一の取付金具の内部に第一の作用空気室や外周凹溝、台地状凸部等を形成することも可能である。
【0074】
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、その他、本発明は、例えば自動車のボデーマウントやキャブマウント,サブフレームマウント、デフマウント、サスペンションブッシュ,FF型エンジンに多用される円筒型流体封入式エンジンマウントなど、或いは自動車以外の各種マウント装置に対しても、有利に適用され得るものであることは勿論である。
【0075】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室に負圧を及ぼして弾性可動板を台地状凸部の上端面に重ね合わせてその弾性変形を拘束するに際して、弾性可動板と台地状凸部の重ね合わせ面間の全体に対して、台地状凸部の上端面に形成された連通溝を通じて負圧が有利に且つ安定して及ぼされ得ることとなる。それ故、負圧作用時における弾性可動板と台地状凸部との重ね合わせ面間への空気の残留が防止されて、弾性可動板が台地状凸部に対して安定して且つ強固に吸引保持され得ることとなり、弾性可動板に対して有効な拘束力が安定して及ぼされ得るのである。
【0076】
従って、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、作用空気室に対する負圧の作用を制御することにより、弾性可動板の弾性特性を効果的に且つ安定して切り換えることが出来るのであり、目的とする防振特性を選択的に安定して得ることが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1における自動車用エンジンマウントの一部を構成する仕切部材に対する可動ゴム板の組付状態を示す平面説明図である。
【図3】図2に示された仕切部材の底面説明図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】図2に示された仕切部材本体に上蓋部材と可動ゴム板を組み付けていない状態を示す平面説明図である。
【図6】図1における自動車用エンジンマウントの別の作動状態を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 自動車用エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
66 第一のオリフィス通路
68 第二のオリフィス通路
70 可動ゴム板
74 第一の作用空気室
75 底面
76 空気給排路
80 ダイヤフラム
84 受圧室
86 平衡室
142 第一のエア管路
148 共通管路
152 大気開放ポート
154 負圧接続管路
160 外周凹溝
162 円形凸部
164 上端面
166 連通溝

Claims (3)

  1. 振動が及ぼされる本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と、変形容易な可撓性膜で壁部の一部が構成された平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設け、更に該受圧室の圧力変動が一方の面に及ぼされる弾性可動板を設けた流体封入式防振装置において、
    前記弾性可動板を挟んで前記受圧室と反対側に作用空気室を形成すると共に、該作用空気室に対して外部から負圧と大気圧を選択的に及ぼすための空気圧作用通路を設ける一方、該弾性可動板に対向位置する該作用空気室の底面において、外周縁部を周方向に連続して延びる外周凹溝を設けて中央部分を台地状凸部とすると共に、該台地状凸部の上端面において該外周凹溝から延びる連通溝を設けたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記連通溝が、前記外周凹溝に比して浅底である請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を前記本体ゴム弾性体で連結すると共に、該第二の取付部材によって支持された仕切部材を挟んだ一方の側に前記受圧室を他方の側に前記平衡室をそれぞれ形成する一方、該仕切部材によって前記弾性可動板を支持せしめて、該仕切部材を利用して前記作用空気室を形成した請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
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