JP2005023883A - 車両用アクチュエータの駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標値の更新周期がフィードバック操作量の更新周期より大きく設定された可変バルブリフト機構など車両用アクチュエータのPID制御における発熱を防止する。
【解決手段】可変バルブリフト機構の目標回転角(吸気バルブの目標リフト量)が変化したときに、該目標回転角と実回転角(実リフト量)との制御偏差ERRの今回の微分値dnを算出した後、この今回の微分値と前回の制御微分値dn−1との差(dn−dn−1)を算出し、この差に(dn−dn−1)所定割合a(0<a<1)を乗じた値を、前記前回の制御微分値dn−1に加算して補正した今回の制御微分値dn−1’を算出し、この補正した制御微分値dn−1’に対して微分操作量Dを設定する。
【選択図】 図14
【解決手段】可変バルブリフト機構の目標回転角(吸気バルブの目標リフト量)が変化したときに、該目標回転角と実回転角(実リフト量)との制御偏差ERRの今回の微分値dnを算出した後、この今回の微分値と前回の制御微分値dn−1との差(dn−dn−1)を算出し、この差に(dn−dn−1)所定割合a(0<a<1)を乗じた値を、前記前回の制御微分値dn−1に加算して補正した今回の制御微分値dn−1’を算出し、この補正した制御微分値dn−1’に対して微分操作量Dを設定する。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用アクチュエータの駆動時の発熱を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用アクチュエータとして、例えば、内燃機関の動弁(吸・排気バルブ)のバルブタイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構では、実際のバルブ作動状態を検出しつつ目標値となるようにフィードバック制御しており、該フィードバック制御として、目標値に滑らかに収束させるように目標値と実際値との制御偏差の微分値に基づいて設定される微分操作量を含むPID制御を行うものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−138865号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車両の各種制御を行うコントロールユニットでは、応答性など精度確保上必然的に所定時間以下に設定されるフィードバック操作量の更新周期に比較して、目標値の更新周期は数倍程度まで大きく設定する場合が多いが、このように目標値の更新周期の方が大きく設定された場合には、微分操作量を含むフィードバック制御(PID制御)では、目標値が変化すると、図15(B)に示すように、目標値の更新毎に制御量が過大に突出する現象を生じる。これは、目標値が更新されてから次の更新まで一定に維持されている間は、更新された実際値と目標値との制御偏差が徐々に減少するが、次の目標値が更新されたときに、実際値の変化に対し目標値が大きく変化するので、制御偏差が大きく増大し、該制御偏差の変化量、つまり微分値に基づいて設定される微分操作量が過大に設定されることに起因する。
【0005】
その結果、アクチュエータの消費電力が増大してアクチュエータや駆動回路の発熱量が増大し、故障の原因となり、故障予防のために耐熱対策が必要となって製品コストが増大し、機関の燃費も悪化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、微分操作量が過大に設定されることを防止して、アクチュエータや駆動回路の発熱を防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、目標値の更新周期が微分操作量を含むフィードバック操作量の更新周期より大きく設定された車両用アクチュエータの駆動制御装置において、目標値が更新時に変化したときは、制御偏差の今回算出された微分値と前回算出された微分値とに基づいて微分操作量を設定する構成とした。
【0008】
かかる構成によると、目標値が更新時に変化したときは、制御偏差の今回算出された微分値と共に前回算出された微分値も用いて、平滑化した微分値に応じた微分操作量を設定することができ、もって、微分操作量が過大に突出して設定されることがなくなってアクチュエータや駆動回路の発熱を防止でき、耐熱対策用の製品コストアップを回避できると共に機関の燃費悪化も防止できる。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、目標値が変化したときの微分操作量を、次式により算出する構成とした。
D=dn’・gd={(dn−dn−1)a+dn−1}・gd
D;目標値が変化したときの微分操作量
dn’;補正した今回の制御偏差の微分値
gd;微分ゲイン
dn;今回の制御偏差の微分値
dn−1;前回の制御偏差の微分値
a;所定割合(0<a<1)
かかる構成によると、制御偏差の今回微分値と前回微分値との差の所定割合分を、前回微分値に加算することで、今回微分値の急激な変化を平滑化した補正微分値が算出され、該補正微分値に応じて算出される微分操作量の過大な突出を防止できる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記所定割合aを、前記目標値の更新周期Δtaとフィードバック操作量の更新周期Δtfとの比と、前記微分ゲインgdとに基づいて設定する構成としたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によると、前記更新周期の比Δta/Δtfが大きくなるほど、目標値更新時における制御偏差の今回微分値が大きくなり、微分ゲインgdが大きくなるほど、同一の今回微分値に対する微分操作量が大きくなるので、これらの値を考慮して、所定割合aを適切な値に設定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用する車両用アクチュエータとして可変バルブリフト機構を備えた車両用内燃機関の構成図であり、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
【0013】
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記排気バルブ107は、排気側カム軸110に軸支されたカム111によって一定のリフト量及び作動角(開から閉までのクランク角)を保って開閉駆動されるが、吸気バルブ105は、可変バルブリフト機構112によってリフト量及び作動角、すなわちバルブの開度が連続的に変えられるようになっている。なお、リフト量と作動角とは、一方の特性が決まれば他方の特性も決まるように同時に変えられる。
【0014】
同じく吸気側には、前記クランク軸と吸気側カム軸との回転位相差を連続的に可変制御して、吸気バルブ105のバルブタイミング(弁開閉タイミング)を進遅角する機構で構成される可変バルブタイミング機構201及び該吸気側カム軸の回転位置を検出するための吸気側カム角センサ202が吸気側カム軸の両端部に設けられる。
【0015】
マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット114は、スロットルバルブ103bの開度及び吸気バルブ105の開特性によってアクセル開度ACCに対応する目標吸入空気量が得られるように、アクセル開度センサAPS116で検出されるアクセルペダルの開度等に応じて前記電子制御スロットル104、可変バルブリフト機構112を制御する。
【0016】
前記コントロールユニット114には、前記アクセル開度センサAPS116、後述する回転角センサ127、前記吸気側カム角センサ202の他、機関101の吸入空気量Qを検出するエアフローメータ115、クランク軸から回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118,機関101の冷却水温度Twを検出する水温センサ119等からの検出信号が入力される。
【0017】
また、各気筒の吸気バルブ105上流側の吸気ポート130には、電磁式の燃料噴射弁131が設けられ、該燃料噴射弁131は、前記コントロールユニット114からの噴射パルス信号によって開弁駆動されると、所定圧力に調整された燃料を吸気バルブ105に向けて噴射する。
【0018】
図2〜図4は、前記可変バルブリフト機構112の構造を詳細に示すものである。
図2〜図4に示す可変バルブリフト機構は、一対の吸気バルブ105,105と、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸13(駆動軸)と、該カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15(駆動カム)と、前記カム軸13の上方位置に同じカム軸受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19,19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20とを備えている。
【0019】
前記偏心カム15,15とロッカアーム18,18とは、リンクアーム25,25によって連係され、ロッカアーム18,18と揺動カム20,20とは、リンク部材26,26によって連係されている。
【0020】
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
前記偏心カム15は、図5に示すように、略リング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向にカム軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xがカム軸13の軸心Yから所定量だけ偏心している。
【0021】
また、前記一対の偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されていると共に、カム本体15aの外周面15dが同一のカムプロフィールに形成されている。
【0022】
前記ロッカアーム18は、図4に示すように、略クランク状に屈曲形成され、中央の基部18aが制御カム17に回転自存に支持されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
【0023】
前記制御カム17は、円筒状を呈し、制御軸16外周に固定されていると共に、図2に示すように軸心P1位置が制御軸16の軸心P2からαだけ偏心している。
【0024】
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
【0025】
また、揺動カム20の下面には、基端部22側の基円面24aと該基円面24aから端部23端縁側に円弧状に延びるカム面24bとが形成されており、該基円面24aとカム面24bとが、揺動カム20の揺動位置に応じて各バルブリフター19の上面所定位置に当接するようになっている。
【0026】
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
【0027】
また、前記リンクアーム25は、円環状の基部25aと、該基部25aの外周面所定位置に突設された突出端25bとを備え、基部25aの中央位置には、前記偏心カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合穴25cが形成されている一方、突出端25bには、前記ピン21が回転自在に挿通するピン孔25dが貫通形成されている。
【0028】
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
【0029】
尚、各ピン21,28,29の一端部には、リンクアーム25やリンク部材26の軸方向の移動を規制するスナップリング30,31,32が設けられている。
【0030】
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、リフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
【0031】
前記制御軸16は、図10に示すような構成により、DCサーボモータ(アクチュエータ)121によってストッパで規定される最小角度位置と最大角度位置との間の所定回転角度範囲内で回転駆動されるようになっており、前記制御軸16の作動角を前記アクチュエータ121で変化させることで、吸気バルブ105のリフト量及び作動角が連続的に変化する(図9参照)。
【0032】
図10において、DCサーボモータ121は、その回転軸が制御軸16と平行になるように配置され、回転軸の先端には、かさ歯車122が軸支されている。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
【0033】
前記ナット124に噛み合わされるネジ棒125の先端には、前記かさ歯車122に噛み合わされるかさ歯車126が軸支されており、DCサーボモータ121の回転によってネジ棒125が回転し、該ネジ棒125に噛み合うナット124の位置が、ネジ棒125の軸方向に変位することで、制御軸16が回転されるようになっている。
【0034】
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、リフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、リフト量が大きくなる方向となっている。
【0035】
前記制御軸16の先端には、図10に示すように、制御軸16の回転角を検出するポテンショメータ式の回転角センサ127が設けられており、該回転角センサ127で検出される実際の回転角が目標回転角に一致するように、前記コントロールユニット114が前記DCサーボモータ121をフィードバック制御する。ここで、制御軸16の回転角制御によってリフト量と作動角とは同時に変えられるので、回転角センサ127は吸気バルブ105の作動角を検出すると同時にリフト量を検出するセンサである。
【0036】
かかる可変バルブリフト機構112により吸気バルブ105のリフト量(作動角)を変更して吸気量を制御する。すなわち、本発明の制御対象である可変バルブリフト機構112の制御目標値は、制御軸16の目標回転角であると同時に吸気バルブの目標リフト量(目標作動角)である。
【0037】
図11は、可変バルブリフト機構112のフィードバック制御(PID制御)のブロック図を示す。
制御軸16の目標回転角TGVELと、前記回転角センサ127で検出される実回転角REVELとの差、つまり制御偏差ERR(=TGVEL−REVEL)に対し、比例ゲインgpを乗じて算出した比例操作量Pと、同じく制御偏差ERRを積分演算した後、積分ゲインgiを乗じて算出した積分操作量Iと、同じく制御偏差ERRを微分演算した後、微分ゲインgdを乗じて算出した微分操作量Dとを加算してフィードバック操作量fを算出し、可変バルブリフト機構112に出力して駆動する。
【0038】
ここで、前記目標回転角TGVELの更新周期は、フィードバック操作量fの更新周期に比較して大きく設定されており、例えば、フィードバック操作量fの更新周期2msに対し、目標回転角TGVELの更新周期が10msに設定される。
【0039】
そして、本発明にかかる構成として、前記微分操作量Dの算出に際し、その元となる制御偏差ERRの微分演算が、図12のフローチャートに示すように行われる。図12は、フィードバック操作量fの更新周期に同期して実行される。
【0040】
ステップ1では、目標回転角TGVELの変化の有無を判定する。ここで、目標回転角TGVELの更新時以外の時は、目標回転角TGVEL一定に維持されるから変化はないが、目標回転角TGVELの更新時でも変化がないときは、ステップ2へ進んで、通常の演算方式で制御偏差ERRの微分演算を行う。ここで、通常の演算方式は図13のブロック図に示すように、前記制御偏差ERRの今回値と前回値との差分ΔERR(=今回値−前回値)、つまり制御周期あたりの変化量を、制御周期で除算することにより、制御偏差微分値dnを算出するものである。
【0041】
一方、ステップ1で、目標回転角TGVELに(更新時に)変化があると判定されたときは、ステップ3へ進んで本発明にかかる演算方式で制御偏差微分値を算出する。
【0042】
かかるステップ3の演算方式を図14のブロック図に示す。
通常演算方式と同様に、制御偏差ERRの今回の微分値dnを算出した後、この今回の微分値と前回の制御微分値dn−1との差(dn−dn−1)を算出し、この差に(dn−dn−1)所定割合a(0<a<1)を乗じた値を、前記前回の制御微分値dn−1に加算して補正した今回の制御微分値dn−1’を算出する(次式参照)。
【0043】
dn’=(dn−dn−1)・a+dn−1・・・(1)
ステップ4では、前記ステップ2またはステップ3で算出した制御偏差微分値を、今回の制御偏差微分値dnとして更新設定する。
【0044】
したがって、微分操作量Dは次のように算出される。
目標回転角が変化したとき
D=dn’・gd={(dn−dn−1)a+dn−1}・gd・・・(2)
目標回転角が変化しないとき
D=dn・gd・・・(3)
gd;微分ゲイン
なお、(1)式を展開すると、dn’=dn・a+(1−a)・dn−1となり、今回制御値dnと前回制御値dn−1とを加重平均演算した式と等価であり、所定割合aは、加重平均演算において今回制御値dnに対する重みに相当する。
【0045】
このようにすれば、目標回転角が更新時に変化したときに、図15(B)に示すように従来の最新の制御偏差微分値のみに基づいて微分操作量を演算する方式で発生していた微分操作量の突出を、同図(A)に示すように上記の今回制御値dnと前回制御値dn−1とに基づく演算(加重平均演算)によって平滑化することができ、可変バルブリフト機構112の無駄な電力消費を抑制して、DCサーボモータ121や駆動回路発熱を防止できると共に、機関の燃費悪化を防止できる。
【0046】
なお、前記所定割合aは、目標回転角TGVELの更新周期Δtaとフィードバック操作量の更新周期Δtfとの比と、前記微分ゲインgdとに基づいて設定すればよい。更新周期の比Δta/Δtfが大きくなるほど、目標回転角TGVEL更新時における制御偏差の今回微分値が大きくなり、微分ゲインgdが大きくなるほど、同一の今回微分値に対する微分操作量が大きくなるので、これらの値を考慮して、所定割合aを適切な値に設定することができる。
【0047】
なお、本発明は、車両用アクチュエータとして上記可変バルブリフト機構以外の各種アクチュエータに適用できることは勿論であり、同様の効果が得られる。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0048】
(イ)請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車両用アクチュエータの制御装置において、前記車両用アクチュエータが内燃機関の動弁の作動特性を連続的に変更する可変動弁機構であることを特徴とする。
【0049】
かかる構成によると、可変動弁機構により動弁のリフト量やバルブタイミング等の作動特性を徐々に変更する際に、モータや駆動回路の発熱を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可変動弁制御装置を備えた内燃機関のシステム構成図。
【図2】可変動弁機構を示す断面図(図3のA−A断面図)。
【図3】上記可変動弁機構の側面図。
【図4】上記可変動弁機構の平面図。
【図5】上記可変動弁機構に使用される偏心カムを示す斜視図。
【図6】上記可変動弁機構の低リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図7】上記可変動弁機構の高リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図8】上記可変動弁機構における揺動カムの基端面とカム面に対応したバルブリフト特性図。
【図9】上記可変動弁機構のバルブタイミングとバルブリフトの特性図。
【図10】上記可変動弁機構における制御軸の回転駆動機構を示す斜視図。
【図11】実施形態におけるフィードバック制御のブロック図。
【図12】同上フィードバック制御において、制御偏差微分値を算出するルーチンのフローチャート。
【図13】同上フィードバック制御において、制御偏差微分値を通常演算式により算出するブロック図。
【図14】同上フィードバック制御において、目標回転角変化時の制御偏差微分値を平滑化演算式により算出するブロック図。
【図15】同上実施形態のフィードバック操作量と通常演算による従来のフィードバック操作量とを比較して示した図。
【符号の説明】
13…カム軸 15…偏心カム 16…制御軸 17…制御カム
18…ロッカアーム 20…揺動カム 25…リンクアーム 101…内燃機関 104…電子制御スロットル 105…吸気バルブ 112…可変バルブリフト機構 114…コントロールユニット 115…エアフローメータ 116…アクセル開度センサ 117…クランク角センサ
118…スロットルセンサ 121…DCサーボモータ 127…回転角センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用アクチュエータの駆動時の発熱を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用アクチュエータとして、例えば、内燃機関の動弁(吸・排気バルブ)のバルブタイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構では、実際のバルブ作動状態を検出しつつ目標値となるようにフィードバック制御しており、該フィードバック制御として、目標値に滑らかに収束させるように目標値と実際値との制御偏差の微分値に基づいて設定される微分操作量を含むPID制御を行うものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−138865号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車両の各種制御を行うコントロールユニットでは、応答性など精度確保上必然的に所定時間以下に設定されるフィードバック操作量の更新周期に比較して、目標値の更新周期は数倍程度まで大きく設定する場合が多いが、このように目標値の更新周期の方が大きく設定された場合には、微分操作量を含むフィードバック制御(PID制御)では、目標値が変化すると、図15(B)に示すように、目標値の更新毎に制御量が過大に突出する現象を生じる。これは、目標値が更新されてから次の更新まで一定に維持されている間は、更新された実際値と目標値との制御偏差が徐々に減少するが、次の目標値が更新されたときに、実際値の変化に対し目標値が大きく変化するので、制御偏差が大きく増大し、該制御偏差の変化量、つまり微分値に基づいて設定される微分操作量が過大に設定されることに起因する。
【0005】
その結果、アクチュエータの消費電力が増大してアクチュエータや駆動回路の発熱量が増大し、故障の原因となり、故障予防のために耐熱対策が必要となって製品コストが増大し、機関の燃費も悪化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、微分操作量が過大に設定されることを防止して、アクチュエータや駆動回路の発熱を防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、目標値の更新周期が微分操作量を含むフィードバック操作量の更新周期より大きく設定された車両用アクチュエータの駆動制御装置において、目標値が更新時に変化したときは、制御偏差の今回算出された微分値と前回算出された微分値とに基づいて微分操作量を設定する構成とした。
【0008】
かかる構成によると、目標値が更新時に変化したときは、制御偏差の今回算出された微分値と共に前回算出された微分値も用いて、平滑化した微分値に応じた微分操作量を設定することができ、もって、微分操作量が過大に突出して設定されることがなくなってアクチュエータや駆動回路の発熱を防止でき、耐熱対策用の製品コストアップを回避できると共に機関の燃費悪化も防止できる。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、目標値が変化したときの微分操作量を、次式により算出する構成とした。
D=dn’・gd={(dn−dn−1)a+dn−1}・gd
D;目標値が変化したときの微分操作量
dn’;補正した今回の制御偏差の微分値
gd;微分ゲイン
dn;今回の制御偏差の微分値
dn−1;前回の制御偏差の微分値
a;所定割合(0<a<1)
かかる構成によると、制御偏差の今回微分値と前回微分値との差の所定割合分を、前回微分値に加算することで、今回微分値の急激な変化を平滑化した補正微分値が算出され、該補正微分値に応じて算出される微分操作量の過大な突出を防止できる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、前記所定割合aを、前記目標値の更新周期Δtaとフィードバック操作量の更新周期Δtfとの比と、前記微分ゲインgdとに基づいて設定する構成としたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によると、前記更新周期の比Δta/Δtfが大きくなるほど、目標値更新時における制御偏差の今回微分値が大きくなり、微分ゲインgdが大きくなるほど、同一の今回微分値に対する微分操作量が大きくなるので、これらの値を考慮して、所定割合aを適切な値に設定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用する車両用アクチュエータとして可変バルブリフト機構を備えた車両用内燃機関の構成図であり、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
【0013】
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記排気バルブ107は、排気側カム軸110に軸支されたカム111によって一定のリフト量及び作動角(開から閉までのクランク角)を保って開閉駆動されるが、吸気バルブ105は、可変バルブリフト機構112によってリフト量及び作動角、すなわちバルブの開度が連続的に変えられるようになっている。なお、リフト量と作動角とは、一方の特性が決まれば他方の特性も決まるように同時に変えられる。
【0014】
同じく吸気側には、前記クランク軸と吸気側カム軸との回転位相差を連続的に可変制御して、吸気バルブ105のバルブタイミング(弁開閉タイミング)を進遅角する機構で構成される可変バルブタイミング機構201及び該吸気側カム軸の回転位置を検出するための吸気側カム角センサ202が吸気側カム軸の両端部に設けられる。
【0015】
マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット114は、スロットルバルブ103bの開度及び吸気バルブ105の開特性によってアクセル開度ACCに対応する目標吸入空気量が得られるように、アクセル開度センサAPS116で検出されるアクセルペダルの開度等に応じて前記電子制御スロットル104、可変バルブリフト機構112を制御する。
【0016】
前記コントロールユニット114には、前記アクセル開度センサAPS116、後述する回転角センサ127、前記吸気側カム角センサ202の他、機関101の吸入空気量Qを検出するエアフローメータ115、クランク軸から回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118,機関101の冷却水温度Twを検出する水温センサ119等からの検出信号が入力される。
【0017】
また、各気筒の吸気バルブ105上流側の吸気ポート130には、電磁式の燃料噴射弁131が設けられ、該燃料噴射弁131は、前記コントロールユニット114からの噴射パルス信号によって開弁駆動されると、所定圧力に調整された燃料を吸気バルブ105に向けて噴射する。
【0018】
図2〜図4は、前記可変バルブリフト機構112の構造を詳細に示すものである。
図2〜図4に示す可変バルブリフト機構は、一対の吸気バルブ105,105と、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸13(駆動軸)と、該カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15(駆動カム)と、前記カム軸13の上方位置に同じカム軸受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19,19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20とを備えている。
【0019】
前記偏心カム15,15とロッカアーム18,18とは、リンクアーム25,25によって連係され、ロッカアーム18,18と揺動カム20,20とは、リンク部材26,26によって連係されている。
【0020】
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
前記偏心カム15は、図5に示すように、略リング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向にカム軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xがカム軸13の軸心Yから所定量だけ偏心している。
【0021】
また、前記一対の偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されていると共に、カム本体15aの外周面15dが同一のカムプロフィールに形成されている。
【0022】
前記ロッカアーム18は、図4に示すように、略クランク状に屈曲形成され、中央の基部18aが制御カム17に回転自存に支持されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
【0023】
前記制御カム17は、円筒状を呈し、制御軸16外周に固定されていると共に、図2に示すように軸心P1位置が制御軸16の軸心P2からαだけ偏心している。
【0024】
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
【0025】
また、揺動カム20の下面には、基端部22側の基円面24aと該基円面24aから端部23端縁側に円弧状に延びるカム面24bとが形成されており、該基円面24aとカム面24bとが、揺動カム20の揺動位置に応じて各バルブリフター19の上面所定位置に当接するようになっている。
【0026】
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
【0027】
また、前記リンクアーム25は、円環状の基部25aと、該基部25aの外周面所定位置に突設された突出端25bとを備え、基部25aの中央位置には、前記偏心カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合穴25cが形成されている一方、突出端25bには、前記ピン21が回転自在に挿通するピン孔25dが貫通形成されている。
【0028】
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
【0029】
尚、各ピン21,28,29の一端部には、リンクアーム25やリンク部材26の軸方向の移動を規制するスナップリング30,31,32が設けられている。
【0030】
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、リフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
【0031】
前記制御軸16は、図10に示すような構成により、DCサーボモータ(アクチュエータ)121によってストッパで規定される最小角度位置と最大角度位置との間の所定回転角度範囲内で回転駆動されるようになっており、前記制御軸16の作動角を前記アクチュエータ121で変化させることで、吸気バルブ105のリフト量及び作動角が連続的に変化する(図9参照)。
【0032】
図10において、DCサーボモータ121は、その回転軸が制御軸16と平行になるように配置され、回転軸の先端には、かさ歯車122が軸支されている。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
【0033】
前記ナット124に噛み合わされるネジ棒125の先端には、前記かさ歯車122に噛み合わされるかさ歯車126が軸支されており、DCサーボモータ121の回転によってネジ棒125が回転し、該ネジ棒125に噛み合うナット124の位置が、ネジ棒125の軸方向に変位することで、制御軸16が回転されるようになっている。
【0034】
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、リフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、リフト量が大きくなる方向となっている。
【0035】
前記制御軸16の先端には、図10に示すように、制御軸16の回転角を検出するポテンショメータ式の回転角センサ127が設けられており、該回転角センサ127で検出される実際の回転角が目標回転角に一致するように、前記コントロールユニット114が前記DCサーボモータ121をフィードバック制御する。ここで、制御軸16の回転角制御によってリフト量と作動角とは同時に変えられるので、回転角センサ127は吸気バルブ105の作動角を検出すると同時にリフト量を検出するセンサである。
【0036】
かかる可変バルブリフト機構112により吸気バルブ105のリフト量(作動角)を変更して吸気量を制御する。すなわち、本発明の制御対象である可変バルブリフト機構112の制御目標値は、制御軸16の目標回転角であると同時に吸気バルブの目標リフト量(目標作動角)である。
【0037】
図11は、可変バルブリフト機構112のフィードバック制御(PID制御)のブロック図を示す。
制御軸16の目標回転角TGVELと、前記回転角センサ127で検出される実回転角REVELとの差、つまり制御偏差ERR(=TGVEL−REVEL)に対し、比例ゲインgpを乗じて算出した比例操作量Pと、同じく制御偏差ERRを積分演算した後、積分ゲインgiを乗じて算出した積分操作量Iと、同じく制御偏差ERRを微分演算した後、微分ゲインgdを乗じて算出した微分操作量Dとを加算してフィードバック操作量fを算出し、可変バルブリフト機構112に出力して駆動する。
【0038】
ここで、前記目標回転角TGVELの更新周期は、フィードバック操作量fの更新周期に比較して大きく設定されており、例えば、フィードバック操作量fの更新周期2msに対し、目標回転角TGVELの更新周期が10msに設定される。
【0039】
そして、本発明にかかる構成として、前記微分操作量Dの算出に際し、その元となる制御偏差ERRの微分演算が、図12のフローチャートに示すように行われる。図12は、フィードバック操作量fの更新周期に同期して実行される。
【0040】
ステップ1では、目標回転角TGVELの変化の有無を判定する。ここで、目標回転角TGVELの更新時以外の時は、目標回転角TGVEL一定に維持されるから変化はないが、目標回転角TGVELの更新時でも変化がないときは、ステップ2へ進んで、通常の演算方式で制御偏差ERRの微分演算を行う。ここで、通常の演算方式は図13のブロック図に示すように、前記制御偏差ERRの今回値と前回値との差分ΔERR(=今回値−前回値)、つまり制御周期あたりの変化量を、制御周期で除算することにより、制御偏差微分値dnを算出するものである。
【0041】
一方、ステップ1で、目標回転角TGVELに(更新時に)変化があると判定されたときは、ステップ3へ進んで本発明にかかる演算方式で制御偏差微分値を算出する。
【0042】
かかるステップ3の演算方式を図14のブロック図に示す。
通常演算方式と同様に、制御偏差ERRの今回の微分値dnを算出した後、この今回の微分値と前回の制御微分値dn−1との差(dn−dn−1)を算出し、この差に(dn−dn−1)所定割合a(0<a<1)を乗じた値を、前記前回の制御微分値dn−1に加算して補正した今回の制御微分値dn−1’を算出する(次式参照)。
【0043】
dn’=(dn−dn−1)・a+dn−1・・・(1)
ステップ4では、前記ステップ2またはステップ3で算出した制御偏差微分値を、今回の制御偏差微分値dnとして更新設定する。
【0044】
したがって、微分操作量Dは次のように算出される。
目標回転角が変化したとき
D=dn’・gd={(dn−dn−1)a+dn−1}・gd・・・(2)
目標回転角が変化しないとき
D=dn・gd・・・(3)
gd;微分ゲイン
なお、(1)式を展開すると、dn’=dn・a+(1−a)・dn−1となり、今回制御値dnと前回制御値dn−1とを加重平均演算した式と等価であり、所定割合aは、加重平均演算において今回制御値dnに対する重みに相当する。
【0045】
このようにすれば、目標回転角が更新時に変化したときに、図15(B)に示すように従来の最新の制御偏差微分値のみに基づいて微分操作量を演算する方式で発生していた微分操作量の突出を、同図(A)に示すように上記の今回制御値dnと前回制御値dn−1とに基づく演算(加重平均演算)によって平滑化することができ、可変バルブリフト機構112の無駄な電力消費を抑制して、DCサーボモータ121や駆動回路発熱を防止できると共に、機関の燃費悪化を防止できる。
【0046】
なお、前記所定割合aは、目標回転角TGVELの更新周期Δtaとフィードバック操作量の更新周期Δtfとの比と、前記微分ゲインgdとに基づいて設定すればよい。更新周期の比Δta/Δtfが大きくなるほど、目標回転角TGVEL更新時における制御偏差の今回微分値が大きくなり、微分ゲインgdが大きくなるほど、同一の今回微分値に対する微分操作量が大きくなるので、これらの値を考慮して、所定割合aを適切な値に設定することができる。
【0047】
なお、本発明は、車両用アクチュエータとして上記可変バルブリフト機構以外の各種アクチュエータに適用できることは勿論であり、同様の効果が得られる。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0048】
(イ)請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の車両用アクチュエータの制御装置において、前記車両用アクチュエータが内燃機関の動弁の作動特性を連続的に変更する可変動弁機構であることを特徴とする。
【0049】
かかる構成によると、可変動弁機構により動弁のリフト量やバルブタイミング等の作動特性を徐々に変更する際に、モータや駆動回路の発熱を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可変動弁制御装置を備えた内燃機関のシステム構成図。
【図2】可変動弁機構を示す断面図(図3のA−A断面図)。
【図3】上記可変動弁機構の側面図。
【図4】上記可変動弁機構の平面図。
【図5】上記可変動弁機構に使用される偏心カムを示す斜視図。
【図6】上記可変動弁機構の低リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図7】上記可変動弁機構の高リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図8】上記可変動弁機構における揺動カムの基端面とカム面に対応したバルブリフト特性図。
【図9】上記可変動弁機構のバルブタイミングとバルブリフトの特性図。
【図10】上記可変動弁機構における制御軸の回転駆動機構を示す斜視図。
【図11】実施形態におけるフィードバック制御のブロック図。
【図12】同上フィードバック制御において、制御偏差微分値を算出するルーチンのフローチャート。
【図13】同上フィードバック制御において、制御偏差微分値を通常演算式により算出するブロック図。
【図14】同上フィードバック制御において、目標回転角変化時の制御偏差微分値を平滑化演算式により算出するブロック図。
【図15】同上実施形態のフィードバック操作量と通常演算による従来のフィードバック操作量とを比較して示した図。
【符号の説明】
13…カム軸 15…偏心カム 16…制御軸 17…制御カム
18…ロッカアーム 20…揺動カム 25…リンクアーム 101…内燃機関 104…電子制御スロットル 105…吸気バルブ 112…可変バルブリフト機構 114…コントロールユニット 115…エアフローメータ 116…アクセル開度センサ 117…クランク角センサ
118…スロットルセンサ 121…DCサーボモータ 127…回転角センサ
Claims (3)
- 車両用アクチュエータの駆動量を、目標値と実際値との制御偏差の微分値に基づきフィードバック操作量の微分操作量を設定しつつフィードバック制御し、かつ、前記目標値の更新周期が前記フィードバック操作量の更新周期より大きく設定された駆動制御装置において、
前記目標値が更新時に変化したときに、前記制御偏差の今回算出された微分値と前回算出された微分値とに基づいて微分操作量を設定することを特徴とする車両用アクチュエータの駆動制御装置。 - 制御偏差の今回算出された微分値と前回算出された微分値とに基づく微分操作量の設定を、次式により算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用アクチュエータの駆動制御装置。
D=dn’・gd={(dn−dn−1)a+dn−1}・gd
D;微分操作量
dn’;補正した今回の制御偏差の微分値
gd;微分ゲイン
dn;今回の制御偏差の微分値
dn−1;前回の制御偏差の微分値
a;所定割合(0<a<1) - 前記所定割合aを、前記目標値の更新周期Δtaとフィードバック操作量の更新周期Δtfとの比と、前記微分ゲインgdとに基づいて設定する構成としたことを特徴とする請求項2に記載の車両用アクチュエータの駆動制御装置。。
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JP2003192023A JP2005023883A (ja) | 2003-07-04 | 2003-07-04 | 車両用アクチュエータの駆動制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006335192A (ja) * | 2005-06-01 | 2006-12-14 | Advics:Kk | 車両のロール特性推定装置、及び該装置を用いた車両のローリング運動安定化制御装置 |
JP2007162479A (ja) * | 2005-12-09 | 2007-06-28 | Toyota Motor Corp | 内燃機関のバルブ特性制御装置 |
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2003
- 2003-07-04 JP JP2003192023A patent/JP2005023883A/ja active Pending
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JP4581984B2 (ja) * | 2005-12-09 | 2010-11-17 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関のバルブ特性制御装置 |
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