JP2005023670A - 構造物の基礎構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、施工性が良く、安価な構造物の基礎構造を提供する。
【解決手段】地盤2は、支持層3、中間液状化層4aと中間非液状化層4bが積層する中間層4、及び表層5により構成される。構造物1を支持する基礎6は、地盤改良体7と複数の基礎杭8により構成され、基礎杭8の杭長は、中間液状化層4aに杭先端8aが埋設される長さを有する。一方、地盤改良体7は、中間液状化層4aに位置し、複数の基礎杭8各々の杭先端8aを埋設するように構築されて、基礎杭8とともに、構造物1の基礎6を構成する。ところで、地盤改良体7の部材高さは、上面が中間液状化層4aより上方、下面が中間液状化層4aより下方に位置するよう設定され、また、地盤改良体7には、少なくとも地震時の基礎杭8の杭先端8aより作用する軸力、及び地震時の繰り返しせん断力により、破壊することのないせん断強度が確保されている。
【選択図】 図1
【解決手段】地盤2は、支持層3、中間液状化層4aと中間非液状化層4bが積層する中間層4、及び表層5により構成される。構造物1を支持する基礎6は、地盤改良体7と複数の基礎杭8により構成され、基礎杭8の杭長は、中間液状化層4aに杭先端8aが埋設される長さを有する。一方、地盤改良体7は、中間液状化層4aに位置し、複数の基礎杭8各々の杭先端8aを埋設するように構築されて、基礎杭8とともに、構造物1の基礎6を構成する。ところで、地盤改良体7の部材高さは、上面が中間液状化層4aより上方、下面が中間液状化層4aより下方に位置するよう設定され、また、地盤改良体7には、少なくとも地震時の基礎杭8の杭先端8aより作用する軸力、及び地震時の繰り返しせん断力により、破壊することのないせん断強度が確保されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の基礎構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層と非液状化地盤よりなる中間非液状化層が複数積層して形成された中間層を有する地盤に、構造物を構築するにあたり、中間液状化層が存在する場合には、たとえ常時で支持力が確保できるとしても地震時に液状化する可能性を考慮し、特許文献1に示すように、より深い支持層に杭先端を支持する構成が一般に用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−200381号公報(第1図参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述する構成は、大幅なコスト高になるとともに施工時の排土量が増大することによる環境負荷が大きい、また、施工が煩雑になりやすい、といった課題を有している。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、施工性が良く、安価な構造物の基礎構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の構造物の基礎構造は、支持層と、該支持層の上方に位置し、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層及び非液状化地盤よりなる中間非液状化層が積層してなる中間層と、該中間層の上方に位置する表層を備える地盤の、上部に構築する構造物の基礎構造であって、中間液状化層に構築され、少なくとも該中間液状化層の層厚と同等の部材厚を有する地盤改良体と、鉛直状に配置されて前記構造物を支持し、杭先端が前記地盤改良体に埋設される複数の基礎杭により構成されることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の構造物の基礎構造は、前記地盤改良体が、上面を中間液状化層の上面より上方、下面を中間液状化層の下面より下方に達する部材厚を有することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の構造物の基礎構造は、前記地盤改良体が、前記基礎杭各々に個別に備えられることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の構造物の基礎構造は、前記基礎杭各々に備えられた地盤改良体が、平面視で少なくとも何れか一方向で隣り合う地盤改良体と連結されることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る構造物の基礎構造を図1から図6に示す。本発明の構造物の基礎構造は、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層に地盤改良体を構築し、構造物を支持する基礎杭を、中間液状化層に構築した前記地盤改良体で支持する構成とした。これにより、前記基礎杭の杭長を短くし、構造物の基礎工事に係る工費削減及び工期短縮を図るものである。
【0011】
図1に示すように、地盤2は、堅固な地盤よりなる支持層3と、その上方に位置する中間層4と、該中間層4の上方に位置する表層5により構成されている。また、前記中間層4は、地震時に液状化を発生する可能性がある砂層等の軟弱地盤よりなる中間液状化層4aと、粘性土等の非液状化地盤よりなる中間非液状化層4bが積層されることにより形成されており、本実施の形態では、中間液状化層4aが表層5近傍に位置した状態で2層を形成している。
【0012】
また、構造物1は、このような構成の地盤2の上部に構築されており、基礎6を介して地盤2に支持されている。該基礎6は、地盤改良体7と複数の基礎杭8により構成されており、該基礎杭8は、構造物を地盤に支持する際に一般に用いられているもので、鋼管杭や場所打ちコンクリート杭等、何れを用いても良く、その杭長は、前記地盤2の中間層4を構成し、前記表層5近傍に位置する中間液状化層4aに杭先端8aが埋設される長さを有している。
【0013】
一方、前記地盤改良体7は、構造物等を支持するに際し、常時の支持力を確保できないような軟弱な地盤に対して地盤改良を行う際に一般に用いられるセメント系の固化材料、または液状化対策として用いられる水ガラス系薬液の浸透注入等により成形されており、前記表層5近傍に位置する中間液状化層4aに埋設されている。これら地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に備えられており、中間液状化層4aに位置する杭先端8aを埋設するように構築されて、基礎杭8とともに、構造物1の基礎6を構成するものである。
【0014】
ところで、該地盤改良体7の部材高さは、少なくとも中間液状化層4aの層厚と同等の部材厚を有していればよいが、本実施の形態では上面が中間液状化層4aより上方、下面が中間液状化層4aより下方に位置するよう設定されている。これは、地震等により前記中間液状化層4aに液状化が生じた場合にも、中間液状化層4aの側方流動による影響を受けて、前記地盤改良体7が水平方向に移動する現象を抑制するものである。
【0015】
また、該地盤改良体7には、少なくとも地震時の基礎杭8の杭先端8aより作用する軸力、及び地震時の繰り返しせん断力により、破壊することのないせん断強度が確保されており、これに伴い、せん断強度の確保に必要な断面径も確保されている。
以下に、地盤改良体7に必要なせん断強度τf、及び確保すべき直径Dの算定方法の一事例を示すが、その算定方法は必ずしもこれにこだわるものではない。
【0016】
図2に示すように、地盤改良体7の摩擦角をφとすると、せん断破壊面の鉛直方向からの角度xは、(1)式で表すことができる。
【0017】
【数1】
【0018】
したがって、基礎杭8の杭先端8aから深さz1における破壊面の水平断面の半径をrとすると、破壊面の面積Sは、その深さに応じて(2)もしくは(3)式で表すことができる。
【0019】
【数2】
【数3】
【0020】
したがって、前記地盤改良体7のせん断強度τfは、(4)式で表せることから、破壊時にせん断面に作用するせん断力τfの鉛直方向の合力、すなわち基礎杭8の極限先端支持力Ruは(5)式で表される。
【0021】
【数4】
【数5】
【0022】
これにより、終局限界状態時の基礎杭8の先端支持力Puが、基礎杭8の極限先端支持力Ruに対して、(6)式の関係を満足するように、地盤改良体7の直径D及び一軸圧縮強度quを決定すればよい。
なお、地盤改良体7のせん断強度τfは、(4)式により一軸圧縮強度quから算定できる。
【0023】
【数6】
【0024】
また、地震時において、地盤改良体7に作用するせん断応力を考慮し、せん断強度を決定する場合には、地震時に地盤改良体7に作用するせん断応力τd が、(7)式で表せる。なお、地震時において、地盤改良体7に作用するせん断応力τdの値は、想定する地震動を用いた数値解析等により求めることが望ましいが、(7)式では概算法として、建築基礎構造設計指針に示された方法を応用している。
【0025】
【数7】
【数8】
【0026】
したがって、地震時に地盤改良体7に作用するせん断応力τdに対して、一軸圧縮強度quが、(9)式の関係を満足するように、一軸圧縮強度quを決定すればよい。
【0027】
【数9】
【0028】
上述するように、構造物1の基礎6の構造は、複数の基礎杭8と、前記中間液状化層4a内に位置し、複数の該基礎杭8各々の杭先端8aを覆うように構築されており、前述した算定方法により算定された直径D及び一軸圧縮強度qu、つまりせん断強度τfを有する前記地盤改良体7により構成されている。
これにより、構造物1の基礎6は、中間液状化層4aに支持することができることから、従来のような構造物1の基礎6に基礎杭8のみを適用し、該基礎杭8を前記支持層3に支持させる場合と比較して、その杭長を大幅に短縮することができるため、基礎6を施工する際に生じる排土量が大幅に削減され、環境負荷を低減できるとともに、施工性も良く工費削減及び工期短縮を実現できるものである。
【0029】
ところで、本実施の形態では、図3(a)の平面図に示すように、構造物1の基礎6の構造が、複数の基礎杭8と、該基礎杭8各々の杭先端8aを覆う最適な直径Dを備えた地盤改良体7よりなる構成を示した。しかし、前記地盤改良体7の平面視形状は、基礎杭8各々の杭先端8aを覆うことができ、最小でも必要なせん断強度τfを確保できる直径Dを有した構成であれば、何れの平面視形状に配置してもよい。以下に、構造物1の基礎6を構成する地盤改良体7に係る平面視形状の事例を示す。
【0030】
例えば、図3(b)から(d)に示す地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7を連結することなく孤立させ、その断面形状をせん断強度τfを確保できる直径Dより大きい様々な形状に変化させた事例である。また、図3(e)及び(f)に示す地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7を、必要なせん断強度τfを確保できる直径Dに形成して連結することなく孤立させ、隣り合う地盤改良体7の間に、基礎杭8に取り付くことのない新たな地盤改良体7aを互いに抵触しないように配置した事例である。このような地盤改良体7の配置構成、もしくは地盤改良体7、7aを用いた配置構成によれば、構造物1の構築面積全面に地盤改良体7を構築する必要はなく、基礎6を構成する複数の基礎杭8各々に対して、少なくとも必要なせん断強度τfを確保できる直径Dを確保した断面形状の地盤改良体7を構築すればよいため、総平面視面積を小さくでき、構造物1の基礎6に係る工費を大幅に削減できるものである。
【0031】
また、図4(a)から(l)に示す地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7を、少なくとも何れか1方向で隣り合う地盤改良体7と連結した事例を示すものである。さらに、図5(a)から(g)に示す地盤改良体7は、少なくとも前記構造物1の外周縁に沿って配置された基礎杭8各々に設置した隣り合う地盤改良体7どうしを、一部に開口を有した閉合領域を形成するように連結したものである。
【0032】
このような構成によれば、基礎6としての剛性が高まることとなる。これは、地盤改良体7が地震等に伴い発生する液状化後の中間液状化層4aの側方流動を考慮したものであり、中間液状化層4aの液状化により地盤改良体7に水平方向の力が作用した際に、基礎杭8各々に設置した地盤改良体7が個々で側方流動の影響を受ける場合と比較して、その影響をより小さくでき、地盤改良体7の移動やこれに伴う基礎杭8の崩壊等を抑制することができるものである。
【0033】
さらに、図6(b)から(k)は、少なくとも前記構造物1の外周縁に沿って配置された基礎杭8各々に設置した、隣り合う地盤改良体7どうしを連結することにより、前記構造物1の構築面積と同面積を有する完全な閉合領域を形成したものである。
このような構成は、地震等が発生した場合にも、図6(a)に示すような、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7のすべてを連結し、これら地盤改良体7のユニットの断面積が、構造物1の構築面積とほぼ同様の断面積を有する形状に形成した場合と同様の効果を安価に実現するものであり、地盤改良体7により囲まれた領域に位置する中間液状化層4aの振幅を低減することができ、内方に位置する基礎杭8各々に設置した地盤改良体7への、側方流動の影響を考慮する必要を回避することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の構造物の基礎構造によれば、支持層と、該支持層の上方に位置し、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層及び非液状化地盤よりなる中間非液状化層が積層してなる中間層と、該中間層の上方に位置する表層を備える地盤の、上部に構築する構造物の基礎構造であって、中間液状化層に構築され、少なくとも該中間液状化層の層厚と同等の部材厚を有する地盤改良体と、鉛直状に配置されて前記構造物を支持し、杭先端が前記地盤改良体に埋設される複数の基礎杭により構成される。
【0035】
これにより、構造物の基礎に基礎杭のみを適用し、該基礎杭を支持層に支持させる場合と比較して、その杭長を大幅に短縮することができるため、基礎を施工する際に生じる排土量が大幅に削減され、環境負荷を低減できるとともに、施工性も良く工費削減及び工期短縮を実現することが可能となる。
【0036】
請求項2記載の構造物の基礎構造によれば、前記地盤改良体が、上面を中間液状化層の上面より上方、下面を中間液状化層の下面より下方に達する部材厚を有することから、地震等の発生により前記中間液状化層に液状化が生じた場合にも、中間液状化層の側方流動による影響を受けて、前記地盤改良体が水平方向に移動する現象を抑制することが可能となる。
【0037】
請求項3記載の構造物の基礎構造によれば、前記地盤改良体が、前記基礎杭各々に個別に備えられることから、構造物の構築面積全面に構築する場合と比較して地盤改良体の総平面視面積を小さくできるため、構造物の基礎に係る工費を大幅に削減することが可能となる。
【0038】
請求項4記載の構造物の基礎構造によれば、前記地盤改良体が、平面視で少なくとも何れか一方向で隣り合う地盤改良体と連結されることから、基礎杭各々に設置した地盤改良体が個々で側方流動の影響を受ける場合と比較して、その影響をより小さくでき、地盤改良体の移動やこれに伴う基礎杭の崩壊等を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造物の基礎構造の概略を示す図である。
【図2】本発明に係る地盤改良体の詳細を示す図である。
【図3】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その1)を示す図である。
【図4】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その2)を示す図である。
【図5】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その3)を示す図である。
【図6】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その4)を示す図である。
【符号の説明】
1 構造物
2 地盤
3 支持層
4 中間層
5 表層
6 基礎
7 地盤改良体
8 基礎杭
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の基礎構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層と非液状化地盤よりなる中間非液状化層が複数積層して形成された中間層を有する地盤に、構造物を構築するにあたり、中間液状化層が存在する場合には、たとえ常時で支持力が確保できるとしても地震時に液状化する可能性を考慮し、特許文献1に示すように、より深い支持層に杭先端を支持する構成が一般に用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−200381号公報(第1図参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述する構成は、大幅なコスト高になるとともに施工時の排土量が増大することによる環境負荷が大きい、また、施工が煩雑になりやすい、といった課題を有している。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、施工性が良く、安価な構造物の基礎構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の構造物の基礎構造は、支持層と、該支持層の上方に位置し、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層及び非液状化地盤よりなる中間非液状化層が積層してなる中間層と、該中間層の上方に位置する表層を備える地盤の、上部に構築する構造物の基礎構造であって、中間液状化層に構築され、少なくとも該中間液状化層の層厚と同等の部材厚を有する地盤改良体と、鉛直状に配置されて前記構造物を支持し、杭先端が前記地盤改良体に埋設される複数の基礎杭により構成されることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の構造物の基礎構造は、前記地盤改良体が、上面を中間液状化層の上面より上方、下面を中間液状化層の下面より下方に達する部材厚を有することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の構造物の基礎構造は、前記地盤改良体が、前記基礎杭各々に個別に備えられることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の構造物の基礎構造は、前記基礎杭各々に備えられた地盤改良体が、平面視で少なくとも何れか一方向で隣り合う地盤改良体と連結されることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る構造物の基礎構造を図1から図6に示す。本発明の構造物の基礎構造は、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層に地盤改良体を構築し、構造物を支持する基礎杭を、中間液状化層に構築した前記地盤改良体で支持する構成とした。これにより、前記基礎杭の杭長を短くし、構造物の基礎工事に係る工費削減及び工期短縮を図るものである。
【0011】
図1に示すように、地盤2は、堅固な地盤よりなる支持層3と、その上方に位置する中間層4と、該中間層4の上方に位置する表層5により構成されている。また、前記中間層4は、地震時に液状化を発生する可能性がある砂層等の軟弱地盤よりなる中間液状化層4aと、粘性土等の非液状化地盤よりなる中間非液状化層4bが積層されることにより形成されており、本実施の形態では、中間液状化層4aが表層5近傍に位置した状態で2層を形成している。
【0012】
また、構造物1は、このような構成の地盤2の上部に構築されており、基礎6を介して地盤2に支持されている。該基礎6は、地盤改良体7と複数の基礎杭8により構成されており、該基礎杭8は、構造物を地盤に支持する際に一般に用いられているもので、鋼管杭や場所打ちコンクリート杭等、何れを用いても良く、その杭長は、前記地盤2の中間層4を構成し、前記表層5近傍に位置する中間液状化層4aに杭先端8aが埋設される長さを有している。
【0013】
一方、前記地盤改良体7は、構造物等を支持するに際し、常時の支持力を確保できないような軟弱な地盤に対して地盤改良を行う際に一般に用いられるセメント系の固化材料、または液状化対策として用いられる水ガラス系薬液の浸透注入等により成形されており、前記表層5近傍に位置する中間液状化層4aに埋設されている。これら地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に備えられており、中間液状化層4aに位置する杭先端8aを埋設するように構築されて、基礎杭8とともに、構造物1の基礎6を構成するものである。
【0014】
ところで、該地盤改良体7の部材高さは、少なくとも中間液状化層4aの層厚と同等の部材厚を有していればよいが、本実施の形態では上面が中間液状化層4aより上方、下面が中間液状化層4aより下方に位置するよう設定されている。これは、地震等により前記中間液状化層4aに液状化が生じた場合にも、中間液状化層4aの側方流動による影響を受けて、前記地盤改良体7が水平方向に移動する現象を抑制するものである。
【0015】
また、該地盤改良体7には、少なくとも地震時の基礎杭8の杭先端8aより作用する軸力、及び地震時の繰り返しせん断力により、破壊することのないせん断強度が確保されており、これに伴い、せん断強度の確保に必要な断面径も確保されている。
以下に、地盤改良体7に必要なせん断強度τf、及び確保すべき直径Dの算定方法の一事例を示すが、その算定方法は必ずしもこれにこだわるものではない。
【0016】
図2に示すように、地盤改良体7の摩擦角をφとすると、せん断破壊面の鉛直方向からの角度xは、(1)式で表すことができる。
【0017】
【数1】
【0018】
したがって、基礎杭8の杭先端8aから深さz1における破壊面の水平断面の半径をrとすると、破壊面の面積Sは、その深さに応じて(2)もしくは(3)式で表すことができる。
【0019】
【数2】
【数3】
【0020】
したがって、前記地盤改良体7のせん断強度τfは、(4)式で表せることから、破壊時にせん断面に作用するせん断力τfの鉛直方向の合力、すなわち基礎杭8の極限先端支持力Ruは(5)式で表される。
【0021】
【数4】
【数5】
【0022】
これにより、終局限界状態時の基礎杭8の先端支持力Puが、基礎杭8の極限先端支持力Ruに対して、(6)式の関係を満足するように、地盤改良体7の直径D及び一軸圧縮強度quを決定すればよい。
なお、地盤改良体7のせん断強度τfは、(4)式により一軸圧縮強度quから算定できる。
【0023】
【数6】
【0024】
また、地震時において、地盤改良体7に作用するせん断応力を考慮し、せん断強度を決定する場合には、地震時に地盤改良体7に作用するせん断応力τd が、(7)式で表せる。なお、地震時において、地盤改良体7に作用するせん断応力τdの値は、想定する地震動を用いた数値解析等により求めることが望ましいが、(7)式では概算法として、建築基礎構造設計指針に示された方法を応用している。
【0025】
【数7】
【数8】
【0026】
したがって、地震時に地盤改良体7に作用するせん断応力τdに対して、一軸圧縮強度quが、(9)式の関係を満足するように、一軸圧縮強度quを決定すればよい。
【0027】
【数9】
【0028】
上述するように、構造物1の基礎6の構造は、複数の基礎杭8と、前記中間液状化層4a内に位置し、複数の該基礎杭8各々の杭先端8aを覆うように構築されており、前述した算定方法により算定された直径D及び一軸圧縮強度qu、つまりせん断強度τfを有する前記地盤改良体7により構成されている。
これにより、構造物1の基礎6は、中間液状化層4aに支持することができることから、従来のような構造物1の基礎6に基礎杭8のみを適用し、該基礎杭8を前記支持層3に支持させる場合と比較して、その杭長を大幅に短縮することができるため、基礎6を施工する際に生じる排土量が大幅に削減され、環境負荷を低減できるとともに、施工性も良く工費削減及び工期短縮を実現できるものである。
【0029】
ところで、本実施の形態では、図3(a)の平面図に示すように、構造物1の基礎6の構造が、複数の基礎杭8と、該基礎杭8各々の杭先端8aを覆う最適な直径Dを備えた地盤改良体7よりなる構成を示した。しかし、前記地盤改良体7の平面視形状は、基礎杭8各々の杭先端8aを覆うことができ、最小でも必要なせん断強度τfを確保できる直径Dを有した構成であれば、何れの平面視形状に配置してもよい。以下に、構造物1の基礎6を構成する地盤改良体7に係る平面視形状の事例を示す。
【0030】
例えば、図3(b)から(d)に示す地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7を連結することなく孤立させ、その断面形状をせん断強度τfを確保できる直径Dより大きい様々な形状に変化させた事例である。また、図3(e)及び(f)に示す地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7を、必要なせん断強度τfを確保できる直径Dに形成して連結することなく孤立させ、隣り合う地盤改良体7の間に、基礎杭8に取り付くことのない新たな地盤改良体7aを互いに抵触しないように配置した事例である。このような地盤改良体7の配置構成、もしくは地盤改良体7、7aを用いた配置構成によれば、構造物1の構築面積全面に地盤改良体7を構築する必要はなく、基礎6を構成する複数の基礎杭8各々に対して、少なくとも必要なせん断強度τfを確保できる直径Dを確保した断面形状の地盤改良体7を構築すればよいため、総平面視面積を小さくでき、構造物1の基礎6に係る工費を大幅に削減できるものである。
【0031】
また、図4(a)から(l)に示す地盤改良体7は、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7を、少なくとも何れか1方向で隣り合う地盤改良体7と連結した事例を示すものである。さらに、図5(a)から(g)に示す地盤改良体7は、少なくとも前記構造物1の外周縁に沿って配置された基礎杭8各々に設置した隣り合う地盤改良体7どうしを、一部に開口を有した閉合領域を形成するように連結したものである。
【0032】
このような構成によれば、基礎6としての剛性が高まることとなる。これは、地盤改良体7が地震等に伴い発生する液状化後の中間液状化層4aの側方流動を考慮したものであり、中間液状化層4aの液状化により地盤改良体7に水平方向の力が作用した際に、基礎杭8各々に設置した地盤改良体7が個々で側方流動の影響を受ける場合と比較して、その影響をより小さくでき、地盤改良体7の移動やこれに伴う基礎杭8の崩壊等を抑制することができるものである。
【0033】
さらに、図6(b)から(k)は、少なくとも前記構造物1の外周縁に沿って配置された基礎杭8各々に設置した、隣り合う地盤改良体7どうしを連結することにより、前記構造物1の構築面積と同面積を有する完全な閉合領域を形成したものである。
このような構成は、地震等が発生した場合にも、図6(a)に示すような、複数の前記基礎杭8各々に設置した地盤改良体7のすべてを連結し、これら地盤改良体7のユニットの断面積が、構造物1の構築面積とほぼ同様の断面積を有する形状に形成した場合と同様の効果を安価に実現するものであり、地盤改良体7により囲まれた領域に位置する中間液状化層4aの振幅を低減することができ、内方に位置する基礎杭8各々に設置した地盤改良体7への、側方流動の影響を考慮する必要を回避することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
請求項1記載の構造物の基礎構造によれば、支持層と、該支持層の上方に位置し、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層及び非液状化地盤よりなる中間非液状化層が積層してなる中間層と、該中間層の上方に位置する表層を備える地盤の、上部に構築する構造物の基礎構造であって、中間液状化層に構築され、少なくとも該中間液状化層の層厚と同等の部材厚を有する地盤改良体と、鉛直状に配置されて前記構造物を支持し、杭先端が前記地盤改良体に埋設される複数の基礎杭により構成される。
【0035】
これにより、構造物の基礎に基礎杭のみを適用し、該基礎杭を支持層に支持させる場合と比較して、その杭長を大幅に短縮することができるため、基礎を施工する際に生じる排土量が大幅に削減され、環境負荷を低減できるとともに、施工性も良く工費削減及び工期短縮を実現することが可能となる。
【0036】
請求項2記載の構造物の基礎構造によれば、前記地盤改良体が、上面を中間液状化層の上面より上方、下面を中間液状化層の下面より下方に達する部材厚を有することから、地震等の発生により前記中間液状化層に液状化が生じた場合にも、中間液状化層の側方流動による影響を受けて、前記地盤改良体が水平方向に移動する現象を抑制することが可能となる。
【0037】
請求項3記載の構造物の基礎構造によれば、前記地盤改良体が、前記基礎杭各々に個別に備えられることから、構造物の構築面積全面に構築する場合と比較して地盤改良体の総平面視面積を小さくできるため、構造物の基礎に係る工費を大幅に削減することが可能となる。
【0038】
請求項4記載の構造物の基礎構造によれば、前記地盤改良体が、平面視で少なくとも何れか一方向で隣り合う地盤改良体と連結されることから、基礎杭各々に設置した地盤改良体が個々で側方流動の影響を受ける場合と比較して、その影響をより小さくでき、地盤改良体の移動やこれに伴う基礎杭の崩壊等を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る構造物の基礎構造の概略を示す図である。
【図2】本発明に係る地盤改良体の詳細を示す図である。
【図3】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その1)を示す図である。
【図4】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その2)を示す図である。
【図5】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その3)を示す図である。
【図6】本発明に係る構造物の基礎構造の配置例(その4)を示す図である。
【符号の説明】
1 構造物
2 地盤
3 支持層
4 中間層
5 表層
6 基礎
7 地盤改良体
8 基礎杭
Claims (4)
- 支持層と、該支持層の上方に位置し、地震時に液状化の可能性がある砂質地盤よりなる中間液状化層及び非液状化地盤よりなる中間非液状化層が積層してなる中間層と、該中間層の上方に位置する表層を備える地盤の、上部に構築する構造物の基礎構造であって、
中間液状化層に構築され、少なくとも該中間液状化層の層厚と同等の部材厚を有する地盤改良体と、
鉛直状に配置されて前記構造物を支持し、杭先端が前記地盤改良体に埋設される複数の基礎杭により構成されることを特徴とする構造物の基礎構造。 - 請求項1に記載の構造物の基礎構造において、
前記地盤改良体が、上面を中間液状化層の上面より上方、下面を中間液状化層の下面より下方に達する部材厚を有することを特徴とする構造物の基礎構造。 - 請求項1または2に記載の構造物の基礎構造において、
前記地盤改良体が、前記基礎杭各々に個別に備えられることを特徴とする構造物の基礎構造。 - 請求項3記載の構造物の基礎構造において、
前記基礎杭各々に備えられた地盤改良体が、平面視で少なくとも何れか一方向で隣り合う地盤改良体と連結されることを特徴とする構造物の基礎構造。
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JP2007051486A (ja) * | 2005-08-19 | 2007-03-01 | Railway Technical Res Inst | 矢板併用型直接基礎及びその施工方法 |
JP2010216186A (ja) * | 2009-03-18 | 2010-09-30 | Ohbayashi Corp | 地盤変状抑止構造、地盤変状抑止方法、耐震補強方法 |
JP2012021346A (ja) * | 2010-07-16 | 2012-02-02 | Nishimatsu Constr Co Ltd | 摩擦杭基礎構造 |
-
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- 2003-07-03 JP JP2003190992A patent/JP2005023670A/ja not_active Withdrawn
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