JP2005023563A - 吸音・透光性防音壁 - Google Patents

吸音・透光性防音壁 Download PDF

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【課題】透光遮音板をH形支柱間に立設してなる既設の防音壁に対して、透光性吸音材部材を容易に組み付け加工できる。
【解決手段】透光遮音板を左右のH形支柱の間に立設してなる既設の防音壁の対象音源側に、透光性の膜状材料と多孔材料を積層した透光性吸音材6を四周枠材5に取り付けた透光性吸音材パネル4を装着する。この四周枠材5は、金属製または透明樹脂製型材であって、その四周枠前面5bに透光性吸音材6の取り付け部51、その取り付け部51を覆うよう突設された防塵・防水カバー52が設けられ、その防塵・防水カバー52で覆われた隙間に通じた通気開口部53が設けられ、かつ、四周枠裏面5aは、透光遮音板固定用の押縁材に取り付けられる取付け部54とされている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光遮音板と透光性吸音材とを間隔を持って取り付けた吸音・透光性防音壁に関する。特に、既設の防音壁に透光性吸音材を追加、固定する吸音・透光性防音壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、透光性のある道路用防音壁として、透明樹脂板からなる透光遮音板を立設した防音壁があるが、この防音壁は、透光機能と遮音機能を有しているものの、吸音機能に乏しいため、道路を走行する車輌などから発生する騒音が、防音壁に反射するため十分な騒音低減効果が得られないという問題があり、この対策として、道路側に透光性吸音材を取り付けた構造の防音板が提案されている。(特許文献1を参照のこと)
【0003】
【特許文献1】
特開2002−317408号公報:例えば、図4、図8、図9、段落〔0022〕。
【0004】
特許文献1の方法は、図9、10に示すように、透明樹脂など透光遮音板2を上下枠材11、12、側辺枠材(図示せず)でパネル化した透光遮音パネルをH形支柱(図示せず)に嵌合させて建て込んだ防音壁に、透光性吸音材6を取り付けるものであるが、透光遮音板2の押縁材13を一度取り外してから、押縁材を兼ねる額縁部材14を透光遮音パネルの枠材11、12に取り付け、次いでで透光性吸音材6をその額縁部材14に固定する方法により行われるものであるため、現場での取り付け手間がかかる問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、透光遮音板をH形支柱間に立設してなる既設の防音壁に対して、透光性吸音材を容易に組み付け加工して完成できる吸音性を付加した吸音・透光性防音壁を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、透光遮音板を立設してなる既設の防音壁の対象音源側に、透光性の膜状材料と多孔材料を積層した透光性吸音材を、前記透光遮音板との間に空間を隔てて取り付けて吸音性を付加した吸音・透光性防音壁であって、その透光性吸音材を四周枠材に取り付けた透光性吸音材パネルを、既設の前記防音壁の透光遮音板を固定する押縁材に前記四周枠材を固定して、装着したことを特徴とする本発明の吸音・透光性防音壁によって、解決することができる。
【0007】
また、本発明は、前記透光性吸音材パネルには、その透光性吸音材の中間部分を取り付ける中間枠材が横架されている形態に好ましく具体化される。また、本発明は、前記透光性吸音材パネルの四周枠材には、透光遮音板側の押縁材への取付け部、透光吸音材の取付け部、防塵・防水カバー、通気開口部が設けられ、前記中間枠材は断面略コの字形状型材であって、透光遮音板との接触部には緩衝材が設けられている形態に具体化され、それらの透光性吸音材パネルの四周枠材の内側に、断面略コの字形状の枠型材を付設し、そのコ字形凹部に多孔質吸音材を装着した形態も好ましいものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の吸音・透光性防音壁は、図7、8示すように、a)透光遮音板2を左右のH形支柱3、3の間に立設してなる既設の防音壁1と、b)その対象音源側に、透光遮音板2との間に空間を隔てて取り付けられる、透光性の膜状材料と多孔材料を積層した透光性吸音材6を四周枠材5に取り付けた透光性吸音材パネル4から構成される。透光性吸音材パネル4は図8のように音源側の全面に取り付けられる。
【0009】
既設の防音壁1としては、図9に示すように、透明樹脂など透光遮音板2を外周枠材(上下枠材11、12、側辺枠材(図示せず))でパネル化した透光遮音パネルをH形支柱(図示せず)に嵌合させて建て込んだ防音壁が対象とされる。なお、透光遮音板2は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂の透明板が使用されており、一般に厚さ5〜15mm、高さ1000〜5000mm、横幅2000mm程度の大型板が用いられる。
【0010】
(第1実施形態)
次に、本発明の吸音・透光性防音壁に関する第1実施形態について図1〜3、を参照しながら説明する。
先ず、図1、2は、本発明に用いられる透光性吸音材パネル4を示す断面図であり、透光性吸音材パネル4は、透光性の膜状材料、例えば、ポリフッ化ビニルやポリフッ化エチレンなどのフッ素樹脂系フィルム、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂フィルムで、厚さが0.006〜2mm程度の透明膜材料と、多孔材料、例えば、金属ワイヤメッシュ、エキスパンドメタル、パンチングメタルシートなどの金属製や樹脂製の網目板状材料、孔明き板状材料を積層して一体化した透光性吸音材6と、その外周部分を固定する四周枠材5という構成部材から基本的に構成される。
【0011】
このように、透光性吸音材6は、四周枠材5、必要に応じて中間枠材7からなる枠材に、適宜間隔のビス止め、リベット止めなどによって取り付けられて、透光性吸音材パネル4を形成していて、中間枠材7は、四周枠材5の高さが50cm以上となる大型の場合に補強のため、四周枠材5の適宜な中間に横架されるC形あるいは角筒形部材であるが、必ずしも必須の部材ではない。
【0012】
この四周枠材5は、金属製または透明樹脂製型材であって図示のような略ロの字形状またはC形チャンネル材を四角形に枠組みしたものであり、強度面から鉄、アルミニウムなど金属製が好ましいが、透明合成樹脂製でも利用可能である。
そして、この四周枠前面5bに透光性吸音材6の取り付け部51、その取り付け部51を覆うよう突設された防塵・防水カバー52が設けられ、その防塵・防水カバー52で覆われた隙間を通じて取り付け部51相互間の開口に通じた通気開口部53が設けられるとともに、四周枠裏面5aは、透光遮音板2を固定している押縁材13に取り付けられる取付け部54とされている。
なお、四周枠材5は、略ロの字形状またはC形チャンネル材の他L形やZ形などの形状の材料としてもよい。
【0013】
四周枠前面5bに設けた透光性吸音材6の取り付け部51において、透光性吸音材6の端部は、適宜な弾性パッキンや押え金具で挟み込み、隙間調整材63を介して四周枠前面5bから延びる取り付け部51に、ブラインドリベットやビスなど取付金具64で固定されている。このように四周枠材5の四周にわたって、100mm〜300mm間隔に取付金具64で固定すればよい。なお、通気性を得るために、隙間調整材63は大きさが10mm〜20mm程度の座金等を用いるが、通し材と併用してもよい。
【0014】
また、中間枠材7は断面がコ字または角筒状部材で、四周枠材5と同様な材質が用いられ得るが、外部からの衝撃を受止める目的から金属製が好ましく、四周枠材5との間隔が500mm以下になるよう単数本または複数本を配設するのが好ましい。なお、中間枠材7と透光性吸音材6との固定は、四周枠材5の場合とほぼ同様である。
【0015】
そして、透光性吸音材パネル4を取り付ける際に、中間枠材7の後端部を透光遮音板2に密接させると、透光遮音板2の板振動抑制により低周波域の遮音性を数dB向上させることができる。この場合、透光遮音板2との接触する中間枠材7の後端部7aには緩衝材71を取り付けておくのがよい(図3参照)。
【0016】
また、防塵・防水カバー52で覆われた隙間を通じて取り付け部51相互間の開口に通じた通気開口部53が設けられているので、透光性吸音材6と透光遮音板2で囲まれた防音壁内部の通風が計られるので、内部が結露するなどの問題を回避できる。また、この通気開口部53と透光吸音材6の取り付け部51などは、防塵・防水カバー52で覆われているので、埃や雨水の浸入が防止され、保護される。
【0017】
次ぎに、以上説明した透光性吸音材パネル4を既設の防音壁1へ取り付けて構成される第1実施形態の防音壁について、図3によって説明する。
先ず、取り付けに当たって、前記した透光性吸音材パネル4を吊り上げて、取り付け予定位置まで運び、既設の防音壁1の主要部材である透光遮音板2が装着されている外周枠材(11、12など)の内側に、挿入して嵌め合わせる。
【0018】
次いで、固定スクリュウネジ55などの固定金具を適宜間隔に配置して、四周枠材5を貫通して押縁材13に締めつけることによって、透光性吸音材パネル4を透光遮音板2との間に所定の吸音空気層を設けて防音壁1に固定する。なお、押縁材には予め取り付け用の孔明け加工を施しておいてもよい。
【0019】
以下、同様な要領で所要の箇所に透光性吸音材パネル4を嵌め合わせ、固定することによって本発明の吸音・透光性防音壁が完成する。このように、本発明の吸音・透光性防音壁は、既存の防音壁に殆ど事前工事を施す必要がなく、別途準備した透光性吸音材パネル4を嵌め合わせて、固定するだけの簡単な施工工事で吸音性を付加させることができるという利点が得られるのである。
【0020】
なお、透光遮音板2と透光性吸音材6との空間(空気層)は、厚さ50〜100mm程度が好ましいが、要求性能に応じて適宜に調整すればよい。空気層を大きくすると低周波域の吸音率が高くなり、空気層を小さくすると低周波の吸音率は低くなる。なお、空気層厚さの調整は、四周枠材5の厚さを変えることによって容易に行うことができる。また、中間枠材7の厚さは、空気層の設計厚さに応じて予め調整して定めておけばよい。
【0021】
(第2実施形態)
次いで、第2実施形態について図4〜6を参照しながら説明する。
この実施形態における透光性吸音材パネル4は、第1実施形態の透光性吸音材パネル4の形態を基本として、その透光性吸音材パネル4の四周枠材5の内側に、断面略コの字形状の枠型材8を開口部を内側に向けて設した形態である。なお、図6には、そのコ字形凹部に多孔質吸音材81を充填した形態が示してある。
【0022】
この付設される枠型材8は、四周枠材5と同様な材料で構成すればよく、その後端面は緩衝材を介して透光遮音板2に接触させるのが好ましい。従って、枠型材8の厚さは、透光遮音板2と透光性吸音材6との間の空気層の厚さに対応した厚さに設定されるのがよい。
【0023】
この第2実施形態における、四周枠材5、中間枠材7の形状、材質などは先の場合と同様であり、防塵・防水カバーなどの機能も先の場合と全く同様である。なお、先の第1実施形態(図1、2)の場合には、四周枠前面5bに透光性吸音材6の取り付け部51が取り付けられる形態であったが、第2実施形態では、四周枠材5に付設された枠型材8の前面部分が、透光性吸音材6の取り付け部51を兼ねた形態で示してある。
【0024】
以上説明した第2実施形態の透光性吸音材パネル4を既設の防音壁1へ取り付けて構成される第2実施形態の防音壁は、図6に示す通り、前記した枠型材8が付加した以外は、固定スクリュウネジ55などの固定金具を適宜間隔に配置して、四周枠材5を貫通して押縁材13に締めつけるなど、基本的に第1実施形態の場合と同様である。図示のように、枠型材8のコ字形凹部に多孔質吸音材81を充填したものにあっては、防音壁としての防音効果をより向上させることができる利点が得られる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の吸音・透光性防音壁は、以上説明したように構成されているので、次ぎの優れた効果が得られる。
1)既設の透光遮音板からなる防音壁に簡単に取り付けられる透光性吸音材パネルによって吸音性を付加、向上させた防音壁が構成でき、防音壁面による騒音の反射を効果的に防止し、走行車輌の騒音を低下させることができる。
2)透光性吸音材パネルは、既存の透明遮音板の押縁材に簡単に取り付けられるので、取り付け手間が大幅に軽減する。
【0026】
3)透光性吸音材パネルには、中間枠材が設けられるので、車輌から飛び出した積み荷などを受け止め、道路の外側(民地側)への落下を防止できるので、安全性が向上する。
4)中間枠材と透光遮音板を密接させて、防音壁の遮音性を更に向上することもきる。
よって本発明は、従来の問題点を解消した吸音・透光性防音壁として、実用的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の透光性吸音材パネルの横断面図。
【図2】第1実施形態の同じく縦断面略図。
【図3】第1実施形態の吸音・透光性防音壁の縦断面図。
【図4】第2実施形態の透光性吸音材パネルの横断面図。
【図5】第2実施形態の同じく縦断面略図。
【図6】第2実施形態の吸音・透光性防音壁の縦断面図。
【図7】既設の防音壁に透光性吸音材パネルを付設する状態を示す要部斜視図。
【図8】既設の防音壁の全面に透光性吸音材パネルが付設された状態を示す要部斜視図。
【図9】既設の防音壁における透光遮音パネルの縦要部断面図。
【図10】従来方法により透光性吸音材を付設した防音壁の部分縦断面図。
【符号の説明】
1 既設の防音壁、11 上枠材、12 下枠材、13 押縁材、2 透光遮音板、3 H形支柱、4 透光性吸音材パネル、5 四周枠材、5b 四周枠前面、51 取り付け部、52 防塵・防水カバー、53 通気開口部、54 取付け部、6 透光性吸音材、パッキン、63 隙間調整材、64 取付金具、7 中間枠材

Claims (4)

  1. 透光遮音板を立設してなる既設の防音壁の対象音源側に、透光性の膜状材料と多孔材料を積層した透光性吸音材を、前記透光遮音板との間に空間を隔てて取り付けて吸音性を付加した吸音・透光性防音壁であって、その透光性吸音材を四周枠材に取り付けた透光性吸音材パネルを、既設の前記防音壁の透光遮音板を固定する押縁材に前記四周枠材を固定して、装着したことを特徴とする吸音・透光性防音壁。
  2. 前記透光性吸音材パネルには、その透光性吸音材の中間部分を取り付ける中間枠材が横架されている請求項1に記載の吸音・透光性防音壁。
  3. 前記透光性吸音材パネルの四周枠材には、透光遮音板側の押縁材への取付け部、透光吸音材の取付け部、防塵・防水カバー、通気開口部が設けられ、前記中間枠材は断面略コの字形状型材であって、透光遮音板との接触部には緩衝材が設けられている請求項2に記載の吸音・透光性防音壁。
  4. 透光性吸音材パネルの四周枠材の内側に、断面略コの字形状の枠型材を付設し、そのコ字形凹部に多孔質吸音材を装着した請求項1、2または3に記載の吸音・透光性防音壁。
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