JP2005023221A - 防湿絶縁処理組成物及び防湿絶縁処理された電気電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気電子部品の防湿絶縁処理に好適な防湿絶縁処理組成物及びこれを用いた電気電子部品を提供する。
【解決手段】(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなる防湿絶縁処理組成物及びこの防湿絶縁処理組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品。
【選択図】 なし
【解決手段】(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなる防湿絶縁処理組成物及びこの防湿絶縁処理組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気電子部品の防湿絶縁処理に好適な防湿絶縁組成物及びこれらを用いた電気電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気機器は、年々小型軽量化及び多機能化の傾向にあり、多機能を制御する各種電気機器に搭載した実装回路板は、湿気、ほこり等から保護する目的で絶縁処理が施されている。この絶縁処理法には、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の塗料による保護コーティング処理、あるいはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンゲル等による注型処理が広く採用されている。
このような実装回路板は、過酷な環境下、特に高湿度下で使用され、例えば、洗濯機、自動車等の機器に搭載されて使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記塗料では、実装回路板に搭載された電子部品のピン足を完全に保護コーティングすることができず、耐水性が劣るという問題があった。
ウレタン樹脂やエポキシ樹脂は、優れた絶縁性及び耐水性を有しているが、高温の条件下で長時間放置されると、酸化劣化により硬化物が硬くなり、部品、実装回路板等に応力がかかり、クラック、剥離が発生し、信頼性の低下、更に高温高湿条件下に長時間放置されると銅電極を用いた耐湿性試験で絶縁抵抗の低下及び銅電極腐食のおそれがあった。
シリコーンゲルは、その硬化物が低硬度となり、耐熱性に優れているが、価格が高く、経済性に問題があった。
また、いずれについてもより熱放散性を高めて機器の熱的な信頼性を向上させることが要求されている。
【0004】
本発明は、前記従来技術の問題を解消し、防湿絶縁に適した硬化物が得られ、作業性、耐熱性、熱放散性及び耐湿性に優れた耐熱性樹脂組成物及びこの組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなる防湿絶縁処理組成物に関する。
また、本発明は、前記防湿絶縁処理組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の防湿絶縁組成物は、(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなるものである。
【0007】
本発明に用いられる(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物は、分子内又は分子末端に水酸基を有し、水酸基含有量が硬化物特性を考慮して0.6〜1.5meq/gであることが好ましく、特に、0.8〜1.3meq/gであることが好ましい。
【0008】
また、水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの数平均分子量は、500〜10、000の範囲内であることが好ましく、1、000〜5、000の範囲内であることがより好ましい。数平均分子量が500未満では、硬化物の可とう性が劣る傾向があり、10、000を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり、注型作業性に劣る傾向にある。
なお、本発明において数平均分子量は、蒸気圧浸透法により測定したものである。
この重合体の市販品としては、例えば、エポール(出光石油化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられる、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物は、ヒマシ油と水酸基を実質上有しない天然油脂とのエステル交換反応物であり、市販品としては、例えばURIC Y−403(伊藤製油社製、商品名)などが挙げられる。
【0010】
(b)2官能のヒマシ油エステル交換物の配合割合は、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して60〜80重量部が好ましく、65〜75重量部がより好ましく、67〜73重量部がさらに好ましい。(b)2官能のヒマシ油エステル交換物が60重量部未満では、樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、また、可とう性が低下するため耐クラック性が劣り、80重量部を超えると硬化物の機械特性が劣る。
【0011】
本発明に用いられる、(c)水酸基を含有しない可塑剤は、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウエンデシル、トリキシレニルホスフェート、芳香族リン酸エステル等のフタル酸エステル、燐酸エステル等が挙げられ、市販品としては、例えばTXP、PX−110(大八化学社製、商品名)などが挙げられる。
【0012】
(c)水酸基を含有しない可塑剤の割合は、前記(a)水酸基含有液状ポリブタジエン100重量部に対して80〜120重量部が好ましく、90〜110重量部がより好ましく、95〜105重量部がさらに好ましい。(c)水酸基を含有しない可塑剤が80重量部未満では、樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、また、可とう性が低下するため耐クラック性が劣る。120重量部を超えると、硬化物の機械特性が低下し、樹脂組成物の耐湿性が低下する傾向がある。
【0013】
本発明に用いられる、(d)SiC(炭化珪素)は、通常研磨微粉に用いられ、市販品としては、例えばCP(黒色炭化珪素)、GP(緑色炭化珪素)(信濃電気精錬社製、商品名)等が挙げられる。平均粒径2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、7〜30μmがさらに好ましい。
【0014】
(d)SiC(炭化珪素)は、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して800〜1100重量部が好ましく、850〜1000重量部がより好ましく、900〜950重量部がさらに好ましい。(d)SiC(炭化珪素)は、800重量部未満では、熱伝導率が低く、1100重量部を超えると、樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、また、可とう性が低下するため耐クラック性が劣る。
【0015】
本発明に用いられる、(e)球状微小フィラーは、球状形状をした無機充填剤であり、充填剤混入時にベアリング効果で樹脂組成物の低粘度化に効果が発揮される。球状形状をした無機充填剤は、球状水和アルミナ、球状結晶シリカ、球状溶融シリカ等が挙げられ、市販品としては、例えばDAM−10(電気化学社製、商品名)、COX−31(マイクロン社製、商品名)、SO−25R(アドマティクス社製、商品名)などが挙げられる。平均粒径等には特に制限は無い。これらは単独でまたは2種類以上を併用することができる。
【0016】
(e)球状微小フィラーは、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して50〜400重量部が好ましく、70〜350重量部がより好ましく、100〜300重量部がさらに好ましい。(e)球状微小フィラーが、50重量部未満では樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、400重量部を超えると(d)SiC(炭化珪素)の熱放散性に対する物性が希釈され、熱伝導率が低くなる。
【0017】
本発明に用いられる、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物は、ヒマシ油と水酸基を実質上有しない天然油脂とのエステル交換反応物であり、市販品としては、例えばURIC H−31(伊藤製油社製、商品名)などが挙げられる。(f)1官能のヒマシ油エステル交換物の配合割合は、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して20〜40重量部が好ましく、25〜35重量部がより好ましく、20〜30重量部がさらに好ましい。(f)1官能のヒマシ油エステル交換物が20重量部未満では樹脂組成物の粘度が高く、作業性が悪くなる。40重量部を超えると硬化物の機械特性が低下する。
【0018】
本発明に用いられる、(g)ポリイソシアネートは、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、及び、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物成分の硬化剤として使用されるものであり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシアネートエチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシリレンジイソシアネート、3,3’−ジイソシアネートジプロピルエーテル、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、などのポリイソシアネートまたは上記イソシアネートをフェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫化水素、ナトリウム、ほう酸等でブロック化したものなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上併用して用いられる。
【0019】
(g)ポリイソシアネートの配合割合はウレタン樹脂組成物の硬化性及び物性を得る上から、該ポリイソシアネート中のイソシアネート基が、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物及び(f)1官能のヒマシ油エステル交換物成分の水酸基の総量に対して0.8〜1.3当量比となるように用いることが好ましい。
【0020】
また、本発明になるウレタン樹脂組成物には、公知の脱水剤、消泡剤、硬化促進剤、顔料、染料等の各種添加剤を必要に応じて配合してよい。
【0021】
本発明の防湿絶縁処理組成物は、コンデンサー、トランス等部品、実装回路板などの電気電子機器の絶縁処理に好適である。絶縁処理としては、一般に知られている注型法によってこの組成物を電気電子部品に注型し、硬化させればよい。注型後の硬化は、室温で、あるいは加熱によって行われる。加熱硬化を行う場合、通常、60〜120℃の温度で加熱することが好ましい。
【0022】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0023】
実施例1及び比較例1〜6
表1に示す配合組成及び配合量で熱放散性ウレタン樹脂組成物を作成し、その硬化物の特性を下記の方法で測定し、結果を表1に示す。
実施例1
水酸基含有液状ポリイソプレンポリオール(商品名エポール、出光石油化学工業株式会社製)100重量部、2官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC Y−403伊藤製油社製)70重量部、芳香族リン酸エステル(商品名 PX−110、大八化学社製)100重量部、SiC(炭化珪素)CP(黒色炭化珪素、信濃電気精錬社製)900重量部、球状微小フィラー(商品名DAM−10、電気化学社製)300重量部、1官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC H−31、伊藤製油社製)30重量部を配合し、混合攪拌して均一に分散させ、硬化剤であるポリイソシアネートを配合、混合攪拌後、防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例1
実施例1で用いた水酸基含有液状ポリイソプレンポリオール(商品名エポール、出光石油化学工業株式会社製)に替えて水酸基含有液状ポリブタジエン(商品名 Poly bd R−45HR、出光石油化学工業株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例2
実施例1で用いた2官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC Y−403伊藤製油社製)に替えてヒマシ油(商品名CAO、伊藤製油社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例3
実施例1で用いた芳香族リン酸エステル(商品名 PX−110、大八化学社製)に替えてクレジルジフェニルホスフェート(商品名 CDP、大八化学社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例4
実施例1で用いたCP(黒色炭化珪素、信濃電気精錬社製)に替えて水和アルミナ(C−308、住友化学社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例5
実施例1で用いた球状微小フィラー(商品名DAM−10、電気化学社製)を使用しない以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例6
実施例1で用いた1官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC H−31、伊藤製油社製)を使用しない以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
【0024】
(1)硬度
絶縁処理組成物を直径60mmの金属シャーレ中に30g注入し、80℃で4時間硬化させた後、金属シャーレより硬化物を取り出し、試料とした。測定は、硬化直後(初期)及び125℃で168時間加熱劣化した後、いずれも、25℃の測定温度まで放置し、ショアA硬度計で測定した。
(2)熱伝導率
80℃で4時間硬化させて直径50mm×10mmの試験片を作製し、迅速熱伝導率計で測定した。
(3)耐熱衝撃性
各樹脂組成物を直径60mmの金属シャーレ中に10g注入し80℃で1時間硬化後、ステンレス製(JISB 1251)バネ座金2号(外径22.7mm、内径13mm)を入れ、更に各樹脂組成物を10g注入し、80℃で4時間硬化後、金属シャーレより硬化物試験片を作製し、冷熱サイクル試験(−40℃で1時間、125℃で1時間を1サイクル)に放置し、時間ごとに硬化物の剥離及びクラックを観察した。この試験は10個の試験片について行なった。
(4)耐湿性
ガラスエポキシ銅張り積層板(FR−4)の櫛形電極(電極間隔:0.165mm)に、各樹脂組成物を厚さ2mm程度に注型して80℃/4hの条件で硬化させ、耐湿性試験片を作製した。その後、85℃、85%RH、DC16V印加の条件に放置し、各条件毎に絶縁抵抗(DC100V/1min値、槽内)を測定及び銅電極の外腐食の有無を観察した。
【表1】
注)石英の熱伝導率(W/m・K):1.30 *1:85℃/85%RH、DC16V印加
表に示すように本実施例は、優れた硬度、熱伝導率、耐熱衝撃性及び耐湿性を合わせ持っており、工業的に非常に有為なものである。
表1から明らかなように、実施例の防湿絶縁処理組成物は比較例の防湿絶縁処理組成物に比べて、高温放置における硬化物硬度の変化が少なく、更に耐熱衝撃性でも不良の発生が見られない。また、高温多湿放置において絶縁抵抗の低下や銅電極の腐食が見られず優れていることがわかる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の樹脂防湿絶縁処理組成物は、作業性に優れ、耐熱性、耐湿性、耐熱衝撃性及び熱放散性に優れた硬化物を生成することができ、これによって高い信頼性の絶縁処理された電気電子部品を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気電子部品の防湿絶縁処理に好適な防湿絶縁組成物及びこれらを用いた電気電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気機器は、年々小型軽量化及び多機能化の傾向にあり、多機能を制御する各種電気機器に搭載した実装回路板は、湿気、ほこり等から保護する目的で絶縁処理が施されている。この絶縁処理法には、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の塗料による保護コーティング処理、あるいはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンゲル等による注型処理が広く採用されている。
このような実装回路板は、過酷な環境下、特に高湿度下で使用され、例えば、洗濯機、自動車等の機器に搭載されて使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記塗料では、実装回路板に搭載された電子部品のピン足を完全に保護コーティングすることができず、耐水性が劣るという問題があった。
ウレタン樹脂やエポキシ樹脂は、優れた絶縁性及び耐水性を有しているが、高温の条件下で長時間放置されると、酸化劣化により硬化物が硬くなり、部品、実装回路板等に応力がかかり、クラック、剥離が発生し、信頼性の低下、更に高温高湿条件下に長時間放置されると銅電極を用いた耐湿性試験で絶縁抵抗の低下及び銅電極腐食のおそれがあった。
シリコーンゲルは、その硬化物が低硬度となり、耐熱性に優れているが、価格が高く、経済性に問題があった。
また、いずれについてもより熱放散性を高めて機器の熱的な信頼性を向上させることが要求されている。
【0004】
本発明は、前記従来技術の問題を解消し、防湿絶縁に適した硬化物が得られ、作業性、耐熱性、熱放散性及び耐湿性に優れた耐熱性樹脂組成物及びこの組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなる防湿絶縁処理組成物に関する。
また、本発明は、前記防湿絶縁処理組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の防湿絶縁組成物は、(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなるものである。
【0007】
本発明に用いられる(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物は、分子内又は分子末端に水酸基を有し、水酸基含有量が硬化物特性を考慮して0.6〜1.5meq/gであることが好ましく、特に、0.8〜1.3meq/gであることが好ましい。
【0008】
また、水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの数平均分子量は、500〜10、000の範囲内であることが好ましく、1、000〜5、000の範囲内であることがより好ましい。数平均分子量が500未満では、硬化物の可とう性が劣る傾向があり、10、000を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり、注型作業性に劣る傾向にある。
なお、本発明において数平均分子量は、蒸気圧浸透法により測定したものである。
この重合体の市販品としては、例えば、エポール(出光石油化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられる、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物は、ヒマシ油と水酸基を実質上有しない天然油脂とのエステル交換反応物であり、市販品としては、例えばURIC Y−403(伊藤製油社製、商品名)などが挙げられる。
【0010】
(b)2官能のヒマシ油エステル交換物の配合割合は、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して60〜80重量部が好ましく、65〜75重量部がより好ましく、67〜73重量部がさらに好ましい。(b)2官能のヒマシ油エステル交換物が60重量部未満では、樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、また、可とう性が低下するため耐クラック性が劣り、80重量部を超えると硬化物の機械特性が劣る。
【0011】
本発明に用いられる、(c)水酸基を含有しない可塑剤は、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウエンデシル、トリキシレニルホスフェート、芳香族リン酸エステル等のフタル酸エステル、燐酸エステル等が挙げられ、市販品としては、例えばTXP、PX−110(大八化学社製、商品名)などが挙げられる。
【0012】
(c)水酸基を含有しない可塑剤の割合は、前記(a)水酸基含有液状ポリブタジエン100重量部に対して80〜120重量部が好ましく、90〜110重量部がより好ましく、95〜105重量部がさらに好ましい。(c)水酸基を含有しない可塑剤が80重量部未満では、樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、また、可とう性が低下するため耐クラック性が劣る。120重量部を超えると、硬化物の機械特性が低下し、樹脂組成物の耐湿性が低下する傾向がある。
【0013】
本発明に用いられる、(d)SiC(炭化珪素)は、通常研磨微粉に用いられ、市販品としては、例えばCP(黒色炭化珪素)、GP(緑色炭化珪素)(信濃電気精錬社製、商品名)等が挙げられる。平均粒径2〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましく、7〜30μmがさらに好ましい。
【0014】
(d)SiC(炭化珪素)は、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して800〜1100重量部が好ましく、850〜1000重量部がより好ましく、900〜950重量部がさらに好ましい。(d)SiC(炭化珪素)は、800重量部未満では、熱伝導率が低く、1100重量部を超えると、樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、また、可とう性が低下するため耐クラック性が劣る。
【0015】
本発明に用いられる、(e)球状微小フィラーは、球状形状をした無機充填剤であり、充填剤混入時にベアリング効果で樹脂組成物の低粘度化に効果が発揮される。球状形状をした無機充填剤は、球状水和アルミナ、球状結晶シリカ、球状溶融シリカ等が挙げられ、市販品としては、例えばDAM−10(電気化学社製、商品名)、COX−31(マイクロン社製、商品名)、SO−25R(アドマティクス社製、商品名)などが挙げられる。平均粒径等には特に制限は無い。これらは単独でまたは2種類以上を併用することができる。
【0016】
(e)球状微小フィラーは、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して50〜400重量部が好ましく、70〜350重量部がより好ましく、100〜300重量部がさらに好ましい。(e)球状微小フィラーが、50重量部未満では樹脂組成物の粘度が高く作業性が悪くなり、400重量部を超えると(d)SiC(炭化珪素)の熱放散性に対する物性が希釈され、熱伝導率が低くなる。
【0017】
本発明に用いられる、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物は、ヒマシ油と水酸基を実質上有しない天然油脂とのエステル交換反応物であり、市販品としては、例えばURIC H−31(伊藤製油社製、商品名)などが挙げられる。(f)1官能のヒマシ油エステル交換物の配合割合は、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物100重量部に対して20〜40重量部が好ましく、25〜35重量部がより好ましく、20〜30重量部がさらに好ましい。(f)1官能のヒマシ油エステル交換物が20重量部未満では樹脂組成物の粘度が高く、作業性が悪くなる。40重量部を超えると硬化物の機械特性が低下する。
【0018】
本発明に用いられる、(g)ポリイソシアネートは、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、及び、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物成分の硬化剤として使用されるものであり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシアネートエチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシリレンジイソシアネート、3,3’−ジイソシアネートジプロピルエーテル、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、などのポリイソシアネートまたは上記イソシアネートをフェノール類、オキシム類、イミド類、メルカプタン類、アルコール類、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫化水素、ナトリウム、ほう酸等でブロック化したものなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上併用して用いられる。
【0019】
(g)ポリイソシアネートの配合割合はウレタン樹脂組成物の硬化性及び物性を得る上から、該ポリイソシアネート中のイソシアネート基が、前記(a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物及び(f)1官能のヒマシ油エステル交換物成分の水酸基の総量に対して0.8〜1.3当量比となるように用いることが好ましい。
【0020】
また、本発明になるウレタン樹脂組成物には、公知の脱水剤、消泡剤、硬化促進剤、顔料、染料等の各種添加剤を必要に応じて配合してよい。
【0021】
本発明の防湿絶縁処理組成物は、コンデンサー、トランス等部品、実装回路板などの電気電子機器の絶縁処理に好適である。絶縁処理としては、一般に知られている注型法によってこの組成物を電気電子部品に注型し、硬化させればよい。注型後の硬化は、室温で、あるいは加熱によって行われる。加熱硬化を行う場合、通常、60〜120℃の温度で加熱することが好ましい。
【0022】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
【0023】
実施例1及び比較例1〜6
表1に示す配合組成及び配合量で熱放散性ウレタン樹脂組成物を作成し、その硬化物の特性を下記の方法で測定し、結果を表1に示す。
実施例1
水酸基含有液状ポリイソプレンポリオール(商品名エポール、出光石油化学工業株式会社製)100重量部、2官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC Y−403伊藤製油社製)70重量部、芳香族リン酸エステル(商品名 PX−110、大八化学社製)100重量部、SiC(炭化珪素)CP(黒色炭化珪素、信濃電気精錬社製)900重量部、球状微小フィラー(商品名DAM−10、電気化学社製)300重量部、1官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC H−31、伊藤製油社製)30重量部を配合し、混合攪拌して均一に分散させ、硬化剤であるポリイソシアネートを配合、混合攪拌後、防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例1
実施例1で用いた水酸基含有液状ポリイソプレンポリオール(商品名エポール、出光石油化学工業株式会社製)に替えて水酸基含有液状ポリブタジエン(商品名 Poly bd R−45HR、出光石油化学工業株式会社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例2
実施例1で用いた2官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC Y−403伊藤製油社製)に替えてヒマシ油(商品名CAO、伊藤製油社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例3
実施例1で用いた芳香族リン酸エステル(商品名 PX−110、大八化学社製)に替えてクレジルジフェニルホスフェート(商品名 CDP、大八化学社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例4
実施例1で用いたCP(黒色炭化珪素、信濃電気精錬社製)に替えて水和アルミナ(C−308、住友化学社製)を使用した以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例5
実施例1で用いた球状微小フィラー(商品名DAM−10、電気化学社製)を使用しない以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
比較例6
実施例1で用いた1官能のヒマシ油エステル交換物(商品名URIC H−31、伊藤製油社製)を使用しない以外は実施例1と同様の工程を経て防湿絶縁処理組成物を得た。
【0024】
(1)硬度
絶縁処理組成物を直径60mmの金属シャーレ中に30g注入し、80℃で4時間硬化させた後、金属シャーレより硬化物を取り出し、試料とした。測定は、硬化直後(初期)及び125℃で168時間加熱劣化した後、いずれも、25℃の測定温度まで放置し、ショアA硬度計で測定した。
(2)熱伝導率
80℃で4時間硬化させて直径50mm×10mmの試験片を作製し、迅速熱伝導率計で測定した。
(3)耐熱衝撃性
各樹脂組成物を直径60mmの金属シャーレ中に10g注入し80℃で1時間硬化後、ステンレス製(JISB 1251)バネ座金2号(外径22.7mm、内径13mm)を入れ、更に各樹脂組成物を10g注入し、80℃で4時間硬化後、金属シャーレより硬化物試験片を作製し、冷熱サイクル試験(−40℃で1時間、125℃で1時間を1サイクル)に放置し、時間ごとに硬化物の剥離及びクラックを観察した。この試験は10個の試験片について行なった。
(4)耐湿性
ガラスエポキシ銅張り積層板(FR−4)の櫛形電極(電極間隔:0.165mm)に、各樹脂組成物を厚さ2mm程度に注型して80℃/4hの条件で硬化させ、耐湿性試験片を作製した。その後、85℃、85%RH、DC16V印加の条件に放置し、各条件毎に絶縁抵抗(DC100V/1min値、槽内)を測定及び銅電極の外腐食の有無を観察した。
【表1】
注)石英の熱伝導率(W/m・K):1.30 *1:85℃/85%RH、DC16V印加
表に示すように本実施例は、優れた硬度、熱伝導率、耐熱衝撃性及び耐湿性を合わせ持っており、工業的に非常に有為なものである。
表1から明らかなように、実施例の防湿絶縁処理組成物は比較例の防湿絶縁処理組成物に比べて、高温放置における硬化物硬度の変化が少なく、更に耐熱衝撃性でも不良の発生が見られない。また、高温多湿放置において絶縁抵抗の低下や銅電極の腐食が見られず優れていることがわかる。
【0025】
【発明の効果】
本発明の樹脂防湿絶縁処理組成物は、作業性に優れ、耐熱性、耐湿性、耐熱衝撃性及び熱放散性に優れた硬化物を生成することができ、これによって高い信頼性の絶縁処理された電気電子部品を提供することが出来る。
Claims (2)
- (a)水酸基含有液状ポリイソプレンポリオールの水素化物、(b)2官能のヒマシ油エステル交換物、(c)水酸基を含有しない可塑剤、(d)SiC(炭化珪素)、(e)球状微小フィラー、(f)1官能のヒマシ油エステル交換物及び(g)ポリイソシアネートを含有してなる防湿絶縁処理組成物。
- 請求項1記載の防湿絶縁処理組成物を用いて防湿絶縁処理された電気電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003191148A JP2005023221A (ja) | 2003-07-03 | 2003-07-03 | 防湿絶縁処理組成物及び防湿絶縁処理された電気電子部品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003191148A JP2005023221A (ja) | 2003-07-03 | 2003-07-03 | 防湿絶縁処理組成物及び防湿絶縁処理された電気電子部品 |
Publications (1)
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JP2005023221A true JP2005023221A (ja) | 2005-01-27 |
Family
ID=34188848
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003191148A Pending JP2005023221A (ja) | 2003-07-03 | 2003-07-03 | 防湿絶縁処理組成物及び防湿絶縁処理された電気電子部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005023221A (ja) |
-
2003
- 2003-07-03 JP JP2003191148A patent/JP2005023221A/ja active Pending
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