JP2005021834A - 塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コータローラの両端部の近傍であって、シート状物が通過しない範囲の周面に当接するドクターブレードの間隔を適切に、かつ、容易に調整することができるようにして、シート状物が幅の相違するものに変更されても、コータローラによってシート状物の幅方向における外側の部分に汲(く)み上げられる塗布液の量を確実に制限することができ、塗布液の飛散及び裏回りを防止することができるようにする。
【解決手段】コータバス11に貯留される塗布液15を汲み上げる周面が滑らかなコータローラ12と、シート状物14を前記コータローラ12に押し付けるニップローラ13と、前記コータローラ12の両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレード17と、該ドクターブレード17の間隔を調整する間隔調整装置とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】コータバス11に貯留される塗布液15を汲み上げる周面が滑らかなコータローラ12と、シート状物14を前記コータローラ12に押し付けるニップローラ13と、前記コータローラ12の両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレード17と、該ドクターブレード17の間隔を調整する間隔調整装置とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム成形機、ダイコータ装置、ラミネータ等においては、金属箔(はく)、樹脂フィルム等の薄膜状の基材上に樹脂層をコーティングしたり、複数の基材間に樹脂層を挟み込んでラミネートしたりするために、加熱され、溶融させられた樹脂をスリットノズルからフィルム状に押し出して、冷却ロールの表面に延展したり、基材上に所定の幅の薄い樹脂層を塗布したり、基材間に圧着するようになっている。例えば、ラミネータでは、接着性を高めるため、あらかじめ基材にAC(Anchor Coat:アンカーコート)剤を塗布することが行われている。 図2は従来の塗布装置の構成を示す斜視図、図3は従来の塗布装置の構成を示す側面図である。
【0003】
図において、70は塗布装置であり、液状のAC剤である塗布液75を貯留するコータバス71、該コータバス71に貯留される塗布液75を汲(く)み上げるコータローラ72、及び、シート状物74を前記コータローラ72に押し付けるニップローラ73を有する。ここで、前記シート状物74は、図示されない供給装置から供給された金属箔、樹脂フィルム等の薄膜状の基材であり、矢印Cで示される方向に搬送され、塗布装置70から、コーティング、ラミネート等の後工程に送り込まれるようになっている。また、前記コータローラ72は、下部がコータバス71に貯留される塗布液75の中に浸るように配設され、矢印Aで示される方向に回転する。これにより、前記塗布液75は、図3において矢印Dで示される方向に汲み上げられ、コータローラ72とニップローラ73とが接触する部分としてのニップ部に供給される。また、前記ニップローラ73は、矢印Bで示される方向に回転し、シート状物74を前記ニップ部に送り込む。該ニップ部において、前記シート状物74の表面74aがコータローラ72の表面に押し付けられるので、該コータローラ72の表面に付着することによって汲み上げられた塗布液75が前記シート状物74の表面74aに塗布される。
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布装置70においては、前記ニップ部に塗布液75の液溜(た)まり76が発生する。特に、前記ニップ部においてシート状物74が通過しない部分、すなわち、前記シート状物74の外側の部分では、塗布液75が前記シート状物74の表面74aに塗布されることがないので、液溜まり76が大きくなってしまう。そして、該液溜まり76が大きくなると、塗布液75の飛散77が発生し、塗布装置70及びその周囲が塗布液75によって汚染されてしまう。また、大きくなった液溜まり76の塗布液75がシート状物74の幅方向における外側から裏面74bに回り込んで該裏面74bに付着する、いわゆる裏回りの現象が発生してしまう。そして、該裏回りの現象が発生すると、コーティング、ラミネート等の後工程において、ローラ等の装置が汚染されてしまう。
【0005】
このような問題を防止するために、ドクターブレードによってコータローラ72によって汲み上げられる塗布液75の量を制限する塗布装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0006】
図4は従来の他の塗布装置の構成を示す斜視図、図5は従来の他の塗布装置の構成を示す側面図である。
【0007】
図4及び5に示される塗布装置70において、コータローラ72’は、グラビア印刷等に使用されるようなグラビアローラであり、表面に凹部72aが形成されている。そして、前記コータローラ72’が矢印Aで示される方向に回転することによって、コータバス71に貯留される塗布液75が汲み上げられる。この場合、前記コータローラ72’の表面には、ドクターブレード78の一側縁が押し付けられているので、コータローラ72’の表面に付着することによって汲み上げられた塗布液75の多くは、前記ドクターブレード78によって掻(か)き落とされてしまう。そして、前記凹部72a内に保持された塗布液75だけがニップ部に供給され、シート状物74の表面74aに塗布される。
【0008】
このように、余分な塗布液75がニップ部に供給されることがないので、該ニップ部に塗布液75の液溜まり76が発生することがない。そのため、塗布液75の飛散77が発生しないので、塗布装置70及びその周囲が塗布液75によって汚染されることがない。また、裏回りの現象が発生しないので、コーティング、ラミネート等の後工程において、ローラ等の装置が汚染されてしまうこともない。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−81427号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平5−59697号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の塗布装置においては、グラビアローラであるコータローラ72’に目詰まりが発生したり、コータローラ72’の表面が摩耗したりしてしまうので、メンテナンスの手間がかかってしまう。また、前記コータローラ72’の表面が摩耗すると、凹部72aの深さが変化するので、該凹部72a内に保持されてニップ部に供給される塗布液75の量が変化してしまう。
【0012】
もっとも、前記特許文献1及び2に記載されている塗布装置のように、コータローラとしてグラビアローラを使用することなく、ドクターブレードによってコータローラによって汲み上げられる塗布液の量を制限するものもある。この場合、シート状物の外側の部分に対応する位置にドクターブレードを配設し、コータローラによってシート状物の外側の部分に汲み上げられる塗布液の量を制限するようになっている。しかし、シート状物が幅の相違するものに変更された場合、ドクターブレードの位置を適切に調整することができないので、塗布液の量を適切に制限することができなくなってしまう。
【0013】
本発明は、前記従来の塗布装置の問題点を解決して、コータローラの両端部の近傍であって、シート状物が通過しない範囲の周面に当接するドクターブレードの間隔を適切に、かつ、容易に調整することができるようにして、シート状物が幅の相違するものに変更されても、コータローラによってシート状物の幅方向における外側の部分に汲み上げられる塗布液の量を確実に制限することができ、塗布液の飛散及び裏回りを防止することができる塗布装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の塗布装置においては、コータバスに貯留される塗布液を汲み上げる周面が滑らかなコータローラと、シート状物を前記コータローラに押し付けるニップローラと、前記コータローラの両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレードと、該ドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置とを有する。
【0015】
本発明の他の塗布装置においては、さらに、前記ドクターブレードの間隔は、前記シート状物の幅よりも狭くなるように調整される。
【0016】
本発明の更に他の塗布装置においては、さらに、前記間隔調整装置は、前記ドクターブレードの支持部材、該支持部材を移動させる駆動装置及び間隔調整制御装置を備え、該間隔調整制御装置は、前記シート状物の幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御し、前記ドクターブレードの間隔を調整する。
【0017】
本発明の更に他の塗布装置においては、さらに、前記支持部材はナット部材を備え、前記駆動装置は前記ナット部材に螺(ら)合するねじ軸を備え、該ねじ軸を回転させることによって、前記ドクターブレードを移動させる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図6は本発明の実施の形態における塗布装置を使用するラミネータの概略を示す図である。
【0020】
図において、30は押出コーティング・ラミネーションによってラミネート加工を行うシングルラミネータとしてのラミネータシステムであり、複数の金属箔、樹脂フィルム等の薄膜状の部材を張り合わせる加工を行う。ここで、前記ラミネータシステム30は基材供給装置を有し、該基材供給装置の供給ロール32から基材としてのシート状物14が繰り出されて供給される。なお、前記基材供給装置は、通常、回転可能なターレットアームを備え、該ターレットアームの両端に、それぞれ、回転可能に取り付けられた供給ロール32からシート状物14が繰り出されるようになっている。また、該シート状物14は、連続する帯状のシート状物であればいかなるものであってもよく、例えば、樹脂、紙、布、金属、セラミックス等の材料から成るもの、これら材料のすべて若しくは一部の混合物から成るもの、これら材料のすべて若しくは一部の複合体、又は、これら材料のすべて若しくは一部の積層体から成るものである。
【0021】
そして、前記ラミネータシステム30は塗布装置10を有し、該塗布装置10によって供給ロール32から繰り出された前記シート状物14の表面にAC剤を塗布する。なお、該AC剤は、通常、接着剤であり液状となっている。
【0022】
前記塗布装置10は、シングルラミネータ等のラミネータ、フィルム成形機、ダイコータ装置等において、連続する帯状のシート状物にAC剤、コーティング剤、清浄剤等の各種の塗布液を塗布するための装置であり、いかなる装置においていかなる種類の塗布液をいかなる種類のシート状物に塗布するために使用されてもよい。本実施の形態においては、前記塗布装置10が、ラミネータシステム30において基材としてのシート状物14に液状のAC剤を塗布するために使用される場合について説明する。
【0023】
そして、前記塗布装置10によって表面にAC剤が塗布されたシート状物14は、乾燥部33を通過して前記AC剤を乾燥させた後に、押出ラミネート部40に送り込まれる。該押出ラミネート部40は、Tダイ34、バックアップローラ41、プレスローラ42、冷却ローラ43及び剥(はく)離ローラ44を備え、前記Tダイ34から押し出された溶融樹脂をシート状物14と第2の基材として第2のシート状物36との間に圧着させるようになっている。この場合、前記ラミネータシステム30は第2の基材供給装置を有し、該第2の基材供給装置の供給ロール35から第2のシート状物36が繰り出されて供給される。そして、前記Tダイ34から押し出された溶融樹脂、シート状物14及び第2のシート状物36は、前記プレスローラ42と冷却ローラ43との間に挟み込まれて、互いに圧着される。この場合、前記溶融樹脂、シート状物14及び第2のシート状物36は、前記プレスローラ42によって冷却ローラ43に押し付けられるようになっている。これにより、ラミネートされたシート状物としての積層シート状物46が形成される。
【0024】
該積層シート状物46は、冷却ローラ43の周囲に巻き付くことによって冷却された後、剥離ローラ44によって前記冷却ローラ43から離されて、搬送され、搬送方向下流に配設されたトリミング装置45に送り込まれる。該トリミング装置45は、前記積層シート状物46の幅方向(図面に対して垂直方向)における左右の側端近傍部分を切断して削除し、前記積層シート状物46の幅を所定値とする。そして、所定の幅となった積層シート状物46は、巻き取り装置の巻き取りロール47の周囲に巻き取られる。
【0025】
次に、本実施の形態における塗布装置10の構成について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す斜視図、図7は本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す側面図である。
【0027】
図に示されるように、本実施の形態における塗布装置10は、液状のAC剤である塗布液15を貯留するコータバス11、該コータバス11に貯留される塗布液15を汲み上げるコータローラ12、及び、シート状物14を前記コータローラ12に押し付けるニップローラ13を有する。そして、前記コータバス11は図示されない支持部材に取り付けられ、前記塗布液15は図示されないAC剤供給装置から前記コータバス11内に供給されるようになっている。なお、該コータバス11内の塗布液15の液面のレベルが常に所定範囲内に維持されるように、前記AC剤供給装置から塗布液15が供給される。
【0028】
そして、前記コータローラ12は図示されない支持部材に回転可能に取り付けられ、下部がコータバス11に貯留される塗布液15の中に浸るように配設されている。本実施の形態において、コータローラ12は少なくとも周面が金属製であり、前記周面は滑らかな鏡面となっている。すなわち、前記コータローラ12は鏡面ローラである。そして、前記コータローラ12が矢印Eで示される方向に回転することによって、コータバス11に貯留される塗布液15は、前記コータローラ12によって図7において矢印Hで示される方向に汲み上げられる。なお、コータバス11内の塗布液15の液面のレベルが常に所定範囲内に維持されるので、前記コータローラ12の回転速度が一定であれば、コータローラ12によって汲み上げられる塗布液15の量は一定となる。
【0029】
また、前記ニップローラ13は図示されない支持部材に回転可能に取り付けられ、コータローラ12の上方から該コータローラ12に押し付けられるように配設され、前記ニップローラ13とコータローラ12とが接触する部分としてのニップ部が形成される。そして、前記ニップローラ13は、矢印Fで示される方向に回転し、シート状物14を前記ニップ部に送り込むようになっている。なお、前記ニップローラ13も少なくとも周面が金属製の鏡面ローラである。
【0030】
ここで、前記コータローラ12又はニップローラ13は、図示されないモータ等の駆動源によって回転させられるようになっていてもよい。また、前記コータローラ12及びニップローラ13は自由回転するものであってもよい。この場合、矢印Gで示される方向に搬送されるシート状物14によって、前記コータローラ12及びニップローラ13は従動させられて回転する。
【0031】
そして、前記コータローラ12の両端部の近傍には、ドクターブレード17が、それぞれ、配設されている。該ドクターブレード17は、図7に示されるように、一側縁が前記コータローラ12の周面に当接し、該コータローラ12によって汲み上げられる塗布液15を掻き取るようになっている。すなわち、前記ドクターブレード17は、コータローラ12の両端部の近傍であって、シート状物14が通過しない範囲の周面に、ほとんどの部分が、それぞれ、当接するようになっている。なお、ドクターブレード17によって掻き取られた塗布液15は、コータバス11に落下する。ここで、前記ドクターブレード17は、金属、樹脂等のいかなる材質から成るものであってもよいが、少なくともコータローラ12の周面に当接する部分は、該コータローラ12の周面を構成する材質よりも軟質の材質から成るものであることが望ましい。これにより、前記コータローラ12の周面がドクターブレード17によって損傷を受けることがない。
【0032】
また、前記ドクターブレード17は、図示されない支持部材に、コータローラ12の軸方向に移動可能に取り付けられている。そして、二つのドクターブレード17の間隔は、シート状物14の幅に対応するように設定される。これにより、コータローラ12の周面においてシート状物14が通過しない部分、すなわち、前記シート状物14の外側の部分では、塗布液15がドクターブレード17によって掻き取られる。そのため、図1に示されるように、コータローラ12の周面においてドクターブレード17の存在しない部分、すなわち、シート状物14の幅に対応する部分におけるニップ部には塗布液15の液溜まり16が発生する。一方、コータローラ12の周面においてドクターブレード17の存在する部分、すなわち、前記シート状物14の幅方向における外側の部分でのニップ部には液溜まり16が発生しない。
【0033】
そして、矢印Gで示される方向に搬送される前記シート状物14は、ニップ部に送り込まれ、該ニップ部において、前記シート状物14の表面14aがコータローラ12の表面に押し付けられる。そのため、該コータローラ12の表面に付着することによって汲み上げられ液溜まり16を形成する塗布液15が前記シート状物14の表面14aに塗布される。
【0034】
この場合、前記液溜まり16を形成する塗布液15が前記シート状物14の表面14aに塗布されるので、前記液溜まり16は一定の大きさを維持する。すなわち、一定量の塗布液15がコータローラ12によって汲み上げられて液溜まり16に供給されるが、一定量の塗布液15が前記シート状物14の表面14aに塗布されて液溜まり16から持ち去られるので、液溜まり16は、一定の大きさを維持し、大きくなることがない。また、前記ニップ部においてシート状物14が通過しない部分、すなわち、前記シート状物14の幅方向における外側の部分には、塗布液15がドクターブレード17によって掻き取られるので、液溜まり16が発生しない。したがって、本実施の形態における塗布装置10においては、「従来の技術」において説明した従来の塗布装置70のような大きな液溜まり76が発生することがない。
【0035】
このように、本実施の形態における塗布装置10においては、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15の飛散が発生することがない。そのため、塗布装置10及びその周囲が塗布液15によって汚染されてしまうことがない。また、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15がシート状物14の幅方向における外側から裏面14bに回り込んで該裏面14bに付着することもない。すなわち、いわゆる裏回りの現象が発生することがない。そのため、ラミネータシステム30における乾燥部33、押出ラミネート部40等のローラ等の装置が裏面14bに付着した塗布液15によって汚染されてしまうことがない。
【0036】
次に、前記二つのドクターブレード17の間隔を調整する間隔調整装置について説明する。
【0037】
図8は本発明の実施の形態におけるドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置の構成を示す図である。
【0038】
本実施の形態において、二つのドクターブレード17のコータローラ12と反対側の端縁は、支持部材としてのスライドブロック23に、それぞれ、取り付けられている。そして、該スライドブロック23は、図示されないスライドレール等のガイド部材にスライド可能に、かつ、回転不能に取り付けられ、コータローラ12の軸方向に移動することができる。
【0039】
また、前記コータローラ12の近傍には、前記スライドブロック23を移動させるための駆動装置が配設されている。本実施の形態において、該駆動装置は、前記スライドブロック23を移動させる移動部材としてのねじ軸22、及び、該ねじ軸22を駆動するアクチュエータ21を有する。この場合、前記ねじ軸22は図示されない支持部材に回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられ、前記アクチュエータ21によって回転させられる。また、該アクチュエータ21は、電動モータ、パルスモータ等の駆動源、該駆動源によって回転させられる回転軸、及び、該回転軸の回転数、回転角度等を検出するエンコーダ等の位置検出器を備える。なお、駆動源がパルスモータの場合には、該パルスモータに供給されるパルスをピックアップすることによって回転軸の回転数、回転角度等を検出することができるので、位置検出器を省略してもよい。そして、前記回転軸が前記ねじ軸22に接続され、前記アクチュエータ21は、前記ねじ軸22を所定の方向に所定の回転速度で所定の回転角又は回転数だけ回転させることができるようになっている。
【0040】
一方、前記スライドブロック23はナット部材を内部に備え、該ナット部材と前記ねじ軸22とが螺合するようになっている。そして、前記スライドブロック23は、前記ガイド部材にスライド可能に、かつ、回転不能に取り付けられているので、前記ねじ軸22が回転するとコータローラ12の軸方向に移動する。この場合、前記ナット部材とねじ軸22とが螺合する部分には、複数個のボールが循環可能に配設され、ボールスクリュ機構が構成されていることが望ましい。これにより、前記ナット部材とねじ軸22とが螺合する部分における抵抗を低減することができる。また、前記スライドブロック23の移動する方向はねじの向きとねじ軸22の回転方向とに依存し、前記スライドブロック23の移動する速度はねじのピッチとねじ軸22の回転速度とに依存し、前記スライドブロック23の移動する距離はねじのピッチとねじ軸22の回転角又は回転数とに依存する。
【0041】
なお、二つの前記スライドブロック23を移動させるための駆動装置は、それぞれ、同一の構成を有するものである。また、前記駆動装置は、前述されたような構成以外の構成を有するものであってもよく、例えば、空圧シリンダ装置のようなシリンダ装置のピストンロッドにスライドブロック23を取り付け、前記シリンダ装置によってスライドブロック23を移動させるようにしてもよいし、リニアモータによってスライドブロック23を移動させるようにしてもよい。
【0042】
そして、前記駆動装置の動作は、間隔調整制御装置としてのドクターブレード制御装置25によって制御される。ここで、該ドクターブレード制御装置25は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、マウス、押しボタン、タッチパネル等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータであり、前記駆動装置の動作を制御する。そして、前記アクチュエータ21は、ドクターブレード制御装置25からの制御信号を受信すると、該制御信号に従って動作を行う。なお、前記ドクターブレード制御装置25は、前記アクチュエータ21の電動モータ、パルスモータ等の駆動源を駆動するための電力を供給する電源を備えていてもよい。この場合、ドクターブレード制御装置25は、電源から供給される電力を制御することによってアクチュエータ21の動作を制御し、ドクターブレード17の位置を調整する。
【0043】
さらに、前記ドクターブレード制御装置25は、ラミネータシステム30の動作を制御するシステム制御装置31から取得したシート状物14の幅情報に基づいて、前記ドクターブレード17の位置を調整するようになっている。ここで、前記システム制御装置31は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、マウス、押しボタン、タッチパネル等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータであり、基材供給装置、第2の基材供給装置、塗布装置10、押出ラミネート部40、巻き取り装置等を含むラミネータシステム30全体の動作を制御する。なお、前記ドクターブレード制御装置25は、システム制御装置31と別個に構成されたものであってもよいし、一体的に構成されたものであってもよいし、システム制御装置31内に構築された複数の制御システムの中の一つであってもよい。本実施の形態において、前記システム制御装置31は、幅情報を前記ドクターブレード制御装置25に送信する。前記幅情報には、シート状物14の幅が変更されたこと、変更後のシート状物14の幅を示す数値等の情報が含まれる。そして、ドクターブレード制御装置25は、受信した幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御して、ドクターブレード17の位置を調整する。
【0044】
次に、前記構成の間隔調整装置の動作について説明する。
【0045】
ここで、ラミネータシステム30において、基材供給装置の供給ロール32から供給されるシート状物14が幅の相違するものに変更されるものとする。この場合、オペレータは、システム制御装置31の入力手段を操作して、変更後のシート状物14の幅を示す数値を入力する。なお、シート状物14の種類と幅との対応テーブルがあらかじめシステム制御装置31の記憶手段に格納されている場合には、シート状物14の種類を特定する情報、例えば、製品名、品番等が入力される。
【0046】
続いて、前記システム制御装置31は、幅情報を前記ドクターブレード制御装置25に送信する。前記幅情報には、シート状物14の幅が変更されること、変更後のシート状物14の幅を示す数値等の情報が含まれる。そして、ドクターブレード制御装置25は、受信した幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御して、ドクターブレード17の位置を調整する。この場合、前記ドクターブレード制御装置25は、変更後のシート状物14の幅を示す数値に基づいて、前記二つのドクターブレード17の間隔を決定する。通常、該間隔は前記シート状物14の幅よりも狭くなるように補正される。
【0047】
一般的に、シート状物14のような帯状のシート状物の場合、幅方向における左右の側端近傍部分は、厚さ等の寸法が均一でなく、また、損傷を受けたりしている場合が多い。そのため、ラミネータシステム30においても、前述されたように、積層シート状物46の幅方向における左右の側端近傍部分をトリミング装置45によって切断して、削除した後に巻き取りロール47の周囲に巻き取るようになっている。また、Tダイ34から押し出された溶融樹脂も、シート状物14と第2のシート状物36との間からはみ出すことがないように、通常、前記シート状物14の幅よりもやや狭い幅となるように調整され、シート状物14の幅方向における左右の側端に付着しないようになっている。
【0048】
そこで、前記二つのドクターブレード17の間隔は前記シート状物14の幅よりも狭くなるように補正される。また、コータローラ12とニップローラ13とのニップ部に発生する塗布液15の液溜まり16は、わずかではあるが横に、すなわち、シート状物14の幅方向に広がる傾向がある。そのため、前記二つのドクターブレード17の間隔は、前記塗布液15の粘性等も考慮して、補正されることが望ましい。
【0049】
続いて、前記ドクターブレード制御装置25は、補正された前記二つのドクターブレード17の間隔、すなわち、変更後のシート状物14に対応する二つのドクターブレード17の間隔を、現時点における二つのドクターブレード17の間隔、すなわち、変更前のシート状物14に対応する二つのドクターブレード17の間隔と比較し、その差分を算出する。そして、該差分の1/2ずつ左右のドクターブレード17を移動させるように制御信号をアクチュエータ21に送信する。そして、二つのアクチュエータ21は、それぞれ、受信した制御信号に基づいて、前記差分の1/2ずつ左右のドクターブレード17を移動させる回転角又は回転数だけねじ軸22を回転させる。これにより、左右のドクターブレード17は前記の1/2ずつ移動し、二つのドクターブレード17の間隔は、変更後のシート状物14に対応する間隔となる。該間隔は、前述されたように、前記シート状物14の幅よりも狭くなるように補正されたものである。また、前記ねじ軸22の回転角又は回転数は、前記アクチュエータ21が備える位置検出器によって検出され、前記ドクターブレード制御装置25にフィードバックされるようになっている。
【0050】
ここでは、オペレータがシステム制御装置31の入力手段を操作して、変更後のシート状物14の幅を示す数値を入力するものとして説明したが、ラミネータシステム30に配設された図示されない計測装置によって、供給ロール32から繰り出されたシート状物14の幅を自動的に取得するようにしてもよい。この場合、前記供給ロール32から供給されるシート状物14が幅の相違するものに変更されると、二つのドクターブレード17の間隔も自動的に調整される。
【0051】
このように、本実施の形態において、塗布装置10は、コータローラ12の両端部の近傍であって周面に、それぞれ、当接するドクターブレード17を有し、かつ、間隔調整装置によって二つのドクターブレード17の間隔を調整することができるようになっている。
【0052】
これにより、シート状物14が幅の相違するものに変更されても、二つのドクターブレード17の間隔を容易に、かつ、迅速に調整することができ、コータローラ12によってシート状物14の幅方向における外側の部分に汲み上げられる塗布液15の量を確実に制限することができる。そのため、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15の飛散が発生することがなく、塗布装置10及びその周囲が塗布液15によって汚染されてしまうことがない。また、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15がシート状物14の幅方向における外側から裏面14bに回り込んで該裏面14bに付着する裏回りの現象が発生することがない。そのため、ラミネータシステム30における乾燥部33、押出ラミネート部40等のローラ等の装置が裏面14bに付着した塗布液15によって汚染されてしまうことがない。
【0053】
また、間隔調整装置は、ドクターブレード制御装置25を有し、シート状物14の幅に対応する二つのドクターブレード17の間隔を適切に補正して自動的に算出して調整するようになっている。そのため、シート状物14が幅の相違するものに変更されても、二つのドクターブレード17の間隔を容易に、かつ、迅速に適切な値に調整することができる。
【0054】
さらに、コータローラ12として鏡面ローラを使用することができるので、前記コータローラ12に目詰まりが発生することがなく、前記コータローラ12の表面が摩耗することもないので、メンテナンスが容易である。
【0055】
なお、本実施の形態においては、塗布装置10が、ラミネータシステム30において基材としてのシート状物14に液状のAC剤を塗布するために使用される場合について説明したが、本発明における塗布装置は、いかなる装置においても、いかなる種類の塗布液を塗布するためにも、また、いかなる種類のシート状物に塗布するためにも使用することができるものである。
【0056】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、コータローラの両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレードの間隔を適切に、かつ、容易に調整することができるので、シート状物が幅の相違するものに変更されても、コータローラによってシート状物の幅方向における外側の部分に汲み上げられる塗布液の量を確実に制限することができ、塗布液の飛散及び裏回りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す斜視図である。
【図2】従来の塗布装置の構成を示す斜視図である。
【図3】従来の塗布装置の構成を示す側面図である。
【図4】従来の他の塗布装置の構成を示す斜視図である。
【図5】従来の他の塗布装置の構成を示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態における塗布装置を使用するラミネータの概略を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す側面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 塗布装置
11 コータバス
12 コータローラ
13 ニップローラ
14 シート状物
15 塗布液
17 ドクターブレード
22 ねじ軸
23 スライドブロック
25 ドクターブレード制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム成形機、ダイコータ装置、ラミネータ等においては、金属箔(はく)、樹脂フィルム等の薄膜状の基材上に樹脂層をコーティングしたり、複数の基材間に樹脂層を挟み込んでラミネートしたりするために、加熱され、溶融させられた樹脂をスリットノズルからフィルム状に押し出して、冷却ロールの表面に延展したり、基材上に所定の幅の薄い樹脂層を塗布したり、基材間に圧着するようになっている。例えば、ラミネータでは、接着性を高めるため、あらかじめ基材にAC(Anchor Coat:アンカーコート)剤を塗布することが行われている。 図2は従来の塗布装置の構成を示す斜視図、図3は従来の塗布装置の構成を示す側面図である。
【0003】
図において、70は塗布装置であり、液状のAC剤である塗布液75を貯留するコータバス71、該コータバス71に貯留される塗布液75を汲(く)み上げるコータローラ72、及び、シート状物74を前記コータローラ72に押し付けるニップローラ73を有する。ここで、前記シート状物74は、図示されない供給装置から供給された金属箔、樹脂フィルム等の薄膜状の基材であり、矢印Cで示される方向に搬送され、塗布装置70から、コーティング、ラミネート等の後工程に送り込まれるようになっている。また、前記コータローラ72は、下部がコータバス71に貯留される塗布液75の中に浸るように配設され、矢印Aで示される方向に回転する。これにより、前記塗布液75は、図3において矢印Dで示される方向に汲み上げられ、コータローラ72とニップローラ73とが接触する部分としてのニップ部に供給される。また、前記ニップローラ73は、矢印Bで示される方向に回転し、シート状物74を前記ニップ部に送り込む。該ニップ部において、前記シート状物74の表面74aがコータローラ72の表面に押し付けられるので、該コータローラ72の表面に付着することによって汲み上げられた塗布液75が前記シート状物74の表面74aに塗布される。
【0004】
しかしながら、前記従来の塗布装置70においては、前記ニップ部に塗布液75の液溜(た)まり76が発生する。特に、前記ニップ部においてシート状物74が通過しない部分、すなわち、前記シート状物74の外側の部分では、塗布液75が前記シート状物74の表面74aに塗布されることがないので、液溜まり76が大きくなってしまう。そして、該液溜まり76が大きくなると、塗布液75の飛散77が発生し、塗布装置70及びその周囲が塗布液75によって汚染されてしまう。また、大きくなった液溜まり76の塗布液75がシート状物74の幅方向における外側から裏面74bに回り込んで該裏面74bに付着する、いわゆる裏回りの現象が発生してしまう。そして、該裏回りの現象が発生すると、コーティング、ラミネート等の後工程において、ローラ等の装置が汚染されてしまう。
【0005】
このような問題を防止するために、ドクターブレードによってコータローラ72によって汲み上げられる塗布液75の量を制限する塗布装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0006】
図4は従来の他の塗布装置の構成を示す斜視図、図5は従来の他の塗布装置の構成を示す側面図である。
【0007】
図4及び5に示される塗布装置70において、コータローラ72’は、グラビア印刷等に使用されるようなグラビアローラであり、表面に凹部72aが形成されている。そして、前記コータローラ72’が矢印Aで示される方向に回転することによって、コータバス71に貯留される塗布液75が汲み上げられる。この場合、前記コータローラ72’の表面には、ドクターブレード78の一側縁が押し付けられているので、コータローラ72’の表面に付着することによって汲み上げられた塗布液75の多くは、前記ドクターブレード78によって掻(か)き落とされてしまう。そして、前記凹部72a内に保持された塗布液75だけがニップ部に供給され、シート状物74の表面74aに塗布される。
【0008】
このように、余分な塗布液75がニップ部に供給されることがないので、該ニップ部に塗布液75の液溜まり76が発生することがない。そのため、塗布液75の飛散77が発生しないので、塗布装置70及びその周囲が塗布液75によって汚染されることがない。また、裏回りの現象が発生しないので、コーティング、ラミネート等の後工程において、ローラ等の装置が汚染されてしまうこともない。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−81427号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平5−59697号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の塗布装置においては、グラビアローラであるコータローラ72’に目詰まりが発生したり、コータローラ72’の表面が摩耗したりしてしまうので、メンテナンスの手間がかかってしまう。また、前記コータローラ72’の表面が摩耗すると、凹部72aの深さが変化するので、該凹部72a内に保持されてニップ部に供給される塗布液75の量が変化してしまう。
【0012】
もっとも、前記特許文献1及び2に記載されている塗布装置のように、コータローラとしてグラビアローラを使用することなく、ドクターブレードによってコータローラによって汲み上げられる塗布液の量を制限するものもある。この場合、シート状物の外側の部分に対応する位置にドクターブレードを配設し、コータローラによってシート状物の外側の部分に汲み上げられる塗布液の量を制限するようになっている。しかし、シート状物が幅の相違するものに変更された場合、ドクターブレードの位置を適切に調整することができないので、塗布液の量を適切に制限することができなくなってしまう。
【0013】
本発明は、前記従来の塗布装置の問題点を解決して、コータローラの両端部の近傍であって、シート状物が通過しない範囲の周面に当接するドクターブレードの間隔を適切に、かつ、容易に調整することができるようにして、シート状物が幅の相違するものに変更されても、コータローラによってシート状物の幅方向における外側の部分に汲み上げられる塗布液の量を確実に制限することができ、塗布液の飛散及び裏回りを防止することができる塗布装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の塗布装置においては、コータバスに貯留される塗布液を汲み上げる周面が滑らかなコータローラと、シート状物を前記コータローラに押し付けるニップローラと、前記コータローラの両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレードと、該ドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置とを有する。
【0015】
本発明の他の塗布装置においては、さらに、前記ドクターブレードの間隔は、前記シート状物の幅よりも狭くなるように調整される。
【0016】
本発明の更に他の塗布装置においては、さらに、前記間隔調整装置は、前記ドクターブレードの支持部材、該支持部材を移動させる駆動装置及び間隔調整制御装置を備え、該間隔調整制御装置は、前記シート状物の幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御し、前記ドクターブレードの間隔を調整する。
【0017】
本発明の更に他の塗布装置においては、さらに、前記支持部材はナット部材を備え、前記駆動装置は前記ナット部材に螺(ら)合するねじ軸を備え、該ねじ軸を回転させることによって、前記ドクターブレードを移動させる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図6は本発明の実施の形態における塗布装置を使用するラミネータの概略を示す図である。
【0020】
図において、30は押出コーティング・ラミネーションによってラミネート加工を行うシングルラミネータとしてのラミネータシステムであり、複数の金属箔、樹脂フィルム等の薄膜状の部材を張り合わせる加工を行う。ここで、前記ラミネータシステム30は基材供給装置を有し、該基材供給装置の供給ロール32から基材としてのシート状物14が繰り出されて供給される。なお、前記基材供給装置は、通常、回転可能なターレットアームを備え、該ターレットアームの両端に、それぞれ、回転可能に取り付けられた供給ロール32からシート状物14が繰り出されるようになっている。また、該シート状物14は、連続する帯状のシート状物であればいかなるものであってもよく、例えば、樹脂、紙、布、金属、セラミックス等の材料から成るもの、これら材料のすべて若しくは一部の混合物から成るもの、これら材料のすべて若しくは一部の複合体、又は、これら材料のすべて若しくは一部の積層体から成るものである。
【0021】
そして、前記ラミネータシステム30は塗布装置10を有し、該塗布装置10によって供給ロール32から繰り出された前記シート状物14の表面にAC剤を塗布する。なお、該AC剤は、通常、接着剤であり液状となっている。
【0022】
前記塗布装置10は、シングルラミネータ等のラミネータ、フィルム成形機、ダイコータ装置等において、連続する帯状のシート状物にAC剤、コーティング剤、清浄剤等の各種の塗布液を塗布するための装置であり、いかなる装置においていかなる種類の塗布液をいかなる種類のシート状物に塗布するために使用されてもよい。本実施の形態においては、前記塗布装置10が、ラミネータシステム30において基材としてのシート状物14に液状のAC剤を塗布するために使用される場合について説明する。
【0023】
そして、前記塗布装置10によって表面にAC剤が塗布されたシート状物14は、乾燥部33を通過して前記AC剤を乾燥させた後に、押出ラミネート部40に送り込まれる。該押出ラミネート部40は、Tダイ34、バックアップローラ41、プレスローラ42、冷却ローラ43及び剥(はく)離ローラ44を備え、前記Tダイ34から押し出された溶融樹脂をシート状物14と第2の基材として第2のシート状物36との間に圧着させるようになっている。この場合、前記ラミネータシステム30は第2の基材供給装置を有し、該第2の基材供給装置の供給ロール35から第2のシート状物36が繰り出されて供給される。そして、前記Tダイ34から押し出された溶融樹脂、シート状物14及び第2のシート状物36は、前記プレスローラ42と冷却ローラ43との間に挟み込まれて、互いに圧着される。この場合、前記溶融樹脂、シート状物14及び第2のシート状物36は、前記プレスローラ42によって冷却ローラ43に押し付けられるようになっている。これにより、ラミネートされたシート状物としての積層シート状物46が形成される。
【0024】
該積層シート状物46は、冷却ローラ43の周囲に巻き付くことによって冷却された後、剥離ローラ44によって前記冷却ローラ43から離されて、搬送され、搬送方向下流に配設されたトリミング装置45に送り込まれる。該トリミング装置45は、前記積層シート状物46の幅方向(図面に対して垂直方向)における左右の側端近傍部分を切断して削除し、前記積層シート状物46の幅を所定値とする。そして、所定の幅となった積層シート状物46は、巻き取り装置の巻き取りロール47の周囲に巻き取られる。
【0025】
次に、本実施の形態における塗布装置10の構成について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す斜視図、図7は本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す側面図である。
【0027】
図に示されるように、本実施の形態における塗布装置10は、液状のAC剤である塗布液15を貯留するコータバス11、該コータバス11に貯留される塗布液15を汲み上げるコータローラ12、及び、シート状物14を前記コータローラ12に押し付けるニップローラ13を有する。そして、前記コータバス11は図示されない支持部材に取り付けられ、前記塗布液15は図示されないAC剤供給装置から前記コータバス11内に供給されるようになっている。なお、該コータバス11内の塗布液15の液面のレベルが常に所定範囲内に維持されるように、前記AC剤供給装置から塗布液15が供給される。
【0028】
そして、前記コータローラ12は図示されない支持部材に回転可能に取り付けられ、下部がコータバス11に貯留される塗布液15の中に浸るように配設されている。本実施の形態において、コータローラ12は少なくとも周面が金属製であり、前記周面は滑らかな鏡面となっている。すなわち、前記コータローラ12は鏡面ローラである。そして、前記コータローラ12が矢印Eで示される方向に回転することによって、コータバス11に貯留される塗布液15は、前記コータローラ12によって図7において矢印Hで示される方向に汲み上げられる。なお、コータバス11内の塗布液15の液面のレベルが常に所定範囲内に維持されるので、前記コータローラ12の回転速度が一定であれば、コータローラ12によって汲み上げられる塗布液15の量は一定となる。
【0029】
また、前記ニップローラ13は図示されない支持部材に回転可能に取り付けられ、コータローラ12の上方から該コータローラ12に押し付けられるように配設され、前記ニップローラ13とコータローラ12とが接触する部分としてのニップ部が形成される。そして、前記ニップローラ13は、矢印Fで示される方向に回転し、シート状物14を前記ニップ部に送り込むようになっている。なお、前記ニップローラ13も少なくとも周面が金属製の鏡面ローラである。
【0030】
ここで、前記コータローラ12又はニップローラ13は、図示されないモータ等の駆動源によって回転させられるようになっていてもよい。また、前記コータローラ12及びニップローラ13は自由回転するものであってもよい。この場合、矢印Gで示される方向に搬送されるシート状物14によって、前記コータローラ12及びニップローラ13は従動させられて回転する。
【0031】
そして、前記コータローラ12の両端部の近傍には、ドクターブレード17が、それぞれ、配設されている。該ドクターブレード17は、図7に示されるように、一側縁が前記コータローラ12の周面に当接し、該コータローラ12によって汲み上げられる塗布液15を掻き取るようになっている。すなわち、前記ドクターブレード17は、コータローラ12の両端部の近傍であって、シート状物14が通過しない範囲の周面に、ほとんどの部分が、それぞれ、当接するようになっている。なお、ドクターブレード17によって掻き取られた塗布液15は、コータバス11に落下する。ここで、前記ドクターブレード17は、金属、樹脂等のいかなる材質から成るものであってもよいが、少なくともコータローラ12の周面に当接する部分は、該コータローラ12の周面を構成する材質よりも軟質の材質から成るものであることが望ましい。これにより、前記コータローラ12の周面がドクターブレード17によって損傷を受けることがない。
【0032】
また、前記ドクターブレード17は、図示されない支持部材に、コータローラ12の軸方向に移動可能に取り付けられている。そして、二つのドクターブレード17の間隔は、シート状物14の幅に対応するように設定される。これにより、コータローラ12の周面においてシート状物14が通過しない部分、すなわち、前記シート状物14の外側の部分では、塗布液15がドクターブレード17によって掻き取られる。そのため、図1に示されるように、コータローラ12の周面においてドクターブレード17の存在しない部分、すなわち、シート状物14の幅に対応する部分におけるニップ部には塗布液15の液溜まり16が発生する。一方、コータローラ12の周面においてドクターブレード17の存在する部分、すなわち、前記シート状物14の幅方向における外側の部分でのニップ部には液溜まり16が発生しない。
【0033】
そして、矢印Gで示される方向に搬送される前記シート状物14は、ニップ部に送り込まれ、該ニップ部において、前記シート状物14の表面14aがコータローラ12の表面に押し付けられる。そのため、該コータローラ12の表面に付着することによって汲み上げられ液溜まり16を形成する塗布液15が前記シート状物14の表面14aに塗布される。
【0034】
この場合、前記液溜まり16を形成する塗布液15が前記シート状物14の表面14aに塗布されるので、前記液溜まり16は一定の大きさを維持する。すなわち、一定量の塗布液15がコータローラ12によって汲み上げられて液溜まり16に供給されるが、一定量の塗布液15が前記シート状物14の表面14aに塗布されて液溜まり16から持ち去られるので、液溜まり16は、一定の大きさを維持し、大きくなることがない。また、前記ニップ部においてシート状物14が通過しない部分、すなわち、前記シート状物14の幅方向における外側の部分には、塗布液15がドクターブレード17によって掻き取られるので、液溜まり16が発生しない。したがって、本実施の形態における塗布装置10においては、「従来の技術」において説明した従来の塗布装置70のような大きな液溜まり76が発生することがない。
【0035】
このように、本実施の形態における塗布装置10においては、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15の飛散が発生することがない。そのため、塗布装置10及びその周囲が塗布液15によって汚染されてしまうことがない。また、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15がシート状物14の幅方向における外側から裏面14bに回り込んで該裏面14bに付着することもない。すなわち、いわゆる裏回りの現象が発生することがない。そのため、ラミネータシステム30における乾燥部33、押出ラミネート部40等のローラ等の装置が裏面14bに付着した塗布液15によって汚染されてしまうことがない。
【0036】
次に、前記二つのドクターブレード17の間隔を調整する間隔調整装置について説明する。
【0037】
図8は本発明の実施の形態におけるドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置の構成を示す図である。
【0038】
本実施の形態において、二つのドクターブレード17のコータローラ12と反対側の端縁は、支持部材としてのスライドブロック23に、それぞれ、取り付けられている。そして、該スライドブロック23は、図示されないスライドレール等のガイド部材にスライド可能に、かつ、回転不能に取り付けられ、コータローラ12の軸方向に移動することができる。
【0039】
また、前記コータローラ12の近傍には、前記スライドブロック23を移動させるための駆動装置が配設されている。本実施の形態において、該駆動装置は、前記スライドブロック23を移動させる移動部材としてのねじ軸22、及び、該ねじ軸22を駆動するアクチュエータ21を有する。この場合、前記ねじ軸22は図示されない支持部材に回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられ、前記アクチュエータ21によって回転させられる。また、該アクチュエータ21は、電動モータ、パルスモータ等の駆動源、該駆動源によって回転させられる回転軸、及び、該回転軸の回転数、回転角度等を検出するエンコーダ等の位置検出器を備える。なお、駆動源がパルスモータの場合には、該パルスモータに供給されるパルスをピックアップすることによって回転軸の回転数、回転角度等を検出することができるので、位置検出器を省略してもよい。そして、前記回転軸が前記ねじ軸22に接続され、前記アクチュエータ21は、前記ねじ軸22を所定の方向に所定の回転速度で所定の回転角又は回転数だけ回転させることができるようになっている。
【0040】
一方、前記スライドブロック23はナット部材を内部に備え、該ナット部材と前記ねじ軸22とが螺合するようになっている。そして、前記スライドブロック23は、前記ガイド部材にスライド可能に、かつ、回転不能に取り付けられているので、前記ねじ軸22が回転するとコータローラ12の軸方向に移動する。この場合、前記ナット部材とねじ軸22とが螺合する部分には、複数個のボールが循環可能に配設され、ボールスクリュ機構が構成されていることが望ましい。これにより、前記ナット部材とねじ軸22とが螺合する部分における抵抗を低減することができる。また、前記スライドブロック23の移動する方向はねじの向きとねじ軸22の回転方向とに依存し、前記スライドブロック23の移動する速度はねじのピッチとねじ軸22の回転速度とに依存し、前記スライドブロック23の移動する距離はねじのピッチとねじ軸22の回転角又は回転数とに依存する。
【0041】
なお、二つの前記スライドブロック23を移動させるための駆動装置は、それぞれ、同一の構成を有するものである。また、前記駆動装置は、前述されたような構成以外の構成を有するものであってもよく、例えば、空圧シリンダ装置のようなシリンダ装置のピストンロッドにスライドブロック23を取り付け、前記シリンダ装置によってスライドブロック23を移動させるようにしてもよいし、リニアモータによってスライドブロック23を移動させるようにしてもよい。
【0042】
そして、前記駆動装置の動作は、間隔調整制御装置としてのドクターブレード制御装置25によって制御される。ここで、該ドクターブレード制御装置25は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、マウス、押しボタン、タッチパネル等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータであり、前記駆動装置の動作を制御する。そして、前記アクチュエータ21は、ドクターブレード制御装置25からの制御信号を受信すると、該制御信号に従って動作を行う。なお、前記ドクターブレード制御装置25は、前記アクチュエータ21の電動モータ、パルスモータ等の駆動源を駆動するための電力を供給する電源を備えていてもよい。この場合、ドクターブレード制御装置25は、電源から供給される電力を制御することによってアクチュエータ21の動作を制御し、ドクターブレード17の位置を調整する。
【0043】
さらに、前記ドクターブレード制御装置25は、ラミネータシステム30の動作を制御するシステム制御装置31から取得したシート状物14の幅情報に基づいて、前記ドクターブレード17の位置を調整するようになっている。ここで、前記システム制御装置31は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、マウス、押しボタン、タッチパネル等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示手段、通信インターフェイス等を備えるコンピュータであり、基材供給装置、第2の基材供給装置、塗布装置10、押出ラミネート部40、巻き取り装置等を含むラミネータシステム30全体の動作を制御する。なお、前記ドクターブレード制御装置25は、システム制御装置31と別個に構成されたものであってもよいし、一体的に構成されたものであってもよいし、システム制御装置31内に構築された複数の制御システムの中の一つであってもよい。本実施の形態において、前記システム制御装置31は、幅情報を前記ドクターブレード制御装置25に送信する。前記幅情報には、シート状物14の幅が変更されたこと、変更後のシート状物14の幅を示す数値等の情報が含まれる。そして、ドクターブレード制御装置25は、受信した幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御して、ドクターブレード17の位置を調整する。
【0044】
次に、前記構成の間隔調整装置の動作について説明する。
【0045】
ここで、ラミネータシステム30において、基材供給装置の供給ロール32から供給されるシート状物14が幅の相違するものに変更されるものとする。この場合、オペレータは、システム制御装置31の入力手段を操作して、変更後のシート状物14の幅を示す数値を入力する。なお、シート状物14の種類と幅との対応テーブルがあらかじめシステム制御装置31の記憶手段に格納されている場合には、シート状物14の種類を特定する情報、例えば、製品名、品番等が入力される。
【0046】
続いて、前記システム制御装置31は、幅情報を前記ドクターブレード制御装置25に送信する。前記幅情報には、シート状物14の幅が変更されること、変更後のシート状物14の幅を示す数値等の情報が含まれる。そして、ドクターブレード制御装置25は、受信した幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御して、ドクターブレード17の位置を調整する。この場合、前記ドクターブレード制御装置25は、変更後のシート状物14の幅を示す数値に基づいて、前記二つのドクターブレード17の間隔を決定する。通常、該間隔は前記シート状物14の幅よりも狭くなるように補正される。
【0047】
一般的に、シート状物14のような帯状のシート状物の場合、幅方向における左右の側端近傍部分は、厚さ等の寸法が均一でなく、また、損傷を受けたりしている場合が多い。そのため、ラミネータシステム30においても、前述されたように、積層シート状物46の幅方向における左右の側端近傍部分をトリミング装置45によって切断して、削除した後に巻き取りロール47の周囲に巻き取るようになっている。また、Tダイ34から押し出された溶融樹脂も、シート状物14と第2のシート状物36との間からはみ出すことがないように、通常、前記シート状物14の幅よりもやや狭い幅となるように調整され、シート状物14の幅方向における左右の側端に付着しないようになっている。
【0048】
そこで、前記二つのドクターブレード17の間隔は前記シート状物14の幅よりも狭くなるように補正される。また、コータローラ12とニップローラ13とのニップ部に発生する塗布液15の液溜まり16は、わずかではあるが横に、すなわち、シート状物14の幅方向に広がる傾向がある。そのため、前記二つのドクターブレード17の間隔は、前記塗布液15の粘性等も考慮して、補正されることが望ましい。
【0049】
続いて、前記ドクターブレード制御装置25は、補正された前記二つのドクターブレード17の間隔、すなわち、変更後のシート状物14に対応する二つのドクターブレード17の間隔を、現時点における二つのドクターブレード17の間隔、すなわち、変更前のシート状物14に対応する二つのドクターブレード17の間隔と比較し、その差分を算出する。そして、該差分の1/2ずつ左右のドクターブレード17を移動させるように制御信号をアクチュエータ21に送信する。そして、二つのアクチュエータ21は、それぞれ、受信した制御信号に基づいて、前記差分の1/2ずつ左右のドクターブレード17を移動させる回転角又は回転数だけねじ軸22を回転させる。これにより、左右のドクターブレード17は前記の1/2ずつ移動し、二つのドクターブレード17の間隔は、変更後のシート状物14に対応する間隔となる。該間隔は、前述されたように、前記シート状物14の幅よりも狭くなるように補正されたものである。また、前記ねじ軸22の回転角又は回転数は、前記アクチュエータ21が備える位置検出器によって検出され、前記ドクターブレード制御装置25にフィードバックされるようになっている。
【0050】
ここでは、オペレータがシステム制御装置31の入力手段を操作して、変更後のシート状物14の幅を示す数値を入力するものとして説明したが、ラミネータシステム30に配設された図示されない計測装置によって、供給ロール32から繰り出されたシート状物14の幅を自動的に取得するようにしてもよい。この場合、前記供給ロール32から供給されるシート状物14が幅の相違するものに変更されると、二つのドクターブレード17の間隔も自動的に調整される。
【0051】
このように、本実施の形態において、塗布装置10は、コータローラ12の両端部の近傍であって周面に、それぞれ、当接するドクターブレード17を有し、かつ、間隔調整装置によって二つのドクターブレード17の間隔を調整することができるようになっている。
【0052】
これにより、シート状物14が幅の相違するものに変更されても、二つのドクターブレード17の間隔を容易に、かつ、迅速に調整することができ、コータローラ12によってシート状物14の幅方向における外側の部分に汲み上げられる塗布液15の量を確実に制限することができる。そのため、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15の飛散が発生することがなく、塗布装置10及びその周囲が塗布液15によって汚染されてしまうことがない。また、液溜まり16が必要以上に大きくなることがないので、塗布液15がシート状物14の幅方向における外側から裏面14bに回り込んで該裏面14bに付着する裏回りの現象が発生することがない。そのため、ラミネータシステム30における乾燥部33、押出ラミネート部40等のローラ等の装置が裏面14bに付着した塗布液15によって汚染されてしまうことがない。
【0053】
また、間隔調整装置は、ドクターブレード制御装置25を有し、シート状物14の幅に対応する二つのドクターブレード17の間隔を適切に補正して自動的に算出して調整するようになっている。そのため、シート状物14が幅の相違するものに変更されても、二つのドクターブレード17の間隔を容易に、かつ、迅速に適切な値に調整することができる。
【0054】
さらに、コータローラ12として鏡面ローラを使用することができるので、前記コータローラ12に目詰まりが発生することがなく、前記コータローラ12の表面が摩耗することもないので、メンテナンスが容易である。
【0055】
なお、本実施の形態においては、塗布装置10が、ラミネータシステム30において基材としてのシート状物14に液状のAC剤を塗布するために使用される場合について説明したが、本発明における塗布装置は、いかなる装置においても、いかなる種類の塗布液を塗布するためにも、また、いかなる種類のシート状物に塗布するためにも使用することができるものである。
【0056】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、コータローラの両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレードの間隔を適切に、かつ、容易に調整することができるので、シート状物が幅の相違するものに変更されても、コータローラによってシート状物の幅方向における外側の部分に汲み上げられる塗布液の量を確実に制限することができ、塗布液の飛散及び裏回りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す斜視図である。
【図2】従来の塗布装置の構成を示す斜視図である。
【図3】従来の塗布装置の構成を示す側面図である。
【図4】従来の他の塗布装置の構成を示す斜視図である。
【図5】従来の他の塗布装置の構成を示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態における塗布装置を使用するラミネータの概略を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における塗布装置の構成を示す側面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 塗布装置
11 コータバス
12 コータローラ
13 ニップローラ
14 シート状物
15 塗布液
17 ドクターブレード
22 ねじ軸
23 スライドブロック
25 ドクターブレード制御装置
Claims (4)
- (a)コータバスに貯留される塗布液を汲み上げる周面が滑らかなコータローラと、
(b)シート状物を前記コータローラに押し付けるニップローラと、
(c)前記コータローラの両端部の近傍であって、周面に当接するドクターブレードと、
(d)該ドクターブレードの間隔を調整する間隔調整装置とを有することを特徴とする塗布装置。 - 前記ドクターブレードの間隔は、前記シート状物の幅よりも狭くなるように調整される請求項1に記載の塗布装置。
- (a)前記間隔調整装置は、前記ドクターブレードの支持部材、該支持部材を移動させる駆動装置及び間隔調整制御装置を備え、
(b)該間隔調整制御装置は、前記シート状物の幅情報に基づいて、前記駆動装置の動作を制御し、前記ドクターブレードの間隔を調整する請求項1又は2に記載の塗布装置。 - 前記支持部材はナット部材を備え、前記駆動装置は前記ナット部材に螺合するねじ軸を備え、該ねじ軸を回転させることによって、前記ドクターブレードを移動させる請求項3に記載の塗布装置。
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JP2007201427A (ja) * | 2005-12-26 | 2007-08-09 | Tokyo Electron Ltd | 回転ロールの汚れ除去機構 |
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