JP2005020891A - 電気自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータのスイッチング素子に過大負荷をかけることなく、坂道発進や段差乗り越え等の運転をすることができるようにする。
【解決手段】バッテリ1の直流電流はインバータ3により交流電流に変化されて、交流モータ4に供給される。トルク指令部5は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号Aを基に、出力トルク指令τoを出力する。制御回路ユニット6及びゲートドライブ回路9により、出力トルク指令τoに応じた出力トルクとなるように、インバータ3がスイッチング制御される。極低速走行状態となったときに、アクセル信号Aが最大となった場合は、一定時間が経過するまでは、出力トルク指令τoを最大トルクのままとしておき、段差乗り越え等を行い、その後に、出力トルク指令τoの値をリミットする。
【選択図】 図1
【解決手段】バッテリ1の直流電流はインバータ3により交流電流に変化されて、交流モータ4に供給される。トルク指令部5は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号Aを基に、出力トルク指令τoを出力する。制御回路ユニット6及びゲートドライブ回路9により、出力トルク指令τoに応じた出力トルクとなるように、インバータ3がスイッチング制御される。極低速走行状態となったときに、アクセル信号Aが最大となった場合は、一定時間が経過するまでは、出力トルク指令τoを最大トルクのままとしておき、段差乗り越え等を行い、その後に、出力トルク指令τoの値をリミットする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気自動車に関し、インバータのスイッチング素子に過大負荷をかけることなく、坂道発進や段差乗り越え等の運転ができるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
バッテリを電源としてモータを駆動することにより走行する電気自動車では、交流モータを使用することが多い。この交流モータの速度制御をするには、インバータが使用される。インバータは、IGBT等のパワー半導体でなるスイッチング素子をブリッジ回路接続して構成されており、スイッチング素子をON・OFF制御することにより、バッテリから出力された直流電圧を交流電圧に変換して、交流モータに供給する。
【0003】
このような電気自動車では、アクセルの踏み込み量に対応したトルク指令を演算し、このトルク指令に対応させてPWM制御によりインバータのスイッチング素子のON・OFF制御をしている。この結果、インバータからモータに供給する交流電圧の電圧値と周波数を制御して、トルク指令に応じてモータを回転駆動させている。
【0004】
このようにインバータにより交流モータ(特に永久磁石型同期モータ)の速度制御をする電気自動車では、モータが停止しているような極低速時の状態から最大トルクで始動すると、インバータのうち固定した相にのみ電流を流し続けることになり、特定のスイッチング素子(IGBT)に過大な負荷が集中する。この状態が長時間続くと、IGBTを破損する恐れがある。
【0005】
かかる状況によるIGBTの破損を防止するため、従来では次の様な対策を採っていた。従来の第1の対策では、IGBTの容量としてワンランク上の素子を用いていた。従来の第2の対策では、モータ回転が極低速域にある場合に、アクセル開度から演算したトルク指令の値が最大トルク値となっていても、トルク指令の値を制限する制御を行っていた(例えば、特許番号第2796711号「電気自動車」)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インバータの素子容量を上げることは、インバータの小型軽量化やコスト低減といった要請に悪影響を及ぼしてしまい問題である。
【0007】
また電気自動車において、モータの最大トルクを始動時(0rpm)といった極低速時から制限してしまうと、坂道発進や段差乗り越え等、短時間で最大トルクを必要とする場合に運転ができなくなってしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、インバータの素子容量を上げることなく、坂道発進や段差乗り越え等の短時間で最大トルクを必要とする運転状況であっても運転をすることができ、しかも、インバータのスイッチング素子(IGBT)を破損することもない電気自動車を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後に極低速走行状態でなくなったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0010】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0011】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を時間の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0012】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、スイッチング素子温度が限界温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が限界温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にスイッチング素子温度が低下してきて復帰温度になったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0013】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、スイッチング素子温度が第1設定温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第1設定温度とこの第1設定温度よりも高温の第2設定温度との間の温度であるときにはトルク指令の値を温度の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第2設定温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0014】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にスイッチング素子温度が設定温度未満になったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0015】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したらその後は、スイッチング素子温度が第1設定温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第1設定温度とこの第1設定温度よりも高温の第2設定温度との間の温度であるときにはトルク指令の値を温度の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第2設定温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
<電気自動車の駆動回路の全体構成>
まず初めに、本発明の実施の形態にかかる電気自動車の駆動回路について、全体説明をし、その後に本発明のポイントとなる技術を各実施の形態に分けて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる電気自動車の駆動回路を示す。同図に示すように、バッテリ1から出力された直流電圧は、大容量の平滑用コンデンサ2を介して、インバータ3に供給される。
【0019】
インバータ3は、IGBT等でなる6個のスイッチング素子SW1〜SW6をブリッジ回路接続して構成されている。なお、スイッチング素子SW1,SW2が1つのインバータモジュールとして構成され、スイッチング素子SW3,SW4が他の1つのインバータモジュールとして構成され、スイッチング素子SW5,SW6が更に他の1つのインバータモジュールとして構成されている。このインバータ3は、バッテリ1から供給された直流電流を交流電流に変換して、この交流電流を交流モータ4に供給する。
【0020】
交流モータ4は、例えば永久磁石型同期モータにより構成されており、交流電流が供給されることにより回転駆動する。この交流モータ4が回転駆動することにより、電気自動車が走行する。
【0021】
トルク指令部5は、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aを基に要求トルク指令を演算し、この要求トルク指令を基に出力トルク指令τoを求め、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。なお、トルク指令部5での演算手法については、後述する。
【0022】
回転検出センサ(パルスゼネレータ)7は交流モータ4の回転子に接続されており、回転子の磁極位置や回転数を示す回転検出信号aを制御回路ユニット6に送る。
【0023】
変流器(CT)8a,8bは、インバータ3から交流モータ4に供給しているU相,W相の電流を検出して、電流検出信号b,cを制御ユニット6に送る。なお、制御ユニット6には、バッテリ1からインバータ3に供給する直流電圧を示す、電圧信号Vdcも送られる。
【0024】
制御回路ユニット6は、出力トルク指令τoに対応したデューティー比を有するUVW相のPWM制御信号dをゲートドライブ回路9に送る。
【0025】
ゲートドライブ回路9は、PWM制御信号dに応じてパルス幅変調された相電流が交流モータ4に供給されるように、インバータ3の各スイッチング素子SW1〜SW6をON・OFF制御する。
【0026】
このようにして、出力トルク指令τoに対応したトルクが交流モータ4から出力される。
【0027】
なお、制御回路ユニット6は、電流検出信号b,cと回転検出信号aを用いて、交流モータ4の鎖交磁束が最大となるように、インバータ3から交流モータ4に供給される相電流の位相を制御している。
【0028】
<第1の実施の形態>
ここで、本発明の第1の実施の形態に用いるトルク指令部5について、演算機能を示す図2、演算フローを示す図3、指令値の状態を示す図4を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0029】
第1の実施の形態に用いるトルク指令部5では、図2に示すように、要求トルク指令演算機能51により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0030】
トルク値判定機能52では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート53に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをモータ回転数判定機能54にデータシフトする(図3のステップ1,ステップ6参照)。
【0031】
モータ回転数判定機能54では、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nと、予め設定した極低速モータ回転数Nminとを比較する。そして、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin以上である場合には、自動車が極低速走行状態になっていないと判定し、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値とし、値が最大トルクとなっている出力トルク指令τoを出力ポート53に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin未満である場合には、電気自動車が極低速走行状態になっていると判定し、最大トルクとなっている要求トルク指令τyをリミット演算機能55にデータシフトする(ステップ2,ステップ6参照)。
【0032】
なおモータ回転数判定機能54では、モータ回転数を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行っているが、車速センサを用いて車速を検出し、この車速を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行うようにしても良い。
【0033】
リミット演算機能55では、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ3〜6参照)。
【0034】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim1が経過するまでは、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、設定時間Tim1は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)の損失計算及び接合部温度の推定により、スイッチング素子の許容最高温度を越えないような時間としている。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim1が経過したら、要求トルク指令τyをトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため値がトルク制限値τLになった出力トルクτoが出力される。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼また、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nが、予め設定した極低速モータ回転数Nmin以上となったら、つまり、電気自動車が極低速走行状態から脱したら、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0035】
このように、リミット演算機能55は、図4(a)に示すようなリミット処理を行うため、出力トルク指令τoは図4(b)のように変化する。図4(b)のようにリミット処理された出力トルク指令τoは、ステップ状に変化する部分がクッション演算機能56により、、図4(c)に示すように時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート53に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、運転時の違和感が防止される。
【0036】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、ステップ3〜ステップ6に示すように、この時点から設定時間Tim1経過するまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、設定時間経過したら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令τy(最大トルク)の値をそのまま出力トルク指令τoの値にしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。
【0037】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間Tim1及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0038】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に用いるトルク指令部5について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と基本的には同様であるが、クッション演算機能が、一部異なっている。
【0039】
つまり、第2の実施の形態におけるクッション演算機能では、リミット処理演算機能から出力される出力トルクτoが、リミット開始のため最大トルクからトルク制限値τLにまでステップ状に立ち下がった場合には、図5(a)に示すように、時間の変化と共に比例的に変化(減少)させるように緩和処理をする。また、リミット解除のためトルク制限値から最大トルクまでステップ状に立ち上がった場合には、図5(b)に示すように、モータ回転数Nの上昇に比例して変化(増加)させるように緩和処理をする。
なお、他の部分の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0040】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に用いるトルク指令部105について、演算機能を示す図6、演算フローを示す図7を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0041】
第3の実施の形態に用いるトルク指令部105では、図6に示すように、要求トルク指令演算機能151により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0042】
トルク値判定機能152では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート153に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをモータ回転数判定機能154にデータシフトする(図7のステップ11,ステップ17参照)。
【0043】
モータ回転数判定機能154では、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nと、予め設定した極低速モータ回転数Nminとを比較する。そして、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin以上である場合には、自動車が極低速走行状態になっていないと判定し、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値とし、値が最大トルクとなっている出力トルク指令τoを出力ポート153に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin未満である場合には、電気自動車が極低速走行状態になっていると判定し、最大トルクとなっている要求トルク指令τyをリミット演算機能155にデータシフトする(ステップ12,ステップ17参照)。
【0044】
なおモータ回転数判定機能154では、モータ回転数を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行っているが、車速センサを用いて車速を検出し、この車速を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行うようにしても良い。
【0045】
リミット演算機能155では、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ13〜17参照)。
【0046】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim11が経過するまでは、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、設定時間Tim11は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)の損失計算及び接合部温度の推定により、スイッチング素子の許容最高温度を越えないような時間としている。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim11が経過したら、要求トルク指令τyを、設定時間Tim11から設定時間Tim12にかけて時間の勾配をつけて、最大トルクからトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため、時間Tim11からTim12の間では、出力トルク指令τoの値は、次式で表される値となる。
τo=100 −{( L−100)/(Tim12−Tim11)}( Tim−Tim11)
また設定時間Tim12以降は、出力トルクτoの値はトルク制限値τLとなる。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼また、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nが、予め設定した極低速モータ回転数Nmin以上となったら、つまり、電気自動車が極低速走行状態から脱したら、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0047】
このように、リミット演算機能155によりリミット処理された出力トルク指令τoは、クッション演算機能156により、リミット解除時にステップ状に変化する部分が、時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート153に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、リミット解除のときに急発進をすることを防止することができる。
【0048】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、ステップ13〜ステップ17に示すように、この時点から設定時間Tim11経過するまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、設定時間Tim11から設定時間Tim12の間では出力トルク指令τoの値を時間の勾配をつけて最大トルクからトルク制限値τLまで漸減させ、設定時間Tim12を経過したら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令τy(最大トルク)の値をそのまま出力トルク指令τoの値にしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。また、リミット解除時にクッション機能を持たせることにより、リミット解除時の急発進を防止することができる。
【0049】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間Tim11,Tim12及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0050】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態に用いるトルク指令部205について、演算機能を示す図8、演算フローを示す図9を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0051】
この第4の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子(IGBT)SW1〜SW6の破損は、連続して流れる電流の温度上昇が原因となるので、IGBTにサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyの値が最大トルクになった場合に、限界温度Temp2になるまではトルクリミットは行わず、温度上昇して限界温度Temp2を越えたらトルクリミットを行い、温度降下して復帰温度Temp1になったらトルクリミットを解除するように、リミット特性にヒステリシスを持たせたものである。以下に詳細を説明する。
【0052】
第4の実施の形態に用いるトルク指令部205では、図8に示すように、要求トルク指令演算機能251により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0053】
トルク値判定機能252では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート253に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能255にデータシフトする(図9のステップ21,ステップ25参照)。
【0054】
リミット演算機能255では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ22〜25参照)。
【0055】
即ち、
▲1▼スイッチング素子温度TempSWを監視しておき、スイッチング素子温度TempSWが限界温度Temp2になるまでは要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、限界温度Temp2は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)が熱破壊する限界温度よりも低い温度に設定している。
▲2▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度上昇して限界温度Temp2を越えたら、要求トルク指令τyをトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため値がトルク制限値τLになった出力トルクτoが出力される。このように出力トルクτoをトルク制限値τLにまで下げることにより、スイッチング素子温度TempSWは低下していく。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度降下して復帰温度Temp1になったら、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0056】
このように、リミット演算機能255にて、温度によるヒステリシス特性でもってリミット処理された出力トルク指令τoは、ステップ状に変化する部分が、クッション演算機能256により、時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート253に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、運転時の違和感が防止される。
【0057】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、ステップ22〜ステップ25に示すように、スイッチング素子温度TempSWが限界温度Temp2になるまではトルクリミットは行わず、温度上昇して限界温度Temp2を越えたらトルクリミットを行い、温度降下して復帰温度Temp1になったらトルクリミットを解除するようにしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。
【0058】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、復帰温度Temp1及び限界温度Temp2を設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を熱破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0059】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に用いるトルク指令部305について、演算機能を示す図10、演算フローを示す図11を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0060】
この第5の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子SW1〜SW6にサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、温度上昇にあわせてトルク制限を行うものである。以下に詳細を説明する。
【0061】
第5の実施の形態に用いるトルク指令部305では、図10に示すように、要求トルク指令演算機能351により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0062】
トルク値判定機能352では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート353に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能355にデータシフトする(図11のステップ31,ステップ36参照)。
【0063】
リミット演算機能355では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ32〜36参照)。
【0064】
即ち、
▲1▼スイッチング素子温度TempSWを監視しておき、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp11になるまでは要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、第1設定温度Temp11は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)に対して熱破壊をする恐れのない温度として設定している。
▲2▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度上昇して第1設定温度Temp11を越えたら、要求トルク指令τyを、第1設定温度Temp11から第2設定温度Temp12にかけて温度の勾配をつけて、最大トルクからトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため、第1設定温度Temp11から第2設定温度Temp12の間では、出力トルク指令τoの値は、次式で表される値となる。
τo=100 −{( τL −100)/(Temp12−Temp11) }(TempSW −Temp11)
▲3▼またスイッチング素子温度TempSWが更に温度上昇して第2設定温度Temp12を越えたら、出力トルクτoの値をトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。なお、第2設定温度Temp12は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)が熱破壊する限界温度よりも低い温度に設定している。
【0065】
このように、リミット演算機能355によりリミット処理された出力トルク指令τoは、出力ポート353に送られ、この出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。
【0066】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、ステップ32〜ステップ36に示すように、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp11になるまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、第1設定温度Temp11から第2設定温度Temp12の間では出力トルク指令τoの値を温度の勾配をつけて最大トルクからトルク制限値τLまで漸減させ、第2設定温度Temp12を越えたら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とする。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、スイッチング素子の温度が過大温度になることを防止しつつ、運転をすることができる。
【0067】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定温度Temp11,Temp12及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を熱破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0068】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態に用いるトルク指令部405について、演算機能を示す図12、演算フローを示す図13を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0069】
この第6の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子SW1〜SW6にサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなってからある設定時間まではトルクリミットを行わず、トルクリミットを実施後にスイッチング素子温度が設定温度以下になったらトルクリミットを解除するものである。以下に詳細を説明する。
【0070】
第6の実施の形態に用いるトルク指令部405では、図12に示すように、要求トルク指令演算機能451により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0071】
トルク値判定機能452では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート453に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能455にデータシフトする(図13のステップ41,ステップ45参照)。
【0072】
リミット演算機能455では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ42〜45参照)。
【0073】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時点から、設定時間t40が経過するまでは、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、設定時間t40は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)の損失計算及び接合部温度の推定により、スイッチング素子の許容最高温度を越えないような時間としている。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時点から、設定時間t40が経過したら、要求トルク指令τyをトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため値がトルク制限値τLになった出力トルクτoが出力される。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼また、スイッチング素子温度TempSWが設定温度Temp40未満になったら要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0074】
このように、リミット演算機能455によりリミット処理された出力トルク指令τoは、ステップ状に変化する部分がクッション演算機能456により時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート453に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、運転時の違和感が防止される。
【0075】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、ステップ42〜ステップ45に示すように、この時点から設定時間t40が経過するまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、設定時間t40を経過したら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とし、その後にスイッチング素子温度TempSWが設定温度Temp40未満になったら要求トルク指令τy(最大トルク)の値をそのまま出力トルク指令τoの値にしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。
【0076】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間t40及びトルク制限値τL並びに設定温度T40を設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0077】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態に用いるトルク指令部505について、演算機能を示す図14を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0078】
この第7の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子SW1〜SW6にサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、設定時間Tim50が経過するまではトルクリミットを行わず、設定時間Tim50が経過した後は、温度上昇にあわせてトルクリミットを行うものである。以下に詳細を説明する。
【0079】
第7の実施の形態に用いるトルク指令部505では、図14に示すように、要求トルク指令演算機能551により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0080】
トルク値判定機能552では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート553に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能555にデータシフトする。
【0081】
リミット演算機能555では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する。
【0082】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時から設定時間Tim50が経過するまでは、トルクリミットは行わず、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時から設定時間Tim50が経過した後は、スイッチング素子温度TempSWを監視しておき、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp51になるまでは要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、第1設定温度Temp51は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)に対して熱破壊をする恐れのない温度として設定している。
▲3▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度上昇して第1設定温度Temp51を越えたら、要求トルク指令τyを、第1設定温度Temp51から第2設定温度Temp52にかけて温度の勾配をつけて、最大トルクからトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため、第1設定温度Temp51から第2設定温度Temp52の間では、出力トルク指令τoの値は、次式で表される値となる。
τo=100 −{( τL −100)/(Temp52−Temp51) }(TempSW −Temp51)
▲4▼またスイッチング素子温度TempSWが更に温度上昇して第2設定温度Temp52を越えたら、出力トルクτoの値をトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。なお、第2設定温度Temp52は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)が熱破壊する限界温度よりも低い温度に設定している。
【0083】
このように、リミット演算機能555によりリミット処理された出力トルク指令τoは、出力ポート553に送られ、この出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。
【0084】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、設定時間Tim50が経過するまではトルクリミットを行わず、設定時間Tim50が経過した後は、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp51になるまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、第1設定温度Temp51から第2設定温度Temp52の間では出力トルク指令τoの値を温度の勾配をつけて最大トルクからトルク制限値τLまで漸減させ、第2設定温度Temp52を越えたら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とする。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、スイッチング素子の温度が過大温度になることを防止しつつ、運転をすることができる。
【0085】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間Tim50,設定温度Temp51,Temp52及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を熱破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0086】
【発明の効果】
以上実施の形態と共に具体的に説明したように、本発明では、極低速走行状態の場合に要求トルク指令の値が最大トルクとなった場合に、一定条件が成立するまでは出力トルク指令の値を最大トルクとしておき、その後に一定条件が成立したら出力トルク指令の値を低減するようにしているため、インバータの素子容量を上げることなく、坂道発進や段差乗り越え等の短時間で最大トルクを必要とする運転状況であっても運転をすることができ、しかも、インバータのスイッチング素子(IGBT)を破損することがなくなり信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気自動車の駆動回路を示す回路構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図4】本発明の第1の実施の形態における指令値の状態を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるクッション機能を示す説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図8】本発明の第4の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図10】本発明の第5の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図12】本発明の第6の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図13】本発明の第6の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図14】本発明の第7の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【符号の説明】
1 バッテリ
3 インバータ
4 交流モータ
5 トルク指令部
6 制御回路ユニット
9 ゲートドライブ回路
105,205,305,405,505 トルク指令部
【発明の属する技術分野】
本発明は電気自動車に関し、インバータのスイッチング素子に過大負荷をかけることなく、坂道発進や段差乗り越え等の運転ができるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
バッテリを電源としてモータを駆動することにより走行する電気自動車では、交流モータを使用することが多い。この交流モータの速度制御をするには、インバータが使用される。インバータは、IGBT等のパワー半導体でなるスイッチング素子をブリッジ回路接続して構成されており、スイッチング素子をON・OFF制御することにより、バッテリから出力された直流電圧を交流電圧に変換して、交流モータに供給する。
【0003】
このような電気自動車では、アクセルの踏み込み量に対応したトルク指令を演算し、このトルク指令に対応させてPWM制御によりインバータのスイッチング素子のON・OFF制御をしている。この結果、インバータからモータに供給する交流電圧の電圧値と周波数を制御して、トルク指令に応じてモータを回転駆動させている。
【0004】
このようにインバータにより交流モータ(特に永久磁石型同期モータ)の速度制御をする電気自動車では、モータが停止しているような極低速時の状態から最大トルクで始動すると、インバータのうち固定した相にのみ電流を流し続けることになり、特定のスイッチング素子(IGBT)に過大な負荷が集中する。この状態が長時間続くと、IGBTを破損する恐れがある。
【0005】
かかる状況によるIGBTの破損を防止するため、従来では次の様な対策を採っていた。従来の第1の対策では、IGBTの容量としてワンランク上の素子を用いていた。従来の第2の対策では、モータ回転が極低速域にある場合に、アクセル開度から演算したトルク指令の値が最大トルク値となっていても、トルク指令の値を制限する制御を行っていた(例えば、特許番号第2796711号「電気自動車」)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インバータの素子容量を上げることは、インバータの小型軽量化やコスト低減といった要請に悪影響を及ぼしてしまい問題である。
【0007】
また電気自動車において、モータの最大トルクを始動時(0rpm)といった極低速時から制限してしまうと、坂道発進や段差乗り越え等、短時間で最大トルクを必要とする場合に運転ができなくなってしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、インバータの素子容量を上げることなく、坂道発進や段差乗り越え等の短時間で最大トルクを必要とする運転状況であっても運転をすることができ、しかも、インバータのスイッチング素子(IGBT)を破損することもない電気自動車を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後に極低速走行状態でなくなったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0010】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0011】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を時間の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0012】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、スイッチング素子温度が限界温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が限界温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にスイッチング素子温度が低下してきて復帰温度になったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0013】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、スイッチング素子温度が第1設定温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第1設定温度とこの第1設定温度よりも高温の第2設定温度との間の温度であるときにはトルク指令の値を温度の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第2設定温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0014】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にスイッチング素子温度が設定温度未満になったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0015】
また本発明の構成は、バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したらその後は、スイッチング素子温度が第1設定温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第1設定温度とこの第1設定温度よりも高温の第2設定温度との間の温度であるときにはトルク指令の値を温度の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第2設定温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値にすることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
<電気自動車の駆動回路の全体構成>
まず初めに、本発明の実施の形態にかかる電気自動車の駆動回路について、全体説明をし、その後に本発明のポイントとなる技術を各実施の形態に分けて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる電気自動車の駆動回路を示す。同図に示すように、バッテリ1から出力された直流電圧は、大容量の平滑用コンデンサ2を介して、インバータ3に供給される。
【0019】
インバータ3は、IGBT等でなる6個のスイッチング素子SW1〜SW6をブリッジ回路接続して構成されている。なお、スイッチング素子SW1,SW2が1つのインバータモジュールとして構成され、スイッチング素子SW3,SW4が他の1つのインバータモジュールとして構成され、スイッチング素子SW5,SW6が更に他の1つのインバータモジュールとして構成されている。このインバータ3は、バッテリ1から供給された直流電流を交流電流に変換して、この交流電流を交流モータ4に供給する。
【0020】
交流モータ4は、例えば永久磁石型同期モータにより構成されており、交流電流が供給されることにより回転駆動する。この交流モータ4が回転駆動することにより、電気自動車が走行する。
【0021】
トルク指令部5は、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aを基に要求トルク指令を演算し、この要求トルク指令を基に出力トルク指令τoを求め、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。なお、トルク指令部5での演算手法については、後述する。
【0022】
回転検出センサ(パルスゼネレータ)7は交流モータ4の回転子に接続されており、回転子の磁極位置や回転数を示す回転検出信号aを制御回路ユニット6に送る。
【0023】
変流器(CT)8a,8bは、インバータ3から交流モータ4に供給しているU相,W相の電流を検出して、電流検出信号b,cを制御ユニット6に送る。なお、制御ユニット6には、バッテリ1からインバータ3に供給する直流電圧を示す、電圧信号Vdcも送られる。
【0024】
制御回路ユニット6は、出力トルク指令τoに対応したデューティー比を有するUVW相のPWM制御信号dをゲートドライブ回路9に送る。
【0025】
ゲートドライブ回路9は、PWM制御信号dに応じてパルス幅変調された相電流が交流モータ4に供給されるように、インバータ3の各スイッチング素子SW1〜SW6をON・OFF制御する。
【0026】
このようにして、出力トルク指令τoに対応したトルクが交流モータ4から出力される。
【0027】
なお、制御回路ユニット6は、電流検出信号b,cと回転検出信号aを用いて、交流モータ4の鎖交磁束が最大となるように、インバータ3から交流モータ4に供給される相電流の位相を制御している。
【0028】
<第1の実施の形態>
ここで、本発明の第1の実施の形態に用いるトルク指令部5について、演算機能を示す図2、演算フローを示す図3、指令値の状態を示す図4を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0029】
第1の実施の形態に用いるトルク指令部5では、図2に示すように、要求トルク指令演算機能51により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0030】
トルク値判定機能52では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート53に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをモータ回転数判定機能54にデータシフトする(図3のステップ1,ステップ6参照)。
【0031】
モータ回転数判定機能54では、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nと、予め設定した極低速モータ回転数Nminとを比較する。そして、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin以上である場合には、自動車が極低速走行状態になっていないと判定し、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値とし、値が最大トルクとなっている出力トルク指令τoを出力ポート53に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin未満である場合には、電気自動車が極低速走行状態になっていると判定し、最大トルクとなっている要求トルク指令τyをリミット演算機能55にデータシフトする(ステップ2,ステップ6参照)。
【0032】
なおモータ回転数判定機能54では、モータ回転数を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行っているが、車速センサを用いて車速を検出し、この車速を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行うようにしても良い。
【0033】
リミット演算機能55では、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ3〜6参照)。
【0034】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim1が経過するまでは、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、設定時間Tim1は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)の損失計算及び接合部温度の推定により、スイッチング素子の許容最高温度を越えないような時間としている。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim1が経過したら、要求トルク指令τyをトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため値がトルク制限値τLになった出力トルクτoが出力される。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼また、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nが、予め設定した極低速モータ回転数Nmin以上となったら、つまり、電気自動車が極低速走行状態から脱したら、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0035】
このように、リミット演算機能55は、図4(a)に示すようなリミット処理を行うため、出力トルク指令τoは図4(b)のように変化する。図4(b)のようにリミット処理された出力トルク指令τoは、ステップ状に変化する部分がクッション演算機能56により、、図4(c)に示すように時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート53に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、運転時の違和感が防止される。
【0036】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、ステップ3〜ステップ6に示すように、この時点から設定時間Tim1経過するまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、設定時間経過したら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令τy(最大トルク)の値をそのまま出力トルク指令τoの値にしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。
【0037】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間Tim1及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0038】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に用いるトルク指令部5について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と基本的には同様であるが、クッション演算機能が、一部異なっている。
【0039】
つまり、第2の実施の形態におけるクッション演算機能では、リミット処理演算機能から出力される出力トルクτoが、リミット開始のため最大トルクからトルク制限値τLにまでステップ状に立ち下がった場合には、図5(a)に示すように、時間の変化と共に比例的に変化(減少)させるように緩和処理をする。また、リミット解除のためトルク制限値から最大トルクまでステップ状に立ち上がった場合には、図5(b)に示すように、モータ回転数Nの上昇に比例して変化(増加)させるように緩和処理をする。
なお、他の部分の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0040】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に用いるトルク指令部105について、演算機能を示す図6、演算フローを示す図7を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0041】
第3の実施の形態に用いるトルク指令部105では、図6に示すように、要求トルク指令演算機能151により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0042】
トルク値判定機能152では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート153に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをモータ回転数判定機能154にデータシフトする(図7のステップ11,ステップ17参照)。
【0043】
モータ回転数判定機能154では、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nと、予め設定した極低速モータ回転数Nminとを比較する。そして、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin以上である場合には、自動車が極低速走行状態になっていないと判定し、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値とし、値が最大トルクとなっている出力トルク指令τoを出力ポート153に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、現在のモータ回転数Nが極低速モータ回転数Nmin未満である場合には、電気自動車が極低速走行状態になっていると判定し、最大トルクとなっている要求トルク指令τyをリミット演算機能155にデータシフトする(ステップ12,ステップ17参照)。
【0044】
なおモータ回転数判定機能154では、モータ回転数を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行っているが、車速センサを用いて車速を検出し、この車速を基に、電気自動車が極低速走行状態になっているかどうかを判定して演算処理を行うようにしても良い。
【0045】
リミット演算機能155では、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ13〜17参照)。
【0046】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim11が経過するまでは、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、設定時間Tim11は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)の損失計算及び接合部温度の推定により、スイッチング素子の許容最高温度を越えないような時間としている。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも電気自動車が極低速走行状態になった時点から、設定時間Tim11が経過したら、要求トルク指令τyを、設定時間Tim11から設定時間Tim12にかけて時間の勾配をつけて、最大トルクからトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため、時間Tim11からTim12の間では、出力トルク指令τoの値は、次式で表される値となる。
τo=100 −{( L−100)/(Tim12−Tim11)}( Tim−Tim11)
また設定時間Tim12以降は、出力トルクτoの値はトルク制限値τLとなる。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼また、回転検出信号aを基に現在のモータ回転数Nを求め、求めた現在のモータ回転数Nが、予め設定した極低速モータ回転数Nmin以上となったら、つまり、電気自動車が極低速走行状態から脱したら、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0047】
このように、リミット演算機能155によりリミット処理された出力トルク指令τoは、クッション演算機能156により、リミット解除時にステップ状に変化する部分が、時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート153に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、リミット解除のときに急発進をすることを防止することができる。
【0048】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、ステップ13〜ステップ17に示すように、この時点から設定時間Tim11経過するまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、設定時間Tim11から設定時間Tim12の間では出力トルク指令τoの値を時間の勾配をつけて最大トルクからトルク制限値τLまで漸減させ、設定時間Tim12を経過したら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令τy(最大トルク)の値をそのまま出力トルク指令τoの値にしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。また、リミット解除時にクッション機能を持たせることにより、リミット解除時の急発進を防止することができる。
【0049】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間Tim11,Tim12及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0050】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態に用いるトルク指令部205について、演算機能を示す図8、演算フローを示す図9を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0051】
この第4の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子(IGBT)SW1〜SW6の破損は、連続して流れる電流の温度上昇が原因となるので、IGBTにサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyの値が最大トルクになった場合に、限界温度Temp2になるまではトルクリミットは行わず、温度上昇して限界温度Temp2を越えたらトルクリミットを行い、温度降下して復帰温度Temp1になったらトルクリミットを解除するように、リミット特性にヒステリシスを持たせたものである。以下に詳細を説明する。
【0052】
第4の実施の形態に用いるトルク指令部205では、図8に示すように、要求トルク指令演算機能251により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0053】
トルク値判定機能252では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート253に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能255にデータシフトする(図9のステップ21,ステップ25参照)。
【0054】
リミット演算機能255では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ22〜25参照)。
【0055】
即ち、
▲1▼スイッチング素子温度TempSWを監視しておき、スイッチング素子温度TempSWが限界温度Temp2になるまでは要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、限界温度Temp2は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)が熱破壊する限界温度よりも低い温度に設定している。
▲2▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度上昇して限界温度Temp2を越えたら、要求トルク指令τyをトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため値がトルク制限値τLになった出力トルクτoが出力される。このように出力トルクτoをトルク制限値τLにまで下げることにより、スイッチング素子温度TempSWは低下していく。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度降下して復帰温度Temp1になったら、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0056】
このように、リミット演算機能255にて、温度によるヒステリシス特性でもってリミット処理された出力トルク指令τoは、ステップ状に変化する部分が、クッション演算機能256により、時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート253に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、運転時の違和感が防止される。
【0057】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、ステップ22〜ステップ25に示すように、スイッチング素子温度TempSWが限界温度Temp2になるまではトルクリミットは行わず、温度上昇して限界温度Temp2を越えたらトルクリミットを行い、温度降下して復帰温度Temp1になったらトルクリミットを解除するようにしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。
【0058】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、復帰温度Temp1及び限界温度Temp2を設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を熱破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0059】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に用いるトルク指令部305について、演算機能を示す図10、演算フローを示す図11を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0060】
この第5の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子SW1〜SW6にサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、温度上昇にあわせてトルク制限を行うものである。以下に詳細を説明する。
【0061】
第5の実施の形態に用いるトルク指令部305では、図10に示すように、要求トルク指令演算機能351により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0062】
トルク値判定機能352では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート353に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能355にデータシフトする(図11のステップ31,ステップ36参照)。
【0063】
リミット演算機能355では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ32〜36参照)。
【0064】
即ち、
▲1▼スイッチング素子温度TempSWを監視しておき、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp11になるまでは要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、第1設定温度Temp11は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)に対して熱破壊をする恐れのない温度として設定している。
▲2▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度上昇して第1設定温度Temp11を越えたら、要求トルク指令τyを、第1設定温度Temp11から第2設定温度Temp12にかけて温度の勾配をつけて、最大トルクからトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため、第1設定温度Temp11から第2設定温度Temp12の間では、出力トルク指令τoの値は、次式で表される値となる。
τo=100 −{( τL −100)/(Temp12−Temp11) }(TempSW −Temp11)
▲3▼またスイッチング素子温度TempSWが更に温度上昇して第2設定温度Temp12を越えたら、出力トルクτoの値をトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。なお、第2設定温度Temp12は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)が熱破壊する限界温度よりも低い温度に設定している。
【0065】
このように、リミット演算機能355によりリミット処理された出力トルク指令τoは、出力ポート353に送られ、この出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。
【0066】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、ステップ32〜ステップ36に示すように、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp11になるまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、第1設定温度Temp11から第2設定温度Temp12の間では出力トルク指令τoの値を温度の勾配をつけて最大トルクからトルク制限値τLまで漸減させ、第2設定温度Temp12を越えたら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とする。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、スイッチング素子の温度が過大温度になることを防止しつつ、運転をすることができる。
【0067】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定温度Temp11,Temp12及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を熱破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0068】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態に用いるトルク指令部405について、演算機能を示す図12、演算フローを示す図13を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0069】
この第6の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子SW1〜SW6にサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなってからある設定時間まではトルクリミットを行わず、トルクリミットを実施後にスイッチング素子温度が設定温度以下になったらトルクリミットを解除するものである。以下に詳細を説明する。
【0070】
第6の実施の形態に用いるトルク指令部405では、図12に示すように、要求トルク指令演算機能451により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0071】
トルク値判定機能452では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート453に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能455にデータシフトする(図13のステップ41,ステップ45参照)。
【0072】
リミット演算機能455では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する(ステップ42〜45参照)。
【0073】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時点から、設定時間t40が経過するまでは、要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、設定時間t40は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)の損失計算及び接合部温度の推定により、スイッチング素子の許容最高温度を越えないような時間としている。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時点から、設定時間t40が経過したら、要求トルク指令τyをトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため値がトルク制限値τLになった出力トルクτoが出力される。なお、トルク制限値τLは、運転を続けてもスイッチング素子の温度上昇が大きくならないようなレベルに設定している。
▲3▼また、スイッチング素子温度TempSWが設定温度Temp40未満になったら要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
【0074】
このように、リミット演算機能455によりリミット処理された出力トルク指令τoは、ステップ状に変化する部分がクッション演算機能456により時間の変化と共に比例的に変化するように緩和されて、出力ポート453に送られ、クッション処理された出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。このようなクッション処理をすることにより、運転時の違和感が防止される。
【0075】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、ステップ42〜ステップ45に示すように、この時点から設定時間t40が経過するまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、設定時間t40を経過したら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とし、その後にスイッチング素子温度TempSWが設定温度Temp40未満になったら要求トルク指令τy(最大トルク)の値をそのまま出力トルク指令τoの値にしている。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、運転をすることができる。
【0076】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間t40及びトルク制限値τL並びに設定温度T40を設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0077】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態に用いるトルク指令部505について、演算機能を示す図14を参照して、詳細に説明する。なお、電気自動車の駆動回路として、他の部分の構成は、図1に示すものと同一である。
【0078】
この第7の実施の形態では、インバータ3のスイッチング素子SW1〜SW6にサーミスタを取り付けて温度を監視し、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、設定時間Tim50が経過するまではトルクリミットを行わず、設定時間Tim50が経過した後は、温度上昇にあわせてトルクリミットを行うものである。以下に詳細を説明する。
【0079】
第7の実施の形態に用いるトルク指令部505では、図14に示すように、要求トルク指令演算機能551により、アクセルの踏み込み量を示すアクセル信号Aから、要求トルク指令τyを演算する。
【0080】
トルク値判定機能552では、要求トルク指令τyが最大トルクになっているかどうかを判定する。要求トルク指令τyが最大トルクではない時には、要求トルク指令τyの値をそのまま出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力ポート553に送り、この出力トルク指令τoを制御回路ユニット6に送る。一方、要求トルク指令τyが最大トルクとなっている時には、この要求トルク指令τyをリミット演算機能555にデータシフトする。
【0081】
リミット演算機能555では、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合に、最大トルクとなっている要求トルク指令τyに対して、つぎのようなリミット処理をして、出力トルク指令τoとして出力する。
【0082】
即ち、
▲1▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時から設定時間Tim50が経過するまでは、トルクリミットは行わず、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。
▲2▼要求トルク指令τyが最大トルクになった時から設定時間Tim50が経過した後は、スイッチング素子温度TempSWを監視しておき、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp51になるまでは要求トルク指令τyに対してリミットを掛けることなく、要求トルク指令τyの値(最大トルク)を出力トルク指令τoの値として、出力トルク指令τoを出力する。なお、第1設定温度Temp51は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)に対して熱破壊をする恐れのない温度として設定している。
▲3▼監視していたスイッチング素子温度TempSWが温度上昇して第1設定温度Temp51を越えたら、要求トルク指令τyを、第1設定温度Temp51から第2設定温度Temp52にかけて温度の勾配をつけて、最大トルクからトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。このため、第1設定温度Temp51から第2設定温度Temp52の間では、出力トルク指令τoの値は、次式で表される値となる。
τo=100 −{( τL −100)/(Temp52−Temp51) }(TempSW −Temp51)
▲4▼またスイッチング素子温度TempSWが更に温度上昇して第2設定温度Temp52を越えたら、出力トルクτoの値をトルク制限値τLにまで低減させるリミットを掛ける。なお、第2設定温度Temp52は、インバータ3のスイッチング素子(IGBT等)が熱破壊する限界温度よりも低い温度に設定している。
【0083】
このように、リミット演算機能555によりリミット処理された出力トルク指令τoは、出力ポート553に送られ、この出力トルク指令τoが制御回路ユニット6に送られる。
【0084】
結局、要求トルク指令τyが最大トルクになった場合には、設定時間Tim50が経過するまではトルクリミットを行わず、設定時間Tim50が経過した後は、スイッチング素子温度TempSWが第1設定温度Temp51になるまでは要求トルク指令τyの値(最大トルク)をそのまま出力トルク指令τoの値とし、第1設定温度Temp51から第2設定温度Temp52の間では出力トルク指令τoの値を温度の勾配をつけて最大トルクからトルク制限値τLまで漸減させ、第2設定温度Temp52を越えたら要求トルク指令τyの値を予め設定したトルク制限値τLまでリミットした値を出力トルク指令τoの値とする。このため、坂道発進や段差乗り越え等、極低速走行状態の場合に短時間で最大トルクを必要とする場合であっても、スイッチング素子の温度が過大温度になることを防止しつつ、運転をすることができる。
【0085】
また、インバータ3のスイッチング素子を損傷しないように、設定時間Tim50,設定温度Temp51,Temp52及びトルク制限値τLを設定しているため、極低速走行状態において最大トルクを出力しても、スイッチング素子を熱破損する恐れはなく、信頼性は高い。
【0086】
【発明の効果】
以上実施の形態と共に具体的に説明したように、本発明では、極低速走行状態の場合に要求トルク指令の値が最大トルクとなった場合に、一定条件が成立するまでは出力トルク指令の値を最大トルクとしておき、その後に一定条件が成立したら出力トルク指令の値を低減するようにしているため、インバータの素子容量を上げることなく、坂道発進や段差乗り越え等の短時間で最大トルクを必要とする運転状況であっても運転をすることができ、しかも、インバータのスイッチング素子(IGBT)を破損することがなくなり信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気自動車の駆動回路を示す回路構成図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図4】本発明の第1の実施の形態における指令値の状態を示す説明図。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるクッション機能を示す説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図8】本発明の第4の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図9】本発明の第4の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図10】本発明の第5の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図12】本発明の第6の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【図13】本発明の第6の実施の形態に用いるトルク指令部による演算フローを示すフローチャート。
【図14】本発明の第7の実施の形態に用いるトルク指令部の演算機能を示す説明図。
【符号の説明】
1 バッテリ
3 インバータ
4 交流モータ
5 トルク指令部
6 制御回路ユニット
9 ゲートドライブ回路
105,205,305,405,505 トルク指令部
Claims (7)
- バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後に極低速走行状態でなくなったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。 - バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。 - バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、要求トルク指令が最大トルクとなりしかも予め設定した極低速走行状態になった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を時間の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、その後にモータ回転数が予め設定した極低速モータ回転数を越えたら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。 - バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、スイッチング素子温度が限界温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が限界温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にスイッチング素子温度が低下してきて復帰温度になったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。 - バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、スイッチング素子温度が第1設定温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第1設定温度とこの第1設定温度よりも高温の第2設定温度との間の温度であるときにはトルク指令の値を温度の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第2設定温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。 - バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値とし、その後にスイッチング素子温度が設定温度未満になったら要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。 - バッテリと、このバッテリから供給された直流電流を交流電流に変換するインバータと、変換された交流電流が供給されて回転駆動する交流モータとを有すると共に、
アクセル踏み込み量を基に要求トルク指令を演算しこの要求トルク指令を基に出力トルク指令を求めるトルク指令部と、前記出力トルク指令に対応したPWM制御信号を求める制御回路ユニットと、前記PWM制御信号に応じて前記インバータの各スイッチング素子をON・OFF制御するドライブ回路とを備えた電気自動車において、
前記トルク指令部は、アクセル踏み込み量を示すアクセル信号を基に要求トルク指令を演算すると共に、前記インバータのスイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度を監視しており、要求トルク指令が最大トルクになった場合には、この時点から設定時間経過するまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、設定時間経過したらその後は、スイッチング素子温度が第1設定温度になるまでは要求トルク指令の値をそのまま出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第1設定温度とこの第1設定温度よりも高温の第2設定温度との間の温度であるときにはトルク指令の値を温度の勾配をつけて最大トルクから予め設定したトルク制限値まで低減させるリミットを掛けた値を出力トルク指令の値とし、スイッチング素子温度が第2設定温度を越えたら要求トルク指令の値を予め設定したトルク制限値までリミットした値を出力トルク指令の値にすることを特徴とする電気自動車。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008228510A (ja) * | 2007-03-15 | 2008-09-25 | Toyota Motor Corp | インバータ過熱警告装置付電動車両 |
US7774122B2 (en) | 2005-09-14 | 2010-08-10 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle controller |
WO2013089515A1 (ko) * | 2011-12-16 | 2013-06-20 | (주)브이이엔에스 | 전기자동차 및 그 제어방법 |
JP2017050920A (ja) * | 2015-08-31 | 2017-03-09 | 株式会社デンソー | 回転電機制御装置 |
JP2017093217A (ja) * | 2015-11-13 | 2017-05-25 | 株式会社デンソー | 回転電機制御装置 |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003182345A patent/JP2005020891A/ja active Pending
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