JP2005019674A - 電磁波シールド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電磁波シールドは、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体は各々の導電体の任意の点からリード線を経てグランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配されてなる構成とした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波電磁界を応用した機器に用いられる電磁波シールドに関する。
【0002】
【従来の技術】
高周波電磁界を応用した機器には、誘導加熱を利用した調理器、レーザープリンタ用の定着用部品、誘導磁界により誘起されるプラズマを利用した放電ランプ、或いは誘導磁界を利用した非接触でのエネルギーの授受を伴う通信器など多種多用な方面で利用されている。また、携帯電話を始め、コンピュータなどの情報端末では、無線による情報伝達が急増、駆動周波数の更なる高周波数化などにより、これら電子機器から副次的に放射される電磁波の影響が無視できないものとなってきており、これら不要な電磁波の放出を規制する不要輻射の規制は厳しいものとなってきている。
【0003】
高周波電磁界を応用した機器の中で電磁誘導を利用して、アンテナコイルを備えた非接触ICカード等と非接触で通信を行うRFIDシステムが脚光を浴びている。このシステムでは、通信に高周波磁束を利用するものであるが、通信用のアンテナを駆動する際に、高周波磁束以外に高周波電界も放出されることになる。高周波電界の強度は、電波法により規制が行われており、この法律を満足すべく例えば、アンテナの出力を下げるなどの措置が行われたが、この場合、通信距離が短くなるなどの問題が発生した。他の対策として、アンテナの周囲にシールド板を配置するなどが行われている。
【0004】
ここで、図13は従来の電磁波シールドの概略斜視図である。例えば、(特許文献1)によれば、図13に示すように電界シールドパターン21、給電パターンコイル22からなるシールドアンテナコイル23が開示されている。電界シールドパターン21は、給電パターンコイル22を覆うような幅からなり、磁束成分の放射の妨げになる渦電流の発生を防ぐために開ループとされ、給電パターンコイル22を覆うように配され、グランドとなるように図示されている。このような構成とすることで、通信に必要な磁束成分を確保しつつ、他の無線装置の通信妨害となる電界成分を減らすことができることが示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−326526号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の構成では電界は減らすことができるものの、通信で必要とされる近傍磁束の減衰も大きくなってしまい、通信距離が極端に短くなってしまうなどの問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するもので、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰させるための電磁波シールドを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の電磁波シールドは、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体は各々の導電体の任意の点からリード線を経てグランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配されてなる構成としたものである。
【0009】
本発明の電磁波シールドによれば、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さく出来るので、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる電磁波シールドの提供が可能となる。本発明の電磁波シールドを用いることで、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策が、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できるので、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に利用できるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体は各々の導電体の任意の点からリード線を経てグランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配されてなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さくできて、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる。
【0011】
請求項2記載の発明は、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体は、閉ループ構造を作らない様な電気的接続によりリード線を経てグランド接点に接続されてなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さくできて、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1,2において、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とは、支持体上に構成されてなる電磁波シールドであるから、電磁波シールドの製造が容易になる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3において、複数の導電体は、絶縁性材料で被覆されてなる電磁波シールドであるから、複数の導電体が互いに交差した場合でも導電体間での電気的絶縁性を保持できるので、電磁波シールドの製造が容易になる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1〜3において、複数の導電体は、絶縁性材料で被覆された複数の導電体を撚り合わせたリッツ線からなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と複数の導電体との磁気的結合を小さくできて、効率良く近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる。
【0015】
請求項6記載の発明は、複数の導電体と、グランドと接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体の任意の点からリード線を経てグランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配され、かつ複数の導電体は袋状に形成されてなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さくできて、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる、しかも高周波の電磁界発生部を覆うように取りつけることができるので、取り付け性が向上すると共に遠方電界の減衰も大きくできる。
【0016】
請求項7記載の発明は、複数の導電体と、グランドと接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体は、閉ループ構造を作らない様な電気的接続によりリード線を経てグランド接点に接続され、かつ複数の導電体は袋状に形成されてなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さくできて、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる、しかも高周波の電磁界発生部を覆うように取りつけることができるので、取り付け性が向上すると共に遠方電界の減衰も大きくできる。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項6,7において、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とは、支持体上に構成されてなる電磁波シールドであるから、電磁波シールドの製造が容易になる。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項6〜8において、複数の導電体は、絶縁性材料で被覆されてなる電磁波シールドであるから、複数の導電体が互いに交差した場合でも導電体間での電気的絶縁性を保持できるので、電磁波シールドの製造が容易になる。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項6〜8において、複数の導電体は、絶縁性材料で被覆された複数の導電体を撚り合わせたリッツ線からなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と複数の導電体との磁気的結合を小さくできて、効率良く近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる。
【0020】
請求項11記載の発明は、グランドと接続するためのグランド接点にリード線を介して接続された複数の導電体を備え、複数の導電体は各々の導電体の任意の点からリード線を経てグランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配され、複数の導電体は、網目状、或いは、格子状に形成されてなる電磁波シールドであり、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さくできて、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる、支持体への配置や高周波の電磁界発生部への取り付けを安定して行うことができる。
【0021】
請求項12記載の発明は、グランドと接続するためのグランド接点にリード線を介して接続された複数の導電体を備え、複数の導電体は閉ループ構造を作らない様な電気的接続によりリード線を経てグランド接点に接続され、複数の導電体は、網目状、或いは、格子状に形成されてなる電磁波シールド。支持体への配置や高周波の電磁界発生部への取り付けを安定して行うことができる。
【0022】
請求項13記載の発明は、請求項11,12において、少なくとも複数の導電体が交差する位置では、複数の導電体は互いに絶縁されている電磁波シールドであって、交差位置のみに絶縁性の材料を形成することによって、使用する導電体の材料の選択性が向上する。
【0023】
請求項14記載の発明は、請求項11,12において、複数の導電体は、絶縁性材料で被覆されてなる電磁波シールドであって、複数の導電体が互いに交差した場合でも導電体間での電気的絶縁性を保持できるので、電磁波シールドの製造が容易になる。
【0024】
請求項15記載の発明は、請求項11,12において、複数の導電体は、絶縁性材料で被覆された複数の導電体を撚り合わせたリッツ線からなる電磁波シールドであって、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と複数の導電体との磁気的結合を小さくできて、効率良く近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる。
【0025】
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照にしながら述べる。
【0026】
(実施の形態1)
本発明の一実施の形態として、図1に実施の形態1の電磁波シールドを示す。図1は本発明の実施の形態1における電磁波シールドを示す概略斜視図である。
【0027】
図1に示すように、電磁波シールド1は、複数の導電体2と、複数の導電体2を接地するためのグランド接点3と、複数の導電体2とグランド接点3とを接続するリード線4と、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4とを保持するための支持体5とから構成されている。そして、複数の導電体2の形状は網目状、或いは、格子状をなしている。なお、図中の黒丸印は、導電体2の間で電気的に接続されていることを示している。従って、複数の導電体2が交差している部分で、黒丸印の無い部分は、電気的な接続が無い互いに絶縁されている状態を示している。
【0028】
本実施の形態1では、複数の導電体2は、絶縁被覆6を施した複数の細線を撚り合わせてなる線、いわゆるリッツ線を用いた。ここで、図2は本発明の実施の形態1における導電体の断面図である。図2に示すように、用いたリッツ線は、絶縁被膜6と銅材7とから構成されている。
【0029】
また、図1に示したように、複数の導電体2であるリッツ線はそれぞれ1箇所で、グランド接点3につながるリード線4と、電気的に接触している。これは、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ、導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる事を示している。また、これは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しないことを意味する。複数の導電体2であるリッツ線とリード線4とは半田付けにより電気的な接触を得た。リード線4には複数の導電体2であるリッツ線との半田付けが容易な様に絶縁被覆なしの銅線を用いた。グランド接点3は、実機で使用する際に、実機のグランドと電気的接続を得るための接点である。グランド接点3は、実機のグランドと電気的な接続を取ることが出来れば良く、その方法には、機械的な接続による方法や、半田付けによる方法などがあり、その方法に応じた構成をとれば良いが、本実施の形態1では、半田付けでグランドと電気的な接触を得る方法を選定し、半田付けがやり易い金属板で構成した。複数の導電体2であるリッツ線とリード線4、及びグランド接点3は、樹脂基板からなる支持体5上に接着固定して本実施の形態1の電磁波シールドを形成した。
【0030】
(実施の形態2)
実施の形態1では、複数の導電体2にリッツ線を用いたが、実施の形態2では、実施の形態1と同程度の断面積を有する銅の単線を用いて電磁波シールド1を作成した。実施の形態1で図1に示した物とほぼ同じ形状の電磁波シールドで、複数の導電体2のみが異なっている。
【0031】
ここで、図3は本発明の実施の形態2における導電体の断面図である。図3に示すように、用いた単線は、絶縁被膜6と銅材7とから構成されている。
【0032】
実施の形態2の場合も実施の形態1の時と同様に、複数の導線2はそれぞれ1箇所でグランド接点3につながるリード線4と電気的に接触している。これは、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる事を示している。また、これは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しないことを意味する。複数の導電体2とリード線4とは半田付けにより電気的な接触を得た。リード線4には複数の導電体2の半田付けが容易な絶縁被覆なしの銅線を用いた。グランド接点3は、実機で使用する際に、実機のグランドと電気的接続を得るための接点である。グランド接点3は実機のグランドと電気的な接続を取ることが出来れば良く、その方法には、機械的な接続による方法や、半田付けによる方法などがあるが、本実施の形態2では、実施の形態1と同様の金属板で構成した。複数の導電体2とリード線4、グランド接点3は、樹脂性基板からなる支持体5上に接着固定して本実施の形態2の電磁波シールドを形成した。
【0033】
(比較例)
次に比較例の電磁波シールド1を図4に示す。図4は比較例の電磁波シールドを示す概略斜視図である。
【0034】
図4に示すように、比較例の電磁波シールド1は実施の形態1の電磁波シール1ドと同様に、複数の導電体2と、複数の導電体2を接地するためのグランド接点3と、複数の導電体2とグランド接点3とを接続するリード線4と、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4とを保持するための支持体5とから構成されている。なお、図中の黒丸印は、導電体間で電気的に接続されていることを示している。
【0035】
実施の形態1と同じように、複数の導電体2は、リッツ線を用い、リード線4には絶縁被覆なしの銅線を用いた。また、グランド接点3も実施の形態1と同様に半田付けでグランドと電気的な接触を得るための金属板で構成した。複数の導体2とリード線4、グランド接点3は、樹脂基板からなる支持体5上に接着固定して比較例の電磁波シールド1を形成した。
【0036】
実施の形態1では、複数の導電体2であるリッツ線は、それぞれ1箇所で、グランド接点3につながるリード線4と電気的に接触しているのに対して、比較例では、図示のように複数の導電体2であるリッツ線は、リッツ線相互の交差部分で電気的な接続を得るように構成されている。これは、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ、導電体2上をたどる場合の経路には、複数の経路がある事を示している。また、これは複数の導電体2の、各々又は個々で電気的に接続された閉ループを構成していることを意味する。なお電気的な接続は、半田付けで行った。
【0037】
(電磁波シールド特性評価試験)
次に実施の形態1と実施の形態2及び比較例の電磁波シールド特性について調べた。評価試験は次のようにして行った。評価試験装置の構成概略図を図5に示す。評価試験装置は、電磁波を放出させるための励磁コイル8、励磁コイル駆動用電源9、磁束強度計測器10、電界強度計測器11とから構成される。試験体である電磁波シールド1は、励磁コイル8と磁束強度計測器10との間の所定の位置に配置される。励磁コイル8を10MHzの周波数で駆動し、磁束強度と電界強度とを計測した。なお、電磁波シールド1を評価試験装置に取りつける際に、電磁波シールド1のグランド接点3は、評価試験装置のグランドと電気的接続を取った。実施の形態1と実施の形態2及び比較例の電磁波シールド1についての電磁波シールド特性を(表1)に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
(表1)から、実施の形態1では、比較例と比べ、近傍磁束の低減を抑えて遠方電界強度を低減できることを確認できる。これは、比較例では、複数の導電体2間で閉ループが構成されるために、励磁コイル8で誘導される近傍磁束と電磁波シールド1との磁気的結合により、複数の導電体2間で形成された閉ループの間で渦電流が発生するために、近傍磁束の減衰が大きくなったものと考えられる。本実施の形態1では、複数の導電体2は、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ、導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる構成、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない構成としたために、励磁コイル8で誘導される近傍磁束と電磁波シールド1との磁気的結合は抑制され、従って渦電流の発生も抑制され、近傍磁束の減衰は抑えられる。
【0040】
更に、実施の形態1では、複数の導電体2に細線の集合体からなるリッツ線を用いたために、導電体2内で誘導される渦電流の発生も抑制されるために、従って、例えば10MHzの高周波磁束の元でも導電体2と近傍磁束との磁気的結合は抑制され、近傍磁束の減衰を抑えることができる。また、遠方電界強度に関しては、導電体2をグランド電位とするために、比較例と同程度の減衰を達成することが出来るのである。
【0041】
このように、本実施の形態1では、近傍磁束の減衰を抑えて、遠方電界強度を低減できるので、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策が容易に出来るようになるとともに、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に使うことができるようになる。
【0042】
また、実施の形態2でも、(表1)から、比較例と比べて、近傍磁束を大きく低減させることなく遠方電界強度を低減できることを確認できる。
【0043】
これは、比較例では、複数の導電体2間で閉ループが構成されるために、励磁コイル8で誘導される近傍磁束と電磁波シールド1との磁気的結合により、複数の導電体2間で形成された閉ループの間で渦電流が発生するために、近傍磁束の減衰が大きくなったものと考えられる。本実施の形態2では、複数の導電体2は、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ、導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる構成、或いは複数の導電体2の各々又は個々で、電気的に接続された閉ループを形成しない構成としたために、励磁コイル8で誘導される近傍磁束と電磁波シールド1との磁気的結合は抑制され、従って渦電流の発生も抑制され、近傍磁束の減衰は抑えられるのである。
【0044】
一方、実施の形態1では、導電体2にリッツ線を用いたために、導電体2内で誘導される渦電流の発生も抑制され、近傍磁束の減衰を抑えることができたが、実施の形態2では、導電体2の断面積は実施の形態1とほぼ同じであるにもかかわらず、単線で線径が太くなったため、試験で用いた10MHzの周波数では近傍磁束と導電体との磁気的結合が発生し、したがって導電体2内に渦電流が誘導され、近傍磁束の減衰の程度が実施の形態1と比較して大きくなったのである。しかしながら、比較例と比べた場合、近傍磁束の減衰の程度は小さく、しかも遠方電界強度に関しては、導電体2をグランド電位とするために、比較例と同程度の減衰効果を得ることが出来るのである。
【0045】
従って、本実施の形態2でも、近傍磁束の減衰を抑えて、磁界強度を低減できるので、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策が容易に出来るようになるとともに、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に使うことができるようになる。
【0046】
最適な導電体2の断面積は、実施の形態1、2で示したように、遮蔽しようとする電磁波の周波数に応じて選択すれば良い。即ち、周波数が高い電磁波の場合は、導電体2の断面積は小さい方が望ましく、周波数が低い電磁波の場合、導電体2の断面積は特に小さくする必要性はない。しかしながら、周波数が高く導電体2の断面積を小さくした場合、遠方電界の遮蔽効果の劣化が認められるようになるが、この場合は本実施の形態1で示したように、断面積の小さな細線の集合体、いわゆるリッツ線を用いること、もしくは複数の導電体2の面積当たりの導電体2の本数を増すことで断面積を小さくした場合の遠方電界の遮蔽効果の劣化の問題は解決できる。すなわち、電磁波の周波数に応じて導電体2の断面積を決定し、遠方電界の遮蔽効果が最適となるように導電体2の面密度、或いはリッツ線の撚り線数を決めれば良いのである。
【0047】
なお、導電体であるリッツ線を構成する細線の断面形状、または単線の断面形状は、ほぼ円形のものを使用したが、断面形状は円形に限るものではない。ただ、電磁波シールドを構成する導電体と近傍磁束との鎖交面積が狭く、断面形状が等方的であれば、電磁波の入射方向に拠らずに磁束は減衰する事になる。電磁波シールドの設置場所によっては、電磁波の発生源から直接電磁波シールドに入射する電磁波の他に、発生源の周囲物の反射等を経て入射方する電磁波もでてくるようになる。周囲物の反射等を経て電磁波シールドに入射する電磁波の入射の方向は、全方向となるために、電磁波シールドを構成する導電体の断面形状は、等方的形状である方が望ましい。
【0048】
一方、導電体であるリッツ線を構成する細線の断面形状、または単線の断面形状が、扁平形状など等方的でない場合、電磁波の入射方向で近傍磁束の減衰の程度が変わることになる。導電体の断面形状が等方的ではない場合で、導電体の形状寸法を決める場合は、等方的ではない導電体の特に長軸方向の寸法を決める際に、遮蔽しようとする電磁波の周波数を考慮して、渦電流が発生し難い寸法とする必要がある。
【0049】
また、本実施の形態では、導電体2間の電気的絶縁性を得るための被覆材に絶縁性の被覆材を用いたが導電体2の被覆材の選択は、対象とする電磁波の周波数により最適な材料・構成とすれば良い。例えば、電磁波の周波数が高くなった場合、導電体2間での容量性結合により、導電体2間の絶縁性が小さくなる場合があるが、この様な場合は、導電体2間で電気的な絶縁性を維持できるような被覆材の厚みもしくは誘電率を選択すれば良い。
【0050】
なお、本実施の形態1、2では、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4を樹脂製の支持体5上に配置、接着固定して電磁波シールド1を形成したが、支持体5上への固定の方法は、接着に限るものではなく、例えば支持体5上に導電体2をからげ固定ができる、からげピンを設けておけば、複数の導電体2はこのからげピンに巻きつけ固定することで電磁波シール1ドを形成することができる。この際、複数の導電体2の配置は、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等問題はない。
【0051】
また、本実施の形態1、2では、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4とを樹脂製の支持体5上に配置、接着固定して電磁波シールド1を形成したがこれは、電磁波シールド1を取り扱い易くするために支持体上に配置、接着固定したのであり、電磁波シールドとしての特性への影響に関して支持体5は必ずしも必要なものではない。ここで、図6は本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図である。例えば、図6に模式的に示したように、実施の形態1と同様の、縦と横に導電体が交差するような導電体2の配置の場合、導電体を編んで構成しても、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等の問題はない。支持体5を有しない場合、リード線4とグランド接点3の取り扱いは、例えば複数の導電体2と共に編みこんで構成すれば良い。リード線4の機能は、複数の導電体2とグランド接点3とを電気的に接合する機能を有していれば良く、またグランド接点3は電磁波シールド1を取りつける実機のグランドと電磁波シールド1とのグランド接点3とを電気的に接合できれば良いのである。このような構成では、支持体5がないことから曲げ易く、電磁波発生部を覆い易くなる等の特徴を有する事になる。
【0052】
また、本実施の形態1、2では、縦と横に導電体2を配置して電磁波シールド1を構成したが、導電体2の配置は、縦と横に配置する必要性は無く、例えば、図7や図8に示したような構成でも構わない。図7、図8は本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図である。要は電磁波発生部から発生される電磁波の強度と所望のシールド特性に応じて導電体2を配置すれば良く、その際に複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等の問題はない。
【0053】
また、本実施の形態1、2では、複数の導電体2とグランド接点3とを接続するリード線4を電磁波シールド1の一方の辺側に配置したが、リード線4の配置はこれにこだわるものではない。例えば、電磁波シールド1の面積が広くなり、複数の導電体2の長さが長くなるような場合、複数の導電体2のリード線4と電気的に接触させた端と他方の端とのあいだで電位差が生じるようになる。この様な場合に、本実施の形態1、2のようにリード線4の電磁波シールド1の面上で非対称の位置に配置した場合、シールド特性、例えば遠方での遠方電界強度の非対称性が大きくなるようなことがある。このような場合は、電磁波シールド1のリード線4をほぼ対称な位置に配置すれば良い。この場合、導電体2の配置の方法は、例えば、図9、図10に示したような例が考えられるが、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等の問題はない。なお、リード線4自体も閉ループを形成しないように引き回しには注意を要する。また、図9、図10は本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図である。
【0054】
なお、例えば図9、図10に示したように、グランド接点3が電磁波シールド1に2ヶ所ある場合に、電磁波シールド1の対象の実機に設置して、実機のグランドと電磁波シールド1とのグランド接点3とを接続した場合、2ヶ所のグランド接点3は、実機を介して閉ループを形成するようになる。この場合も、本発明の電磁波シールド1上では、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置は保持され、電磁波シールド1と実機からの近傍磁束との磁気的結合は殆ど発生しない。しかしながら、2ヶ所のグランド接点が、実機を介して閉ループを形成するようになる場合は、実機から発生される近傍磁束が設置によって形成される閉ループと鎖交しないように注意して、電磁波シールド1のグランド接点3と実機のグランドとを接続する必要が有る。
【0055】
このように、本発明の電磁波シールドは、近傍磁束の減衰を抑えて、遠方電界強度を低減できるので、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策が容易に出来るようになるとともに、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に使うことができるようになる。
【0056】
(実施の形態3)
通常電磁波は3次元的に放出されるため、不要な電磁波を遮蔽しようとする場合、電磁波の発生源を3次元的に遮蔽しなければならない。本実施の形態3の電磁波シールド1は電磁波の発生源を覆うような構成とすることでこの問題点に対処するものである。
【0057】
実施の形態3の電磁波シールド1を図11に示す。図11は本発明の実施の形態3における電磁波シールドを示す概略斜視図である。そして、実施の形態3の電磁波シールド1は、複数の導電体2と、複数の導電体2を接地するためのグランド接点3と、複数の導電体2とグランド接点3とを接続するリード線4と、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4とを保持するための箱状の支持体5とから構成されている。なお、図中の黒丸印は、導電体2間で電気的に接続されていることを示している。従って、複数の導電体2が交差している部分で、黒丸印の無い部分は、電気的な接続が無い互いに絶縁されている状態を示している。
【0058】
本実施の形態3では、複数の導電体2は、絶縁被覆を施した複数の細線を撚り合わせてなる線、いわゆるリッツ線を用いた。リッツ線は、銅線から構成される。
【0059】
図11に示したように、複数の導電体2のリッツ線はそれぞれ1箇所で、グランド接点3につながるリード線4と電気的に接触している。これは、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体上をたどる場合の経路が一意に定まる事を示している。また、これは複数の導電体2の各々又は個々で、電気的に接続された閉ループを形成しないことを意味する。複数の導電体2のリッツ線とリード線4とは半田付けにより電気的な接触を得た。リード線4には複数の導電体2のリッツ線との半田付けが容易な絶縁被覆なしの銅線を用いた。グランド接点3は、実機で使用する際に、実機のグランドと電気的接続を得るための接点である。グランド接点3は実機のグランドと電気的な接続を取ることが出来れば良く、その方法には、機械的な接続による方法や、半田付けによる方法などがあり、その方法に応じた構成をとれば良いが、本実施の形態1では、半田付けでグランドと電気的な接触を得る方法を選定し、半田付けがやり易い金属板で構成した。複数の導電体2とリード線4、グランド接点3は、樹脂材からなる箱状支持体5上に接着固定して本実施の形態3の電磁波シールド1を形成した。
【0060】
(電磁波シールド特性評価試験)
次に実施の形態3の電磁波シールド特性について調べた。評価試験は次のようにして行った。評価試験の構成概略図は図5に示した通りである。評価試験装置は、電磁波を放出させるための励磁コイル8、励磁コイル駆動用電源9、磁束強度計測器10、電界強度計測器11とから構成される。試験体である電磁波シールド1は励磁コイル8磁束強度計測器10との間の所定の位置に配置される。励磁コイル8を10MHzの周波数で駆動し、磁束強度と電界強度とを計測した。なお、電磁波シールド1を評価試験装置に取りつける際に、電磁波シールド1のグランド接点3は、評価試験装置のグランドと電気的接続を取った。実施の形態3の電磁波シールド1についての電磁波シールド特性を(表2)に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
(表2)から、実施の形態3では、実施の形態1の場合と比べ、近傍磁束を大きく低減させることなく遠方電界強度を更に低減できることを確認できる。これは、実施の形態1では、平面的な電磁界の遮蔽であったのに対して実施の形態3では、励磁コイル8全体を覆うことになるために、従って、平面的な電磁波シールド1を回りこんで放射される電磁波成分も遮蔽されることになり、遠方電界強度は実施の形態1と比べて更に低減するのである。しかも、本実施の形態3では、複数の導電体2は、電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる様に構成しており、また、これは複数の導電体2同士で電気的に接続された閉ループを形成しない構成としたために、励磁コイル8で誘導される近傍磁束と電磁波シールド1との磁気的結合は抑制され、従って渦電流の発生も抑制され、近傍磁束の減衰は抑えられるのである。
【0063】
更に、実施の形態3では、複数の導電体2に細線の集合体からなるリッツ線を用いたために、導電体2内で誘導される渦電流の発生も抑制されるために、従って、例えば10MHzの高周波磁束の元でも導電体2と近傍磁束との磁気的結合は抑制され、近傍磁束の減衰を抑えることができる。
【0064】
このように、本実施の形態3では、近傍磁束の減衰を抑えて、遠方電界強度を低減できるので、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策が容易に出来るようになるとともに、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に使うことができるようになる。しかも実施の形態3は、電磁波シールドの形状が箱状であるために、電磁界の発生源を中に入れるだけで良く、設置が容易になる。
【0065】
なお、最適な導電体2の断面積は、実施の形態1で示したのと同じように実施の形態3でも、遮蔽しようとする電磁波の周波数に応じて選択すれば良い。即ち、周波数が高い電磁波の場合は、導電体2の断面積は小さい方が望ましく、周波数が低い電磁波の場合、導電体2の断面積は特に小さくする必要性はない。しかしながら、周波数が高く導電体2の断面積を小さくした場合、遠方電界の遮蔽効果の劣化が認められるようになるが、この場合は断面積の小さな細線の集合体、いわゆるリッツ線を用いること、もしくは複数の導電体2の面積当たりの導電体2の本数を増すことで断面積を小さくした場合の遠方電界の遮蔽効果の劣化の問題は解決できる。すなわち、電磁波の周波数に応じて導電体2の断面積を決定し、遠方電界の遮蔽効果が最適となるように導電体2の面密度、或いはリッツ線の撚り線数を決めれば良いのである。
【0066】
また、本実施の形態3では、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4を樹脂製の箱状の支持体5上に配置、接着固定して電磁波シールド1を形成したが、支持体5上への固定の方法は、接着に限るものではなく、例えば支持体5上に導電体2をからげ固定ができるからげピンを設けておけば、複数の導電体2はこのからげピンにからげ固定することで電磁波シールド1を形成することができる。
【0067】
この際、複数の導電体2の配置は、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等問題はない。
【0068】
また、本実施の形態3では、複数の導電体2とグランド接点3とリード線4を樹脂製の箱状の支持体5上に配置、接着固定して電磁波シールド1を形成したがこれは、電磁波シールド1を取り扱い易くするために箱状の支持体上に配置、接着固定したのであり、電磁波シールド1としての特性への影響に関して箱状の支持体5は必ずしも必要なものではない。
【0069】
ここで、図12は本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図である。例えば、図12に模式的に示したように、実施の形態3と同様の縦と横に導電体2が交差するような導電体2の配置の場合、導電体2を編んで構成しても、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等の問題はない。支持体を有しない場合、リード線4とグランド接点3の取り扱いは、例えば複数の導電体2と共に編みこんで構成すれば良い。リード線4の機能は、複数の導電体2とグランド接点3とを電気的に結合する機能を有していれば良く、またグランド接点3は電磁波シールド1を取りつける実機のグランドと電磁波シールド1とのグランド接点3とを電気的に接合できれば良いのである。このような構成では、支持体がないことから曲げ易く、電磁波発生部を覆い易くなる等の特徴を有する事になる。
【0070】
また、本実施の形態3では、縦と横に導電体2を配置して電磁波シールド1を構成したが、導電体2の配置は、縦と横に配置する必要性は無い。要は電磁波発生部から発生される電磁波の強度と所望のシールド特性に応じて導電体2を配置すれば良く、その際に複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等の問題はない。
【0071】
また、本実施の形態3では、複数の導電体2とグランド接点3とを接続するリード線4を電磁波シールド1の一方の辺側に配置したが、リード線4の配置はこれにこだわるものではない。例えば、電磁波シールド1の面積が広くなり、複数の導電体2の長さが長くなるような場合、複数の導電体2のリード線4と電気的に接触させた端と他方の端とのあいだで電位差が生じるようになる。この様な場合に、本実施の形態1、2のようにリード線4電磁波シールド1の面上で非対称の位置に配置した場合、シールド特性、例えば遠方電界強度の非対称性が大きくなるようなことがある。このような場合は、電磁波シールド1のリード線4をほぼ対称な位置に配置すれば良い。その際に、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置とすれば何等の問題はない。
【0072】
また、グランド接点3が電磁波シールド1に複数箇所ある場合に、電磁波シールド対象の実機に設置して、実機のグランドと電磁波シールド1とのグランド接点と3を接続した場合、複数箇所のグランド接点3は、実機を介して閉ループを形成するようになる。この場合も、本発明の電磁波シールド1上では、複数の導電体2を電気的に見た場合、複数の導電体2の何れにおいても、導電体2上の任意の点からグランド接点3へ導電体2上をたどる場合の経路が一意に定まる配置、或いは複数の導電体2の各々又は個々で電気的に接続された閉ループを形成しない配置は保持され、電磁波シールド1と実機からの近傍磁束との磁気的結合は殆ど発生しない。しかしながら、複数のグランド接点3が、実機を介して閉ループを形成するようになる場合は、実機から発生される近傍磁束が設置によって形成される閉ループと鎖交しないように注意して電磁波シールド1のグランド接点3と実機のグランドとを接続する必要が有る。
【0073】
このように、本発明の電磁波シールドは、近傍磁束の減衰を抑えて、遠方電界強度を低減できるので、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策が容易に出来るようになるとともに、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に使うことができるようになる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールドは、複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の導電体とグランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の導電体はリード線を介してグランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の導電体は各々の導電体の任意の点からリード線を経てグランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配されてなる電磁波シールドであるから、高周波の電磁波発生器から放出される電磁波の近傍磁束と電磁波シールドとの磁気的結合を小さく出来、近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰できる電磁波シールドの提供が可能となる。
【0075】
本発明の電磁波シールドを用いることで、主として近傍磁束をその動作に利用する高周波加熱器や、無電極放電ランプ、通信機器などの高周波応用機器の不要輻射対策を近傍磁束の減衰を抑制したまま遠方電界を減衰でき、高周波の電磁波発生器から発生される近傍磁束を有効に使うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における電磁波シールドを示す概略斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における導電体の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における導電体の断面図
【図4】比較例の電磁波シールドを示す概略斜視図
【図5】評価試験装置の構成概略図
【図6】本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図
【図7】本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図
【図8】本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図
【図9】本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図
【図10】本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図
【図11】本発明の実施の形態3における電磁波シールドを示す概略斜視図
【図12】本発明の実施の形態における電磁波シールドの他の形態を示す概略斜視図
【図13】従来の電磁波シールドの概略斜視図
【符号の説明】
1 電磁波シールド
2 導電体
3 グランド接点
4 リード線
5 支持体
6 絶縁被膜
7 銅材
8 励磁コイル
9 励磁コイル駆動用電源
10 磁束強度検出器
11 電界強度計測器
21 電界シールドパターン
22 給電パターンコイル
23 シールドアンテナコイル
Claims (15)
- 複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の前記導電体と前記グランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の前記導電体は前記リード線を介して前記グランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の前記導電体は各々の前記導電体の任意の点から前記リード線を経て前記グランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配されてなることを特徴とする電磁波シールド。
- 複数の導電体と、グランドに接続するためのグランド接点と、複数の前記導電体と前記グランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の前記導電体は前記リード線を介して前記グランド接点と電気的に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の前記導電体は、閉ループ構造を作らない様な電気的接続により前記リード線を経て前記グランド接点に接続されてなることを特徴とする電磁波シールド。
- 複数の前記導電体と、グランドに接続するための前記グランド接点と、複数の前記導電体と前記グランド接点とを接続する前記リード線とは、支持体上に構成されてなることを特徴とする請求項1,2の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 複数の前記導電体は、絶縁性材料で被覆されてなることを特徴とする請求項1〜3の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 複数の前記導電体は、絶縁性材料で被覆された複数の前記導電体を撚り合わせたリッツ線からなることを特徴とする請求項1〜3の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 複数の導電体と、グランドと接続するためのグランド接点と、複数の前記導電体と前記グランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の前記導電体は前記リード線を介して前記グランド接点に接続されて構成される電磁波シールドであって、前記複数の導電体の任意の点から前記リード線を経て前記グランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配され、かつ複数の前記導電体は袋状に形成されてなることを特徴とする電磁波シールド。
- 複数の導電体と、グランドと接続するためのグランド接点と、複数の前記導電体と前記グランド接点とを接続するリード線とを備え、複数の前記導電体は前記リード線を介して前記グランド接点に接続されて構成される電磁波シールドであって、複数の前記導電体は、閉ループ構造を作らない様な電気的接続により前記リード線を経て前記グランド接点に接続され、かつ複数の前記導電体は袋状に形成されてなることを特徴とする電磁波シールド。
- 複数の前記導電体と、グランドに接続するための前記グランド接点と、複数の前記導電体と前記グランド接点とを接続する前記リード線とは、支持体上に構成されてなることを特徴とする請求項6,7の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 複数の前記導電体は、絶縁性材料で被覆されてなることを特徴とする請求項6〜8の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 複数の前記導電体は、絶縁性材料で被覆された複数の前記導電体を撚り合わせたリッツ線からなることを特徴とする請求項6〜8の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- グランドと接続するためのグランド接点にリード線を介して接続された複数の導電体を備え、前記複数の導電体は各々の導電体の任意の点から前記リード線を経て前記グランド接点へ至る経路が一意的に定まる様に配され、前記複数の導電体は、網目状、或いは、格子状に形成されてなることを特徴とする電磁波シールド。
- グランドと接続するためのグランド接点にリード線を介して接続された複数の導電体を備え、前記複数の導電体は閉ループ構造を作らない様な電気的接続により前記リード線を経て前記グランド接点に接続され、前記複数の導電体は、網目状、或いは、格子状に形成されてなることを特徴とする電磁波シールド。
- 少なくとも前記複数の導電体が交差する位置では、前記複数の導電体は互いに絶縁されていることを特徴とする請求項11,12の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 前記複数の導電体は、絶縁性材料で被覆されてなることを特徴とする請求項11,12の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
- 前記複数の導電体は、絶縁性材料で被覆された複数の導電体を撚り合わせたリッツ線からなることを特徴とする請求項11,12の内いずれか1項に記載の電磁波シールド。
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090818 |