JP4667292B2 - 電子機器用シールドケース - Google Patents
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Description
上記の規制値を超える放射ノイズの対策の一つとして、導電性のシールドケース内に電子部品を収納することによって電磁波シールドを施す手法がとられている。
また、特許文献2および特許文献3では、シールドケースの開口部分若しくは開口部近傍に磁性材料を配置することで、開口部およびその周辺から外部へ発生する放射ノイズを抑制する技術が開示されている。
特許文献2及び3に関しても、開口部の近傍部分にシールドケースの材料とは異なる磁性材料を設けるため、上記と同様に製造工数およびコストが増加すると考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コストがかからず簡素な構造にて開口部からの放射ノイズを効果的に抑制できるシールドケースを提供する。
このようにすれば、ケーブルよりも断面積の大きいコネクタなどを開口部に通す際に、導電部材をケース本体の内面側に揺動させて開口部の本来の開口面積を確保することができる。つまり、断面積が開口部の開口面積以内である各種部品を開口部に通すことができる。一方、開口面積に余裕を生むことができる例えばケーブルを開口部に通す場合は、導電部材の突出方向をケース本体の内面に対して直角に近づけることで、EMC(Electromagnetic Compatibility)対策を有効にすることができる。
図1は背面に開口部2を有する本発明のシールドケースの実施形態1を示す斜視図であり、図2(a)および(b)は図1のシールドケースの側断面図および下方から見た横断面図である。図1および2において、座標系はxyzの直角座標系を用いている。この場合、シールドケースのケース本体1の形状は直方体であり、各辺の長さの関係はy方向>x方向>z方向である。また、開口部2は、ケース本体1の背面(yz平面)に、y方向の辺が長辺となりz方向の辺が短辺となる長方形に形成されている。このとき、開口部2は中心がケース本体1の開口部2を有する背面の中心と一致するように配置されている。また、ケース本体1の内面における開口部2の一方の長辺と他方の長辺とを電気的に接続する導電部材3が、開口部2の両端寄りに一対配置されている。この導電部材3は、開口を有する線状四角形(コの字形)に形成されており、両端がケース本体1の内面に電気的に接続され、ケース本体1の内面に対して垂直方向に突出している。なお、図1および2において、矢符Eはケース本体1の背面を流れる誘起電流を示している。
図3は背面に開口部2を有する本発明のシールドケースの実施形態2を示す斜視図であり、図4(a)、(b)は図3のシールドケースにおける導電部材取付部位を示す側断面図および下方から見た横断面図である。なお、実施形態2において、実施形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態2のシールドケースは、ケース本体1は実施形態1と同様であり、導電部材13のケース本体1への取付構造が実施形態1とは異なる。以下、実施形態2の実施形態1とは異なる点を主として説明する。
このシールドケースにおいて、外部への放射ノイズの抑制対策を有効にする場合には、実施形態1のように導電部材13および開口部2で囲まれた面領域とケース本体1の内面とが角度(好ましくは直角)を持つ位置に導電部材13を揺動させればよく、一方開口部2からケーブル等の出し入れをする場合には、導電部材13を開口部2の端部の方へ揺動させて開口部2の有効開口面積を広げることができる。この場合、導電部材13および接続部材14、14を結ぶ直線で囲まれる面積を、接続部材14、14を結ぶ直線から端部側の開口部2の開口面積と同じかそれ以上になるように導電部材13を構成することにより、換言すれば、導電部材13のケース内方への突出寸法を、接続部材14から開口部2の端部までの距離と同じかそれ以上となるように導電部材13を構成することにより、断面積が開口部2の面積と同じかそれ以下であるケーブルやコネクタ等の部品の出し入れが可能となる。
なお、導電部材は必ずしも2つ設置する必要はなく、1つとしてもよい。この場合、導電部材を2つ設置した場合に比較して若干放射ノイズ抑制効果は下がるが、全く導電部材が無い場合よりは効果が得られる。
また、開口部の長手方向の両端部間であれば、導電部材の取付位置はどこであっても放射ノイズ抑制効果が得られ、仮に端部に導電部材を取り付けた場合でも効果は得られるが、端部と開口部中心との間に取り付けた方が放射ノイズの抑制効果は高い。
導電部材の形状に関しては、導電部材を流れる誘起電流の経路がケース本体の内面よりも内方に位置させることが必要である。例えば、直線状あるいは直方体形状の導電部材をケース本体の内面に取り付けた場合において、導電部材はケース本体の内側に位置しているが、電流の最短経路で考えると、ケース本体の内面と導電部材の開口部側の面とが同一平面上にあるために電流の経路の変化が少ないため、本発明の効果はあまり得られない。このような場合も考慮に入れると、導電部材における平面的に見て開口部と重なる部分の少なくとも一部が、ケース本体の内面よりも内方に位置している必要がある。
図1で説明したシールドケースを以下の寸法、材料で作製した。
ケース本体1は、厚さ1mmの銅板を用い、x方向の辺を200mm、y方向の辺を75mm、z方向の辺を75mmとして作製された。また、開口部2は長辺が160mm、短辺が5mmである。各導電部材3は、直径1.0mmの銅線を用い、高さ5mm、奥行き10mmの開口を有する長方形に形成され、各導電部材3の接続箇所は開口部2の短辺から中心に向かって5mmの位置でそれぞれケース本体1の内面にはんだにて接続された。
本発明の実施例1に対する比較例1として、導電部材を有しないシールドケースを用意した。
図5(a)、(b)ともに1GHz付近で電界強度が最大となっているが、これは開口部2の長辺の長さ150mmがちょうど半波長となる周波数において共振が発生しているためである。両者の電界強度の最大値を比較すると、実施例では−15.6dBV/m、比較例1では−13.4dBV/mであり、実施例1の方が約2dB電界強度が低いことがわかった。
図6の結果から、開口部2の端部における電流値は比較例1に比べて実施例1の方が低くなっていることがわかり、これは実施例1では開口部2の端部に回り込む誘起電流の一部が導電部材3に分流したことによると考えられる。また、これらの結果から、本発明により外部への放射ノイズが抑制できることがわかる。
2 開口部
3、13 導電部材
14 筒状接続部材
E 誘起電流
Claims (8)
- 開口部を有し、電子部品を収納して該電子部品からの放射ノイズを遮蔽するための導電性ケース本体と、このケース本体の内部に設けられ、ケース本体に電気的に接続された導電部材とを備え、
前記導電部材は、前記放射ノイズによってケース本体に発生して前記開口部の縁に沿って流れる誘起電流の一部を分流させて開口部周囲の電流密度を低減するよう、前記ケース本体の開口部を有する内面から内方へ突出し、かつ開口部を跨ぐ形状であると共に、開口部近傍に接続されたことを特徴とする電子機器用シールドケース。 - 前記開口部は、一方向に長い形状であり、
前記導電材料は、前記ケース本体の内面における開口部近傍の2箇所に接続され、
前記2つの接続箇所部を結ぶ線の方向が、前記一方向と交わるように開口部を横断する方向である請求項1に記載の電子機器用シールドケース。 - 前記導電部材は、前記ケース本体の開口部側に開口する線状四角形、線状三角形、線状U字形または線状C字形である請求項1または2に記載の電子機器用シールドケース。
- 前記導電部材は、ケース本体の開口部を有する内面に対して垂直方向に突出する請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子機器用シールドケース。
- 前記導電部材は、開口部の中心と、開口部の長手方向両端側の短辺のうちの少なくとも一方との間に配置されている請求項2〜4のいずれか1つに記載の電子機器用シールドケース。
- 前記導電部材が、開口部の長手方向両端側の短辺近傍位置に2つ以上設けられた請求項5に記載の電子機器用シールドケース。
- 前記導電部材をケース本体に電気的に接続する一対の筒状接続部材をさらに備え、
前記導電部材は、両端が同一軸心上となるように線状部材を折り曲げて形成されると共に、折り曲げられた前記両端が前記筒状接続部材に揺動可能に保持された請求項2〜6のいずれか1つに記載の電子機器用シールドケース。 - 前記導電部材は、開口部の長辺と直交する方向の軸心廻りに揺動可能に設けられることにより、前記ケース本体の開口部を有する内面に対して内方へ突出する第1状態と、第1状態から揺動して開口部を横断しないように開口部の短辺外側の前記内面に沿った第2状態に切り替え可能に構成された請求項7に記載の電子機器用シールドケース。
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