JP2005019331A - 燃料電池システム - Google Patents

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Masaya Watanabe
昌哉 渡辺
Shoji Kitanoya
昇治 北野谷
Hideki Ishikawa
秀樹 石川
Norihiko Nadanami
紀彦 灘浪
Takaharu Inoue
隆治 井上
Noboru Ishida
昇 石田
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NGK Spark Plug Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

【課題】燃料ガスの無駄な消費を無くし、確実にガスパージを行うことができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】この燃料電池(1)には、排出ガスを再循環するために循環流路(13)が設けられている。循環流路(13)の途中には、大気側に開放されたガスパージ流路(17)が分岐接続されており、ガスパージ流路(17)には、その流路(17)を開閉して大気側に排出する排出ガスの量を調節するパージ流路弁(21)が配置されている。また、循環流路(13)のうち、分岐点(19)から混合点(15)までの循環主流路(23)には、その流路(23)を開閉して再循環する排出ガスの量を調節する循環流路弁(25)が配置されている。更に、混合流路(29)には電流検知式センサ(31)が配置され、この電流検知式センサ(31)の出力に基づいて、パージ流路弁(21)及び循環流路弁(25)の開閉状態が制御されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池から排出される排出ガスを再循環する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境・自然保護などの社会的要求から、高効率でクリーンなエネルギー源として、燃料電池の研究が活発に行われている。その中で、低温作動、高出力密度等の利点により、自動車用や家庭用等のエネルギー源として、固体高分子型燃料電池(PEFC)が期待されている。
【0003】
この燃料電池を用いたシステムにおいては、燃料ガスとして、純水素ガスだけでなく、天然ガス、メタノール等を改質して得られる改質ガスの使用が考えられる。また、これらの燃料ガスの使用効率を向上させるための一般的な手段としては、燃料極側の排出ガス(消費されなかった排水素)を燃料として再循環する方法が挙げられる。
【0004】
この種の技術として、例えば特許文献1には、排出ガス循環流路の途中に、大気側に開放したガスパージ流路を分岐配管し、再循環する排出ガスの一部をガスパージ流路を通じて系外に放出する技術が開示されている。この技術は、再循環によって燃料ガス中の不純物が濃縮されることによる発電効率の低下を抑制し、燃料電池を長期間安定した性能で運転できるようにするものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−22714号公報 (第2頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術では、ガスパージ流路を利用した排出ガスのパージを、どのタイミングにおいてどの様に行うか等について何等記載がなく、燃料ガスである水素を無駄に消費してしまう恐れがある。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、燃料ガスの無駄な消費を無くし、確実にガスパージを行うことができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、燃料電池の燃料極側から排出される排出ガスを再循環し、新たに供給された燃料ガスと混合させた後に、前記燃料電池の燃料極側に供給するとともに、前記再循環する排出ガスの一部又は全部を前記再循環の系外に放出するパージを行う燃料電池システムにおいて、前記排出ガスの再循環を行う循環流路内に配置され、循環流路内のガスの成分(例えば水素濃度やその他の不純物の濃度)によって生じる電流を検知する電流検知式センサと、前記電流検知式センサの検知内容に対応した出力に基づいて、前記燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスの再循環の状態及び/又はパージの状態の制御を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする燃料電池システムを要旨とする。
【0009】
本発明では、排出ガスの再循環の経路(循環流路)に配置された電流検知式センサの出力(例えば水素濃度に応じた出力、或いは水素及び水蒸気以外の他のガスに応じた出力)に応じて、排出ガスの再循環の状態やパージの状態の制御の両方又は一方の制御を行うので、燃料電池の燃料極側に供給する燃料ガス中の(燃料電池の作動に不要な)不純物が、再循環により濃縮されることを防止できる。
【0010】
例えば、燃料極から排出される排出ガス中に、燃料ガスとして必要なガス(例えば水素)以外の不要なガス成分(窒素等の不純物)が増加した場合には、例えば排出ガスを系外に放出するパージを開始したり、そのパージ量(ガスパージ流量)を増加する等の制御を行うことにより、燃料ガス中の不純物が濃縮されることを防止できる。
【0011】
また、例えば、燃料極から排出される排出ガス中に、不純物が増加した場合には、例えば排出ガスの再循環を禁止したり、その再循環する排出ガス量(再循環ガス流量)を減少する等の制御を行うことにより、燃料ガス中の不純物が濃縮されることを防止できる。
【0012】
尚、再循環の状態及びパージの状態の制御を共に行うことが一層好ましい。
また、前記電流検知式センサは、ガス組成(例えば水素濃度)に起因する電流を検出するものであるが、その検出した電流値を電圧に変換して電圧出力とするものも、当然本発明の範囲である。
【0013】
(2)請求項2の発明は、前記燃料電池の燃料極側から排出される排出ガスを再循環して、新たに供給された燃料ガスと混合させた後に、前記燃料電池の燃料極側に供給する循環流路(即ち、燃料電池の燃料極の出口側から該燃料極の入口側に至る循環流路)と、前記循環流路の前記燃料ガスの混合前における途中にて、前記再循環する排出ガスの一部又は全部を前記再循環の系外に放出するために分岐させたガスパージ流路と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0014】
本発明は、排出ガスの再循環を行う流路と排出ガスのパージを行う流路を例示したものである。
従って、前記電流検知式センサの出力に応じて、例えば排出ガス中に不純物が増加した場合には、例えばガスパージ流路による排出ガスのパージを開始したり、そのパージ流量を増加する制御を行うことができ、また、 例えば循環流路による排出ガスの再循環を禁止したり、その再循環する排出ガス量を低減する制御を行うことができる。
【0015】
尚、ガスパージ流路及び循環流路に対する制御を共に行うことが一層好ましい。
(3)請求項3の発明は、前記電流検知式センサを、前記循環流路における新たな燃料ガスとの混合点から前記燃料電池の燃料極側の入口との間の混合流路に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0016】
本発明は、電流検知式センサの配置を例示したものである。本発明では、電流検知式センサは、循環流路の新たな燃料ガスとの混合点から燃料電池の燃料極側の入口との間の混合流路に配置されているので、燃料極に流入する燃料ガスの状態を正確に把握することができる。
【0017】
従って、このセンサ出力に基づいて、例えば排出ガスの再循環の制御(再循環の許可や禁止、或いは再循環の排出ガス量の制御)を行うことにより、燃料ガス中の水素濃度や燃料ガスの流量が変化した場合でも、燃料電池に(その組成や流量が)安定した燃料ガスを供給することができる。
【0018】
(4)請求項4の発明は、前記電流検知式センサを、前記循環流路における前記燃料電池の燃料極側の排出ガスの出口と前記ガスパージ流路の分岐点との間の排出流路に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0019】
本発明は、電流検知式センサの配置を例示したものである。本発明では、電流検知式センサは、燃料電池の燃料極側の排出ガスの出口とガスパージ流路の分岐点との間の排出流路に配置されているので、燃料極から排出される排出ガスの状態を正確に把握することができる。
【0020】
つまり、排出ガス中では、燃料電池に供給された燃料ガスに比べて、水素濃度は燃料電池で消費された分だけ低減している。また、水素濃度を検出することは排出ガス中の不純物を検出することを意味するので、この様な排出ガス中で水素濃度を検出することにより、排出ガス中の不純物濃度を精度良く検出することができる。よって、このセンサ出力に基づいて、精度の良い再循環やパージの制御を行うことができる。
【0021】
また、本発明では、不純物濃度が増加した状態をすぐに検出できるため、不純物が増加した排出ガスが燃料電池に到達する前に、再循環やパージの制御を行うことができ、一層好適な制御が可能である。
(5)請求項5の発明は、第1の前記電流検知式センサを、前記循環流路の新たな燃料ガスとの混合点から前記燃料電池の燃料極側の入口との間の混合流路に配置するとともに、第2の前記電流検知式センサを、前記燃料電池の燃料極側の排出ガスの出口と前記ガスパージ流路の分岐点との間の排出流路に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0022】
本発明は、電流検知式センサの配置を例示したものである。本発明では、(前記請求項3に対応する)第1の電流検知式センサを混合流路に配置するとともに、(前記請求項4に対応する)第2の電流検知式センサを排出流路に配置したものである。
【0023】
これにより、燃料電池の入口と出口におけるガス組成(例えば水素濃度)を検知することができるため、精度良く且つタイミング良く、再循環やパージの制御を行うことができる。
(6)請求項6の発明は、前記電流検知式センサは、プロトンによって生成する電流を検知するセンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0024】
本発明は、電流検知式センサを例示したものである。本発明は、プロトンによって生成する電流を検知するセンサであるので、排出ガスや燃料ガス(例えば新規の燃料ガスに排出ガスが混合された混合ガス)中の水素濃度(従って不純物濃度)に応じた出力を得ることができる。
【0025】
(7)請求項7の発明は、前記電流検知式センサは、水を伴ってプロトンを伝導する伝導体を用いたセンサであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
本発明は、電流検知式センサを例示したものである。本発明は、水を伴って伝導するプロトンによって生成する電流を検知するセンサであるので、排出ガスや燃料ガス中の水素濃度(従って不純物濃度)に応じた出力を得ることができる。
【0026】
(8)請求項8の発明は、前記電流検知式センサは、前記ガスの成分が、水素及び水蒸気から構成される純ガスの場合と、水素、水蒸気、及びその他のガスから構成される不純ガスの場合とで、所定以上の大きな出力差を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0027】
本発明は、電流検知式センサを例示したものである。本発明では、電流検知式センサは、ガス成分が純ガスの場合と不純ガスの場合とで大きな出力差を有するので、例えば燃料ガス(ここでは再循環され排出ガスが混合された混合ガス)中に、窒素等の不純物が存在した場合には、センサ出力が大きく変化する(例えば大きく低下する)ため、的確に純ガス以外の不純物の混入を検知できる。
【0028】
尚、所定の以上の大きな出力差としては、例えば10mA以上の出力差が挙げられる。
(9)請求項9の発明は、前記電流検知式センサは、水素、水蒸気、及びその他のガスから構成される不純ガス中の水素濃度に対応した出力を発生することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0029】
本発明は、電流検知式センサを例示したものである。本発明では、電流検知式センサは、不純ガス中の水素濃度に対応した(例えば比例した)出力を発生するので、検出した水素濃度(従って不純物濃度)に対応して、的確に再循環やパージの制御を行うことができる。
【0030】
(10)請求項10の発明は、前記電流検知式センサは、高分子電解質からなりプロトンを伝導するプロトン伝導層と、被測定ガスの拡散を律速する拡散律速部と、前記拡散律速部を介して前記被測定ガス雰囲気に連通する測定室と、前記測定室内にて前記プロトン伝導層の表面に接する第1電極と、前記測定室外にて前記プロトン伝導層の表面に接する第2電極と、を有し、前記被測定ガス(ここでは燃料ガス又は排出ガス)雰囲気側から前記拡散律速部を介して前記測定室に導入された被測定ガス中の水素ガスを、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することにより、解離又は分解もしくは反応させ、それによって発生したプロトンを、前記プロトン伝導層を介して前記第1電極から前記第2電極へ汲み出すことにより生じる電流(例えば限界電流)に対応して出力するセンサであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0031】
本発明は、電流検知式センサを例示したものである。このセンサは、水を伴ってプロトンを伝導するいわゆるプロトン伝導層を利用したセンサであり、排出ガスや燃料ガス中の水素濃度に応じた出力を得ることができる。従って、本発明の電流検知式センサを用いることにより、排出ガスや燃料ガス中の水素濃度(従って不純物濃度)に応じた出力を得ることができる。
【0032】
このセンサにおいては、混合ガスが水素と水蒸気の場合、全てのガスを汲み出すことになり、測定室内の圧力が下がり、圧力拡散に基づいた電流出力が得られる。一方、混合ガスが水素、水蒸気とそれ以外のガスから構成された場合、それ以外のガスは汲み出されないので、測定室内は汲み残したガス成分で満たされることになり、圧力拡散は生じず濃度拡散に基づく電流出力が得られることになる。しかも、測定室に導入されるガス分子の量は、濃度拡散に比べて圧力拡散の方がはるかに大きくなる。
【0033】
この様な理由で、電流検知式センサが水素と水蒸気から構成される混合ガスと、水素、水蒸気とそれ以外のガスから構成される混合ガスに対して大きな出力差を持ちことになる。即ち、混合ガス中に窒素等のガスが存在すると、電流検知式センサの出力が極端に下がる。従って、その出力差を利用して、上述した流路の切り換えや、流量の調整を行うことができる。
【0034】
(11)請求項11の発明は、前記電流検知式センサは、更に、前記プロトン伝導層に接して前記測定室外に設けられた参照電極を有し、前記第1電極と前記参照電極との間の電位差が一定となるように、前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0035】
本発明は、参照電極を用いた電流検知式センサを例示したものである。
本発明では、第1電極と参照電極との間の電位差が一定になるように、第1電極と第2電極との間に(例えば限界電流を得るための十分な)電圧を印加することにより解離又は分解もしくは反応させ、それによって発生したプロトンをプロトン伝導層を介して第1電極側から第2電極側へ汲み出すことにより生じる限界電流に基づいて、水素ガスの濃度を求める。
【0036】
本発明のガスセンサは、前記請求項10の発明と同様な効果を奏するとともに、参照電極を備えているので、ガス濃度の測定精度が高いという利点を有している。
(12)請求項12の発明は、前記制御手段は、前記電流検知式センサの出力に基づいて、前記燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスの排出流路を、前記循環流路又は前記ガスパージ流路に切り替えることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0037】
本発明は、制御手段を例示したものである。本発明では、電流検知式センサの出力に基づいて、燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスの排出流路を、再循環を行う循環流路(詳しくはガスパージ流路と分岐して燃料極側に排出ガスを循環させる循環主流路)又はパージを行うガスパージ流路に切り替えるので、再循環を行う場合とパージを行う場合とを明確に区別した制御を行うことができる。
【0038】
(13)請求項13の発明は、前記制御手段は、前記電流検知式センサの出力に基づいて、前記燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスに対して、再循環する再循環ガス流量及び/又はパージするパージガス流量を調整することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の燃料電池システムを要旨とする。
【0039】
本発明は、制御手段を例示したものである。本発明では、電流検知式センサの出力に基づいて、例えば流路を開閉する制御弁の開度等を調節することにより、再循環ガス流量及びパージガス流量の両方又は一方を調整するので、一層精密に再循環やパージの制御を行うことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の燃料電池システムの実施の形態の例(実施例)について説明する。
(実施例1)
本実施例では、燃料電池システムとして、排出ガスの再循環及びパージを行う燃料電池システムを例に挙げる。
【0041】
a)まず、本実施例の燃料電池システムについて、図1に基づいて説明する。図1に示す様に、本実施例の燃料電池システムにおいては、燃料電池1として、燃料ガスが供給される燃料極3と(コンプレッサ4により)空気が供給される空気極5とを備えた周知の固体高分子型燃料電池が用いられている。
【0042】
この燃料電池1には、例えば水素及び水蒸気からなる新規の燃料ガスを燃料極3に供給するために、燃料極3のガス入口7側に接続された燃料ガス供給路9が設けられている。また、排出ガスを再循環するために、燃料極3のガス出口11側からガス入口7側に至る循環流路13が設けられている。
【0043】
前記循環流路13は、燃料ガス供給路9に対して、混合点15にて合流しており、混合点15の下流側の混合流路29では、新規の燃料ガスと排出ガスとが混合されて燃料極3に供給される。
また、循環流路13の途中には、大気側に開放されたガスパージ流路17が、分岐点19にて分岐接続されており、ガスパージ流路17には、その流路17を開閉して大気側に排出する排出ガスの量(パージガス流量)を調節するパージ流路弁21が配置されている。
【0044】
更に、循環流路13のうち、分岐点19から混合点15までの循環主流路23には、その流路23を開閉して再循環する排出ガスの量(再循環ガス流量)を調節する循環流路弁25が配置されている。
尚、排出ガスが循環する循環流路13のうち、ガス出口11から分岐点19までの流路を排出流路27、分岐点19から混合点15までの流路を循環主流路23、混合点15からガス入口7までの流路を混合流路29と称する。従って、循環流路13と燃料ガス供給路9とは、混合流路29を共有している。
【0045】
特に本実施例では、混合流路29に電流検知式センサ31を配置し、この電流検知式センサ31の出力に基づいて、例えば電子制御装置(ECU)33にて、パージ流路弁21及び循環流路弁25の開閉タイミングや開閉の程度等の開閉の状態を制御している。
【0046】
この電流検知式センサ31は、後述する様に、燃料ガス(詳しくは排出ガスが含まれる混合ガス)中に含まれる水素の濃度を検知するセンサであり、水素の濃度に応じてその出力が変化するものである。
従って、この電流検知式センサ31を、燃料ガスに含まれる水素(及び出力に影響しない水蒸気)以外の不純物(例えば窒素ガス:N)の濃度を検知するセンサとして用いることができ、その場合は、不純物のガス濃度に応じてその出力が変化するということができる。
【0047】
b)次に、前記電流検知式センサ31について、図2に基づいて説明する。尚、図2は、電流検知式センサ31の長手方向の要部断面図である。
▲1▼図2に示す様に、前記電流検知式センサ31は、いわゆる水素ガス濃度(水素濃度)を検知する水素ガスセンサと同様な構成を有しており、プロトン伝導層41の一方の面(同図の上面)に、第1電極43が設けられ、プロトン伝導層41の他方の面(同図の下面)に、第1電極43と対向するように第2電極45が設けられ、それらは、第1支持体47及び第2支持体48からなる支持体49中に支持されている。
【0048】
つまり、プロトン伝導層41は、第1支持体47及び第2支持体48に狭持され、第1電極43は、第1支持体47に覆われるとともにその第1凹部50内に配置され、第2電極45は、第2支持体48に覆われるとともにその第2凹部51内に配置されている。
【0049】
前記プロトン伝導層41は、高分子電解質からなり、一方の面側から他方の面側に、例えば第1電極43側から第2電極45側に、水を伴ってプロトン(H)を移動させることができるものである。そのプロトン伝導層41の材料としては、比較的低温(例えば150℃以下)で作動するものが良く、例えばフッ素樹脂である「Nafion117」(デュポン社の商標)等を採用できる。
【0050】
前記第1電極43及び第2電極45は、例えばカーボンを主成分とする弾性を有する多孔質電極であり、第1電極43及び第2電極45には、プロトン伝導層41に接する側にPt等の触媒層(図示せず)が塗布により形成されている。
また、第1電極43及び第2電極45は、それぞれリード部(図示せず)を介して回路に接続されており、電源(電池)53によって、第1電極43及び第2電極45間に電圧を印加して、電流計57によって、第1電極43及び第2電極45間に流れる電流を測定できるようになっている。
【0051】
前記支持体49は、例えばアルミナを主成分とするセラミックスからなる絶縁体であり、このうち、第1支持体47には、周囲雰囲気と第1凹部50(従って第1電極43)とを連通する拡散律速部59が設けられている。この拡散律速部59は、被測定ガスである燃料ガス(従って含まれる水素ガス)を第1電極43側に導入するとともに、その拡散を律速する小さい孔である。一方、第2支持体48には、周囲雰囲気と第2凹部51(従って第2電極45)に連通する空孔であるガス排出部61が設けられている。
【0052】
c)次に、前記電流検知式センサ31の動作について説明する。
前記電流検知式センサ31を燃料ガスにさらすと、周囲雰囲気から拡散律速部59を通って第1電極43に到達した水素は、プロトン伝導層41を介して、第1電極43と第2電極45との間に、水素ガスの濃度(詳しくは両電極43、45側における水素濃度の差)に応じた起電力を生じさせる。
【0053】
そこで、電源53により、第1電極43と第2電極45との間に電圧を印加する。その結果、第1電極43上で水素はプロトンに解離され、プロトンは、プロトン伝導層41を介して第2電極45へ汲み出され、再び水素となって(センサ外の)被測定ガス雰囲気に拡散する。
【0054】
その時、第1電極43と第2電極45との間に流れる電流値(前記電圧を印加した場合に、ある値まで上昇して上限となる限界電流)は、図3にガス組成(体積%)に応じたセンサ出力を示す様に、燃料ガスが水素と水蒸気とから構成される場合には、水素と水蒸気と不純物とから構成される場合と比べて、大きな出力となる。また、燃料ガスが、水素と水蒸気と不純物とから構成される場合には、水素濃度に比例した値となる。
【0055】
従って、このセンサ出力から、燃料ガスの状態(成分等)を求めることが可能になる。例えばセンサ出力が所定値1より低下した場合には、不純物が増加したとみなすことができる。
尚、この所定値1とは、燃料ガスとして(水蒸気を添加した)純水素を用いたガスの場合の判定値であり、所定値1より小さな所定値2とは、燃料ガスとして不純物が含まれる可能性が高い改質ガスの判定値である。
【0056】
d)次に、前記センサ出力を用いてECU33にて行われる燃料電池システムの制御の手法を図4に基づいて説明する。
▲1▼判定値として所定値1を用いる場合。
この所定値1は、センサ出力の急変を検出するために、センサ出力が急変する値より僅かに高めに設定されているので、燃料ガスとして(水蒸気を添加した)純水素を用いる場合に好適である。
【0057】
ここでは、センサ出力が所定値1以下の場合は、循環主流路13に配置された循環流路弁25を閉じ、ガスパージ流路17に配置されたパージ流路弁21を開けることにより、燃料電池1の燃料極3から排出された排出ガスを、排出流路27及びガスパージ流路17を介して、系外に排出(パージ)する。
【0058】
一方、センサ出力が所定値1より高い場合は、循環主流路13に配置された循環流路弁25を開き、ガスパージ流路17に配置されたパージ流路弁21を閉じることにより、燃料電池1の燃料極3から排出された排出ガスを再循環する。
具体的には、図4のフローチャートに示す様に、まず、ステップ(S)100にて、電流検知式センサ31のセンサ出力が、所定値1以下か所定値1より高いかを判定し、所定値1以下の場合には、ステップ110に進み、一方所定値1より高い場合には、ステップ140に進む。
【0059】
ステップ110では、センサ出力が所定値1以下と低いので、水素濃度が低下した状態であり、よって、不純物が増加したとみなして、パージが必要と判定する。
続くステップ120では、排出ガスを大気に放出するために、パージ流路弁21を開く制御を行う。
【0060】
続くステップ130では、排出ガスの再循環を禁止するために、循環流路弁25を閉じる制御を行い、前記ステップ100に戻る。
そして、上述した処理は、センサ出力が所定値1より高くなるまで繰り返される。
【0061】
一方、前記ステップ140では、センサ出力が所定値1より高いので、水素濃度が高く、よって、不純物が少ない(又は減少した)したとみなして、パージが不要と判定する。
続くステップ150では、排出ガスの大気への放出を禁止するために、パージ流路弁21を閉じる制御を行う。
【0062】
続くステップ160では、排出ガスの再循環を許可するために、循環流路弁25を開く制御を行い、一旦本処理を終了する。これにより、燃料ガスの再循環を行う運転状態となる。
従って、上述した制御により、例えば(水蒸気を添加した)純水素を供給する場合において、排出ガス中に不純物が増加した場合に、的確に排出ガスをパージすることができる。
【0063】
▲2▼判定値として所定値2を用いる場合
この所定値2は、所定値1より低く設定されており、センサ出力の変化が緩やかな領域用であり、燃料ガスとして(不純物が含まれる)改質ガスを用いる場合に好適である。
【0064】
ここでは、センサ出力が所定値2以下の場合(水素濃度が所定値2に対応した値より低い場合)は、前記▲1▼と同様に、循環流路弁25を閉じて、パージ流路弁21を開けることにより、燃料電池1の燃料極3から排出された排出ガスをパージする。
【0065】
一方、センサ出力が所定値2より高い場合は、循環流路弁25を開いて、パージ流路弁21を閉じることにより、燃料電池1の燃料極3から排出された排出ガスを再循環する。
従って、上述した制御により、例えば改質ガスを供給する場合において、排出ガス中に不純物が増加した場合に、的確に排出ガスをパージすることができる。
【0066】
e)次に、本実施例の効果について説明する。
この様に本実施例では、電流検知式センサ31のセンサ出力に応じて、排出ガス中の不純物が少ない場合には、排出ガスの再循環を許可し、不純物が多くなった場合には排出ガスのパージを行うので、燃料ガスの無駄な消費を無くし、適切なタイミングで確実にガスパージを行うことができるという顕著な効果を奏する。
【0067】
また、本実施例では、燃料極3に燃料ガスを供給する混合流路29に電流検知式センサ31を配置しているので、燃料ガスのガス組成(特に水素濃度)及びガス流量が変化した場合でも、燃料電池に安定したガス供給を行う制御を実施することができる。
【0068】
更に、本実施例では、ガスパージの判定値として、燃料ガスとして純水素を用いる場合には、大きな値である所定値1を採用し、不純物の量が多いと考えられる改質ガスの場合には、所定位置1より小さな値である所定値2を採用するので、燃料ガスの種類に応じて、適切なタイミングで再循環とパージとの切り替えを実施することができる。
【0069】
その上、本実施例では、水素ガスの有無に応じて、センサ出力が大きく変化するので、その点からも制御のタイミングを確実に捉えることができるという利点がある。
尚、本実施例では、パージ流路弁21及び循環流路弁25の開閉制御を行う際に、各弁を全閉や全開に制御するのではなく、センサ出力に応じて、その開度を調節してもよい。例えば不純物の量が所定量より非常に多い場合(例えば不純物の量が所定量の2倍以上)には、パージ流路弁21を全開にすればよいが、それほど多くない場合(例えば不純物の量が所定量の2倍未満)には、半開等に調節してもよい。
【0070】
尚、パージされた排出ガスは加湿器等の加熱用バーナの燃料として用いても良い。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0071】
本実施例の燃料電池システムは、前記実施例1とは、電流検知式センサの配置が異なる。
a)図5に示す様に、本実施例の燃料電池システムにおいては、前記実施例1と同様に、空気極71と燃料極73とを備えた燃料電池75が用いられるとともに、ガスの流路として、(排出流路77、循環主流路79、混合流路81からなる)循環流路83と、循環流路83から分岐したガスパージ流路85と、(混合流路81を含む)燃料ガス供給路87とを備えている。
【0072】
また、ガスパージ流路85にはパージ流路弁89が配置され、循環主流路79には循環流路弁91が配置されている。
特に本実施例では、排出流路77に、前記実施例1と同様な電流検知式センサ93が配置され、このセンサ出力が例えばECU95に入力される。従って、ECU95では、センサ出力に応じて、前記実施例1と同様に、パージ流路弁89及び循環流路弁91の制御を行う。
【0073】
b)本実施例では、燃料極73から排出される排出ガスの組成によって変化するセンサ出力に応じて、パージ流路弁89及び循環流路弁91の制御を行うので、前記実施例1と同様に、燃料ガスの無駄な消費を無くし、適切なタイミングで確実にガスパージを行うことができる。
【0074】
特に本実施例では、排出流路77に電流検知式センサ93を配置しているので、例えば不純物濃度が増加した排出ガスが循環されて燃料電池に到達する前に、パージ制御を行うことができる。よって、不純物の循環を抑制することができ、燃料電池の動作にとって好適である。
【0075】
また、排出ガス中では、燃料電池75に供給される燃料ガスに比べ、水素濃度が燃料電池75にて消費される分だけ低下しているが、この様な排出ガス中で水素濃度を検知することは、排出ガス中の不純物濃度を検知することになる。従って、この様な位置(排出流路77)に電流検知式センサ93を配置することにより、不純物濃度を精度良く検知でき、よって、それに基づいて精度の良い制御を行うことができる。
(実施例3)
次に、実施例3について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0076】
本実施例の燃料電池システムは、前記実施例1、2とは、電流検知式センサの配置が異なる。
a)まず、本実施例の燃料電池システムについて、図6に基づいて説明する。
図6に示す様に、本実施例の燃料電池システムにおいては、前記実施例1と同様に、空気極101と燃料極103とを備えた燃料電池105が用いられるとともに、ガスの流路として、(排出流路107、循環主流路109、混合流路111からなる)循環流路113と、循環流路113から分岐したガスパージ流路115と、(混合流路111を含む)燃料ガス供給路117とを備えている。
【0077】
また、ガスパージ流路115にはパージ流路弁119が配置され、循環主流路109には循環流路弁121が配置されている。
特に本実施例では、排出流路107及び混合流路111に、それぞれ前記実施例1と同様な第1電流検知式センサ123及び第2電流検知式センサ125が配置され、両センサ出力が例えばECU127に入力される。従って、ECU127では、両センサ出力に応じて、パージ流路弁119及び循環流路弁121の制御を行う。
【0078】
b)次に、本実施例の燃料電池システムにおける制御について、図7に基づいて説明する。
図7のフローチャートに示す様に、まず、ステップ200では、燃料極103の出口側の第1の電流検知式センサ123のセンサ出力が、所定値(例えば所定値1)以下か所定値より高いかを判定し、所定値以下の場合には、ステップ210に進み、一方所定値より高い場合には、ステップ240に進む。
【0079】
ステップ210では、センサ出力が所定値以下であるので、不純物が増加したとみなして、パージが必要と判定する。
続くステップ220では、排出ガスを大気に放出するために、パージ流路弁119を開く制御を行う。
【0080】
続くステップ230では、排出ガスの再循環を禁止するために、循環流路弁121を閉じる制御を行い、前記ステップ200に戻る。
一方、前記ステップ240でも、前記ステップ200と同様に、燃料極103の入口側の第2の電流検知式センサ125のセンサ出力が、所定値以下か所定値より高いかを判定し、所定値以下の場合には、ステップ250に進み、一方所定値より高い場合には、ステップ280に進む。
【0081】
ステップ250では、センサ出力が所定値以下であるので、不純物が増加したとみなして、パージが必要と判定する。
続くステップ260では、排出ガスを大気に放出するために、パージ流路弁119を開く制御を行う。
【0082】
続くステップ270では、排出ガスの再循環を禁止するために、循環流路弁121を閉じる制御を行い、前記ステップ200に戻る。
また、前記ステップ280では、センサ出力が所定値より高いので、不純物が少ない(又は減少した)したとみなして、パージが不要と判定する。
【0083】
続くステップ290では、排出ガスの大気への放出を禁止するために、パージ流路弁119を閉じる制御を行う。
続くステップ300では、排出ガスの再循環を許可するために、循環流路弁121を開く制御を行い、一旦本処理を終了する。
【0084】
c)この様に、本実施例では、燃料極103の出口側及び入口側に、それぞれ第1及び第2の電流検知式センサ123、125を配置しているので、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、ガス組成の検知精度が高く、一層タイミングの良い制御ができるという利点がある。
(実施例4)
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0085】
本実施例の燃料電池システムは、前記実施例1とは、使用する電流検知式センサの構成が異なり、更に参照電極を備えたものである。
a)まず、本実施例に用いる電流検知式センサの構成について、図8に基づいて説明する。尚、図8は、電流検知式センサの長手方向の断面図である。
【0086】
図8に示す様に、本実施例における電流検知式センサ131は、プロトン伝導層133の一方の面(同図の上面)に、第1電極135が設けられ、プロトン伝導層133の他方の面(同図の下面)に、第1電極135と対向するように、第2電極137及び参照電極139が設けられ、それらは、第1支持体141及び第2支持体143からなる支持体145中に支持されている。
【0087】
つまり、プロトン伝導層133は、第1支持体141及び第2支持体143に狭持され、第1電極135は、第1支持体141に覆われるとともにその第1凹部147内に配置され、第2電極137は、第2支持体143に覆われるとともにその第2凹部149内に配置され、参照電極139は、第2支持体143に覆われるとともにその第3凹部151内に配置されている。
【0088】
前記第1電極135、第2電極137、参照電極139は、それぞれリード部(図示せず)を介して回路に接続されており、電源(電池)153によって、第1電極135及び第2電極137間に電圧を印加したり、電圧計155によって、第1電極135及び参照電極139間の電圧を測定したり、電流計157によって、第1電極135及び第2電極137間に流れる電流を測定できるようになっている。
【0089】
このうち、参照電極139は、第1電極135及び参照電極139間の電圧を一定に保つことにより、被測定ガス中の水素濃度(従って不純物の濃度)を測定する際に、温度や湿度などの外乱の影響を小さくするために用いられるものである。
【0090】
尚、好ましくは、参照電極139での水素濃度をより安定化させるために、参照電極139を自己生成基準極とするのが良い。
また、前記第1支持体141には、周囲雰囲気と第1凹部147とを連通する細孔である拡散律速部159が設けられている。
【0091】
一方、第2支持体143には、周囲雰囲気と第2凹部149に連通する空孔であるガス排出部161が設けられている。
b)次に、本実施例における電流検知式センサ131の動作を説明する。
電流検知式ガスセンサ131を燃料ガスにさらすと、周囲雰囲気から拡散律速部159を通って第1電極135に到達した水素は、プロトン伝導層133を介して、第1電極135と参照電極139との間に、水素ガスの濃度(詳しくは両電極135、139側における水素濃度の差)に応じた起電力を生じさせる。
【0092】
そこで、第1電極135と参照電極139との間の電位差が一定になるように、電源153により、第1電極135と第2電極137との間に適切な電圧を印加する。
例えば、第1電極135と第2電極137との間に印加する電圧を、被測定ガス中の水素濃度が高い場合には高くし、水素濃度が低い場合には低くするといったように、それぞれの濃度において、最適な電圧に可変しながら、第1電極135上の水素濃度を一定に制御する。また、被測定ガス中の温度等の変化により、第1電極135と第2電極137との間の抵抗が上昇した場合も、印加電圧を適宜変更することにより、同様に、第1電極135上の水素濃度を一定に制御する。
【0093】
その結果、第1電極135上で水素はプロトンに解離され、プロトンは、(水を伴って)プロトン伝導層133を介して第2電極137側へ汲み出され、再び水素となって被測定ガス雰囲気に拡散する。
その時、第1電極135と第2電極137との間に流れる電流値(前記電圧を印加した場合に、ある値まで上昇して上限となる限界電流)は、水素濃度(従って不純物のガス濃度)に比例するため、その電流値を測定することにより、不純物のガス濃度の測定が可能になる。
【0094】
特に、第1電極135と参照電極139との間の電位差を最適な値に設定しておけば、温度等が大きく変化する雰囲気に対しても、第1電極135上の水素濃度を常に最適値に調節できるので、(参照電極139がない場合に比べて)一層精度の高い水素濃度の測定が可能である。
【0095】
尚、本発明は前記実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば前記実施例では、電流値を検出するセンサを例に挙げたが、これは、電流を電圧に変換するセンサと実質的に同一のものである。
【0096】
また、前記実施例では、燃料電池システムを制御するものとして、電子制御装置(ECU)を例に挙げたが、これに限らず、例えばマイクロプロセッサを搭載した運転制御装置を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の燃料電池システムを示す説明図である。
【図2】実施例1における電流検知式センサを破断して示す説明図である。
【図3】実施例1における不純物濃度とセンサ出力との関係を示すグラフである。
【図4】実施例1における制御処理を示すフローチャートである。
【図5】実施例2の燃料電池システムを示す説明図である。
【図6】実施例3の燃料電池システムを示す説明図である。
【図7】実施例3における制御処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例4における電流検知式センサを破断して示す説明図である。
【符号の説明】
1、75、105…燃料電池
3、73、103…燃料極
9、87、117…燃料ガス供給路
13、83、113…循環流路
17、85、115…ガスパージ流路
21、89、119…パージ流路弁
23、79、109…循環主流路
25、91、121…循環流路弁
27、77、107…排出流路
29、81、111…混合流路
31、93…電流検知式センサ
33、95、127…電子制御装置(ECU)
41、133…プロトン伝導層
43、135…第1電極
45、137…第2電極
123…第1電流検知式センサ
125…第2電流検知式センサ
139…参照電極

Claims (13)

  1. 燃料電池の燃料極側から排出される排出ガスを再循環し、新たに供給された燃料ガスと混合させた後に、前記燃料電池の燃料極側に供給するとともに、前記再循環する排出ガスの一部又は全部を前記再循環の系外に放出するパージを行う燃料電池システムにおいて、
    前記排出ガスの再循環を行う循環流路内に配置され、循環流路内のガスの成分によって生じる電流を検知する電流検知式センサと、
    前記電流検知式センサの検知内容に対応した出力に基づいて、前記燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスの再循環の状態及び/又はパージの状態の制御を行う制御手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の燃料極側から排出される排出ガスを再循環し、新たに供給された燃料ガスと混合させた後に、前記燃料電池の燃料極側に供給する循環流路と、
    前記循環流路の前記燃料ガスの混合前における途中にて、前記再循環する排出ガスの一部又は全部を前記再循環の系外に放出するために分岐させたガスパージ流路と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記電流検知式センサを、前記循環流路における新たな燃料ガスとの混合点から前記燃料電池の燃料極側の入口との間の混合流路に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記電流検知式センサを、前記循環流路における前記燃料電池の燃料極側の排出ガスの出口と前記ガスパージ流路の分岐点との間の排出流路に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  5. 第1の前記電流検知式センサを、前記循環流路の新たな燃料ガスとの混合点から前記燃料電池の燃料極側の入口との間の混合流路に配置するとともに、第2の前記電流検知式センサを、前記燃料電池の燃料極側の排出ガスの出口と前記ガスパージ流路の分岐点との間の排出流路に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  6. 前記電流検知式センサは、プロトンによって生成する電流を検知するセンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池システム。
  7. 前記電流検知式センサは、水を伴ってプロトンを伝導する伝導体を用いたセンサであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池システム。
  8. 前記電流検知式センサは、前記ガスの成分が、水素及び水蒸気から構成される純ガスの場合と、水素、水蒸気、及びその他のガスから構成される不純ガスの場合とで、所定以上の大きな出力差を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池システム。
  9. 前記電流検知式センサは、水素、水蒸気、及びその他のガスから構成される不純ガス中の水素濃度に対応した出力を発生することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池システム。
  10. 前記電流検知式センサは、
    高分子電解質からなりプロトンを伝導するプロトン伝導層と、
    被測定ガスの拡散を律速する拡散律速部と、
    前記拡散律速部を介して前記被測定ガス雰囲気に連通する測定室と、
    前記測定室内にて前記プロトン伝導層の表面に接する第1電極と、
    前記測定室外にて前記プロトン伝導層の表面に接する第2電極と、
    を有し、
    前記被測定ガス雰囲気側から前記拡散律速部を介して前記測定室に導入された被測定ガス中の水素ガスを、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することにより、解離又は分解もしくは反応させ、それによって発生したプロトンを、前記プロトン伝導層を介して前記第1電極から前記第2電極へ汲み出すことにより生じる電流に対応して出力するセンサであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池システム。
  11. 前記電流検知式センサは、
    更に、前記プロトン伝導層に接して前記測定室外に設けられた参照電極を有し、前記第1電極と前記参照電極との間の電位差が一定となるように、前記第1電極と前記第2電極との間に所定の電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。
  12. 前記制御手段は、前記電流検知式センサの出力に基づいて、前記燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスの排出流路を、前記循環流路又は前記ガスパージ流路に切り替えることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の燃料電池システム。
  13. 前記制御手段は、前記電流検知式センサの出力に基づいて、前記燃料電池の燃料極側から排出された排出ガスに対して、再循環する再循環ガス流量及び/又はパージするパージガス流量を調整することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の燃料電池システム。
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