JP2005018373A - 天井直付け電気器具およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】天井面に表装シートを貼付して構成される天井面に直付けされる天井直付け電気器具において、表装シートに開設した孔部より、底面を露見させ、かつ天井面と表装シートとの間に隠蔽配線された給電線を導入する給電線導入口と、この給電線導入口から導入された給電線を通過させ導出するための給電線引出口とを備えて、天井面に直付けされるベースと、このベースに着脱可能に取り付けられ、給電線引出口より導出された給電線を接続して給電を受ける電気器具本体とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井直付け電気器具およびその施工方法に係り、詳しくは、天井躯体に表装シートを貼付して構成される天井面に直付けされる新規な電気器具、並びに、天井躯体に表装シートを貼付して構成される天井面に、電気器具本体を直付け施工する新規な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、天井に取付けられる火災感知器等の電気器具は、天井裏に敷設した給電線に結線させることを想定した構造となっている。
そのため、天井を貫通して垂下させ、引き出した給電線を、天井面にビス止めされた電気器具に結線するか、或いは、天井に形成した開口部に電気器具を嵌め込んで取り付ける構造が一般的であり、このような電気器具やその取付構造の例としては、特許文献1において開示された火災感知器が知られている。
【0003】
しかしながら、近年、共同住宅等においては、建物の骨格(スケルトン)である躯体部分と、10〜30年程度で変更される間取りや室内装飾等の内装(インフィル)部分とを分離して設計された住宅、所謂SI住宅が検討されつつある。そして、その内装部分に設置される火災感知器などの電気器具についても、機種や仕様変更によって将来的に付替えできることを想定する必要があり、電線管を建物の躯体に埋め込み配線する従来の形態は見直す時期に来ている。そこで、所謂テープケーブル(電線の厚みを薄いテープ状としたもの)を用い、天井の室内面に配線を隠蔽する施工方法が考案されている。
【0004】
図9は、この施工方法を用いた天井の断面構造を示している。
給電線であるテープケーブル7を、鋼板等によって製された保護プレート5で覆い隠すようにして天井躯体4に接着剤などで取付けてから、保護プレート5の上面からパテ12を塗付けて段差をなくして、滑らかな面に仕上げ、その上から壁紙等の表装シート16を貼り、給電線7は、天井躯体4と表装シート16との間に隠蔽させて配線する。
【0005】
このような施工方法では、従来構造の火災感知器を天井面に取付ける作業は、次のようになる。
即ち、粘着テープ10等を用いてテープケーブル7を天井面4に固定したものに保護プレート5を被せて、図7(a)に示すように、天井躯体の室内面側、即ち、天井面4に接着剤11を用いて貼り付ける。このとき、図示しない粘着テープで保護プレート5も天井躯体4に仮止めしておく。そして、所定時間の間放置し、接着剤が乾燥したら、仮止め用の粘着テープ(図示省略)を外して除去する。
【0006】
次に、図10に示すように、ヘラ13を使って保護プレート5の上面からパテ12を塗り付けて、天井面4との境目が分からないよう埋め、滑らかな面に仕上げる。それから、図11(a)に示すように、パテ12を塗着した部分に表装シート16を貼り付け、このとき、テープケーブル7は表装シート16に開口させた孔部12aから引き出し、垂下させておく。
【0007】
そして、図11(b)に示すように、中央に円孔21aが形成されている火災感知器の円形のベース部材21を、その円孔21aにテープケーブル7を通した状態で、2本のビス15を用いて天井面4に螺着し固定し、感知器本体23の電線(図示省略)とテープケーブル7とを結線してから、図11(c)に示すようにして、感知器本体23をベース部材21に取付けて完了となる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−154288号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の火災感知器は、天井裏から配線することを想定した構造であるため、前述したような天井室内面隠蔽施工には適さず、取り付けが困難な上に、施工性が芳しくないという問題があった。即ち、火災感知器を構成するベース部材は、パテ埋めされた箇所にビス止めされるが、盛り上げられたパテ面はデコボコ面になっていることが多く(パテを平面状に塗るのは難しい)、多くの場合、ベース部材はビス止めされているにも拘らず、容易にがたついてしまう状況にあった。
【0010】
また、給電線は、保護プレートを覆うパテを貫通して取り出されているので、誤って引張る等して垂れ下がっている給電線に下向きの力が作用すると、パテを剥がしながら移動させ、保護プレートの端面に受止められる位置までパテを剥がすと、次にはその鋭利なプレート端面に触れて給電線が傷付くおそれもあった。
【0011】
このような実情に鑑みて、本発明の目的は、前述の天井の室内面隠蔽配線を施工するにあたり、天井面との間に隙間やがたつきがなく安定して取付けできる電気器具を提供する点にある。また、施工途中において、不測の給電線引張りにより、塗られた充填補修剤(パテ)を剥がしてしまうとか、保護プレート端面と接触して給電線が傷むといった不都合の生じない施工方法を提供することも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の構成は、天井躯体に表装シートを貼付して構成される天井面に直付けされる電気器具において、表装シートに開設した孔部より、その底面を露見させ、かつ天井躯体と表装シートとの間に隠蔽配線された給電線を導入する給電線導入口と、この給電線導入口から導入された給電線を通過させ導出するための給電線引出口とを備えて天井躯体に直付けされるベースと、このベースに着脱可能に取り付けられ、給電線引出口より導出された給電線を接続して給電を受ける電気器具本体とを備えた天井直付け電気器具としたことを特徴とする。
ここに給電線とは、信号線、電力線、配電線等の配線を含むものである(以下において同じ)。
【0013】
請求項2の構成は、請求項1の構成において、給電線は、薄厚のテープ状ケーブルであり、その先端の導体部分を除く、全体は、天井面に接着された保護プレートによって覆い隠された状態で隠蔽配線されており、給電線導入口は、天井面側を開口させ、上記保護プレートの厚みよりも十分に大きい開口丈寸法を有し、かつ上記保護プレートの終端を収容する切欠段差部の上部に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の構成は、請求項1又は2の構成において、給電線引出口は、給電線導入口から水平状態に導入した給電線を、ほぼ垂直に屈曲させて電気器具本体側に向けて垂下させて引き出すようにした点を特徴とするものである。
【0015】
請求項4の構成は、請求項1〜3のいずれかにおいて、ベースは、ビスを螺入させて天井躯体に固着させるためのビス孔を備えており、かつ、給電線導入口は、保護プレートの終端部を当接させる突合せ壁を有した突合せ段差部を形成していることを特徴とする。
【0016】
請求項5の構成は、請求項1〜4において、ベースは、表装シートより露見させる底面に、施工後に取り外しの可能なマスキングシートを貼付けていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の構成は、請求項1〜5において、電気器具本体は、カバー体を有しており、そのカバー体はベースに着脱可能に取付けられることを特徴とするものである。
【0018】
請求項7の構成は、請求項6において、カバー体は、ベースより導入した給電線の結線部や余剰な配線を仮止め収容する、給電線格納部を設けていることを特徴とする。
【0019】
請求項8の構成は、請求項1〜7のいずれかにおいて、電気器具本体が、火災感知器であることを特徴とする。
【0020】
請求項9の構成は、請求項1〜7のいずれかにおいて、電気器具本体が、人体検知器であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項10の構成は、請求項1〜7のいずれかにおいて、電気器具本体が、照明器具などを取り付けるための給電コネクタである
【0022】
請求項11の方法は、天井躯体に表装シートを貼付して構成される天井面に、電気器具本体を直付け施工する方法であって、給電線導入口と給電導引出口とを形成したベースを天井面に取付けるとともに、このベースの給電線導入口に、天井躯体と表装シートとの間に保護プレートで覆い隠されて隠蔽配線された給電線を導入して、給電線引出口より給電線を引き出し、この状態でベース、保護プレートに充填補修剤を塗り付けから、天井面に表装シートを貼付け、その後、表装シートにベースを露見させる開口部を切断開口させ、
ベースの給電線引出口より引き出した給電線を、電気器具本体に接続させた後、この電気器具本体をベースに取り付けることを特徴とする。
【0023】
請求項12の方法は、請求項11において、上記マスキングシートは、上記ベースの底面に予め貼付けられており、上記表装シートに上記開口部を切断開口させて、ベースの底面を露出させた後に剥がされることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
本発明による天井直付け電気器具の一例として、火災感知器について説明する。
この火災感知器Aは、図1〜図3に示すように、天井躯体の表装シート16を貼り付ける側、つまり天井面4にビス15を用いて直付けされるベース1と、このベース1に取付け自在なカバー体2と、カバー体2に対して取付け自在な感知器本体(電気器具本体)3とから構成されている。ここに、天井躯体は、建物の構造に応じてコンクリートスラブ、天井板等で構成される。
【0026】
ベース1は、図2、図4に示すように、壁紙(表装シートの一例)16に開設した孔部17より、その底面を露見させるようにして天井面4に取り付け、天井躯体と壁紙16との間に隠蔽配線されたテープケーブル(給電線の一例)7を、天井面に沿った水平状態で導入する給電線導入口1cと、この給電線導入口1cから導入されたテープケーブル7を垂下させて引き出すための給電線引出口1dとを備えている。
【0027】
ベース1の構造を詳述すると、基本的には肉厚の小さい扁平な円筒形状の部材であり、天井面4と接触する上面は平坦面1Eに形成されるとともに、中心に形成されたビス止め用の貫通孔1Aと、保護プレート5(後述)の終端部5sを差し入れて収容するための切欠段差部1Bと、上記した給電線導入口1cから給電線引出口1dに通じるテープケーブル挿通用の導入路1Cとが形成されている。また、ベース1の底面1F側には、図2に示すように、カバー体2を係脱自在とするための係合部1Dが4箇所形成されている。
【0028】
切欠段差部1Bは、ベース1の天井面側を部分的に開口欠如させて(平面視D形状をなしている)形成され、この切欠段差部1Bに、天井面4に接着した保護プレート5の終端部5sを収容させることで天井面4から不用意に浮き上がったり、天井面4からの脱落することを防止している。
【0029】
導入路1Cは、図4に見るように、断面視が逆L字状を呈する屈曲経路をなしており、その入口である給電線導入口1cは、切欠段差部1Bの上部、つまり起立壁を構成する突合せ壁1aの上方にテープケーブル7に応じた寸法の開口を形成して構成され、この給電線導入口1cより、天井面4に沿った水平状態で導入されたテープケーブル7は、丸みを持った導線支持部1eで下方向に屈曲されて、底面1Fに開口した給電線引出口1dより垂下され、電気器具3側に引き出されている。
ここに、給電線導入口1cの電線支持底面は、切欠段差部1Bの底面から保護プレート5の厚み分以上は高くなるように設定されている。
【0030】
つまり、給電線導入口1cの導線支持底面と切欠段差部1Bの底面との落差をH、保護プレート5の厚みをhとすると、H≧hを充たしており、この条件によって、給電線導入口1cは、天井面4側を開いた、保護プレート5の厚みよりも十分に大きい開口丈寸法を有した構造になっている。したがって、このような構造によって、天井面4に沿って水平に配線された保護プレート5を押しつぶすなどして、テープケーブル7に余分な押圧力を加えないようにしている。
【0031】
カバー体2は、図1、図2、図5、図6に示すように、下方側がやや窄まった略円筒状で合成樹脂製の部材であり、ベース1と感知器本体3とを連結する。また、このようなカバー体2は、その上部側には、ベース1の係合部1Dに係入させる4箇所の爪片(図示省略)が形成されるとともに、カバー体2の内側には、後述する結線部9や余剰な部分の給電線7を仮止し、収容するための鍔部2bを形成して、給電線格納部2kを構成している。
【0032】
カバー体2の底面側には、感知器本体3のケーシング3Aを収容して保持するための凹入部2Aを有し、その凹入部2Aの上面となる前記鍔部2bに、感知器本体3を係脱自在とするための係合フック2c(図6参照)が2箇所に形成されている。このカバー体2をベース1に取付けるには、カバー体2側に設けた爪片(図示省略)を、ベース1の係合部1Dに位置合わせした状態で押し込み操作すれば良い。
【0033】
感知器本体3は、図1、図2、図5、図6に示すように、合成樹脂製のケーシング3Aに、センサ部3Bを収容して成る。ケーシング3Aにおける、カバー体2の凹入部2Aに嵌め入れ自在なケーシング3Aには、係合フック2cに係合する対応した切欠き(図示省略)が形成されている。従って、感知器本体3をカバー体2に取付けるには、切り欠き(図示省略)を係合フック2cに位置合わせした状態で押し込み操作する。なお、感知器本体3は、孔部3Cを形成しており、この孔部3Cから導出された配線8を、カバー体2を通じて引き出した給電線7とを結線部9によって接続して、センサ部3Bは給電されるようになっている。
【0034】
次に、この火災感知器Aを天井に取付ける施工方法について説明する。
この施工方法では、火災感知器並びにその敷設に要する部材類の全てが天井面4の室内側に存在するので、将来的な火災感知器Aの付替えや機種変更、並びに壁紙を変える等の内装変更を、天井躯体の改造や変更を伴うこと無く行うことができる利点がある。
【0035】
先ず、図7(a)に示すように、粘着テープ10によってテープケーブル7を覆い隠し、固定した保護プレート5を、その上面の左右両端部に塗布した接着剤11により、天井躯体4に接着する。この接着時には、図示しない粘着テープを用いて保護プレート5を下方から覆う状態で天井躯体に張り付けて仮止めする。その後、所定時間放置してから接着剤が乾燥したら、仮止め用の粘着テープを外して除去する。ここまでの作業工程は従来の部屋内施工方法と同じである。
【0036】
次に、図7(b)に示すように、ビス15を用いて、ベース1を天井躯体4に直に取付けるが、先にテープケーブル7を保護プレート5から導入路1Cに通し、切欠段差部1Bの突合せ壁1aに保護プレート5の終端1sを当接させて入れ込む。
そして、それからビス15を螺入させてベース1を天井躯体4に固定する。このとき、ビス15の螺入操作によってベース1が連れ回りしようとするが、保護プレート5の終端1sが突合せ壁1aに当接することで回り止めされ、良好にビス止めすることができる。尚、ビス孔1Aは、ベース1の中心以外の位置にあっても良く、要は保護プレート5の終端5sを用いて回り止めできる位置であれば良い。
【0037】
ベース1を取付けたら、図7(c)に示すように、ヘラ13を用いてパテ(充填補修剤の一例)12を、保護プレート5の上面と、ベース1の周囲部分に塗りつけて段差や起伏の無い滑らかな面に仕上げる。このパテ塗りにより、保護プレート5が天井躯体4から剥がれ落ちないよう、しっかりと保持できるようになる。尚、ベース1の底面1Fには、当初[図7(b)参照]からマスキングシート14が貼ってあり、ビス5の頭部や導入路1C等にパテ12が入り込まないように保護してある。マスキングシート14は、その粘着面を、ベース1の底面に付着させ、外面はパテなどの付着しにくい、つるつるした平滑面に形成してもよい。
【0038】
パテ12の塗着が終わると、図8(a)に示す用に、天井面4に壁紙16を貼り付け、ベース1部分に相当する箇所を切断開口させて、その部分からベース1の底面1Fを露出させ、その後にベース1の底面1Fに貼り付けられていたマスキングシート14を剥して取り去る。そして、図8(b)に示すように、感知器本体3の電線8とテープケーブル7とを、カバー体2に挿通させた状態で結線して、ベース1、カバー体2、及び感知器本体3の三者を一体的に固定する。
【0039】
結線が済むと、図8(c)に示すように、カバー体2をベース1に取付けた状態で、結線部と、余剰な給電線部分をカバー体2の給電線格納部2kに収容(図5参照)させ、最後に感知器本体3をカバー体2に嵌め込んで取付けて、火災感知器Aの天井への取付け施工が完了する。
【0040】
〔別実施形態〕
図7(c)に示すパテ12を塗る工程においては、パテ12の下面をベース1の下面1Fと面一又はやや下方となる状態に仕上げて、その後に貼り付ける表装シート16を、ベース1用の逃がし部を設けることなく1枚シートの状態で接着できるようにすれば、予めベース1用の孔を形成する手間が省けるとともに、その孔と位置合わせしながら壁紙16を接着する面倒で煩わしい作業から解放されるようになって好都合である。
【0041】
そして、図4に仮想線で示すように、その貼り付けられた壁紙16におけるベース1存在箇所に、カッター刃等を用いて壁紙16を切取って、カバー体2を装着するための露見孔(電気器具本体装着用の露見孔)17を形成し、そこからマスキングシート14(図4では不図示)を剥すのである。このように、ベース1を含む状態でパテ12を塗着した面に壁紙16を張る方法を採れば、部屋内施工方法の施工性をさらに改善することができる。
【0042】
また、予めベース1の下面1Fにマスキングシート14が貼付けておけば、パテの不用意な付着も防止でき、なお一層便利である。つまり、天井直付け施工を行う業者に納入する部品としては、剥離自在なマスキングシート14が装着された状態とされている方が好都合である。
【0043】
電気器具としては、火災感知器Aの他、ガス感知器、人体検知器、監視カメラ、或いは、照明器具等の負荷機器と取付けて給電するための配電コネクタ、ローゼット等、種々のものが可能である。
【0044】
パテ12以外の充填補修剤としては、軟質石膏、プラスター、ボンド、シリコーン充填材等、種々のものが可能である。表装シート16は、壁紙の他、クロス、布地シート等でも良い。
【0045】
火災感知器等の電気器具としては、図1等に示すカバー体2を有さない構造、即ち、ベースと電気器具本体(感知器本体)との2部品で成るものでも良い。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の天井直付け電気器具では、保護プレートを用いる等によって給電線が天井躯体と表装シートとの間に隠蔽配線された構造の天井に取付ける電気器具を、表装シートに開設した孔部より、その一部を露見させ、給電線を導入する給電線導入口と、この給電線導入口から導入された給電線を通過させ導出するための給電線引出口とを備えて天井躯体に直付けされるベースと、ベースに着脱可能に取付けられ、給電線引出口より導出された給電線を接続して給電を受ける電気器具本体とを備えた構造としているので、給電線が邪魔になることなく良好に配線できる状態を保持しながら、電気器具をがたつき無く、かつ天井面に凹凸なく安定して取付けることができた。
【0047】
電気器具本体としては、請求項8のように火災感知器や、請求項9のように人体検知器であるとか、請求項10のように給電コネクタとすることが自在である。
【0048】
請求項2の天井直付け電気器具では、給電線は、薄厚のテープ状ケーブルであり、その先端の導体露出部を除く、全体は、天井躯体側に接着された保護プレートによって覆い隠された状態で隠蔽配線されており、給電線導入口は、天井面側を開口させ、上記保護プレートの厚みよりも十分に大きい開口丈寸法を有し、かつ上記保護プレートの終端を収容する切欠段差部の上部に形成されているので、保護プレートに余分な力が加わらず、保護プレートが天井面から剥がれ落ちるのを阻止できるとともに、給電線が薄厚のテープケーブルであるから、表装シートを含む天井躯体からの下方突出量を小さくでき、天井面の外観も向上できる利点がある。
【0049】
請求項3の天井直付け電気器具では、給電線導入口から平行な状態で導入した給電線を、屈曲させ、給電線引出口より電気器具本体側に向けて垂下させた状態に変化させて導出するように構成されているので、給電線導入口と給電線引出口との組合せによって、給電線に下向きの力が加わることがあってもその力が保護プレートの端面には作用せず、その鋭利な端面によって給電線が傷つくことが防止されるようになる。その結果、保護プレート端面に力が加わらないようにして、給電線を電気器具本体に向けて引き出すことができる。
【0050】
請求項4の天井直付け電気器具では、ベースは、ビスを螺入させて天井躯体に固着させるためのビス孔を備えており、かつ、給電線導入口は、保護プレートの終端部を当接させる突合せ壁を有した突合せ段差部を有しているので、ベースを回転させたときには、保護プレートの終端部を、突合せ壁に当接させてストッパーとして作用するので、ビスを螺入させたときにも、ベースの不用意な回動が阻止される。したがって、ベースの天井面への取付けが一層容易になる。
【0051】
請求項5の天井直付け電気器具では、ベースは、表装シートより露見させる底面に、施工後に取り外しの可能なマスキングシートを貼付けているので、マスキングシートを貼付けたベース、並びに保護プレートが天井躯体に取付けられるので、それら天井躯体に取付けられたベースや保護プレートを、パテ等の充填補修剤で埋め込んだ状態としながら滑らかな天井面を形成することができる。そして、埋め込み施工後にマスキングシートを取り外すことにより、ベースに形成した孔部や凹凸部などに充填補修剤が入り込んだり、付着する不都合も解消され、施工性に優れたものとなる。
【0052】
請求項6の天井直付け電気器具では、電気器具本体は、カバー体を有しており、そのカバー体はベースに着脱可能に取付けられるから、ベースには電気器具本体を直接取付けないので、ベースの底面を構造の簡単な平坦面にすることが可能であるとともに、電気器具との配線、取り付けは、カバー体を通じて支障なく行うことができる。
【0053】
請求項7の天井直付け電気器具では、カバー体は、ベースより導入した給電線を仮止め収容する、給電線格納部を設けているので、給電線を電気器具本体の電線に接続した際の結線部や、余剰な給電線を仮止め収容させて隠蔽することで、電線を挟み込む不都合なく簡単で便利に電気器具をベースに取り付けすることができる。
【0054】
請求項11、12の天井直付け電気器具の施工方法では、給電線導入口と、給電線引出口を形成したベースを天井躯体に取付けるとともに、このベースの給電線導入口に、天井躯体と表装シートとの間に保護プレートで覆い隠されて隠蔽配線された給電線を導入して、導線引出口より給電線を引き出し、この状態でベース、保護プレートにパテなどの充填補修剤を塗り付けから、天井面に表装シートを貼付け、その後、表装シートにベースを露見させる開口部を切断開口させ、ベースの給電線引出口より引き出した給電線を、電気器具本体に接続させた後、この電気器具本体をベースに取り付けるようにしたものである。
このような方法によれば、配線が目立たない隠蔽配線が容易に実施できるとともに、天井面の内装をリフォームする際にも、天井躯体には手を加えなくて良いので、簡単で容易に対応することができ、施工性に優れている。
【0055】
また、請求項12のように、ベースの底面に予めマスキングシートを貼付けて施工を行なう場合には、ベースの底面に充填補修剤が入り込んだり、付着させないように注意しながら施工する必要もなくなり、施工性を一層、簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用された火災感知器の基本構造を示す分解斜視図
【図2】火災感知器の天井への取付け構造の概略を示す原理図
【図3】ベースの形状を示す上方からの斜視図
【図4】ベースの天井への取付構造を示す拡大断面図
【図5】カバー体への結線収容状態を示す火災感知器の一部切欠きの側面図
【図6】カバー体と感知器本体との連結構造を示す分解斜視図
【図7】天井直付け用の施工方法を示し、(a)は保護プレートの天井装着状態を示す図、(b)はベースを取付けた状態を示す図、(c)はパテの塗布作業を示す図
【図8】天井直付け用の施工方法を示し、(a)は壁紙を貼り付けた状態を示す図、(b)は感知器本体に結線した状態を示す図、(c)は取付が完成した状態を示す図
【図9】テープケーブルを用いた天井直付け施工による天井の断面図
【図10】従来における保護プレートを覆うパテ塗り状況を示す図
【図11】従来の施工方法を示し、(a)は壁紙を貼り付けた状態を示す図、(b)はベースの取付状態を示す図、(c)は取付が完成した状態を示す図
【符号の説明】
1 ベース
1B 突合せ段差部
1c 給電線導入口
1d 給電線引出口
1e 突合せ壁
1A ビス孔
1F 底面
2 カバー体
2k 給電線格納部
3 電気器具本体
4 天井面
5 保護プレート
5s 終端部
7 給電線
12 充填補修剤
14 マスキングシート
16 表装シート
17 孔部、開口部
Claims (12)
- 天井躯体に表装シートを貼付した天井面に直付けされる電気器具において、
上記表装シートに開設した孔部より、その底面を露見させ、かつ上記天井躯体と上記表装シートとの間に隠蔽配線された給電線を導入する給電線導入口と、この給電線導入口から導入された給電線を通過させ導出するための給電線引出口とを備えたベースと、
このベースに着脱可能に取り付けられ、上記給電線引出口より導出された給電線を接続して給電を受ける電気器具本体とを備えた天井直付け電気器具。 - 請求項1において、
上記給電線は、薄厚のテープ状ケーブルであり、その先端の導体部分を除く全体は、天井躯体に接着された保護プレートによって覆い隠された状態で隠蔽配線されており、
上記給電線導入口は、天井面側を開口させ、上記保護プレートの厚みよりも十分に大きい開口丈寸法を有し、かつ上記保護プレートの終端部を収容する切欠段差部の上部に形成されている、
天井直付け電気器具。 - 請求項1又は2において、
上記ベースは、上記給電線導入口から平行な状態で導入した給電線を、ほぼ垂直に屈曲させて、上記給電線引出口より上記電気器具本体側に向けて垂下させた状態に導出させている、
天井直付け電気器具。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
上記ベースは、その中心部にビスを螺入させて上記天井面に固着させる構造になっており、かつ、上記切欠段差部は、上記保護プレートの終端部を当接させる突合せ壁を有している、
天井直付け電気器具。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、
上記ベースは、上記表装シートより露見させる底面に、施工後に取り外しの可能なマスキングシートを貼付けている、
天井直付け電気器具。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
上記電気器具本体は、カバー体を有しており、そのカバー体を上記ベースに着脱可能に取付ける構造としている、
天井直付け電気器具。 - 請求項6において、
上記カバー体は、上記ベースより導入した給電線の余剰部分を収容する、給電線格納部を設けている、天井直付け電気器具。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
上記電気器具本体が、火災感知器である天井直付け電気器具。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
上記電気器具本体が、人体検知器である天井直付け電気器具。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
上記電気器具本体が、照明器具などの、天井面に直付け器具を取り付ける給電コネクタである天井直付け電気器具。 - 天井躯体に表装シートを貼付させて使用する天井面に、電気器具本体を直付け施工する方法であって、
給電線導入口と、給電線引出口とを形成したベースを上記天井面に取付けるとともに、このベースの上記給電線導入口に、上記天井躯体と上記表装シートとの間に保護プレートで覆い隠されて隠蔽配線された給電線を導入して、その給電線を上記給電線引出口より引き出し、
この状態で上記ベース、上記保護プレートにパテなどの充填補修剤を塗り付けから、天井面に表装シートを貼付け、その後、上記表装シートに上記ベースの底面を露見させる開口部を切断開口させ、
上記ベースの給電線引出口より引き出した給電線を、電気器具本体に接続させた後、この電気器具本体を上記ベースに取り付けることを特徴とする、
電気器具の天井直付け施工方法。 - 請求項11において、
上記ベースは、その底面に予めマスキングシートを貼付けており、このマスキングシートは、上記表装シートに上記開口部を切断開口させて、上記ベースの底面を露出させた後に、剥がすことを特徴とする、
電気器具の天井直付け施工方法。
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