JP2005017773A - 表面に凹凸を有する粒子及びその製造方法 - Google Patents

表面に凹凸を有する粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カルボジイミド化合物等の有機化合物を使用して、容易に、効率良くサブミクロンからミクロンサイズの広範囲に渡り、母粒子の形状を変形させずに、化学的結合により表層部に強固に結合された突起部を有し、また、カルボジイミド基等の反応基が本来有する反応性能を十分に活かした機能性を有する凹凸粒子を提供する。
【解決手段】官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ媒体に溶解又は分散可能な有機化合物(B)とから構成されるとともに、その表層部に2以上の突起部を有する粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、化学的に結合されていること等を特徴とする凹凸を有する粒子及びそれらの製造方法等を提供した。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に凹凸を有する粒子及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、官能基を有する母粒子(A)と、その表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)とから構成される、表面に凹凸を有する粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ミクロンサイズの粒子の開発が活発化されており、複合化された粒子など高機能化も一段と進歩している。その複合粒子の中で特に表面の改質として表層部に凹凸を有する粒子は、粒子そのものの表面積を増大させることが可能なことからプラスチック樹脂改質剤、塗料用機能化剤、有機顔料、トナー粒子、光学材料、分離材料、接着剤、粘着剤、食品、化粧品或いは生化学用担体等に幅広く用いる検討がなされている。
【0003】
一般に、表層部に凹凸を有する粒子は、コア粒子と突起部(凸部)となる微粒子とを電気的、物理的に表層部に付着させているのが殆どである。特にコア粒子又は突起部となる微粒子の少なくともどちらか一方がポリマー粒子の場合は、衝撃力、熱、溶剤などにより固形化した粒子同士を融着や埋め込みを行うことで、凹凸を有する粒子を作成する検討が行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
しかしながら、例えば帯電等の電気的付着や衝撃力等の物理的付着の方法により提供される凹凸を有する粒子は、コア粒子より突起部が剥がれ易い欠点があり、使用用途によっては悪影響を及ぼす場合がある。
また、熱など融着による埋め込み付着やハイブリダイゼーションシステムなどによる機械的熱的エネルギーを利用した付着の場合は、剥がれることはある程度解消されるが、コア粒子と突起部のガラス転移点や軟化温度に大きく左右されることもあり、その工程において粒子同士のくっ付き、凝集化、粒子径のバラツキ、粒子への傷つきなどが生じる場合がある。その為に、使用条件、用途によってはまだ十分であるとはいえない。また、概念的には1度固体化した粒子同士を付着させることから、突起部を形成する為の微粒子を製造する工程(特にサブミクロン以下)においては洗浄、分離作業等の工程にかなりのコスト、時間を要するという問題がある。
また、化学的結合を利用して、表層部に強固に結合された突起部を有する粒子や凹凸を有する粒子そのものに、接着性、耐熱性、耐薬品性等の物理的、化学的特性を十分満足させた機能性粒子は、未だ見出されていない。
【0005】
【特許文献1】
特許第2762507号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特許第3374593号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物などの有機化合物を使用して、容易に、効率良くサブミクロンからミクロンサイズの広範囲に渡り、母粒子(コア粒子)の形状を変形させずに、化学的結合により表層部に強固に結合された突起部を有する凹凸粒子を提供し、また、カルボジイミド基、エポキシ基等の反応基が本来有する反応性能を十分に活かした機能性を有する凹凸粒子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などの有機化合物と反応し得る官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等)を含有する母粒子を、その粒子は溶解しないが、有機化合物は溶解又は分散する少なくとも一種の媒体の存在下で、有機化合物と浸漬又は混合し、反応させることにより、凹凸を有する粒子が得られ、その粒子は、耐熱性及び耐溶剤性や反応性をなどの少なくとも1種の機能を有する機能性凹凸粒子であることを見出した。また、本発明者らは、固体化した母粒子の形状を保持したまま母粒子の内部又は表層部に有する官能基を利用して凹凸を有する粒子に変更可能であることから、官能基の種類、量で容易に突起部(凸部)径及び凹凸間を制御でき、サブミクロンから数十ミクロンの広範囲に渡り凹凸を有する粒子を得ることができる製造方法も見出した。本発明はこれらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ媒体に溶解又は分散可能な有機化合物(B)とから構成されるとともに、その表層部に2以上の突起部を有する粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、化学的に結合され、かつ、母粒子(A)は、表層部で上記突起部と化学的に接合していることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、下記の数式[1]で示される突起部の平均的口径(L)は、母粒子(A)の平均径(L)に対して、(L)/(L)が下記の数式[2]の範囲であることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
L=(L+L)/2 [1]
0.01≦(L)/(L)≦0.5 [2]
(式中、Lは突起部短径、Lは突起部長径を示す。)
【0009】
本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、母粒子(A)は、球状又は略球状の粒子であることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、母粒子(A)の官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基又はチオール基から選ばれる少なくとも1つの官能基であることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
【0010】
本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、有機化合物(B)は、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物又はアミノ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機化合物であることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、母粒子(A)の平均粒子径は、0.05〜80μmであることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
【0011】
本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、有機化合物(B)は、水溶性又は親水性の官能基を有することを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、有機化合物(B)は、水溶性又は親水性のカルボジイミド化合物、エポキシ化合物又はオキサゾリン化合物であることを特徴とする凹凸を有する粒子が提供される。
【0012】
一方、本発明の第9の発明によれば、官能基を有する母粒子(A)と該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有する有機化合物(B)とを、前者は溶解しないが、後者は溶解又は分散する少なくとも一種の媒体の存在下で、浸漬又は混合させ、後者が前者の表層部のみ又は表層部と内部の両域にまで含浸した状態とする第1の工程、および引き続いて、前者の官能基と後者の反応基との反応により、前者の表層部に突起部を形成させる第2の工程とを包含することを特徴とする第1〜8のいずれかの発明に係る凹凸を有する粒子の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、上記媒体が水又は有機溶媒であることを特徴とする凹凸を有する粒子の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第9の発明において、母粒子(A)と有機化合物(B)との混合比は、母粒子(A)の官能基1当量に対して、有機化合物(B)の反応基が0.5〜3当量であることを特徴とする凹凸を有する粒子の製造方法が提供される。
【0013】
本発明は、上記した如く、官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ媒体に溶解又は分散可能な有機化合物(B)とから構成されるとともに、その表層部に2以上の突起部を有する粒子であって、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、化学的に結合され、かつ、母粒子(A)は、表層部で上記突起部と化学的に接合していることを特徴とする凹凸を有する粒子などに係るものであるが、その好ましい態様として、次のものが包含される。
【0014】
(1)第1の発明において、有機化合物(B)中に存在する反応基の数は、1分子中に1〜20個であることを特徴とする凹凸を有する粒子。
(2)第1の発明において、有機化合物(B)の分子量(高分子の場合は重量平均)は、100〜30,000であることを特徴とする凹凸を有する粒子。
(3)第1の発明において、母粒子(A)は、官能基を当量で100〜1,000有することを特徴とする凹凸を有する粒子。
(4)第1の発明において、突起部の形状は、球の投影二次元図において球状又は略球状の粒子であることを特徴とする凹凸を有する粒子。
(5)第1の発明において、有機化合物(B)は、反応基(官能基)当量が100〜1,800であることを特徴とする凹凸を有する粒子。
(6)第9の発明において、第2の工程の反応温度は10〜150℃で、反応時間は2〜24時間であることを特徴とする凹凸を有する粒子の製造方法。
(7)第10の発明において、母粒子(A)は、官能基が当量で100〜1,000であり、かつ有機化合物(B)は、反応基が当量で100〜1,800であることを特徴とする凹凸を有する粒子の製造方法。
(8)第10の発明において、母粒子(A)と有機化合物(B)との混合比は、母粒子(A)の官能基1当量に対して、有機化合物(B)の反応基が0.8〜2.5当量であることを特徴とする凹凸を有する粒子の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
1.表層部に凹凸を有する粒子
本発明の表層部に凹凸を有する粒子は、官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ媒体に溶解又は分散可能な、有機化合物(B)とから構成されるとともに、その表層部に2以上の突起部を有する粒子であって、その特徴とするところは、母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、化学反応し、それに伴い化学的に強固に結合されており、その反応の間、母粒子(A)と化学的に結合した残存有機化合物(B)に起因して、少なくとも2以上の突起部が母粒子(A)の表層部に形成される点にある。
【0016】
本発明において、「化学的に結合し」とは化学結合を意味し、共有結合、配位結合、イオン結合等の化学的な結合を意味する。好ましくは共有結合である。
また、媒体に溶解又は分散可能な有機化合物(B)とはエマルジョン等のような媒体中に分散した形態を含む概念である。
その凹凸を有する粒子は、概念的な構造で示せば、図1のような構造のものである。
図1において、突起部Zは、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基からなる結合した残存有機化合物(B)に起因してできる突起部であり、その凹凸間隔は、ランダムである。また、有機化合物(B)の一分子中の反応基のいくつかは、粒子内部又は表面(表層部)と結合している。
また、図1において、突起部Zの突起部径及び凹凸間隔は、母粒子(A)の官能基、種類、含有量と有機化合物(B)の反応基、種類、含有量、及び添加量、温度等の反応条件等により、変化させることが可能である。
【0017】
さらに、本発明の凹凸を有する粒子では、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基の種類、添加量、反応条件等により、形成される突起部を適宜粒子表面(表層部)に多く付加させることも可能である。このように、本発明では、母粒子(A)表面に有機化合物層をもつコア/シェル型の機能性粒子も得ることができる。
また、反応条件により、母粒子(A)が熱可塑性樹脂である場合には有機化合物(B)により、内部を硬化又は半硬化の状態にすることも可能である。
また、凹凸を有する粒子は、母粒子が無機粒子、有機粒子、有機−無機複合粒子であっても硬化した粒子でも、半硬化状態の粒子であってもよい。
尚、本願明細書において硬化とは、架橋等により樹脂を硬化させること、及び熱可塑性を減らし性質を安定にさせた状態にすることをいう。
【0018】
2.有機化合物(B)
本発明の凹凸を有する粒子に係る有機化合物(B)は、母粒子(A)官能基と反応可能な反応基を有する化合物であれば特に差し支えがないが、好ましくはカルボジイミド基含有化合物すなわちカルボジイミド化合物、アミノ基含有化合物すなわちアミノ化合物、エポキシ基含有化合物すなわちエポキシ化合物、又はオキサゾリン基含有化合物すなわちオキサゾリン化合物から選ばれる少なくとも一種が好ましい。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良いし、2種以上の官能基を有する共存化合物で使用しても良い。好ましくは分子間に架橋構造が得られるような1官能以上の有機化合物が良い。
【0019】
有機化合物(B)中に存在する反応基の数は、1分子中(高分子の場合は平均)に1〜20個であることが良く、好ましくは1〜10個が良く、更に好ましくは1〜5個が良い。
【0020】
以下に好ましい有機化合物(B)について、詳細を例示し説明する。
(1)カルボジイミド化合物
カルボジイミド基を有する化合物(即ち、カルボジイミド化合物)は、好ましくは下記式で表される化合物である。
【0021】
−(R−X)−R−A・・・(I)
(A、Aは、独立してセグメントを示し、同一であってもよく、異なっていても良い。Rは独立して2価以上の有機基を示し、Xは独立してカルボジイミド基を示し、nは1〜20、好ましくは1〜10の整数を示す。)
【0022】
上記2価以上の有機基としては、炭化水素基や窒素原子又は酸素原子を含む有機基等が挙げられるが、好ましくは2価の炭化水素基であり、C〜C12のアルキレン基、C〜C10のシクロアルキレン基、環状及び非環状構造を有するC〜C16のアルキレン基、2価のC〜C16の芳香環及び芳香環を含むC〜C18のアルキレン基等が挙げられる。
【0023】
上記式(I)で表されるカルボジイミド化合物としては、例えば、特開昭51−61599号公報に開示されている方法や、L. M. Alberinoらの方法[J. Appl. Polym. Sci., 21, 190(1990)]或いは特開平2−292316号公報に開示されている方法等によって製造することができるポリカルボジイミドを挙げることができる。即ち、有機ポリイソシアネート化合物からイソシアネートのカルボジイミド化を促進する触媒の存在下に製造することができるものである。
【0024】
ポリカルボジイミドの製造に用いる上記有機ポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、粗トリレンジイソシアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメチレントリイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネート、m−フェニルジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートやこれらの任意の混合物を挙げることができる。
【0025】
上記ポリイソシアネート化合物又はそれらの混合物のイソシアネート基をカルボジイミド化することによって重縮合が起こる。この反応は、通常、イソシアネートをカルボジイミド化触媒の存在下で加熱することことによって行われる。その際、適当な段階でイソシアネート基と反応性を有する官能基、例えば水酸基、1級又は2級アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソアイアネート基等を有した化合物を末端封止剤として投入し、カルボジイミド化合物の末端を封止(セグメント)することにより、分子量(重合度)を調整することができる。また、重合度は、ポリイソシアネート化合物等の濃度や反応時間によっても調整することができる。用途によっては末端を封止せずイソシアネート基のままでも良い。
【0026】
上記有機イソシアネートのカルボジイミド化を促進する触媒としては、種々のものを例示することができるが、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシドやこれらの3−ホスホレン異性体などが収率その他の面で好適である。
【0027】
前記したように、本発明に係るカルボジイミド化合物を製造するには、先ず、上記のイソシアネートをカルボジイミド化触媒の存在下で加熱することにより製造する。その場合には、無溶媒下で合成を行なってもよいし、溶媒下で行ってもよい。また、反応途中で溶媒を添加してもよい。その場合は使用用途に応じて適宜選択すればよい。
【0028】
その具体的な媒体としては、代表的なものを例示すると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。合成時にイソシアネート基及びカルボジイミド基に支障を与えないものであれば特に制限されることはなく、重合方法の用途に合った媒体を適宜選択すればよい。また、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
さらに、合成終了後、カルボジイミド樹脂末端を、次に記述する水性化セグメント等で封止していれば、稀釈剤として上記媒体のほか、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類等も使用可能である。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。但し、稀釈の際はカルボジイミド基の反応性が高いため、比較的低温であることが好ましい。
【0030】
これらのカルボジイミド化合物の分子量又は組成、あるいはセグメントを変更することによって、凹凸を有する粒子の凝集度や分散度を自由にコントロールすることが可能である。
【0031】
また、近年環境的配慮から、本発明に係るカルボジイミド化合物は、水溶性又は親水性のセグメントを有しているものが好ましく用いられる。
水溶性又は親水性となるセグメント(上記式中、A、A)としては、例えば親水基を有する水溶化可能なセグメントであれば何でも良いが、好ましくは、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムやヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム等の反応性ヒドロキシル基を少なくとも一つ有するアルキルスルホン酸塩の残基、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−2−プロパノール、5−ジエチルアミノ−2−プロパノールや、2−(ジ−n−ブチルアミノ)エタノール等のジアルキルアミノアルコールの残基の四級塩、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン、3−ジエチルアミノ−n−プロピルアミン、2(ジエチルアミノ)エチルアミン等のジアルキルアミノアルキルアミンの残基の四級塩、ポリ(エチレンオキサイド)モノメチルエーテル、ポリ(エチレンオキサイド)モノエチルエーテル、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)モノメチルエーテル、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)モノエチルエーテル等の反応性ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するポリ(アルキレンオキサイド)の残基が挙げられる。尚、これらの親水性となるセグメント(A、A)は単独でも良いし、二種以上併用しても良いし、共重合させた混合化合物として使用しても差し支えない。
【0032】
(2)エポキシ化合物
エポキシ化合物の具体的に代表的なものを例示すると、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル類;ポリエステル樹脂系のポリグリシジル化物;ポリアミド樹脂系のポリグリシジル化物;ビスフェノールA系のエポキシ樹脂;フェノールノボラック系のエポキシ樹脂;エポキシウレタン樹脂等が挙げられる。
【0033】
また、エポキシ化合物は、市販品が多いことから、例えば具体的な製品名では、ナガセケムテック(株)製の「デナコール」シリーズ、「デナコールEX−611」、−612、−614、−614B、−622、−512、−521、−411、−421、−313、−314、−321、−201、−211、−212、−252、−810、−811、−850、−851、−821、−830、−832、−841、−861、−911、−941、−920、−931、−721、−111、−212L、−214L、−216L、−321L、−850L、−1310、−1410、−1610、−610U等に準ずるようなエポキシ化合物が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0034】
(3)オキサゾリン化合物
本発明に用いられるオキサゾリン化合物としては、特に限定されるものではないが、オキサゾリン環を1個又は2個以上有する化合物等が挙げられる。
オキサゾリン環を1個有する化合物では、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンと分子内にイソシアネート基を有する化合物との反応物や、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンとポリカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸等)のエステル等でもよい。上記に使用されるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルデヒドまたはケトンとビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス−(2−ヒドロキシブチル)アミンなどのビス−(2−ヒドロキシアルキル)アミンとの反応によって得られる。
【0036】
さらに、オキサゾリン環を2個以上有する化合物では、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(5,5’−ジメチルオキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4,4’,4’−テトラメチル−2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ヘキサン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンセン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等のビスオキサゾリン化合物、および、これらのビスオキサゾリン化合物のオキサゾリン基2化学当量と多塩基性カルボン酸(例えばマレイン酸、琥珀酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等)のカルボキシル基1化学当量とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物等を挙げることができる。
【0037】
また、オキサゾリン化合物は、オキサゾリン環を開環させないで付加重合等の重合体から得られる一分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有するポリマー化した化合物でも良い。
例えば具体的に例示すると市販品では、エポクロス[日本触媒(株)製] WS−500、WS−700、K−1010E、K−2010E、K−1020E、K−2020E、K−1030E、K−2030E、RPS−1005等が挙げられる。
【0038】
(4)アミノ化合物
本発明に用いられるアミノ基含有化合物すなわちアミノ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、分子内に1級アミノ基または2級アミノ基に由来する活性水素を1個有する化合物またはその前駆体が挙げられ、好ましくは、分子内に1級アミノ基または2級アミノ基に由来する活性水素を1〜2個有する化合物またはその前駆体である。
【0039】
その具体例としては、(I)脂肪族アミン類(炭素数2〜18、分子量50〜500):(i)脂肪族アミン〔炭素数2〜15のアルキルアミン(n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等)〕;(ii)これらのアルキル(炭素数1〜15)またはアルキル(炭素数1〜15)オキシ置換体(ジ−n−ブチルアミン、N−メチル−ヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン等);(iii)脂環または複素環含有脂肪族アミン(アミノエチルシクロヘキサン、4−メチル−アミノプロピルシクロヘキサン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン等);(iv)芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数7〜15)(ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン等)等;(II)脂環式アミン(炭素数4〜15):シクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン等;(III)複素環式アミン(炭素数4〜15):ピペリジン、4−ピペコリン、3,5−ルペチジン、4−ベンジルピペリジン、モルホリン、ピロリジン、3−ピロリン、N−メチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン等;(IV)芳香族アミン類(炭素数6〜20、分子量90〜1000):(i)非置換芳香族アミン、例えばアニリン、2−ナフチルアミン、3−ナフチルアミン、4−アミノビフェニル等;(ii)核置換アルキル基(メチル,エチル,n−およびi−プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族アミン、例えば4−メチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、4−アミノ−4’−メチルビフェニル、2,6−ジメチル−1−アミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1−アミノナフタレン、2,6−ジブチル−1−アミノナフタレン等、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;(iii)核置換電子吸引基(Cl,Cr,I,F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族アミン、例えば4−クロロアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメトキシアニリン、4,−アミノ−4’−ニトロビフェニル等;(iv)2級アミノ基を有する芳香族アミン〔上記(i)〜(iii)の芳香族アミンの−NHが−NH−R’(R’はアルキル基、例えばメチル,エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕、例えばN−メチルアニリン、N−シクロヘキシルアニリン等;(V)エポキシ付加アミン:エポキシ化合物1モルをアミン類〔上記(I)〜(IV)等〕にエポキシ基あたり1〜2モル付加させることによって得られるエポキシ付加アミン(分子量100〜1000)等;(VI)シアノエチル化アミン:アクリロニトリルとアミン類〔上記(I)〜(IV)等〕との付加反応により得られるシアノエチル化アミン(分子量100〜500)等;並びにこれらの2種以上の混合物である。
【0040】
また、近年環境的配慮から、本発明に係るエポキシ化合物、オキサゾリン化合物は、水溶性又は親水性の化合物が好ましく用いられる。例えば、エポキシ化合物の中では、具体的に代表的なものを例示すると、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル類;グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等の(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル類;ソルビトールポリグリシジルエーテル類等の水溶性エポキシ化合物が挙げられる。
また、オキサゾリン化合物の中では、具体的に代表的なものを例示すると、エポクロス[日本触媒(株)製] WS−500、WS−700等の水溶性のオキサゾリン化合物が挙げられる。
これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0041】
また、これらのカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アミノ化合物等の有機化合物(B)は、分子量(高分子の場合は重量平均)が通常100〜1,000,000程度であるが、本発明に使用する場合は、100〜30,000程度であり、好ましくは200〜5,000であり、更に好ましくは500〜3,000である。分子量が30,000超であると、樹脂層で均一に覆われた粒子となり易く、また、媒体中の粘度が上がりすぎるため、単分散した粒子に悪影響を及ぼす場合がある。一方、平均分子量が100未満であると、凹凸構造を有するような機能性粒子としての性能を活かせない場合がある。
【0042】
凹凸を有する粒子の作製に際し、有機化合物(B)は、液状であれば無溶媒化で使用しても良いし、希釈を行っても良い。有機化合物(B)が固体状であれば、媒体により溶解させても良い。有機化合物(B)の希釈媒体としては、母粒子(A)の形状、性状と使用用途に応じて、適宜選択すれば良い。
その具体的な媒体としては、代表的なものを例示すると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。硬化型粒子の合成時に母粒子(A)及び有機化合物(B)に支障を与えないものであれば、特に制限されることは無く、重合方法の用途に合った媒体を適宜選択すれば良い。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0043】
さらに、有機化合物(B)が水溶性又は親水性の有機化合物であれば、稀釈剤として上記媒体のほか、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類等も使用可能である。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。但し、稀釈の際は有機化合物(B)の反応性が高い場合は、比較的低温であることが好ましい。
【0044】
3.母粒子(A)及びその作製方法
本発明に係る母粒子(A)は、有機化合物(B)と反応し得る官能基を有していれば特に制限はないが、水酸基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、酸無水物類、一級アミンや二級アミンなどのアミン誘導体化合物類が挙げられる。好ましくは水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、チオール基(−SH)等の活性水素基やエポキシ基を有した粒子である。
【0045】
前記母粒子(A)は、媒体には不溶であり、かつ、媒体中で分散性のよいものが好ましい。母粒子(A)になりうるものとしては具体的には、例えば、プラスチック、金属、カーボン、天然高分子、セラミック(無機固体含む)などから形成される、有機粒子もしくは無機粒子、又は有機−無機複合粒子が挙げられる。
【0046】
前記有機粒子としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリ弗化エチレン、ポリイミド及びアクリル樹脂等が挙げられ、好ましくはスチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、他のビニル系重合体の付加重合による共重合体、水素移動重合による重合体、ポリ縮合による重合体、付加縮合による重合体などが挙げられる。
【0047】
無機高分子としては、ガラス、水晶、カーボン、シリカゲル及びグラファイト等が挙げられる。、
金属としては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、磁石、パラマグネット及びアパタイト等の常温固体金属が挙げられる。
天然高分子としては、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン及びアルギン酸等が挙げられる。
セラミックとしては、アルミナ、シリカ、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素及び炭化ホウ素等が、各々例示される。
上記素材は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用した複合粒子としてもよい。
【0048】
母粒子(A)は、市販品があればそれを用いてもよいし、公知の種々の方法を用いて製造してもよい。
例えば、母粒子(A)を作製するにあたり、有機化合物(B)と結合させるためには、必要に応じて母粒子(A)に成り得るコア粒子をあらかじめ修飾しておく必要がある。また、コア粒子に有機化合物(B)を含有させておいてもよい。尚、前記コア粒子の「修飾」とは、母粒子を形成する粒子に後から官能基を導入する場合、及び、予め官能基を有する化合物を用いて官能基を有する粒子を製造する場合、の両者を含む。
【0049】
例えば、目的の粒子が有機粒子や有機−無機複合粒子であれば、以下の方法が挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
母粒子(A)に上記のような官能基を含有させる方法としては、公知の種々の方法を採用できる。例えば、粒子が不飽和モノマー由来のポリマー粒子の場合は、ポリマー重合時に有機化合物(B)と結合可能な官能基を有する不飽和モノマーを共重合させて母粒子(A)を製造する方法等が挙げられる。
また、例えば、コアとなる粒子が金属類または酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機粒子の場合は、粒子の表面を有機化合物(B)と結合可能な官能基を有するシランカップリング剤、チタンカップリング剤等で表面処理して母粒子(A)とする方法等が挙げられる。
また、例えば、コアとなる粒子が有機−無機材料からなる複合粒子(磁性体を含有するポリマー粒子等)の場合にも、有機−無機材料の成分量に応じて上記した方法を複合することにより、母粒子(A)を作製することが可能である。
【0050】
本発明に係る有機高分子を有する母粒子(A)の作製方法は、有機化合物(B)と反応し得る官能基(具体的には水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基等の活性水素基やエポキシ基など)を持った粒子の作製方法が挙げられ、例えば、
(1)一般的な塊状重合、溶液重合により得られた溶液樹脂を粉砕、分級して粒子を得る方法、
(2)上記重合法から滴下して樹脂及び粒子(球状粒子含む)を得る方法、
(3)水溶液中で行う乳化もしくは懸濁重合により樹脂及び粒子(球状含む)を得る方法、
(4)また、上記(3)とシード法等を組み合わせて樹脂及び粒子を得る方法、
(5)非水溶媒中又は水との混合溶媒中での分散重合法によって樹脂及び粒子(主に球状)を得る方法、
(6)また、上記(5)とシード法等を組み合わせて樹脂及び粒子を得る方法、
等が挙げられるが、粒子に限らず
(7)押し出し成形機などによりペレット状にした樹脂及び粒子やフィルム状樹脂、
(8)射出成形機などから得られた成形品、
等も、特に限定されるものでは無く、樹脂及び粒子の官能基の量、樹脂及び粒子径、成形品厚み等条件を満たしている組成物及び粒子であれば、どんな方法で作製しても良い。
尚、母粒子(A)の作製方法において、上記重合法により得られた粒子は、予め架橋構造を有している粒子であっても特に差し支えなく、本発明の凹凸を有する粒子の製造に用いることができる。
【0051】
本発明に係る母粒子(A)は、凹凸を有する粒子の用途に応じて異形でも球形でも特に差し支えはないが、近年、より精度の高いものが望まれており、粒子径が揃った粒子や形状が球状又は略球状の粒子であることが好ましい。
【0052】
上記の母粒子(A)が、有機高分子を含有する粒子であれば、通常、母粒子として作成可能な分子量を有していれば特に限定するする必要は無く、通常平均分子量が重量平均で1,000〜3,000,000程度である。但し、特に母粒子(A)が溶液重合等により得られる球状粒子であれば、一般的には重量平均分子量で3,000〜500,000程度である。
【0053】
以下、母粒子(A)の作製法を、ポリマー粒子を用いた場合を一例として、説明する。
母粒子(A)となり得るポリマー粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、他のビニル系重合体の付加重合による共重合体、水素移動重合による重合体、ポリ縮合による重合体、付加縮合による重合体などが挙げられる。
【0054】
その主成分となる共重合可能な原料単量体としては、その具体的に代表的なものを例示すると、(i)スチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3、4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、(ii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチルアクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルの如き(メタ)アクリル酸エステル類、(iii)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、(iv)アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、(v)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、(vi)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、(vii)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、(viii)ふっ化ビニル、ふっ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、又はアクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピレルなどのフッ素アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、また、2種類以上を併用しても良い。
【0055】
有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのカルボキシル基を有するラジカル重合性単量体又はカルボキシル基を有する化合物としては、具体的に代表的なものを例示すると、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなど各種の不飽和モノないしジカルボン酸類又は不飽和二塩基酸類等が挙げられ、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0056】
また、有機化合物(B)と反応し得る官能基としての水酸基を有するラジカル重合性単量体又は水酸基を有する化合物としては、具体的に代表的なものを例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリル系化合物類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等の各種ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の各種アリル化合物等が挙げられ、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0057】
さらに、水酸基を有するポリマーとしては、具体的に代表的なものを例示すると、ポリビニルアルコール(PVA)等の完全けん化、および部分けん化樹脂、酢酸ビニルとその他のビニル単量体との共重合体とからなる酢酸エステル含有ポリマーのけん化樹脂等の水酸基含有樹脂が挙げられ、これらを用いてもよい。
【0058】
また、有機化合物(B)と反応し得る官能基としての、アミノ基を有するラジカル重合性単量体及びアミノ基含有化合物又はアミン誘導体からなる化合物等が挙げられる。具体的に代表的なものを例示すると、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸−N−プロピルアミノエチル、メタクリル酸−N−エチルアミノプロピル、メタクリル酸−N−フェニルアミノエチル、メタクリル酸−N−シクロヘキシルアミノエチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体;アリルアミン、N−メチルアリルアミン等のアリルアミン系誘導体;p−アミノスチレン等のスチレン系誘導体;2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン等のトリアジン誘導体等が挙げられ、好ましくは一級もしくは二級のアミノ基を有する化合物である。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0059】
さらに、有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのチオール(メルカプト)基を有するラジカル重合性単量体又はチオール(メルカプト)基を有する化合物としては、具体的に代表的なものを例示すると、2−プロペン−1−チオール、3−ブテン−1−チオール、4−ペンテン−1−チオール、(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプト−1−カルボキシエチル、N−(2−メルカプトエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプト−1−カルボキシエチル)アクリルアミド、N−(2−メルカプトエチル)メタクリルアミド、N−(4−メルカプトフェニル)アクリルアミド、N−(7−メルカプトナフチル)アクリルアミド、マイレン酸モノ2−メルカプトエチルアミド等の不飽和二重結合を有するメルカプト(チオール)基含有単量体又は化合物、テトラメチレンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、オクタメチレンジチオール、デカメチレンジチオール等の2官能基以上を持った化合物とチオール(メルカプト)基と反応し得る反応基を含有し、−C=C−不飽和2重結合を有した単量体との架橋反応を有した化合物等が挙げられるが、これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、チオール(メルカプト)基を有するポリビニルアルコール変性体等のチオール(メルカプト)基を含有した樹脂等も挙げられる。
【0060】
さらに、有機化合物(B)と反応し得る官能基としてのエポキシ基を有するラジカル重合性単量体又はエポキシ基を有する化合物としては、具体的に代表的なものを例示すると、グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、ジ(β−メチル)グリシジルマレート、ジ(β−メチル)グリシジルフマレート等のエポキシ基含有単量体;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル類;ポリエステル樹脂系のポリグリシジル化物;ポリアミド樹脂系のポリグリシジル化物;ビスフェノールA系のエポキシ樹脂;フェノールノボラック系のエポキシ樹脂;エポキシウレタン樹脂等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0061】
また、共重合体にカルボキシル基や水酸基やアミノ基やチオール(メルカプト)基やエポキシ基などの複合基を導入したい場合は、前記した各種の反応基を含有した単量体を併用することによって多官能共重合体にすれば良い。更に有機化合物の添加量や反応温度や条件を調整することで反応基を含めた多官能粒子もできる。
【0062】
一方、本発明に係る母粒子(A)の製造に用いられ、ラジカル重合をする際に使用する重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤等を使用できる。
具体的に代表的なものを例示すると、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0063】
また、母粒子(A)を作製する場合、前記に記述してあるように様々な合成方法、重合方法が用いられるが、塊状重合等のように無溶媒化での合成はもちろん、溶液重合等のような媒体下での合成を挙げることができる。
その具体的な重合媒体として代表的なものを例示すると、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレンブリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。特に制限されることは無く、重合方法の用途に合った媒体を、適宜選択すれば良い。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0064】
さらに、粒子を作製する場合は、使用可能な重合方法に応じて(高分子)分散剤、安定剤、乳化剤及び界面活性剤等を適宜選択し使用しても良い。
それらについて、具体的に代表的なものを例示すると、分散剤及び安定剤としては、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポチエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性又は親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0065】
また、乳化剤(界面活性剤)としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0066】
また、母粒子(A)として、樹脂又は粒子を作製する場合は、使用する用途に応じて少量の架橋剤を使用しても、特に差し支えない。
具体的に代表的なものを例示すると、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0067】
4.表層部に凹凸を有する粒子の作製方法
本発明の表層部に凹凸を有する粒子(凹凸粒子)の作製方法としては、先ず、有機化合物(B)と反応し得る官能基を含有する母粒子(A)を作製し、該粒子が溶解しない媒体下で、その媒体に溶解又は分散可能な有機化合物を添加し、反応させて粒子の形状を変形させることなく凹凸を有する粒子を得るものであり、言い替えると、その官能基を有する母粒子(A)と反応基を有する有機化合物(B)とを、前者の非溶剤であるが後者は溶解又は分散する少なくとも一種の媒体の存在下で、浸漬又は混合させ、後者が前者の表層部のみ又は表層部と内部の両域にまで含浸した状態とする第1の工程と、引き続いて前者の官能基と後者の反応基との反応により、前者の表層部に突起部を形成させる第2の工程とを包含することを特徴とするものである。このようにして、凹凸を有する粒子が得られる。
【0068】
また、その際、好ましくは、下記の数式[1]で示される突起部の平均的口径(L)は、母粒子(A)の平均径(L)に対して、(L)/(L)が下記の数式[2]の範囲であることを特徴とするものである。
L=(L+L)/2 [1]
0.01≦(L)/(L)≦0.5 [2]
(式中、Lは突起部短径、Lは突起部長径を示す。)
【0069】
表層部に凹凸を有する粒子を得るためには、(i)母粒子(A)の種類、官能基量と、(ii)有機化合物(B)の種類、官能基量、分子量、添加量と、(iii)反応温度、反応時間、重合媒体の種類等を調整することにより、容易に目的の突起部径、凹凸間隔を有する粒子を得ることができる。例えば、母粒子(A)の粒子径にも大きく左右されるが、母粒子(A)の官能基量に対して、0.5当量以上の官能基を有する有機化合物(B)とを媒体中で反応させることで可能である。
また、表面に凹凸を有する粒子を得るには、少なくとも母粒子(A)の表面を適度に架橋させ、且つ表面層を有機化合物(B)で覆われるような樹脂層を形成させない程度に、調整することが重要である。例えば、(i)母粒子(A)又は有機化合物(B)の官能基や反応基が多量に存在しすぎると、表面の架橋度が上がりやすく、凹凸を有する粒子とはならない場合や、(ii)有機化合物(B)の分子量が大きすぎたり、添加量を多くしすぎても、偏平化した粒子や樹脂層でほぼ均一に覆われた粒子となり、良好な凹凸を有する粒子が得られない場合がある。
そのために、母粒子(A)の官能基量、有機化合物(B)の反応基量を、種類、一分子中の個数、分子量等に応じて、調整することが好ましい。
尚、これらの母粒子(A)の官能基当量、有機化合物(B)の反応基当量、媒体の種類、温度等の調整が不十分であると、得られる単分散粒子は、凹凸粒子化せず、表面の架橋密度の高い粒子、樹脂層でほぼ均一に覆われた粒子、偏平状粒子、複数の穴を有する粒子、凹部を有する多孔質状の粒子等が得られる場合がある。
【0070】
表層部に凹凸を有する粒子を得るための上記の調整方法を、更に説明すると、例えば、母粒子(A)は、官能基が当量で100〜1,000であり、有機化合物(B)の反応基の含有量は、反応基当量で100〜1,800であり、有機化合物(B)の添加量は、母粒子の官能基に対して、当量比で0.5〜3であるとよい。また、反応温度は、10〜150℃で、反応時間は、反応温度が50℃で2〜24時間であると、表層部に凹凸を有する粒子を調製することができる。これらの詳細については、後でさらに説明する。
【0071】
なお、上記の第1の工程において、母粒子(A)と有機化合物(B)以外に、所望に応じて、分散剤、酸化防止剤、安定剤、乳化剤又は触媒などを適宜選択し、添加することもできる。
具体的に代表的なものを例示すると、分散剤、安定剤、乳化剤は、前記してあるようなものと同様のものであり、他に酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒドロキノン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0072】
また、触媒(反応促進剤)としては、第2の工程における反応を促進させる触媒であれば、特に限定されず、公知のものを使用すればよく、粒子物性に悪影響を及ぼさない範囲で適宜選択して、適量を添加すれば良い。例えば、母粒子(A)の官能基と有機化合物(B)の反応基の少なくともどちらかにエポキシ基が含有されている場合は、具体的に、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、トリフェニルアミン等の三級アミン類;トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム化合物類;トリフェニルホスフィン、トリシクロホスフィン等のホスフィン類;ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、等のホスホニウム化合物類;2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩類;有機酸のアルカリ金属塩類;三塩化硼素、三弗化硼素、四塩化錫、四塩化チタン等のルイス酸性を示すハロゲン化物類またはその錯塩類等の触媒を添加することが可能である。これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0073】
有機化合物(B)が有する反応基と反応し得る官能基を有する母粒子(A)は、官能基が当量で100〜1,000を満たすものが良く、好ましくは当量で100〜500、さらに好ましくは当量で150〜500を満たすものが良い。当量が1,000超であると、分子間隔が広すぎて架橋能力が低下し、一方、100未満であると、逆に結合度が上がりすぎて凹凸構造を有するような機能性粒子の特徴が得られない場合がある。
但し、極微量の凹凸を有する粒子を得る場合には、その限りでない(すなわち、1000超/官能基でもよい)。
また、母粒子が無機粒子や有機−無機複合粒子等からなる場合も同様である。尚、前記「当量」とは、化学反応における物質の量的関係に基づいて化合物ごとに割り当てた一定量を示すものであり、例えば本発明における有機母粒子では、有機化合物(B)と反応可能な官能基1mol当たりの母粒子の化学式量を表す。
【0074】
官能基を有する母粒子(A)としては、有機化合物(B)と反応し得る官能基を有していれば、特に限定されず、例えば水酸基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、酸無水物類、一級アミンや二級アミンなどのアミン誘導体化合物類が挙げられるが、好ましくは水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基等の活性水素基を有している粒子が良く、更に中でもカルボキシル基、水酸基、アミノ基を有している粒子が好ましい。
表層部に凹凸を有する粒子を作製するために、必要な有機化合物(B)の反応基の含有量は、反応基当量で100〜1,800であり、好ましくは100〜1,000、更に好ましくは150〜900である。有機化合物(B)の反応基当量が1,800超であると、結合度が低下しすぎて凹凸を有する粒子とならないし、一方、100未満であると、逆に結合度が上がりすぎて凹凸構造を有するような機能性粒子の特徴が得られない場合がある。
但し、極微量の凹凸を有する粒子を得る場合には、その限りでない(すなわち、1,800超/官能基でもよい)。
【0075】
官能基を有する母粒子の形状としては、好ましくは、球状又は略球状であるが、異形粒子(非球状)であってもよい。
また、母粒子(A)及び得られた凹凸を有する粒子は、粒子径が0.05〜80μmの粒子が良く、好ましくは0.1〜50μm、更に好ましくは0.5〜20μm、最良は0.8〜10μmの粒子が良い。粒子径が80μm超であると、突起部径が目立たなくなり、上記範囲を満たせない場合がある。一方、粒子径が0.05μm未満であると、粒子径が小さすぎるために凝集してしまい、単分散化した凹凸を有する粒子が得られない場合がある。
【0076】
また、母粒子(A)の形状が粒子ではなく、フィルム状の組成物であっても、そのフィルム状の厚みが上記の粒子径の範囲であれば、凹凸付加が可能であり、機能性も付与することができる。
【0077】
有機化合物(B)の添加量は、表層部の凹凸化の必要な有機化合物の残量に左右されるが、母粒子の官能基に対して、当量比で0.5〜3を目安に添加すれば良く、好ましくは当量で0.8〜2.5、更に好ましくは当量で1〜2が良い。
尚、目的とする粒子径によっては有機化合物(B)の添加量が、当量比で3超の場合でも凹凸を有する粒子は可能であるが、媒体中の残存有機化合物が多くなるので母粒子表層部が有機化合物層で覆われた粒子となり易い。また、添加量が、当量比で0.5未満であると、結合度が低下しすぎて凹凸を有さない粒子か、又は極微量の突起部を有する粒子となる。
【0078】
凹凸を有する粒子を得るために、反応させる反応温度は、媒体の種類に左右されるが、10〜150℃の範囲が良く、好ましくは15〜80℃、更に好ましくは30〜60℃の範囲が良い。
また、凹凸化粒子作製に要する時間は、凹凸化がほぼ完結するのに要する時間であれば良く、使用する有機化合物及び添加量、粒子内官能基種類、溶液の粘度、及び濃度等に大きく左右されるが、例えば50℃で2〜24時間、好ましくは8〜16時間程度である。
尚、前記要因を変更し反応時間を長くした(24時間超)場合においても凹凸を有する粒子は得られるが、製造方法上、時間を要すことは得策ではない。
また、反応時間が極度に短いと、凹凸を有する粒子とならない場合や母粒子も硬化させたいときは硬化できない場合がある。
【0079】
母粒子(A)が溶解せず、有機化合物(B)が溶解又は分散する媒体は、水又は有機溶媒から選ばれる少なくとも一種の媒体であり、使用する有機化合物及び添加量、母粒子の成分となる樹脂の種類及び含有する官能基の種類、使用用途等を考慮して、適宜選択すれば良い。
その具体的な媒体としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレンブリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ジシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。
好ましくは、水、メタノールやエタノールなどの低級アルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのエーテルアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドンなどの水溶性有機溶媒、水と低級アルコールの混合物、水とエーテルアルコールの混合物、水と水溶性有機溶媒との混合物等のような水溶性及び親水性となる媒体、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレンなどが挙げられる。また、特に母粒子(A)が有機系粒子の場合は、母粒子(A)は溶解せず、有機化合物(B)が溶解するように媒体の溶解性を比較的容易に調整できる水、メタノールやエタノールやイソプロピルアルコールなどの低級アルコール、エーテルアルコール、水と低級アルコールとの混合物、水とエーテルアルコールとの混合物、水と水溶性有機溶媒との混合物のような水溶性及び親水性の媒体が更に好ましい。
これらは、特に制限されることは無く、使用用途に合った媒体を、適宜選択すれば良い。また、これらは単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0080】
凹凸を有する粒子を形成するにあたり、結合反応時の溶液濃度は、次の計算式で算出すると、1〜60重量%であり、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
溶液濃度(重量%)=[(全溶液−媒体)/全溶液]×100
尚、上記溶液濃度が60重量%超であると、母粒子(A)または有機化合物(B)の量が過剰となり、溶液内のバランスが崩れ、単分散化した凹凸を有する粒子を得ることが難しくなるため、好ましくない。また、上記溶液濃度が1重量%未満であると、凹凸を有する粒子の作製は可能であるが、目的の粒子を得るためには、長時間に渡り合成をおこなわなけらばならないため、製造方法上、時間を要すことは得策ではない。
【0081】
母粒子(A)が球状粒子である場合は、本発明の母粒子の形状は、球の投影二次元図において、球状化指数(長径/短径):
1 ≦ 長径/短径 ≦ 1.2
を満たす球状粒子である。
【0082】
尚、本明細書においては、走査電子顕微鏡(日立 S−2150 以後SEMと称する)にて測定可能な倍率(1,000〜20,000倍)で写真を撮り、粒子1個に対して直径をランダムに15回測定し、長径及び短径を測定する。これをランダムにn=100繰り返し測定し、上記式を満たすものを球状粒子と定義した。
また、粒子径の測定方法は、SEMにて測定可能な倍率(1,000〜20,000倍)で写真を撮り、ランダムにn=500個測定し、平均粒子径を測定した。
また、突起部径測定方法は、SEMにて測定可能な倍率(1,000〜20,000倍)で写真を撮り、突起部一個に対して長径及び短径を測定し、その平均を突起部径とし、ランダムにn=500個測定し、平均突起部径を測定した。
【0083】
また、前述したように、下記の数式[1]で示される突起部の平均的口径(L)は、母粒子(A)の平均径(L)に対して、(L)/(L)が、
L=(L+L)/2 [1]
(式中、Lは突起部短径、Lは突起部長径を示す。)
0.01≦(L)/(L)≦0.5 [2]
を満たすものが良く、好ましくは、
0.01≦(L)/(L)≦0.3 [3]
を満たすものが良いく、更に好ましくは、
0.02≦(L)/(L)≦0.25 [4]
を満たすものが良い。
【0084】
本発明の表層部に凹凸を有する粒子は、有機化合物(B)と反応し得る官能基を含有する母粒子を、その粒子とは非溶剤であるが有機化合物の溶剤である水又は有機溶媒の存在下で、有機化合物(B)と混合し、反応させることにより得られ、その性能面では、比表面積を大きくすることで表面の改質が可能であり、また硬化粒子としての耐熱性と耐溶剤性の向上が、更に、反応性粒子としての接着性と密着性の優れた効果を得ることが可能である。
そのため、母粒子が熱可塑性樹脂の場合は硬化樹脂へ変換することもでき、また、粒子内部及び表面に、例えば、カルボジイミド反応基、エポキシ反応基、オキサゾリン反応基等を付加させることができ、他の物質との密着性、接着性を向上させることができる。
さらに、水溶性の有機化合物(B)を使用すると、粒子の分散性が向上し、反応基を持った染料及び顔料を有機化合物の残存官能基と反応させることで色落ちのない着色が可能となる。
本発明の凹凸を有する粒子は、このような性能を保持し、硬化粒子又は反応性能を有する機能性粒子であるため、架橋剤、耐加水分解安定剤、熱可塑性樹脂硬化剤、接着剤、コーティング剤若しくは塗料、自動車分野や電気電子分野の補強材や助材、又は家具や建材などの広範囲な各分野に使用可能である。また、液晶用スペーサ等にも応用可能である。
【0085】
さらに、凹凸を有する粒子の製造方法では、粒子径を制御可能な粒子製造方法、例えば乳化重合、懸濁重合、分散重合等で粒子径を制御した球状粒子の形状を保持したまま凹凸を有した球状又は略球状の粒子に、変更できることから精密な粒子設計が可能である。
また更に、凹凸を有する粒子の製造方法では、例えば乳化重合、懸濁重合、分散重合等で合成された球状粒子に、直接、簡素に有機化合物を取り付けることができ、コア/シェル型構造粒子としての用途にも使用可能である。
また、有機化合物溶液で母粒子を凹凸化及び硬化させることが可能であるために、未反応であった残存有機化合物(B)を何度も再利用でき、経済的にも良い製造方法である。
【0086】
【実施例】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。尚、以下において、特に断りのない限り「部」は「重量部」を、「水」は「蒸留水」の意味である。
【0087】
<粒子の合成>
[試作粒子例1](比較例1)
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度80℃で約15時間加熱をして、スチレン−メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 68.8部
メタクリル酸 17.2部
メタノール 195.5部
水 34.5部
アゾビス2−メチルブチロニトリル(ABNE) 2.0部
スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液 75.0部
(但し、スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液は、スチレン:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル=2:8 40重量%メタノール溶液である。)
【0088】
次に、この粒子溶液の一部を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、球状の粒子群であり、粒子径を測定したところ、平均粒子径が4.21μmであった。また、この粒子の平均球状化指数(長径/短径)は1.04であった。
尚、この粉体粒子の一部を比較例1とした。
【0089】
[試作粒子例2](比較例2)
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱をしてスチレン−メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 30.1部
メタクリル酸 12.9部
メタノール 208.0部
水 50.0部
アゾビス2−メチルブチロニトリル(ABNE) 1.0部
ポリビニルピロリドン(K−90) 15.0部
【0090】
次に、この粒子溶液を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、球状の粒子群であり、粒子径を測定したところ、平均粒子径が0.98μmであった。また、この粒子の平均球状化指数は1.03であった。
尚、この粉体粒子の一部を比較例2とした。
【0091】
[試作粒子例3](比較例3)
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度80℃で約15時間加熱をしてスチレン−メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 48.2部
メタクリル酸 20.6部
メタノール 179.8部
エタノール 29.9部
水 59.8部
アゾビス2−メチルブチロニトリル(ABNE) 3.0部
スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液 75.0部
(但し、スチレン−メタクリル系共重合樹脂溶液は、スチレン:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル=2:8 40重量%メタノール溶液である。)
【0092】
次に、この粒子溶液の一部を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、球状の粒子群であり、粒子径を測定したところ、平均粒子径が5.26μmであった。また、この粒子の平均球状化指数は1.05であった。
尚、この粉体粒子の一部を比較例3とした。
【0093】
[試作粒子例4]
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、窒素にて溶存酸素を置換した後、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度78℃で約15時間加熱をしてスチレン−メタクリル酸共重合粒子溶液を得た。
スチレン 86.0部
メタノール 138.0部
エタノール 92.0部
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 6.5部
ポリビニルピロリドン(K−30) 35.0部
【0094】
次に、この粒子溶液の一部を公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3〜5回程度洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、球状の粒子群であり、粒子径を測定したところ、平均粒子径が3.47μmであった。また、この粒子の平均球状化指数は1.04であった。
尚、この粒子溶液を比較例4用とした。
これら母粒子の合成のまとめを表1に示す。
【0095】
【表1】
Figure 2005017773
【0096】
有機化合物(B)の合成例
<カルボジイミド樹脂の合成>
[カルボジイミド樹脂合成例1]
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)800gとカルボジイミド化触媒4gを180℃で5時間反応させイソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(平均重合度=1.1)を得た。ついで得られたカルボジイミド729.6gと平均重合度m=4のポリオキシエチレンモノメチルエーテル604.9gを140℃で3時間反応させた。これに蒸留水889.7gを徐々に入れ、淡黄色透明のカルボジイミド樹脂溶液(樹脂濃度60重量%)を得た。カルボジイミド当量は、834/NCNであった。
【0097】
[カルボジイミド樹脂合成例2]
2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)800gと平均重合度m=8のポリオキシエチレンモノメチルエーテル706.2gと50℃で1時間初期反応させた後、カルボジイミド化触媒8gを加え85℃で6時間反応させ、末端封止したカルボジイミド樹脂(平均重合度=4)を得た。これに蒸留水896.3gを徐々に入れ、淡黄色透明のカルボジイミド樹脂溶液(樹脂濃度60重量%)を得た。カルボジイミド当量は、366/NCNであった。
カルボジイミド化合物の合成例1、2のまとめを表2に示す。
【0098】
【表2】
Figure 2005017773
【0099】
<凹凸を有する粒子の合成例>
[実施例1]
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度60℃で約15時間加熱を行い、カルボジイミドを反応させた粒子溶液を作製した。
試作粒子1溶液 30.0部
合成例1のカルボジイミド樹脂溶液 21.2部
水 14.4部
メタノール 91.7部
【0100】
次に公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、表層部に凹凸を有する粒子群であった。
また、この粒子をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長1400〜1800(1/cm)にかけて化学結合に由来する吸収ピークの増大が得られ、波長2150(1/cm)前後でカルボジイミド基による吸収ピークが得られた。
この得られた凹凸を有する粒子のSEM写真を、図2に示す。
【0101】
[実施例2]
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度45℃で約15時間加熱を行い、カルボジイミドを反応させた粒子溶液を作製した。
試作粒子2 6.0部
合成例2のカルボジイミド樹脂溶液 25.5部
水 23.0部
メタノール 77.5部
【0102】
次に公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、表層部に凹凸を有する粒子群であった。
また、この粒子をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長1400〜1800(1/cm)にかけて化学結合に由来する吸収ピークの増大が得られ、波長2150(1/cm)前後でカルボジイミド基による吸収ピークが得られた。
この得られた凹凸を有する粒子のSEM写真を、図3に示す。
【0103】
[実施例3]
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、室温で1時間撹拌機で分散化した後、触媒としてトリブチルアミンを0.1g添加して窒素気流下オイルバス温度70℃で約15時間加熱を行い、エポキシ含有粒子溶液を作製した。
試作粒子3 9.0部
デナコールEX−1610 10.7部
メタノール 76.8部
水 55.2部
[但し、「デナコールEX−1610」は、ナガセケムテック(株)製のエポキシ化合物で、エポキシ当量が170のものである。]
【0104】
次に、公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、実施例1、2同様に表層部に凹凸を有する粒子群であった。
また、この粒子の一部をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長3200〜3600(1/cm)にかけて化学結合に由来する水酸基の吸収ピークの増大が得られ、波長910(1/cm)前後でエポキシ基による吸収ピークを確認した。
【0105】
<比較粒子の合成例>
[比較例4]
フラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度50℃で約5時間加熱を行い、カルボジイミド含有粒子溶液を作製した(試作粒子4溶液を使用した以外は、実施例1と同条件である)。
試作粒子4溶液 30.0部
合成例1のカルボジイミド樹脂溶液 22.8部
水 15.5部
メタノール 98.4部
【0106】
次に公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、球状の粒子群であり、表層部に凹凸を有する粒子とはならなかった。尚、この粒子をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長2150(1/cm)前後でカルボジイミド基による吸収ピークが得られなかった。
【0107】
[比較例5]
300mlフラスコに下記に示した割合の混合物を一括して仕込み、撹拌機で窒素気流下オイルバス温度45℃で約15時間加熱を行い、カルボジイミド含有粒子溶液を作製した(合成例2のカルボジイミド樹脂溶液の添加比を変更した以外は実施例2と同条件である)。
試作粒子2 3.0部
合成例2のカルボジイミド樹脂溶液 31.9部
水 23.4部
メタノール 84.3部
【0108】
次に公知の吸引ろ過設備を使って水−メタノール混合溶液(3:7)で3回程度、洗浄−ろ過を繰り返して真空乾燥後、粒子を得た。この粒子をSEM(日立製 S−2150)にて形状を観察したところ、平均粒子径が1.7μmの表層部に樹脂層を有した球状の粒子群であり、凹凸を有した粒子とはならなかった。尚、この粒子をフーリエ変換赤外分光光度計(島津製 FT−IR8200PC)で測定したところ、波長1400〜1800(1/cm)にかけて化学結合に由来する吸収ピークの増大が得られ、波長2150(1/cm)前後でカルボジイミド基による吸収ピークが得られた。
実施例1〜3と比較例4、5の粒子合成のまとめを表3に示す。
【0109】
【表3】
Figure 2005017773
【0110】
<凹凸を有する粒子の評価試験>
[評価試験1](凹凸化及び突起部評価)
実施例粒子1〜3を走査電子顕微鏡(日立 S−2150 以後SEMと称する)にて測定可能な倍率(1,000〜20,000倍)で写真を撮り、各粒子の突起部一個に対して長径及び短径を測定し、その平均を突起部径とし、ランダムにn=500個測定し、平均的突起部口径(L)を測定した。また、母粒子(A)の平均径(L)に対して(L)/(L)を求めた。
それらの結果を表4に示す。
【0111】
【表4】
Figure 2005017773
【0112】
評価試験1及び実施例粒子1〜3のフーリエ変換赤外分光光度計の結果から、母粒子(A)と有機化合物(B)とからなる粒子は、規定範囲の凹凸を有する粒子であることが確認できた。
【0113】
[評価試験2](突起部粒子の結合性評価)
実施例粒子1〜3で得られた粒子各1gを水−メタノール混合溶液(3:7)100mlに入れ、ホモジナイザー[(株)日本精機製作所製 US−150T]にて数分間、振動又は衝撃を与えた後、公知の吸引ろ過設備を使って、ろ過を行なった。この動作を5回繰り返した後、真空乾燥して粒子を得た。この粒子をSEMにて形状の観察をして実施例1〜3で得られた粒子との比較を行なった。
それらの結果を表5に示す。
【0114】
【表5】
Figure 2005017773
【0115】
評価試験1の結果から実施例1〜3の粒子は母粒子と強固に結合された突起部を有していることが確認できた。尚、前述したように、IR吸収ピークでも確認している。
【0116】
[評価試験3](耐溶剤性及び硬化性評価)
300mlフラスコに実施例1〜3及び比較例1〜5の粒子各0.5gを水、メタノール、トルエンの各媒体100mlに入れ、常温で30分撹拌した後、目視で耐溶剤性の評価を行った。また、SEMにより形状の確認を行った。それらの結果を表6に示す。
【0117】
【表6】
Figure 2005017773
【0118】
評価試験3(実施例粒子1〜3、比較例粒子1〜5)の結果から、比較例粒子1〜2の母粒子は、メタノール、トルエンに溶解したが、実施例粒子1〜3は、溶解せず、形状を維持したままであった。尚、比較例粒子4〜5は、前記のように凹凸を有さない粒子である。
このことから、母粒子と有機化合物とからなる新しい結合基が構成されて、硬化していることが確認できた。また、実施例粒子の溶液分散性は良好であった。
【0119】
[評価試験4](接着性、密着性、耐溶剤性評価)
実施例1〜3で得た粒子及び比較例1〜5で得た粒子各0.5gを、水−メタノール(3:7)溶液9.5gに分散させ、5重量%粒子溶液を作製した。次にアミノ基含有シランカップリングコートを施してあるスライドガラス(コーニング社製)に少量塗布し、100℃にした乾燥機で1時間熱処理を行った。その後、熱処理を行ったスライドガラスをメタノール浴槽(5L)に20分間浸した後、自然乾燥させた。次に乾燥させたスライドガラスに10cm程度間隔をあけた所から10秒間エアーブロー(2.0kgf/cm)を施した後、スライドガラス表面の状態を観察し、接着性、密着性の評価を行った。また、付着物があるものに対してはSEMにより再度形状の確認を行った。それらの結果を表7に示す。
【0120】
【表7】
Figure 2005017773
【0121】
評価試験4(実施例粒子1〜4、比較例粒子1〜5)の結果から、実施例粒子1〜3では、接着性、密着性と耐溶剤性に優れており、一方、比較例粒子1〜4では、十分な接着性と耐溶剤性(耐薬品性)が得られないことが確認できた。
尚、比較例粒子5は、前記のように凹凸を有さない粒子である。
【0122】
上記の実施例と比較例及び評価試験の結果より、本発明の実施例1〜3からは、有機化合物の特性を有した機能的な凹凸を有する粒子として、耐熱性、耐溶剤性、接着性、密着性、粘着性、溶液分散性うち少なくとも1つ以上の機能的効果が得られることが明らかになった。
一方、比較例1〜5では、凹凸を有する粒子とはならず、そして、比較例1〜4からは、有機化合物による特性が得られなかった。
これらの結果から、本発明の新規な凹凸を有する粒子は、新しい結合によって得られる粒子であり、耐熱性、耐溶剤性、接着性、密着性、粘着性、溶液分散性等の少なくとも1つ特性を持つことができ、非常に優れた機能的な凹凸を有する粒子であることが明らかになった。
【0123】
【発明の効果】
本発明の表面に凹凸を有する粒子は、有機化合物と反応し得る基を含有する粒子を、その粒子とは非溶剤であるが有機化合物の溶剤である水又は有機溶媒の存在下で、有機化合物と混合し結合させることにより得られ、その特徴面では、凹凸ならではの比表面積の増大化、機能的粒子としての耐熱性、耐溶剤性、接着性、密着性、粘着性、分散性等の優れた効果が得られる。
このような性能を保持した凹凸を有する粒子であり、突起部が化学的結合により付着して、剥がれ等による不用物発生しにくいことから、静電荷現像剤、塗料・紙コーティング・情報記録紙等へのコーティング剤、接着剤、粘着剤、光拡散剤、自動車分野、電材分野、芳香剤、化粧料、医薬、農薬、建築材料等、広範囲の分野にわたり用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凹凸を有する粒子の概念図である。
【図2】本発明の実施態様である表層部に凹凸を有する粒子のSEM写真である。
【図3】本発明の他の実施態様である表層部に凹凸を有する粒子のSEM写真である。

Claims (11)

  1. 官能基を有する母粒子(A)と、該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有しかつ媒体に溶解又は分散可能な有機化合物(B)とから構成されるとともに、その表層部に2以上の突起部を有する粒子であって、
    母粒子(A)中に存在する官能基の少なくとも一部と、母粒子(A)の表層部のみ又は表層部と内部の両域に含浸させた有機化合物(B)中に存在する反応基の少なくとも一部とは、化学的に結合され、かつ、母粒子(A)は、表層部で上記突起部と化学的に接合していることを特徴とする凹凸を有する粒子。
  2. 下記の数式[1]で示される突起部の平均的口径(L)は、母粒子(A)の平均径(L)に対して、(L)/(L)が下記の数式[2]の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸を有する粒子。
    L=(L+L)/2 [1]
    0.01≦(L)/(L)≦0.5 [2]
    (式中、Lは突起部短径、Lは突起部長径を示す。)
  3. 母粒子(A)は、球状又は略球状の粒子であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸を有する粒子。
  4. 母粒子(A)の官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基又はチオール基から選ばれる少なくとも1つの官能基であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸を有する粒子。
  5. 有機化合物(B)は、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物又はアミノ化合物から選ばれる少なくとも1種の有機化合物であることを特徴とする請求項1に記載の凹凸を有する粒子。
  6. 母粒子(A)の平均粒子径は、0.05〜80μmであることを特徴とする請求項1に記載の凹凸を有する粒子。
  7. 有機化合物(B)は、水溶性又は親水性の官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の凹凸を有する粒子。
  8. 有機化合物(B)は、水溶性又は親水性のカルボジイミド化合物、エポキシ化合物又はオキサゾリン化合物であることを特徴とする請求項7に記載の凹凸を有する粒子。
  9. 官能基を有する母粒子(A)と該母粒子(A)の官能基と反応可能な反応基を有する有機化合物(B)とを、前者は溶解しないが、後者は溶解又は分散する少なくとも一種の媒体の存在下で、浸漬又は混合させ、後者が前者の表層部のみ又は表層部と内部の両域にまで含浸した状態とする第1の工程、および引き続いて、前者の官能基と後者の反応基との反応により、前者の表層部に突起部を形成させる第2の工程とを包含することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の凹凸を有する粒子の製造方法。
  10. 上記媒体が水又は有機溶媒であることを特徴とする請求項9に記載の凹凸を有する粒子の製造方法。
  11. 母粒子(A)と有機化合物(B)との混合比は、母粒子(A)の官能基1当量に対して、有機化合物(B)の反応基が0.5〜3当量であることを特徴とする請求項9に記載の凹凸を有する粒子の製造方法。
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