JP2005017507A - ホログラム素子および光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】2種の使用波長に適合させた光ピックアップ装置に用いられる新規なホログラム素子を実現する。
【解決手段】波長:λ1、λ2(>λ1)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子1Aと、レーザ光Lの偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させうる偏光ホログラム格子1Bとを、入射レーザ光の光路方向に積層してなり、回折格子1Aの格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子1A1で凹凸の幅比が0.6以上である。
【選択図】 図1
【解決手段】波長:λ1、λ2(>λ1)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子1Aと、レーザ光Lの偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させうる偏光ホログラム格子1Bとを、入射レーザ光の光路方向に積層してなり、回折格子1Aの格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子1A1で凹凸の幅比が0.6以上である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はホログラム素子および光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近来、種々の光記録媒体に対する光ピックアップ装置が実施され、波長:780nmのレーザ光を用いるCD(Compact Disc)系の読取り用光ピックアップ装置、書込み用光ピックアップ装置や、波長:660nm程度のレーザ光を用いるDVD(Digital Video Disc)系の読取り用・書込み用の光ピックアップ装置が知られている。また、将来の高密度光ディスクとして「青色レーザ光により読取りや書込みを行う光ディスク」用の光ピックアップ装置も研究・開発が盛んに行われている。
【0003】
これら各種の光ピックアップ装置には個別の技術課題も存在するが、光ピックアップ部分の小型化・低コスト化等は共通の課題であり、この共通課題に対する解決策の開発が盛んに行われている。
【0004】
光ピックアップ部分の小型化や低コスト化に有効な方策として、光ピックアップ部分の偏光分離素子として「偏光ホログラム格子」を用いることが知られている。「偏光分離素子」は「光源から光ディスクへ向かうレーザ光の照明光路(往路)と、光ディスクにより反射されて信号検出素子へ向かうレーザ光(戻り光)の検出光路(復路)の分離」を光の偏光状態を利用して行う光学素子である。
【0005】
偏光分離素子として従来から用いられている偏光ビームスプリッタはプリズム状であるため、それ自体を小型化することは困難で、光ピックアップ部分のさらなるコンパクト化を困難にする。
【0006】
偏光ホログラム格子は、偏光ビームスプリッタに比して薄型であり、これを偏光分離素子として用いることにより光ピックアップ部分をさらにコンパクト化でき、光ディスクからの戻り光束を、回折により「レーザ光源の発光部と同一面に配置した信号検出素子の受光面」に導光することが出来るので、往路・復路の光路設計が容易で部品点数も低減できる。
【0007】
さらに、記録密度の異なる複数種類の光ディスクに対する書込み・読取りを1つの光ピックアップ装置で行う場合においても、各光ディスクに対する光路を共通化できる(特許文献1〜4)。
【0008】
特許文献2は、互いに異なる波長に対応するホログラムを平板状の光学素子の表裏に別個に形成した「2波長に対応するホログラム素子」を開示している。
【0009】
一方、光ディスクの記録面での位置情報取得のため、光源からの光ビームを3ビーム化する「3ビーム方式の光ピックアップ装置」も知られ、特許文献4には、互いに波長の異なるDVD用光源とCD用光源とを用い、2波長のうち一方を3ビーム化し、3ビーム化されたレーザ光に対しては「3スポット法」により、1ビームのレーザ光に対しては「プッシュプル法」を用いて、トラック情報の検出を行う光ピックアップ装置が記載されている。
【0010】
発光波長の異なる2つの光源を用いる光ピックアップ装置を構成する際、一方の波長のレーザ光を3ビームに分割するのが一般的であり、そのための素子が必要である。この素子には、一方の波長のレーザ光束のみを3ビーム化する機能と共に、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率や透過率を変化させる機能が必要になる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−132862号公報
【特許文献2】
特開2000−123403号公報
【特許文献3】
特開2000− 11443号公報
【特許文献4】
特開2000− 76689号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、2種の使用波長に適合させた光ピックアップ装置に用い得る新規なホログラム素子の実現を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明のホログラム素子は、回折格子と、偏光ホログラム格子とを有する。
「回折格子」は、波長:λ1、λ2(>λ1)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ。この回折格子の格子部は「断面形状が矩形形状の凹凸回折格子」である。「波長:λ2のレーザ光のみの光路の分岐」は回折により行われる。
【0014】
「偏光ホログラム格子」は、レーザ光束に対し、その偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得るものであり、回折格子に対し、入射レーザ光の光路方向に積層される。
【0015】
請求項1記載のホログラム素子は、回折格子の格子部をなす凹凸回折格子の凹凸の幅比が0.6以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載のホログラム素子は、回折格子の格子部をなす凹凸回折格子の凹凸の幅比が0.4以下であることを特徴とする。
【0017】
上記請求項1または2に記載のホログラム素子において、偏光ホログラム格子は「光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造」を有することができ(請求項3)、この場合、偏光ホログラム格子は「光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造に、光学的異方性材料の常光線もしくは異状光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料を充填した構成」とすることができる(請求項4)。
【0018】
上記請求項3または4記載のホログラム素子において、光学的異方性材料の層は「有機複屈折膜」であることができる(請求項5)。この場合、有機複屈折膜は「延伸により複屈折性を発現させた有機材料膜」であることが好ましい(請求項6)。
【0019】
請求項5または6記載のホログラム素子における「有機複屈折膜」は、これをフィルム状とし、光学的に透明な基板上に接着することができる(請求項7)。
【0020】
この請求項7記載のホログラム素子において「フィルム状の有機複屈折膜を接着する接着剤」は、有機複屈折膜の常光線もしくは異状光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料であることができ(請求項8)、特に「光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造に充填される光学的等方性材料と同一材料」であることができる(請求項9)。
【0021】
この発明の光ピックアップ装置は、発光波長:λ1、λ2(>λ1)の2種のレーザ光源から、これら波長に応じた光ディスクに至る光路を共通化した光ピックアップ装置であって、上記請求項1〜9の任意の1に記載のホログラム素子を、波長:λ1のレーザ光を3ビーム化し、波長:λ2のレーザ光に対して往路と復路の光路分離に用いることを特徴とする(請求項10)。
【0022】
若干補足すると、この発明のホログラム素子は、上記の如く偏光ホログラム格子が「レーザ光束に対し、その偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る」ものであり、一般的には、波長:λ1、λ2の各波長のレーザ光に対して、その偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得るように構成されるが、これらの波長のうち、回折格子により光路分岐されないほうの波長:λ1のレーザ光に対してのみ「偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る」ようにしてもよい。
【0023】
上記光学的異方性材料としては、低コスト性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネイト(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミドなどの高分子複屈折膜であることが好ましい。中でも均一な薄膜化の容易さ、耐熱性、耐薬品性の点からポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。これらの材料はフィルム状にして「延伸させて分子鎖を配向させることにより、複屈折性を発現させる」ことができる。
【0024】
上記請求項1において、凹凸回折格子における凹凸の幅比の上限値は0.9程度、請求項2において、凹凸の幅比の下限値は0.1程度である。これら上限値・下限値は、凹凸の正確な形成が困難となって製造の歩留まりを高く維持するのが困難となる値であり、ホログラム素子製造上の条件に起因して定まる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を説明する。
図1を参照して、ホログラム素子の実施の形態を説明する。
図1(a)は、ホログラム素子の構成を説明図的に示している。
以下に説明するように、図1のホログラム素子は、波長:780nmと、波長:660nmの2種のレーザ光を用いる光ピックアップ装置において、波長:780nmのレーザ光を3ビーム化し、波長:660nmのレーザ光に対して偏光分離素子として機能するものである。
【0026】
図1(a)において、符号1Aは回折格子、符号1Bは偏光ホログラム格子、符号1Cは接着剤層を示す。
【0027】
回折格子1Aは、ガラス材料BK7による透明平行平板状の基板の片面(図で下方の面)に「格子部」として凹凸回折格子1A1が形成されたものである。光源側からのレーザ光Lは、図の下方から凹凸回折格子1A1に入射する。
【0028】
偏光ホログラム格子1Bは、延伸により複屈折性を発現させた有機複屈折膜1B1と、光学的等方性材料層1B2とガラス材料BK7の透明平行平板による保護ガラス1B3により構成されている。
【0029】
有機複屈折膜1B1は具体的にはPETのフィルムであり、回折格子1Aの凹凸回折格子1A1が形成されたのとは逆の側の面に接着剤層1Cにより接着され、接着面と逆側の面が「断面形状が略矩形形状である凹凸」により凹凸格子1bが形成されている。凹凸格子1bは、フォトリソグラフィと蒸着とにより有機材料膜1B1の表面に格子パターンのマスクを形成し、このマスクを用いるエッチングにより形成される。
【0030】
光学的等方性材料層1B2は「有機複屈折膜1B1の常光線に対する屈折率」と実質的に等しい屈折率を持つ透明材料で光硬化性のものであり、液相状態で凹凸格子1bの形成された有機複屈折膜1B1上に塗布される。塗布された透明材料の上から保護ガラス1B3を乗せて適度の押圧力で押圧する。この押圧により液相状態の光学的等方性材料は、凹凸格子1bの凹部に充填される。
【0031】
この状態で紫外線等を照射することにより光学的等方性材料を固化させると、図1(a)に示す如く、固化した光学的等方性材料層1B2により有機複屈折膜1B1と保護ガラス1B3が一体化され、また、偏光ホログラム格子1Bと回折格子1Aとが積層されて一体化される。
【0032】
接着剤層1Cを構成する接着剤と、光学的等方性材料層1B2を構成する光学的等方性材料とは「同一材料」とすることができる。このような材料としては、市販のアクリル系やエポキシ系の「紫外線硬化型樹脂」を用いることができ、説明中の実施の形態では接着剤層1C、光学的等方性材料層1B2ともに「エポキシ系の紫外線硬化方樹脂(同一材料)」が用いられている。
【0033】
光学的等方性材料層1B2の屈折率が、有機複屈折膜1B1の常光線に対する屈折率と実質的に等しいので、偏光ホログラム格子1Bは、凹凸格子1bの格子配列方向に直交する偏光面を持つレーザ光(P偏光状態のレーザ光)に対しては回折作用を及ぼさず、上記と直交する偏光面を持つレーザ光(S偏光状態のレーザ光)に対しては回折作用を及ぼす。
【0034】
即ち、偏光ホログラム格子1Bに入射させるレーザ光の偏光面の向きを変化させると、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率が変化する。
【0035】
偏光ホログラム格子1Bは、波長:660nmのレーザ光に対して偏光分離素子として機能させるべく「波長:660nmのレーザ光の1次回折光に所望の回折角を与える」ように最適化され、凹凸格子1bの格子ピッチ:2.0μm、デユーティ比(凸部幅/格子ピッチ):0.5、格子深さ:2.7μmである。
【0036】
有機複屈折膜1B1(PETのフィルム)は、直交する光学軸に対する屈折率:1.58(常光線)と1.67(異常光線)である。
【0037】
回折格子1Aの厚みは2mmとしている。接着剤層1Cはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.58)を使用し、厚みは0.05mmとしている。有機複屈折膜1B1の厚さは0.1mmである。保護ガラス1B3の厚さは1mmである。
【0038】
上述の如く、回折格子1Aは、波長:660nmのレーザ光を実質的にそのまま透過させるが、波長:780nmのレーザ光に回折作用を及ぼして3ビーム化する。即ち、回折格子1Aは、その回折作用が波長選択性を持つ。
【0039】
図1(b)、(c)に回折格子1Aに形成された凹凸回折格子1A1の2例を示す。図1(b)は、請求項1記載の「ホログラム素子」の場合で、同図(c)は請求項2記載の「ホログラム素子」の場合である。
【0040】
図1(b)に示す凹凸回折格子1A1−1において、断面形状が矩形形状であり凹凸のピッチ:d2、凹凸における凸部分の幅:d1とするとき、「凹凸の幅比」即ちデユーティ比を「d1/d2」で定義する。
【0041】
図1(b)に示す例では、ピッチ:d2=約14μm、デユーティ比:0.75、溝深さ(作製の公差を考慮した中心値):1.145μmとしている。
【0042】
通常、入射レーザ光を回折作用により3ビーム(0次光、±1次光)に分岐させる場合の回折格子は、デユーティ比:略0.5が想定され、溝深さの中心値は上記1.145μmである。この場合であると、波長:780nmのレーザ光を3ビーム化する場合の±1次光の回折効率は、通常「6.7〜11%」に設定され、「溝深さに許容される公差」は約0.06μmで±0.03μmの「深さ公差」となる。
【0043】
凹凸回折格子1A1は一般に、ドライエッチングの手法で形成されるが、深さ公差:±0.03μmは実際上の公差としては極めて小さく、回折格子1Aの量産時の歩留を高くすることを困難とし、回折格子1Aひいてはホログラム素子のコスト上昇を招来する。
【0044】
図1(b)に示す場合のように、凹凸回折格子のピッチ:d2=略14μm、デユーティ比:d1/d2=0.75とした場合、波長:660nm、780nmのレーザ光を入射させた場合に、回折効率と透過率とが「溝深さとともに、どのように変化するか」を示したのが図3である。
【0045】
図3において、横軸は「溝深さ(単位:μm)」を表し、縦軸は「透過率・回折効率」を示す。実線が「透過率の変化」を示し、破線は「回折効率の変化」を示している。曲線P1、曲線S1はそれぞれ、波長:660nmのレーザ光に対する透過率と回折効率を示し、曲線P2、曲線S2はそれぞれ、波長:780nmのレーザ光に対する透過率と回折効率を示す。
【0046】
この図から、波長:660nmのレーザ光に対する回折効率が「実質的に0」で、波長:780nmのレーザ光に対する回折効率が上記「6.7〜11%」の範囲にあるという仕様を満足するためには、凹凸回折格子1bの溝深さが、図3横軸の「1.09μm〜1.20μmの範囲」にあればよいから、上記中央値:1.145μmに対しては0.11μmの公差が許容され、深さ公差:±0.055μmとなり「約±5%({0.055/1.145}×100%)」の公差」を持つことが出来る。
【0047】
デユーティの値として、上記0.75に代えて0.6を取った場合は、深さ公差:±約3%(≒±0.034μm)とすることが可能となり、製造面で実用的な領域に入るが、この例では公差をさらに拡大するため、デユーティ比:0.75としている。
【0048】
このようにデユーティ比を0.6以上とすることにより、凹凸回折格子1bの溝深さの公差が緩やかになり、凹凸回折格子の製造が容易化・安定化され、製造の歩留まりが向上して製造コストを下げることができる。
【0049】
また、偏光ホログラム格子1Bにおける光学的異方性材料に「延伸により複屈折性を発現させた有機複屈折膜」を用い、BK7ガラス基板上に接着することにより、より安価にホログラム素子を提供でき、接着剤層1Cと光学的等方性材料1B2に同一材料を使用することにより「BK7ガラスに挟まれた部分における屈折率が往路において均一化」され、波面の乱れがないホログラム素子を作製可能である。
【0050】
即ち、図1(b)に示す凹凸回折格子1A1−1を持つ実施の形態のホログラム素子は、波長:λ1(660nm)、λ2(780nm)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子1Aと、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る偏光ホログラム格子1Bとを、入射レーザ光Lの光路方向に積層してなり、回折格子1Aの格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子1A1であり、凹凸の幅比が0.6以上である(請求項1)。
【0051】
図1(c)に示す凹凸回折格子1A1−2では、ピッチ:d2=約14μm、デユーティ比:0.25、溝深さ(作製の公差を考慮した中心値):1.145μmとしている。回折格子1Aとしての材質・厚さや偏光ホログラム格子1Bの部分については、先に説明した例(デユーティ比:0.75の例)の場合と同様である。
【0052】
凹凸回折格子1A1−2のデユーティ比:0.25は、図1(b)の凹凸回折格子1A1−1(デユーティ比:0.75)における凹部と凸部の幅を逆にしただけであるから、波長:660nm、780nmのレーザ光を入射させた場合における「回折効率と透過率の、溝深さによる変化」は、凹凸回折格子1A1−1の場合と全く同様であり、波長:660nmのレーザ光の透過率および回折効率、波長:780nmのレーザ光の透過率および回折効率の各変化は、図3の曲線P1、S1、P2、S2のようになる。
【0053】
従って、図1(b)の凹凸回折格子1A1−1の場合と同様、波長:660nmのレーザ光に対する回折効率が「実質的に0」で、波長:780nmのレーザ光に対する回折効率が「6.7〜11%」の範囲にあるという使用を満足するためには、凹凸回折格子1bの溝深さが、図3横軸の「1.09μm〜1.20μmの範囲」にあればよく、この範囲で溝深さ中央値:1.145μmに対して0.11μmの公差が許容され、深さ公差:±0.055μmとなり「約±5%の公差」を持つことが出来る。
【0054】
デユーティの値として、上記0.25に代えて0.4を取った場合、深さ公差:±約3%(≒±0.034μm)とすることが可能となり、製造面で実用的な領域に入るが、この例では公差をさらに拡大するため、デユーティ比:0.25としている。
【0055】
このようにデユーティ比を0.4以下とすることにより、凹凸回折格子1bの溝深さの公差が緩やかになり、凹凸回折格子の製造が容易化・安定化され、製造の歩留まりが向上して製造コストを下げることができる。
【0056】
また、偏光ホログラム格子1Bにおける光学的異方性材料に「延伸により複屈折性を発現させた有機複屈折膜」を用い、BK7基板上に接着することにより、より安価にホログラム素子を提供でき、接着剤層1Cと光学的等方性材料1B2に同一材料を使用することにより、BK7ガラスに挟まれた部分における屈折率が往路において、波面の乱れがないホログラム素子を作製可能である。
【0057】
即ち、図1(c)に示す凹凸回折格子1A1−2を持つ実施の形態のホログラム素子は、波長:λ1(660nm)、λ2(780nm)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子1Aと、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る偏光ホログラム格子1Bとを、入射レーザ光Lの光路方向に積層してなり、回折格子1A1の格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子1A1−2で、凹凸の幅比が0.4以下である(請求項2)。
【0058】
また、図1を参照して上に実施の形態を説明したホログラム素子は、偏光ホログラム格子1Bが、光学的異方性材料の層1B1上に形成された凹凸状の格子構造1bを有し(請求項3)、偏光ホログラム格子1Bが、光学的異方性材料の層1B1上に形成された凹凸状の格子構造1bに、光学的異方性材料の常光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料1B2を充填した構成となっている(請求項4)。
【0059】
さらに、光学的異方性材料層1B1は有機複屈折膜(PET)で(請求項5)、延伸により複屈折性を発現させた有機材料膜であり(請求項6)、有機複屈折膜がフィルム状で、光学的に透明な基板1A上に接着され(請求項7)、フィルム状の有機複屈折膜を接着する接着剤1Cが、有機複屈折膜1B1の常光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料であり(請求項8)、フィルム状の有機複屈折膜1B1を接着する接着剤層1Cは、光学的異方性材料1B1の層上に形成された凹凸状の格子構造に充填される光学的等方性材料1B2と同一材料である(請求項8)。
【0060】
図4は、光ピックアップ装置の実施の1形態における光ピックアップ部分を説明図的に略示している。
図4(a)は、CD系の光ディスクD1に対し、波長:780nmのレーザ光により情報の書込み・再生・消去の何れかを実行する場合を示している。波長:780nmのレーザ光を放射するLD光源11と、波長:660nmのレーザ光を放射するLD光源12とは同一キャン内にパッケージされている。
【0061】
図4(a)に示すように、LD光源11から放射されたレーザ光は、ホログラム素子13に入射する。ホログラム素子13は「図1に即して上に説明した如きもの」である。このとき波長:780nmのレーザ光は、ホログラム素子13における回折格子の格子部である凹凸回折格子により回折され、0次光と±1次光の3ビームに分岐される。分岐された±1次光の強度は回折効率に従い、LD光源11からの射出強度の6.7〜11%である。
【0062】
波長:780nmのレーザ光は、光源側からホログラム素子13に入射するとき、偏光ホログラム格子に対してP偏光の状態であり、従って、分岐された3ビームは偏光ホログラム格子の回折作用を受けることなく透過し、ついで、回折格子14を透過する。
【0063】
回折格子14(ホログラム素子13とともに光源パッケージに実装されるが、ホログラム素子13とは別体である。)は、図2に示すように、透明な平行平板(この例においてBK7ガラス板)の片面に凹凸の回折格子141を形成されたものである。回折格子141も、ホログラム素子13における回折格子と同様、回折作用に波長選択性があり、波長:780nmのレーザ光に対しては回折作用を及ぼすが、波長:660nmのレーザ光に対しては実質的な回折作用を及ぼさない。
【0064】
ホログラム素子13により3ビーム化された波長:780nmのレーザ光は、回折格子14を透過する。このとき、これら3ビームには回折格子14の回折作用が作用するが、回折された光は使用せず、回折されない「3本の0次光」を使用する。これら3本の0次光は回折格子14を直進的に透過し、1/4波長板15を透過して対物レンズ16に入射し、対物レンズ16の作用により光ディスクD1の記録面上に所定の位置関係の3つの光スポットとして結像する。
【0065】
1/4波長板15は、波長:660nmのレーザ光束に対し「常光線・異常光線間に1/4波長分の位相差」を与えるが、波長:780nmのレーザ光に対しては位相板として作用しない。
【0066】
光ディスクD1の記録面で反射されたレーザ光(3ビーム)は、戻り光となって対物レンズ16と1/4波長板15とを透過し、回折格子14に入射する。そして回折格子14により回折された戻り光が、信号検出素子17の受光面に入射する。即ち、回折格子14の回折角は、上記戻り光が信号検出素子17の「受光面上の所定の位置」に入射するように定められている。
【0067】
このとき、波長:780nmの戻り光(3ビーム)は、ホログラム素子13を透過するが、戻り光の偏光面は往路と同方向であるので偏光ホログラム格子に対してはP偏光で偏光ホログラム格子の回折作用は受けない。また、信号検出素子17に入射するのは、ホログラム素子13の回折格子を直進的に透過する0次光である。
【0068】
このようにして、信号検出素子17の出力により「3ビーム法によるトラッキング用の信号」が生成され、フォーカシング用の信号は例えば非点収差法により生成される。戻り光束に非点収差を与える光学系は図示を省略されている。
【0069】
図4(b)は、DVD系の光ディスクD2に対し、波長:660nmのレーザ光により情報の書込み・再生・消去の何れかを実行する場合を示している。波長:660nmのレーザ光を放射するLD光源12(LD光源12の発光部は、対物レンズ16の光軸上に設定されている。これに対し、LD光源11の発光部は対物レンズ16の光軸に対して微小距離ずれている。)からのレーザ光は、ホログラム素子13に入射し、これをそのまま透過する。
【0070】
即ち、波長:660nmのレーザ光は、ホログラム素子13における回折格子の回折作用を受けず、偏光ホログラム格子に対してはP偏光で入射するので、偏光ホログラム格子の回折作用も受けない。また、回折格子14を、その回折作用を受けることなく透過し、1/4波長板15と対物レンズ16を介して光ディスクD2の記録面に光スポットとして結像する。対物レンズ16の結像作用は、波長:780nmと波長:660nmの各レーザ光に対して適合されている。
【0071】
光ディスクD2の記録面で反射された波長:660nmのレーザ光は、戻り光となって対物レンズ16と1/4波長板15とを透過し、回折格子14を回折作用を受けることなく透過し、ホログラム素子13に入射する。この状態で、レーザ光は1/4波長板15を往復2度透過することにより、偏光面が「往路での状態に対して90度旋回している」ため、偏光ホログラム格子の回折作用を受け、回折光は信号検出素子17の受光面に入射する。即ち、偏光ホログラム格子の回折角は、波長:660nmの戻り光が信号検出素子17の「受光面上の所定の位置」に入射するように定められている。
【0072】
このようにして、信号検出素子17の出力により「プッシュプル法によるトラッキング用の信号」が生成され、フォーカシング用の信号は例えば非点収差法により生成される。戻り光束に非点収差を与える光学系は図示を省略されている。
【0073】
即ち、図4に実施の形態を示す光ピックアップ装置は、発光波長の異なる2種のレーザ光源11、12から、これら波長に応じた光ディスクD1、D2に至る光路を共通化した光ピックアップ装置において、上に実施の形態を説明した請求項1〜9の任意の1に記載のホログラム素子13を、一方のレーザ光を3ビーム化し、他方のレーザ光に対して往路と復路を分離するために用いるもの(請求項10)である。
【0074】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規なホログラム素子および光ピックアップ装置を実現できる。
【0075】
この発明のホログラム素子は、波長が異なる2種のレーザ光のうち一方のみの光路を分岐させる機能と、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させる機能とを持ち、光路分岐機能を有する凹凸回折格子における溝深さに対する公差の余裕が広いため、製造の歩留まりが良く、低コストに実現できる。
【0076】
従って、発光波長が異なる2種のレーザ光源から、これら波長に応じた光ディスクに至る光路を共通化した光ピックアップ装置において、この発明のホログラム素子を、一方のレーザ光を3ビーム化し、他方のレーザ光に対して往路と復路の光路分離に用いることにより、性能良好な光ピックアップ装置を低コストでコンパクトに実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラム素子の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】光ピックアップ装置において、図1のホログラム素子と共に用いる回折格子を説明するための図である。
【図3】実施の形態に示すホログラム素子における凹凸回折格子の、溝深さによる回折効率と透過率の変化を示す図である。
【図4】光ピックアップ装置の実施の1形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1A 回折格子
1A1 凹凸回折格子(回折格子1Aの格子部)
1B 偏光ホログラム格子
1B1 光学的異方性材料の層
1B2 光学的等方性材料の層
1B3 保護ガラス
1C 接着剤層
【発明の属する技術分野】
この発明はホログラム素子および光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近来、種々の光記録媒体に対する光ピックアップ装置が実施され、波長:780nmのレーザ光を用いるCD(Compact Disc)系の読取り用光ピックアップ装置、書込み用光ピックアップ装置や、波長:660nm程度のレーザ光を用いるDVD(Digital Video Disc)系の読取り用・書込み用の光ピックアップ装置が知られている。また、将来の高密度光ディスクとして「青色レーザ光により読取りや書込みを行う光ディスク」用の光ピックアップ装置も研究・開発が盛んに行われている。
【0003】
これら各種の光ピックアップ装置には個別の技術課題も存在するが、光ピックアップ部分の小型化・低コスト化等は共通の課題であり、この共通課題に対する解決策の開発が盛んに行われている。
【0004】
光ピックアップ部分の小型化や低コスト化に有効な方策として、光ピックアップ部分の偏光分離素子として「偏光ホログラム格子」を用いることが知られている。「偏光分離素子」は「光源から光ディスクへ向かうレーザ光の照明光路(往路)と、光ディスクにより反射されて信号検出素子へ向かうレーザ光(戻り光)の検出光路(復路)の分離」を光の偏光状態を利用して行う光学素子である。
【0005】
偏光分離素子として従来から用いられている偏光ビームスプリッタはプリズム状であるため、それ自体を小型化することは困難で、光ピックアップ部分のさらなるコンパクト化を困難にする。
【0006】
偏光ホログラム格子は、偏光ビームスプリッタに比して薄型であり、これを偏光分離素子として用いることにより光ピックアップ部分をさらにコンパクト化でき、光ディスクからの戻り光束を、回折により「レーザ光源の発光部と同一面に配置した信号検出素子の受光面」に導光することが出来るので、往路・復路の光路設計が容易で部品点数も低減できる。
【0007】
さらに、記録密度の異なる複数種類の光ディスクに対する書込み・読取りを1つの光ピックアップ装置で行う場合においても、各光ディスクに対する光路を共通化できる(特許文献1〜4)。
【0008】
特許文献2は、互いに異なる波長に対応するホログラムを平板状の光学素子の表裏に別個に形成した「2波長に対応するホログラム素子」を開示している。
【0009】
一方、光ディスクの記録面での位置情報取得のため、光源からの光ビームを3ビーム化する「3ビーム方式の光ピックアップ装置」も知られ、特許文献4には、互いに波長の異なるDVD用光源とCD用光源とを用い、2波長のうち一方を3ビーム化し、3ビーム化されたレーザ光に対しては「3スポット法」により、1ビームのレーザ光に対しては「プッシュプル法」を用いて、トラック情報の検出を行う光ピックアップ装置が記載されている。
【0010】
発光波長の異なる2つの光源を用いる光ピックアップ装置を構成する際、一方の波長のレーザ光を3ビームに分割するのが一般的であり、そのための素子が必要である。この素子には、一方の波長のレーザ光束のみを3ビーム化する機能と共に、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率や透過率を変化させる機能が必要になる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−132862号公報
【特許文献2】
特開2000−123403号公報
【特許文献3】
特開2000− 11443号公報
【特許文献4】
特開2000− 76689号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、2種の使用波長に適合させた光ピックアップ装置に用い得る新規なホログラム素子の実現を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明のホログラム素子は、回折格子と、偏光ホログラム格子とを有する。
「回折格子」は、波長:λ1、λ2(>λ1)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ。この回折格子の格子部は「断面形状が矩形形状の凹凸回折格子」である。「波長:λ2のレーザ光のみの光路の分岐」は回折により行われる。
【0014】
「偏光ホログラム格子」は、レーザ光束に対し、その偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得るものであり、回折格子に対し、入射レーザ光の光路方向に積層される。
【0015】
請求項1記載のホログラム素子は、回折格子の格子部をなす凹凸回折格子の凹凸の幅比が0.6以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載のホログラム素子は、回折格子の格子部をなす凹凸回折格子の凹凸の幅比が0.4以下であることを特徴とする。
【0017】
上記請求項1または2に記載のホログラム素子において、偏光ホログラム格子は「光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造」を有することができ(請求項3)、この場合、偏光ホログラム格子は「光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造に、光学的異方性材料の常光線もしくは異状光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料を充填した構成」とすることができる(請求項4)。
【0018】
上記請求項3または4記載のホログラム素子において、光学的異方性材料の層は「有機複屈折膜」であることができる(請求項5)。この場合、有機複屈折膜は「延伸により複屈折性を発現させた有機材料膜」であることが好ましい(請求項6)。
【0019】
請求項5または6記載のホログラム素子における「有機複屈折膜」は、これをフィルム状とし、光学的に透明な基板上に接着することができる(請求項7)。
【0020】
この請求項7記載のホログラム素子において「フィルム状の有機複屈折膜を接着する接着剤」は、有機複屈折膜の常光線もしくは異状光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料であることができ(請求項8)、特に「光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造に充填される光学的等方性材料と同一材料」であることができる(請求項9)。
【0021】
この発明の光ピックアップ装置は、発光波長:λ1、λ2(>λ1)の2種のレーザ光源から、これら波長に応じた光ディスクに至る光路を共通化した光ピックアップ装置であって、上記請求項1〜9の任意の1に記載のホログラム素子を、波長:λ1のレーザ光を3ビーム化し、波長:λ2のレーザ光に対して往路と復路の光路分離に用いることを特徴とする(請求項10)。
【0022】
若干補足すると、この発明のホログラム素子は、上記の如く偏光ホログラム格子が「レーザ光束に対し、その偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る」ものであり、一般的には、波長:λ1、λ2の各波長のレーザ光に対して、その偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得るように構成されるが、これらの波長のうち、回折格子により光路分岐されないほうの波長:λ1のレーザ光に対してのみ「偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る」ようにしてもよい。
【0023】
上記光学的異方性材料としては、低コスト性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネイト(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミドなどの高分子複屈折膜であることが好ましい。中でも均一な薄膜化の容易さ、耐熱性、耐薬品性の点からポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。これらの材料はフィルム状にして「延伸させて分子鎖を配向させることにより、複屈折性を発現させる」ことができる。
【0024】
上記請求項1において、凹凸回折格子における凹凸の幅比の上限値は0.9程度、請求項2において、凹凸の幅比の下限値は0.1程度である。これら上限値・下限値は、凹凸の正確な形成が困難となって製造の歩留まりを高く維持するのが困難となる値であり、ホログラム素子製造上の条件に起因して定まる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を説明する。
図1を参照して、ホログラム素子の実施の形態を説明する。
図1(a)は、ホログラム素子の構成を説明図的に示している。
以下に説明するように、図1のホログラム素子は、波長:780nmと、波長:660nmの2種のレーザ光を用いる光ピックアップ装置において、波長:780nmのレーザ光を3ビーム化し、波長:660nmのレーザ光に対して偏光分離素子として機能するものである。
【0026】
図1(a)において、符号1Aは回折格子、符号1Bは偏光ホログラム格子、符号1Cは接着剤層を示す。
【0027】
回折格子1Aは、ガラス材料BK7による透明平行平板状の基板の片面(図で下方の面)に「格子部」として凹凸回折格子1A1が形成されたものである。光源側からのレーザ光Lは、図の下方から凹凸回折格子1A1に入射する。
【0028】
偏光ホログラム格子1Bは、延伸により複屈折性を発現させた有機複屈折膜1B1と、光学的等方性材料層1B2とガラス材料BK7の透明平行平板による保護ガラス1B3により構成されている。
【0029】
有機複屈折膜1B1は具体的にはPETのフィルムであり、回折格子1Aの凹凸回折格子1A1が形成されたのとは逆の側の面に接着剤層1Cにより接着され、接着面と逆側の面が「断面形状が略矩形形状である凹凸」により凹凸格子1bが形成されている。凹凸格子1bは、フォトリソグラフィと蒸着とにより有機材料膜1B1の表面に格子パターンのマスクを形成し、このマスクを用いるエッチングにより形成される。
【0030】
光学的等方性材料層1B2は「有機複屈折膜1B1の常光線に対する屈折率」と実質的に等しい屈折率を持つ透明材料で光硬化性のものであり、液相状態で凹凸格子1bの形成された有機複屈折膜1B1上に塗布される。塗布された透明材料の上から保護ガラス1B3を乗せて適度の押圧力で押圧する。この押圧により液相状態の光学的等方性材料は、凹凸格子1bの凹部に充填される。
【0031】
この状態で紫外線等を照射することにより光学的等方性材料を固化させると、図1(a)に示す如く、固化した光学的等方性材料層1B2により有機複屈折膜1B1と保護ガラス1B3が一体化され、また、偏光ホログラム格子1Bと回折格子1Aとが積層されて一体化される。
【0032】
接着剤層1Cを構成する接着剤と、光学的等方性材料層1B2を構成する光学的等方性材料とは「同一材料」とすることができる。このような材料としては、市販のアクリル系やエポキシ系の「紫外線硬化型樹脂」を用いることができ、説明中の実施の形態では接着剤層1C、光学的等方性材料層1B2ともに「エポキシ系の紫外線硬化方樹脂(同一材料)」が用いられている。
【0033】
光学的等方性材料層1B2の屈折率が、有機複屈折膜1B1の常光線に対する屈折率と実質的に等しいので、偏光ホログラム格子1Bは、凹凸格子1bの格子配列方向に直交する偏光面を持つレーザ光(P偏光状態のレーザ光)に対しては回折作用を及ぼさず、上記と直交する偏光面を持つレーザ光(S偏光状態のレーザ光)に対しては回折作用を及ぼす。
【0034】
即ち、偏光ホログラム格子1Bに入射させるレーザ光の偏光面の向きを変化させると、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率が変化する。
【0035】
偏光ホログラム格子1Bは、波長:660nmのレーザ光に対して偏光分離素子として機能させるべく「波長:660nmのレーザ光の1次回折光に所望の回折角を与える」ように最適化され、凹凸格子1bの格子ピッチ:2.0μm、デユーティ比(凸部幅/格子ピッチ):0.5、格子深さ:2.7μmである。
【0036】
有機複屈折膜1B1(PETのフィルム)は、直交する光学軸に対する屈折率:1.58(常光線)と1.67(異常光線)である。
【0037】
回折格子1Aの厚みは2mmとしている。接着剤層1Cはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂(屈折率:1.58)を使用し、厚みは0.05mmとしている。有機複屈折膜1B1の厚さは0.1mmである。保護ガラス1B3の厚さは1mmである。
【0038】
上述の如く、回折格子1Aは、波長:660nmのレーザ光を実質的にそのまま透過させるが、波長:780nmのレーザ光に回折作用を及ぼして3ビーム化する。即ち、回折格子1Aは、その回折作用が波長選択性を持つ。
【0039】
図1(b)、(c)に回折格子1Aに形成された凹凸回折格子1A1の2例を示す。図1(b)は、請求項1記載の「ホログラム素子」の場合で、同図(c)は請求項2記載の「ホログラム素子」の場合である。
【0040】
図1(b)に示す凹凸回折格子1A1−1において、断面形状が矩形形状であり凹凸のピッチ:d2、凹凸における凸部分の幅:d1とするとき、「凹凸の幅比」即ちデユーティ比を「d1/d2」で定義する。
【0041】
図1(b)に示す例では、ピッチ:d2=約14μm、デユーティ比:0.75、溝深さ(作製の公差を考慮した中心値):1.145μmとしている。
【0042】
通常、入射レーザ光を回折作用により3ビーム(0次光、±1次光)に分岐させる場合の回折格子は、デユーティ比:略0.5が想定され、溝深さの中心値は上記1.145μmである。この場合であると、波長:780nmのレーザ光を3ビーム化する場合の±1次光の回折効率は、通常「6.7〜11%」に設定され、「溝深さに許容される公差」は約0.06μmで±0.03μmの「深さ公差」となる。
【0043】
凹凸回折格子1A1は一般に、ドライエッチングの手法で形成されるが、深さ公差:±0.03μmは実際上の公差としては極めて小さく、回折格子1Aの量産時の歩留を高くすることを困難とし、回折格子1Aひいてはホログラム素子のコスト上昇を招来する。
【0044】
図1(b)に示す場合のように、凹凸回折格子のピッチ:d2=略14μm、デユーティ比:d1/d2=0.75とした場合、波長:660nm、780nmのレーザ光を入射させた場合に、回折効率と透過率とが「溝深さとともに、どのように変化するか」を示したのが図3である。
【0045】
図3において、横軸は「溝深さ(単位:μm)」を表し、縦軸は「透過率・回折効率」を示す。実線が「透過率の変化」を示し、破線は「回折効率の変化」を示している。曲線P1、曲線S1はそれぞれ、波長:660nmのレーザ光に対する透過率と回折効率を示し、曲線P2、曲線S2はそれぞれ、波長:780nmのレーザ光に対する透過率と回折効率を示す。
【0046】
この図から、波長:660nmのレーザ光に対する回折効率が「実質的に0」で、波長:780nmのレーザ光に対する回折効率が上記「6.7〜11%」の範囲にあるという仕様を満足するためには、凹凸回折格子1bの溝深さが、図3横軸の「1.09μm〜1.20μmの範囲」にあればよいから、上記中央値:1.145μmに対しては0.11μmの公差が許容され、深さ公差:±0.055μmとなり「約±5%({0.055/1.145}×100%)」の公差」を持つことが出来る。
【0047】
デユーティの値として、上記0.75に代えて0.6を取った場合は、深さ公差:±約3%(≒±0.034μm)とすることが可能となり、製造面で実用的な領域に入るが、この例では公差をさらに拡大するため、デユーティ比:0.75としている。
【0048】
このようにデユーティ比を0.6以上とすることにより、凹凸回折格子1bの溝深さの公差が緩やかになり、凹凸回折格子の製造が容易化・安定化され、製造の歩留まりが向上して製造コストを下げることができる。
【0049】
また、偏光ホログラム格子1Bにおける光学的異方性材料に「延伸により複屈折性を発現させた有機複屈折膜」を用い、BK7ガラス基板上に接着することにより、より安価にホログラム素子を提供でき、接着剤層1Cと光学的等方性材料1B2に同一材料を使用することにより「BK7ガラスに挟まれた部分における屈折率が往路において均一化」され、波面の乱れがないホログラム素子を作製可能である。
【0050】
即ち、図1(b)に示す凹凸回折格子1A1−1を持つ実施の形態のホログラム素子は、波長:λ1(660nm)、λ2(780nm)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子1Aと、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る偏光ホログラム格子1Bとを、入射レーザ光Lの光路方向に積層してなり、回折格子1Aの格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子1A1であり、凹凸の幅比が0.6以上である(請求項1)。
【0051】
図1(c)に示す凹凸回折格子1A1−2では、ピッチ:d2=約14μm、デユーティ比:0.25、溝深さ(作製の公差を考慮した中心値):1.145μmとしている。回折格子1Aとしての材質・厚さや偏光ホログラム格子1Bの部分については、先に説明した例(デユーティ比:0.75の例)の場合と同様である。
【0052】
凹凸回折格子1A1−2のデユーティ比:0.25は、図1(b)の凹凸回折格子1A1−1(デユーティ比:0.75)における凹部と凸部の幅を逆にしただけであるから、波長:660nm、780nmのレーザ光を入射させた場合における「回折効率と透過率の、溝深さによる変化」は、凹凸回折格子1A1−1の場合と全く同様であり、波長:660nmのレーザ光の透過率および回折効率、波長:780nmのレーザ光の透過率および回折効率の各変化は、図3の曲線P1、S1、P2、S2のようになる。
【0053】
従って、図1(b)の凹凸回折格子1A1−1の場合と同様、波長:660nmのレーザ光に対する回折効率が「実質的に0」で、波長:780nmのレーザ光に対する回折効率が「6.7〜11%」の範囲にあるという使用を満足するためには、凹凸回折格子1bの溝深さが、図3横軸の「1.09μm〜1.20μmの範囲」にあればよく、この範囲で溝深さ中央値:1.145μmに対して0.11μmの公差が許容され、深さ公差:±0.055μmとなり「約±5%の公差」を持つことが出来る。
【0054】
デユーティの値として、上記0.25に代えて0.4を取った場合、深さ公差:±約3%(≒±0.034μm)とすることが可能となり、製造面で実用的な領域に入るが、この例では公差をさらに拡大するため、デユーティ比:0.25としている。
【0055】
このようにデユーティ比を0.4以下とすることにより、凹凸回折格子1bの溝深さの公差が緩やかになり、凹凸回折格子の製造が容易化・安定化され、製造の歩留まりが向上して製造コストを下げることができる。
【0056】
また、偏光ホログラム格子1Bにおける光学的異方性材料に「延伸により複屈折性を発現させた有機複屈折膜」を用い、BK7基板上に接着することにより、より安価にホログラム素子を提供でき、接着剤層1Cと光学的等方性材料1B2に同一材料を使用することにより、BK7ガラスに挟まれた部分における屈折率が往路において、波面の乱れがないホログラム素子を作製可能である。
【0057】
即ち、図1(c)に示す凹凸回折格子1A1−2を持つ実施の形態のホログラム素子は、波長:λ1(660nm)、λ2(780nm)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子1Aと、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る偏光ホログラム格子1Bとを、入射レーザ光Lの光路方向に積層してなり、回折格子1A1の格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子1A1−2で、凹凸の幅比が0.4以下である(請求項2)。
【0058】
また、図1を参照して上に実施の形態を説明したホログラム素子は、偏光ホログラム格子1Bが、光学的異方性材料の層1B1上に形成された凹凸状の格子構造1bを有し(請求項3)、偏光ホログラム格子1Bが、光学的異方性材料の層1B1上に形成された凹凸状の格子構造1bに、光学的異方性材料の常光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料1B2を充填した構成となっている(請求項4)。
【0059】
さらに、光学的異方性材料層1B1は有機複屈折膜(PET)で(請求項5)、延伸により複屈折性を発現させた有機材料膜であり(請求項6)、有機複屈折膜がフィルム状で、光学的に透明な基板1A上に接着され(請求項7)、フィルム状の有機複屈折膜を接着する接着剤1Cが、有機複屈折膜1B1の常光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料であり(請求項8)、フィルム状の有機複屈折膜1B1を接着する接着剤層1Cは、光学的異方性材料1B1の層上に形成された凹凸状の格子構造に充填される光学的等方性材料1B2と同一材料である(請求項8)。
【0060】
図4は、光ピックアップ装置の実施の1形態における光ピックアップ部分を説明図的に略示している。
図4(a)は、CD系の光ディスクD1に対し、波長:780nmのレーザ光により情報の書込み・再生・消去の何れかを実行する場合を示している。波長:780nmのレーザ光を放射するLD光源11と、波長:660nmのレーザ光を放射するLD光源12とは同一キャン内にパッケージされている。
【0061】
図4(a)に示すように、LD光源11から放射されたレーザ光は、ホログラム素子13に入射する。ホログラム素子13は「図1に即して上に説明した如きもの」である。このとき波長:780nmのレーザ光は、ホログラム素子13における回折格子の格子部である凹凸回折格子により回折され、0次光と±1次光の3ビームに分岐される。分岐された±1次光の強度は回折効率に従い、LD光源11からの射出強度の6.7〜11%である。
【0062】
波長:780nmのレーザ光は、光源側からホログラム素子13に入射するとき、偏光ホログラム格子に対してP偏光の状態であり、従って、分岐された3ビームは偏光ホログラム格子の回折作用を受けることなく透過し、ついで、回折格子14を透過する。
【0063】
回折格子14(ホログラム素子13とともに光源パッケージに実装されるが、ホログラム素子13とは別体である。)は、図2に示すように、透明な平行平板(この例においてBK7ガラス板)の片面に凹凸の回折格子141を形成されたものである。回折格子141も、ホログラム素子13における回折格子と同様、回折作用に波長選択性があり、波長:780nmのレーザ光に対しては回折作用を及ぼすが、波長:660nmのレーザ光に対しては実質的な回折作用を及ぼさない。
【0064】
ホログラム素子13により3ビーム化された波長:780nmのレーザ光は、回折格子14を透過する。このとき、これら3ビームには回折格子14の回折作用が作用するが、回折された光は使用せず、回折されない「3本の0次光」を使用する。これら3本の0次光は回折格子14を直進的に透過し、1/4波長板15を透過して対物レンズ16に入射し、対物レンズ16の作用により光ディスクD1の記録面上に所定の位置関係の3つの光スポットとして結像する。
【0065】
1/4波長板15は、波長:660nmのレーザ光束に対し「常光線・異常光線間に1/4波長分の位相差」を与えるが、波長:780nmのレーザ光に対しては位相板として作用しない。
【0066】
光ディスクD1の記録面で反射されたレーザ光(3ビーム)は、戻り光となって対物レンズ16と1/4波長板15とを透過し、回折格子14に入射する。そして回折格子14により回折された戻り光が、信号検出素子17の受光面に入射する。即ち、回折格子14の回折角は、上記戻り光が信号検出素子17の「受光面上の所定の位置」に入射するように定められている。
【0067】
このとき、波長:780nmの戻り光(3ビーム)は、ホログラム素子13を透過するが、戻り光の偏光面は往路と同方向であるので偏光ホログラム格子に対してはP偏光で偏光ホログラム格子の回折作用は受けない。また、信号検出素子17に入射するのは、ホログラム素子13の回折格子を直進的に透過する0次光である。
【0068】
このようにして、信号検出素子17の出力により「3ビーム法によるトラッキング用の信号」が生成され、フォーカシング用の信号は例えば非点収差法により生成される。戻り光束に非点収差を与える光学系は図示を省略されている。
【0069】
図4(b)は、DVD系の光ディスクD2に対し、波長:660nmのレーザ光により情報の書込み・再生・消去の何れかを実行する場合を示している。波長:660nmのレーザ光を放射するLD光源12(LD光源12の発光部は、対物レンズ16の光軸上に設定されている。これに対し、LD光源11の発光部は対物レンズ16の光軸に対して微小距離ずれている。)からのレーザ光は、ホログラム素子13に入射し、これをそのまま透過する。
【0070】
即ち、波長:660nmのレーザ光は、ホログラム素子13における回折格子の回折作用を受けず、偏光ホログラム格子に対してはP偏光で入射するので、偏光ホログラム格子の回折作用も受けない。また、回折格子14を、その回折作用を受けることなく透過し、1/4波長板15と対物レンズ16を介して光ディスクD2の記録面に光スポットとして結像する。対物レンズ16の結像作用は、波長:780nmと波長:660nmの各レーザ光に対して適合されている。
【0071】
光ディスクD2の記録面で反射された波長:660nmのレーザ光は、戻り光となって対物レンズ16と1/4波長板15とを透過し、回折格子14を回折作用を受けることなく透過し、ホログラム素子13に入射する。この状態で、レーザ光は1/4波長板15を往復2度透過することにより、偏光面が「往路での状態に対して90度旋回している」ため、偏光ホログラム格子の回折作用を受け、回折光は信号検出素子17の受光面に入射する。即ち、偏光ホログラム格子の回折角は、波長:660nmの戻り光が信号検出素子17の「受光面上の所定の位置」に入射するように定められている。
【0072】
このようにして、信号検出素子17の出力により「プッシュプル法によるトラッキング用の信号」が生成され、フォーカシング用の信号は例えば非点収差法により生成される。戻り光束に非点収差を与える光学系は図示を省略されている。
【0073】
即ち、図4に実施の形態を示す光ピックアップ装置は、発光波長の異なる2種のレーザ光源11、12から、これら波長に応じた光ディスクD1、D2に至る光路を共通化した光ピックアップ装置において、上に実施の形態を説明した請求項1〜9の任意の1に記載のホログラム素子13を、一方のレーザ光を3ビーム化し、他方のレーザ光に対して往路と復路を分離するために用いるもの(請求項10)である。
【0074】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば新規なホログラム素子および光ピックアップ装置を実現できる。
【0075】
この発明のホログラム素子は、波長が異なる2種のレーザ光のうち一方のみの光路を分岐させる機能と、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させる機能とを持ち、光路分岐機能を有する凹凸回折格子における溝深さに対する公差の余裕が広いため、製造の歩留まりが良く、低コストに実現できる。
【0076】
従って、発光波長が異なる2種のレーザ光源から、これら波長に応じた光ディスクに至る光路を共通化した光ピックアップ装置において、この発明のホログラム素子を、一方のレーザ光を3ビーム化し、他方のレーザ光に対して往路と復路の光路分離に用いることにより、性能良好な光ピックアップ装置を低コストでコンパクトに実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラム素子の実施の1形態を説明するための図である。
【図2】光ピックアップ装置において、図1のホログラム素子と共に用いる回折格子を説明するための図である。
【図3】実施の形態に示すホログラム素子における凹凸回折格子の、溝深さによる回折効率と透過率の変化を示す図である。
【図4】光ピックアップ装置の実施の1形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1A 回折格子
1A1 凹凸回折格子(回折格子1Aの格子部)
1B 偏光ホログラム格子
1B1 光学的異方性材料の層
1B2 光学的等方性材料の層
1B3 保護ガラス
1C 接着剤層
Claims (10)
- 波長:λ1、λ2(>λ1)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子と、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る偏光ホログラム格子とを、入射レーザ光の光路方向に積層してなり、
上記回折格子の格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子であり、凹凸の幅比が0.6以上であることを特徴とするホログラム素子。 - 波長:λ1、λ2(>λ1)の2波長のレーザ光を入射され、実質的に波長:λ2のレーザ光のみの光路を分岐させる機能をもつ回折格子と、レーザ光の偏光方向に応じて回折効率及び透過率を変化させ得る偏光ホログラム格子とを、入射レーザ光の光路方向に積層してなり、
上記回折格子の格子部は断面形状が矩形形状の凹凸回折格子で、凹凸の幅比が0.4以下であることを特徴とするホログラム素子。 - 請求項1または2記載のホログラム素子において、
偏光ホログラム格子が、光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造を有することを特徴とするホログラム素子。 - 請求項3記載のホログラム素子において、
偏光ホログラム格子が、光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造に、上記光学的異方性材料の常光線もしくは異状光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ光学的等方性材料を充填した構成となっていることを特徴とするホログラム素子。 - 請求項3または4記載のホログラム素子において、
光学的異方性材料の層が、有機複屈折膜であることを特徴とするホログラム素子。 - 請求項5記載のホログラム素子において、
光学的異方性材料の層を構成する有機複屈折膜が、延伸により複屈折性を発現させた有機材料膜であることを特徴とするホログラム素子。 - 請求項5または6記載のホログラム素子において、
有機複屈折膜がフィルム状で、光学的に透明な基板上に、接着されていることを特徴とするホログラム素子。 - 請求項7記載のホログラム素子において、
フィルム状の有機複屈折膜を接着する接着剤が、上記有機複屈折膜の常光線もしくは異状光線に対する屈折率と実質的に等しい屈折率を持つ、光学的等方性材料であることを特徴とするホログラム素子。 - 請求項8記載のホログラム素子において、
フィルム状の有機複屈折膜を接着する接着剤が、光学的異方性材料の層上に形成された凹凸状の格子構造に充填される光学的等方性材料と同一材料であることを特徴とするホログラム素子。 - 発光波長:λ1、λ2(>λ1)の2種のレーザ光源から、これら波長に応じた光ディスクに至る光路を共通化した光ピックアップ装置において、
請求項1〜9の任意の1に記載のホログラム素子を、波長:λ1のレーザ光を3ビーム化し、波長:λ2のレーザ光に対して往路と復路の光路分離に用いることを特徴とする光ピックアップ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003179791A JP2005017507A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | ホログラム素子および光ピックアップ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003179791A JP2005017507A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | ホログラム素子および光ピックアップ装置 |
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JP2005017507A true JP2005017507A (ja) | 2005-01-20 |
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ID=34181024
Family Applications (1)
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JP2003179791A Pending JP2005017507A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | ホログラム素子および光ピックアップ装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005017507A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100924876B1 (ko) | 2005-10-28 | 2009-11-02 | 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 | 회절 광학 소자, 및 광 헤드 장치 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003179791A patent/JP2005017507A/ja active Pending
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