JP2005017399A - ドーム形スクリーン装置 - Google Patents

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Shinichi Konno
真一 今野
Toshihiro Minamitani
利博 南谷
Yutaka Sudo
裕 須藤
Akio Sato
昭夫 佐藤
Manabu Kajisawa
学 鍛冶澤
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Taiyo Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】見物者が大人であるか、子供であるか等の要因を考慮し、その目的に応じてドーム部の高さを調整できるドーム形スクリーン装置を提供する。
【解決手段】内面に画像が投影される略半球形をなすドーム部2と、ドーム部2が搭載されると共に見物者の周囲を囲う胴体部3と、を備え、胴体部3は、無段階又は有段階に高さ調整可能に構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラネタリウムや映画の映像等を広範囲に映し出すことができる略半球形をなすスクリーンを備えたドーム形スクリーン装置に関し、特に、スクリーンの略半球面を安定性よく維持することができるドーム形スクリーン装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、ドーム形のスクリーンを備えた装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、この特許出願人が先に特許出願したもので、自転車こぎ運動機具や歩行運動機具等のアスレチック機器或いは乗車構成のシミュレーション装置や娯楽用装置において、使用者が、前進や後退の動作に合わせて変化する仮想的な画像を見ながら目的の動作が行えるようにした画像表示装置付き疑似体験装置に関するものが記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載された画像表示装置付き疑似体験装置は、前進する運動を前進せずにその場で出来るようにしたアスレチック機器と、この運動をする人が前面で該運動の前進する動作に合わせて変化する画像を見ることが出来るように構成された画像表示装置と、前記運動する人に対し少なくとも前方から送風するとともに前記運動の前進する動作に関連させてその風量を変化させる送風装置と、を具備することを特徴としている(以下「第1の従来技術」という。)。
【0004】
この第1の従来技術の場合には、送風装置を用いて新鮮な空気を循環させることで使用者をリフレッシュさせ、運動等による体のリラックスと同時に心のリラックスも得ることができる。更に、送風を画像とともに前進する動作等に合わせることで走行感やスピード感を感じさせて臨場感を向上させると共に、画像表示装置として半球ドーム形スクリーンに投影表示を行うことで、表示画像に立体感を感じさせ、より一層の臨場感あふれる映像で運動等の動作に没入しやすいように考慮されている。
【0005】
更に、この特許出願人に係る従来のドーム形スクリーンを備えた装置の他の例としては、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、半球ドーム形のスクリーンに投射された映像を見ることにより、広大な視野を得られるようにした画像表示装置に関するものが記載されている。
【0006】
この特許文献2に記載された画像表示装置は、半球ドーム形のスクリーンにプロジェクターにより映像を投影し、該半球ドーム形のスクリーンに映し出される映像を該半球ドーム形のスクリーンの開口部側から見るようにした画像表示装置において、上記半球ドーム形のスクリーンを透過形のスクリーンであって光を拡散する性質のシートで作成し、このスクリーンの周縁部を円形湾曲状又は円形平面状の透明なシートで密着密閉して該スクリーンと該透明なシートとの密閉空間内に基体を注入自在にして構成し、上記開口部側と反対側の上記半球ドーム形のスクリーンの背面より映像を投影したことを特徴としている(以下「第2の従来技術」という。)。
【0007】
この第2の従来技術の場合、半球ドーム形のスクリーンは透明なプラスチック材等により透過形のスクリーンとして形成されており、小径の半球状の中央部とその回りの環状の回り部及びその回りの環状の周縁部とで大径の半球体が構成されている。この半球ドーム形スクリーンの背面側に、ビデオプロジェクターからの投影光が反射鏡で反射されて結像される。その結果、半球ドーム形スクリーンの中央部ではピントの合った画像となり、その周囲の回り部では多少ピントがあまくなった画像となり、更に、その周囲の周縁部では徐々にぼやけて暗くなり最外周では真っ暗になる画像が得られる。
【0008】
この半球ドーム形スクリーンを備えた画像表示装置によれば、眼の中央部はピントが合ってはっきりした画像が見えるが、その回りは徐々にぼやけ、視界から外れた部分が徐々に暗くなってスクリーンの周縁部が見えないという観察者の視覚に極めて近い視覚を簡単に再現することができる。
【0009】
また、従来の、ドーム形スクリーンを備えた装置としては、例えば、特許文献3に記載されているようなものもある。特許文献3には、映像、プラネタリュウム等の映像を映写するための、曲面を有するスクリーン構造物に係るものが記載されている。
【0010】
この特許文献3に記載された曲面を有するスクリーン構造物は、形成すべきスクリーン形状に対応させた剛骨格を形成し、この剛骨格の外周面及び内周曲面を、非通気性の素材で形成した外周被膜及び内周被膜にて被覆し、この外周被膜と内周被膜間を、空気が流入する事のない気密空間とし、この気密空間に排気装置を接続して減圧可能とするとともに内周被膜を、剛骨格の内周曲面よりも小さな表面積で内周曲面に対応した形状とする事により、気密空間の減圧時に、剛骨格の内周曲面と内周被膜とが接触しないように形成した事を特徴としている(以下「第3の従来技術」という。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−80096号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】
特許第3393244号公報(第1−2頁、図1)
【特許文献3】
特開平11−95708号公報(第1−2頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のドーム形スクリーン装置等においては、第1及び第2の従来技術の場合、ドーム形スクリーンが脚又は筐体によって支持されており、スクリーンの高さを調整する手段がないため、スクリーンとの距離を近づけたり、遠ざけたりすることができなかった。しかも、スクリーンを使用できる者は一人のみであり、一度に多数の者にきれいな画像を映し出して見せることができるものではないという課題があった。
【0013】
また、第3の従来技術の場合には、内面が半球状の投影面とされていて一度に多数の者を収容できる大きさのドーム形スクリーンを備えているが、そのドーム部は直接、床等の支持面に支えられる構造となっていた。そのため、ドーム部の高さを調整することができず、当初の高さ位置に設定されたドーム形スクリーンのみしか見ることができないという課題があった。
【0014】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ドーム部を支える胴体部の高さを調整可能とし、見物者が大人であるか、子供であるか、或いはスクリーンを近くで見た方が良いか、遠くで見た方が良いか等の要因を考慮し、その目的に応じてドーム部の高さを調整できるドーム形スクリーン装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、前記目的を達成するため、本出願の請求項1記載のドーム形スクリーン装置は、内面に画像が投影される略半球形をなすドーム部と、ドーム部が搭載されると共に見物者の周囲を囲う胴体部と、を備え、胴体部は、無段階又は有段階に高さ調整可能に構成したことを特徴としている。
【0016】
本出願の請求項2記載のドーム形スクリーン装置は、ドーム部は、内面に画像が投影される略半球形をなす内側皮膜と、所定の隙間を空けて内側皮膜に被せられる略半球形をなす外側皮膜と、内側皮膜と外側皮膜との間に形成され且つ常時吸引されることにより圧力が外部よりも低くされる略半球形をなす気体室と、からなることを特徴としている。
【0017】
本出願の請求項3記載のドーム形スクリーン装置は、内側皮膜及び外側皮膜の開口側端部の大きさに対応するリング状をなす膜取付部材と、膜取付部材に内側皮膜及び外側皮膜の各開口側端部を略全周に渡ってそれぞれ着脱可能に固定する膜固定手段と、を設けたことを特徴としている。
【0018】
本出願の請求項4記載のドーム形スクリーン装置は、膜固定手段は面ファスナであることを特徴としている。
【0019】
本出願の請求項5記載のドーム形スクリーン装置は、外側皮膜に対応した略半球形をなす骨格部材を設け、骨格部材に外側皮膜を被せて骨格部材で外側皮膜を保持したことを特徴としている。
【0020】
本出願の請求項6記載のドーム形スクリーン装置は、胴体部は、伸縮可能とされた入れ子式の支持柱を有し、複数本の支持柱でドーム部を高さ調整可能に支持したことを特徴としている。
【0021】
このように構成したことにより、本出願の請求項1記載のドーム形スクリーン装置では、胴体部の高さを無段階又は有段階に調整することにより、ドーム部の高さを無段階又は有段階に調整することができ、見物者が大人であるか、子供であるか、或いはスクリーンを近くで見た方が良いか、遠くで見た方が良いか等の要因を考慮し、その目的に応じてドーム部の高さを調整することができる。
【0022】
本出願の請求項2記載のドーム形スクリーン装置では、膜取付部材と膜固定手段を設け、膜固定手段で内側皮膜及び外側皮膜の略全周を膜取付部材にそれぞれ固定することにより、内側皮膜及び外側皮膜を所定の関連性を持って簡単且つ迅速に組み立てることができ、ドーム形スクリーンの組立性を大幅に向上させることができる。
【0023】
本出願の請求項3記載のドーム形スクリーン装置では、膜取付部材と膜固定手段を設け、膜固定手段で内側皮膜及び外側皮膜の略全周を膜取付部材にそれぞれ固定することにより、内側皮膜及び外側皮膜を所定の関連性を持って簡単且つ迅速に組み立てることができ、ドーム形スクリーンの組立性を大幅に向上させることができる。
【0024】
本出願の請求項4記載のドーム形スクリーン装置では、膜固定手段として面ファスナを用いることができ、これにより、膜取付部材に対する内側皮膜及び外側皮膜の脱着作業を簡単且つ迅速に行うことができる。
【0025】
本出願の請求項5記載のドーム形スクリーン装置では、骨格部材に外側皮膜を被せて保持することにより、外側皮膜の内面に作用する負圧による変形を抑制して気体室を明確に出現させ、内側皮膜の内面に負圧を確実且つ十分に作用させて投影面の略半球形を安定性よく維持することができる。
【0026】
また、本出願の請求項6記載のドーム形スクリーン装置では、胴体部として入れ子式の支持柱を適用することにより、ドーム部の高さ調整を比較的簡単且つ迅速におこなうことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図15は、本発明の実施の形態を示すものである。即ち、図1は本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例を断面して示す説明図、図2は外観構成を示す斜視図、図3は一部を分解して示す説明図、図4A,B,Cは支持柱を示す説明図、図5は同じく支持柱の正面図、図6は骨格部材の斜視図、図7A,Bは骨格部材の全体図及び折り曲げ部の拡大説明図、図8A,Bは骨格部材の天井リングを示す平面図及び半断面図、図9A,Bは骨格部材の縦骨材と横骨材の連結部を示す正面図及び側面図、図10は膜取付部材の上フレーム片の斜視図、図11は膜取付部材の斜視図、図12は内側皮膜及び外側皮膜の斜視図、図13は支持部材の下フレーム片の斜視図、図14は支持部材の斜視図、図15は映写機の一実施例を示す斜視図である。
【0028】
この実施例に示すドーム形スクリーン装置は、天体や映画等の映像を見物者の頭上に配設された半球形のスクリーンに映し出し、天体の運行や映画のストーリー等を見物者が頭上の半球形スクリーンを見て楽しむことができるようにしたものである。図1〜図3に示すように、ドーム形スクリーン装置1は、略半球形をなすスクリーンを有するドーム部2と、このドーム部2を下方から支持すると共に高さ調整可能とされた胴体部3と、半球形スクリーンを半球形に保持する吸引装置4等を備えて構成されている。
【0029】
ドーム部2は、内面に画像が投影される略半球形をなす内側皮膜5と、この内側皮膜5との間に全周面に渡って所定の隙間を空けて被せられる同じく略半球形をなす外側皮膜6と、この外側皮膜6を内側から支える骨格部材7と、これら内外側皮膜5,6及び骨格部材7の開口側端部を全周に渡ってそれぞれ支持する膜取付部材8とから構成されている。そして、内側皮膜5と外側皮膜6との間に形成される略半球形をなす空間部によって気体室9が構成されている。
【0030】
内側皮膜5及び外側皮膜6は、遮光性のあるシート状の部材によって形成されている。内側皮膜5及び外側皮膜6の材料としては、例えばポリエステルが好適であるが、ナイロンその他のプラスチック製のシートを適用できることは勿論のこと、その他にも布を芯材としてその表面にプラスチックシートを貼り合わせたもの、これとは逆にプラスチックシートを芯材としてその片面又は両面に布を貼り合わせたもの等の各種材料を用いることもできる。尚、外外側皮膜6は、屋外に設置する場合等を考慮して耐候性を有する材料にて形成するのが好ましい。
【0031】
これら内側皮膜5及び外側皮膜6は、全体が略半球形をなす曲面を形成するように構成する。そのため、内側皮膜5及び外側皮膜6は、予め計算された数値に基づく立体裁断等によって複数の皮膜片に分割して形成し、この複数の皮膜片を縫製や接着剤等の接合手段により接続して、それぞれが1個の略半球形をなすキャップ状の部材となるように構成する。この際、隣り合う皮膜片の接合部分は、高度な気密状態が得られるように完全に密着させて接合する構成としてもよいが、ある程度接合された状態であれば少々気密が破られて気体漏れが生じている状態であってもよい。その理由は、後述するように、吸引装置4で常時気体室9内の空気を吸引し、常にスクリーン内に空気が流れるように構成されるからである。
【0032】
また、図1及び図12に示すように、内側皮膜5は外側皮膜6よりも少々小形に形成し、内側皮膜5に外側皮膜6を被せた状態において全周面に所定の隙間が形成されるようにする。従って、内側皮膜5の開口側端部の直径は外側皮膜6の開口側端部の直径よりも小径であり、当然に内側皮膜5の表面積は外側皮膜6の表面積よりも小さなものとなっている。
【0033】
骨格部材7は、図1〜図3に示すような構成を有している。即ち、骨格部材7は、複数本の縦骨材11(本実施例では12本)と、縦骨材11に対して直交する方向に配置される横骨材12(本実施例では1本)と、1個のリングジョイント13等を備えて構成されている。各縦骨材11は、図7Aに示すように、それぞれ円弧状に形成された上部アーム15及び下部アーム16と、両アーム15,16を軸方向へ折り曲げ自在に連結する連結具17とから構成されている。そして、上部アーム15と下部アーム16は、それぞれパイプ状の中空部材によって形成されている。
【0034】
上部アーム15の軸方向両端部には、それぞれ接続片18,19が圧入やねじ締め等の固着手段により固定されて一体に構成されている。同様に、下部アーム16の軸方向両端部には、それぞれ接続片20,21が圧入やねじ締め等の固着手段により固定されて一体に構成されている。各接続片18,19,20,21は、各アーム15,16の穴に圧入等されて固定される軸部22aと、この軸部22aの位置決めをなす鍔部22bと、この鍔部22bに連続して軸部22aと反対側に突出される凸部22cとから構成されている。そして、凸部22cには、各アームの軸方向と交差する方向に開口する挿通穴が設けられている。
【0035】
このような構成を有する接続片18,19,20,21のうち、上部アーム15の下端に固定された下側接続片19と下部アーム16の上端に固定された上側接続片20が、それぞれ連結具17に回動自在に連結されている。連結具17は、図7B及び図9A,Bに示すように、コ字状に形成された受け部を両端に有する平面形状がH字状をなす部材からなる。この連結具17の一方の受け部17aに接続片19の凸部22cが挿入され、他方の受け部17bに接続片20の凸部22cが挿入されている。各受け部17a,17bの挿通穴には取付ネジ23が挿入され、その取付ネジ23の先端に螺合するナットによって抜け止めされている。
【0036】
更に、連結具17の幅方向の一側であって長手方向(2つの受け部17a,17bの互いの挿通穴を結ぶ方向)の両端には、略45度に傾斜された切欠き部25がそれぞれ設けられている。各切欠き部25は幅方向の中央部から一側に掛けて大きく面取りするように形成されている。これにより、連結具17に対して上部アーム15及び下部アーム16は、図7A,Bに示す略90度折り曲げた状態と、図9A,Bに示す180度広げて軸方向へ伸ばした状態とを選択的に取ることができるように構成されている。
【0037】
この場合、図9A,Bに示すように、連結具17の長手方向と上部アーム15(下部アーム16の場合も同様である。)の軸心線を一致させるように180度に広げると、連結具17の切欠き部25と逆側の端面に接続片19(下部アーム16の場合には接続片20)の鍔部22bが当接される。この場合には、連結具17に対して上部アーム15を切欠き部25と逆側、即ち図9Bにおいて反時計方向に回動させることができない。これに対して、図9Bにおいて時計方向である連結具17の切欠き部25のある側には、上部アーム15を回動させて折り曲げることができる。
【0038】
尚、図9A,Bに示す符号26は、上部アーム15及び下部アーム16と連結具17とからなる関節部を覆うことができる保護パイプである。保護パイプ26の材料としては、例えば、ビニールパイプのように柔軟性のあるパイプ材料が好適である。この保護パイプ26は、連結具17等からなる関節部を伸ばしたときに使用するもので、関節部を覆って関節が伸びた状態を保持することができる。不使用時の保護パイプ26は、上部アーム15側に移動させておく。この保護パイプ26で関節部を覆うことにより、上部アーム15及び下部アーム16が内側へ折り畳まれるのを防ぐことができる。
【0039】
このような構成を有する複数の縦骨材11の上部アーム15の上端に固定された上側接続片18は、リングジョイント13にそれぞれ回動自在に連結されている。リングジョイント13は、図8A,Bに示すように、適当な厚みを有するリング状の部材からなり、その外周面には、縦骨材11と同じ数のスリット28が周方向へ等間隔に設けられている。これらのスリット28には、接続片18の凸部22cがそれぞれ摺動可能に挿入されている。そして、各接続片18の凸部22cには、リング状をなすリング軸29が共通に挿通されている。
【0040】
リングジョイント13の内周面には、上部ストッパ30と下部ストッパ31が厚み方向に所定の隙間をあけて設けられている。上部ストッパ30は、図6に示すように、骨格部材7が開いた一定の状態を保持するためのものである。かかる開いた状態を保持するため、縦骨材11の接続片18の凸部22cの先端には、軸部22aと反対側に突出する突起22dが設けられている。また、下部ストッパ31は、骨格部材7が閉じた状態(図7Aの状態)において、縦骨材11が必要以上に内側へ折り曲げられるのを防ぐためのものである。
【0041】
かくして、骨格部材7を開くと、図8Bに示すように、接続片18の突起22dが上部ストッパ30の側面に当接される。これにより、縦骨材11の更なる外側への開放動作、即ち、図8Bにおいて反時計方向への回動が防止される。一方、骨格部材7を閉じると、接続片18の凸部22cの下面が下部ストッパ31の側面に当接される。これにより、縦骨材11の更なる内側への回動操作、即ち、図8Bにおいて時計方向への回動が防止される。
【0042】
また、横骨材12は、複数の縦骨材11の横方向の間隔を略一定に保持するためのものである。この横骨材12は、縦骨材11の数と同数の円弧状に形成された横アーム33と、隣り合う横アーム33間を着脱可能に連結する同数の接続具34とから構成されている。横アーム33はパイプ状の中空部材によって形成されており、その軸方向両端部には、それぞれ接続片35,36が圧入やねじ締め等の固着手段により固定されて一体に構成されている。
【0043】
各接続片35,36は、横アーム33の穴に圧入等されて固定される軸部37aと、この軸部37aの位置決めをなす鍔部37bと、この鍔部37bに連続して軸部37aと反対側に突出される凸部37cとから構成されている。そして、凸部37cには、横アーム33の軸方向と交差する方向に開口する挿通穴が設けられている。
【0044】
接続具34は、縦骨材11を内外両側から挟む一対の挟持片34a,34bからなり、同一の形状を有する2個の挟持片によって構成されている。各挟持片34a,34bは、半円形に形成された挟持部38aと、この挟持部38aの両側に連続された連結部38b,38bとからなり、各連結部38bには挿通穴が設けられている。
【0045】
かくして、縦骨材11を内外両側から挟む一対の挟持片34a,34bのそれぞれ両端の連結部38b間に、隣り合う横アーム33の一方の接続片35と他方の接続片36がそれぞれ挿入される。このように重ね合わされた状態で各連結部38bの挿通穴に取付ネジ39が挿入され、その取付ネジ39の先端に螺合するナットの締め込みにより、各横アーム33が隣り合う縦骨材11間に締付固定されている。このような構成を有する骨格部材7は、図6に示すように、組立時において膜取付部材8に組み立てられて一体的に構成される。
【0046】
膜取付部材8は、図10に示すような形状を有する複数個の上フレーム片40(本実施例では8個)と、隣り合う上フレーム片40間を接続する上フレーム片40と同数の上ジョイント41と、これらを連結する取付ネジ47aから構成されている。上フレーム片40は、断面形状がコ字状をなす部材を、その溝が円弧状をなすよう湾曲させることによって形成されている。そして、上フレーム片40の溝の底部には、上ジョイント41を連結するための複数の通し孔42aと、後述する支持柱を支持するための1又は2個の挿通孔42bとが設けられている。
【0047】
この上フレーム片40の曲率半径方向内側に立ち上げられた側面部40aの外周面(半径方向内側の面)には、内側皮膜5を膜取付部材8に対して着脱自在に固定するための膜固定手段の一具体例を示す内側皮膜用面ファスナ44の一方を構成する固定側ファスナ部材44aが接着剤等の固着手段により固定されている。また、上フレーム片40の曲率半径方向外側に立ち上げられた側面部40bの外周面(半径方向外側の面)には、外側皮膜6の下端縁及び後述する幔幕の上端縁を膜取付部材8に対して着脱自在に固定するための膜固定手段の一具体例を示す外側皮膜兼幔幕用面ファスナ45の一方を構成する固定側ファスナ部材45aが接着剤等の固着手段により固定されている。
【0048】
上ジョイント41は上フレーム片40の溝に見合う形状とされていて、その底面には、上フレーム片40の通し孔42aと対応する位置に同じ数だけ通し孔46aが設けられている。この上ジョイント41を上フレーム片40の溝内に嵌め合わせ、互いに位置合わせされた通し孔42a,46aに取付ネジ47bを挿入して締め付けることにより、2個の上フレーム片40,40が長手方向へ連結される(図4Bを参照)。そして、所定数(本実施例では8個)の上フレーム片40を長手方向へつなぎ合わせることにより、図11に示すように、全体としてリング状をなす膜取付部材8が構成される。
【0049】
これにより、内側皮膜用面ファスナ44の固定側ファスナ部材44aと外側皮膜兼幔幕用面ファスナ45の固定側ファスナ部材45aとが、それぞれ周方向に連続されて全体としてリング状に構成される。この固定側ファスナ部材44aに対応して内側皮膜5の開口側端部の外周面には、図12に示すように、内側皮膜用面ファスナ44の他方を構成する膜側ファスナ部材44bが縫合等の固着手段によって固定されている。また、固定側ファスナ部材45aに対応して外側皮膜5の開口側端部の内周面には、図12に示すように、外側皮膜兼幔幕用面ファスナ45の他方を構成する膜側ファスナ部材45bが縫合等の固着手段により固定されている。
【0050】
これら内外の膜側ファスナ部材44b,45bは、内側皮膜5及び外側皮膜6の開口側端部において、それぞれ周方向に連続するよう全周に渡って設けられているが、周方向に適当な間隔をあけて間欠的に配置する構成としてもよい。この場合には、膜側ファスナ部材44b,45bに合わせて固定側ファスナ部材44a,45aを、周方向に適当な間隔をあけて間欠的に配置する構成としてもよい。また、膜固定手段としての面ファスナ44,45に換えて、例えば、ボタンを用いる固着手段やチャックを用いる固着手段等のように、2つの部材を簡単に係合離脱させることができる各種の手段を適用できることは勿論である。
【0051】
この膜取付部材8に、上述した骨格部材7の複数の縦骨材11の下端部が、それぞれ取付ブラケット48を介して着脱可能に取り付けられている。図4及び図5に示すように、取付ブラケット48は、縦骨材11の下部アーム16の下端部に固定された下側接続片21の凸部22cが挿入される二股部48aを有し、その二股部48aには横方向に貫通する連結孔が設けられている。各取付ブラケット48に対応して上フレーム片40の下面には、軸方向の一端が閉じられた鞘管49が配置されている。この鞘管49と共に取付ブラケット48は、取付ネジ47bによって上フレーム片40に固定されている。
【0052】
これにより膜取付部材8には周方向に所定間隔あけて、その上面には12個の取付ブラケット48が固定され、また、下面には12個の鞘管49が固定されている。各鞘管49には、ドーム部2を高さ調整可能に支持する支持柱60の上端部が挿入される。この実施例では、12本の支持柱60が用いられており、これら12本の支持柱60は、図1及び図3等に示すように、円弧状に連結された2組の支持部材51に所定の間隔をあけて立設されている。
【0053】
支持部材51は、図13に示すような形状を有する複数個の下フレーム片52(本実施例では6個)と、隣り合う下フレーム片52間を接続する下ジョイント53(本実施例では4個)と、これらを連結する取付ネジ47cから構成されている。下フレーム片52は、断面形状がコ字状をなす部材を、その溝を下方に向けた状態で水平方向へ円弧状をなすよう湾曲させることによって形成されている。この下フレーム片52の上面には、下ジョイント53を連結するための複数の通し孔54aと、支持柱60を支持するための2個の挿通孔54bとが設けられている。
【0054】
更に、下フレーム片52の曲率半径方向外側に配された側面部52aの外周面(半径方向外側の面)には、胴体部3の側面を覆う幔幕57の下端縁を着脱自在に固定するための固定手段の一具体例を示す幔幕用面ファスナ58の一方を構成する固定側ファスナ部材58aが接着剤等の固着手段により固定されている。
【0055】
また、下ジョイント53は下フレーム片52の溝に見合う形状とされていて、その上面には、下フレーム片52の通し孔54aと対応する位置に同じ数だけ通し孔55aが設けられている。この下ジョイント53を下フレーム片52の溝内に嵌め合わせ、互いに位置合わせされた通し孔54a,55aに取付ネジ47cを挿入して締め付けることにより、2個の下フレーム片52,52が長手方向へ連結される(図4Cを参照)。
【0056】
この下フレーム片52の所定数(本実施例では3個)を長手方向へつなぎ合わせることにより、図14に示すように、全体として略半円形をなす2組の支持部材51が構成されている。このように支持部材51を2組として構成した理由は、支持部材51が見物者の出入りの際の障害物とならないようにするためである。即ち、支持部材を2組に分割して構成することにより、2組の支持部材51,51間に出っ張りのない通路を作り、その通路を人が移動できるようにしている。
【0057】
この下フレーム片52の上面には、図4に示すように、各挿通孔54bに対応して円筒状の位置決め管63が配置されている。位置決め管63は、支持柱60を支持部材51の所定位置に位置決めするためのもので、挿通孔54bに挿通される取付ネジ47dによって下フレーム片52に固定されている。この位置決め管63に支持柱60の下部を嵌合することにより、支持柱60が下フレーム片52の所定位置に立設される。
【0058】
1組の支持部材51には、それぞれ6個の支持柱60が立設される。従って、この実施例では、12個の支持柱60によってドーム部2が下方から支えられている。支持柱60は、図4及び図5に示すような構成を有している。即ち、支持柱60は、支持部材51に固定されるパイプ状の外筒61と、この外筒61に対して入れ子式に出し入れされるパイプ状の内筒62を備えて構成されている。外筒61に対する内筒62は、調整ピン64の差込位置を変えることにより3段階に高さ調整可能とされている。
【0059】
この高さ調整を行うため、外筒61の上部には基準孔61aが直径方向へ貫通するように設けられている。これに対して内筒62には、下段孔62aと中段孔62bと上段孔62cが軸方向へ所定間隔あけて3箇所に設けられている。この3つの孔のいずれかを基準孔61aに合わせ、その状態で両孔に調整ピン64を挿通させることにより、支持柱60を下段位置と中段位置と上段位置のいずれかに選択的に設定することができる。尚、支持柱60の高さ調整は、この実施例に限定されるものではない、2段或いは4段以上の段数に設定できることは勿論のこと、無段階に高さ調整が可能な構成とすることもできる。
【0060】
この支持柱60の、外筒61の下端が支持部材51の位置決め管63に嵌合され、内筒62の上端が膜取付部材8の鞘管49に嵌合される。外筒61と位置決め管63及び内筒62と鞘管49は、それぞれ固定ピン65の着脱により着脱可能に構成されている。そのため、外筒61の下端部と内筒62の上端部と位置決め管63と鞘管49には、それぞれ挿通孔61b,62d,63a及び49aが直径方向へ貫通するように設けられている。更に、内筒62の外周面には、外筒61に対する内筒62の沈み込み量を制限するための環状凸部66が設けられている。この環状凸部66が外筒61の上端に当接した状態が支持柱60の最も縮んだときであり、このとき基準孔61aには上段孔62cが一致するようにする。
【0061】
また、図1〜図4に示す符号70は、見物者がドーム形スクリーン装置1に出入りするためのトンネル部である。このトンネル部70は、同一のものが胴体部3の2箇所に設けられた出入口と対向する位置に配置されている。各トンネル部70は、大人が立って歩くことができる大きさの縦長の立方体からなり、その骨組みとなるフレーム部71と、このフレーム部71の正面及び背面に設けられ且つ人の出入りが可能とされた開閉部72,73と、フレーム部71の上面及び左右側面を覆うカバー部74とから構成されている。
【0062】
図3等に示すように、フレーム部71は、縦長の長方形枠体とされた左右の側面フレーム71a,71aと、両側面フレーム71aの上端に掛け渡された上面パネル71bとからなり、図示しないが、ネジ止め等の固着手段によって組立・分解可能に構成されている。このフレーム部71の正面及び背面に、開閉部の一具体例を示す交差式カーテンのような前側暗幕72と後側暗幕73が、外部から光が入り込むのを防止すると共に、人が裾を跳ね上げる等によって人の通行が可能なように設けられている。
【0063】
フレーム部71は、図4に示すように、出入口に位置する2本の支持柱60に対して複数の支持具75(この実施例では1本の支持柱60について2個)によって背面側から支持されている。各支持具75は、外筒61に装着されるリング状をなすバンド部材76と、側面フレーム71aの背面に固定された突起片77とからなる。バンド部材76の両端で突起片77を挟み込み、その挟み込み部をネジ締めすることにより、フレーム部71が支持柱60に取り付けられる。
【0064】
このような構成を有する2つのトンネル部70,70の間は、図2及び図3に示すように、2枚の幔幕57により覆われて外の光がドーム内に入らないように構成されている。各幔幕57は、外からの光を遮ることができると共に柔軟性に富む布、プラスチックシートその他の材料によって形成されている。幔幕57の内面の下部には、この幔幕57の下縁部を支持部材51の外周面に設けた固定側ファスナ部材58aと係合離脱自在とされた幕下側ファスナ部材58bが長手方向の略全長に渡って設けられている。
【0065】
また、幔幕57の内面の上部には、この幔幕57の上縁部を膜取付部材8の外周面に設けた固定側ファスナ部材45aと係合離脱自在とされた幕上側ファスナ部材59が長手方向の略全長に渡って設けられている。この幕上側ファスナ部材59は、胴体部3の高さ調整に合わせて高さ変更を吸収できる幅によって形成されている。
【0066】
これにより図1において、支持柱60が実線で示す最も伸びた状態では、幕上側ファスナ部材59の上端縁が固定側ファスナ部材45aと係合される。一方、支持柱60が二点鎖線で示す最も縮んだ状態では、幕上側ファスナ部材59の下端縁が固定側ファスナ部材45aと係合される。尚、幕上側ファスナ部材59は、胴体部3の高さ調整に合わせて、その調整段数と同じ数の互いに平行をなす直線部として設定することもできる。
【0067】
前述した骨格部材7の縦骨材11、横骨材12、リングジョイント13及び連結具17、膜取付部材8の上フレーム片40及び上ジョイント41、支持部材51の下フレーム片52及び下ジョイント53、トンネル部70の側面フレーム71a及び上面パネル71bの材料としては、例えば、アルミニウム合金が好適であるが、ステンレス鋼その他の金属材料を適用できることは勿論のこと、エンジニアリングプラスチックその他の材料を用いることもできる。
【0068】
また、図1に示すように、吸引装置4は、電動モータによって回転駆動される吸引ポンプ80と、吸引ポンプ80や電動モータ等が収納されたハウジング81と、内側皮膜5と外側皮膜6で囲まれた気体室である空気室9を吸引ポンプ80も連通する吸気ダクト82等から構成されている。吸気ダクト82は蛇腹のように曲げや伸縮が自在な構造とされていて、一端が吸引ポンプ80の吸い込み口に接続されている。吸気ダクト82の他端は幔幕57を貫通して胴体部3内に挿通され、その先端は膜取付部材8の溝底部に設けた貫通穴83に挿通されている。
【0069】
胴体部3の略中央部に配置される映写機としては、例えば、図15に示すような構成を有するプロジェクタ90を用いることができる。このプロジェクタ90は、球体をなす映写部91と、この映写部91を回転自在に支持すると共に上下方向へ回動駆動させる駆動装置が内蔵されたスタンド部92と、このスタンド部92の下端に固定されたベース部93とから構成されている。映写部91は、外周面に多数の凹部が設けられた球体91aと、各凹部の中央に露出するように設けられた多数の映写レンズ91bを有している。かくして、球体91aを回転させながら複数の映写レンズ91bで画像を内側皮膜5であるドーム形スクリーンに映し出すことにより、プラネタリウムとして恒星や惑星の運行を学んだり、映画館として映画のストーリーを楽しむことができる。
【0070】
このような構成を有するドーム形スクリーン装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、図13に示す下フレーム片52の所定数を、下ジョイント53を用いて長手方向に連結し、図14に示すように、2組の支持部材51,51を構成する。これら2組の支持部材51,51の所定位置に位置決め管63を用いて所定数の支持柱60を立て、それぞれの外筒61を固定ピン65で位置決め管63に固定する。その後に、或いは支持部材51の組立作業と平行して、図10に示す上フレーム片40の所定数を、上ジョイント41を用いて長手方向に連結し、図11に示すように、リング状をなす膜取付部材8を構成する。
【0071】
次に、図7Aに示すような状態で保管されている骨格部材7を、図6に示すように傘を開くように展開し、その後に全ての縦骨材11の下端部を膜取付部材8に固定する。これは、まず、連結具17の部分で2つに折り曲げられている縦骨材11を、図9A、Bに示すように、その連結具17から広げて伸ばすようにする。これにより、連結具17の両端に接続片19,20の鍔部22bがそれぞれ当接され、この状態で連結具17を含むその近傍に保護パイプ26を嵌め込む。
【0072】
これと共に又は前後して、リングジョイント13において、上部アーム15を広げて伸ばすようにする。これにより、図8A、Bに示すように、スリット28の底に接続片18の突起22dが当接される。その結果、上部アーム15の更なる外側への動きが制限され、多数の縦骨材11がそれぞれ開いた状態に保持される。
【0073】
次に、各連結具17の近傍において、縦骨材11の上部アーム15又は下部アーム16に横骨材12を組み立てる。これは、隣り合う縦骨材11,11間に横骨材12の横アーム33を張り渡し、図9A、Bに示すように、接続具34で隣り合う横アーム33,33の端部を挟持しつつ縦骨材11に固定する。これにより、多数の縦骨材11の互いの間隔が略一定に保持される。
【0074】
このように開かれた骨格部材7の各縦骨材11の下端部を膜取付部材8の溝内にそれぞれ挿入する。そして、膜取付部材8の溝内に取り付けられた取付ブラケット48に、各縦骨材11の下端に固定された接続片21を取付ネジ47eで固定する。これにより、図6に示すように、膜取付部材8に骨格部材7が組み立てられた骨格組立体が構成される。
【0075】
この骨格組立体の内側に内側皮膜5を配置し、この内側皮膜5を広げて骨格部材7の内面に沿うように展開させる。そして、内側皮膜5の開口側端部に設けた膜側ファスナ部材44bの適当な箇所を膜取付部材8の内周面に設けた固定側ファスナ部材44aに係合させて、内側皮膜5がある程度の半球形を保持できるようにする。
【0076】
次に、骨格組立体の外側に外側皮膜6を配置して被せ、この外側皮膜6を広げて骨格部材7の外面に沿うように展開させる。そして、外側皮膜6の開口側端部に設けた膜側ファスナ部材45bの適当な箇所を膜取付部材8の外周面に設けた固定側ファスナ部材45aに係合させる。これにより、骨格組立体の内側に内側皮膜5が配置され、その外側に外側皮膜6が配置されると共に、両皮膜5,6間に気体室(空気室)9が形成されたドーム部2が構成される。
【0077】
このように構成されたドーム部2を持ち上げ、2組の支持部材51に固定されている12本の支持柱60の上に載置する。この際、12本の支持柱60は、それぞれ最も低い状態に設定しておくことにより、ドーム部2の持ち上げ量を最も小さくすることができる。また、膜取付部材8の下面に固定されている12個の鞘管49に各支持柱60の内筒62の上端部をそれぞれ嵌め合わせ、各内筒62を固定ピン65で鞘管49にそれぞれ固定する。そして、必要に応じて支持柱60の高さを調整する。
【0078】
この支持柱60の高さ調整は、例えば、次のようにして行うことができる。図5において実線で示すように、全ての支持柱60が最も縮んだ状態にあるときには、各支持柱60において環状凸部66が外筒61の上端面に当接しているため、調整ピン64を簡単に引き抜くことができる。
【0079】
そこで、各支持柱60において調整ピン64を引き抜き、複数人でドーム部2を所定の高さまで押し上げる。そして、ドーム部2を最も高い位置に設定する場合には、図4に示すように、内筒62の下段孔62aが外筒61の基準孔61aと一致するまで持ち上げ、その基準孔61a及び下段孔62aに調整ピン64を挿入する。また、ドーム部2を中間の位置に設定する場合には、内筒62の中段孔62bが外筒61の基準孔61aと一致するまで持ち上げ、その基準孔61a及び中段孔62bに調整ピン64を挿入する。
【0080】
これにより、見物者の大きさ(背の高さ)に応じてスクリーンの高さを3段階に調整することができる。例えば、主な見物者が大人である場合には、ドーム部2を最も高い位置に設定し、一方、主な見物者が幼稚園児や小学生である場合には、ドーム部2を最も低い位置に設定するようにする。これとは逆に、主な見物者が大人である場合において、故意にドーム部2を最も低い位置に設定し、見物者にわざと圧迫感を与えるようにすることもできる。この場合には、例えば、次のような効果が期待される。
【0081】
一般に、茶道の世界において、茶室には「にじり口」と呼ばれる壁面に設けられた客用の小さな出入口があり、このにじり口は慣れていなければ女性でも身をかがめて席入りするのに大変ですので、男性ならばなおさらのこと通り難くいものとなっています。このにじり口は、千利休が草庵茶室・待庵に設けた小さな入り口が始まりと言われていますが、これには利休特有の精神的、思想的な目的が意図的に表現されているそうです。それは、封建社会での身分の上下関係は絶対的なものでしたが、茶室に入るには誰であろうとも低く頭を垂れて伏して入らねばならないようにして、茶室の中では身分の上下関係を取り除き、まず自分というものを一度捨て、お互いに一人の人間として対峙するという意味があります。
【0082】
このような茶室は、小宇宙或いは母親の胎内であるとよく言われますが、にじり口から入ったら立場を捨て、無垢なありのままの姿になれということで、何を言わずとも空間の所作によって教える、それが究極の空間といわれる所以です。本願発明は、このような空間をドーム形スクリーン装置1として実現し、上記胴体部3の高さ調整により茶室と同様の空間を得られるようにすることにより、茶の作法と同様の感覚を持って恒星や惑星等の星の運行等を見学或いは見物することができる、という効果が期待されます。
【0083】
上述したように支持柱60の高さ調整により胴体部3の高さが決定したところで、次に、図3に示すように、全ての支持柱60を覆い隠すように2枚の幔幕57を胴体部3(トンネル部70,70間の2箇所)に張り合わせる。これは、幔幕57を膜取付部材8及び支持部材51の外周面に巻き付けながら、内面の上端縁に設けた幕上側ファスナ部材59を膜取付部材8の外周面に設けた固定側ファスナ部材45aに係合させると共に、内面の下端縁に設けた幕下側ファスナ部材58bを支持部材51の外周面に設けた固定側ファスナ部材58aに係合させることにより行う。
【0084】
この場合、胴体部3の高さが最も高い上段位置ではなく中段又は下段位置である場合には、幔幕57の上端縁が少々あまることになるが、そのあまった部分は外側に折り返すようにして、支持柱60の部分はたるみが出ないように貼り付ける。これにより、ドーム部2を支える胴体部3の組立が完了する。
【0085】
この胴体部3の2箇所の出入口にトンネル部70をそれぞれ配置する。そして、図1に示すように、吸引装置4を所定位置にセットし、その吸気ダクト82の先端をドーム部2の膜取付部材8に設けた貫通穴83に差し込み、ドーム部2の空気室9を吸引装置4に連通させる。その後、吸引装置4を駆動させて空気室9内の空気を吸引し、その圧力を外部の圧力よりも低くする。
【0086】
これにより、略半球形をなす内側皮膜5の外周面の全体には負圧が満遍なく作用する一方、曲率半径方向内側の内周面の全体には大気圧(正圧)が満遍なく作用する。その結果、内側皮膜5は、その内周面に作用する正圧と外周面に作用する負圧によって膨らみ、略半球形をなす形態に保持される。また、同じく略半球形をなす外側皮膜6の内周面の全体には負圧が満遍なく作用する一方、曲率半径方向外側の外周面の全体には大気圧(正圧)が満遍なく作用する。そのため、外側皮膜6には大気圧による押し縮めようとする力が作用するが、外側皮膜6の内側には骨格部材7が配置されているため、この骨格部材7によって外側皮膜6の略半球形をなす形態が保持される。
【0087】
これにより、全ての組立作業が完了し、図2に示すような形態をなすドーム形スクリーン装置1を構成することができる。その後、図1に示すように、胴体部3の中央部に1台又は2台以上のプロジェクタ90(その他の映写機等でもよい。)を配置する。見物者(見学者)は、中央に配置されるプロジェクタ90の周囲を囲むように配置される。
【0088】
この状態で、例えば、1台のプロジェクタ90を用いて恒星の運行を半球形スクリーン(内側皮膜5)に写したり、2台のプロジェクタ90を用いて1台で恒星の運行を写し、他の1台で惑星の運行を同時に又は選択的に写し出すようにする。このドーム形スクリーン装置1によれば、構造が比較的簡単であって、移動も容易に行うことができ、しかも組立・分解作業が容易な簡易方式のプラネタリウムを構成することができる。
【0089】
一般に、空気を密閉すると、その密閉された空気が断熱層となるため、そのような断熱層の内側に多数の人が一定時間入る構造物の場合には、人の体温や吐く息等によって構造物内の温度が上昇し、空気も汚れるため、構造物内の空調が必要となり、そのための空調設備が必要不可欠となる。これに対して、本願発明によれば、吸引装置4によってドーム形スクリーンの空気室9内が常時吸気されているため、内側皮膜5内にあって多くの人の周囲を囲う空気が、例えば、面ファスナの接合部分や、スクリーンの縫い目等の隙間から吸気されることにより、内側皮膜5内の空気が常に入れ換えられることから、特別な空調設備を設ける必要がない。
【0090】
特に、内側皮膜5に空気入れ換え用の空気穴を設けることにより、内側皮膜5内の空気の入れ換えを確実且つ迅速に行うことができる。また同様に、一般の建造物のように空気が流れない場合には、内部の空気と外気との温度差によって天井や壁等に結露を生ずるが、本願発明のドーム形スクリーン装置1によれば、空気がスクリーン内や内側皮膜5を常時流れるため、結露の発生を防止することができる。
【0091】
更に、本願発明のドーム形スクリーン装置1によれば、大人数人で短時間に組立、分解作業を行うことができると共に、講堂や体育館等に設置する場合において、天井の高さに合わせて簡単に高さ調整を行うことができ、最適な高さに設定することができる。例えば、学校の講堂や体育館等に簡単に設置することができるので、例えば、地区内の学校を順次巡回して「動くプラネタリウム教室」等のように機能させて、学校教育に幅広く使用することができる。
【0092】
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、ドーム部2の形状に合わせて胴体部3を円筒状に構成したが、四角形、六角形、八角形等の角形の筒体として構成することもできる。また、トンネル部の数は、1個であってもよく、また、3個以上設ける構成としてもよいことは勿論である。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の請求項1記載のドーム形スクリーン装置によれば、胴体部の高さを調整可能な構成としたため、ドーム部の高さを無段階又は有段階に調整することができ、これにより、見物者が大人であるか、子供であるか、或いはスクリーンを近くで見た方が良いか、遠くで見た方が良いか等の要因を考慮して、その目的に応じてドーム部の高さを任意に調整することができるという効果が得られる。
【0094】
本出願の請求項2記載のドーム形スクリーン装置によれば、膜取付部材と膜固定手段を設け、膜固定手段で内側皮膜及び外側皮膜の略全周を膜取付部材にそれぞれ固定する構成としたため、内側皮膜及び外側皮膜を所定の関連性を持って簡単且つ迅速に組み立てることができ、ドーム形スクリーンの組立性を大幅に向上させることができるという効果が得られる。
【0095】
本出願の請求項3記載のドーム形スクリーン装置によれば、膜取付部材と膜固定手段を設け、膜固定手段で内側皮膜及び外側皮膜の略全周を膜取付部材にそれぞれ固定する構成としたため、内側皮膜及び外側皮膜を所定の関連性を持って簡単且つ迅速に組み立てることができ、ドーム形スクリーンの組立性を大幅に向上させることができるという効果が得られる。
【0096】
本出願の請求項4記載のドーム形スクリーン装置によれば、膜固定手段として面ファスナを用いることができ、これにより、膜取付部材に対する内側皮膜及び外側皮膜の脱着作業を簡単且つ迅速に行うことができるという効果が得られる。
【0097】
本出願の請求項5記載のドーム形スクリーン装置によれば、骨格部材に外側皮膜を被せて保持する構成としたため、外側皮膜の内面に作用する負圧による変形を抑制して気体室を明確に出現させ、内側皮膜の内面に負圧を確実且つ十分に作用させて投影面の略半球形を安定性よく維持することができるという効果が得られる。
【0098】
また、本出願の請求項6記載のドーム形スクリーン装置によれば、胴体部として入れ子式の支持柱を適用する構成としたため、ドーム部の高さ調整を比較的簡単且つ迅速におこなうことができ、高さ調整のための作業性を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例を中央部から断面して示す説明図である。
【図2】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例を外側から見た外観斜視図である。
【図3】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例を分解して示す斜視図である。
【図4】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る支持柱を示すもので、同図Aは一部を断面して示す説明図、同図Bは上フレームの接続部を示す説明図、同図Cは下フレームの接続部を示す説明図である。
【図5】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る支持柱の正面図である。
【図6】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る骨格部材と膜取付部材の組立状態を示す斜視図である。
【図7】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る骨格部材を示すもので、同図Aは縦骨材の折り畳み状態を示す側面図、同図Bは同図Aの連結具の部分を拡大して示す説明図である。
【図8】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る骨格部材のリングジョイント部分を示すもので、同図Aは平面図、同図Bは右半分を断面して示す説明図である。
【図9】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る骨格部材の連結具部分を伸ばした状態を示すもので、同図Aは正面図、同図Bは側面図である。
【図10】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る上フレーム片及び上ジョイントを示す斜視図である。
【図11】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る膜取付部材を示す斜視図である。
【図12】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る内側皮膜及び外側皮膜を示す斜視図である。
【図13】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る下フレーム片及び下ジョイントを示す斜視図である。
【図14】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係る支持部材と支持柱の組立状態を示す斜視図である。
【図15】本発明のドーム形スクリーン装置の一実施例に係るプロジェクタを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…ドーム形スクリーン装置、2…ドーム部、3…胴体部、4…吸引装置、5…内側皮膜、6…外側皮膜、7…骨格部材、8…膜取付部材、9…気体室(空気室)、11…縦骨材、12…横骨材、13…リングジョイント、15…上部アーム、16…下部アーム、17…連結具、18,19,20,21…接続片、33…横アーム、34…接続具、40…上フレーム片、41…上ジョイント、44…内側皮膜用面ファスナ、 45…外側皮膜兼幔幕用面ファスナ、 44a,45a,58a…固定側ファスナ部材、44b,45b…膜側ファスナ部材、48…取付ブラケット、51…支持部材、52…下フレーム片、53…下ジョイント、57…幔幕、58…幔幕用面ファスナ、58b…幕下側ファスナ部材、59…幕上側ファスナ部材、60…支持柱、61…外筒、62…内筒、70…トンネル部、80…吸引ポンプ、82…吸気ダクト、90…プロジェクタ、62…内筒、70…トンネル部

Claims (6)

  1. 内面に画像が投影される略半球形をなすドーム部と、
    前記ドーム部が搭載されると共に見物者の周囲を囲う胴体部と、を備え、
    前記胴体部は、無段階又は有段階に高さ調整可能に構成したことを特徴とするドーム形スクリーン装置。
  2. 前記ドーム部は、内面に画像が投影される略半球形をなす内側皮膜と、所定の隙間を空けて前記内側皮膜に被せられる略半球形をなす外側皮膜と、前記内側皮膜と前記外側皮膜との間に形成され且つ常時吸引されることにより圧力が外部よりも低くされる略半球形をなす気体室と、からなることを特徴とする請求項1記載のドーム形スクリーン装置
  3. 前記内側皮膜及び前記外側皮膜の開口側端部の大きさに対応するリング状をなす膜取付部材と、前記膜取付部材に前記内側皮膜及び前記外側皮膜の各開口側端部を略全周に渡ってそれぞれ着脱可能に固定する膜固定手段と、を設けたことを特徴とする請求項2記載のドーム形スクリーン装置。
  4. 前記膜固定手段は面ファスナであることを特徴とする請求項3記載のドーム形スクリーン装置。
  5. 前記外側皮膜に対応した略半球形をなす骨格部材を設け、前記骨格部材に前記外側皮膜を被せて骨格部材で外側皮膜を保持したことを特徴とする請求項2記載のドーム形スクリーン装置。
  6. 前記胴体部は、伸縮可能とされた入れ子式の支持柱を有し、複数本の前記支持柱で前記ドーム部を高さ調整可能に支持したことを特徴とする請求項1記載のドーム形スクリーン装置。
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