JP2005016965A - パッケージおよびその製造方法、ならびに振動ジャイロおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スペーサー5を挿入した未接合パッケージ6を陽極接合装置7のチャンバー8内で保持し、チャンバー8内の圧力を1.0×10−2 Pa以下とした後、希ガスを封入してチャンバー8内の圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Pa (但し、T0はチャンバー内の絶対温度)に調整し、この圧力を維持した状態でスペーサー5を抜き取り、封止基板2または支持基板1のいずれか一方を陽極、他方を陰極として150〜230Vの電圧を負荷して仮接合し、チャンバー8内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした後、500〜1000Vの電圧を負荷してパッケージを製造する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動ジャイロ、加速度センサー等の電子部品を減圧下で封止するパッケージおよびその製造方法、ならびに振動ジャイロおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
振動ジャイロ等の電子部品は、温度に依存する各種特性の不安定化を防止する必要があることから、パッケージにより真空下または減圧下で封止されて製品化されてきた。例えば、特許文献1および2には下記のような電子部品の製造方法が提案されている。
【0003】
図6は、特許文献1において提案されている電子部品の製造方法を説明する断面図である。図6に示すように、特許文献1に記載の製造方法では、電子部品11を収容するキャビティ12と、ゲッター材13を収容するゲッター室14を有するパッケージ15を陽極接合により製造し、ゲッター材13をレーザー光線で加熱して活性化させることにより、陽極接合時に発生した残留ガスと反応させて、パッケージ15内の真空度を高めることとされている。
【0004】
この方法は、パッケージ内の真空度を単に高める場合には有効であるといえる。しかし、この方法によりパッケージ内を所定の圧力にするためにはレーザーで活性化させるゲッターの面積を調整する必要があるが、このような調整は難しい。また、この方法では、ゲッター室を別途設ける必要があるため、パッケージ全体が大きなものになって、近年の電子部品の小型化の要請に対応できない。
【0005】
図7は、特許文献2において提案されている電子部品の製造方法を説明する断面図である。図7に示すように、特許文献2に記載の製造方法では、電子部品21を搭載したパッケージ22の一部にガス抜き孔23を設け、パッケージ22内を減圧した後に封止材24でガス抜き孔23を封止することとされている。
【0006】
しかし、この方法では、予めパッケージの一部にガス抜き孔を設ける必要があり、製造コストの増大を招くとともに、封止した部分の密閉性に不安が残る。また、封止材を溶融させて密閉する必要があり、この溶融時に発生したガスがパッケージ内に侵入して圧力を上昇させ、パッケージ内の圧力を所定の範囲に維持できない場合がある。
【0007】
一方、電子部品の一つに振動ジャイロがある。振動ジャイロとは、ある一方向に振動(一次振動)する振動体に角速度がつくとコリオリの力によりその直交方向にも振動(二次振動)が発生することを利用し、このコリオリの力を検出して角速度を測定する方式のジャイロを意味する。例えば、一次励振に圧電素子を用いた圧電式ジャイロ、音叉やビーム形状の棒を振動させるジャイロ、特許文献3に記載されるような振動子リングを宙吊りにしてリングを楕円状に振動させるリング型振動ジャイロがある。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−206455号公報
【特許文献2】
特開平11−142430号公報
【特許文献3】
特開平10−267667号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のパッケージは、通常、陽極接合により作製される。例えば、パイレックス(登録商標)ガラス製の封止基板とシリコン製の支持基板とを陽極接合装置のチャンバー内で400℃程度まで加熱し、チャンバー内を所定の圧力、温度に維持した状態で、パイレックスガラスを陰極、シリコンを陽極として600〜1000V程度の電圧を負荷し、これらの基板を静電力によって接触させて共有結合により接合する。
【0010】
このとき、パッケージ内の圧力は、理論的にはチャンバー内の圧力に依存する(チャンバー内の圧力、温度をP0、T0、パッケージの使用時の内圧、使用温度をP1、T1とするとき、P1=P0・T1/T0)ため、チャンバー内の圧力を調整することにより変更できる。例えば、チャンバー内の温度を400℃として、使用温度(室温、25℃)で内圧1.0〜1.0×102 Paのパッケージを作製するためには、チャンバー内の圧力を2.26〜226Pa(=673K×1.0Pa/298K〜673K×1.0×102Pa/298K)とすればよいことになる。しかし、実際には、陽極接合時に接合面から発生する酸素ガス、水素ガス、水蒸気等のアウトガスによりパッケージ内の圧力が上昇するため、パッケージ内にゲッター材を搭載し、酸素ガス等を吸収させることが行われる。
【0011】
このようにゲッター材を搭載する方法は、25℃におけるパッケージ内の圧力を1.0×10−3 Pa程度またはそれ以下の高真空状態に維持する場合には有効な方法といえるが、パッケージ内を単に高真空状態とするのではなく、これより高い特定の圧力に調整したい場合にはこの方法を適用できない。即ち、この方法では、陽極接合時に生成した酸素ガス等だけでなく、もともとチャンバー内に存在していた希ガス以外のガスもゲッター材により吸収されるため、パッケージ内の圧力がチャンバー内の圧力の調整により設定した値より低くなるからである。
【0012】
このため、本発明者らは、チャンバー内を1.0×10−2 Pa程度またはそれ以下の高真空状態にした後、ゲッター材との反応がないArガス等の希ガスを封入して、チャンバー内を所定の圧力に維持し、この状態で陽極接合を行うことによりパッケージ内の圧力を特定値に調整することを考えた。しかし、このような希ガス雰囲気下で、例えば、チャンバー内の圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Pa(但し、T0はチャンバー内の絶対温度であり、T0 が400℃の場合には、2.26〜226Pa)に調整して、600〜1000Vの通常の電圧を負荷して陽極接合を行うと、放電が発生して陽極接合ができない。
【0013】
これはパッシェンの法則によるものと考えられる。この法則によれば、放電が開始する電圧は、ガス圧力、電極間の距離、ガスの種類、電極の材料等に依存する。即ち、ガスの種類、電極材料等の条件が一定の場合には、放電が開始する電圧は、ガスの圧力と電極間の距離との積で決まり、極小値を持つ。このため、放電が発生しない電圧の範囲内でパッケージ内の圧力を調整しようとすれば、電極間の距離を調整しなければならず、装置や治具のデザインの変更が必要となる。これらをチャンバー内の圧力ごとに変更することは実操業上不可能に近い。電極の材料を変えることも考えられるが、材料コストの上昇を招く。また、電極に負荷する電圧を下げると十分な接合強度が得られなくなる。さらに、陽極接合装置自体の設計変更も必要となる。従って、いずれも望ましい対応とは言えない。
【0014】
本発明の第1の目的は、サイズを大きくすることなく、密閉性に優れるパッケージおよびその製造方法であって、パッケージ内の圧力の調整を容易に行うことができ、また、陽極接合時に放電が起きないパッケージおよびその製造方法を提供することにある。
【0015】
次に、電子部品の1つである振動ジャイロについては、その振動特性を測る指標として、各振動サイクルにおいてシステムに付加されるエネルギの大きさに対する振動システムの全エネルギの大きさの比率を意味するQ値がある。
【0016】
振動ジャイロの振動子(リング型振動ジャイロの場合、リング)のQ値が低下すると、振動ジャイロに一次振動を発生させるための電力が増加するとともに、コリオリ力の検出感度が低下する。また、駆動電圧等により一次振動の駆動端子から検出端子への電気的な結合(容量性結合、電磁誘導による結合)が増加する。この問題は、サイズが小さく、端子間の距離が短い振動ジャイロで顕著となる。このため、Q値は高いことが望ましく、高い信頼性を確保するためには2000以上とする必要がある。
【0017】
一方、Q値は温度によって変化するが、Q値の温度による変化率(以下、「温度係数」と呼ぶ。)が大きいと、補正のための制御回路が複雑化するとともに、バイアス(ゼロ点出力)、SF(スケールファクター)なども大きく変化してセンサーとしての特性が低下する。従って、Q値の温度係数は小さいことが望ましい。
【0018】
Q値の温度係数の大小を評価する指標としては、同一の振動ジャイロについて、25℃におけるQ値(Q25)と、振動ジャイロが使用される最低温度(TL℃)におけるQ値(QTL)との比「QTL/Q25」を用いる。一般的なジャイロではTLが−10℃であり、自動車等に用いる温度に関する仕様が厳しいの振動ジャイロではTLが−50℃にもなる。そして、センサーの回路設計における精度を保つためには、振動ジャイロが使用される温度範囲において、室温でのQ値に対する変化率を60%程度以下に制限するのが好ましい。このため、最も変化率が大きくなる上記の「QTL/Q25」は1.6以下を目標値とする。
【0019】
ここで、Q値は、振動子の動作環境(ガスの種類および圧力)に依存するダンピング効果(以下、「ガスダンピング効果」と呼ぶ。)と、振動子自体の機械的要因(振動子の構造および材質に起因する内部摩擦)に依存するダンピング効果(以下、「機械的ダンピング効果」と呼ぶ。)とにより決定される。そして、機械的ダンピング効果は圧力に左右されないが、ガスダンピング効果はパッケージ内の圧力が低いほど小さくなるため、Q値を高くするためには、パッケージ内の圧力をできるだけ低くすることが望ましい。
【0020】
一方、Q値の温度係数は、パッケージ内の圧力が高い領域では、ガスダンピング効果の温度による変化率に支配され、圧力が低い領域では、機械的ダンピング効果の温度による変化率に支配される。しかも、ガスダンピング効果の温度による変化率は機械的ダンピング効果の温度による変化率より小さい。従って、Q値の温度係数は、ガスダンピング効果の温度による変化率に支配される圧力が高い領域で小さくなる。このため、Q値の温度係数を小さくするためには、パッケージ内の圧力を高くすることが望ましい。
【0021】
以上のように、振動ジャイロのセンサー特性を左右するQ値およびその温度係数の双方を満足するためには、パッケージ内の圧力をある特定範囲に調整する必要がある。本発明者らは、この観点から研究を重ねた結果、これらのバランスがよいパッケージ内の圧力範囲を知見した。
【0022】
従って、本発明の第2の目的は、Q値およびその温度係数のバランスがよい振動ジャイロおよびその製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を解決するためになされたものであり、下記の(a)に示すパッケージ、(b)に示すパッケージの製造方法、(c)に示す振動ジャイロおよび(d)に示す振動ジャイロの製造方法を要旨とする。
【0024】
(a) 25℃における内圧が1.0〜1.0×102 Paであることを特徴とするパッケージ。
【0025】
(b) 支持基板と封止基板とを有するパッケージを下記(1)〜(6)の工程により製造することを特徴とする上記(a)に記載のパッケージの製造方法。
(1)上記の支持基板に電子部品およびゲッター材を搭載した後、支持基板の接合部と封止基板の接合部との隙間にスペーサーを挿入した未接合パッケージを用意する工程
(2)上記の未接合パッケージを陽極接合装置のチャンバー内で保持し、300〜450℃に加熱する工程
(3)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−2 Pa以下とした後、希ガスを封入してチャンバー内の圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Pa(但し、T0はチャンバー内の絶対温度)に調整する工程
(4)上記の圧力を維持した状態でスペーサーを抜き取り、封止基板の接合部と支持基板の接合部とを接触させる工程
(5)封止基板および支持基板のいずれか一方を陽極、他方を陰極として150〜230Vの電圧を負荷して仮接合する工程
(6)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした後、500〜1000Vの電圧を負荷して本接合する工程。
【0026】
(c) 25℃における内圧が1.0〜1.0×102 Paのパッケージで封止されたことを特徴とする振動ジャイロ。
【0027】
(d) 支持基板と封止基板とを有するパッケージで下記(1)〜(6)の工程により振動ジャイロを封止することを特徴とする上記(c)に記載の振動ジャイロの製造方法。
(1)上記の支持基板に振動ジャイロおよびゲッター材を搭載した後、支持基板の接合部と封止基板の接合部との隙間にスペーサーを挿入した未接合パッケージを用意する工程
(2)上記の未接合パッケージを陽極接合装置のチャンバー内で保持し、300〜450℃に加熱する工程
(3)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−2 Pa以下とした後、希ガスを封入してチャンバー内の圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Pa(但し、T0はチャンバー内の絶対温度)に調整する工程
(4)上記の圧力を維持した状態でスペーサーを抜き取り、封止基板の接合部と支持基板の接合部とを接触させる工程
(5)封止基板および支持基板のいずれか一方を陽極、他方を陰極として150〜230Vの電圧を負荷して仮接合する工程
(6)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした後、500〜1000Vの電圧を負荷して本接合する工程。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明のパッケージの製造方法を説明する断面図である。以下、本発明のパッケージの製造方法を各工程毎に説明する。
【0029】
(A) 工程(1)について
図1に示すように、本発明のパッケージの製造方法においては、まず、支持基板1に電子部品(例えば、振動ジャイロ)3およびゲッター材4を搭載し、この支持基板1の接合部と封止基板2の接合部との隙間にスペーサー5を挿入して、未接合パッケージ6を用意する。
【0030】
ここで、ゲッター材としては、TiとZr−Al系合金またはZr−V−Fe系合金との混合物などの非蒸発型ゲッターを使用することができる。また、支持基板および封止基板としては、一方をパイレックスガラス、他方をシリコンウエハで作製すればよく、両方をシリコンウエハから作製し、その一方にパイレックスガラスの薄膜をスパッタ蒸着したものを使用してもよい。また、パイレックスガラスに代えて、ソーダライム、カリウム・ソーダ・鉛、アルミノシリケート等の一般に陽極接合に用いられるガラスを用いてもよい。以下、支持基板としてパイレックスガラスを用い、封止基板としてシリコンを用いた場合について述べる。
【0031】
(B) 工程(2)および(3)について
図2に示すように、この未接合パッケージ6は、陽極接合装置7のチャンバー内8のホットステージ9上で保持される。このホットステージ9は、後段の仮接合時および本接合時に各基板を加熱するために用いられる。
【0032】
この状態で、真空ポンプによりチャンバー8内の圧力を減圧して1.0×10−2 Pa以下とした後、希ガスを封入してチャンバー8内の圧力を調整する。このようにチャンバー内を予め高真空状態とするのは、脱ガスを目的としてパイレックスガラスをプリベイクする際に高真空が有効であること、ゲッターの寿命を長くするためには、できる限り希ガス以外のガスを排除することが必要であることによる。そして、このように高真空状態とした後、封入する希ガスの量を調整してチャンバー内の圧力を調整することにより、パッケージ内の圧力を特定値にすることができる。
【0033】
ここで、チャンバー内の温度をT0、パッケージの使用時の内圧、使用温度をP1、T1とするとき、チャンバー内の圧力P0は、P0=P1・T0/T1で表される。このため、25℃(298K)における内圧が1.0〜1.0×102 Paであるパッケージを製造するためには、チャンバー内の圧力は0.0034×T0〜0.34×T0 Paとする必要がある。
【0034】
なお、封入する希ガスとしては、電球、蛍光灯の封入ガスとして実績があり、また、入手が容易で安価であるArガスを使用するのが最も望ましいが、他の希ガスを使用してもよい。ただし、Heガスは、パイレックスガラスを透過するので、使用できない。
【0035】
(C) 工程(4)および(5)について
図1(b)に示すように、支持基板1と封止基板2との間に挿入されたスペーサー5により一定の隙間が存在するため、未接合パッケージ6内は、チャンバー8内と同じ圧力となる。この圧力を維持した状態で、スペーサー5を抜き取り、封止基板2の接合部と支持基板1の接合部とを接触させる。
【0036】
続いて、図3に示すように、支持基板1および封止基板2のいずれか一方(図3では支持基板1)を陽極、他方(図3では封止基板2)を陰極として、電源10で150〜230Vの電圧を負荷することにより、支持基板1の接合部と封止基板2の接合部とを仮接合する。この工程が本発明のパッケージの製造方法の最も重要な工程である。
【0037】
前述のように、チャンバー内を希ガス雰囲気下とし、圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Paに調整した状態で電子部品のパッケージを封止する際に、230Vを超える電圧を負荷すると放電が発生する。一方で、仮接合時に負荷する電圧が150V未満では接合できない。このため、仮接合の工程において負荷する電圧を150〜230Vとした。
【0038】
仮接合時の加熱温度は、300〜450℃の範囲とする。これは、300℃未満の場合には、Naイオンの移動が不十分となって接合が進みにくく、450℃を超えると、支持基板(例えば、シリコンウエハ)と封止基板(例えば、パイレックスガラス)との熱膨張係数の違いが大きくなって接合ができないからである。
【0039】
仮接合時の電圧を負荷する時間は、短すぎると接合が不十分となる場合があるので、3分以上が望ましい。また、電圧を負荷する時間の上限は特に定めないが、内封するデバイスに不具合が生じる場合があるので、20分以下が望ましい。
【0040】
(D) 工程(6)について
上記工程(5)に示す方法で仮接合したパッケージは、そのままの状態でも内封した希ガスが漏れることはないが、デバイスの実使用を考慮すると接合強度が不十分である。このため、本発明のパッケージの製造方法では、パッケージを仮接合した後、チャンバー8内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした後、500〜1000Vの電圧を負荷して本接合する。
【0041】
ここで、チャンバー内の圧力が1.0×10−1 Paを超える状態で500〜1000Vの電圧を負荷すると、放電が発生する。従って、本接合におけるチャンバー8内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした。
【0042】
本接合における電圧が500V未満では、接合強度が不十分でデバイスの信頼性が低下し、1000Vを超えると、支持基板(例えば、シリコンウエハ)と封止基板(例えば、パイレックスガラス)の間で絶縁破壊が生じ、接合ができなくなることがある。従って、本接合の電圧を500〜1000Vとした。なお、本接合時の加熱温度は、仮接合時のそれと同様の理由から、300〜450℃の範囲にあるのが望ましい。
【0043】
本接合時の電圧を負荷する時間は、短すぎると接合強度が不十分となってデバイスの信頼性が低下することがあるので、3分以上が望ましい。また、電圧を負荷する時間の上限は特に定めないが、内封するデバイスに不具合が生じる場合があるので、20分以下が望ましい。
【0044】
前述のように、仮接合時および本接合時には接合部で酸素ガス等が発生し、パッケージ内の圧力を上昇させるが、パッケージ内にはゲッター材が搭載されているので、酸素ガス等は吸収される。一方、パッケージ内に封入された希ガスはゲッター材に吸収されないため、パッケージ内の圧力は、仮接合前に設定したチャンバー内の圧力に依存した特定圧力になる。
【0045】
従って、本発明の製造方法において仮接合前のチャンバー内の圧力を調整することで、パッケージ内の圧力を容易に設定することができ、しかも、高電圧で行う本接合は高真空下で行われるので、パッケージ内の圧力が放電の発生しやすい圧力(0.0034×T0〜0.34×T0 Pa)であっても、製造時に放電が発生することはない。
【0046】
(E)振動ジャイロについて
25℃における内圧が1.0〜1.0×102 Paのパッケージにより封止された振動ジャイロは、要求されるQ値およびその温度係数を満足させることができる。
【0047】
従来、上記のダンピング効果を低減させてQ値を向上させるため、振動ジャイロの作動環境を1.0×10−1 Pa程度またはそれ以下の高真空状態とすることが望ましいと考えられてきた。しかし、本発明者らの研究により、内圧を1.0〜1.0×102 Paの範囲に調整したパッケージで振動ジャイロのQ値およびその温度係数のバランスが最もよいことが判明した。
【0048】
図4は、振動ジャイロを封止したパッケージ内の25℃における圧力とQ値の温度係数との関係を示す図であり、図5は、振動ジャイロを封止したパッケージ内の25℃における圧力とQ値との関係を示す図である。
【0049】
なお、図4には、Q値の温度係数の指標として、同一の振動ジャイロについて、25℃におけるQ値(Q25)と、これよりも低い温度(TL:−10℃または−50℃)におけるQ値(QTL)との比「QTL/Q25」を示す。TLが−10℃の例は、一般的な振動ジャイロの使用環境、TLが−50℃の例は、温度に関する仕様が厳しい振動ジャイロの使用環境を想定したものであり、前述のように、「QTL/Q25」は1.6以下を目標値とする。また、図の横軸には本発明の方法でコントロールしようとする25℃におけるパッケージ内の圧力を示した。
【0050】
図4の「□」に示すように、「Q−10/Q25」は、パッケージ内の圧力を上昇させると減少する傾向にあり、25℃におけるパッケージ内の圧力が1.0 Paのときには1.5程度であり、100Pa以上ではほとんど減少しなくなる。即ち、Q値の温度係数は25℃におけるパッケージ内の圧力が1.0 Pa以上で良好である。また、図5に示すように、25℃におけるパッケージ内の圧力の上昇とともにQ値が減少し、100 Paを超える範囲では2000未満となる。Q値が2000未満ではエネルギー損失が大きくなって、コリオリの力の検出感度が低下する。従って、振動ジャイロを封止するパッケージ内の圧力を1.0〜1.0×102 Paとした。
【0051】
一方、図4の「○」に示すように、「Q−50/Q25」もパッケージ内の圧力を上昇させると減少する傾向にある。「Q−50/Q25」は、25℃におけるパッケージ内の圧力が1.0 Paのときには2.3程度であるが、更に圧力を上昇させて10Paとすると1.6程度となり、良好な値となる。従って、高い精度が要求される振動ジャイロの場合には、パッケージ内の圧力は10 Pa以上とするのが望ましい。
【0052】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、パッケージ内の圧力の調整を容易に行うことができ、陽極接合時に放電が起きないパッケージの製造方法を提供することができる。このようにして製造したパッケージは、そのサイズが小さく、密閉性に優れる。また、このパッケージで振動ジャイロを封止すれば、Q値およびその温度係数のバランスがよい振動ジャイロを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法における工程(1)の例を示す断面図である。
【図2】本発明の製造方法における工程(2)および(3)の例を示す断面図である。
【図3】本発明の製造方法における工程(4)〜(6)の例を示す断面図である。
【図4】振動ジャイロを封止したパッケージ内の25℃における圧力とQ値の温度係数との関係を示す図である。
【図5】振動ジャイロを封止したパッケージ内の25℃における圧力とQ値との関係を示す図である。
【図6】特許文献1において提案されている電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【図7】特許文献2において提案されている電子部品の製造方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
1.支持基板、2.封止基板、3.電子部品、4.ゲッター材、5.スペーサー、6.未封止パッケージ、7.陽極接合装置、8.チャンバー、9.ホットステージ、10.電源、11.電子部品、12.キャビティ、13.ゲッター材、14.ゲッター室、15.パッケージ、21.電子部品、22.パッケージ、23.ガス抜き孔、24.封止材
Claims (4)
- 25℃における内圧が1.0〜1.0×102 Paであることを特徴とするパッケージ。
- 支持基板と封止基板とを有するパッケージを下記(1)〜(6)の工程により製造することを特徴とする請求項1に記載のパッケージの製造方法。
(1)上記の支持基板に電子部品およびゲッター材を搭載した後、支持基板の接合部と封止基板の接合部との隙間にスペーサーを挿入した未接合パッケージを用意する工程
(2)上記の未接合パッケージを陽極接合装置のチャンバー内で保持し、300〜450℃に加熱する工程
(3)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−2 Pa以下とした後、希ガスを封入してチャンバー内の圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Pa(但し、T0はチャンバー内の絶対温度)に調整する工程
(4)上記の圧力を維持した状態でスペーサーを抜き取り、封止基板の接合部と支持基板の接合部とを接触させる工程
(5)封止基板および支持基板のいずれか一方を陽極、他方を陰極として150〜230Vの電圧を負荷して仮接合する工程
(6)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした後、500〜1000Vの電圧を負荷して本接合する工程。 - 25℃における内圧が1.0〜1.0×102 Paのパッケージで封止されたことを特徴とする振動ジャイロ。
- 支持基板と封止基板とを有するパッケージで下記(1)〜(6)の工程により振動ジャイロを封止することを特徴とする請求項3に記載の振動ジャイロの製造方法。
(1)上記の支持基板に振動ジャイロおよびゲッター材を搭載した後、支持基板の接合部と封止基板の接合部との隙間にスペーサーを挿入した未接合パッケージを用意する工程
(2)上記の未接合パッケージを陽極接合装置のチャンバー内で保持し、300〜450℃に加熱する工程
(3)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−2 Pa以下とした後、希ガスを封入してチャンバー内の圧力を0.0034×T0〜0.34×T0 Pa(但し、T0はチャンバー内の絶対温度)に調整する工程
(4)上記の圧力を維持した状態でスペーサーを抜き取り、封止基板の接合部と支持基板の接合部とを接触させる工程
(5)封止基板および支持基板のいずれか一方を陽極、他方を陰極として150〜230Vの電圧を負荷して仮接合する工程
(6)上記チャンバー内の圧力を1.0×10−1 Pa以下とした後、500〜1000Vの電圧を負荷して本接合する工程。
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