JP2005016176A - 施錠装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】扉に穴が開けられても不正な解錠行為ができない施錠装置を提供する。
【解決手段】本発明では、解錠位置及び施錠位置の両方の位置において施錠キーを抜き差し可能な2点抜き方式を採用する。そして、シリンダ錠のプラグを回転自在に支持するボディには、解錠位置に対応する位置及びこの位置を中心にして90°互いに反対方向に90°変位した位置の4個の位置に溝を形成する。そして、互いに対向する2個の溝には、施錠キーとキー結合して施錠キーの抜き差しを制御するボトムバーの変位を規制する係止部材を取り付けるための穴を設ける。このような構成により、ドアの取り付け方向に対応して係止部材を取り付けるだけで右吊りもと及び左吊りもとの両方に対応することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】本発明では、解錠位置及び施錠位置の両方の位置において施錠キーを抜き差し可能な2点抜き方式を採用する。そして、シリンダ錠のプラグを回転自在に支持するボディには、解錠位置に対応する位置及びこの位置を中心にして90°互いに反対方向に90°変位した位置の4個の位置に溝を形成する。そして、互いに対向する2個の溝には、施錠キーとキー結合して施錠キーの抜き差しを制御するボトムバーの変位を規制する係止部材を取り付けるための穴を設ける。このような構成により、ドアの取り付け方向に対応して係止部材を取り付けるだけで右吊りもと及び左吊りもとの両方に対応することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い防犯性能を有する施錠装置、特にサムターン回しによる不正な解錠行為に対して高い防犯性能を有する施錠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、サムターン付きのシリンダ錠が広く用いられている。この形式の施錠装置では、扉等の開閉体にケースロックが内蔵され、ケースロックには屋外側に露出したシリンダ錠と屋内側に露出したサムターンとが連結されている。ケースロックには、デットボルトが進退自在に内蔵され、屋外側に露出したシリンダ錠に合鍵を挿入して回転操作することによりデットボルトが進退して施錠及び解錠が行われる。また、屋内側においては、サムターンを回転操作することにより施錠及び解錠が行われる。
【0003】
近年、いわゆるバイパス解錠やサムターン回し等の不正な解錠行為による犯罪が多発しており、高い防犯性能の施錠装置の開発が強く要請されている。例えば、バイパス解錠による不正解錠を防止する方法として、特開2003−56218号公報に記載されている防犯方法が既知である。この防犯方法では、開閉自在なカバーを有し透明な素材の函体を用意し、この函体をサムターンを覆うように装着している。従って、針金等が差し込まれてもサムターンは函体により覆われているため、不正にサムターンが回転されることが防止されている(例えば、特許文献1参照)。また、不正な解錠を防止する別のサムターンとして、サムターン軸とサムターンとの間にクラッチ機構を介在させ、サムターンを圧接しなければサムターン軸が回転しないように構成したものが既知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−56218号公報
【特許文献2】
特開2003−56220号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したサムターンカバーを設ける防犯方法は、針金等を用いてサムターンを回転させる不正なバイパス解錠に対しては有効である。しかしながら、工具を用いて扉に穴を開け、穴に手を挿入してサムターンを回転させる不正な解錠行為に対して有効な防犯対策にならない。同様に、サムターンにクラッチ機構を設け、サムターンを圧接して回転させる方法においても、扉に穴を開けられた場合、外部からサムターンを容易に回転することが可能である。すなわち、サムターンに改良を加える防犯方法には、防犯対策上限界がある。
【0006】
扉や引き戸等の開閉体のシリンダ錠は、通常シリンダの1つの位置だけでキーを抜き取る方式が採用されている。この1点抜き仕様の施錠装置の場合、開閉体の右側又は左側のいずれの側に施錠装置を装着する場合でも単一の施錠装置をそのまま取り付けることができる。しかし、2点抜き仕様の施錠装置の場合、扉の右側又は左側に施錠装置を装着するかに応じて施錠装置の構成を変更する必要があり、2種類の施錠装置を用意しなければならない煩雑性が指摘されていた。すなわち、例えば玄関扉のように、開閉方向が右か左か定まっていない場合2種類の施錠装置を用意する必要があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、扉に穴が開けられても不正な解錠行為ができない施錠装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、不正な解錠行為に対して高い防犯性を有すると共に扉の開閉方向が相違しても単一の施錠装置で対応できる施錠装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、サムターン回しのような不正な解錠行為が防止される施錠装置に用いられるシリンダ錠を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明による施錠装置は、デットボルト駆動機構に連結されると共に回転軸線の回りで回転可能に支持され、デットボルトが突出した施錠位置及びデットボルトが退出した解錠位置にそれぞれ対応する第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動する回転作動体と、一端に把手が結合され他端が回転作動体に選択的に連結されるシャフトを有し、前記回転作動体と機械的に連結した際回転作動体を前記第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動させるサムターンと、施錠キーの回転操作により、前記回転作動体を前記第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動させるシリンダ錠とを具え、
前記シリンダ錠は、前記回転作動体と選択的に連結して回転作動体に回転駆動力を伝達するテールピースと、回転軸線を有し、テールピースが固着されているプラグと、プラグを回動自在に支持するボディとを有し、
前記プラグは特定の施錠キーだけを挿入することができるキー穴を有すると共に、特定の施錠キーとだけ係合するタンブラーと、施錠キーとキー結合するボトムバーと、プラグの回転軸線の円周方向に沿って前記ボトムバーをはさんで互いに対向するように位置し、当該プラグの回転を制御する2個のサイドバーとが装着され、
前記ボトムバー及びサイドバーは、前記プラグに対しその回転軸線と直交する方向に沿って移動可能に装着され、
前記ボディの内周面には、前記ボトムバー及び/又はサイドバーを回転軸線と直交する方向に変位させるための4個の溝が90°の角度間隔で形成され、これら4個の溝のうちの第1の溝は前記回転作動体が占める第2の回転位置に対応し、第1の溝から90°の角度間隔だけ離れた第2の溝は前記回転作動体が占める第1の回転位置に対応し、
前記ボディに形成した第2及びこの溝と回転軸線をはさんで対向する第3の溝には、ボトムバーの回転軸線と直交する方向の移動を規制するための係止部材を装着するための第1及び第2の穴がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、デットボルトの進退を制御する回転作動体が占める第1及び第2の位置の両方の位置において、すなわち解錠位置だけでなく施錠位置においても施錠キーをシリンダ錠から抜き出すことが可能である。この結果、例えば屋内に人間がいる場合には、従来どおりの使用方法(施錠されている場合、施錠キー及びサムターンの両方により)に基づいて解錠することができ、一方、屋内に人間が存在しない場合、例えば長期の旅行等により家を空ける場合、デットボルトが施錠位置に位置する状態で施錠キーを抜き出すことにより、サムターンを回しても解錠できず、バイパス解錠やサムターン回しのような不正な解錠行為に対する安全性を一層高めることができる。すなわち、本発明による施錠装置は、施錠キーによる解錠及びサムターンにより解錠できるロックモード、及びサムターンでは解錠できず施錠キーだけでしか解錠できない完全ロックモードの2つのロックモードを利用できるため、旅行等により長期間留守にする場合の防犯性を一層高いものとすることができる。
【0010】
また、サイドバーが係合する2つの溝の両方に係止部材を取り付ける穴を設けているので、扉の取り付け方向に応じて対応する側の穴に係止部材を取り付けるだけですみ、右吊りもと用及び左吊りもと用の2種類の施錠装置を用意する必要性が解消される。
【0011】
さらに、本発明の施錠装置は、既に設置された既存の施錠装置を活用する場合、ケースロック及びサムターンをそのまま利用しシリンダ錠を交換するだけでサムターン回し等の不正な解錠行為を防止できる利点が達成される。
【0012】
本発明による施錠装置の好適実施例は、ボディの第2及び第3の溝に形成した穴を、内周面にネジ溝が形成されたネジ穴とし、当該ネジ穴に係止部材としてスクリューネジが螺着されることを特徴とする。このように、係止穴をネジ穴とすることにより、扉の取り付け現場において、扉の取り付け方向に応じて第1又は第2のいずれかの穴にスクリューを螺着するだけで右吊元及び左吊元の両方のドアに対応することができ、2種類のシリンダ錠を用意する必要性を解消することができる。
【0013】
本発明による施錠装置の好適実施例は、第1及び第2の穴の両方の穴に係止部材が取り付けられ、施錠キーとしてボトムバーとキー結合するキー山が除去されたキーを用い、当該キーを用いて施錠し、施錠位置において当該キーを抜き出すことにより当該施錠装置をロックアウト状態とすることを特徴とする。
本発明によるシリンダ錠は、施錠キーの抜き差しの制御はボトムバーにより行われるため、ボトムバーとキー結合するキー山が除去されたキーを特別なキーとして用いることができる。すなわち、第1及び第2の穴にスクリューを取り付けることにより、正規の施錠キーは解錠位置だけでしかシリンダに装着することができない。一方、ボトムバーとの結合部が除去されたキーは解錠及び施錠位置の両方の位置で装着できるため、キー山が除去されたキーを用いて施錠し、施錠位置でキーを抜き出すことにより正規の施錠キーはもはや使用することができず、当該施錠装着をロックアウト状態に設定することができる。
【0014】
【発明の実施形態】
図1は本発明による施錠装置の一例の構成を示す線図的断面図である。ドア1にケースロックが収納され、屋内側(図1の左側)にサムターンが取り付けられ、屋外側(図1の右側)にはシリンダ錠を設ける。ドア1の屋内側に、サムターンの支持本体として機能する中空状の本体2を固定する。本体2の内側空間内に、回転力の伝達を行うためのシャフト3を軸線に沿ってスライド可能及び回転可能に挿入する。シャフト3の一方の側にキャップ4及び把手5を結合する。
【0015】
ドア1に埋め込まれた錠前ケース11内に回転作動体12が回転可能に支持され、回転作動体12は、デットボルトを施錠位置及び解錠位置に進退させるデットボルト駆動機構(図示せず)に連結する。回転作動体12のサムターンが配置されている側とは反対側にシリンダ13のテールピース13aが位置し、施錠キーを操作することにより回転作動体12が回動し、屋外側からデットボルトを進退させることができる。
【0016】
図2aはシャフト3の回転作動体12と対向する側の形状を示し、図2bは回転作動体12のシャフト3と対向する側の形状を示す。シャフト3の回転作動体と対向する側には、円周上に沿って等間隔で4個の係止突起3a〜3dを形成する。一方、回転作動体12のシャフト3と対向する側には、図示の形状の嵌合穴12aを形成する。当該嵌合穴には、2個の係止突起12bを形成する。シャフト3の先端は回転作動体の嵌合穴と係合し、シャフトの4個の係止突起3a〜3dと回転作動体の2個の係止突起12bとが係合し、サムターンの回転力が回転作動体に伝達され、回転作動体の回転力はシリンダ側に伝達されることになる。従って、屋内側からサムターンを回転することにより、デットボルトを施錠位置及び解錠位置に進退させることができる。
【0017】
次に、シリンダ錠について説明する。シリンダ錠は回転軸線Lを有すると共に、回転作動体と反対側すなわち屋外側から順に、施錠キーの挿入穴を有するプラグ20、カバー21、スプリング22、スペーサリング23、プラグを回転自在に支持するボディ24、及びプラグに固定され回転作動体12と選択的に連結するテールピース25を有する。
【0018】
プラグ20は、軸線L方向に沿って延在し施錠キーを挿入させるためキー穴20aを有する。プラグ20には、2列に設けたタンブラ26を変位自在に装着する。キー穴20aに特定の施錠キーを挿入すると、タンブラ26は軸線と直交する方向に変位し当該特定の施錠キーの挿入を許容する。プラグ20には、タンブラ26と対向するようにボトムバー27が装着され、ボトムバーと90°回転した位置に軸線Lをはさんで互いに対向する2個のサイドバー28a及び28bを装着する。ボトムバー27は、軸線Lと直交する方向に変位可能に装着支持され、施錠キーとキー結合して施錠キーの挿脱を規制する機能及びプラグの回転を制御する機能を果たす。また、サイドバー28a及び28bも軸線と直交する方向に変位可能に装着支持され、プラグ20の回転を制御する機能を有する。尚、サイドバーはコイルバネを介してプラグに装着されており、従って、軸線と直交する方向に移動することができる。
【0019】
図4は、軸線Lと直交する面で切って示す断面図である。図4は、回転作動体が解錠位置にあり、シリンダ錠も解錠位置にあるものとする。図4において、プラグの施錠キー挿入穴20aに施錠キーは挿入されていない状態を示す。ボディ24の内周面には、ボトムバー27及びサイドバー28の軸線と直交する方向の変位を許容するための4個の溝24a〜24dを90°の角度間隔で形成する。これら4個の溝のうち、第1の溝24aは解錠位置において施錠キーの抜き差しを行うための溝であり、第2又は第3の溝24b又は24cは施錠位置において施錠キーの抜き差しを行うための溝であり、第4の溝24dは施錠位置においてサイドバーの軸線Lと直交する方向の変位を許容するための溝である。第2及び第3の溝24b及び24cには、ボトムバーの軸線方向と直交する方向の変位を規制するための係止部材を固定するためのネジ穴24e及び24fをそれぞれ形成する。これらの穴24e又は24fのいずれかにスクリュー29を螺着した場合(図4においては、穴24eにスクリュー29が螺着されている)、ボトムバーが当該溝と対向する位置に存在しても、ボトムバーは突出したスクリュー29により規制され軸線方向と直交する方向に移動することができない。
【0020】
図5は、施錠キー30をプラグのキー挿入穴に装着した状態を示す。この解錠位置において、ボディ24のボトムバー27と対向する位置には溝24aが形成されているため、施錠キー30を挿入しようとすると、施錠キーからの押圧力がボトムバー27に対して作用し、この押圧力によりボトムバーがボディに形成した溝24a方向に変位するため、施錠キー30をプラグ内に装着することができる。同時に、施錠キーの装着に伴い、タンブラ26が変位し、タンブラに設けた嵌合穴とサイドバー28a及び28bとが位置的に整合し、サイドバー28がタンブラ26の嵌合穴内に嵌め込まれる。この結果、サイドバー及びボトムバーは軸線Lを中心にする円周方向の移動が規制されず、施錠キー30を軸線Lの回りで回動させると、プラグ並びにサイドバー及びボトムバーが回動することになる。
【0021】
図6は、施錠キーを時計方向に45°回動させた状態を示す。施錠キーの回動によりプラグ20に固定したテールピース25も回動する。テールピースは、デットボルト駆動機構に連結された回転作動体と連結しているため、施錠キーの回動に伴い回転作動体も回動する。
【0022】
さらに、45°回動させ、図5に示す解錠位置から時計方向に90°回動すると、回転作動体の回動に伴いデットボルトが突出し施錠状態となる。図7は施錠位置におけるシリンダ錠の状態を示す。この状態において、施錠キー30を引き抜こうとすると、施錠キーからボトムバー27に軸線から外向きの力が作用する。一方、ボディ24のボトムバー27と対向する位置には溝24bが存在するため、ボトムバー27は軸線から離れる方向に変位することができる。同時に、2個のサイドバー28a及び28bと対向する位置にもそれぞれ溝24a及び24fが存在するため、サイドバーも軸線と直交する方向に変位することができる。この結果、当該施錠位置において施錠キーを引き抜くことができる。一方、施錠キー30を抜き出した場合、サイドバー28とタンブラ26とのキー結合が解除されるため、もはやプラグは回動できず、従って、サムターンを回動して解錠しようとしてもシリンダ錠がロック状態にあるため、回転作動体を回転させることができない。この結果、施錠した状態で施錠キーを抜き出した場合、もはやサムターンを回動しようとしても回転作動体は回動せず、従って解錠することはできない。これにより、サムターン回し等の不正な解錠行為が有効に防止される。
【0023】
次に、スクリュー29の作用について説明する。図5に示す状態、すなわち解錠位置において、施錠キーをプラグに挿入して反時計方向に90°回動することも可能である。この場合、ボトムバー27がスクリュー29と当接する。よって、この位置において施錠キーを抜き出そうとしても、ボトムバーが軸線Lと直交する方向に変位することができず、施錠キーを抜き出すことができない。これにより、不所望な位置での施錠キーの挿脱が防止される。
【0024】
次に、施錠キーを回動した際のテールピースと回転作動体の状態について説明する。図8はサムターン側から回転作動体及びテールピースを見た場合の線図である。図8(a)は解錠位置における回転作動体12とテールピース25との位置関係を示す。この位置において施錠キーを装着し、時計方向に45°回動させた状態を図8(b)に示す。さらに、この位置から45°回動すると図8(c)の状態、すなわち施錠位置に移行する。この位置においては、デットボルトが突出し、施錠状態となる。この位置において、施錠キーを抜き出すと、テールピースは回動できず、サムターンを回動しようとしてもテールピースにより規制され、サムターンを回動することはできない。従って、この状態は、施錠キーでしか解錠できない完全ロックモードになる。
【0025】
次に、施錠キーを反時計方向に45°回動すると図8(d)の位置に到達する。さらに、45°だけ反時計方向に回動すると図8(e)の位置に到達する。この位置においては、施錠キーを抜き出すことができる。また、回転作動体の反時計方向への回動は規制されていないため、施錠キーを抜き出した状態においてもサムターンを反時計方向に回動することにより回転作動体を解錠に移行させることができる。この位置では、施錠キー及びサムターンの両方により解錠することができる。
【0026】
図8(e)に示す施錠状態においてテールピースと回転作動体とは係合状態にあるため、この位置から、施錠キーを挿入して反時計方向に45°回動すると、図8(f)の状態に移行し、さらに45°反時計方向に回動すると図8(g)に示す解錠位置に移行する。この位置において施錠キーを抜き出すことはできない。
【0027】
図9は本発明によるシリンダ錠の変形例を示す図である。図9aに示すように、本例では、第1及び第2の穴24e及び24fの両方に係止部材としてのスクリュー29a及び29bを装着する。この場合、施錠位置ではボトムバーの変位がスクリュー29bにより規制されるため、施錠キーをシリンダに挿入することができない。図9bは、正規の施錠キー30とボトムバー27とのキー結合関係を示す。一方、図9cは、施錠キーとして、ボトムバーとキー結合するキー山を除去した施錠キーを示す。キー山が除去された施錠キーは、シリンダに挿入する際ボトムバー27とキー結合することなく、すなわちボトムバーを変位させることなくシリンダ内に挿入することができる。また、抜き出す際もボトムバーとキー結合することなく抜き出すことができる。この結果、当該施錠装置の管理者又は所有者が正規の施錠キーとキー山が除去されたキーの2種類のキーを保持することにより、当該施錠装置をロックアウト状態にすることができる。
【0028】
すなわち、例えば当該施錠装置が賃貸マンションの鍵として用いられる場合、例えば家賃が滞納された場合において当該マンションの管理者がキー山の除去されたキーを用いて施錠し、施錠位置において当該キーを抜き出した場合、使用者に貸し出された正規の施錠キーは当該施錠位置においてシリンダ内に挿入することができないため、もはや当該貸し出された施錠キーを用いることができず、施錠装置がロックアウトされることになる。一方、解錠が必要な場合、キー山が除去されたキーを用いることにより当該施錠装置を解錠することができる。このように、本発明による施錠装置は、施錠キーの抜き差しをボトムバーにより制御しているため、特殊な用途にも利用することができる利点が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による施錠装置の全体構成を示す線図的断面図である。
【図2】シャフト及び回転作動体の係合部分を示す図である。
【図3】本発明によるシリンダ錠の分解斜視図である。
【図4】本発明によるシリンダ錠の構成を示す断面図である。
【図5】解錠位置において施錠キーを装着した状態を示す断面図である。
【図6】装着された施錠キーを時計方向に45°回動させた状態を示す断面図である。
【図7】時計方向に90°回動した状態を示す断面図である。
【図8】施錠キーの回動に伴う回転作動体とテールピースの位置を示す図である。
【図9】施錠装置をロックアウト状態に設定する構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ドア
11 錠前ケース
12 回転作動体
13 シリンダ錠
20 プラグ
24 ボディ
25 テールピース
26 タンブラ
27 ボトムバー
28 サイドバー
29 スクリュー
30 施錠キー
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い防犯性能を有する施錠装置、特にサムターン回しによる不正な解錠行為に対して高い防犯性能を有する施錠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、サムターン付きのシリンダ錠が広く用いられている。この形式の施錠装置では、扉等の開閉体にケースロックが内蔵され、ケースロックには屋外側に露出したシリンダ錠と屋内側に露出したサムターンとが連結されている。ケースロックには、デットボルトが進退自在に内蔵され、屋外側に露出したシリンダ錠に合鍵を挿入して回転操作することによりデットボルトが進退して施錠及び解錠が行われる。また、屋内側においては、サムターンを回転操作することにより施錠及び解錠が行われる。
【0003】
近年、いわゆるバイパス解錠やサムターン回し等の不正な解錠行為による犯罪が多発しており、高い防犯性能の施錠装置の開発が強く要請されている。例えば、バイパス解錠による不正解錠を防止する方法として、特開2003−56218号公報に記載されている防犯方法が既知である。この防犯方法では、開閉自在なカバーを有し透明な素材の函体を用意し、この函体をサムターンを覆うように装着している。従って、針金等が差し込まれてもサムターンは函体により覆われているため、不正にサムターンが回転されることが防止されている(例えば、特許文献1参照)。また、不正な解錠を防止する別のサムターンとして、サムターン軸とサムターンとの間にクラッチ機構を介在させ、サムターンを圧接しなければサムターン軸が回転しないように構成したものが既知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−56218号公報
【特許文献2】
特開2003−56220号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したサムターンカバーを設ける防犯方法は、針金等を用いてサムターンを回転させる不正なバイパス解錠に対しては有効である。しかしながら、工具を用いて扉に穴を開け、穴に手を挿入してサムターンを回転させる不正な解錠行為に対して有効な防犯対策にならない。同様に、サムターンにクラッチ機構を設け、サムターンを圧接して回転させる方法においても、扉に穴を開けられた場合、外部からサムターンを容易に回転することが可能である。すなわち、サムターンに改良を加える防犯方法には、防犯対策上限界がある。
【0006】
扉や引き戸等の開閉体のシリンダ錠は、通常シリンダの1つの位置だけでキーを抜き取る方式が採用されている。この1点抜き仕様の施錠装置の場合、開閉体の右側又は左側のいずれの側に施錠装置を装着する場合でも単一の施錠装置をそのまま取り付けることができる。しかし、2点抜き仕様の施錠装置の場合、扉の右側又は左側に施錠装置を装着するかに応じて施錠装置の構成を変更する必要があり、2種類の施錠装置を用意しなければならない煩雑性が指摘されていた。すなわち、例えば玄関扉のように、開閉方向が右か左か定まっていない場合2種類の施錠装置を用意する必要があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、扉に穴が開けられても不正な解錠行為ができない施錠装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、不正な解錠行為に対して高い防犯性を有すると共に扉の開閉方向が相違しても単一の施錠装置で対応できる施錠装置を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、サムターン回しのような不正な解錠行為が防止される施錠装置に用いられるシリンダ錠を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明による施錠装置は、デットボルト駆動機構に連結されると共に回転軸線の回りで回転可能に支持され、デットボルトが突出した施錠位置及びデットボルトが退出した解錠位置にそれぞれ対応する第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動する回転作動体と、一端に把手が結合され他端が回転作動体に選択的に連結されるシャフトを有し、前記回転作動体と機械的に連結した際回転作動体を前記第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動させるサムターンと、施錠キーの回転操作により、前記回転作動体を前記第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動させるシリンダ錠とを具え、
前記シリンダ錠は、前記回転作動体と選択的に連結して回転作動体に回転駆動力を伝達するテールピースと、回転軸線を有し、テールピースが固着されているプラグと、プラグを回動自在に支持するボディとを有し、
前記プラグは特定の施錠キーだけを挿入することができるキー穴を有すると共に、特定の施錠キーとだけ係合するタンブラーと、施錠キーとキー結合するボトムバーと、プラグの回転軸線の円周方向に沿って前記ボトムバーをはさんで互いに対向するように位置し、当該プラグの回転を制御する2個のサイドバーとが装着され、
前記ボトムバー及びサイドバーは、前記プラグに対しその回転軸線と直交する方向に沿って移動可能に装着され、
前記ボディの内周面には、前記ボトムバー及び/又はサイドバーを回転軸線と直交する方向に変位させるための4個の溝が90°の角度間隔で形成され、これら4個の溝のうちの第1の溝は前記回転作動体が占める第2の回転位置に対応し、第1の溝から90°の角度間隔だけ離れた第2の溝は前記回転作動体が占める第1の回転位置に対応し、
前記ボディに形成した第2及びこの溝と回転軸線をはさんで対向する第3の溝には、ボトムバーの回転軸線と直交する方向の移動を規制するための係止部材を装着するための第1及び第2の穴がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、デットボルトの進退を制御する回転作動体が占める第1及び第2の位置の両方の位置において、すなわち解錠位置だけでなく施錠位置においても施錠キーをシリンダ錠から抜き出すことが可能である。この結果、例えば屋内に人間がいる場合には、従来どおりの使用方法(施錠されている場合、施錠キー及びサムターンの両方により)に基づいて解錠することができ、一方、屋内に人間が存在しない場合、例えば長期の旅行等により家を空ける場合、デットボルトが施錠位置に位置する状態で施錠キーを抜き出すことにより、サムターンを回しても解錠できず、バイパス解錠やサムターン回しのような不正な解錠行為に対する安全性を一層高めることができる。すなわち、本発明による施錠装置は、施錠キーによる解錠及びサムターンにより解錠できるロックモード、及びサムターンでは解錠できず施錠キーだけでしか解錠できない完全ロックモードの2つのロックモードを利用できるため、旅行等により長期間留守にする場合の防犯性を一層高いものとすることができる。
【0010】
また、サイドバーが係合する2つの溝の両方に係止部材を取り付ける穴を設けているので、扉の取り付け方向に応じて対応する側の穴に係止部材を取り付けるだけですみ、右吊りもと用及び左吊りもと用の2種類の施錠装置を用意する必要性が解消される。
【0011】
さらに、本発明の施錠装置は、既に設置された既存の施錠装置を活用する場合、ケースロック及びサムターンをそのまま利用しシリンダ錠を交換するだけでサムターン回し等の不正な解錠行為を防止できる利点が達成される。
【0012】
本発明による施錠装置の好適実施例は、ボディの第2及び第3の溝に形成した穴を、内周面にネジ溝が形成されたネジ穴とし、当該ネジ穴に係止部材としてスクリューネジが螺着されることを特徴とする。このように、係止穴をネジ穴とすることにより、扉の取り付け現場において、扉の取り付け方向に応じて第1又は第2のいずれかの穴にスクリューを螺着するだけで右吊元及び左吊元の両方のドアに対応することができ、2種類のシリンダ錠を用意する必要性を解消することができる。
【0013】
本発明による施錠装置の好適実施例は、第1及び第2の穴の両方の穴に係止部材が取り付けられ、施錠キーとしてボトムバーとキー結合するキー山が除去されたキーを用い、当該キーを用いて施錠し、施錠位置において当該キーを抜き出すことにより当該施錠装置をロックアウト状態とすることを特徴とする。
本発明によるシリンダ錠は、施錠キーの抜き差しの制御はボトムバーにより行われるため、ボトムバーとキー結合するキー山が除去されたキーを特別なキーとして用いることができる。すなわち、第1及び第2の穴にスクリューを取り付けることにより、正規の施錠キーは解錠位置だけでしかシリンダに装着することができない。一方、ボトムバーとの結合部が除去されたキーは解錠及び施錠位置の両方の位置で装着できるため、キー山が除去されたキーを用いて施錠し、施錠位置でキーを抜き出すことにより正規の施錠キーはもはや使用することができず、当該施錠装着をロックアウト状態に設定することができる。
【0014】
【発明の実施形態】
図1は本発明による施錠装置の一例の構成を示す線図的断面図である。ドア1にケースロックが収納され、屋内側(図1の左側)にサムターンが取り付けられ、屋外側(図1の右側)にはシリンダ錠を設ける。ドア1の屋内側に、サムターンの支持本体として機能する中空状の本体2を固定する。本体2の内側空間内に、回転力の伝達を行うためのシャフト3を軸線に沿ってスライド可能及び回転可能に挿入する。シャフト3の一方の側にキャップ4及び把手5を結合する。
【0015】
ドア1に埋め込まれた錠前ケース11内に回転作動体12が回転可能に支持され、回転作動体12は、デットボルトを施錠位置及び解錠位置に進退させるデットボルト駆動機構(図示せず)に連結する。回転作動体12のサムターンが配置されている側とは反対側にシリンダ13のテールピース13aが位置し、施錠キーを操作することにより回転作動体12が回動し、屋外側からデットボルトを進退させることができる。
【0016】
図2aはシャフト3の回転作動体12と対向する側の形状を示し、図2bは回転作動体12のシャフト3と対向する側の形状を示す。シャフト3の回転作動体と対向する側には、円周上に沿って等間隔で4個の係止突起3a〜3dを形成する。一方、回転作動体12のシャフト3と対向する側には、図示の形状の嵌合穴12aを形成する。当該嵌合穴には、2個の係止突起12bを形成する。シャフト3の先端は回転作動体の嵌合穴と係合し、シャフトの4個の係止突起3a〜3dと回転作動体の2個の係止突起12bとが係合し、サムターンの回転力が回転作動体に伝達され、回転作動体の回転力はシリンダ側に伝達されることになる。従って、屋内側からサムターンを回転することにより、デットボルトを施錠位置及び解錠位置に進退させることができる。
【0017】
次に、シリンダ錠について説明する。シリンダ錠は回転軸線Lを有すると共に、回転作動体と反対側すなわち屋外側から順に、施錠キーの挿入穴を有するプラグ20、カバー21、スプリング22、スペーサリング23、プラグを回転自在に支持するボディ24、及びプラグに固定され回転作動体12と選択的に連結するテールピース25を有する。
【0018】
プラグ20は、軸線L方向に沿って延在し施錠キーを挿入させるためキー穴20aを有する。プラグ20には、2列に設けたタンブラ26を変位自在に装着する。キー穴20aに特定の施錠キーを挿入すると、タンブラ26は軸線と直交する方向に変位し当該特定の施錠キーの挿入を許容する。プラグ20には、タンブラ26と対向するようにボトムバー27が装着され、ボトムバーと90°回転した位置に軸線Lをはさんで互いに対向する2個のサイドバー28a及び28bを装着する。ボトムバー27は、軸線Lと直交する方向に変位可能に装着支持され、施錠キーとキー結合して施錠キーの挿脱を規制する機能及びプラグの回転を制御する機能を果たす。また、サイドバー28a及び28bも軸線と直交する方向に変位可能に装着支持され、プラグ20の回転を制御する機能を有する。尚、サイドバーはコイルバネを介してプラグに装着されており、従って、軸線と直交する方向に移動することができる。
【0019】
図4は、軸線Lと直交する面で切って示す断面図である。図4は、回転作動体が解錠位置にあり、シリンダ錠も解錠位置にあるものとする。図4において、プラグの施錠キー挿入穴20aに施錠キーは挿入されていない状態を示す。ボディ24の内周面には、ボトムバー27及びサイドバー28の軸線と直交する方向の変位を許容するための4個の溝24a〜24dを90°の角度間隔で形成する。これら4個の溝のうち、第1の溝24aは解錠位置において施錠キーの抜き差しを行うための溝であり、第2又は第3の溝24b又は24cは施錠位置において施錠キーの抜き差しを行うための溝であり、第4の溝24dは施錠位置においてサイドバーの軸線Lと直交する方向の変位を許容するための溝である。第2及び第3の溝24b及び24cには、ボトムバーの軸線方向と直交する方向の変位を規制するための係止部材を固定するためのネジ穴24e及び24fをそれぞれ形成する。これらの穴24e又は24fのいずれかにスクリュー29を螺着した場合(図4においては、穴24eにスクリュー29が螺着されている)、ボトムバーが当該溝と対向する位置に存在しても、ボトムバーは突出したスクリュー29により規制され軸線方向と直交する方向に移動することができない。
【0020】
図5は、施錠キー30をプラグのキー挿入穴に装着した状態を示す。この解錠位置において、ボディ24のボトムバー27と対向する位置には溝24aが形成されているため、施錠キー30を挿入しようとすると、施錠キーからの押圧力がボトムバー27に対して作用し、この押圧力によりボトムバーがボディに形成した溝24a方向に変位するため、施錠キー30をプラグ内に装着することができる。同時に、施錠キーの装着に伴い、タンブラ26が変位し、タンブラに設けた嵌合穴とサイドバー28a及び28bとが位置的に整合し、サイドバー28がタンブラ26の嵌合穴内に嵌め込まれる。この結果、サイドバー及びボトムバーは軸線Lを中心にする円周方向の移動が規制されず、施錠キー30を軸線Lの回りで回動させると、プラグ並びにサイドバー及びボトムバーが回動することになる。
【0021】
図6は、施錠キーを時計方向に45°回動させた状態を示す。施錠キーの回動によりプラグ20に固定したテールピース25も回動する。テールピースは、デットボルト駆動機構に連結された回転作動体と連結しているため、施錠キーの回動に伴い回転作動体も回動する。
【0022】
さらに、45°回動させ、図5に示す解錠位置から時計方向に90°回動すると、回転作動体の回動に伴いデットボルトが突出し施錠状態となる。図7は施錠位置におけるシリンダ錠の状態を示す。この状態において、施錠キー30を引き抜こうとすると、施錠キーからボトムバー27に軸線から外向きの力が作用する。一方、ボディ24のボトムバー27と対向する位置には溝24bが存在するため、ボトムバー27は軸線から離れる方向に変位することができる。同時に、2個のサイドバー28a及び28bと対向する位置にもそれぞれ溝24a及び24fが存在するため、サイドバーも軸線と直交する方向に変位することができる。この結果、当該施錠位置において施錠キーを引き抜くことができる。一方、施錠キー30を抜き出した場合、サイドバー28とタンブラ26とのキー結合が解除されるため、もはやプラグは回動できず、従って、サムターンを回動して解錠しようとしてもシリンダ錠がロック状態にあるため、回転作動体を回転させることができない。この結果、施錠した状態で施錠キーを抜き出した場合、もはやサムターンを回動しようとしても回転作動体は回動せず、従って解錠することはできない。これにより、サムターン回し等の不正な解錠行為が有効に防止される。
【0023】
次に、スクリュー29の作用について説明する。図5に示す状態、すなわち解錠位置において、施錠キーをプラグに挿入して反時計方向に90°回動することも可能である。この場合、ボトムバー27がスクリュー29と当接する。よって、この位置において施錠キーを抜き出そうとしても、ボトムバーが軸線Lと直交する方向に変位することができず、施錠キーを抜き出すことができない。これにより、不所望な位置での施錠キーの挿脱が防止される。
【0024】
次に、施錠キーを回動した際のテールピースと回転作動体の状態について説明する。図8はサムターン側から回転作動体及びテールピースを見た場合の線図である。図8(a)は解錠位置における回転作動体12とテールピース25との位置関係を示す。この位置において施錠キーを装着し、時計方向に45°回動させた状態を図8(b)に示す。さらに、この位置から45°回動すると図8(c)の状態、すなわち施錠位置に移行する。この位置においては、デットボルトが突出し、施錠状態となる。この位置において、施錠キーを抜き出すと、テールピースは回動できず、サムターンを回動しようとしてもテールピースにより規制され、サムターンを回動することはできない。従って、この状態は、施錠キーでしか解錠できない完全ロックモードになる。
【0025】
次に、施錠キーを反時計方向に45°回動すると図8(d)の位置に到達する。さらに、45°だけ反時計方向に回動すると図8(e)の位置に到達する。この位置においては、施錠キーを抜き出すことができる。また、回転作動体の反時計方向への回動は規制されていないため、施錠キーを抜き出した状態においてもサムターンを反時計方向に回動することにより回転作動体を解錠に移行させることができる。この位置では、施錠キー及びサムターンの両方により解錠することができる。
【0026】
図8(e)に示す施錠状態においてテールピースと回転作動体とは係合状態にあるため、この位置から、施錠キーを挿入して反時計方向に45°回動すると、図8(f)の状態に移行し、さらに45°反時計方向に回動すると図8(g)に示す解錠位置に移行する。この位置において施錠キーを抜き出すことはできない。
【0027】
図9は本発明によるシリンダ錠の変形例を示す図である。図9aに示すように、本例では、第1及び第2の穴24e及び24fの両方に係止部材としてのスクリュー29a及び29bを装着する。この場合、施錠位置ではボトムバーの変位がスクリュー29bにより規制されるため、施錠キーをシリンダに挿入することができない。図9bは、正規の施錠キー30とボトムバー27とのキー結合関係を示す。一方、図9cは、施錠キーとして、ボトムバーとキー結合するキー山を除去した施錠キーを示す。キー山が除去された施錠キーは、シリンダに挿入する際ボトムバー27とキー結合することなく、すなわちボトムバーを変位させることなくシリンダ内に挿入することができる。また、抜き出す際もボトムバーとキー結合することなく抜き出すことができる。この結果、当該施錠装置の管理者又は所有者が正規の施錠キーとキー山が除去されたキーの2種類のキーを保持することにより、当該施錠装置をロックアウト状態にすることができる。
【0028】
すなわち、例えば当該施錠装置が賃貸マンションの鍵として用いられる場合、例えば家賃が滞納された場合において当該マンションの管理者がキー山の除去されたキーを用いて施錠し、施錠位置において当該キーを抜き出した場合、使用者に貸し出された正規の施錠キーは当該施錠位置においてシリンダ内に挿入することができないため、もはや当該貸し出された施錠キーを用いることができず、施錠装置がロックアウトされることになる。一方、解錠が必要な場合、キー山が除去されたキーを用いることにより当該施錠装置を解錠することができる。このように、本発明による施錠装置は、施錠キーの抜き差しをボトムバーにより制御しているため、特殊な用途にも利用することができる利点が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による施錠装置の全体構成を示す線図的断面図である。
【図2】シャフト及び回転作動体の係合部分を示す図である。
【図3】本発明によるシリンダ錠の分解斜視図である。
【図4】本発明によるシリンダ錠の構成を示す断面図である。
【図5】解錠位置において施錠キーを装着した状態を示す断面図である。
【図6】装着された施錠キーを時計方向に45°回動させた状態を示す断面図である。
【図7】時計方向に90°回動した状態を示す断面図である。
【図8】施錠キーの回動に伴う回転作動体とテールピースの位置を示す図である。
【図9】施錠装置をロックアウト状態に設定する構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ドア
11 錠前ケース
12 回転作動体
13 シリンダ錠
20 プラグ
24 ボディ
25 テールピース
26 タンブラ
27 ボトムバー
28 サイドバー
29 スクリュー
30 施錠キー
Claims (10)
- デットボルト駆動機構に連結されると共に回転軸線の回りで回転可能に支持され、デットボルトが突出した施錠位置及びデットボルトが退出した解錠位置にそれぞれ対応する第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動する回転作動体と、一端に把手が結合され他端が回転作動体に連結されるシャフトを有し、前記回転作動体と機械的に連結した際回転作動体を前記第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動させるサムターンと、施錠キーの回転操作により、前記回転作動体を前記第1の回転位置と第2の回転位置との間で回動させるシリンダ錠とを具え、
前記シリンダ錠は、前記回転作動体と選択的に連結して回転作動体に回転駆動力を伝達するテールピースと、回転軸線を有し、テールピースが固着されているプラグと、プラグを回動自在に支持するボディとを有し、
前記プラグは特定の施錠キーだけを挿入することができるキー穴を有すると共に、特定の施錠キーとだけ係合するタンブラーと、施錠キーとキー結合するボトムバーと、プラグの回転軸線と直交する円周方向に沿って前記ボトムバーをはさんで互いに対向するように位置し、当該プラグの回転を制御する2個のサイドバーとが装着され、
前記ボトムバー及びサイドバーは、前記プラグに対しその回転軸線と直交する方向に沿って移動可能に装着され、
前記ボディの内周面には、前記ボトムバー及び/又はサイドバーを回転軸線と直交する方向に変位させるための4個の溝が90°の角度間隔で形成され、これら4個の溝のうちの第1の溝は前記回転作動体が占める第2の回転位置に対応し、第1の溝から90°の角度間隔だけ離れた第2の溝は前記回転作動体が占める第1の回転位置に対応し、
前記ボディに形成した第2及びこの溝と回転軸線をはさんで対向する第3の溝には、ボトムバーの回転軸線と直交する方向の移動を規制するための係止部材を装着するための第1及び第2の穴がそれぞれ形成されていることを特徴とする施錠装置。 - 請求項1に記載の施錠装置において、前記ボディの第2及び第3の溝に形成した穴を、内周面にネジ溝が形成されたネジ穴とし、当該ネジ穴に係止部材としてスクリューネジが螺着されることを特徴とする施錠装置。
- 請求項1又は2に記載の施錠装置において、前記シリンダ錠に施錠キーを装着した場合、前記サイドバーがタンブラーに形成した嵌合溝と係合し、当該施錠キーを回転することにより前記プラグが回転軸線の回りで回転することを特徴とする施錠装置。
- 請求項1、2又は3に記載の施錠装置において、前記施錠キーの一端側に前記ボトムバーとキー結合するキー山が形成され、ボトムバーが第1、第2又は第3の溝と対向する円周方向位置に存在する場合だけ、施錠キーをシリンダ錠に挿入でき及び挿入された施錠キーを抜き出すことができることを特徴とする施錠装置。
- 請求項1から4までのいずれか1項に記載の施錠装置において、当該施錠装置が取り付けられる扉の取付方向に応じて前記第1又は第2の穴のいずれか一方の穴に係止部材が取り付けられることを特徴とする施錠装置。
- 請求項5に記載の施錠装置において、前記第1又は第2の穴に係止部材が装着されている場合、ボトムバーが当該係止部材と対向する位置に位置した場合、ボトムバーの移動が係止部材により規制され、装着されている施錠キーを抜き出すことができないことを特徴とする施錠装置。
- 請求項6に記載の施錠装置において、回転作動体が解錠位置である第2の位置に位置する場合に施錠キーをシリンダ錠に挿入し、当該施錠キーを回動操作して回転作動体を施錠位置である第1の位置まで回動させ、当該位置において施錠キーを抜き出すことができることを特徴とする施錠装置。
- 請求項7に記載の施錠装置において、前記ボトムバーが第2又は第3の溝と対向する位置に存在するときに施錠キーが抜き出された場合、シリンダ錠がロック状態となり、前記サムターンを回動しようとしても回転作動体を回動させることができないことを特徴とする施錠装置。
- 請求項8に記載の施錠装置において、前記第1及び第2の穴の両方の穴に係止部材が取り付けられ、施錠キーとしてボトムバーとキー結合するキー山が除去されたキーを用い、当該キーを用いて施錠し、施錠位置において当該キーを抜き出すことにより当該施錠装置をロックアウト状態とすることを特徴とする施錠装置。
- 施錠装置に取り付けられた際回転作動体と選択的に連結して回転作動体に回転駆動力を伝達するテールピースと、回転軸線を有し、テールピースが固着されているプラグと、プラグを回動自在に支持するボディとを具え、
前記プラグは特定の施錠キーだけを挿入することができるキー穴を有すると共に、特定の施錠キーとだけ係合するタンブラーと、施錠キーとキー結合するボトムバーと、プラグの回転軸線と直交する円周方向に沿って前記ボトムバーをはさんで互いに対向するように位置し、当該プラグの回転を制御する2個のサイドバーとが装着され、
前記ボトムバー及びサイドバーは、前記プラグに対しその回転軸線と直交する方向に沿って移動可能に装着され、
前記ボディの内周側には、円周方向に沿ってほぼ90°の角度間隔で4個の溝が形成され、
前記ボディに形成した互いに対向する2つの溝には、係止部材を取り付けるための穴がそれぞれ形成され、
前記サイドバーは施錠キーを装着した場合だけ前記プラグとキー結合して施錠キーの回動に応じてプラグが回動し、当該シリンダ錠が施錠装置に装着された際、解錠位置及び施錠位置の両方の位置において施錠キーを挿入し及び抜き出すことがきることを特徴とするシリンダ錠。
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JP2003183056A JP2005016176A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 施錠装置 |
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JP2003183056A JP2005016176A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | 施錠装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012237121A (ja) * | 2011-05-11 | 2012-12-06 | Shibutani:Kk | シリンダー錠 |
CN107965116A (zh) * | 2018-01-05 | 2018-04-27 | 金强(福建)建材科技股份有限公司 | 一种户外地板快速安装的旋转式卡件及其使用方法 |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003183056A patent/JP2005016176A/ja active Pending
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CN107965116A (zh) * | 2018-01-05 | 2018-04-27 | 金强(福建)建材科技股份有限公司 | 一种户外地板快速安装的旋转式卡件及其使用方法 |
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