JP2005015774A - 金属板ラミネート用フィルム、フィルムラミネート金属板、および金属缶体 - Google Patents

金属板ラミネート用フィルム、フィルムラミネート金属板、および金属缶体 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属板との熱ラミネート性、缶の成形性、さらに、低温での耐衝撃性に優れたフィルムラミネート金属缶体に好適な金属ラミネート用フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル(II)と、エチレン系3元共重合体(P)とからなる二軸延伸フィルムであって、(I)と(II)の質量比(I/II)が80/20〜40/60であり、(P)が、エチレン95〜50質量%と、不飽和カルボン酸0.1〜10質量%と、不飽和カルボン酸のアルキルエステル4.9〜40質量%とからなり、(P)が(I)と(II)の合計100質量部に対して、0.5〜20質量部配合されており、フィルムが200〜223℃に(I)の融点を、また230〜256℃に(II)の融点を有することを特徴とする金属板ラミネート用フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は金属板ラミネート用フィルムに関し、特に、このフィルムを金属板にラミネートして得られるフィルムラミネート金属板を、絞り成形やしごき成形等に使用される材料として有用なものとすることができる、金属板ラミネート用フィルムに関する。
従来、金属缶の内外面の腐食防止には、熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤型の塗料が塗布されていた。しかし、溶剤型塗料は塗膜を形成するために高温での加熱が必要であり、その時に多量の溶剤が発生するため、作業の安全性および環境の面からも問題があった。そのため、最近は溶剤を用いない腐食防止法として、熱可塑性樹脂による金属の被覆が提案され、熱可塑性樹脂の中でも特にポリエステルは加工性、耐熱性等に優れることから、ポリエステルをベースとした金属ラミネート用フィルムの開発が進められている。
フィルムを金属板に被覆する方法としては、熱可塑性樹脂を溶融させて直接金属上に押出す方法や、熱可塑性樹脂フィルムを直接、または接着剤を介して熱圧着する方法がある。中でも、熱可塑性樹脂フィルムを用いる方法は、樹脂の取扱いが容易で作業性に優れ、かつ、樹脂膜厚の均一性にも優れるために有効な手法とされている。また、接着剤を介した方法では環境面やコストの問題があるために、フィルムを直接熱圧着する方法が注目されている。
熱可塑性樹脂フィルムを被覆した金属缶は、鋼板、アルミ板等の金属板(メッキ等の表面処理を施したものを含む)に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートし、ラミネート金属板を成形加工して製造される。
このような用途に用いられる熱可塑性樹脂フィルムには、金属板との熱ラミネート性がよいこと、缶の成形性に優れていること、つまり、缶の成形時にフィルムの剥離、亀裂、ピンホール等の発生がないこと、缶成形後の印刷、レトルト殺菌処理および長期の保存の際に脆化しないこと、内容物の保味保香性に優れること等の数々の特性が同時に要求される。
このような金属板ラミネート用ポリエステルフィルムとしては、熱ラミネート性を付与し、缶の成形性を向上させる目的で、他の成分を混合したり、共重合する方法が提案がされている。
例えば、(イ)PETに他の成分を共重合したものが特許文献1〜3等に開示されている。また、(ロ)共重合PETにPBTもしくはその共重合体を配合したもの(特許文献4〜6)、(ハ)PETもしくはその共重合体にPBTもしくはその共重合体を配合し、結晶特性を限定した缶蓋用フィルム(特許文献7、8)が開示されている。
しかしながら、(イ)ではPETを共重合化し、低融点化、低結晶化することにより熱ラミネート性と成形性は改良されるものの、缶成形後の熱処理およびレトルト殺菌処理時に脆化し、耐衝撃性が低下するという問題があった。また、(ロ)ではPBT系の樹脂を配合させることにより、熱ラミネート性と上記(イ)の欠点である脆化や耐衝撃性をバランス良く改良しようとしたものであるが、金属との熱ラミネート性や接着性は十分ではなく、特に絞り成形やしごき成形等の高加工成形性が十分ではなかった。(ハ)では、結晶性を限定することによりレトルト殺菌処理等の比較的低温での熱処理後の白化や白斑は改善されるものの、絞り成形やしごき成形等の厳しい条件での成形性(高加工性)については考慮されておらず、十分な成形性は付与されていなかった。
これに対して、本発明者らは、先にポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルと、ポリブチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルよりなる二軸延伸フィルムを提案している(特許文献9、10)。このフィルムは、結晶化度が高くても、比較的低温で熱圧着でき、しかも得られたラミネート金属板は加工性に優れ、また、レトルト殺菌処理および長期の保存の際に脆化せず、耐衝撃性にも優れるものである。しかし、最近、製缶速度の増大、缶サイズの大容量化、缶の薄肉化の要求が進んでおり、特に低温での耐衝撃性についてさらなる改良が望まれるようになってきた。
低温での耐衝撃性を改良するために、ポリエステル樹脂にオレフィン成分をブレンドして実質上未配向状態で金属板を被覆する方法(特許文献11)が開示されているが、この方法は、溶融させて直接金属上に押出すか、未延伸フィルムを熱圧着する必要があり、樹脂膜厚の均一性に劣り、絞り成形やしごき成形等においてかじりが発生しやすく、高速生産性に問題があるものであった。
特公平8−19245号公報 特公平8−19246号公報 特許第2528204号公報 特許第2851468号公報 特開平5−186612号公報 特開平5−186613号公報 特開平5−331302号公報 特開平7−145252号公報 特開平9−194604号公報 特開平10−110046号公報 特開2002−347178号公報
本発明の目的は、金属板との熱ラミネート性、缶の成形性、さらに、低温での耐衝撃性に優れたフィルムラミネート金属缶体に好適な金属ラミネート用フィルム、ラミネート金属板およびそれを用いた金属缶体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、実質的に非相溶のポリエステル、すなわちポリブチレンテレフタレート主体のポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート主体のポリエステルに、エチレン系3元共重合体を配合したフィルムは、缶の成形性に加えて、低温での耐衝撃性にも優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル(II)と、エチレン系3元共重合体(P)とからなる二軸延伸フィルムであって、ポリエステル(I)と(II)の質量比(I/II)が80/20〜40/60であり、エチレン系3元共重合体(P)が、エチレン95〜50質量%と、不飽和カルボン酸0.1〜10質量%と、不飽和カルボン酸のアルキルエステル4.9〜40質量%とからなり、エチレン系3元共重合体(P)がポリエステル(I)と(II)の合計100質量部に対して、0.5〜20質量部配合されており、フィルムが200〜223℃にポリエステル(I)の融点を、また230〜256℃にポリエステル(II)の融点を有することを特徴とする金属板ラミネート用フィルム。
(2)上記(1)記載の金属板ラミネート用フィルムが直接加熱接着、又は接着剤を介して積層されてなるフィルムラミネート金属板。
(3)上記(2)記載のフィルムラミネート金属板を用いて成形された金属缶体。
本発明によれば、優れた熱ラミネート性、成形性、特に絞り成形やしごき成形等の高加工性を有するとともに、成形後の耐衝撃性や耐レトルト性にも優れる金属缶と、この金属缶を成形するための、フィルムを積層した金属板とを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明におけるポリブチレンテレフタレート(PBT)又はこれを主体とするポリエステル(I)は、PBT又はこれに他の成分を共重合したものであり、融点は200〜223℃であることが好ましい。融点が200℃より低いと耐熱性が低下する。
共重合割合は、融点が上記範囲内であればよく、全アルコール成分に対し、1,4−ブタンジオールは80モル%以上が好ましく、特に90モル%以上が好ましい。1,4−ブタンジオールが80モル%未満であると、結晶性、特に結晶化速度が低下し、レトルト処理後の耐衝撃性が低下する。
共重合成分としては、特に限定されないが、酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。
また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げられる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
本発明におけるポリエチレンテレフタレート(PET)又はこれを主体とするポリエステル(II)は、PET又はこれに他の成分を共重合したものであり、融点は230〜256℃であることが好ましい。融点が230℃未満であると、結晶性が低下し、レトルト処理後に白化や白斑が発生したり、レトルト処理後の耐衝撃性が劣る。PETに共重合することができる成分としては特に限定されず、ポリエステル(I)と同様な化合物を例示できる。
本発明のフィルムを製造するために用いられるポリエステル(I)と(II)の極限粘度は、ポリエステル(I)は0.6〜1.6、ポリエステル(II)は0.5〜0.9が好ましく、溶融混合した後の極限粘度は0.6〜1.0が好ましい。極限粘度が上記範囲未満では、フィルムの実用性能が不足し、上記範囲内を超えると生産性に劣り、また、フィルムの金属板への熱ラミネート性も損なわれる。
原料のポリエステル(I)と(II)の重合方法は特に限定されることはなく、例えば、エステル交換法、直接重合法等で重合することができる。エステル交換触媒としては、Mg、Mn、Zn、Ca、Li、Tiの酸化物、酢酸塩等が挙げられる。また、重縮合触媒としては、Sb、Ti、Ge酸化物、酢酸塩等の化合物が挙げられる。
重合後のポリエステルは、モノマーやオリゴマー、副生成物のアセトアルデヒドやテトラヒドロフラン等を含有しているため、減圧もしくは不活性ガス流通下、200℃以上の温度で固相重合することが好ましい。
ポリエステルの重合においては必要に応じ添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等を、熱安定剤としては、例えばリン系化合物等を、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系の化合物等を挙げることができる。
本発明におけるエチレン系3元共重合体(P)は、エチレンと、不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸のアルキルエステルとからなる。不飽和カルボン酸とは、3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和モノ又はジカルボン酸及びその誘導体であり、それらの金属塩や酸無水物が挙げられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸及びその誘導体が挙げられるが、ポリエステルに対する親和性やコストパフォーマンスの点から無水マレイン酸が最も好適である。
また、エチレン系3元共重合体(P)における不飽和カルボン酸のアルキルエステルとは、不飽和カルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステルであり、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート等を挙げることができ、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレートが特に好適である。
エチレン系3元共重合体(P)を構成する各成分の構成比は、エチレン95〜50質量%、不飽和カルボン酸0.1〜10質量%、不飽和カルボン酸のアルキルエステル4.9〜40質量%であり、より好ましくは、エチレン89.5〜60質量%、不飽和カルボン酸0.5〜5質量%、不飽和カルボン酸のアルキルエステル10〜35質量%である。
不飽和カルボン酸の共重合比率が上記範囲より少ない場合には、得られる共重合体のポリエステルへの親和性が不十分となり、一方、この範囲を超えると、得られる共重合体の溶融粘度が極度に上昇するためポリエステルとの混練が困難となる。また、不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合比率が上記範囲より少ない場合には、得られるフィルムの耐衝撃性が不十分となり、一方、この範囲を超えると、通常の重合装置では3元共重合体を得ることが困難となる。
エチレン系3元共重合体(P)の重合方法としては、例えば、塊状、溶液、懸濁又はエマルジョン重合等の方法が挙げられる。最も一般的な方法は、塊状共重合法であり、700〜3000気圧の圧力下、100〜300℃の温度で、開始剤として遊離基を発生する化合物、例えば有機過酸化物を使用してラジカル重合することにより、エチレン系3元共重合体(P)を得ることができる。
エチレン系3元共重合体(P)のメルトフローレート(JIS K6760に準拠)は、0.1〜60g/10分の範囲が好ましく、さらに1〜50g/10分の範囲が好ましい。この範囲を外れるとポリエステルとの混練が困難となる場合がある。
本発明ではポリエステル(I)と(II)を特定の配合比で溶融混合するが、その配合比は質量比で(I)/(II)=80/20〜40/60、好ましくは70/30〜50/50である。ポリエステル(I)の配合比が80質量%を超えると、結晶性の高いポリエステル(I)の特性が顕著に発現し、成形性に劣るばかりか、耐衝撃性も悪くなる。また、ポリエステル(I)の配合比が40質量%未満の場合には、結晶化速度が低下し、レトルト処理後の物性が低下する。
本発明ではポリエステル(I)と(II)の合計100質量部に対して、エチレン系3元共重合体(P)を0.5〜20質量部、好ましくは3〜15質量部、さらに好ましくは5〜10質量部添加することが必要である。0.5質量部より少ないと添加効果が見られず低温での衝撃性に劣る。20質量部より多いとバラスが出て製膜が困難になる。
ポリエステル(I)、(II)およびエチレン系3元共重合体(P)の溶融混合条件は特に限定されず、ブレンドした原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、また、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。溶融混合条件として、高い溶融温度下もしくは高せん断下で長時間混合した場合には、エステル交換反応や分解反応が進行して、混合物の特性が大きく変化する。特に、エステル交換が進行しすぎると、融点やガラス転移温度が低下し、ポリエステル(I)および(II)によるフィルムの優れた特性が消失し、耐熱性や成形性が低下するため、溶融混合条件は、(II)の融点+20℃以下の温度で、滞留時間15分以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムは、200〜223℃の温度範囲にポリエステル(I)の融点を、230〜256℃の温度範囲にポリエステル(II)の融点をそれぞれ1つ以上有することが必要である。特に、ポリエステル(I)に由来する融点が200℃を下回るとフィルムの耐熱性が低下し、成形性や耐衝撃性が劣る。
本発明のフィルムは、二軸延伸フィルムであることが必要である。二軸延伸することにより、フィルムの厚み精度や、寸法安定性が増し、金属板との熱ラミネートおよびそれに続いて行われる製缶工程において、かじり、白化などのトラブルを少なくすることができる。
次に、フィルムの製造の一例を示す。ドライブレンドしたポリエステル(I)と(II)およびエチレン系3元共重合体(P)をTダイを備えた押出機に供給し、250〜280℃の温度で3〜15分間溶融混合後にシート状に押し出し、この押出されたシートを室温以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて冷却し、得られた未延伸シートを必要に応じて縦方向(MD)に1〜1.2倍程度の予備延伸し、その後にテンターにより50〜150℃の温度でMD及び横方向(TD)にそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるように二軸延伸し、さらに、TDの弛緩率を数%として、80〜220℃で数秒間熱処理を施すことによって製造することができる。二軸延伸方法としては、逐次または同時二軸延伸法を用いることができる。
延伸後の熱処理は、フィルムに寸法安定性を付与するために必要な工程であるが、その方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法を用いることができる。このうち、均一に精度良く加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
フィルム製造時や製缶時の工程通過性をよくするため、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を少量添加して製膜してフィルム表面にスリップ性を付与することが望ましい。さらに、フィルム外観や印刷性を向上させるため、たとえば、フィルムにシリコーン化合物等を含有させることもできる。また、金属とのラミネート性を向上させたり、強度をさらに高めるために、フィルム製造中のインラインコーティングもしくはフィルム製造後のポストコーティングにより、接着層等の任意のコーティング層を形成させてもよい。
本発明のフィルムには、金属板との熱圧着性及びその後の密着性を更に向上させる目的で、共押出法やラミネート加工、あるいはコーティング加工により接着層を設けることができる。接着層は、特に限定されないが、エチレン系3元共重合体を含有しないポリエステル樹脂層や、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂やこれらの各種変性樹脂からなる熱硬化性樹脂層であることが好ましい。特に、厚さが1.0〜10μmのポリエステル樹脂層と、厚さが1.0μm以下の熱硬化性樹脂層を積層させることが好ましい。
また、金属板と熱圧着するフィルムの反対側には、金属缶体の外観や印刷性を向上させたり、フィルムの耐熱性や耐レトルト性等を向上させるために1種もしくは2種以上の樹脂層を設けることができる。これらの層は、共押出法やラミネートあるいはコーティング加工により設けることができる。
本発明のフィルムは、その両側にエチレン系3元共重合体を含有しないポリエステル樹脂層を積層させ、さらに、必要に応じて熱硬化性樹脂層を積層させるのが特に好ましい形態である。
本発明のフィルムは、鋼板、アルミ等の金属板に、直接加熱接着、又は接着剤を介して積層される。積層する金属板は、クロム酸処理、リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理等の化成処理や、ニッケル、スズ、亜鉛、アルミ、砲金、真鍮、その他の各種メッキ処理などを施した鋼板を用いることができる。
フィルムと金属板を積層する方法としては、金属板を予め160〜250℃まで予熱しておき、これとフィルムとを、金属板より30℃、更には50℃以上低く温度制御されたロールによって圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却することにより連続的に製造される。金属板の加熱方法としては、ヒーターロール伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方式等があげられ、特に、設備費及び設備の簡素化を考慮した場合、ヒーターロール伝熱方式が好ましい。また、ラミネート後の冷却方法については、水等の冷媒中に浸漬する方法や冷却ロールと接触させる方法を用いることができる。
以上のようにして得られた金属板は、そのまま加工処理を施してもよいが、ポリエステルの融点より10〜30℃高い温度で熱処理後急冷して、本フィルムをアモルファスの状態にすることにより、さらに高い加工性を付与することができる。特に、本発明のフィルムは、アモルファス状態にした際に大きな効果を発揮する。
本発明の金属缶体は、上記ラミネート金属板が成形されてなるものである。金属缶体としては、飲食料を充填して使用に供することができ得る形態にまで加工処理が施された金属缶体及びその一部分、例えば巻き締め加工が可能な形状に成形された缶蓋も含まれる。特に、厳しいネックイン加工が施される3ピース缶(3P缶)の缶胴部材や、絞りしごき加工によって製造される2ピース缶(2P缶)の缶胴部材として用いる場合に、本発明のフィルムの優れた加工性が発揮される。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例におけるフィルムの原料、および、特性値の測定法は、次の通りである。
(1)原料
PBT:固相重合を施したPBT、IV1.08dl/g、Tm223℃、Tg30℃、Ti触媒40ppm含有。
PET:固相重合を施したPET、IV0.75dl/g、Tm255℃、Tg74℃、Ge触媒40ppm含有。
DA4−PET:炭素数36のダイマー酸を4mol%共重合したPET、固相重合は施していない。IV0.75dl/g、Tm244℃、Tg53℃、Ge触媒60ppm含有。
SEA5−PET:セバシン酸を5mol%共重合したPET、固相重合は施していない。IV0.78dl/g、Tm240℃、Tg62℃、Ge触媒60ppm含有。
エチレン系3元共重合体(P):表1に示す組成の共重合体。
(2)測定法
A.極限粘度(IV)
フェノール/四塩化エタンの等質量混合溶媒を用いて、温度20℃、濃度0.5g/dlで測定した溶液粘度から求めた。
B.融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
Perkin Elmer社製DSCを用い、20℃/minで昇温時の融点、ガラス転移温度を測定した。フィルムの測定サンプルは、延伸フィルムを100℃/minで280℃まで昇温後、3分保持後に液体窒素中で急冷して非晶状態としたものを用いた。
C.熱ラミネート性
200℃に加熱した金属ロールと、シリコンゴムロールとの間に、試料フィルムと厚みが0.30mmのアルミ板とを重ね合わせて供給し、速度20m/min、線圧4.9×104N/mで加熱接着し、2sec後に氷水中に浸漬し、冷却してラミネート金属板を得た。得られた積層体から、幅18mmの短冊状の試験片(端部はラミネートせず、ラミネートされた部分がMDに8cm以上確保されるようにする)をTDに11枚切り出した。次に、この試験片のフィルム面に、JIS Z−1522に規定された粘着テープを貼り付け、島津製作所社製オートグラフで、10mm/minの速度で180度剥離試験を行い、その剥離強力を測定することにより、次の基準にしたがって接着性を評価した。
◎:10枚以上の試験片の剥離強力が2.9N以上であるか、又は2.9N以上でフィルムが破断。
○:5〜9枚の試験片の剥離強力が2.9N以上であるか、又は2.9N以上でフィルムが破断。
△:剥離強力が2.9N未満の試験片が7枚以上。
D.成形性
上記Cで得られたラミネート金属板のフィルム側を缶胴内面として、絞りしごき成形を行い500ml相当の2ピース缶を成形した。得られた缶に、1質量%食塩水を満たし、缶体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定し、フィルムの欠陥の程度を評価した。電流が多く流れるほど欠陥が多く、缶品位としては1mA以下が好ましい。
E.耐衝撃性
上記Cで得られたラミネート金属板を(イ)95℃で30sec沸水処理後、(ロ)95℃で30sec沸水処理後、38℃で3ヶ月保存後に、幅18mmの短冊状の試験片をTDに10枚切り出し、5℃の雰囲気下で1時間以上放置後、フィルム面を外面に、直径2mmの円柱の金属棒を支点にし、その回りに約1秒間かけて約180度折り曲げる。続いて、2kgの錘(先端は10mm×20mmの長方形をした平面)を400mmの高さから折り曲げ面に落下させたときの、幅方向に中央10mm部のフィルムの状態を観察し、次の基準により耐衝撃性を評価した。
×:剥離または破断が目視で認められた。
△:光学顕微鏡で、クラックまたはピンホールが6枚以上に認められた。
○:光学顕微鏡で、クラックまたはピンホールが5〜3枚に認められた。
◎:光学顕微鏡で、クラックまたはピンホールが2枚以下に認められた。
実施例1〜5、比較例1〜7
平均粒径2.5μmのシリカを0.08質量%添加したPBTとPET、およびエチレン系3元共重合体(P)を表2に示す割合で配合してTダイを備えた押出し機に供給し、表2に示す押出温度と滞留時間で溶融後、Tダイ出口よりシート状に押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。次いで、この未延伸フィルムの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、40〜60℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度50〜80℃でMDに3.0倍、TDに3.3倍で同時二軸延伸した。ただし、その後TDの弛緩率を5%として、温度150℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムから、Cに記述した方法でラミネート金属板を得、同時に評価した。更に、上記Cで得られたラミネート金属板のフィルムの成形性を、Dに記載した方法で評価した。更にラミネート金属板の耐衝撃性評価を、Eに示す方法で評価した。上記試験で得られたフィルムの諸物性と各評価結果を表2に示す。
実施例1〜5で得られたフィルムは、熱ラミネート性、成形性、耐衝撃性、耐レトルト性に優れていたが、比較例1〜3、5、7で得られたフィルムは、上記の全ての性能を満足するものは得られなかった。また、比較例4、6はバラス現象のために製膜ができなかったため評価は行わなかった。

Claims (3)

  1. ポリブチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル(I)と、ポリエチレンテレフタレート又はこれを主体とするポリエステル(II)と、エチレン系3元共重合体(P)とからなる二軸延伸フィルムであって、ポリエステル(I)と(II)の質量比(I/II)が80/20〜40/60であり、エチレン系3元共重合体(P)が、エチレン95〜50質量%と、不飽和カルボン酸0.1〜10質量%と、不飽和カルボン酸のアルキルエステル4.9〜40質量%とからなり、エチレン系3元共重合体(P)がポリエステル(I)と(II)の合計100質量部に対して、0.5〜20質量部配合されており、フィルムが200〜223℃にポリエステル(I)の融点を、また230〜256℃にポリエステル(II)の融点を有することを特徴とする金属板ラミネート用フィルム。
  2. 請求項1記載の金属板ラミネート用フィルムが直接加熱接着、又は接着剤を介して積層されてなるフィルムラミネート金属板。
  3. 請求項2記載のフィルムラミネート金属板を用いて成形された金属缶体。

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