JP2005014861A - エアバッグ及びエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアバッグ22の側面パネル34の初期展開位置に可変ベントホール36を形成するとともに、その側面パネル34の中央付近に折りヒダ44からなるタック部37を形成する。閉止部40と切欠部42とを有するスライドクロス32を、その閉止部側端40aと脚部側端41aとが側面パネル34の可変ベントホール36及びタック部37を挟むようにして、側面パネル34の内側に固定する。ここで、初期状態においては閉止部40を蛇腹状に折り畳んで、切欠部42を可変ベントホール36に対向させておき、バッグ本体が正常展開されたときにはタック部37の離間により閉止部40の折り畳みを解除し、閉止部40を可変ベントホール36に対向させる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インフレータから袋状のバッグ本体内に供給されるガスにより膨張展開されるエアバッグに関するものである。また、インフレータとエアバッグのバッグ本体とを備え、ケースに収容されるとともにカバーで覆われた状態で車両に装着され、その車両に所定以上の衝撃が加えられたときにインフレータから供給されるガスによりバッグ本体を膨張展開させるエアバッグ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のエアバッグの中には、袋状のバッグ本体の膨張展開時に、そのバッグ本体の内部から外部へのガスの排出量を調整する可変ベントホールを有するものが知られている。
【0003】
例えば、エアバッグのガスの供給口の近傍に可変ベントホールをなす排気穴を設け、その排気穴の周囲に排気口の大きさを調整するための絞り紐を設けたエアバッグが知られている。このエアバッグでは、絞り紐がエアバッグの展開度合いに応じて引っ張られ、この絞り紐の変位により前記排気穴の開口面積が変更される。これにより、排気穴からエアバッグの外部へと排出されるガスの量が、エアバッグの展開度合いに応じて変更され、エアバッグの膨張展開時における内圧が調節されるようになっている。
【0004】
そして、エアバッグが正常に展開されたときには、エアバッグの展開に伴って絞り紐が緊張されて、前記排気穴が絞られる。これにより、エアバッグの内圧が高められ、侵入してくる乗員を受け止めることができるとともに、乗員の侵入によりエアバッグに加えられる衝撃は、絞られた排気穴を介してガスがしている。一方、エアバッグの膨張展開の途中で、障害物の存在等によりそのエアバッグの展開が阻害されたような場合には、前記排気穴が絞り込み途中にあり、エアバッグの内圧が十分に上昇していない状態となる。このため、エアバッグの展開力により、障害物に加えられる衝撃を低減できるものとしている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−85295号公報(第3−4頁、第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来構成のエアバッグ装置を、インストルメントパネルに装着した場合、そのエアバッグはそのエアバッグを収容するケースから車両の後方に向かって直線的に展開されるものである。そして、ケースの近傍に設けられた排気穴を、一端がその排気穴よりエアバッグの展開方向側に固定された絞り紐によって、エアバッグの展開長さに応じて絞り込む構成となっている。
【0007】
このため、インストルメントパネルに寄り添うように障害物が存在する場合には、インストルメントパネルから突出した直後のエアバッグが障害物に当たることになり、その障害物に作用する衝撃の低減が困難になるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、膨張展開途中に障害物が存在するような場合には、その障害物に作用する衝撃を一層低減することのできるエアバッグ及びエアバッグ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、インフレータから袋状のバッグ本体内に供給されるガスにより膨張展開されるエアバッグであって、前記バッグ本体の展開状態に応じて前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態が変化される可変ベントホールと、その可変ベントホールにおけるガスの流通状態を変更する流通状態変更手段とを備え、前記バッグ本体は、段階的に複数の方向に向かって展開されるものであり、前記流通状態変更手段は、前記バッグ本体の膨張展開初期における初期展開方向への初期展開段階では、その可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態を許容する許容状態にあり、前記初期展開段階以降で前記初期展開方向とは異なる展開方向への後続展開段階では、前記バッグ本体の展開状態に応じて前記許容状態と、その可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を抑制する抑制状態とを選択的に設定することを要旨とするものである。
【0010】
この請求項1に記載の発明では、バッグ本体の初期展開段階と、その後の後続展開段階とでは、そのバッグ本体の展開方向が異なるため、バッグ本体の展開を不安定にさせるような障害物の存在が予測される方向に向かって、バッグ本体を初期展開させる必要がない。このため、バッグ本体の初期展開段階において、障害物に作用する衝撃を低減することができる。また、後続展開段階において、膨張展開されるバッグ本体と障害物とが干渉するような場合には、可変ベントホールを介したバッグ本体の内外におけるガスの流通が可能な許容状態となっているため、バッグ本体内に供給されたガスは可変ベントホールを介して外部に放出される。このため、バッグ本体の内圧が過剰に高められることが抑制され、障害物に作用する衝撃を低減することができる。
【0011】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記バッグ本体は、車両のインストルメントパネルの上部に取着され、前記バッグ本体は、初期展開段階では前記車両のウインドウシールドに沿う方向または上方に向かって展開され、前記後続展開段階では前記車両の後方から下方にかけての範囲内の一部または全体に向かって展開されるものであることを要旨とするものである。
【0012】
この請求項2に記載の発明にあるように、前記請求項1に記載の発明の効果を備えるエアバッグは、初期に上方へと展開され、その後座席に対向するように展開するようなエアバッグ、例えばインストルメントパネルの上部に取着される助手席用のエアバッグに、特に好適である。
【0013】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記可変ベントホールを前記初期展開段階で展開する初期展開位置に設け、前記流通状態変更手段を、前記初期展開段階において展開される初期展開位置と、前記後続展開段階で展開される後続展開位置とにわたって設けたことを要旨とするものである。
【0014】
この請求項3に記載の発明では、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、流通状態変更手段を初期展開位置と後続展開位置とにわたって設けることで、流通状態変更手段による可変ベントホールを介するガスの流通状態の調整に、後続展開段階におけるバッグ本体の展開状態をより確実に反映させることができる。
【0015】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記流通状態変更手段は、前記バッグ本体の基布と接合するように設けられたシート部材からなり、前記可変ベントホールに対応するように配置されたときにその可変ベントホールを介した前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を許容する許容部と、前記可変ベントホールに対応するように配置されたときにその可変ベントホールを介した前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を抑制する抑制部とを有するものであることを要旨とするものである。
【0016】
この請求項4に記載の発明では、バッグ本体に対して簡単な構成のシート部材を取着することで、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の効果を実現することができる。
【0017】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記抑制部は、その一端が前記基布における可変ベントホールの展開方向の基端側の位置に固定され、その他端が脚部を介して前記基布における可変ベントホールより展開方向の先端側の位置に固定されることを要旨とするものである。
【0018】
この請求項5に記載の発明では、前記請求項4に記載の発明の効果に加えて、バッグ本体が所定の展開状態に到達したときには、脚部がまずそのバッグ本体の展開に伴ってバッグ本体の展開方向へと引っ張られる。そして、この脚部の変位により、前記抑制部がバッグ本体の展開方向へと引っ張られ、その折り畳み状態が解除される。このように簡単な構成でありながら、基布の展開状態を、脚部を介して抑制部へと確実に伝達させることができる。
【0019】
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記許容部は、前記シート部材の一部に、前記脚部と対応するように設けられた切欠部からなることを要旨とするものである。
【0020】
この請求項6に記載の発明では、前記請求項5に記載の発明の効果に加えて、抑制部と許容部とを1枚のシート部材を用いて構成することができて、部品点数の増大を最小限に留めることができる。
【0021】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記可変ベントホールは突出するように形成されガス通路をなす筒状部を有し、前記流通状態変更手段は、前記バッグ本体の展開状態に応じて、前記ガス通路における筒状部を変形させる変形手段を有し、その筒状部を変形させることで前記許容状態から前記抑制状態に移行させることを要旨とするものである。
【0022】
この請求項7に記載の発明では、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、バッグ本体から突出するように形成された筒状部をバッグ本体の展開状態に応じて変形されることで、可変ベントホールを介した基布の内部から外部へのガスの放出をより確実に抑制することができる。
【0023】
また、本願請求項8に記載の発明は、インフレータから袋状のバッグ本体内に供給されるガスにより膨張展開されるエアバッグであって、前記バッグ本体の展開状態に応じて前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態が変化される可変ベントホールと、その可変ベントホールにおけるガスの流通状態を変更する流通状態変更手段とを備え、その流通状態変更手段は、前記バッグ本体が所定の展開状態に到達する前に前記バッグ本体内が所定の圧力を超えて高められたときにはその可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態を許容する許容状態になり、前記バッグ本体が所定の展開状態に到達すると、その可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を抑制する抑制状態となるものであることを要旨とするものである。
【0024】
この本願請求項8に記載の発明では、例えばバッグ本体の展開領域に障害物等が存在するなどして、バッグ本体が所定の展開状態に到達する前にバッグ本体内の圧力が過大に高められたときには、可変ベントホールが許容状態となり、バッグ本体の内部から外部へガスが放出される。これにより、インフレータからのガスの供給が継続されていても、バッグ本体におけるそれ以上の内圧の上昇を抑制することができ、前記障害物等に作用する衝撃を低減することができる。
【0025】
一方、バッグ本体が所定の展開状態に到達した場合には、可変ベントホールは抑制状態となり、可変ベントホールを介したバッグ本体の内部から外部へガスの放出が抑制される。これにより、バッグ本体の内圧を所定の圧力以上に保持することができて、バッグ本体の膨張展開後に加えられる衝撃をより確実に受け止めることができる。
【0026】
また、本願請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載の発明において、前記バッグ本体は、段階的に複数の方向に向かって展開されるものであり、前記可変ベントホールは、前記バッグ本体の膨張展開初期における初期展開方向への初期展開段階で展開される初期展開位置に設けられ、前記流通状態変更手段は、前記初期段階以降で前記初期展開方向とは異なる展開方向への後続展開段階であって、前記バッグ本体の所定状態での展開が完了する後期展開状態には、前記バッグ本体内のガスの圧力を利用して前記可変ベントホールを前記抑制状態に移行させることを要旨とするものである。
【0027】
この請求項9に記載の発明では、前記請求項8に記載の発明の効果に加えて、請求項2に記載の発明とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、本願請求項10に記載の発明は、前記請求項1、請求項8、請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記可変ベントホールは、バッグ本体の内部と外部とを連通するガス通路をなす筒状部を備え、前記流通状態変更手段は、その筒状部を取り囲むガスの流通路と、前記バッグ本体が前記所定の展開状態に到達した状態で前記流通路内にガスを供給する供給路とを有することを要旨とするものである。
【0028】
この請求項10に記載の発明では、前記請求項1、請求項8、請求項9のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、バッグ本体が所定の展開状態に到達する前にバッグ本体内が所定の圧力を超えて高められたときには、その高められた内圧により筒状部が押し開かれる。これにより、バッグ本体の内部から外部へとガスを放出することができる。これにより、内圧がそれ以上に高められることを抑制することができる。一方、バッグ本体が所定の展開状態に到達すると、供給路を介して流通路内にガスが供給され、流通路が膨張するようになっている。この流通路の膨張によって、前記筒状部も閉じられ、可変ベントホールを介したバッグ本体の内部から外部へのガスの放出を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、本願請求項11に記載の発明は、前記請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の発明において、前記可変ベントホールに加えて、常にバッグ本体の内部のガスを外部に放出する状態にある通常ベントホールを備えていることを要旨とするものである。
【0030】
この請求項11に記載の発明では、前記請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、バッグ本体が所定の展開状態に到達して、可変ベントホールが抑制状態となった後にも、通常ベントホールを介してバッグ本体の内部のガスが外部に放出されることになる。これにより、バッグ本体が所定の展開状態に到達した状態において、バッグ本体の内部を所定の圧力に保ちつつ、その後に加えられる衝撃を、通常ベントホールを介したガスの放出により効果的に吸収することができる。
【0031】
また、本願請求項12に記載の発明は、インフレータとエアバッグのバッグ本体とを備え、ケースに収容されるとともにカバーで覆われた状態で車両に装着され、その車両に所定以上の衝撃が加えられたときにインフレータから供給されるガスにより前記バッグ本体を膨張展開させるエアバッグ装置において、前記エアバッグは、請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載のエアバッグからなることを要旨とするものである。
【0032】
この請求項12に記載の発明では、車両に装着されるエアバッグ装置において、前記請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載の発明の効果を発揮させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、本発明を車両に搭載するエアバッグ装置に具体化した第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。
【0034】
図1に示すように、エアバッグ装置21は、エアバッグ22とケース23とインフレータ24とを備えており、車両のインストルメントパネル25の上面において、助手席26に対向するように搭載されている。この図1では、インフレータ24からのガスの供給後、ケース23に収容されていたエアバッグ22が、所定の展開状態に到達した状態、ここでは正常に膨張展開された状態を示している。エアバッグ22は、袋状をなすバッグ本体31と、その内側に設けられた流通状態変更手段としてのスライドクロス32とから構成されている。
【0035】
このエアバッグ22のバッグ本体31は、その膨張展開時において、車両のウインドウシールドとしてのフロントウインドウ27と助手席26とインストルメントパネル25とに対向する基布としての本体パネル33と、その本体パネル33の側面に縫着された一対の基布としての側面パネル34とからなっている。つまり、このバッグ本体31は、3ピース立体となっている。そして、側面パネル34は略三角形をなしており、バッグ本体31は全体として略三角柱状をなすように形成されている。また、この側面パネル34には、常に開口する円形の通常ベントホール35と、バッグ本体31の展開状態に応じてガスの流通状態、ここでは開口状態が変化する円形の可変ベントホール36とが形成されている。
【0036】
ここで、可変ベントホール36は、通常ベントホール35より開口面積が大きくなるように形成されている。また、可変ベントホール36は、前記インフレータ24からのガスの供給により、初期に膨張展開される初期展開位置P1に形成されている。また、通常ベントホール35は、初期の膨張展開に続いて膨張展開される後続展開位置P2に形成されている。また、側面パネル34には、可変ベントホール36と通常ベントホール35との間において、前記初期展開位置P1と後続展開位置P2との境界に沿うようにタック部37が形成されている。
【0037】
ここで、このバッグ本体31は、前記ケース23内に折り畳まれた状態で収容されているが、車両に所定を超える衝撃が加えられると、直ちにインフレータ24からバッグ本体31の内部にガスが供給され、バッグ本体31の膨張展開が開始される。このバッグ本体31の膨張展開は、おおむね2つの展開方向への展開段階を含んでいる。
【0038】
すなわち、その膨張展開の初期における初期展開段階では、バッグ本体31は主としてインフレータ24からのガスの供給方向、すなわち上方を指向して膨張展開されていく。そして、このバッグ本体31は、ケース23のカバー28を押し破り、フロントウインドウ27に沿って、上方へと膨張展開されていく。この初期展開段階で展開されるのが、初期展開位置P1である。
【0039】
ついで、バッグ本体31が正常に展開されるときには、バッグ本体31の本体パネル33が助手席26に対向するように展開される後続展開段階に移行する。この後続展開段階では、バッグ本体31の展開方向は、前記初期展開段階とは異なって、主として下方となる。この後続展開段階で展開されるのが後続展開位置P2である。
【0040】
前記スライドクロス32は、可変ベントホール36に対応して、その可変ベントホール36を開閉可能に設けられている。このスライドクロス32は、前記バッグ本体31と同等の1枚のシート部材で形成されており、長方形状をなす抑制部としての閉止部40と、2本の帯状の脚部41とを備えている。両脚部41の間には、許容部としての切欠部42が形成されている。スライドクロス32は、抑制部側端としての閉止部側端40aと、許容部側端としての脚部側端41aとにおいて側面パネル34に縫着されている。ここで、閉止部側端40aと脚部側端41aとは、可変ベントホール36とタック部37とを挟むように固定されている。言い換えると、閉止部側端40aは側面パネル34における初期展開位置P1に、脚部側端41aは側面パネル34における後続展開位置P2に、それぞれ固定されている。
【0041】
ここで、図3に示すように、バッグ本体31が展開されていない初期状態では、閉止部40は蛇腹状に折り畳まれており、スライドクロス32は、その切欠部42が可変ベントホール36に対応するように配置されている。これにより、可変ベントホール36を介したバッグ本体31の内部から外部へのガスの放出が許容される許容状態としての開口状態が実現されている。
【0042】
また、図2に示すように、前記タック部37は、側面パネル34の中央付近において可変ベントホール36と通常ベントホール35との間に設けられている。このタック部37は、1枚のパネル布43の折りヒダ44により構成され、側面パネル34はこの折りヒダ44が形成された状態で本体パネル33の開口部に縫着されている。この初期状態においては、タック部37においてパネル布43の折りヒダ44の部分が接合された状態となっている。
【0043】
次に、このエアバッグ装置21の動作について、説明する。
図5(a)に示すように、車両に所定を超える衝撃が加えられると、直ちにインフレータ24からバッグ本体31の内部にガスが供給され、まずバッグ本体31がケース23内で膨張展開される。バッグ本体31内の圧力が所定の圧力を超えると、バッグ本体31はケース23のカバー28を図示しないテアラインにおいて押し破り、フロントウインドウ27に沿って、上方へと膨張展開されていく。これにより、本体パネル33のインフレータ24からのガスの供給方向に対向する部分及び側面パネル34の初期展開位置P1が展開される。
【0044】
ついで、バッグ本体31の展開領域に障害物等が存在せず、バッグ本体31の正常な展開が可能なときには、バッグ本体31は主として下方に向かって展開されるようになる。この後続展開段階では、本体パネル33が助手席26に対向するように展開されるとともに、側面パネル34の後続展開位置P2が展開される。そして、バッグ本体31が正常に展開された場合には、図4に示すように、タック部37の折りヒダ44内にガスが供給され、タック部37が外方に向かって膨出される。
【0045】
この状態では、初期展開段階において接合状態にある折りヒダ44のパネル布43が離間した状態となる。これにより、可変ベントホール36と通常ベントホール35との間の間隔が広げられる。このため、スライドクロス32の両脚部41が下方へと引っ張られ、この脚部41の下方への変位に伴って閉止部40の折り畳みが解除される。そして、可変ベントホール36がスライドクロス32の閉止部40により塞がれ、可変ベントホール36を介したバッグ本体31の内部から外部へのガスの放出が抑制された抑制状態としての閉止状態が実現される。
【0046】
このように可変ベントホール36がスライドクロス32の閉止部40により塞がれた状態では、バッグ本体31の内部のガスは、通常ベントホール35のみを介して外部に放出されることになる。これにより、バッグ本体31の内部が所定の圧力に確保され、バッグ本体31の膨張展開後においてエアバッグ22に加えられる衝撃が受け止められるとともに、通常ベントホール35を介したガスの放出によりその衝撃が吸収される。
【0047】
一方、図5(b)に示すように、バッグ本体31の展開領域に荷物等の障害物45が存在するような場合には、後続展開段階の初期においてバッグ本体31と障害物45とが干渉することになる。これにより、バッグ本体31のそれ以上の展開が阻害され、タック部37及びスライドクロス32の脚部41が下方に引っ張られることがなく、可変ベントホール36を介したガスの放出が許容された開口状態に維持される。そして、インフレータ24からバッグ本体31内に供給されるガスは、可変ベントホール36及び通常ベントホール35を介してバッグ本体31の外部へと放出され、バッグ本体31の内部の圧力がそれ以上に高められることが抑制される。このため、障害物45に過大な衝撃が加えられることが抑制される。
【0048】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(ア) このエアバッグ装置21では、バッグ本体31の展開状態に応じて開口状態が変更される可変ベントホール36と、その可変ベントホール36における開口状態を変更するスライドクロス32とを備えている。そのスライドクロス32は、バッグ本体31の膨張展開初期にはその可変ベントホール36を開口状態とし、バッグ本体31が正常に展開されると、その可変ベントホール36を閉止状態に移行させるものとなっている。
【0049】
このため、バッグ本体31の初期展開段階においては、可変ベントホール36を介してバッグ本体31の内部のガスを外部に放出する開口状態となっている。そして、バッグ本体31の膨張展開途中に障害物45が存在するような場合には、スライドクロス32がその可変ベントホール36を開口状態に保持させることで、バッグ本体31の内圧が過剰に高められることが抑制される。そして、その障害物45への衝撃を低減することができる。
【0050】
一方、バッグ本体31が正常展開した状態では、スライドクロス32により可変ベントホール36を介したガスの放出が抑制される。これにより、バッグ本体31が膨張展開した後にエアバッグ22に衝撃が加えられても、十分な内圧を確保して、その衝撃を受け止めることができる。
【0051】
(イ) このエアバッグ装置21では、バッグ本体31は、その膨張展開動作において、段階的に上方へと展開される初期展開段階と、その後、後方及び下方へと展開される後続展開段階とを有している。そして、可変ベントホール36は、初期展開段階では開口状態にあり、後続展開段階ではバッグ本体31の展開状態に応じて開口状態と閉止状態とが選択的に設定されるようになっている。
【0052】
このため、このエアバッグ装置21では、バッグ本体31の初期展開段階と、その後の後続展開段階とでは、そのバッグ本体31の展開方向が異なるものとなる。これにより、バッグ本体31は、まずフロントウインドウに27に沿うように上方に展開される。このため、バッグ本体31の展開を不安定にさせるような障害物45の存在が予測される方向に向かって、バッグ本体31を初期展開させる必要がない。従って、バッグ本体31の初期展開段階において、障害物45に作用する衝撃を低減することができる。
【0053】
次いで、バッグ本体31の後続展開段階においては、バッグ本体31の展開領域に障害物45等が存在するか否かによって、バッグ本体31の展開状態が異なってくる。ここで、後続展開段階において、バッグ本体31の膨張展開が継続されて正常展開されたときには、可変ベントホール36はスライドクロス32により外部へのガスの放出が抑制された閉止状態に設定される。
【0054】
一方、バッグ本体31の展開領域に障害物45等が存在すると、バッグ本体31が十分に展開されず、正常な展開状態に到達しない状態となる。このような場合には、可変ベントホール36は外部へのガスの放出が許容された開口状態に設定されたままとなり、インフレータ24から供給されるガスは可変ベントホールを介して外部へと放出される。
【0055】
これにより、バッグ本体31の展開領域内に障害物45等が存在するような場合に対応するために、エアバッグ装置21を手動で作動させないような装置を別途設ける必要がなく、エアバッグ装置21の製造コストの低減を図ることができる。また、手動によりエアバッグ装置21を作動可能あるいは作動不能に切り換える必要がなく便利である。
【0056】
(ウ) このエアバッグ装置21では、可変ベントホール36が初期展開段階で展開する初期展開位置P1に設けられ、その可変ベントホール36をスライドクロス32を初期展開位置P1と、後続展開段階で展開される後続展開位置P2とにわたって設けられている。このため、スライドクロス32による可変ベントホール36を介するガスの放出状態の調整に、後続展開段階におけるバッグ本体31の展開状態をより確実に反映させることができる。
【0057】
(エ) このエアバッグ装置21では、スライドクロス32が、バッグ本体31と接合するように設けられたシート部材からなっている。そして、スライドクロス32は、可変ベントホール36を介した外部へのガスの放出を許容する切欠部42と、可変ベントホール36を介した外部へのガスの放出を抑制する閉止部40とを有している。このため、バッグ本体31に対して簡単な構成のシート部材からなるスライドクロス32を取着することで、前記(イ)及び(ウ)に記載の効果を実現することができる。
【0058】
(オ) このエアバッグ装置21では、各側面パネル34に、バッグ本体31が初期展開段階ではパネル布43が接合され、後続展開段階においてバッグ本体31が正常展開されたときにはパネル布43が互いにガスの供給により離間されるタック部37が設けられている。そして、スライドクロス32は、その閉止部側端40aと脚部側端41aとが、可変ベントホール36とタック部37とをまたぐようにしてバッグ本体31に固定されている。
【0059】
このため、タック部37におけるパネル布43の離間により、初期展開段階で切欠部42が可変ベントホール36に対応した状態から、後続展開段階においてバッグ本体31が正常展開されたときには閉止部40が可変ベントホール36に対応した状態に切り換えられる。これにより、可変ベントホール36を開口状態から閉止状態へとより確実に切り換えることができる。
【0060】
(カ) このエアバッグ装置21では、そのスライドクロス32は、閉止部40が可変ベントホール36の開口状態では折り畳まれているとともに、閉止状態では、バッグ本体31の展開に伴って折り畳みが解除され可変ベントホール36を塞ぐように展開される構成となっている。このため、簡単な構成の閉止部40を有するスライドクロス32でもって可変ベントホール36を開口状態と閉止状態とに切り換えることができる。
【0061】
(キ) このエアバッグ装置21では、スライドクロス32は、閉止部側端40aがバッグ本体31における可変ベントホール36の展開方向の基端側の位置に固定され、脚部側端41aが脚部41を介してバッグ本体31における可変ベントホール36より展開方向の先端側の位置に固定されている。このため、バッグ本体31が正常展開されたときには、脚部41がまずそのバッグ本体31の展開に伴ってバッグ本体31の展開方向へと引っ張られる。そして、この脚部41の変位により、閉止部40がバッグ本体31の展開方向へと引っ張られ、その折り畳み状態が解除される。このように簡単な構成でありながら、バッグ本体31の展開状態を、脚部41を介して閉止部40へと確実に伝達させることができる。
【0062】
(ク) このエアバッグ装置21では、スライドクロス32においてバッグ本体31の外部へのガスの放出を許容するのは、スライドクロス32の一部に脚部41と対応するように設けられた切欠部42となっている。このため、スライドクロス32において、バッグ本体31の外部へのガスの放出を断続する閉止部40と切欠部42とを1枚のシート部材を用いて構成することができて、部品点数の増大を最小限に留めることができる。
【0063】
(ケ) このエアバッグ装置21では、スライドクロス32がバッグ本体31の内側に設けられている。このため、スライドクロス32を作動させる場合において、そのスライドクロス32が他の部材と干渉したりすることを避けることができて、可変ベントホール36を開口状態から閉止状態へと確実に移行させることができる。
【0064】
また、スライドクロス32の閉止部40が可変ベントホール36と対応するように配置された閉止状態においては、バッグ本体31内のガスの圧力により閉止部40が側面パネル34に押し付けられることになる。このため、この閉止状態において、可変ベントホール36を介した外部へのガスの放出がより確実に抑制され、閉止状態における内圧の保持をより確実に行うことができる。
【0065】
(コ) このエアバッグ装置21では、タック部37が1枚のパネル布43の折りヒダ44からなっている。このため、部品点数を増大させることなくタック部37を形成することができて、製造コスト増大を抑制することができる。
【0066】
(サ) このエアバッグ装置21では、可変ベントホール36に加えて、常に開口状態にある通常ベントホール35を備えている。このため、バッグ本体31の正常展開が完了して、可変ベントホール36が閉止状態となった後にも、通常ベントホール35を介してバッグ本体31の内部のガスが外部に放出されることになる。これにより、バッグ本体31の正常展開が完了した後において、バッグ本体31の内部を所定の内圧を保ちつつ、その後に加えられる衝撃を、通常ベントホール35を介したガスの放出により効果的に吸収することができる。
【0067】
(シ) このエアバッグ装置21では、バッグ本体31が、インストルメントパネル25に対して、そのバッグ本体31の初期の展開方向が上方に向かうように取着されるものとなっている。ここで、前述(ア)〜(サ)に記載の効果を備えるエアバッグ装置21は、初期に上方へと展開され、その後助手席26に対向するように展開する助手席用エアバッグに特に好適である。
【0068】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について、図6及び図7に基づいて前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0069】
図6及び図7に示すように、この第2実施形態のエアバッグ51においては、側面パネル34におけるタック部52の構成が、第1実施形態とは異なっている。すなわち、この側面パネル34は、その中央付近において、上部パネル布53と下部パネル布54とが縫合されて構成されている。上部パネル布53と下部パネル布54との縫合部は、側面パネル34の面から外方に突出するように形成され、初期状態において両パネル布53,54が互いに接合され、バッグ本体31が正常展開された状態ではガスが供給され両パネル布53,54が離間されるタック部52をなしている。
【0070】
従って、この第2実施形態によれば、前記第1実施形態における(ア)〜(コ)及び(サ)〜(シ)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0071】
(ス) このエアバッグ装置21では、タック部52が上部パネル布53と下部パネル布54を縫製して形成されている。このため、可変ベントホール36を有する側面パネル34に予めタック部52を形成しておくことができ、その側面パネル34を本体パネル33に縫製する際に、その縫製作業を行いやすいものとすることができる。
【0072】
(第3実施形態)
つぎに、本発明の第3実施形態について、図8及び図9に基づいて、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0073】
図8に示すように、この第3実施形態のエアバッグ61においては、可変ベントホール62と、その可変ベントホール62を開閉する機構が第1実施形態とは異なっている。また、側面パネル34には、タック部37が設けられていない。
【0074】
このエアバッグ61では、側面パネル34の初期展開位置P1における給気口68から供給されるインフレータ24からのガスの供給方向の側方において外方に突出するようにガス通路63をなす筒状部64が形成されている。この筒状部64の外周面には、一対の耳部65が形成されている。この各耳部65の先端には、流通状態変更手段及び変形手段としての一対の帯状をなす連結体66の一端が縫着固定されている。この連結体66の他端は、本体パネル33における後続展開位置P2に縫着固定されている。また、この連結体66は、一部がバッグ本体31に固定された案内手段としてのガイドカバー67に挿通されている。
【0075】
ここで、連結体66及びガイドカバー67は、バッグ本体31が展開されていない初期状態から初期展開段階にかけて、緩んだ状態となるように配置されている。これにより、初期状態から初期展開段階にかけて、可変ベントホール62を介してバッグ本体31の外部へのガスの放出が許容される許容状態としての開口状態が実現されるようになっている。
【0076】
一方、図9に示すように、連結体66は、バッグ本体31が正常展開された状態で、その長さが前記耳部65の長さを加えても、バッグ本体31の展開によって引っ張られて緊張状態となるように設定されている。これにより、バッグ本体31が後続展開段階において、正常展開された場合には、筒状部64が両耳部65において反対方向でかつ下方に引っ張られ、筒状部64のガス通路63が塞がれるように変形される。そして、バッグ本体31が正常展開された状態では、可変ベントホール62を介してバッグ本体31の外部へのガスの放出が抑制された抑制状態としての閉止状態が実現されるようになっている。
【0077】
これに対して、バッグ本体31の展開領域に障害物45等が存在するような場合には、後続展開段階の初期においてバッグ本体31と障害物45とが干渉することになる。これにより、バッグ本体31のそれ以上の展開が阻害され、連結体66が下方に引っ張られることがなく、可変ベントホール62の筒状部64はほとんど変形されず、開口状態に保たれる。そして、インフレータ24からバッグ本体31内に供給されるガスは、可変ベントホール62及び通常ベントホール35を介してバッグ本体31の外部へと放出され、バッグ本体31の内部の圧力がそれ以上に高められることが抑制される。
【0078】
従って、この第3実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(セ) このエアバッグ装置21では、可変ベントホール62が筒状部64を有し、バッグ本体31の展開状態に応じて、外部へのガス通路63における筒状部64を変形させる連結体66を有している。そして、その筒状部64を変形させることで、可変ベントホール62を外部にガスの放出が可能な開口状態からガスの放出が遮断された閉止状態に移行させるようになっている。
【0079】
このため、閉止状態では、バッグ本体31から突出するように形成された筒状部64を、バッグ本体31の展開状態に応じて変形させることで、可変ベントホール62を介したバッグ本体31の外部へのガスの放出をより確実に抑制することができる。
【0080】
(ソ) このエアバッグ装置21では、連結体66は、バッグ本体31が正常展開されたときに、そのバッグ本体31の展開に伴って引っ張られ、可変ベントホール62の筒状部64を塞ぐように変形させるものとなっている。このため、バッグ本体31の展開を利用して可変ベントホール62を開口状態から閉止状態に容易に移行させることができる。
【0081】
(タ) このエアバッグ装置21では、連結体66は、一端が筒状部64に固定されるとともに、他端が前記バッグ本体31における後続展開段階で展開される後続展開位置P2に固定されている。このため、バッグ本体31の展開状態を確実に筒状部64に伝達することができる。
【0082】
(チ) このエアバッグ装置21では、連結体66が、初期展開段階では緩んだ状態にあり、後続展開段階においてバッグ本体31が正常展開されたときには伸張されるようになっている。このため、簡単な構成でバッグ本体31の展開状態を筒状部64に伝達することができる。
【0083】
(ツ) このエアバッグ装置21では、連結体66が、筒状部64に対して対をなすように連結されるとともに、その筒状部64が閉止状態に移行されたときに各連結体66の固定部が直線をなすように配置されている。このため、バッグ本体31が正常展開された状態では、筒状部64が一対の連結体66により、反対方向に引っ張られるように変形することになる。このため、筒状部64が効率よくつぶされるように変形され、しかもそのつぶされた状態がしっかりと維持される。従って、閉止状態において、可変ベントホール62を介した外部へのガスの放出をさらに確実に抑制することができる。
【0084】
(テ) このエアバッグ装置21では、連結体66の伸張を案内するガイドカバー67が設けられている。このため、バッグ本体31が正常展開されたにも拘わらず、連結体66に引っ張り力が作用しないという事態が生じるのを抑制することができる。また、ガイドカバー67をバッグ本体31に固定することにより、バッグ本体31自体の展開力をさらに効率よく利用して、筒状部64を変形させることができる。
【0085】
(ト) このエアバッグ装置21では、筒状部64及び連結体66がバッグ本体31の外側に設けられている。このため、バッグ本体31が正常展開されたときに、バッグ本体31自体の外側への膨張展開を利用して連結体66に作用する引っ張り力をさらに増大させることができる。
【0086】
(第4実施形態)
つぎに、本発明の第4実施形態について、図10〜図15に基づいて、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0087】
図10に示すように、この第4実施形態のエアバッグ71においては、可変ベントホール72の構成が第1実施形態とは異なっており、第3実施形態と同様に側面パネル34にはタック部37が設けられていない。
【0088】
図10及び図14(a)に示すように、このエアバッグ71では、側面パネル34が1枚のパネル布43で構成されており、その初期展開位置P1にはバッグ本体31の初期展開方向に沿って延びるスリット73が形成されている。そして、側面パネル34の内側には、このスリット73に対応するように、可変ベントホール72及びその可変ベントホール72の開口状態を変更するための流通状態変更手段としてのガス弁機構74が縫着により取着されている。また、前記スリット73には、可変ベントホール72をなす筒状部75が挿通されている。
【0089】
前記ガス弁機構74は、平面略T字状をなすシート部材76で形成されており、そのガス弁機構74の一部に可変ベントホール72の筒状部75が形成されている。図12に及び図13に示すように、このガス弁機構74は、前記筒状部75を取り囲むように形成されガスの供給により膨張される流通路77と、バッグ本体31が正常展開された状態で前記流通路77にガスを供給するための供給路78とを有している。これらの流通路77及び供給路78は、前記パネル布43とシート部材76とにより構成されている。そして、供給路78は、流通路77から下方に向かって延設されており、後続展開位置P2においてバッグ本体31の内部に開口している。
【0090】
このエアバッグ71では、流通路77及び供給路78は、バッグ本体31が展開されていない初期状態から初期展開段階にかけては、その内部にガスが供給されず、対向するシート部材76同士あるいはシート部材76とパネル布43とが互いに密着した状態となっている。このとき、初期状態から初期展開段階にかけては、筒状部75は、完全につぶされた状態で接着剤、粘着テープ、弱い仮縫製等により、可変ベントホール72は閉止された状態に仮止めされている。
【0091】
ここで、バッグ本体31内にガスが供給され、バッグ本体31が正常展開されると、ガス弁機構74の開口部付近も展開された状態となり、図11〜図13に示すように、供給路78を介して流通路77内にガスが供給される。この流通路77へのガスの供給により、流通路77が筒状部75を塞ぐように膨張し、可変ベントホール72を介してバッグ本体31の外部へのガスの放出が抑制された抑制状態としての閉止状態が実現されるようになっている。
【0092】
これに対して、図15に示すように、バッグ本体31の展開領域に障害物45等が存在するような場合には、後続展開段階の初期においてバッグ本体31と障害物45とが干渉することになる。これにより、バッグ本体31のそれ以上の展開が阻害され、バッグ本体31の容積の拡大が困難な状態となる。この一方で、バッグ本体31の内部には、インフレータ24よりガスが連続的に供給されるため、バッグ本体31の内部の圧力が高められていくことになる。やがて、バッグ本体31の内部の圧力が所定の圧力を超えて高められると、図14(b)に示すように、可変ベントホール72における筒状部75の仮止めが解除されて、可変ベントホール72が開口される。これにより、可変ベントホール72の筒状部75を介してバッグ本体31の外部へのガスの放出が許容される許容状態としての開口状態が実現される。そして、インフレータ24からバッグ本体31内に供給されるガスは、可変ベントホール72及び通常ベントホール35を介してバッグ本体31の外部へと放出され、バッグ本体31の内部の圧力がそれ以上に高められることが抑制される。
【0093】
従って、この第4実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(ナ) このエアバッグ装置21では、バッグ本体31が正常展開前にそのバッグ本体31内の圧力が所定の圧力を超えて高められたときには、可変ベントホール72を介してバッグ本体31の外部にガスの放出が可能な開口状態となる。これに対して、バッグ本体31が正常展開されると、その可変ベントホール72を介する外部へのガスの放出が抑制された閉止状態となる。このため、例えばバッグ本体31の展開領域に障害物45等が存在するなどして、バッグ本体31の正常展開が阻害されバッグ本体31内の圧力が過大に高められたときには、可変ベントホール72が開口状態となり、外部へガスが放出される。これにより、インフレータ24からのガスの供給が継続されていても、バッグ本体31におけるそれ以上の内圧の上昇を抑制することができ、障害物45等に過大な衝撃が加えられることを回避することができる。
【0094】
一方、バッグ本体31が正常展開された場合には、可変ベントホール72は閉止状態となり、可変ベントホール72を介した外部へのガスの放出が抑制される。これにより、バッグ本体31の内圧を所定の圧力以上に保持することができて、バッグ本体31の膨張展開後に加えられる衝撃をより確実に受け止めることができる。
【0095】
(ニ) このエアバッグ装置21では、可変ベントホール72が、バッグ本体31の初期展開位置P1に設けられ、バッグ本体31の正常展開の完了する後期展開状態には、そのバッグ本体31内のガスの圧力を利用して可変ベントホール72を閉止状態に保持するようになっている。このため、バッグ本体31が正常展開された状態で、可変ベントホール72の閉止するための機構を変位させたりする必要がないため、ガス弁機構74の作動において他の部材との干渉の影響が少なく、可変ベントホール72を容易に閉止状態にて保持することができる。
【0096】
(ヌ) このエアバッグ装置21では、可変ベントホール72がバッグ本体31の内外を連通する筒状部75を備え、その筒状部75を取り囲むガスの流通路77と、バッグ本体31が正常展開された状態で、流通路77内にガスを供給する供給路78とを有している。このため、バッグ本体31が正常展開状態に到達する前に、31内が所定の圧力を超えて高められたときには、その高められた内圧により筒状部75が押し開かれ、ガスを外部へ放出することができる。これにより、バッグ本体31の内圧がそれ以上に高められることを抑制することができる。一方、バッグ本体31が所正常展開されると、供給路78を介して流通路77内にガスが供給され、流通路77が膨張する。この流通路77の膨張によって、筒状部75も閉じられ、可変ベントホール72を介した外部へのガスの放出を効果的に抑制することができる。
【0097】
(ネ) このエアバッグ装置21では、供給路78が、流通路77の一部が下方に延設されたものであり、側面パネル34における正常展開がほぼ完了したときに展開される展開位置に開口されている。このため、流通路77と供給路78とを単一の部材で構成することができて、ガス弁機構74の構成を簡素化することができる。
【0098】
また、バッグ本体31の正常展開がほぼ完了するまでは、供給路78の開口部がバッグ本体31の折り畳みにより閉止されている。このため、障害物45等の存在によりバッグ本体31の内圧の過大に上昇したときには、いつでも筒状部75が開口され、その内圧を下げることができる。
【0099】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・ 前記第1実施形態において、スライドクロス32を側面パネル34の外側に設けてもよい。この場合、タック部は、例えば次のように形成する。すなわち、予めタック部37,52を有しないエアバッグを用意し、その両側面パネル34から本体パネル33にわたって環状に、それらの一部を内側に折り込んで折りヒダ44を形成する。
【0100】
・ 前記第1及び第2実施形態において、スライドクロス32の移動を案内するガイドを設けてもよい。
・ 前記第1及び第2実施形態において、スライドクロス32を覆うカバーを設けてもよい。
【0101】
・ 前記第1及び第2実施形態において、スライドクロス32をバッグ本体31とは異なる材料で形成してもよい。
・ 前記第1及び第2実施形態において、スライドクロス32を閉止部40と、その閉止部40より織り目が粗く、ガスの透過性の高い透過部とで構成して、バッグ本体31内のガスを放出させるときには、可変ベントホール36とその透過部とを対向させるようにしてもよい。
【0102】
・ 前記第1及び第2実施形態において、スライドクロス32の脚部41の数は2本に限定されるものではなく、1本または3本以上でもよい。
・ 前記第3実施形態において、筒状部64及び連結体66を側面パネル34及び本体パネル33の内側に設けてもよい。この場合、ガイドカバー67も側面パネル34及び本体パネル33の内側に設けてもよい。
【0103】
・ 前記第3実施形態において、ガイドカバー67を省略してもよい。ただし、この場合、連結体66を、バッグ本体31が正常展開された状態で確実に引っ張り力が作用する長さに設定する必要がある。
【0104】
・ 前記第3実施形態において、側面パネル34にタック部37,52を設けてもよい。このように構成した場合、タック部37,52の離間を利用して、連結体66に作用する引っ張り力を増大させることができる。
【0105】
また、この場合、ガイドカバー67を、タック部37,52を避けるように設けることが望ましい。このように構成した場合、タック部37,52内にガスが供給され、そのタック部37,52が展開された状態において、そのタック部37,52と連結体66との干渉を避けることができる。従って、連結体66の動作をスムーズなものとすることができ、バッグ本体31の展開状態をより確実に筒状部64に伝達することができる。
【0106】
・ 前記第4実施形態では、側面パネル34にスリット73を形成したが、スリット73に代えて、円形、楕円形との穴を形成してもよい。
・ 前記各実施形態では、両側の側面パネル34に可変ベントホール36,62,72を設けたが、片方の側面パネル34のみに設けるようにしてもよい。また、通常ベントホール35についても、両側の側面パネル34に設けたが、片方の側面パネル34のみに設けるようにしてもよい。なお、可変ベントホール36,62,72及び通常ベントホール35が車両のサイドウインドウと干渉するような場合には、可変ベントホール36,62,72及び通常ベントホール35をサイドウインドウとは反対側の側面パネル34に設けるようにするとよい。
【0107】
・ 前記各実施形態では、本発明を、3ピースタイプのエアバッグ22,51,61,71に具体化したが、例えば2ピースタイプのエアバッグ、平面エアバッグに具体化してもよい。
【0108】
次に、前記各実施形態及び変形例から、さらに把握される技術的思想について、説明する。
(1) 前記基布は、前記初期展開段階では基布の少なくとも一部を構成するパネル布が互いに接合され、前記後続展開段階において前記バッグ本体が所定の展開状態に到達したときには、そのパネル布がガスの供給により離間されるタック部を有し、前記シート部材は、その抑制部側端と許容部側端とが前記可変ベントホールと前記タック部とをまたぐようにして前記基布に固定されていることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ。
【0109】
このように構成すれば、タック部におけるパネル布の離間により、初期展開段階の許容部が可変ベントホールに対応した状態から、後続展開段階において基布が所定の展開状態に到達したときには抑制部が可変ベントホールに対応した状態に切り換えられる。これにより、可変ベントホールを許容状態から抑制状態へとより確実に切り換えることができる。
【0110】
(2) 前記抑制部は、前記許容状態では折り畳まれているとともに、前記抑制状態では、前記バッグ本体の展開に伴って折り畳みが解除され可変ベントホールを塞ぐように展開されることを特徴とする請求項4または前記(1)に記載のエアバッグ。
【0111】
このように構成すれば、簡単な構成の抑制部でもって可変ベントホールを許容状態と抑制状態とに切り換えることができる。
(3) 前記流通状態変更手段を前記バッグ本体の内側に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0112】
このように構成すれば、流通状態変更手段を作動させる場合において、その流通状態変更手段が他の部材と干渉したりすることを避けることができて、可変ベントホールを許容状態から抑制状態へと確実に移行させることができる。また、流通状態変更手段がバッグ本体に接合するように設けられたシート部材で構成されるものである場合には、可変ベントホールと抑制部とが対応された抑制状態において、内圧によりシート部材がバッグ本体の基布に押し付けられることになる。このため、この抑制状態において、可変ベントホールを介したバッグ本体の内部から外部へのガスの放出がより確実に抑制される。このため、抑制状態における内圧の保持をより確実に行うことができる。
【0113】
(4) 前記変形手段は、前記バッグ本体が所定の展開状態に到達したときに、そのバッグ本体の展開に伴って引っ張られ、前記筒状部を塞ぐように変形させる連結体であることを特徴とする請求項7に記載のエアバッグ。
【0114】
このように構成すれば、バッグ本体の展開を利用して可変ベントホールを許容状態から抑制状態に移行させることができる。
(5) 前記連結体は、一端が前記筒状部に固定されるとともに、他端が前記バッグ本体における前記後続展開段階で展開される後続展開位置に固定したものであることを特徴とする請求項7または前記(4)に記載のエアバッグ。
【0115】
このように構成すれば、バッグ本体の展開状態を確実に筒状部に伝達することができる。
(6) 前記連結体は、前記初期展開段階では緩んだ状態にあり、前記後続展開段階において前記バッグ本体が所定の展開状態に到達したときには伸張されることを特徴とする請求項7と前記(4)と前記(5)とのうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0116】
この構成によれば簡単な構成でバッグ本体の展開状態を筒状部に伝達することができる。
(7) 前記連結体は、前記筒状部に対して対をなすように連結されるとともに、その筒状部が抑制状態に移行されたときに各連結体の固定部が直線をなすように配置されたことを特徴とする請求項7、前記(4)〜前記(6)のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0117】
この構成によれば、バッグ本体が所定の展開状態に到達した状態では、筒状部が一対の連結体により、反対方向に引っ張られるように変形することになる。このため、筒状部が効率よくつぶされるように変形され、しかもそのつぶされた状態がしっかりと維持される。従って、抑制状態において、可変ベントホールを介したバッグ本体の内部から外部へのガスの放出をさらに確実に抑制することができる。
【0118】
(8) 前記連結体の伸張を案内する案内手段を設けたことを特徴とする請求項7、前記(4)〜前記(7)のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
この構成によれば、バッグ本体が所定の展開状態に到達したにも拘わらず、連結体に引っ張り力が作用しないという事態が生じるのを抑制することができる。また、案内手段をバッグ本体に固定することにより、バッグ本体の展開力をさらに効率よく利用して、筒状部を変形させることができる。
【0119】
(9) 前記バッグ本体の前記可変ベントホールが設けられる基布には、前記初期展開段階では基布の一部を構成するパネル布が互いに接合され、前記後続展開段階では、前記バッグ本体が所定の展開状態に到達したときにそのパネル布がガスの供給により離間されるタック部を設けたことを特徴とする請求項7、前記(4)〜前記(8)のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0120】
この構成によれば、タック部の離間を利用して、連結体に作用する引っ張り力を増大させることができる。
(10) 前記案内手段を、前記タック部を避けるように設けたことを特徴とする前記(9)に記載のエアバッグ。
【0121】
この構成によれば、前記タック部内にガスが供給され、そのタック部が展開された状態において、そのタック部と連結体との干渉を避けることができて、連結体の動作をスムーズなものとすることができる。従って、バッグ本体の展開状態をより確実に筒状部に伝達することができる。
【0122】
(11) 前記筒状部及び前記連結体を前記バッグ本体の外側に設けたことを特徴とする請求項7、前記(4)〜前記(10)のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0123】
この構成によれば、バッグ本体が所定の展開状態に到達したときに、バッグ本体自体の外側への膨張展開を利用して連結体に作用する引っ張り力をさらに増大させることができる。
【0124】
(12) 前記タック部は、1枚のパネル布の折りヒダからなることを特徴とする前記(1)、前記(9)、前記(10)のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0125】
この構成によれば、部品点数を増大させることなくタック部を形成することができる。
(13) 前記タック部は、複数のパネル布を縫製して形成したことを特徴とする前記(1)、前記(9)、前記(10)のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0126】
この構成によれば、可変ベントホールを有するバッグ本体の基布に予めタック部を形成しておくことができ、その基布を他の基布に縫製する際に、その縫製作業を行いやすいものとすることができる。
【0127】
(14) 前記供給路は、前記流通路の一部を前記バッグ本体において前記所定の展開状態に到達したときに展開される展開位置に延設するとともにその展開位置で前記バッグ本体内に開口されたものであることを特徴とする請求項8〜請求項10のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
【0128】
この構成によれば、流通路と供給路とを単一の部材で構成することができて、流通状態変更手段の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のエアバッグ装置の正常展開状態を示す斜視図。
【図2】図1の側面パネルの本体パネルに対する取着状態を示す分解部分斜視図。
【図3】図1のスライドクロスの開口状態を拡大して示す斜視図。
【図4】図1のスライドクロスの閉止状態を拡大して示す斜視図。
【図5】(a)は図1のバッグ本体の展開状態を示す模式図、(b)は図1のバッグ本体が障害物と干渉した状態を示す模式図。
【図6】第2実施形態のエアバッグの側面パネルの本体パネルに対する取着状態を示す分解部分斜視図。
【図7】図6のスライドクロスの開口状態を拡大して示す斜視図。
【図8】第3実施形態のエアバッグの可変ベントホールの開口状態を示す斜視図。
【図9】図8の可変ベントホールの閉止状態を示す斜視図。
【図10】第4実施形態のエアバッグ装置の正常展開状態を示す斜視図。
【図11】図10のガス弁機構を拡大して示す斜視図。
【図12】図11の12−12線断面図。
【図13】図11の13−13線断面図。
【図14】(a)は、図10の可変ベントホールの初期状態を示す断面図、(b)は、図10の可変ベントホールの開口状態を示す断面図。
【図15】図10のバッグ本体が障害物と干渉した状態を示す模式図。
【符号の説明】
21…エアバッグ装置、22,51,61,71…エアバッグ、23…ケース、24…インフレータ、25…インストルメントパネル、28…カバー、31…バッグ本体、32…流通状態変更手段としてのスライドクロス、35…通常ベントホール、36,62,72…可変ベントホール、37,52…タック部、40…抑制部としての閉止部、40a…抑制部側端としての閉止部側端、41a…許容部側端としての脚部側端、41…脚部、42…許容部としての切欠部、43…パネル布、44…折りヒダ、53…上部パネル布、54…下部パネル布、63…ガス通路、64,75…筒状部、66…流通状態変更手段及び変形手段としての連結体、67…案内手段としてのガイドカバー、74…流通状態変更手段としてのガス弁機構、76…シート部材、77…流通路、78…供給路、P1…初期展開位置、P2…後続展開位置。
Claims (12)
- インフレータから袋状のバッグ本体内に供給されるガスにより膨張展開されるエアバッグであって、
前記バッグ本体の展開状態に応じて前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態が変化される可変ベントホールと、その可変ベントホールにおけるガスの流通状態を変更する流通状態変更手段とを備え、前記バッグ本体は、段階的に複数の方向に向かって展開されるものであり、前記流通状態変更手段は、前記バッグ本体の膨張展開初期における初期展開方向への初期展開段階では、その可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を許容する許容状態にあり、前記初期展開段階以降で前記初期展開方向とは異なる展開方向への後続展開段階では、前記バッグ本体の展開状態に応じて前記許容状態と、その可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を抑制する抑制状態とを選択的に設定することを特徴とするエアバッグ。 - 前記バッグ本体は、車両のインストルメントパネルの上部に取着され、前記バッグ本体は、初期展開段階では前記車両のウインドウシールドに沿う方向または上方に向かって展開され、前記後続展開段階では前記車両の後方から下方にかけての範囲内の一部または全体に向かって展開されるものであることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ。
- 前記可変ベントホールを前記初期展開段階で展開する初期展開位置に設け、前記流通状態変更手段を、前記初期展開段階において展開される初期展開位置と、前記後続展開段階で展開される後続展開位置とにわたって設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアバッグ。
- 前記流通状態変更手段は、前記バッグ本体の基布と接合するように設けられたシート部材からなり、前記可変ベントホールに対応するように配置されたときにその可変ベントホールを介した前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を許容する許容部と、前記可変ベントホールに対応するように配置されたときにその可変ベントホールを介した前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を抑制する抑制部とを有するものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
- 前記抑制部は、その一端が前記基布における可変ベントホールより展開方向の基端側の位置に固定され、その他端が脚部を介して前記基布における可変ベントホールより展開方向の先端側の位置に固定されることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ。
- 前記許容部は、前記シート部材の一部に、前記脚部と対応するように設けられた切欠部からなることを特徴とする請求項5に記載のエアバッグ。
- 前記可変ベントホールは突出するように形成されガス通路をなす筒状部を有し、前記流通状態変更手段は、前記バッグ本体の展開状態に応じて、前記ガス通路における筒状部を変形させる変形手段を有し、その筒状部を変形させることで前記許容状態から前記抑制状態に移行させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
- インフレータから袋状のバッグ本体内に供給されるガスにより膨張展開されるエアバッグであって、
前記バッグ本体の展開状態に応じて前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態が変化される可変ベントホールと、その可変ベントホールにおけるガスの流通状態を変更する流通状態変更手段とを備え、その流通状態変更手段は、前記バッグ本体が所定の展開状態に到達する前に前記バッグ本体内が所定の圧力を超えて高められたときにはその可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通状態を許容する許容状態になり、前記バッグ本体が所定の展開状態に到達すると、その可変ベントホールを介する前記バッグ本体の内外におけるガスの流通を抑制する抑制状態となるものであることを特徴とするエアバッグ。 - 前記バッグ本体は、段階的に複数の方向に向かって展開されるものであり、前記可変ベントホールは、前記バッグ本体の膨張展開初期における初期展開方向への初期展開段階で展開される初期展開位置に設けられ、前記流通状態変更手段は、前記初期段階以降で前記初期展開方向とは異なる展開方向への後続展開段階であって、前記バッグ本体の所定状態での展開が完了する後期展開状態には、前記バッグ本体内のガスの圧力を利用して前記可変ベントホールを前記抑制状態に移行させることを特徴とする請求項8に記載のエアバッグ。
- 前記可変ベントホールは、バッグ本体の内部と外部とを連通するガス通路をなす筒状部を備え、前記流通状態変更手段は、その筒状部を取り囲むガスの流通路と、前記バッグ本体が前記所定の展開状態に到達した状態で前記流通路内にガスを供給する供給路とを有することを特徴とする請求項1、請求項8、請求項9のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
- 前記可変ベントホールに加えて、常にバッグ本体の内部のガスを外部に放出する状態にある通常ベントホールを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載のエアバッグ。
- インフレータとエアバッグのバッグ本体とを備え、ケースに収容されるとともにカバーで覆われた状態で車両に装着され、その車両に所定以上の衝撃が加えられたときにインフレータから供給されるガスにより前記バッグ本体を膨張展開させるエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載のエアバッグからなることを特徴とするエアバッグ装置。
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