JP2005014554A - Alcパネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネル及びその製造方法に係り、従来の製法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを提供すること、またそのようなALCパネルを容易・安価に製造することのできる製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるALCパネル及びその製造方法は、ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生して製造されるALCパネルPまたはその製造方法であって、上記パネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによって、パネル本体1の表面に意匠層2を一体に設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明によるALCパネル及びその製造方法は、ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生して製造されるALCパネルPまたはその製造方法であって、上記パネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによって、パネル本体1の表面に意匠層2を一体に設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れており、特に建築物の外壁材、間仕切材として広く使用されている。しかしながら、ALCパネルは、一般にALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのちオートクレーブ等で蒸気養生して得るものであるから、得られるパネル表面は平滑で、意匠性に乏しいという問題がある。そのため、近年意匠性に優れるALCパネルの要求が高まっており、従来よりパネル表面に模様を付けるさまざまな方法が提案されている。
【0003】
すなわち、ALCパネル表面に模様を付ける従来の方法としては、例えば以下のようなものがある。
(1)下記特許文献1に記載のように、型枠内に軽量気泡モルタルを打設し、該モルタルの上面に模様付きゴム型またはシートを被せ、この上面をローラで転圧し模様を形成する方法。
(2)下記特許文献2に記載のように、模様付きの型枠内に軽量気泡モルタルを流し込んで模様を転写する方法。
(3)下記特許文献3に記載のように、半硬化状の気泡性モルタルブロックをパネル状に切断した後、凹凸模様を有する型をパネル面に押し当てて模様を形成する方法。
(4)下記特許文献4に記載のように、オートクレーブ養生済みのALCパネルの表面を、回転する刃物で切削して凹凸模様を付ける方法。
(5)下記特許文献5に記載のように、エンペラーユニットを使用して小鋼球のような投射材をパネル表面に衝突させて凹凸のある粗面を形成する方法。
(6)下記特許文献6に記載のように、ALCパネルの表面に加工された溝部の片側または両側を剥離用工具で欠落剥離させて剥離帯を形成する方法。
(7)下記特許文献7に記載のように、ALCパネルの表面をニードル等で打撃して多数の窪みを形成する方法。
【0004】
ところが、上記(1)の方法は、色々な模様を形成するために、その模様に合わせた型が必要であり、模様ごとに型を作成するのは不経済である。また(2)の方法は上記と同様の理由とともに原料が型枠に付着し、その清掃に手間が掛かる。(3)の方法も(1)と(2)と同様の不具合がある。さらに上記(4)の方法はALCパネルの加工において通常用いられる方法であるが、得られる意匠が機械的に画一的なものに限定される。(5)の方法は、使用する小鋼球等の投射材の回収、およびALCパネルの気泡内に残った小鋼球の除去作業が面倒である等の問題がある。また(6)の方法は、予めパネル表面に溝加工を施す必要があり、しかもその溝部に剥離用工具を挿入して該溝部の片側もしくは両側を欠落剥離させるものであるから、溝部に対する剥離用工具の位置合わせが面倒であると共に、溝部周辺に加工が限定され、広い面積の加工が難しい。さらに(7)のようにニードル等で打撃するものは、1回の打撃で加工される面積が狭く、ニードル等の本数を増やしても加工効率を上げることが難しい等の問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−27368号公報
【特許文献2】
特開平8−174525号公報
【特許文献3】
特公平5−34121号公報
【特許文献4】
特開昭58−160106号公報
【特許文献5】
特開昭63−25284号公報
【特許文献6】
特開平11−148198号公報
【特許文献7】
特開2000−272983号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、上記従来例のような製法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを提供すること、またそのようなALCパネルを容易・安価に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALCパネル及びその製造方法は、以下の構成としたものである。即ち、本発明によるALCパネルは、ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生して製造されるALCパネルであって、上記パネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによって形成された意匠層がパネル本体の表面に一体に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また本発明によるALCパネルの製造方法は、ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生してALCパネルを製造するに当たり、上記パネル状に切断した養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによってパネル本体の表面に意匠層を形成することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるALCパネル及びその製造方法を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0010】
図1は本発明によるALCパネルPの一実施形態を示す断面図であり、図において、1はパネル本体、2は意匠層である。そのパネル本体1は、ALC原料スラリーを図に省略した型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤ(不図示)でパネル状に切断してオートクレーブ等で蒸気養生したものであり、また意匠層2は上記のパネル状に切断した半硬化体の表面にALC原料スラリーを付着させて上記半硬化体とともに蒸気養生することによって上記パネル本体1の表面に一体に形成したものである。特に、上記の蒸気養生によって、パネル本体1となるパネル状の半硬化体と、その表面に付着させた意匠層2となるALC原料スラリーとの界面においても水和反応が発生し、それによってパネル本体1と意匠層2とが強固に一体化されている。
【0011】
上記のパネル状に切断した半硬化体の表面に付着させるALC原料スラリーとしては、上記パネル本体1を型成形する際に用いるALC原料スラリーと同材質のものでもよく、あるいはその少なくともその一部に、ALCパネル製造時に発生したALC屑を用いるようにしてもよい。そのALC屑としては、例えば前記の半硬化体をワイヤでパネル状に切断した際に切り落とした端部の切れ端部分や成形不良となったパネル、あるいはパネル表面に溝加工等の切削加工を施した際に生じる切り粉等を用いることができる。
【0012】
上記意匠層2の表面には、必要に応じて所望の凹凸模様2aを形成してもよく、特に図示例のようにパネル表面全面に高さ及び深さがランダムに異なる凹凸模様2aを形成すると、自然石調の表面テクスチャが得られる。なお上記凹凸模様2aの高さ及び深さがパネルの長手方向または幅方向もしくは両方に所定の周期で変化するように形成してもよく、その他適宜である。また上記意匠層2はパネル本体1の表面の一部にのみ設けることもできる。以上のような意匠層2をパネル本体1の表面に形成することによって、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを提供することが可能となる。
【0013】
次に、上記のようなALCパネルを製造するには、例えば以下の要領で製造すればよい。すなわち、先ず多数のパネル本体1を製造するためのALC原料スラリーを図に省略した型枠内に投入し、その原料スラリーが半硬化状態に固まったところで脱型して取り出し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤ(不図示)でパネル状に切断する。
【0014】
次いで、上記のようにパネル状に切断した半硬化体の表面に、前記の意匠層2を形成するためのALC原料スラリーを付着させるもので、そのALC原料スラリーとしては前述のようにパネル本体1を型成形する際に用いるALC原料スラリーと同材質のものでもよく、あるいはその少なくともその一部に、ALCパネル製造時に発生したALC屑を用いるようにしてもよい。そのようなALC屑を用いると、ALCを有効利用することができる。
【0015】
また上記のALC原料スラリーを半硬化体の表面に付着させる手段や方法等は適宜であるが、例えば上記の原料スラリーをコテ等で半硬化体の表面に塗り付ける、或いは上記の原料スラリーを漏斗状の容器等に投入して該容器の下部に設けた開口部から半硬化体の表面に上記原料スラリーを滴下させて付着させることもできる。この場合、上記のコテ等で原料スラリーを塗り付ける場合の原料スラリーの水分量は比較的少なくてよく、例えばパネル本体1を型成形する際に用いるALC原料スラリーと同程度(水分量約70重量%程度)でよいが、原料スラリーを滴下させて付着させる場合には、それよりも水分量をやや多め(例えば水分量約75重量%程度)にするのが望ましい。
【0016】
また意匠層2を形成するためのALC原料スラリーとしてALC屑のみを用いる場合であって、コテ等で塗り付ける場合には、ALC屑1重量部に対して水を0.02〜0.07重量部程度、また滴下させて付着させる場合には、ALC屑1重量部に対して水を0.05〜0.1重量部程度まぜてそれぞれ混練すればよい。さらに新規なALC原料とALC屑とを混ぜて使用する場合には、上記の水分量を勘案して適宜設定すればよい。
【0017】
上記のようにして半硬化体の表面にALC原料スラリーを付着させた状態でオートクレーブ等により蒸気養生することによって、上記半硬化体によって形成されるパネル本体1の表面に、上記ALC原料スラリーによって形成される意匠層2を有するALCパネルPを容易に製造することができるもので、その際、上記意匠層2はパネル本体1の表面に、前述のような水和反応によって強固に一体化されるので不用意に剥離するようなことがないものである。
【0018】
また上記半硬化体の表面に原料スラリーを塗り付け、もしくは滴下させて付着させる際に、その付着量を適宜変化させれば上記意匠層2の表面に容易に凹凸模様2aを形成することができる。さらに上記意匠層2はパネル本体1の表面全面もしくは一部にのみ設けることも可能であり、所望の表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができるものである。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕
前記のようにピアノ線等のワイヤでパネル状に切断した未養生の半硬化体の表面全面に、上記ワイヤで切断した際に切除したALC屑1重量部に対して水をほぼ同量加えて混練してなる原料スラリーをコテ状のもので塗り付けることによって平均厚さが約5mm程度になるように凹凸を持たせて付着させた。そして、それらをオートクレーブによって蒸気養生してALCパネルを製造したところ、表面に凹凸模様2aを有する意匠層2がパネル本体1の表面に強固に一体化され、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができた。
【0020】
〔実施例2〕
前記のようにピアノ線等のワイヤでパネル状に切断した未養生の半硬化体の表面全面に、上記ワイヤで切断した際に切除したALC屑1重量部に対して水を0.1重量部加えて混練してなる原料スラリーを、漏斗状の容器から滴下させて平均厚さが約3mm程度になるように凹凸を持たせて付着させた。そして、それらをオートクレーブによって蒸気養生してALCパネルを製造したところ、表面に凹凸模様2aを有する意匠層2がパネル本体1の表面に強固に一体化され、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができた。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によるALCパネル及びその製造方法は、上記のようにパネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによってパネル本体の表面に意匠層2を一体に形成したから、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルが得られると共に、そのようなALCパネルを容易・安価に製造することができるもので、ALCパネルの表面意匠の設計の自由度や選択の自由度を大幅に増大させることができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるALCパネルの一実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
P ALCパネル
1 パネル本体
2 意匠層
2a 凹凸模様
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れており、特に建築物の外壁材、間仕切材として広く使用されている。しかしながら、ALCパネルは、一般にALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのちオートクレーブ等で蒸気養生して得るものであるから、得られるパネル表面は平滑で、意匠性に乏しいという問題がある。そのため、近年意匠性に優れるALCパネルの要求が高まっており、従来よりパネル表面に模様を付けるさまざまな方法が提案されている。
【0003】
すなわち、ALCパネル表面に模様を付ける従来の方法としては、例えば以下のようなものがある。
(1)下記特許文献1に記載のように、型枠内に軽量気泡モルタルを打設し、該モルタルの上面に模様付きゴム型またはシートを被せ、この上面をローラで転圧し模様を形成する方法。
(2)下記特許文献2に記載のように、模様付きの型枠内に軽量気泡モルタルを流し込んで模様を転写する方法。
(3)下記特許文献3に記載のように、半硬化状の気泡性モルタルブロックをパネル状に切断した後、凹凸模様を有する型をパネル面に押し当てて模様を形成する方法。
(4)下記特許文献4に記載のように、オートクレーブ養生済みのALCパネルの表面を、回転する刃物で切削して凹凸模様を付ける方法。
(5)下記特許文献5に記載のように、エンペラーユニットを使用して小鋼球のような投射材をパネル表面に衝突させて凹凸のある粗面を形成する方法。
(6)下記特許文献6に記載のように、ALCパネルの表面に加工された溝部の片側または両側を剥離用工具で欠落剥離させて剥離帯を形成する方法。
(7)下記特許文献7に記載のように、ALCパネルの表面をニードル等で打撃して多数の窪みを形成する方法。
【0004】
ところが、上記(1)の方法は、色々な模様を形成するために、その模様に合わせた型が必要であり、模様ごとに型を作成するのは不経済である。また(2)の方法は上記と同様の理由とともに原料が型枠に付着し、その清掃に手間が掛かる。(3)の方法も(1)と(2)と同様の不具合がある。さらに上記(4)の方法はALCパネルの加工において通常用いられる方法であるが、得られる意匠が機械的に画一的なものに限定される。(5)の方法は、使用する小鋼球等の投射材の回収、およびALCパネルの気泡内に残った小鋼球の除去作業が面倒である等の問題がある。また(6)の方法は、予めパネル表面に溝加工を施す必要があり、しかもその溝部に剥離用工具を挿入して該溝部の片側もしくは両側を欠落剥離させるものであるから、溝部に対する剥離用工具の位置合わせが面倒であると共に、溝部周辺に加工が限定され、広い面積の加工が難しい。さらに(7)のようにニードル等で打撃するものは、1回の打撃で加工される面積が狭く、ニードル等の本数を増やしても加工効率を上げることが難しい等の問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−27368号公報
【特許文献2】
特開平8−174525号公報
【特許文献3】
特公平5−34121号公報
【特許文献4】
特開昭58−160106号公報
【特許文献5】
特開昭63−25284号公報
【特許文献6】
特開平11−148198号公報
【特許文献7】
特開2000−272983号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、上記従来例のような製法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを提供すること、またそのようなALCパネルを容易・安価に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALCパネル及びその製造方法は、以下の構成としたものである。即ち、本発明によるALCパネルは、ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生して製造されるALCパネルであって、上記パネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによって形成された意匠層がパネル本体の表面に一体に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また本発明によるALCパネルの製造方法は、ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生してALCパネルを製造するに当たり、上記パネル状に切断した養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによってパネル本体の表面に意匠層を形成することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるALCパネル及びその製造方法を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0010】
図1は本発明によるALCパネルPの一実施形態を示す断面図であり、図において、1はパネル本体、2は意匠層である。そのパネル本体1は、ALC原料スラリーを図に省略した型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤ(不図示)でパネル状に切断してオートクレーブ等で蒸気養生したものであり、また意匠層2は上記のパネル状に切断した半硬化体の表面にALC原料スラリーを付着させて上記半硬化体とともに蒸気養生することによって上記パネル本体1の表面に一体に形成したものである。特に、上記の蒸気養生によって、パネル本体1となるパネル状の半硬化体と、その表面に付着させた意匠層2となるALC原料スラリーとの界面においても水和反応が発生し、それによってパネル本体1と意匠層2とが強固に一体化されている。
【0011】
上記のパネル状に切断した半硬化体の表面に付着させるALC原料スラリーとしては、上記パネル本体1を型成形する際に用いるALC原料スラリーと同材質のものでもよく、あるいはその少なくともその一部に、ALCパネル製造時に発生したALC屑を用いるようにしてもよい。そのALC屑としては、例えば前記の半硬化体をワイヤでパネル状に切断した際に切り落とした端部の切れ端部分や成形不良となったパネル、あるいはパネル表面に溝加工等の切削加工を施した際に生じる切り粉等を用いることができる。
【0012】
上記意匠層2の表面には、必要に応じて所望の凹凸模様2aを形成してもよく、特に図示例のようにパネル表面全面に高さ及び深さがランダムに異なる凹凸模様2aを形成すると、自然石調の表面テクスチャが得られる。なお上記凹凸模様2aの高さ及び深さがパネルの長手方向または幅方向もしくは両方に所定の周期で変化するように形成してもよく、その他適宜である。また上記意匠層2はパネル本体1の表面の一部にのみ設けることもできる。以上のような意匠層2をパネル本体1の表面に形成することによって、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを提供することが可能となる。
【0013】
次に、上記のようなALCパネルを製造するには、例えば以下の要領で製造すればよい。すなわち、先ず多数のパネル本体1を製造するためのALC原料スラリーを図に省略した型枠内に投入し、その原料スラリーが半硬化状態に固まったところで脱型して取り出し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤ(不図示)でパネル状に切断する。
【0014】
次いで、上記のようにパネル状に切断した半硬化体の表面に、前記の意匠層2を形成するためのALC原料スラリーを付着させるもので、そのALC原料スラリーとしては前述のようにパネル本体1を型成形する際に用いるALC原料スラリーと同材質のものでもよく、あるいはその少なくともその一部に、ALCパネル製造時に発生したALC屑を用いるようにしてもよい。そのようなALC屑を用いると、ALCを有効利用することができる。
【0015】
また上記のALC原料スラリーを半硬化体の表面に付着させる手段や方法等は適宜であるが、例えば上記の原料スラリーをコテ等で半硬化体の表面に塗り付ける、或いは上記の原料スラリーを漏斗状の容器等に投入して該容器の下部に設けた開口部から半硬化体の表面に上記原料スラリーを滴下させて付着させることもできる。この場合、上記のコテ等で原料スラリーを塗り付ける場合の原料スラリーの水分量は比較的少なくてよく、例えばパネル本体1を型成形する際に用いるALC原料スラリーと同程度(水分量約70重量%程度)でよいが、原料スラリーを滴下させて付着させる場合には、それよりも水分量をやや多め(例えば水分量約75重量%程度)にするのが望ましい。
【0016】
また意匠層2を形成するためのALC原料スラリーとしてALC屑のみを用いる場合であって、コテ等で塗り付ける場合には、ALC屑1重量部に対して水を0.02〜0.07重量部程度、また滴下させて付着させる場合には、ALC屑1重量部に対して水を0.05〜0.1重量部程度まぜてそれぞれ混練すればよい。さらに新規なALC原料とALC屑とを混ぜて使用する場合には、上記の水分量を勘案して適宜設定すればよい。
【0017】
上記のようにして半硬化体の表面にALC原料スラリーを付着させた状態でオートクレーブ等により蒸気養生することによって、上記半硬化体によって形成されるパネル本体1の表面に、上記ALC原料スラリーによって形成される意匠層2を有するALCパネルPを容易に製造することができるもので、その際、上記意匠層2はパネル本体1の表面に、前述のような水和反応によって強固に一体化されるので不用意に剥離するようなことがないものである。
【0018】
また上記半硬化体の表面に原料スラリーを塗り付け、もしくは滴下させて付着させる際に、その付着量を適宜変化させれば上記意匠層2の表面に容易に凹凸模様2aを形成することができる。さらに上記意匠層2はパネル本体1の表面全面もしくは一部にのみ設けることも可能であり、所望の表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができるものである。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕
前記のようにピアノ線等のワイヤでパネル状に切断した未養生の半硬化体の表面全面に、上記ワイヤで切断した際に切除したALC屑1重量部に対して水をほぼ同量加えて混練してなる原料スラリーをコテ状のもので塗り付けることによって平均厚さが約5mm程度になるように凹凸を持たせて付着させた。そして、それらをオートクレーブによって蒸気養生してALCパネルを製造したところ、表面に凹凸模様2aを有する意匠層2がパネル本体1の表面に強固に一体化され、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができた。
【0020】
〔実施例2〕
前記のようにピアノ線等のワイヤでパネル状に切断した未養生の半硬化体の表面全面に、上記ワイヤで切断した際に切除したALC屑1重量部に対して水を0.1重量部加えて混練してなる原料スラリーを、漏斗状の容器から滴下させて平均厚さが約3mm程度になるように凹凸を持たせて付着させた。そして、それらをオートクレーブによって蒸気養生してALCパネルを製造したところ、表面に凹凸模様2aを有する意匠層2がパネル本体1の表面に強固に一体化され、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができた。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によるALCパネル及びその製造方法は、上記のようにパネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによってパネル本体の表面に意匠層2を一体に形成したから、前記従来の方法では得ることのできない新規な表面テクスチャを有するALCパネルが得られると共に、そのようなALCパネルを容易・安価に製造することができるもので、ALCパネルの表面意匠の設計の自由度や選択の自由度を大幅に増大させることができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるALCパネルの一実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
P ALCパネル
1 パネル本体
2 意匠層
2a 凹凸模様
Claims (4)
- ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生して製造されるALCパネルであって、上記パネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによって形成された意匠層がパネル本体の表面に一体に設けられていることを特徴とするALCパネル。
- 前記意匠層の表面には、高さ及び深さの異なる多数の凹凸模様が形成されている請求項1記載のALCパネル。
- ALC原料スラリーを型枠内で半硬化状態に成形したのち脱型し、その半硬化体をピアノ線等のワイヤでパネル状に切断したのち蒸気養生してALCパネルを製造するに当たり、上記パネル状に切断した養生前の半硬化体の表面に、ALC原料スラリーを付着させたのち上記半硬化体とともに蒸気養生することによってパネル本体の表面に意匠層を形成することを特徴とするALCパネルの製造方法。
- 前記のパネル状に切断した蒸気養生前の半硬化体の表面に付着させるALC原料スラリーの少なくとも一部に、ALCパネル製造時に発生したALC屑を用いるようにした請求項1記載のALCパネル。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003186219A JP2005014554A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | Alcパネル及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003186219A JP2005014554A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | Alcパネル及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005014554A true JP2005014554A (ja) | 2005-01-20 |
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JP2003186219A Withdrawn JP2005014554A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | Alcパネル及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005014554A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101786293A (zh) * | 2010-03-24 | 2010-07-28 | 武汉科技学院 | 一种混凝土浇注用模板布及其制造方法 |
KR200457447Y1 (ko) | 2010-02-19 | 2011-12-30 | 주식회사 이정아이에스 | 에이엘씨를 이용한 열반사 단열패널 |
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2003
- 2003-06-30 JP JP2003186219A patent/JP2005014554A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR200457447Y1 (ko) | 2010-02-19 | 2011-12-30 | 주식회사 이정아이에스 | 에이엘씨를 이용한 열반사 단열패널 |
CN101786293A (zh) * | 2010-03-24 | 2010-07-28 | 武汉科技学院 | 一种混凝土浇注用模板布及其制造方法 |
CN101786293B (zh) * | 2010-03-24 | 2011-12-28 | 武汉科技学院 | 一种混凝土浇注用模板布及其制造方法 |
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