JP2005013588A - 手術用顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、構成簡易にして、小形・軽量化の促進を図り得るようにして、取扱い操作性の向上を図ることにある。
【解決手段】ベース部10に第1の垂直回転軸を中心に回転自在に支持された水平アーム11に対して傾斜アーム支持部12を第2の垂直回転軸を中心に回転自在に配し、この傾斜アーム支持部12に対して一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部10を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、上記2軸を中心とした回転モーメントが顕微鏡部17を含む自重により釣り合っている傾斜アーム13を配して、顕微鏡部10を含む傾斜アーム13に付与される水平回転軸を中心とした回転モーメントを、弾性部材20の付勢力で相殺するように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】ベース部10に第1の垂直回転軸を中心に回転自在に支持された水平アーム11に対して傾斜アーム支持部12を第2の垂直回転軸を中心に回転自在に配し、この傾斜アーム支持部12に対して一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部10を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、上記2軸を中心とした回転モーメントが顕微鏡部17を含む自重により釣り合っている傾斜アーム13を配して、顕微鏡部10を含む傾斜アーム13に付与される水平回転軸を中心とした回転モーメントを、弾性部材20の付勢力で相殺するように構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば脳神経外科、耳鼻咽喉科、整形・形成外科、産婦人科、眼科等における微小部位の手術に使用される手術用顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、手術用顕微鏡は、その顕微鏡部が、例えばパンタグラフ機構で構成されるアームを介して上下方向に移動自在に配され、そのパンタグラフアームに対してその質量による回転モーメントを相殺する平衡手段としてスプリング等の弾性部材が設けられる(例えば、特許文献1参照。)。これにより、顕微鏡部は、パンタグラフアームを介して上下方向に回動付勢されると、その回動に伴い発生する回転モーメントが、弾性部材の付勢力により相殺されて安定した移動調整が可能となる。
【0003】
例えば図8に示すように弾性部材1は、付勢力Fを付与するように一端がパンタグラフアーム2に係着されて配される。この弾性部材1の付勢力Fは、分力FH、FVに分けられ、顕微鏡部の質量をGとすると、質量Gによる回転モーメントを相殺する力が分力FVとなる。
【0004】
また、手術用顕微鏡としては、顕微鏡部を、2軸の傾斜運動を可能にリンク構成した傾斜アームを用いて形成し、顕微鏡周りの構成をシンプル化して小型化を図ったものも出現されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−86806号公報
【0006】
【特許文献2】
特公昭63−36481号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の手術用顕微鏡では、弾性部材の付勢力Fに対する分力FVが非常に小さいために、比較的質量の重い顕微鏡部のバランスを取るのに大きな付勢力を有する弾性部材を備える必要がある。これによると、回転モーメントには作用しない分力FHが非常に大きくなり、分力FHによるパンタグラフ機構の各支点の摩擦抵抗により、顕微鏡部を上下に動かす際の操作力が著しくが大きくなり、取扱い操作性が低下されるとう問題を有する。
【0008】
係る問題は、特に、マイクロサージェリーでは、顕微鏡位置変更に対する微細な動きが求められており、アームの操作力が大きくなることは手術の効率を低下させる要因となる。
【0009】
また、顕微鏡部の移動として、上下方向及び水平方向の移動の他に顕微鏡部を傾斜させることが必要となるために、上記パンタグラフアームの先端に顕微鏡部を傾斜させる傾斜機構を備える必要があることで、顕微鏡部周りが更に大型化されるという不都合を有する。
【0010】
また、特許文献2の手術用顕微鏡では、顕微鏡部の上下方向、水平方向の移動の際の回転モーメントを相殺する平衡手段として、カウンターウェイトを傾斜アームに直接的に組付け配置しているために、装置全体が大型化及び重量化が促進されるという問題を有する。
【0011】
このような手術用顕微鏡の大型化は、手術室では手術用顕微鏡の他、様々な手術機器が配されるために、手術室のレイアウト上好ましくないうえ、装置全体を別の手術室に移動させたりするのが困難となり、その運搬を含む取扱いが面倒であるという不都合を有する。
【0012】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、構成簡易にして、小形・軽量化の促進を図り得るようにして、取扱い操作性の向上を図った手術用顕微鏡を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ベース部と、前記ベース部に第1の垂直回転軸を中心に回転可能に支持された水平アームと、前記水平アームに第2の垂直回転軸を中心に回転可能に支持される傾斜アーム支持部と、前記傾斜アーム支持部に一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、前記2軸を中心とした回転モーメントが前記顕微鏡部を含む自重により釣り合っている傾斜アームと、前記傾斜アームに付与される前記水平回転軸を中心とした回転モーメントを相殺する平衡手段とを備えて手術用顕微鏡を構成した。
【0014】
上記構成において、顕微鏡部は、傾斜アームが、傾斜アーム支持部に対して互いに直交する2軸を中心に傾斜されて傾斜運動され、その際の回転モーメントが平衡手段により相殺される。そして、顕微鏡部は、ベース部に対して水平アームが第1の垂直回転軸を中心に回転され、水平アームに対して傾斜アーム支持部が第2の垂直回転軸周りに回転されると、傾斜アームを介して水平運動される。これにより、傾斜アームを用いた傾斜運動が実現されて、小形・軽量化の促進が図れ、しかも、平衡手段の付勢力の高効率な利用が実現されて操作力の軽減が図れ、その取扱い操作性の向上が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡の構成を示すもので、ベース部10は、例えば床面に対して移動可能なキャスター101を備えたベース102及び支柱103で構成される。そして、このベース部10の支柱103には、水平アーム11の一端部が第1の垂直回転軸である回転軸O1を中心に回転自在に支持され、この水平アーム11の他端部には、傾斜アーム支持部12の一端部が、第1の垂直回転軸に対して略平行に配される第2の垂直回転軸である回転軸O2を中心に回転自在に支持される。
【0017】
傾斜アーム支持部12の他端部には、後述するように傾斜アーム13を構成するベースブロック14が水平回転軸である回転軸O3を中心に回動自在に支持され、このベースブロック14には、接続ブロック15が回転軸O4を中心に回転自在に支持される。そして、この接続ブロック15には、平行四辺形リンク機構16がリンク結合される。
【0018】
この平行四辺形リンク機構16は、アーム16a〜16e及び接続ブロック8を紙面に垂直な回転軸O5〜O11を中心にそれぞれ回転自在にリンク結合して形成される。
【0019】
即ち、傾斜アーム13は、上記接続ブロック15と平行四辺形リンク機構16を、互いに直交する2軸の回転軸O4、O12を中心に傾斜可能な傾斜機構として構成される。そして、アーム16eの先端部(下方突出端部)には、顕微鏡部17が顕微鏡支持アーム18を介して、その観察光軸が紙面に平行な面内で回転軸O10と回転軸O11を結ぶ線分を通る回転軸O13と一致された状態で、回転軸O13を中心に回転自在に支持される。
【0020】
これにより、顕微鏡部17は、回転軸O4、回転軸O13及び回転軸O4と回転軸O13の交点T1を通る紙面に垂直な仮想の回転軸O12を中心にそれぞれ回転自在に配される。
【0021】
ここで、顕微鏡部17を含む全重量は、回転軸O4、回転軸O12、回転軸O13を中心としたそれぞれの自重による回転モーメントが常に「0」になるように重量配分される。これにより、傾斜アーム13は、バランスが取れた状態で2軸を中心とした傾斜運動が可能となる。
【0022】
次に、上記傾斜アーム支持部12とベースブロック14との取付け構造について説明する。傾斜アーム支持部12は、例えば図2に示すように断面略凹状に形成され、上記ベースブロック13が回転軸O3を中心に回転自在に取付けられる。そして、この傾斜アーム支持部12には、略L字形状のリンク19の中間角部が、ベースブロック14に対して独立して回転軸O3を中心に回転自在にリンク結合される。
【0023】
このリンク19は、その一端部がベースブロック14に回転軸O14を中心に回転自在にリンク結合され、その他端部が平衡手段である弾性部材20の一端部が回転軸O15を中心に回転自在にリンク結合される。弾性部材20は、例えばコイルスプリングやガススプリング等の圧縮バネ等で形成され、その他端部が傾斜アーム支持部12に対して回転軸O16を中心に回転自在に支持される。ここで、リンク20は、例えば回転軸O3からO15間の長さ寸法が、回転軸O3からO14間の距離に比して長く設定される。
【0024】
上記構成において、顕微鏡部17は、傾斜アーム13により回転軸O4及び回転軸O12の2軸を中心として回転されて傾斜運動が行われ、回転軸O1及び回転軸O2を中心に水平アーム11及び傾斜アーム支持部12が回転されて水平運動が行われる。
【0025】
また、顕微鏡部17は、傾斜アーム13を回転軸O3を中心に回転させて図3に示すように上方向(図1中反時計方向)に移動させ、あるいは図4に示すように下方向(図1中時計方向)に移動させる。この際、傾斜アーム13の回転軸O14にリンク結合されるリンク19は、傾斜アーム13の回転に連動して回転軸O3を中心に回転され、該リンク19の回転に伴い、弾性部材20の全長がL1あるいはL2の如く伸縮される。
【0026】
ここで、リンク19は、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転モーメントを受ける。同時に、弾性部材20の付勢力による回転モーメントが発生され、回転モーメントの釣り合いが取られる。このリンク19の回転軸O3を中心とした回転モーメントの釣り合いが取れている状態において、顕微鏡部17の上下方向の移動のバランスが取られる。
【0027】
この弾性部材20の付勢力で発生する回転モーメントの大きさは、弾性部材20の付勢力Fと弾性部材20とリンク19のなす角θによって決定される。即ち、図3及び図4は、傾斜アーム13がそれぞれ上方向及び下方向に10°づつ回転した状態を示しており、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転軸O3を中心とした回転モーメントが同等である。
【0028】
これに対して、弾性部材20による回転モーメントは、図3に示す状態では、弾性部材20の長さ寸法がL1と長くなることで、その付勢力が小さいが、リンク19とのなす角度θが、略90°となっているため付勢力Fが100%回転モーメントに変換される。このように、弾性部材20の付勢力Fと、該弾性部材20とリンク19のなす角度θとの相関により、回転モーメントが略一定に保たれる。
【0029】
また、上記リンク12は、上述したようにその回転軸O14とO3との間の距離a、回転軸O3と回転軸O3とO15との間の距離bの比がb>aに設定していることにより、弾性部材20による回転モーメントが増幅されて、傾斜アーム13に作用する。
【0030】
このように、上記手術用顕微鏡は、ベース部10に第1の垂直回転軸を中心に回転自在に支持された水平アーム11に対して傾斜アーム支持部12を第2の垂直回転軸を中心に回転自在に配し、この傾斜アーム支持部12に対して一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部10を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、上記2軸を中心とした回転モーメントが顕微鏡部17を含む自重により釣り合っている傾斜アーム13を配して、顕微鏡部10を含む傾斜アーム13に付与される水平回転軸を中心とした回転モーメントを、弾性部材20の付勢力で相殺するように構成した。
【0031】
これによれば、顕微鏡部10を支持した傾斜アーム13が、傾斜アーム支持部12に対して互いに直交する2軸を中心に傾斜されて傾斜運動され、その際の回転モーメントが弾性部材20の付勢力により相殺される。そして、顕微鏡部17は、ベース部10に対して水平アーム11が第1の垂直回転軸を中心に回転され、水平アーム11に対して傾斜アーム支持部12が第2の垂直回転軸周りに回転されると、傾斜アーム13を介して水平運動される。
【0032】
これにより、傾斜アーム13を用いた傾斜運動及び水平運動が実現されて、顕微鏡部17周りを含む装置全体の小形・軽量化の促進が図れ、しかも、弾性部材20の付勢力の高効率な利用が実現されて操作力の軽減が図れて、その取扱い操作性の向上が図れる。
【0033】
なお、上記第1の実施の形態では、1つのリンク19を介して弾性部材20を配するように構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、複数のリンクをリンク結合して構成することも可能である。
【0034】
(第2の実施の形態)
図5は、この発明の第2の実施の形態に係る手術用顕微鏡を示すもので、上記第1の実施の形態と略同様の効果を期待することができる。但し、図5においては、上記図1と同一部分について、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0035】
即ち、ベース部30は、例えば床面に対して移動可能なキャスター301を備えたベース302及び支柱303で構成される。そして、このベース部30の支柱303には、水平方向移動用の水平アーム31の一端部が第1の垂直回転軸である回転軸O1を中心に回転自在に支持され、この水平アーム31の他端部には、傾斜アーム支持部32の一端部が、第1の垂直回転軸に対して略平行に配される第2の垂直回転軸である回転軸O2を中心に軸受39を介して回転自在に支持される。
【0036】
傾斜アーム支持部32の他端部には、上記傾斜アーム13を構成するベースブロック14の一端部が回転軸O20を中心に回動自在に支持され、このベースブロック14には、上記接続ブロック15が回転軸O4を中心に回転自在に支持される。そして、この接続ブロック15には、上記平行四辺形リンク機構16がリンク結合される。
【0037】
また、ベースブロック14には、その中間部に第1のリンク33の一端部が回転軸O21を中心に回転自在にリンク結合され、この第1のリンク33の他端部には、スライドリンク34の一端部が回転軸O22を中心に回転自在にリンク結合される。このスライドリンク34は、その中間部が上記傾斜アーム支持部32内に遊挿されて、例えば2つのリニアガイド35により回転軸O2上を上下方向に移動自在に内装され、その他端に第2のリンク36の一端部が回転軸O2を中心に回転自在にリンク結合される。
【0038】
第2のリンク36は、その他端部の回転軸O26が設けられ、この回転軸O26が、上記水平アーム31に内装される三角リンク37の第1の頂点位置に設けられた案内溝に移動自在に挿入される。この三角リンク37は、案内溝371と略平行な第2の頂点位置が回転軸O23として上記水平アーム31に回転自在に支持され、その第3の頂点位置が、平衡手段を構成する弾性部材38の一端がリンク結合される。
【0039】
上記弾性部材38は、例えばコイル弾性部材やガス弾性部材等の圧縮バネで形成され、その他端部が上記水平アーム31内において、回転軸O25を中心に回転自在に支持される。そして、三角リンク25の回転軸O23からO24間の距離は、回転軸O23からO26間の距離に比して長くなるように設定される。
【0040】
上記構成において、顕微鏡部17は、傾斜アーム13により回転軸O4及び回転軸O12の2軸を中心として回転されて傾斜運動が行われ、回転軸O1及び回転軸O2を中心に水平アーム31及び傾斜アーム支持部32が回転されて水平運動が行われる。
【0041】
また、顕微鏡部17は、回転軸O20を中心に回転させて、図6に示すよう上方向(図5中反時計方向)に移動させ、あるいは図7に示すように下方向(図5中時計方向)に移動させる。この際、傾斜アーム13の回転軸O20に対して第1リンク33、スライドリンク34、第2リンク36を介してリンク結合される三角リンク37は、回転軸O23を中心に回転され、該三角リンク37の回転に伴い弾性部材38が伸縮される。
【0042】
三角リンク37は、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転軸O23を中心とした回転モーメントを受ける。同時に、弾性部材38の付勢力による回転モーメントが発生され、回転モーメントの釣り合いが取られる。この三角リンク37の回転軸O23を中心とした回転モーメントの釣り合いが取れている状態において、顕微鏡部17の上下方向の移動のバランスが取られる。
【0043】
弾性部材38の付勢力による回転モーメントの大きさが、弾性部材38の付勢力Fと弾性部材38と三角リンク37のなす角θによって上記第1の実施の形態と略同様に決定される。即ち、図6及び図7は、傾斜アーム13がそれぞれ上方向及び下方向に10°づつ回転した状態を示しており、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転軸O23を中心とした回転モーメントが同等である。これに対し弾性部材38による回転モーメントは、図6に示す状態では、弾性部材38の長さ寸法がL1と長くなることで、その付勢力が小さいが、三角リンク37とのなす角度θが、略90°となっているため付勢力Fが100%回転モーメントに変換される。このように、弾性部材38の付勢力Fと、弾性部材38と三角リンク37のなす角度θとの相関により、回転モーメントが略一定に保たれる。
【0044】
また、上記三角リンク37は、上述したようにその回転軸O23とO24との間の距離a、回転軸O23と回転軸O26との間の距離bの比がb>aに設定していることにより、弾性部材38による回転モーメントが増幅されて、傾斜アーム13に作用する。
【0045】
この第2の実施の形態によれば、平衡手段を構成する弾性部材38を水平アーム31内に内装するように構成していることにより、更に、装置全体の小形化の促進を図ることが可能となる。
【0046】
また、この第2の実施の形態においては、第1のリンク33、スライドリンク34、第2のリンク36及び三角リンク37を介して弾性部材38を配するように構成した場合で説明したが、このリンク構造に限ることなく、少なくとも1つのリンクを用いて構成することが可能である。
【0047】
なお、上記各実施の形態では、上下方向の移動調整を、傾斜アームを用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他のアーム構造等を用いて構成することも可能で略同様の効果を期待することができる。
【0048】
また、上記各実施の形態では、平衡手段として弾性部材20,38を用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、例えばカウンターウエート機構を用いて構成することも可能である。
【0049】
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱いない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0050】
例えば実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0051】
また、この発明は、上記各実施の形態に基づいて次に掲げる構成を得ることもできる。
【0052】
(付記1)
ベース部と、
前記ベース部に第1の垂直回転軸を中心に回転可能に支持された水平アームと、
前記水平アームに第2の垂直回転軸を中心に回転可能に支持される傾斜アーム支持部と、
前記傾斜アーム支持部に一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、前記2軸を中心とした回転モーメントが前記顕微鏡部を含む自重により釣り合っている傾斜アームと、
前記傾斜アームに付与される前記水平回転軸を中心とした回転モーメントを相殺する平衡手段と、
を具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0053】
(付記2)
前記平衡手段は、弾性部材であることを特徴とする付記1記載の手術用顕微鏡。
【0054】
(付記3)
前記傾斜アームと前記平衡手段が少なくとも1つのリンクを介して結合され、傾斜アームの前記水平回転軸を中心とした運動が前記リンクを介して平衡手段に伝達されることを特徴とする付記1又は2記載の手術用顕微鏡。
【0055】
(付記4)
前記傾斜アームの前記水平回転軸を中心とした運動に伴い、前記リンクの少なくとも1つが、前記第2の垂直回転軸上で前記第2の回転軸に沿って移動することを特徴とする付記1又は2記載の手術用顕微鏡。
【0056】
(付記項5)
前記平衡手段は、前記水平アームに内蔵されていることを特徴とする付記項1乃至4のいずれか記載の手術用顕微鏡。
【0057】
(付記項6)
顕微鏡を上下方向に移動するための水平回転軸を中心に回転可能なアームと、
前記アームの回転による回転モーメントを相殺するための平衡手段と、
前記アームと前記平衡手段とを結合して、前記アームの前記水平回転軸を中心とした回転を前記平衡手段に伝達する少なくとも1つのリンクと、
を具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0058】
(付記項7)
前記平衡手段は、弾性部材であることを特徴とする付記項6記載の手術用顕微鏡。
【0059】
(付記項8)
前記弾性部材の付勢力が前記リンクにより増幅され前記アームに伝達さることを特徴とする付記項6又は7記載の手術用顕微鏡。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、構成簡易にして、小形・軽量化の促進を図り得るようにして、取扱い操作性の向上を図った手術用顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡の要部構成を示した平面図である。
【図2】図1の要部を断面して示した断面図である。
【図3】図1の傾斜アームが上方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図4】図1の傾斜アームが下方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係る手術用顕微鏡の要部構成を示した平面図である。
【図6】図5の傾斜アームが上方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図7】図5の傾斜アームが下方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図8】従来の問題点を説明するために示した動作説明図である。
【符号の説明】
10,30…ベース部、101,301…キャスター、102,302…ベース、103,303…支柱、11,31…水平アーム、12,32…傾斜アーム支持部、13…傾斜アーム、14…ベースブロック、15…接続ブロック、16…平衡四辺形リンク機構、16a〜16e…リンク、17…顕微鏡部、18…顕微鏡支持アーム、19…リンク、20,38…弾性部材、33…第1のリンク、34…スライドリンク、35…リニアガイド、36…第2のリンク、37…三角リンク、39…軸受。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば脳神経外科、耳鼻咽喉科、整形・形成外科、産婦人科、眼科等における微小部位の手術に使用される手術用顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、手術用顕微鏡は、その顕微鏡部が、例えばパンタグラフ機構で構成されるアームを介して上下方向に移動自在に配され、そのパンタグラフアームに対してその質量による回転モーメントを相殺する平衡手段としてスプリング等の弾性部材が設けられる(例えば、特許文献1参照。)。これにより、顕微鏡部は、パンタグラフアームを介して上下方向に回動付勢されると、その回動に伴い発生する回転モーメントが、弾性部材の付勢力により相殺されて安定した移動調整が可能となる。
【0003】
例えば図8に示すように弾性部材1は、付勢力Fを付与するように一端がパンタグラフアーム2に係着されて配される。この弾性部材1の付勢力Fは、分力FH、FVに分けられ、顕微鏡部の質量をGとすると、質量Gによる回転モーメントを相殺する力が分力FVとなる。
【0004】
また、手術用顕微鏡としては、顕微鏡部を、2軸の傾斜運動を可能にリンク構成した傾斜アームを用いて形成し、顕微鏡周りの構成をシンプル化して小型化を図ったものも出現されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−86806号公報
【0006】
【特許文献2】
特公昭63−36481号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の手術用顕微鏡では、弾性部材の付勢力Fに対する分力FVが非常に小さいために、比較的質量の重い顕微鏡部のバランスを取るのに大きな付勢力を有する弾性部材を備える必要がある。これによると、回転モーメントには作用しない分力FHが非常に大きくなり、分力FHによるパンタグラフ機構の各支点の摩擦抵抗により、顕微鏡部を上下に動かす際の操作力が著しくが大きくなり、取扱い操作性が低下されるとう問題を有する。
【0008】
係る問題は、特に、マイクロサージェリーでは、顕微鏡位置変更に対する微細な動きが求められており、アームの操作力が大きくなることは手術の効率を低下させる要因となる。
【0009】
また、顕微鏡部の移動として、上下方向及び水平方向の移動の他に顕微鏡部を傾斜させることが必要となるために、上記パンタグラフアームの先端に顕微鏡部を傾斜させる傾斜機構を備える必要があることで、顕微鏡部周りが更に大型化されるという不都合を有する。
【0010】
また、特許文献2の手術用顕微鏡では、顕微鏡部の上下方向、水平方向の移動の際の回転モーメントを相殺する平衡手段として、カウンターウェイトを傾斜アームに直接的に組付け配置しているために、装置全体が大型化及び重量化が促進されるという問題を有する。
【0011】
このような手術用顕微鏡の大型化は、手術室では手術用顕微鏡の他、様々な手術機器が配されるために、手術室のレイアウト上好ましくないうえ、装置全体を別の手術室に移動させたりするのが困難となり、その運搬を含む取扱いが面倒であるという不都合を有する。
【0012】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、構成簡易にして、小形・軽量化の促進を図り得るようにして、取扱い操作性の向上を図った手術用顕微鏡を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ベース部と、前記ベース部に第1の垂直回転軸を中心に回転可能に支持された水平アームと、前記水平アームに第2の垂直回転軸を中心に回転可能に支持される傾斜アーム支持部と、前記傾斜アーム支持部に一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、前記2軸を中心とした回転モーメントが前記顕微鏡部を含む自重により釣り合っている傾斜アームと、前記傾斜アームに付与される前記水平回転軸を中心とした回転モーメントを相殺する平衡手段とを備えて手術用顕微鏡を構成した。
【0014】
上記構成において、顕微鏡部は、傾斜アームが、傾斜アーム支持部に対して互いに直交する2軸を中心に傾斜されて傾斜運動され、その際の回転モーメントが平衡手段により相殺される。そして、顕微鏡部は、ベース部に対して水平アームが第1の垂直回転軸を中心に回転され、水平アームに対して傾斜アーム支持部が第2の垂直回転軸周りに回転されると、傾斜アームを介して水平運動される。これにより、傾斜アームを用いた傾斜運動が実現されて、小形・軽量化の促進が図れ、しかも、平衡手段の付勢力の高効率な利用が実現されて操作力の軽減が図れ、その取扱い操作性の向上が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡の構成を示すもので、ベース部10は、例えば床面に対して移動可能なキャスター101を備えたベース102及び支柱103で構成される。そして、このベース部10の支柱103には、水平アーム11の一端部が第1の垂直回転軸である回転軸O1を中心に回転自在に支持され、この水平アーム11の他端部には、傾斜アーム支持部12の一端部が、第1の垂直回転軸に対して略平行に配される第2の垂直回転軸である回転軸O2を中心に回転自在に支持される。
【0017】
傾斜アーム支持部12の他端部には、後述するように傾斜アーム13を構成するベースブロック14が水平回転軸である回転軸O3を中心に回動自在に支持され、このベースブロック14には、接続ブロック15が回転軸O4を中心に回転自在に支持される。そして、この接続ブロック15には、平行四辺形リンク機構16がリンク結合される。
【0018】
この平行四辺形リンク機構16は、アーム16a〜16e及び接続ブロック8を紙面に垂直な回転軸O5〜O11を中心にそれぞれ回転自在にリンク結合して形成される。
【0019】
即ち、傾斜アーム13は、上記接続ブロック15と平行四辺形リンク機構16を、互いに直交する2軸の回転軸O4、O12を中心に傾斜可能な傾斜機構として構成される。そして、アーム16eの先端部(下方突出端部)には、顕微鏡部17が顕微鏡支持アーム18を介して、その観察光軸が紙面に平行な面内で回転軸O10と回転軸O11を結ぶ線分を通る回転軸O13と一致された状態で、回転軸O13を中心に回転自在に支持される。
【0020】
これにより、顕微鏡部17は、回転軸O4、回転軸O13及び回転軸O4と回転軸O13の交点T1を通る紙面に垂直な仮想の回転軸O12を中心にそれぞれ回転自在に配される。
【0021】
ここで、顕微鏡部17を含む全重量は、回転軸O4、回転軸O12、回転軸O13を中心としたそれぞれの自重による回転モーメントが常に「0」になるように重量配分される。これにより、傾斜アーム13は、バランスが取れた状態で2軸を中心とした傾斜運動が可能となる。
【0022】
次に、上記傾斜アーム支持部12とベースブロック14との取付け構造について説明する。傾斜アーム支持部12は、例えば図2に示すように断面略凹状に形成され、上記ベースブロック13が回転軸O3を中心に回転自在に取付けられる。そして、この傾斜アーム支持部12には、略L字形状のリンク19の中間角部が、ベースブロック14に対して独立して回転軸O3を中心に回転自在にリンク結合される。
【0023】
このリンク19は、その一端部がベースブロック14に回転軸O14を中心に回転自在にリンク結合され、その他端部が平衡手段である弾性部材20の一端部が回転軸O15を中心に回転自在にリンク結合される。弾性部材20は、例えばコイルスプリングやガススプリング等の圧縮バネ等で形成され、その他端部が傾斜アーム支持部12に対して回転軸O16を中心に回転自在に支持される。ここで、リンク20は、例えば回転軸O3からO15間の長さ寸法が、回転軸O3からO14間の距離に比して長く設定される。
【0024】
上記構成において、顕微鏡部17は、傾斜アーム13により回転軸O4及び回転軸O12の2軸を中心として回転されて傾斜運動が行われ、回転軸O1及び回転軸O2を中心に水平アーム11及び傾斜アーム支持部12が回転されて水平運動が行われる。
【0025】
また、顕微鏡部17は、傾斜アーム13を回転軸O3を中心に回転させて図3に示すように上方向(図1中反時計方向)に移動させ、あるいは図4に示すように下方向(図1中時計方向)に移動させる。この際、傾斜アーム13の回転軸O14にリンク結合されるリンク19は、傾斜アーム13の回転に連動して回転軸O3を中心に回転され、該リンク19の回転に伴い、弾性部材20の全長がL1あるいはL2の如く伸縮される。
【0026】
ここで、リンク19は、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転モーメントを受ける。同時に、弾性部材20の付勢力による回転モーメントが発生され、回転モーメントの釣り合いが取られる。このリンク19の回転軸O3を中心とした回転モーメントの釣り合いが取れている状態において、顕微鏡部17の上下方向の移動のバランスが取られる。
【0027】
この弾性部材20の付勢力で発生する回転モーメントの大きさは、弾性部材20の付勢力Fと弾性部材20とリンク19のなす角θによって決定される。即ち、図3及び図4は、傾斜アーム13がそれぞれ上方向及び下方向に10°づつ回転した状態を示しており、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転軸O3を中心とした回転モーメントが同等である。
【0028】
これに対して、弾性部材20による回転モーメントは、図3に示す状態では、弾性部材20の長さ寸法がL1と長くなることで、その付勢力が小さいが、リンク19とのなす角度θが、略90°となっているため付勢力Fが100%回転モーメントに変換される。このように、弾性部材20の付勢力Fと、該弾性部材20とリンク19のなす角度θとの相関により、回転モーメントが略一定に保たれる。
【0029】
また、上記リンク12は、上述したようにその回転軸O14とO3との間の距離a、回転軸O3と回転軸O3とO15との間の距離bの比がb>aに設定していることにより、弾性部材20による回転モーメントが増幅されて、傾斜アーム13に作用する。
【0030】
このように、上記手術用顕微鏡は、ベース部10に第1の垂直回転軸を中心に回転自在に支持された水平アーム11に対して傾斜アーム支持部12を第2の垂直回転軸を中心に回転自在に配し、この傾斜アーム支持部12に対して一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部10を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、上記2軸を中心とした回転モーメントが顕微鏡部17を含む自重により釣り合っている傾斜アーム13を配して、顕微鏡部10を含む傾斜アーム13に付与される水平回転軸を中心とした回転モーメントを、弾性部材20の付勢力で相殺するように構成した。
【0031】
これによれば、顕微鏡部10を支持した傾斜アーム13が、傾斜アーム支持部12に対して互いに直交する2軸を中心に傾斜されて傾斜運動され、その際の回転モーメントが弾性部材20の付勢力により相殺される。そして、顕微鏡部17は、ベース部10に対して水平アーム11が第1の垂直回転軸を中心に回転され、水平アーム11に対して傾斜アーム支持部12が第2の垂直回転軸周りに回転されると、傾斜アーム13を介して水平運動される。
【0032】
これにより、傾斜アーム13を用いた傾斜運動及び水平運動が実現されて、顕微鏡部17周りを含む装置全体の小形・軽量化の促進が図れ、しかも、弾性部材20の付勢力の高効率な利用が実現されて操作力の軽減が図れて、その取扱い操作性の向上が図れる。
【0033】
なお、上記第1の実施の形態では、1つのリンク19を介して弾性部材20を配するように構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、複数のリンクをリンク結合して構成することも可能である。
【0034】
(第2の実施の形態)
図5は、この発明の第2の実施の形態に係る手術用顕微鏡を示すもので、上記第1の実施の形態と略同様の効果を期待することができる。但し、図5においては、上記図1と同一部分について、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0035】
即ち、ベース部30は、例えば床面に対して移動可能なキャスター301を備えたベース302及び支柱303で構成される。そして、このベース部30の支柱303には、水平方向移動用の水平アーム31の一端部が第1の垂直回転軸である回転軸O1を中心に回転自在に支持され、この水平アーム31の他端部には、傾斜アーム支持部32の一端部が、第1の垂直回転軸に対して略平行に配される第2の垂直回転軸である回転軸O2を中心に軸受39を介して回転自在に支持される。
【0036】
傾斜アーム支持部32の他端部には、上記傾斜アーム13を構成するベースブロック14の一端部が回転軸O20を中心に回動自在に支持され、このベースブロック14には、上記接続ブロック15が回転軸O4を中心に回転自在に支持される。そして、この接続ブロック15には、上記平行四辺形リンク機構16がリンク結合される。
【0037】
また、ベースブロック14には、その中間部に第1のリンク33の一端部が回転軸O21を中心に回転自在にリンク結合され、この第1のリンク33の他端部には、スライドリンク34の一端部が回転軸O22を中心に回転自在にリンク結合される。このスライドリンク34は、その中間部が上記傾斜アーム支持部32内に遊挿されて、例えば2つのリニアガイド35により回転軸O2上を上下方向に移動自在に内装され、その他端に第2のリンク36の一端部が回転軸O2を中心に回転自在にリンク結合される。
【0038】
第2のリンク36は、その他端部の回転軸O26が設けられ、この回転軸O26が、上記水平アーム31に内装される三角リンク37の第1の頂点位置に設けられた案内溝に移動自在に挿入される。この三角リンク37は、案内溝371と略平行な第2の頂点位置が回転軸O23として上記水平アーム31に回転自在に支持され、その第3の頂点位置が、平衡手段を構成する弾性部材38の一端がリンク結合される。
【0039】
上記弾性部材38は、例えばコイル弾性部材やガス弾性部材等の圧縮バネで形成され、その他端部が上記水平アーム31内において、回転軸O25を中心に回転自在に支持される。そして、三角リンク25の回転軸O23からO24間の距離は、回転軸O23からO26間の距離に比して長くなるように設定される。
【0040】
上記構成において、顕微鏡部17は、傾斜アーム13により回転軸O4及び回転軸O12の2軸を中心として回転されて傾斜運動が行われ、回転軸O1及び回転軸O2を中心に水平アーム31及び傾斜アーム支持部32が回転されて水平運動が行われる。
【0041】
また、顕微鏡部17は、回転軸O20を中心に回転させて、図6に示すよう上方向(図5中反時計方向)に移動させ、あるいは図7に示すように下方向(図5中時計方向)に移動させる。この際、傾斜アーム13の回転軸O20に対して第1リンク33、スライドリンク34、第2リンク36を介してリンク結合される三角リンク37は、回転軸O23を中心に回転され、該三角リンク37の回転に伴い弾性部材38が伸縮される。
【0042】
三角リンク37は、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転軸O23を中心とした回転モーメントを受ける。同時に、弾性部材38の付勢力による回転モーメントが発生され、回転モーメントの釣り合いが取られる。この三角リンク37の回転軸O23を中心とした回転モーメントの釣り合いが取れている状態において、顕微鏡部17の上下方向の移動のバランスが取られる。
【0043】
弾性部材38の付勢力による回転モーメントの大きさが、弾性部材38の付勢力Fと弾性部材38と三角リンク37のなす角θによって上記第1の実施の形態と略同様に決定される。即ち、図6及び図7は、傾斜アーム13がそれぞれ上方向及び下方向に10°づつ回転した状態を示しており、顕微鏡部17及び傾斜アーム13の自重による回転軸O23を中心とした回転モーメントが同等である。これに対し弾性部材38による回転モーメントは、図6に示す状態では、弾性部材38の長さ寸法がL1と長くなることで、その付勢力が小さいが、三角リンク37とのなす角度θが、略90°となっているため付勢力Fが100%回転モーメントに変換される。このように、弾性部材38の付勢力Fと、弾性部材38と三角リンク37のなす角度θとの相関により、回転モーメントが略一定に保たれる。
【0044】
また、上記三角リンク37は、上述したようにその回転軸O23とO24との間の距離a、回転軸O23と回転軸O26との間の距離bの比がb>aに設定していることにより、弾性部材38による回転モーメントが増幅されて、傾斜アーム13に作用する。
【0045】
この第2の実施の形態によれば、平衡手段を構成する弾性部材38を水平アーム31内に内装するように構成していることにより、更に、装置全体の小形化の促進を図ることが可能となる。
【0046】
また、この第2の実施の形態においては、第1のリンク33、スライドリンク34、第2のリンク36及び三角リンク37を介して弾性部材38を配するように構成した場合で説明したが、このリンク構造に限ることなく、少なくとも1つのリンクを用いて構成することが可能である。
【0047】
なお、上記各実施の形態では、上下方向の移動調整を、傾斜アームを用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他のアーム構造等を用いて構成することも可能で略同様の効果を期待することができる。
【0048】
また、上記各実施の形態では、平衡手段として弾性部材20,38を用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、その他、例えばカウンターウエート機構を用いて構成することも可能である。
【0049】
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱いない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0050】
例えば実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0051】
また、この発明は、上記各実施の形態に基づいて次に掲げる構成を得ることもできる。
【0052】
(付記1)
ベース部と、
前記ベース部に第1の垂直回転軸を中心に回転可能に支持された水平アームと、
前記水平アームに第2の垂直回転軸を中心に回転可能に支持される傾斜アーム支持部と、
前記傾斜アーム支持部に一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、前記2軸を中心とした回転モーメントが前記顕微鏡部を含む自重により釣り合っている傾斜アームと、
前記傾斜アームに付与される前記水平回転軸を中心とした回転モーメントを相殺する平衡手段と、
を具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0053】
(付記2)
前記平衡手段は、弾性部材であることを特徴とする付記1記載の手術用顕微鏡。
【0054】
(付記3)
前記傾斜アームと前記平衡手段が少なくとも1つのリンクを介して結合され、傾斜アームの前記水平回転軸を中心とした運動が前記リンクを介して平衡手段に伝達されることを特徴とする付記1又は2記載の手術用顕微鏡。
【0055】
(付記4)
前記傾斜アームの前記水平回転軸を中心とした運動に伴い、前記リンクの少なくとも1つが、前記第2の垂直回転軸上で前記第2の回転軸に沿って移動することを特徴とする付記1又は2記載の手術用顕微鏡。
【0056】
(付記項5)
前記平衡手段は、前記水平アームに内蔵されていることを特徴とする付記項1乃至4のいずれか記載の手術用顕微鏡。
【0057】
(付記項6)
顕微鏡を上下方向に移動するための水平回転軸を中心に回転可能なアームと、
前記アームの回転による回転モーメントを相殺するための平衡手段と、
前記アームと前記平衡手段とを結合して、前記アームの前記水平回転軸を中心とした回転を前記平衡手段に伝達する少なくとも1つのリンクと、
を具備することを特徴とする手術用顕微鏡。
【0058】
(付記項7)
前記平衡手段は、弾性部材であることを特徴とする付記項6記載の手術用顕微鏡。
【0059】
(付記項8)
前記弾性部材の付勢力が前記リンクにより増幅され前記アームに伝達さることを特徴とする付記項6又は7記載の手術用顕微鏡。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、構成簡易にして、小形・軽量化の促進を図り得るようにして、取扱い操作性の向上を図った手術用顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る手術用顕微鏡の要部構成を示した平面図である。
【図2】図1の要部を断面して示した断面図である。
【図3】図1の傾斜アームが上方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図4】図1の傾斜アームが下方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係る手術用顕微鏡の要部構成を示した平面図である。
【図6】図5の傾斜アームが上方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図7】図5の傾斜アームが下方向に傾斜運動された状態を説明するために示した動作説明図である。
【図8】従来の問題点を説明するために示した動作説明図である。
【符号の説明】
10,30…ベース部、101,301…キャスター、102,302…ベース、103,303…支柱、11,31…水平アーム、12,32…傾斜アーム支持部、13…傾斜アーム、14…ベースブロック、15…接続ブロック、16…平衡四辺形リンク機構、16a〜16e…リンク、17…顕微鏡部、18…顕微鏡支持アーム、19…リンク、20,38…弾性部材、33…第1のリンク、34…スライドリンク、35…リニアガイド、36…第2のリンク、37…三角リンク、39…軸受。
Claims (3)
- ベース部と、
前記ベース部に第1の垂直回転軸を中心に回転可能に支持された水平アームと、
前記水平アームに第2の垂直回転軸を中心に回転可能に支持される傾斜アーム支持部と、
前記傾斜アーム支持部に一端部が水平軸を中心に回転可能に支持され、他端部が顕微鏡部を支持して傾斜運動を行うものであって、互いに直交する2軸を中心に傾斜可能で、且つ、前記2軸を中心とした回転モーメントが前記顕微鏡部を含む自重により釣り合っている傾斜アームと、
前記傾斜アームに付与される前記水平回転軸を中心とした回転モーメントを相殺する平衡手段と、
を具備することを特徴とする手術用顕微鏡。 - 平衡手段は、弾性部材であることを特徴とする請求項1記載の手術用顕微鏡。
- 前記傾斜アームと前記平衡手段は、少なくとも1つのリンクを介してリンク結合され、前記傾斜アームの水平回転軸を中心とした運動が前記リンクを介して前記平衡手段に伝達されることを特徴とする請求項1又は2記載の手術用顕微鏡。
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Cited By (1)
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-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003185220A patent/JP2005013588A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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WO2015014240A1 (zh) * | 2013-08-02 | 2015-02-05 | 迈柯唯医疗设备(苏州)有限公司 | 医用吊塔升降系统 |
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