JP2005012073A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエハの面内温度分布の均一性を維持し、外縁の迷光を防止する。
【解決手段】加熱ランプ85、86を使用したRTP装置において、保持部材101を構成するインナプラットホーム98の内周により円形の開口部101aを形成し、開口部101aの下端部に円形リング形状の遮光部99をウエハWの周辺部と重なるように突設し、インナプラットホーム98の開口縁辺部にウエハWを遮光部99から浮かせて支持する複数本の支持ピン100を突設する。
【効果】ウエハの外縁の迷光は遮光部によって遮光できるので、放射温度計の測定精度の低下を防止できる。ウエハの外縁と遮光部との間には加熱ランプの光が斜めから入射し、この光がウエハの周辺部を加熱するので、ウエハの周辺部の温度低下を防止でき、ウエハの面内温度分布の均一性を維持できる。
【選択図】 図4
【解決手段】加熱ランプ85、86を使用したRTP装置において、保持部材101を構成するインナプラットホーム98の内周により円形の開口部101aを形成し、開口部101aの下端部に円形リング形状の遮光部99をウエハWの周辺部と重なるように突設し、インナプラットホーム98の開口縁辺部にウエハWを遮光部99から浮かせて支持する複数本の支持ピン100を突設する。
【効果】ウエハの外縁の迷光は遮光部によって遮光できるので、放射温度計の測定精度の低下を防止できる。ウエハの外縁と遮光部との間には加熱ランプの光が斜めから入射し、この光がウエハの周辺部を加熱するので、ウエハの周辺部の温度低下を防止でき、ウエハの面内温度分布の均一性を維持できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、被処理基板を加熱する技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に成膜やアニール、酸化膜成長および拡散等の各種の熱処理(thermal treatment )を施すのに利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICの製造方法において成膜やアニール、酸化膜成長および拡散等の各種の熱処理を施す基板処理装置としては、加熱源にタングステン−ハロゲン直線ランプ(以下、加熱ランプという。)を使用したRTP(Rapid Thermal Processing)装置がある。このRTP装置は、被処理基板としてのウエハを収容する処理室と、この処理室においてウエハを保持する保持部材(以下、サセプタという。)と、サセプタの上のウエハをサセプタの下方から加熱する複数本の加熱ランプと、サセプタの上方に設置されてウエハの温度を測定する温度測定装置と、処理室を大気圧よりも若干低めに排気する排気口と、ウエハを保持したサセプタを回転させるサセプタ回転装置とを備えている。そして、従来のこの種のRTP装置としては、温度測定装置に放射温度計を使用したものが、ある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3018246号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した放射温度計を使用したRTP装置においては、加熱ランプからの照射光(可視光線から赤外線領域の電磁波。以下、光という。)が上方に漏れると、その漏れた光(所謂迷光)を放射温度計が拾うために、温度の測定精度が低下するという問題点がある。ところで、このようなRTP装置においては、加熱ランプから照射された光がウエハに効率よく伝わるように、石英等の透光性を有する材料によって透光窓をサセプタに形成して加熱ランプの光をウエハに透過させる場合や、透光孔をサセプタに形成して加熱ランプの光をウエハに直接的に照射させる場合がある。これらの場合には、ウエハの面内温度分布の均一性を保持するためにウエハの全面に加熱ランプの光が照射するように構成する必要がある。同時に、ウエハの外縁からの迷光の発生を防止する必要もある。このような場合において、ウエハの面内温度分布の均一性の保持を優先して、サセプタの透光窓やサセプタの透光孔をウエハの外形に合致させると、ウエハをサセプタに移載する際の僅かな位置ずれや、透光窓や透光孔に僅かな加工誤差が発生した場合であっても、加熱ランプの光がウエハの外縁から漏れるために、放射温度計の測定精度が低下してしまうという問題点がある。逆に、ウエハの外縁からの迷光の発生の防止を優先して、サセプタの透光窓や透光孔をウエハの外形よりも小さめに設定すると、ウエハの周縁部の温度が透光窓や透光孔の周縁部の遮光作用および熱伝導作用によって低下されてしまうために、ウエハの面内温度分布の均一性が低下してしまうという問題点がある。なお、ウエハは昇温すると、反りが発生することが知られているが、ウエハの反りが発生すると、ウエハの外縁に迷光が発生するために、放射温度計の測定精度が低下する。
【0005】
本発明の目的は、被処理基板の面内温度分布の均一性を保持することができるとともに、被処理基板の外縁からの迷光の発生を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基板処理装置は、被処理基板を収容する処理室と、この処理室に設置されて前記被処理基板を保持する保持部材と、この保持部材の一方側に設置された加熱源と、前記保持部材の他方側に設置されて前記被処理基板の温度を測定する温度測定装置とを備えている基板処理装置であって、
前記保持部材は略円形の開口部と、前記被処理基板の下面の少なくとも三箇所を支持する支持ピンと、前記開口部の内周面から内側に突出した環状の遮光部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
前記した手段によれば、被処理基板の外縁の迷光は遮光部によって遮光することができるので、例えば、放射温度計の測定精度の低下を防止することができる。
この際、被処理基板の外縁と遮光部との間には空間が介在することにより、斜めから入射した光が被処理基板の周辺部を加熱する状態になるために、被処理基板の周辺部の温度低下を防止することができ、被処理基板の面内温度分布の均一性を維持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、マルチチャンバ型処理装置(以下、処理装置という。)として構成されており、この処理装置はICの製造方法にあってウエハに酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁膜を成膜したり、金属とシリコンの合金膜を形成したり、膜中に打ち込まれた不純物原子を活性化させるためのアニール処理を行う工程に使用されるようになっている。なお、本実施の形態に係る処理装置においてはウエハ搬送用のキャリアとしては、FOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという。)が使用されている。また、以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、図1が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後は紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0010】
図1に示されているように、処理装置は大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成された第一のウエハ移載室(以下、負圧移載室という。)10を備えており、負圧移載室10の筐体(以下、負圧移載室筐体という。)11は平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。負圧移載室10の中央部には負圧下でウエハWを移載するウエハ移載装置(以下、負圧移載装置という。)12が設置されており、負圧移載装置12はスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm SCARA)によって構成されており、負圧移載室筐体11の底壁に設置されたエレベータ13によって気密シールを維持しつつ昇降するように構成されている。
【0011】
負圧移載室筐体11の六枚の側壁のうち正面側に位置する二枚の側壁には、搬入用予備室(以下、搬入室という。)20と搬出用予備室(以下、搬出室という。
)30とがそれぞれ隣接して連結されている。搬入室20の筐体(以下、搬入室筐体という。)21と搬出室30の筐体(以下、搬出室筐体という。)31とは、それぞれ平面視が大略四角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されているとともに、負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。互いに隣接した搬入室筐体21の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には搬入口22、23がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬入口23には搬入口22、23を開閉するゲートバルブ24が設置されている。また、互いに隣接した搬出室筐体31の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には、搬出口32、33がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬出口33には搬出口32、33を開閉するゲートバルブ34が設置されている。搬入室20には搬入室用仮置き台25が設置され、搬出室30には搬出室用仮置き台35が設置されている。
【0012】
搬入室20および搬出室30の前側には、大気圧以上の圧力(正圧)を維持可能な構造に構成された第二のウエハ移載室(以下、正圧移載室という。)40が隣接して連結されており、正圧移載室40の筐体(以下、正圧移載室筐体という。
)41は平面視が横長の長方形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
正圧移載室40には正圧下でウエハWを移載する第二のウエハ移載装置(以下、正圧移載装置という。)42が設置されており、正圧移載装置42はスカラ形ロボットによってウエハを搬送し得るように構成されている。正圧移載装置42は正圧移載室40に設置されたエレベータ43によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ44によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0013】
互いに隣接した搬入室筐体21の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬入口26、27がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬入口27には搬入口26、27を開閉するゲートバルブ28が設置されている。互いに隣接した搬出室筐体31の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬出口36、37がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬出口37には搬出口36、37を開閉するゲートバルブ38が設置されている。図1に示されているように、正圧移載室40の左側にはノッチ合わせ装置45が設置されている。
【0014】
図1に示されているように、正圧移載室筐体41の正面壁には三つのウエハ搬入搬出口47、48、49が左右方向に並べられて開設されており、これらのウエハ搬入搬出口47、48、49はウエハWを正圧移載室40に対して搬入搬出し得るように設定されている。これらのウエハ搬入搬出口47、48、49にはポッドオープナ50がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ50はポッドPを載置する載置台51と、載置台51に載置されたポッドPのキャップを着脱するキャップ着脱機構52とを備えており、載置台51に載置されたポッドPのキャップをキャップ着脱機構52によって着脱することにより、ポッドPのウエハ出し入れ口を開閉するようになっている。ポッドオープナ50の載置台51に対してはポッドPが、図示しない工程内搬送装置(RGV)によって供給および排出されるようになっている。したがって、載置台51によってキャリアステージとしてのポッドステージが構成されていることになる。
【0015】
図1に示されているように、負圧移載室筐体11の六枚の側壁のうち背面側に位置する二枚の側壁には、第一処理部としての第一処理ユニット61と、第二処理部としての第二処理ユニット62とがそれぞれ隣接して連結されている。第一処理ユニット61および第二処理ユニット62はいずれも枚葉式減圧RTP装置(以下、RTP装置という。)によってそれぞれ構成されている。また、負圧移載室筐体11における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する二枚の側壁には、第三処理部としての第一クーリングユニット63と、第四処理部としての第二クーリングユニット64とがそれぞれ連結されており、第一クーリングユニット63および第二クーリングユニット64はいずれも処理済みのウエハWを冷却するように構成されている。
【0016】
図2に示されているように、RTP装置70はウエハWを処理する処理室71を形成した筐体72を備えており、筐体72は上下面が開口した円筒形状に形成されたカップ73と、カップ73の上面開口部を閉塞する円盤形状のトッププレート74と、カップ73の下面開口部を閉塞する円盤形状のボトムプレート75とが組み合わされて円筒中空体形状に構築されている。筐体72は様々な金属によって形成することができる。図示しないが、筐体72は周知の循環式冷水フローシステムによって室温程度まで水冷されるように構成されている。カップ73の側壁の一部には排気口76が処理室71の内外を連通するように開設されており、排気口76には処理室71を大気圧未満(以下、負圧という。)に排気し得る排気装置が接続されている。なお、排気口76はボトムプレート75の中心線上にも開設されている。カップ73の側壁の排気口76と反対側の位置には、ウエハWを処理室71に搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口77が開設されており、ウエハ搬入搬出口77はゲートバルブ78によって開閉されるようになっている。
【0017】
ボトムプレート75の下面の中心線上には昇降駆動装置79が設置されており、昇降駆動装置79はボトムプレート75を上下方向に挿通されて摺動自在に支持された昇降軸80を昇降させるように構成されている。昇降軸80の上端には昇降板81が水平に固定されており、昇降板81の上面には複数本(通常は三本または四本)のリフタピン82が垂直に立脚されて固定されており、各リフタピン82は昇降板81の昇降に伴って昇降することにより、ウエハWを下から水平に支持して昇降させるようになっている。
【0018】
ボトムプレート75の上面における昇降軸80の外側には支持筒83が突設されており、支持筒83の上端面の上には冷却プレート84が水平に架設されている。冷却プレート84の上方には複数本の加熱ランプから構成された第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86が、下から順に配置されてそれぞれ水平に架設されており、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86は第一支柱87および第二支柱88によってそれぞれ水平に支持されている。第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86は加熱源としての加熱ランプ(タングステン−ハロゲン直線ランプ)が複数本、互いに平行に配列されて水平にそれぞれ架設されて構成されている。図示しないが、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86には四つのゾーンが、両端から中央にかけてそれぞれ設定されている。第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86は第一ゾーン〜第四ゾーン毎に制御器に並列に接続されており、制御器は後記する放射温度計が接続されたコントローラ(図示せず)によってフィードバック制御されるように構成されている。第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86の電力供給電線89は、ボトムプレート75を挿通して外部に引き出されている。なお、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86やコントローラ等から成るヒータアッセンブリは、放射ピークが0.95μmの波長の放射熱線(光)を照射し、多くの熱を中央部ゾーンよりも周辺部のゾーンに加える加熱プロファイルを呈するように設定されている。
【0019】
処理室71には処理室71の内径よりも小径の外径を有する円筒形状に形成されたタレット91が、同心円に配置されている。タレット91はセラミックやグラファイトより好ましくはシリコングラファイトによって被覆されたグラファイト等が使用されて構成されている。タレット91は円形のリング形状の内歯平歯車93の上面に同心円に配置されて固定されており、内歯平歯車93はボトムプレート75に介設されたベアリング92によって水平に支承されている。内歯平歯車93には原動側平歯車94が噛合されており、原動側平歯車94はボトムプレート75に介設されたベアリング95によって水平に支承されて、ボトムプレート75の下に設置された保持部材回転装置96によって回転駆動されるようになっている。なお、タレット91の回転速度は処理の諸条件に対応して、5〜60rpmに設定することが好ましい。
【0020】
タレット91の上端面の上には円形リング形状に形成されたアウタプラットホーム97が水平に架設されており、アウタプラットホーム97の内側には小径の円形リング形状に形成されたインナプラットホーム98が水平に架設されている。図3に示されているように、インナプラットホーム98の内周の下端部には、円形リング形状の遮光部99が内周面から内側に突出されており、遮光部99の内径はウエハWの外径よりも若干小さめに設定されている。インナプラットホーム98の下面には石英等の透光性を有する材料によって棒形状に形成され凹字形状に屈曲された支持ピン100が四本、遮光部99の内側に突出するように突設されており、四本の支持ピン100の内側の各上端はインナプラットホーム98の上面よりも下方において水平面を構成するように揃えられている。つまり、アウタプラットホーム97、インナプラットホーム98、遮光部99および四本の支持ピン100によって、ウエハWを保持するための保持部材101が構成されており、ウエハWが保持部材101の中央部に形成された開口部101aにおいて四本の支持ピン100によって水平に保持されるようになっている。
【0021】
図2に示されているように、トッププレート74には原料ガス供給管102および不活性ガス供給管103が処理室71に連通するようにそれぞれ接続されている。トッププレート74には温度測定装置としての放射温度計のプローブ104が複数本、互いに半径方向にウエハWの中心から周辺にかけてずらされてそれぞれ配置されウエハWの上面と対向するように挿入されており、放射温度計は複数本のプローブ104がそれぞれ検出した光に基づく計測温度をコントローラに逐次送信するように構成されている。トッププレート74の他の場所にはウエハWの放射率を非接触にて測定する放射率測定装置105が設置されている。放射率測定装置105はレファレンスプローブ106を備えており、レファレンスプローブ106はレファレンスプローブ用モータ107によって垂直面内で回転されるように構成されている。レファレンスプローブ106の上側には参照光を照射するレファレンスランプ108が、レファレンスプローブ106の先端に対向するように設置されている。レファレンスプローブ106は放射温度計に光学的に接続されており、放射温度計はウエハWからの光子密度と、レファレンスランプ108からの参照光の光子密度とを比較することにより、計測温度を校正するようになっている。
【0022】
以下、前記構成に係る処理装置を使用したICの製造方法における成膜工程を説明する。
【0023】
これから成膜すべきウエハWは二十五枚がポッドPに収納された状態で、成膜工程を実施する処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。図1に示されているように、搬送されて来たポッドPは搬入室20におけるポッドオープナ50の載置台51の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッドPのキャップがキャップ着脱機構52によって取り外され、ポッドPのウエハ出し入れ口が開放される。ポッドPがポッドオープナ50により開放されると、正圧移載室40に設置された正圧移載装置42はウエハ搬入搬出口47を通してポッドPからウエハWをピックアップし、搬入室20に搬入口26、27を通して搬入(ウエハローディング)し、ウエハWを搬入室用仮置き台25に移載して行く。
この移載作業中には、負圧移載室10側の搬入口22、23はゲートバルブ24によって閉じられており、負圧移載室10の負圧は維持されている。ウエハWの搬入室用仮置き台25への移載が完了すると、正圧移載室40側の搬入口26、27がゲートバルブ28によって閉じられ、搬入室20が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0024】
搬入室20が予め設定された圧力値に減圧されると、負圧移載室10側の搬入口22、23がゲートバルブ24によって開かれるとともに、第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65およびウエハ搬入搬出口77(図2参照)がゲートバルブ78(図2参照)によって開かれる。続いて、負圧移載室10の負圧移載装置12は搬入口22、23を通して搬入室用仮置き台25からウエハWをピックアップして負圧移載室10に搬入する。負圧移載装置12はウエハWを第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65に搬送して、ウエハ搬入搬出口65、77から第一処理ユニット61であるRTP装置70の処理室71へ搬入(ウエハローディング)するとともに、処理室71のリフタピン82の上に移載する。
【0025】
ここで、前記構成に係るRTP装置70の作用を説明する。
【0026】
カップ73の側壁に開設されたウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により開放されると、昇降軸80が昇降駆動装置79によって上限位置に上昇されて、リフタピン82が保持部材101の開口部101aを下から挿通する。続いて、負圧移載装置12によって搬送されて来たウエハWが複数本のリフタピン82の上端間に受け渡される。その後に、リフタピン82にウエハWを受け渡した負圧移載装置12は後退する。続いて、昇降軸80が昇降駆動装置79によって下降されることにより、リフタピン82が保持部材101の下方に引き込まれて、リフタピン82の上のウエハWが四本の支持ピン100の上端間に受け渡される。
ウエハWが支持ピン100の上に受け渡されると、ウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により閉じられる。処理室71が閉じられると、処理室71が排気口76を通じて排気される。
【0027】
ウエハWが四本の支持ピン100の上に受け渡されると、タレット91が内歯平歯車93および原動側平歯車34を介して保持部材回転装置96によって回転される。支持ピン100に保持されたウエハWは保持部材回転装置96によって回転されながら、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86によって加熱される。この加熱中におけるウエハWの温度は放射温度計のプローブ104によって逐次計測され、コントローラへ逐次送信されている。コントローラは放射温度計からの計測結果に基づいてフィードバック制御を実行する。この際、放射率測定装置105からのデータに基づいて測定温度の校正が実施される。
【0028】
保持部材101が保持部材回転装置96によって回転されながら、四本の支持ピン100の上に保持されたウエハWは第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86によって加熱されるため、ウエハWは全面にわたって均等に熱処理される。そして、熱処理レートはウエハWの面内温度分布に依存するため、ウエハWの面内温度分布が全面にわたって均一であれば、ウエハWに施される熱処理状況の面内分布はウエハWの全面にわたって均一になる。
【0029】
予め設定された所定の処理時間が経過すると、処理室71は排気口76によって所定の負圧に排気される。続いて、前述とは逆の手順により、ウエハWはリフタピン82によって支持ピン100の上から所定の間隔だけ浮かされた後に、リフタピン82の上から負圧移載装置12によってピックアップされ、処理室71の外部へ搬出される。
【0030】
ところで、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光がウエハWの上方に漏洩すると、放射温度計のプローブ104およびレファレンスプローブ106がその迷光を拾うために、放射温度計の測定精度が低下してしまう。本実施の形態においては、図4(a)に示されているように、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110はインナプラットホーム98の内周面にウエハWの周辺部に重なるように突設された遮光部99によって遮蔽されるために、上方に漏洩することはない。したがって、放射温度計のプローブ104およびレファレンスプローブ106はウエハWからの放射光111だけを拾うために、放射温度計の測定精度が低下することを防止することができる。また、ウエハWの周辺部下面と遮光部99との間には空間が介在し、この空間に斜めから入射した光112はウエハWの周辺部に照射して加熱するために、ウエハWの周辺部に対する遮光部99による温度低下を防止することができる。さらに、ウエハWはインナプラットホーム98の内周である開口部101aの底部に四本の支持ピン100によって支持されていることにより、ウエハWが反った場合であってもウエハWは開口部101aの深さの範囲に収まるために、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110がウエハWの上方に漏洩するのを防止することができる。ちなみに、ウエハWは第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86によってウエハWの下方から加熱されるために、ウエハWに対する加熱と開口部101aの深さすなわちインナプラットホーム98の側壁の高さとは無関係であり、開口部101aの深さはリフタピン82の昇降範囲や処理室71の構造のみによって制約を受けるものである。
【0031】
なお、図4(b)に示されているように、ウエハWの周辺部下面と遮光部99との間の空間に斜めから入射した一部の光113は、開口部101aの内周面に照射するが、この内周面に光を反射し難い非反射面部114を形成することにより、斜めから開口部101aの内周面に照射した光113がウエハWの上方に反射して迷光になるのを防止することができる。非反射面部114を形成する手段としては、インナプラットホーム98の内周面にシリコンカーバイト(SiC)の被膜を被着する方法等がある。
【0032】
以上のようにしてRTP装置70すなわち第一処理ユニット61において所定の処理が終了すると、成膜済みのウエハWは第一処理ユニット61のリフタピン82から負圧移載装置12によってピックアップされて、負圧に維持されている負圧移載室10に第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65から搬出(ウエハアンローディング)される。処理済みのウエハWが第一処理ユニット61から負圧移載室10に負圧移載装置12によって搬出されると、第一クーリングユニット63のウエハ搬入搬出口67がゲートバルブ67Aによって開かれる。続いて、負圧移載装置12は第一処理ユニット61から搬出したウエハWを第一クーリングユニット63の処理室(冷却室)へウエハ搬入搬出口67を通して搬入するとともに、処理室の基板載置台に移載する。ウエハWの第一処理ユニット61から第一クーリングユニット63への移替え作業が完了すると、第一クーリングユニット63の処理室のウエハ搬入搬出口67がゲートバルブ67Aによって閉じられる。ウエハ搬入搬出口67が閉じられると、第一クーリングユニット63に搬入された成膜済みのウエハは冷却される。
【0033】
第一クーリングユニット63において予め設定された冷却時間が経過すると、前述した第一処理ユニット61の場合と同様にして、冷却済みのウエハWは負圧移載装置12によって第一クーリングユニット63からピックアップされ、負圧に維持されている負圧移載室10に搬出される。冷却済みのウエハWが第一クーリングユニット63から負圧移載室10に搬出されると、搬出口33がゲートバルブ34によって開かれる。続いて、負圧移載装置12は第一クーリングユニット63から搬出したウエハWを負圧移載室10の搬出口33へ搬送し、搬出室30に搬出口33を通して搬出するとともに、搬出室用仮置き台35に移載する。冷却済みのウエハWの第一クーリングユニット63から搬出室30への移替え作業が完了すると、搬出室30の搬出口32、33がゲートバルブ34によって閉じられる。
【0034】
搬出室30の搬出口32、33がゲートバルブ34によって閉じられると、搬出室30の正圧移載室40側の搬出口36、37がゲートバルブ38によって開けられて、搬出室30のロードロックが解除される。搬出室30のロードロックが解除されると、正圧移載室40の搬出室30に対応したウエハ搬入搬出口48がポッドオープナ50によって開かれるとともに、載置台51に載置された空のポッドPのキャップがポッドオープナ50によって開かれる。続いて、正圧移載室40の正圧移載装置42は搬出口37を通して搬出室用仮置き台35からウエハWをピックアップして正圧移載室40に搬出し、正圧移載室40のウエハ搬入搬出口48を通してポッドPに収納(チャージング)して行く。処理済みの二十五枚のウエハWのポッドPへの収納が完了すると、ポッドPのキャップがポッドオープナ50のキャップ着脱機構52によってウエハ出し入れ口に装着され、ポッドPが閉じられる。閉じられたポッドPは載置台51の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
【0035】
以上の作動が繰り返されることにより、ウエハが一枚ずつ順次に処理されて行く。以上の作動は第一処理ユニット61および第一クーリングユニット63が使用される場合を例にして説明したが、第二処理ユニット62および第二クーリングユニット64が使用される場合についても同様の作動が実施される。
【0036】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0037】
1) インナプラットホーム98の内周面にウエハWの周辺部に重なるように遮光部99を突設することにより、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110を遮光部99によって遮蔽して、上方に漏洩するのを防止することができるので、放射温度計のプローブ104およびレファレンスプローブ106はウエハWからの放射光111だけを拾うことになり、放射温度計の測定精度が低下することを防止することができる。
【0038】
2) ウエハWを四本の支持ピン100によって、遮光部99から浮かせて支持することにより、ウエハWの周辺部下面と遮光部99との間には空間が介在し、この空間に斜めから入射した光112がウエハWの周辺部に照射して加熱するために、ウエハWの周辺部に対する遮光部99による温度低下を防止することができる。
【0039】
3) ウエハWをインナプラットホーム98の内周である開口部101aの底部に四本の支持ピン100によって支持することにより、ウエハWが反った場合であってもウエハWは開口部101aの深さの範囲に収まるために、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110がウエハWの上方に漏洩するのを防止することができる。
【0040】
4) 保持部材101の開口部101aの内周面に光を反射し難い非反射面部114を形成することにより、斜めから開口部101aの内周面に照射した光113がウエハWの上方に反射して迷光になるのを防止することができる。非反射面部114を形成する手段としては、インナプラットホーム98の内周面にシリコンカーバイト(SiC)の被膜を被着する方法等がある。
【0041】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0042】
支持ピンは四本に限らず、三本または五本以上に設定してもよい。
【0043】
加熱源としては、加熱ランプを使用するに限らず、抵抗線式ヒータ等を使用してもよい。
【0044】
基板はウエハに限らず、LCD装置(液晶表示装置)の製造工程におけるガラス基板やアレイ基板等の基板であってもよい。
【0045】
前記実施の形態においては枚葉式減圧RTP装置に構成した場合について説明したが、本発明は、常圧RTP装置やプラズマRTP装置、ドライエッチング装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理基板の面内温度分布の均一性を保持することができるとともに、被処理基板の外縁からの迷光の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるマルチチャンバ型処理装置を示す一部切断平面図である。
【図2】RTP装置を示す側面断面図である。
【図3】RTP装置の保持部材の主要部を示しており、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
【図4】(a)は遮光作用および遮光防止作用を示す保持部材の主要部の正面断面図、(b)は非反射作用を示す同じく主要部の正面断面図である。
【符号の説明】
W…ウエハ(基板)、P…ポッド(基板キャリア)、10…負圧移載室(基板移載室)、11…負圧移載室筐体、12…負圧移載装置(ウエハ移載装置)、13…エレベータ、20…搬入室(搬入用予備室)、21…搬入室筐体、22、23…搬入口、24…ゲートバルブ、25…搬入室用仮置き台、26、27…搬入口、28…ゲートバルブ、30…搬出室(搬出用予備室)、31…搬出室筐体、32、33…搬出口、34…ゲートバルブ、35…搬出室用仮置き台、36、37…搬出口、38…ゲートバルブ、40…正圧移載室(ウエハ移載室)、41…正圧移載室筐体、42…正圧移載装置(ウエハ移載装置)、43…エレベータ、44…リニアアクチュエータ、45…ノッチ合わせ装置、47、48、49…ウエハ搬入搬出口、50…ポッドオープナ、51…載置台、52…キャップ着脱機構、61…第一処理ユニット(第一処理部)、62…第二処理ユニット(第二処理部)、63…第一クーリングユニット(第三処理部)、64…第二クーリングユニット(第四処理部)、70…RTP装置(基板処理装置)、71…処理室、72…筐体、73…カップ、74…トッププレート、75…ボトムプレート、76…排気口、77…ウエハ搬入搬出口、78…ゲートバルブ、79…昇降駆動装置、80…昇降軸、81…昇降板、82…リフタピン、83…支持筒、84…冷却プレート、85…第一加熱ランプ群、86…第二加熱ランプ群、87…第一支柱、88…第二支柱、89…電力供給電線、91…タレット、92…ベアリング、93…内歯平歯車、94…原動側平歯車、95…ベアリング、96…保持部材回転装置、97…アウタプラットホーム、98…インナプラットホーム、99…遮光部、100…支持ピン、101…保持部材、101a…開口部、102…原料ガス供給管、103…不活性ガス供給管、104…放射温度計(温度測定装置)のプローブ、105…放射率測定装置、106…レファレンスプローブ、107…レファレンスプローブ用モータ、108…レファレンスランプ、110…加熱ランプからの光、111…ウエハからの放射光、112…斜めから入射した光、113…内周面に照射する光、114…非反射面部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、被処理基板を加熱する技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に成膜やアニール、酸化膜成長および拡散等の各種の熱処理(thermal treatment )を施すのに利用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICの製造方法において成膜やアニール、酸化膜成長および拡散等の各種の熱処理を施す基板処理装置としては、加熱源にタングステン−ハロゲン直線ランプ(以下、加熱ランプという。)を使用したRTP(Rapid Thermal Processing)装置がある。このRTP装置は、被処理基板としてのウエハを収容する処理室と、この処理室においてウエハを保持する保持部材(以下、サセプタという。)と、サセプタの上のウエハをサセプタの下方から加熱する複数本の加熱ランプと、サセプタの上方に設置されてウエハの温度を測定する温度測定装置と、処理室を大気圧よりも若干低めに排気する排気口と、ウエハを保持したサセプタを回転させるサセプタ回転装置とを備えている。そして、従来のこの種のRTP装置としては、温度測定装置に放射温度計を使用したものが、ある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3018246号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した放射温度計を使用したRTP装置においては、加熱ランプからの照射光(可視光線から赤外線領域の電磁波。以下、光という。)が上方に漏れると、その漏れた光(所謂迷光)を放射温度計が拾うために、温度の測定精度が低下するという問題点がある。ところで、このようなRTP装置においては、加熱ランプから照射された光がウエハに効率よく伝わるように、石英等の透光性を有する材料によって透光窓をサセプタに形成して加熱ランプの光をウエハに透過させる場合や、透光孔をサセプタに形成して加熱ランプの光をウエハに直接的に照射させる場合がある。これらの場合には、ウエハの面内温度分布の均一性を保持するためにウエハの全面に加熱ランプの光が照射するように構成する必要がある。同時に、ウエハの外縁からの迷光の発生を防止する必要もある。このような場合において、ウエハの面内温度分布の均一性の保持を優先して、サセプタの透光窓やサセプタの透光孔をウエハの外形に合致させると、ウエハをサセプタに移載する際の僅かな位置ずれや、透光窓や透光孔に僅かな加工誤差が発生した場合であっても、加熱ランプの光がウエハの外縁から漏れるために、放射温度計の測定精度が低下してしまうという問題点がある。逆に、ウエハの外縁からの迷光の発生の防止を優先して、サセプタの透光窓や透光孔をウエハの外形よりも小さめに設定すると、ウエハの周縁部の温度が透光窓や透光孔の周縁部の遮光作用および熱伝導作用によって低下されてしまうために、ウエハの面内温度分布の均一性が低下してしまうという問題点がある。なお、ウエハは昇温すると、反りが発生することが知られているが、ウエハの反りが発生すると、ウエハの外縁に迷光が発生するために、放射温度計の測定精度が低下する。
【0005】
本発明の目的は、被処理基板の面内温度分布の均一性を保持することができるとともに、被処理基板の外縁からの迷光の発生を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る基板処理装置は、被処理基板を収容する処理室と、この処理室に設置されて前記被処理基板を保持する保持部材と、この保持部材の一方側に設置された加熱源と、前記保持部材の他方側に設置されて前記被処理基板の温度を測定する温度測定装置とを備えている基板処理装置であって、
前記保持部材は略円形の開口部と、前記被処理基板の下面の少なくとも三箇所を支持する支持ピンと、前記開口部の内周面から内側に突出した環状の遮光部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
前記した手段によれば、被処理基板の外縁の迷光は遮光部によって遮光することができるので、例えば、放射温度計の測定精度の低下を防止することができる。
この際、被処理基板の外縁と遮光部との間には空間が介在することにより、斜めから入射した光が被処理基板の周辺部を加熱する状態になるために、被処理基板の周辺部の温度低下を防止することができ、被処理基板の面内温度分布の均一性を維持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、マルチチャンバ型処理装置(以下、処理装置という。)として構成されており、この処理装置はICの製造方法にあってウエハに酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁膜を成膜したり、金属とシリコンの合金膜を形成したり、膜中に打ち込まれた不純物原子を活性化させるためのアニール処理を行う工程に使用されるようになっている。なお、本実施の形態に係る処理装置においてはウエハ搬送用のキャリアとしては、FOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという。)が使用されている。また、以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、図1が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後は紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0010】
図1に示されているように、処理装置は大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成された第一のウエハ移載室(以下、負圧移載室という。)10を備えており、負圧移載室10の筐体(以下、負圧移載室筐体という。)11は平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。負圧移載室10の中央部には負圧下でウエハWを移載するウエハ移載装置(以下、負圧移載装置という。)12が設置されており、負圧移載装置12はスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm SCARA)によって構成されており、負圧移載室筐体11の底壁に設置されたエレベータ13によって気密シールを維持しつつ昇降するように構成されている。
【0011】
負圧移載室筐体11の六枚の側壁のうち正面側に位置する二枚の側壁には、搬入用予備室(以下、搬入室という。)20と搬出用予備室(以下、搬出室という。
)30とがそれぞれ隣接して連結されている。搬入室20の筐体(以下、搬入室筐体という。)21と搬出室30の筐体(以下、搬出室筐体という。)31とは、それぞれ平面視が大略四角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されているとともに、負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。互いに隣接した搬入室筐体21の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には搬入口22、23がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬入口23には搬入口22、23を開閉するゲートバルブ24が設置されている。また、互いに隣接した搬出室筐体31の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には、搬出口32、33がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬出口33には搬出口32、33を開閉するゲートバルブ34が設置されている。搬入室20には搬入室用仮置き台25が設置され、搬出室30には搬出室用仮置き台35が設置されている。
【0012】
搬入室20および搬出室30の前側には、大気圧以上の圧力(正圧)を維持可能な構造に構成された第二のウエハ移載室(以下、正圧移載室という。)40が隣接して連結されており、正圧移載室40の筐体(以下、正圧移載室筐体という。
)41は平面視が横長の長方形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
正圧移載室40には正圧下でウエハWを移載する第二のウエハ移載装置(以下、正圧移載装置という。)42が設置されており、正圧移載装置42はスカラ形ロボットによってウエハを搬送し得るように構成されている。正圧移載装置42は正圧移載室40に設置されたエレベータ43によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ44によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0013】
互いに隣接した搬入室筐体21の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬入口26、27がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬入口27には搬入口26、27を開閉するゲートバルブ28が設置されている。互いに隣接した搬出室筐体31の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬出口36、37がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬出口37には搬出口36、37を開閉するゲートバルブ38が設置されている。図1に示されているように、正圧移載室40の左側にはノッチ合わせ装置45が設置されている。
【0014】
図1に示されているように、正圧移載室筐体41の正面壁には三つのウエハ搬入搬出口47、48、49が左右方向に並べられて開設されており、これらのウエハ搬入搬出口47、48、49はウエハWを正圧移載室40に対して搬入搬出し得るように設定されている。これらのウエハ搬入搬出口47、48、49にはポッドオープナ50がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ50はポッドPを載置する載置台51と、載置台51に載置されたポッドPのキャップを着脱するキャップ着脱機構52とを備えており、載置台51に載置されたポッドPのキャップをキャップ着脱機構52によって着脱することにより、ポッドPのウエハ出し入れ口を開閉するようになっている。ポッドオープナ50の載置台51に対してはポッドPが、図示しない工程内搬送装置(RGV)によって供給および排出されるようになっている。したがって、載置台51によってキャリアステージとしてのポッドステージが構成されていることになる。
【0015】
図1に示されているように、負圧移載室筐体11の六枚の側壁のうち背面側に位置する二枚の側壁には、第一処理部としての第一処理ユニット61と、第二処理部としての第二処理ユニット62とがそれぞれ隣接して連結されている。第一処理ユニット61および第二処理ユニット62はいずれも枚葉式減圧RTP装置(以下、RTP装置という。)によってそれぞれ構成されている。また、負圧移載室筐体11における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する二枚の側壁には、第三処理部としての第一クーリングユニット63と、第四処理部としての第二クーリングユニット64とがそれぞれ連結されており、第一クーリングユニット63および第二クーリングユニット64はいずれも処理済みのウエハWを冷却するように構成されている。
【0016】
図2に示されているように、RTP装置70はウエハWを処理する処理室71を形成した筐体72を備えており、筐体72は上下面が開口した円筒形状に形成されたカップ73と、カップ73の上面開口部を閉塞する円盤形状のトッププレート74と、カップ73の下面開口部を閉塞する円盤形状のボトムプレート75とが組み合わされて円筒中空体形状に構築されている。筐体72は様々な金属によって形成することができる。図示しないが、筐体72は周知の循環式冷水フローシステムによって室温程度まで水冷されるように構成されている。カップ73の側壁の一部には排気口76が処理室71の内外を連通するように開設されており、排気口76には処理室71を大気圧未満(以下、負圧という。)に排気し得る排気装置が接続されている。なお、排気口76はボトムプレート75の中心線上にも開設されている。カップ73の側壁の排気口76と反対側の位置には、ウエハWを処理室71に搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口77が開設されており、ウエハ搬入搬出口77はゲートバルブ78によって開閉されるようになっている。
【0017】
ボトムプレート75の下面の中心線上には昇降駆動装置79が設置されており、昇降駆動装置79はボトムプレート75を上下方向に挿通されて摺動自在に支持された昇降軸80を昇降させるように構成されている。昇降軸80の上端には昇降板81が水平に固定されており、昇降板81の上面には複数本(通常は三本または四本)のリフタピン82が垂直に立脚されて固定されており、各リフタピン82は昇降板81の昇降に伴って昇降することにより、ウエハWを下から水平に支持して昇降させるようになっている。
【0018】
ボトムプレート75の上面における昇降軸80の外側には支持筒83が突設されており、支持筒83の上端面の上には冷却プレート84が水平に架設されている。冷却プレート84の上方には複数本の加熱ランプから構成された第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86が、下から順に配置されてそれぞれ水平に架設されており、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86は第一支柱87および第二支柱88によってそれぞれ水平に支持されている。第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86は加熱源としての加熱ランプ(タングステン−ハロゲン直線ランプ)が複数本、互いに平行に配列されて水平にそれぞれ架設されて構成されている。図示しないが、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86には四つのゾーンが、両端から中央にかけてそれぞれ設定されている。第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86は第一ゾーン〜第四ゾーン毎に制御器に並列に接続されており、制御器は後記する放射温度計が接続されたコントローラ(図示せず)によってフィードバック制御されるように構成されている。第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86の電力供給電線89は、ボトムプレート75を挿通して外部に引き出されている。なお、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86やコントローラ等から成るヒータアッセンブリは、放射ピークが0.95μmの波長の放射熱線(光)を照射し、多くの熱を中央部ゾーンよりも周辺部のゾーンに加える加熱プロファイルを呈するように設定されている。
【0019】
処理室71には処理室71の内径よりも小径の外径を有する円筒形状に形成されたタレット91が、同心円に配置されている。タレット91はセラミックやグラファイトより好ましくはシリコングラファイトによって被覆されたグラファイト等が使用されて構成されている。タレット91は円形のリング形状の内歯平歯車93の上面に同心円に配置されて固定されており、内歯平歯車93はボトムプレート75に介設されたベアリング92によって水平に支承されている。内歯平歯車93には原動側平歯車94が噛合されており、原動側平歯車94はボトムプレート75に介設されたベアリング95によって水平に支承されて、ボトムプレート75の下に設置された保持部材回転装置96によって回転駆動されるようになっている。なお、タレット91の回転速度は処理の諸条件に対応して、5〜60rpmに設定することが好ましい。
【0020】
タレット91の上端面の上には円形リング形状に形成されたアウタプラットホーム97が水平に架設されており、アウタプラットホーム97の内側には小径の円形リング形状に形成されたインナプラットホーム98が水平に架設されている。図3に示されているように、インナプラットホーム98の内周の下端部には、円形リング形状の遮光部99が内周面から内側に突出されており、遮光部99の内径はウエハWの外径よりも若干小さめに設定されている。インナプラットホーム98の下面には石英等の透光性を有する材料によって棒形状に形成され凹字形状に屈曲された支持ピン100が四本、遮光部99の内側に突出するように突設されており、四本の支持ピン100の内側の各上端はインナプラットホーム98の上面よりも下方において水平面を構成するように揃えられている。つまり、アウタプラットホーム97、インナプラットホーム98、遮光部99および四本の支持ピン100によって、ウエハWを保持するための保持部材101が構成されており、ウエハWが保持部材101の中央部に形成された開口部101aにおいて四本の支持ピン100によって水平に保持されるようになっている。
【0021】
図2に示されているように、トッププレート74には原料ガス供給管102および不活性ガス供給管103が処理室71に連通するようにそれぞれ接続されている。トッププレート74には温度測定装置としての放射温度計のプローブ104が複数本、互いに半径方向にウエハWの中心から周辺にかけてずらされてそれぞれ配置されウエハWの上面と対向するように挿入されており、放射温度計は複数本のプローブ104がそれぞれ検出した光に基づく計測温度をコントローラに逐次送信するように構成されている。トッププレート74の他の場所にはウエハWの放射率を非接触にて測定する放射率測定装置105が設置されている。放射率測定装置105はレファレンスプローブ106を備えており、レファレンスプローブ106はレファレンスプローブ用モータ107によって垂直面内で回転されるように構成されている。レファレンスプローブ106の上側には参照光を照射するレファレンスランプ108が、レファレンスプローブ106の先端に対向するように設置されている。レファレンスプローブ106は放射温度計に光学的に接続されており、放射温度計はウエハWからの光子密度と、レファレンスランプ108からの参照光の光子密度とを比較することにより、計測温度を校正するようになっている。
【0022】
以下、前記構成に係る処理装置を使用したICの製造方法における成膜工程を説明する。
【0023】
これから成膜すべきウエハWは二十五枚がポッドPに収納された状態で、成膜工程を実施する処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。図1に示されているように、搬送されて来たポッドPは搬入室20におけるポッドオープナ50の載置台51の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッドPのキャップがキャップ着脱機構52によって取り外され、ポッドPのウエハ出し入れ口が開放される。ポッドPがポッドオープナ50により開放されると、正圧移載室40に設置された正圧移載装置42はウエハ搬入搬出口47を通してポッドPからウエハWをピックアップし、搬入室20に搬入口26、27を通して搬入(ウエハローディング)し、ウエハWを搬入室用仮置き台25に移載して行く。
この移載作業中には、負圧移載室10側の搬入口22、23はゲートバルブ24によって閉じられており、負圧移載室10の負圧は維持されている。ウエハWの搬入室用仮置き台25への移載が完了すると、正圧移載室40側の搬入口26、27がゲートバルブ28によって閉じられ、搬入室20が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0024】
搬入室20が予め設定された圧力値に減圧されると、負圧移載室10側の搬入口22、23がゲートバルブ24によって開かれるとともに、第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65およびウエハ搬入搬出口77(図2参照)がゲートバルブ78(図2参照)によって開かれる。続いて、負圧移載室10の負圧移載装置12は搬入口22、23を通して搬入室用仮置き台25からウエハWをピックアップして負圧移載室10に搬入する。負圧移載装置12はウエハWを第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65に搬送して、ウエハ搬入搬出口65、77から第一処理ユニット61であるRTP装置70の処理室71へ搬入(ウエハローディング)するとともに、処理室71のリフタピン82の上に移載する。
【0025】
ここで、前記構成に係るRTP装置70の作用を説明する。
【0026】
カップ73の側壁に開設されたウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により開放されると、昇降軸80が昇降駆動装置79によって上限位置に上昇されて、リフタピン82が保持部材101の開口部101aを下から挿通する。続いて、負圧移載装置12によって搬送されて来たウエハWが複数本のリフタピン82の上端間に受け渡される。その後に、リフタピン82にウエハWを受け渡した負圧移載装置12は後退する。続いて、昇降軸80が昇降駆動装置79によって下降されることにより、リフタピン82が保持部材101の下方に引き込まれて、リフタピン82の上のウエハWが四本の支持ピン100の上端間に受け渡される。
ウエハWが支持ピン100の上に受け渡されると、ウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により閉じられる。処理室71が閉じられると、処理室71が排気口76を通じて排気される。
【0027】
ウエハWが四本の支持ピン100の上に受け渡されると、タレット91が内歯平歯車93および原動側平歯車34を介して保持部材回転装置96によって回転される。支持ピン100に保持されたウエハWは保持部材回転装置96によって回転されながら、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86によって加熱される。この加熱中におけるウエハWの温度は放射温度計のプローブ104によって逐次計測され、コントローラへ逐次送信されている。コントローラは放射温度計からの計測結果に基づいてフィードバック制御を実行する。この際、放射率測定装置105からのデータに基づいて測定温度の校正が実施される。
【0028】
保持部材101が保持部材回転装置96によって回転されながら、四本の支持ピン100の上に保持されたウエハWは第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86によって加熱されるため、ウエハWは全面にわたって均等に熱処理される。そして、熱処理レートはウエハWの面内温度分布に依存するため、ウエハWの面内温度分布が全面にわたって均一であれば、ウエハWに施される熱処理状況の面内分布はウエハWの全面にわたって均一になる。
【0029】
予め設定された所定の処理時間が経過すると、処理室71は排気口76によって所定の負圧に排気される。続いて、前述とは逆の手順により、ウエハWはリフタピン82によって支持ピン100の上から所定の間隔だけ浮かされた後に、リフタピン82の上から負圧移載装置12によってピックアップされ、処理室71の外部へ搬出される。
【0030】
ところで、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光がウエハWの上方に漏洩すると、放射温度計のプローブ104およびレファレンスプローブ106がその迷光を拾うために、放射温度計の測定精度が低下してしまう。本実施の形態においては、図4(a)に示されているように、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110はインナプラットホーム98の内周面にウエハWの周辺部に重なるように突設された遮光部99によって遮蔽されるために、上方に漏洩することはない。したがって、放射温度計のプローブ104およびレファレンスプローブ106はウエハWからの放射光111だけを拾うために、放射温度計の測定精度が低下することを防止することができる。また、ウエハWの周辺部下面と遮光部99との間には空間が介在し、この空間に斜めから入射した光112はウエハWの周辺部に照射して加熱するために、ウエハWの周辺部に対する遮光部99による温度低下を防止することができる。さらに、ウエハWはインナプラットホーム98の内周である開口部101aの底部に四本の支持ピン100によって支持されていることにより、ウエハWが反った場合であってもウエハWは開口部101aの深さの範囲に収まるために、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110がウエハWの上方に漏洩するのを防止することができる。ちなみに、ウエハWは第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86によってウエハWの下方から加熱されるために、ウエハWに対する加熱と開口部101aの深さすなわちインナプラットホーム98の側壁の高さとは無関係であり、開口部101aの深さはリフタピン82の昇降範囲や処理室71の構造のみによって制約を受けるものである。
【0031】
なお、図4(b)に示されているように、ウエハWの周辺部下面と遮光部99との間の空間に斜めから入射した一部の光113は、開口部101aの内周面に照射するが、この内周面に光を反射し難い非反射面部114を形成することにより、斜めから開口部101aの内周面に照射した光113がウエハWの上方に反射して迷光になるのを防止することができる。非反射面部114を形成する手段としては、インナプラットホーム98の内周面にシリコンカーバイト(SiC)の被膜を被着する方法等がある。
【0032】
以上のようにしてRTP装置70すなわち第一処理ユニット61において所定の処理が終了すると、成膜済みのウエハWは第一処理ユニット61のリフタピン82から負圧移載装置12によってピックアップされて、負圧に維持されている負圧移載室10に第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65から搬出(ウエハアンローディング)される。処理済みのウエハWが第一処理ユニット61から負圧移載室10に負圧移載装置12によって搬出されると、第一クーリングユニット63のウエハ搬入搬出口67がゲートバルブ67Aによって開かれる。続いて、負圧移載装置12は第一処理ユニット61から搬出したウエハWを第一クーリングユニット63の処理室(冷却室)へウエハ搬入搬出口67を通して搬入するとともに、処理室の基板載置台に移載する。ウエハWの第一処理ユニット61から第一クーリングユニット63への移替え作業が完了すると、第一クーリングユニット63の処理室のウエハ搬入搬出口67がゲートバルブ67Aによって閉じられる。ウエハ搬入搬出口67が閉じられると、第一クーリングユニット63に搬入された成膜済みのウエハは冷却される。
【0033】
第一クーリングユニット63において予め設定された冷却時間が経過すると、前述した第一処理ユニット61の場合と同様にして、冷却済みのウエハWは負圧移載装置12によって第一クーリングユニット63からピックアップされ、負圧に維持されている負圧移載室10に搬出される。冷却済みのウエハWが第一クーリングユニット63から負圧移載室10に搬出されると、搬出口33がゲートバルブ34によって開かれる。続いて、負圧移載装置12は第一クーリングユニット63から搬出したウエハWを負圧移載室10の搬出口33へ搬送し、搬出室30に搬出口33を通して搬出するとともに、搬出室用仮置き台35に移載する。冷却済みのウエハWの第一クーリングユニット63から搬出室30への移替え作業が完了すると、搬出室30の搬出口32、33がゲートバルブ34によって閉じられる。
【0034】
搬出室30の搬出口32、33がゲートバルブ34によって閉じられると、搬出室30の正圧移載室40側の搬出口36、37がゲートバルブ38によって開けられて、搬出室30のロードロックが解除される。搬出室30のロードロックが解除されると、正圧移載室40の搬出室30に対応したウエハ搬入搬出口48がポッドオープナ50によって開かれるとともに、載置台51に載置された空のポッドPのキャップがポッドオープナ50によって開かれる。続いて、正圧移載室40の正圧移載装置42は搬出口37を通して搬出室用仮置き台35からウエハWをピックアップして正圧移載室40に搬出し、正圧移載室40のウエハ搬入搬出口48を通してポッドPに収納(チャージング)して行く。処理済みの二十五枚のウエハWのポッドPへの収納が完了すると、ポッドPのキャップがポッドオープナ50のキャップ着脱機構52によってウエハ出し入れ口に装着され、ポッドPが閉じられる。閉じられたポッドPは載置台51の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
【0035】
以上の作動が繰り返されることにより、ウエハが一枚ずつ順次に処理されて行く。以上の作動は第一処理ユニット61および第一クーリングユニット63が使用される場合を例にして説明したが、第二処理ユニット62および第二クーリングユニット64が使用される場合についても同様の作動が実施される。
【0036】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0037】
1) インナプラットホーム98の内周面にウエハWの周辺部に重なるように遮光部99を突設することにより、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110を遮光部99によって遮蔽して、上方に漏洩するのを防止することができるので、放射温度計のプローブ104およびレファレンスプローブ106はウエハWからの放射光111だけを拾うことになり、放射温度計の測定精度が低下することを防止することができる。
【0038】
2) ウエハWを四本の支持ピン100によって、遮光部99から浮かせて支持することにより、ウエハWの周辺部下面と遮光部99との間には空間が介在し、この空間に斜めから入射した光112がウエハWの周辺部に照射して加熱するために、ウエハWの周辺部に対する遮光部99による温度低下を防止することができる。
【0039】
3) ウエハWをインナプラットホーム98の内周である開口部101aの底部に四本の支持ピン100によって支持することにより、ウエハWが反った場合であってもウエハWは開口部101aの深さの範囲に収まるために、第一加熱ランプ群85および第二加熱ランプ群86からの光110がウエハWの上方に漏洩するのを防止することができる。
【0040】
4) 保持部材101の開口部101aの内周面に光を反射し難い非反射面部114を形成することにより、斜めから開口部101aの内周面に照射した光113がウエハWの上方に反射して迷光になるのを防止することができる。非反射面部114を形成する手段としては、インナプラットホーム98の内周面にシリコンカーバイト(SiC)の被膜を被着する方法等がある。
【0041】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0042】
支持ピンは四本に限らず、三本または五本以上に設定してもよい。
【0043】
加熱源としては、加熱ランプを使用するに限らず、抵抗線式ヒータ等を使用してもよい。
【0044】
基板はウエハに限らず、LCD装置(液晶表示装置)の製造工程におけるガラス基板やアレイ基板等の基板であってもよい。
【0045】
前記実施の形態においては枚葉式減圧RTP装置に構成した場合について説明したが、本発明は、常圧RTP装置やプラズマRTP装置、ドライエッチング装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理基板の面内温度分布の均一性を保持することができるとともに、被処理基板の外縁からの迷光の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるマルチチャンバ型処理装置を示す一部切断平面図である。
【図2】RTP装置を示す側面断面図である。
【図3】RTP装置の保持部材の主要部を示しており、(a)は平面図、(b)は側面断面図である。
【図4】(a)は遮光作用および遮光防止作用を示す保持部材の主要部の正面断面図、(b)は非反射作用を示す同じく主要部の正面断面図である。
【符号の説明】
W…ウエハ(基板)、P…ポッド(基板キャリア)、10…負圧移載室(基板移載室)、11…負圧移載室筐体、12…負圧移載装置(ウエハ移載装置)、13…エレベータ、20…搬入室(搬入用予備室)、21…搬入室筐体、22、23…搬入口、24…ゲートバルブ、25…搬入室用仮置き台、26、27…搬入口、28…ゲートバルブ、30…搬出室(搬出用予備室)、31…搬出室筐体、32、33…搬出口、34…ゲートバルブ、35…搬出室用仮置き台、36、37…搬出口、38…ゲートバルブ、40…正圧移載室(ウエハ移載室)、41…正圧移載室筐体、42…正圧移載装置(ウエハ移載装置)、43…エレベータ、44…リニアアクチュエータ、45…ノッチ合わせ装置、47、48、49…ウエハ搬入搬出口、50…ポッドオープナ、51…載置台、52…キャップ着脱機構、61…第一処理ユニット(第一処理部)、62…第二処理ユニット(第二処理部)、63…第一クーリングユニット(第三処理部)、64…第二クーリングユニット(第四処理部)、70…RTP装置(基板処理装置)、71…処理室、72…筐体、73…カップ、74…トッププレート、75…ボトムプレート、76…排気口、77…ウエハ搬入搬出口、78…ゲートバルブ、79…昇降駆動装置、80…昇降軸、81…昇降板、82…リフタピン、83…支持筒、84…冷却プレート、85…第一加熱ランプ群、86…第二加熱ランプ群、87…第一支柱、88…第二支柱、89…電力供給電線、91…タレット、92…ベアリング、93…内歯平歯車、94…原動側平歯車、95…ベアリング、96…保持部材回転装置、97…アウタプラットホーム、98…インナプラットホーム、99…遮光部、100…支持ピン、101…保持部材、101a…開口部、102…原料ガス供給管、103…不活性ガス供給管、104…放射温度計(温度測定装置)のプローブ、105…放射率測定装置、106…レファレンスプローブ、107…レファレンスプローブ用モータ、108…レファレンスランプ、110…加熱ランプからの光、111…ウエハからの放射光、112…斜めから入射した光、113…内周面に照射する光、114…非反射面部。
Claims (1)
- 被処理基板を収容する処理室と、この処理室に設置されて前記被処理基板を保持する保持部材と、この保持部材の一方側に設置された加熱源と、前記保持部材の他方側に設置されて前記被処理基板の温度を測定する温度測定装置とを備えている基板処理装置であって、
前記保持部材は略円形の開口部と、前記被処理基板の下面の少なくとも三箇所を支持する支持ピンと、前記開口部の内周面から内側に突出した環状の遮光部とを備えていることを特徴とする基板処理装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010086985A (ja) * | 2008-09-29 | 2010-04-15 | Hitachi Kokusai Electric Inc | 基板処理装置 |
US20150131699A1 (en) * | 2013-11-12 | 2015-05-14 | Applied Materials, Inc. | Pyrometer background elimination |
WO2023134007A1 (zh) * | 2022-01-14 | 2023-07-20 | 长鑫存储技术有限公司 | 半导体设备及其处理方法、温度测量方法 |
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2003
- 2003-06-20 JP JP2003176371A patent/JP2005012073A/ja active Pending
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