JP2005011911A - 加熱装置及び加熱方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が簡単で、被処理体の温度の面内均一性を高い精度で維持しつつ、しかも被処理体の上面に悪影響を与えることなく加熱処理することができる加熱装置を提供する。
【解決手段】被処理体Wを所定の温度に加熱処理するための加熱装置2において、前記被処理体を収容する処理容器4と、前記被処理体の周縁部を保持する保持手段8と、加熱気体を発生する加熱気体発生手段20と、前記加熱気体を前記被処理体の下面に均一に分散させて吹き付けるための気体分散手段16と、を備える。これにより、被処理体の周縁部を保持した状態でこの被処理体の下面に加熱気体を均一に分散させて吹き付けるようにしたので、上記被処理体をこの面内温度の均一性が高い状態で加熱することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体を加熱処理する加熱装置及び加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体製品の製造工程においては、フォトリソグラフィー技術を用いて回路パターンを縮小してフォトレジストに転写し、これを現像処理することなどが行われている。
このような処理を行う場合には、フォトリソグラフィー技術を実行する各工程、例えば疎水化処理工程、レジスト塗布工程、現像工程、ベーキング工程、クーリング工程等を実施する複数の処理装置が、作業効率の向上の目的で集合させて結合されている。
【0003】
この場合、半導体ウエハの表面に塗布されたレジスト中に残留する溶剤を加熱蒸発させて焼き固めるプリベーク用の加熱装置や、現像後のレジスト中に残留する現像液を加熱蒸発させるポストベーク用の加熱装置が多段に段積みさせて設けられている(例えば特許文献1)。尚、上記両加熱装置が共用される場合もある。
このような加熱装置は、例えば内部に抵抗加熱ヒータを内蔵したSiC等のセラミック板よりなるホットプレートを有しており、このホットプレート上に例えば上面にレジスト膜が塗布された半導体ウエハを載置し、これを例えば150℃程度に所定の時間維持してレジスト膜を焼き固めるようになっている。
【0004】
また他の加熱装置として、ガスにより半導体ウエハを浮上させつつこれを加熱する目的で、半導体ウエハの上下の両面より加熱ガスを流すようにした加熱装置も知られている。
この場合、レジスト膜の厚さやその面内均一性を高い精度で維持する必要があるので、半導体ウエハの加熱時の温度精度や温度の面内均一性を精度良く制御しなければならない。そのため、上記ホットプレートは平面的に複数、例えば十数の加熱ゾーンに予め分割されており、各加熱ゾーン毎に熱電対を設けて、この熱電対の温度検出値に基づいて各加熱ゾーンに対して個別独立的に加熱ヒータを制御することにより、精度の高い温度制御を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように従来の加熱装置にあってはホットプレートを多数の加熱ゾーンに分割して各加熱ゾーン毎に精度の高い温度制御を行うことから、構造自体が非常に複雑になり、コスト高を招来する、といった不都合があった。
更には、構造自体が複雑なことから、装置自体の重量もかなり増大する、といった不都合があった。
また加熱ガスを用いた加熱装置では、加熱ガスがレジスト膜に吹き付けられることから、レジスト膜の厚さや膜厚の面内均一性に悪影響を与える、といった不都合があった。
【0006】
上記したような不都合は、ウエハサイズが200mmから300mmへ更に大型化し、また線幅もより微細化し、膜厚自体の薄膜化も更に要請される今日において、特に大きな課題となってきている。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、構造が簡単で、被処理体の温度の面内均一性を高い精度で維持しつつ、しかも被処理体の上面に悪影響を与えることなく加熱処理することができる加熱装置及び加熱方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、被処理体を所定の温度に加熱処理するための加熱装置のおいて、前記被処理体を収容する処理容器と、前記被処理体の周縁部を保持する保持手段と、加熱気体を発生する加熱気体発生手段と、前記加熱気体を前記被処理体の下面に均一に接触させるための気体分散手段と、を備えたことを特徴とする加熱装置である。
このように、被処理体の周縁部を保持した状態でこの被処理体の下面に加熱気体を均一に接触させるようにしたので、上記被処理体をこの面内温度の均一性が高い状態で加熱することが可能となる。また、加熱気体を発生させる加熱気体発生手段の構造は簡単なので装置の全体構成を簡単化でき、その分、コストを大幅に削減することが可能となる。
【0008】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記被処理体の下面を支持しつつ昇降させる昇降手段を有する。
また例えば請求項3に規定するように、前記保持手段は、前記被処理体の大きさよりも僅かに小さくなされた開口を有し、前記開口を区画する端部の上面で前記被処理体の周縁部の下面と面接触して前記被処理体を保持する保持板よりなる。
また例えば請求項4に規定するように、前記保持板は前記被処理体を保持することで前記処理容器内を上部の処理室と下部の加熱気体室とに分離区画する。
また例えば請求項5に規定するように、前記加熱気体室を区画する区画壁には、気体を通すための気体流通口が形成されている。
【0009】
また例えば請求項6に規定するように、前記処理室内は、前記加熱気体室に対して陽圧状態になされている。
このように処理室内をこの下方の加熱気体室に対して陽圧状態に設定することにより、加熱気体が処理室内側へ流入することを阻止することが可能となる。
また例えば請求項7に規定するように、前記気体分散手段は、前記加熱気体室内に前記被処理体に対して対向配置させて設けられた平面状の分散部材よりなる。
また例えば請求項8に規定するように、前記加熱気体発生手段は、加熱ヒータ部と、前記加熱ヒータ部に対して気体を送る送風機構と、を有している。
【0010】
また例えば請求項9に規定するように、前記加熱ヒータ部は、前記分散部材の直下に設置される。
また例えば請求項10に規定するように、前記加熱ヒータ部の直下には、前記加熱ヒータ部へ送って供給する気体を平面方向において分散させて均一化する補助分散部材が設けられる。
このように加熱ヒータ部の直下に補助分散部材を設けるようにしたので、加熱気体を一層均一的に分散化した上で被処理体に接触させることが可能となる。
【0011】
また例えば請求項11に規定するように、前記分散部材には、前記被処理体に接触された加熱気体を排気するための複数の排気筒が平面方向に分散させて設けられる。
このように、被処理体に接触させた加熱気体を、分散部材に分散させて設けた複数の排気筒を介して排出するようにしたので、被処理体の下方における加熱気体の流出する状態が均一化され、このため、被処理体温度の面内均一性を一層向上させることができる。
【0012】
また例えば請求項12に規定するように、前記被処理体に接触される加熱気体の温度を検出するための温度検出手段と、該温度検出手段の検出値に基づいて前記加熱気体発生手段を制御する加熱気体制御手段と、を備える。
これにより、温度検出手段で検出した加熱気体の検出値に基づいて加熱気体発生手段を制御して加熱気体の温度をコントロールするようにしたので、被処理体の加熱温度を精度良く維持することが可能となる。
また例えば請求項13に規定するように、前記被処理体の加熱処理後に、前記被処理体の下面側に冷却気体を流すための冷却手段を有する。
これにより、加熱処理後の被処理体を、保持手段から移動させることなくそのままの状態で、迅速に冷却することが可能となる。
【0013】
また例えば請求項14に規定するように、前記被処理体の上面には、フォトレジスト膜が塗布されている。
請求項15に係る発明は、上記加熱装置で行われる加熱方法の発明であり、すなわち、被処理体を加熱処理する加熱方法において、前記被処理体の周縁部の下面を支持しつつ前記被処理体の上面側に廻り込まないような状態で前記下面に加熱気体を接触させて前記被処理体を加熱するようにしたことを特徴とする加熱方法である。
この場合、例えば請求項16に規定するように、前記加熱処理後に、前記被処理体の下面側に冷却気体を通すようにする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る加熱装置及び加熱方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<第1実施例>
図1は本発明の加熱装置の第1実施例を示す構成図、図2は図1中の保持手段を示す平面図である。
図示するように、この加熱装置2は、例えばアルミニウム等により成形された断面四角形状の処理容器4を有している。この処理容器4内には、被処理体である例えば半導体ウエハWの周縁部を保持するための保持手段6が設けられる。具体的には、この保持手段6は、例えばプラスチック製の保持板8よりなり、この中央部にはその直径がウエハWの直径、例えば300mmよりも僅かに、例えば6mm程度だけ小さくなされた略円形の開口10が形成されている。そして、この開口10を区画する保持板8の端部8Aの上面で、上記ウエハWの周縁部の下面と面接触して上記ウエハWを保持するようになっている。
【0015】
このように上記保持板8がウエハWを保持することで、この処理容器4内を上部の処理室Sと下部の加熱気体室Hとに上下に2つの室に分離区画するようになっている。この場合、上記ウエハWの周縁部の下面は、その周方向の全周に亘って上記端部8Aの上面と面接触しており、この下方の加熱気体室H内の気体(加熱気体)が上方の処理室S内側へは、容易には洩れないようになっている。また上記処理室Sを区画する側壁には、上記ウエハWを搬出入する際に開閉されるドア12が、例えば昇降可能に設けられる。
そして、上記加熱気体室H内には、加熱気体を平面方向に均一に分散させてウエハWの下面に接触させるための気体分散手段16が設けられる。具体的には、この気体分散手段16は、上記ウエハWに対して略平行に対向配置させてウエハ下面の全面をカバーできるようになされた平面状の分散部材18よりなり、この分散部材18は上下方向へ気体を分散させつつ通すことができる構造になっている。図示例では上記分散部材18は、上記加熱気体室H内を更に上下に2つに区画するように平面方向へ全面に亘って設けられている。
【0016】
この分散部材18は、その厚さが例えば5mm程度に設定されており、厚さ方向へ気体を容易に通すことができる発泡石英や、多数の通気孔が形成されたパンチングメタル、短いフィンをねじりを加えながら平面状に多数配列してなるフィン群等により形成することができる。図示例の場合には、分散部材18として発泡石英を用いた場合を記載している。特に、分散部材18として発泡石英を用いた場合には、その通気方向があらゆる方向に向いているので通過した加熱気体は乱流状態になされ、この乱流状態でウエハWの下面に接触されることになるので、ウエハ温度の面内均一性の向上の観点からは好ましい。
【0017】
そして、この処理容器4には、上記ウエハWを加熱するための加熱気体を発生する加熱気体発生手段20が設けられる。具体的には、上記分散部材18の下方の領域を区画する側壁には、ガス導入通路22に接続されたガス導入口24が設けられており、上記加熱気体発生手段20は、上記ガス導入通路22の途中に介設された加熱ヒータ部26と送風機構28とにより主に構成されている。ここでは加熱されるべき気体として、N ガス等の不活性ガスや清浄空気が使用される。
上記加熱ヒータ部26では、加熱室30内に例えばカーボンワイヤよりなる抵抗加熱ヒータ26Aを配置しており、ここを流れる気体を加熱して加熱気体を形成できるようになっている。尚、この加熱ヒータ部26として、例えば耐熱性の加熱室30内に詰物を充填し、この加熱室30の外側に抵抗加熱ヒータ26Aを配置して上記詰物間を流れる気体を加熱するようにしてもよく、これによれば金属汚染等のより少ない加熱気体を形成できる。
【0018】
また送風機構28としては、例えば送風ファンを用いて加熱すべき気体を加熱室30及び加熱気体室H側へ順次送風される。この場合、気体としてN ガス等を用いてガス源からの圧力により気体自体を流すことができる場合には、上記送風機構28を設けなくてもよい。またこのガス導入通路22の上流側には、この流路面積を制御して加熱気体の流量を制御する流量制御弁32が設けられる。
またウエハWの下方には、この下面を支持しつつ昇降させる昇降手段34が設けられる。具体的には、この昇降手段34は、上記分散部材16を貫通させて昇降可能になされた複数、例えば3本(図1では2本のみ記載)のリフトピン36を有しており、各リフトピン36の基部は例えばリング状に形成された昇降リング38に接続される。そして、この昇降リング38は、処理容器4の底部を貫通して設けた作動ロッド40に接続されており、この作動ロッド40を昇降させることにより、上記リフトピン36の上端でウエハWの下面を支持しつつこれを昇降させてウエハの移載ができるようになっている。尚、この処理容器4内は、それ程気密性は必要とされないので、上記作動ロッド40の貫通部にはベローズを設ける必要はない。また、この作動ロッド40を処理容器4の側壁の外側へ設けるようにすれば、この加熱装置自体を複数個段積みして設ける場合に、作動ロッド40が障害とならないので有利である。
【0019】
また、上記分散部材18の上方における加熱気体室Hを区画する区画壁(側壁)には、複数、図示例では対向させて2個の気体流通口42が設けられている。この気体流通口42は、本実施例ではウエハWを加熱した加熱気体を排気するガス排気口としての機能と、加熱されたウエハWを冷却する際に冷却気体を導入するガス導入口としての機能を併せ持つようになっている。この気体流通口42の数は2つに限定されず、処理容器4の周方向に沿って例えば等間隔で3つ以上設けるようにして、均等に加熱気体を排気したり、冷却気体を導入できるようにしてもよい。従って、上記気体流通口42は、冷却手段としても機能することになる。ここで冷却気体としては、周囲の室温の清浄空気を取り込むようにしてもよいし、或いは冷却された清浄空気、不活性ガス等を用いるようにしてもよい。
【0020】
また、上記分散部材18の下方における加熱気体室Hを区画する区画壁(側壁)には、上記冷却気体を排気する排気口44が設けられており、この排気口44には排気通路46が接続されている。そして、この排気通路46には開閉弁48が介設されており、不使用時には、この開閉弁48を閉じるようになっている。この排気通路46は工場排気ダクト等へ連通されることになる。
また、上記処理室Sを区画する区画壁には、この中へ気体を導入する気体導入口50と気体を排気する気体排気口52とが設けられる。上記気体導入口50には途中に例えばマスフローコントローラのような流量制御器54を介設した気体導入通路56が接続されており、N ガス等の不活性ガスや清浄空気を流量制御しつつ供給できるようになっている。尚、この気体導入口50より周囲の清浄気体を導入するようにしてもよい。
【0021】
また上記気体排気口52には、例えば工場排気ダクトが接続されており、処理室S内の雰囲気を自然排気できるようになっている。尚、この気体排気口52に排気ファン等を設けてより強制的に排気するようにしてもよい。
また上記半導体ウエハWの直下には、下方の分散部材18を通過して乱流状態で上昇してくる加熱気体の温度を検出するための例えば熱電対よりなる温度検出手段58が設けられており、この検出値に基づいて例えばマイクロコンピュータ等よりなる加熱気体制御手段60は上記加熱気体発生手段20の抵抗加熱ヒータ26Aへの供給電力を制御し、加熱気体の温度をコントロールするようになっている。
【0022】
次に、以上のように構成された第1実施例の動作について説明する。
まず、表面にフォトレジスト膜が塗布された半導体ウエハWを、図示しない搬送アームにより開放されたドア12を介して処理容器4内の処理室Sに搬入し、リフトピン36を上昇させることにより上記ウエハWをこのリフトピン36で受け取り、更に、搬送アームを後退させた後に、このリフトピン36を降下させて、図1に示すようにウエハWを、保持手段6の保持板8で保持する。この際、保持板8の開口10を区画する端部8Aの上面がウエハWの周縁部の裏面とその周方向に沿ってリング状に面接触した状態でウエハWを支持することになる。
【0023】
次に、ガス導入通路22へは、加熱気体発生手段20の送風機構28が動作することにより、清浄空気やN ガス等の不活性ガスよりなる気体G1が流れ、この気体G1は加熱ヒータ部26の加熱室30にて抵抗加熱ヒータ26Aによって、所定の温度に加熱昇温されて加熱気体G2となってガス導入口24より加熱気体室H内の底部に供給される。この加熱気体G2はこの加熱気体室H内を拡散しつつ上昇し、気体分散手段16の通気性に優れた分散部材18を通過した後に、上記ウエハWの下面に接触されてこのウエハWを加熱することになる。この際、上記分散部材18の通気方向はあらゆる方向に向いているので、これを通過した加熱気体は乱流状態になされた状態でウエハWの下面に接触されることになり、ウエハWの温度の面内均一性を高く維持した状態でこれを加熱することができる。またこの際、ウエハWの周縁部の下面は、保持板8の開口部10の端部8Aの上面と、面接触状態になっているのでここで封止されており、加熱気体が処理室S側に廻り込むことがなく、従って、ウエハWの上面に塗布したフォトレジスト膜に加熱気体が直接当たることがなくなって、フォトレジスト膜が悪影響を受けることを防止できる。
【0024】
そして、上記ウエハWの下面に接触された加熱気体は、加熱気体室H内の上部側壁に設けた気体流通口42を介して排気ガスG3として排出されることになり、最終的には、工場排気ダクト等を介して系外へ放出される。尚、ここでは冷却気体の流れる排気通路46の開閉弁48は閉状態としておく。ここで気体通気口42は、処理容器4の周方向に沿って複数個設けられているので、加熱気体はそれ程偏流を生ずることなく排気されるので、ウエハ面内温度の均一性に悪影響を与えることを防止できる。
この時のウエハWの加熱温度は、例えば90〜250℃の範囲内の温度であり、分散部材18を通過した加熱気体の温度は熱電対よりなる温度検出手段58により検出されており、この検出値に基づいて加熱気体制御手段60は抵抗加熱ヒータ26Aへ供給する電力を制御し、上記加熱気体の温度を上記90〜250℃の範囲内の所望する一定温度、例えば150℃を維持するようになっている。
【0025】
このように所定の時間、例えば90秒程だけウエハWを加熱処理することによってフォトレジスト膜は焼き固められることになる。この加熱処理の期間、ウエハWの上面側の処理室S内へはN ガス等の不活性ガスや清浄空気よりなる気体が導入されると共に、この気体はフォトレジスト膜より発生する溶剤ガス等を伴って気体排気口52より工場排気ダクト側へ自然排気、或いは排気ファン等を用いて強制排気するようになっている。この場合、導入する気体の流量は流量制御器54により制御されており、処理室S内の雰囲気の温度や湿度が略一定値を維持するようにコントロールされている。この際、下方の加熱気体室Hに対して上方の処理室S内を例えば50Pa程度の僅かな圧力だけ陽圧状態にしておけば、加熱気体が処理室S内に流れ込むことを確実に防止することができる。
以上のようにして加熱処理が終了してフォトレジスト膜を焼き固めたならば、次に冷却工程へ移行する。
【0026】
まず、抵抗加熱ヒータ20Aへ供給していた電力を停止すると共に、ガス導入通路22内の流量制御弁32を閉状態にして、加熱気体G2の供給を停止する。これと同時に、今まで加熱気体を排出していた気体流通口42から冷却気体C1を導入すると共に、排気通路46の開閉弁48を開状態にし、この排気通路46を介して上記冷却気体を系外へ排出する。これにより、ウエハWの下面側の加熱気体室H内に冷却気体が流れ込み、ウエハWをこの下面側から冷却することになる。そして、この冷却気体は、分散部材18をその上方より下方に通過して排気口44から排気される。
この際、排気通路46からは工場排気ダクトによる自然排気で排気してもよいし、排気口44の直ぐ下流側に排気ファンを設けて、より強制的に排気するようにしてもよい。また、気体流通口42から導入する冷却気体は、周囲雰囲気の室温度程の清浄空気でもよいし、積極的に低温に冷却した低温の冷却気体でもよい。
【0027】
このように、本実施例によれば、従来の加熱装置で用いたような複数の加熱ゾーンによる複雑な加熱制御を行うことなく、ウエハWの温度の面内均一性を高く維持した状態でこれを加熱処理することができる。また、ウエハWの上面側に加熱気体が流れ込んだり、吹き付けられたりすることがないので、例えば外的影響を容易に受け易いフォトレジスト膜に悪影響を与えることなくこれを焼き固めることができ、フォトレジスト膜の厚さの面内均一性を高めることができる。
図1に示す構成では、処理容器4の下部側壁にガス導入口24を設けたが、加熱気体の拡散を促進させるために、このガス導入口24を処理容器4の底部の略中心部に設けるようにしてもよいし、或いは加熱気体室H内の底部に図3に示すように、ガス導入通路22に接続したリング状の気体噴射管62を設置し、この気体噴射管62に沿って多数設けた気体噴射孔62Aから加熱すべき気体を噴射させるようにしてもよい。これによれば、加熱気体の分散を一層促進させることができる。
【0028】
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図1に示す第1実施例では加熱気体発生手段20の抵抗加熱ヒータ26Aを処理容器4の外側に配置し、ガス導入管22の途中に介設するようにしたが、これに限定されず、この抵抗加熱ヒータ26Aを処理容器4内へ設置するようにしてもよい。
図4はこのような本発明の加熱装置の第2実施例を示す構成図、図5は抵抗加熱ヒータを示す平面図である。尚、図1に示す構成部分と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、この第2実施例では、分散部材18の直下に加熱ヒータ部26を構成する抵抗加熱ヒータ26Aを水平に配置している。この抵抗加熱ヒータ26Aは図5にも示すように、ウエハWの下面の略全域をカバーできるように、例えば蛇行状に屈曲して平面的に形成されている。更に、この抵抗加熱ヒータ26Aの直下には、補助分散部材64が設けられる。具体的には、この補助分散部材64は、例えば複数の通気孔64Aが平面的に均等に形成されてなるパンチングメタル等を用いることができ、これにより、ガス導入口24側より導入された加熱すべき気体G1を略均等に分散させた状態で抵抗加熱ヒータ26A側へ送り込むことができるようになっている。上記補助分散部材64としては、パンチングメタルのみならず、この上方に設置した分散部材18と同様な構成のもの、例えば薄い通気性に優れた気泡石英板等を用いることができる。尚、第1実施例で説明した変形の態様は、この第2実施例においても全て適用することができる。
【0030】
この第2実施例の場合にも第1実施例の場合と同様な作用効果を発揮することができ、例えば従来の加熱装置で用いたような複数の加熱ゾーンによる複雑な加熱制御を行うことなく、ウエハWの温度の面内均一性を高く維持した状態でこれを加熱処理することができる。また、ウエハWの上面側に加熱気体が流れ込んだり、吹き付けられたりすることがないので、例えば外的影響を容易に受け易いフォトレジスト膜に悪影響を与えることなくこれを焼き固めることができ、フォトレジスト膜の厚さの面内均一性を高めることができる。
【0031】
またこの第2実施例の場合には抵抗加熱ヒータ26Aの直下に補助分散部材64を設けるようにしているので、導入された加熱されるべき気体G1の分散を促進することができ、その分、ウエハ温度の面内均一性を一層高めることができる。尚、この補助分散部材64を第1実施例の加熱装置にも設けるようにしてもよい。
またこの第2実施例の場合には、ウエハWの冷却時に、抵抗加熱ヒータ26Aの残熱が冷却気体によって下方向へ向けて排出されるので、抵抗加熱ヒータ26Aの残熱がウエハWの冷却効率に悪影響を与えることを防止することができる。ここでは分散部材18の下方における処理容器4の側壁にガス導入口24と排気口44とを別々に設けているが、これらのいずれか一方の開口のみ、例えばガス導入口24を設け、これに接続されるガス導入管22を直ちに2つに分岐して分岐管の他方に開閉弁48の介設された排気通路46を接続するようにしてもよい。尚、この点の構造に関しては、図1に示す第1実施例のおいても適用することができる。
【0032】
<第3実施例>
次に、本発明の第3実施例について説明する。
図1に示す第1実施例及び図4に示す第2実施例ではウエハWの下面に当たった加熱気体をウエハWの半径方向の外方に向けて水平方向に流れるようにして、処理容器4の側壁に設けた気体流通口42より直接的に容器外へ排出するようにしたが、これに限定されず、ウエハWの下面に当たった加熱気体を下方向へ反転させて排気するようにしてもよい。図6はこのような本発明の加熱装置の第3実施例を示す構成図である。尚、図1に示す構成部分と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図6に示すように、この第3実施例では、気体分散手段16を構成する平板状の分散部材18に、これを上下方向に貫通するようにして複数の排気筒70が平面方向に分散させて設けられている。具体的には、この排気筒70は、例えば内径が10mm程度のアルミニウム管等により形成されており、この排気筒70を分散部材18の面内方向に略均一に分散させて配置している。そして、各排気筒70の下端部は、処理容器4内の下部に設けた例えばアルミニウム製の中空円板状の気体集合ヘッダ72に連通されると共に、この気体集合ヘッダ72の側壁に、容器側壁を貫通させて設けた排気通路46を接続して排気するようになっいる。この場合、気体集合ヘッダ72の直径を比較的小さく設定してこの加熱気体室H内を上昇する加熱気体の流れを阻害しないようにするのが好ましい。
【0034】
この第3実施例の場合には、加熱気体室H内へ導入された加熱気体G2は分散部材18を上方へ通過して乱流化されてウエハWの下面に接触された後、下方向へ反転して反転加熱気体G4となって近傍の排気筒70内を流下し、気体集合ヘッダ72に流れ込む。そして、この気体集合ヘッダ72内の気体は、排気通路46を介して系外へ排出されることになる。尚、ここでは気体流通口42は、ウエハの加熱処理時には例えば閉じておき、これより加熱気体が流出しないようにする。
また加熱処理が終了して冷却工程を行う場合には、気体流通口42を開状態とし、これより冷却気体を導入し、この冷却気体をウエハWの下面側に流してウエハWを冷却した後、加熱気体の場合と同様に上記各排気筒70を介して気体集合ヘッダ72及び排気通路46を介して系外へ排出する。尚、第1実施例及び第2実施例で説明した変形の態様は、この第2実施例において全て適用することができる。
【0035】
この第3実施例の場合にも第1実施例の場合と同様な作用効果を発揮することができ、例えば従来の加熱装置で用いたような複数の加熱ゾーンによる複雑な加熱制御を行うことなく、ウエハWの温度の面内均一性を高く維持した状態でこれを加熱処理することができる。また、ウエハWの上面側に加熱気体が流れ込んだり、吹き付けられたりすることがないので、例えば外的影響を容易に受け易いフォトレジスト膜に悪影響を与えることなくこれを焼き固めることができ、フォトレジスト膜の厚さの面内均一性を高めることができる。
【0036】
またこの第3実施例の場合には、ウエハWの下面に接触させた加熱気体を、分散部材18に分散させて設けた多数の排気筒70及び気体集合ヘッダ72を介して排出するようにしたので、ウエハWの下方における加熱気体の流出状態を面内方向において均一化させることができ、このためウエハ温度の面内均一性を一層向上させることができる。
以上の各実施例では、加熱処理としてウエハWの上面に塗布したフォトレジスト膜を加熱処理して焼き固める場合を例にとって説明したが、これに限定されず、他の加熱処理の場合にも本発明を適用することができる。また被処理体としても半導体ウエハに限定されず、ガラス基板、LCD基板等の場合にも本発明を適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の加熱装置及び加熱方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1〜5、7〜9、14、15に係る発明によれば、被処理体の周縁部を保持した状態でこの被処理体の下面に加熱気体を均一に分散させて接触させるようにしたので、上記被処理体をこの面内温度の均一性が高い状態で加熱することができる。また、加熱気体を発生させる加熱気体発生手段の構造は簡単なので装置の全体構成を簡単化でき、その分、コストを大幅に削減することができる。
請求項6に係る発明によれば、処理室内をこの下方の加熱気体室に対して陽圧状態に設定することにより、加熱気体が処理室内側へ流入することを阻止することができる。
請求項10に係る発明によれば、加熱ヒータ部の直下に補助分散部材を設けるようにしたので、加熱気体を一層均一的に分散化した上で被処理体に接触させることができる。
請求項11に係る発明によれば、被処理体に接触された加熱気体を、分散部材に分散させて設けた複数の排気筒を介して排出するようにしたので、被処理体の下方における加熱気体の流出する状態が均一化され、このため、被処理体温度の面内均一性を一層向上させることができる。
請求項12に係る発明によれば、温度検出手段で検出した加熱気体の検出値に基づいて加熱気体発生手段を制御して加熱気体の温度をコントロールするようにしたので、被処理体の加熱温度を精度良く維持することができる。
請求項13に係る発明によれば、加熱処理後の被処理体を、保持手段から移動させることなくそのままの状態で、迅速に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加熱装置の第1実施例を示す構成図である。
【図2】図1中の保持手段を示す平面図である。
【図3】リング状の気体噴射管を示す平面図である。
【図4】本発明の加熱装置の第2実施例を示す構成図である。
【図5】抵抗加熱ヒータを示す平面図である。
【図6】本発明の加熱装置の第3実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
2 加熱装置
4 処理容器
6 保持手段
8 保持板
8A 端部
10 開口
16 気体分散手段
18 分散部材
20 加熱気体発生手段
26 加熱ヒータ部
28 送風機構
34 昇降手段
42 気体流通口
58 温度検出手段
60 加熱気体制御手段
64 補助分散部材
70 排気筒
H 加熱気体室
S 処理室
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (16)

  1. 被処理体を所定の温度に加熱処理するための加熱装置において、
    前記被処理体を収容する処理容器と、
    前記被処理体の周縁部を保持する保持手段と、
    加熱気体を発生する加熱気体発生手段と、
    前記加熱気体を前記被処理体の下面に均一に接触させるための気体分散手段と、
    を備えたことを特徴とする加熱装置。
  2. 前記被処理体の下面を支持しつつ昇降させる昇降手段を有することを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
  3. 前記保持手段は、前記被処理体の大きさよりも僅かに小さくなされた開口を有し、前記開口を区画する端部の上面で前記被処理体の周縁部の下面と面接触して前記被処理体を保持する保持板よりなることを特徴とする請求項1または2記載の加熱装置。
  4. 前記保持板は、前記被処理体を保持することで前記処理容器内を上部の処理室と下部の加熱気体室とに分離区画することを特徴とする請求項3記載の加熱装置。
  5. 前記加熱気体室を区画する区画壁には、気体を通すための気体流通口が形成されていることを特徴とする請求項4記載の加熱装置。
  6. 前記処理室内は、前記加熱気体室に対して陽圧状態になされていることを特徴とする請求項4または5記載の加熱装置。
  7. 前記気体分散手段は、前記加熱気体室内に前記被処理体に対して対向配置させて設けられた平面状の分散部材よりなることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の加熱装置。
  8. 前記加熱気体発生手段は、加熱ヒータ部と、前記加熱ヒータ部に対して気体を送る送風機構と、を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の加熱装置。
  9. 前記加熱ヒータ部は、前記分散部材の直下に設置されることを特徴とする請求項8記載の加熱装置。
  10. 前記加熱ヒータ部の直下には、前記加熱ヒータ部へ送って供給する気体を平面方向において分散させて均一化する補助分散部材が設けられることを特徴とする請求項9記載の加熱装置。
  11. 前記分散部材には、前記被処理体に接触された加熱気体を排気するための複数の排気筒が平面方向に分散させて設けられることを特徴とする請求項7記載の加熱装置。
  12. 前記被処理体に接触される加熱気体の温度を検出するための温度検出手段と、該温度検出手段の検出値に基づいて前記加熱気体発生手段を制御する加熱気体制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の加熱装置。
  13. 前記被処理体の加熱処理後に、前記被処理体の下面側に冷却気体を流すための冷却手段を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の加熱装置。
  14. 前記被処理体の上面には、フォトレジスト膜が塗布されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加熱装置。
  15. 被処理体を加熱処理する加熱方法において、
    前記被処理体の周縁部の下面を支持しつつ前記被処理体の上面側に廻り込まないような状態で前記下面に加熱気体を接触させて前記被処理体を加熱するようにしたことを特徴とする加熱方法。
  16. 前記加熱処理後に、前記被処理体の下面側に冷却気体を通すようにしたことを特徴とする請求項15記載の加熱方法。
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