JP2005010831A - 電子データ配信管理サーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】同一データに対する再アクセスがある場合に、サーバに負荷を掛けることなく、データ配信できるようにする。
クライアントの特質に応じた課金処理ができるようにする。
【解決手段】電子図書館サーバ10には、ユーザ用の保存スペースとして、ユーザフォルダ530を用意する。貸出管理サーバ部400は、配信要求を受けた電子データを即時にクライアント端末に配信するだけでなく、一旦、ユーザフォルダ530に電子データを保存することも可能に構成しておく。即時配信と保存後の配信の選択はユーザに委ねる。保存後の配信が選択されると、貸出管理サーバ部400は、その電子図書データをユーザフォルダ530に保存させ、その後に配信指示をユーザから受け付けるまで、実際の配信を待機する。そして、その後に配信指示を受け付けると、ユーザフォルダ530に保存しておいた電子図書データをクライアント端末に配信させる。
【選択図】 図2
クライアントの特質に応じた課金処理ができるようにする。
【解決手段】電子図書館サーバ10には、ユーザ用の保存スペースとして、ユーザフォルダ530を用意する。貸出管理サーバ部400は、配信要求を受けた電子データを即時にクライアント端末に配信するだけでなく、一旦、ユーザフォルダ530に電子データを保存することも可能に構成しておく。即時配信と保存後の配信の選択はユーザに委ねる。保存後の配信が選択されると、貸出管理サーバ部400は、その電子図書データをユーザフォルダ530に保存させ、その後に配信指示をユーザから受け付けるまで、実際の配信を待機する。そして、その後に配信指示を受け付けると、ユーザフォルダ530に保存しておいた電子図書データをクライアント端末に配信させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークを介して電子データをクライアント端末に配信する情報配信システムに使用される配信管理サーバに関する。たとえば、電子化された書籍、新聞、雑誌などの電子図書をネットワークを利用して貸し出す電子図書館サービスシステムに用いて好適な電子データの配信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、インターネットなどを利用して、電子データを配信するサービスが様々な分野で盛んに行なわれている。たとえば、近年のデジタル信号処理技術およびコンピュータ技術の進展に伴って、種々の著作物が低コストで簡便にデジタル化され、広く利用されるようになってきた。そして、一般利用者や小規模な法人などの不特定多数のユーザが、自らオリジナル・デジタル作品を制作できるようになった。また個人や団体などが所有する私的財産だけでなく、図書などの出版ソフトなどもデジタル化されて利用されるようになった。
【0003】
このようなデジタル化された著作物(デジタル著作物、デジタルコンテンツなどという)は、パーソナルコンピュータ(PCやパソコンなどという)やデジタル機器を用いて容易に利用することができる。特にインターネットなどの情報ネットワークを利用することにより、これらのデジタル著作物は個人的あるいは非常利的利用者にも極めて容易に配信することが可能になる。
【0004】
たとえば、電子図書をユーザの希望に応じて配信する技術が特許文献1,2に提案されている。なお、電子図書は、たとえば、文庫本、週刊誌、月刊誌、専門誌に限らず、新聞類や広告類など、従来印刷物として頒布されていたあらゆるものを含む。本明細書での電子図書は、このような広い意味で使用する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−155766号公報
【0006】
ここで、特許文献1には、デジタルコンテンツに対応する基本要約対照表をテンプレートとして予め用意し、閲覧者が記入したメモや栞などの内容と、デジタルコンテンツ上におけるメモなどの位置とを要約表に記憶し、これらを管理し、デジタルコンテンツに対応させ表示する仕組みが提案されている。
【0007】
そして、データ配信時には、先ず、閲覧者(利用者)が閲覧を望むデジタルコンテンツを選択し、ネットワーキングライブラリシステムが上記選択操作を確認した後に、ネットワーキングライブラリシステムが、上記閲覧者の履歴をチェックする。そして、閲覧者のアクセス履歴が確認されると、蓄積情報から過去のビューア情報と、新たに取得した現在のビューア情報とを比較した後に、所定のデジタルコンテンツと、栞や下線などを表示するための既存の個別要約対応表とを閲覧者へ送信する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、栞やメモのみを個人用フォルダに情報として保存するので、それら情報を基に書籍データを管理しているサーバに再度アクセスが必要になり、サーバ負荷が多大に掛かってしまう。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同一の電子データに対する再度のアクセスがある場合に、サーバに多大な負荷を掛けることなくデータを配信することができるデータ配信技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る配信管理サーバは、ユーザが操作するクライアント端末からの要求を受け電子データの配信を制御する配信管理サーバであって、先ず、配信対象となる前記電子データを管理するデータ管理部と、電子データの利用要求を発したクライアント端末に対する、データ管理部が管理している電子データのうちの、利用要求のあった電子データの配信を制御する配信制御部と、利用要求を受けた電子データを取得するための情報を保存する、データ管理部が管理しているデータ格納部とは別に設けられたユーザ用のデータ格納部とを備えるものとした。
【0011】
配信制御部は、電子データの利用要求を受け付けると、電子データを取得するための情報をユーザ用のデータ格納部に保存するか否かを利用要求に含まれているユーザの指示に基づいて判断する。そして、ユーザの指示が保存を示していないときには利用要求を受けた電子データをクライアント端末に配信させる一方、ユーザの指示が保存を示しているときには利用要求を受けた電子データを取得するための情報をユーザ用のデータ格納部に保存させ、その後にユーザから配信指示があるまで電子データのクライアント端末への配信を保留させる。
【0012】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る配信管理サーバのさらなる有利な具体例を規定する。
【0013】
たとえば、ユーザ用のデータ格納部には、ユーザごとに専用のフォルダを用意し、この専用のフォルダにそのユーザから利用要求があった電子データを取得するための情報を保存するようにするとよい。
【0014】
また、ユーザ用のデータ格納部に保存される、前記利用要求があった電子データを取得するための情報としては、利用要求を受けた電子データそのものとしてもよいし、利用要求を受けた電子データをデータ管理部を介して取得可能な対応情報としてもよい。
【0015】
【作用】
本発明に係る上記構成においては、配信要求を受けた電子データを即時にクライアント端末に配信するだけでなく、電子データを取得して配信可能な情報をユーザスペースに保存して配信準備だけをしておくことも可能に構成しておく。即時配信と保存後の配信の選択はユーザに委ねる。
【0016】
保存後の配信が選択されると、配信制御部は、要求のあった電子データを取得してクライアント端末に配信可能な情報として、その電子データそのものもしくは対応情報を一旦ユーザ用の保存スペースに保存させ、その後に配信指示をユーザから受け付けるまで、実際の配信を待機する。そして、その後に配信指示を受け付けると、配信制御部は、ユーザ用のデータ格納部に保存しておいた情報に基づき、要求を受けた電子データをクライアント端末に配信させる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
<<情報配信システムの全体構成>>
図1は、本発明に係る配信管理サーバを適用した情報配信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。ここでは、デジタルコンテンツ(情報の内容)の一例である電子図書(書籍データ)をユーザが所有する端末にネットワークを介して配信する電子図書館サービスシステムへの適用事例を示している。
【0019】
図示するように、情報配信システム1は、システムを管理する管理サーバ3と、提供データの供給元であるコンテンツ供給元5(図では3箇所)と、提供されるデータを受信するユーザ端末7(図では2箇所)とから構成されている。それぞれは、通信回線やケーブルを利用したネットワーク(インターネット、LAN、WANなど)9を介して双方向に通信可能に接続されている。通信手段には、電話回線や衛星通信手段(たとえばデジタル衛星放送における空間伝送路)を含んでいてもよい。
【0020】
デジタルコンテンツの配給元であるコンテンツ供給元5(図では3箇所)には、図示しないコンピュータやデジタルコンテンツを格納する記憶装置が用意されており、デジタルコンテンツを必要に応じて管理サーバ3側に送付する。
【0021】
ユーザ端末7としては、デスクトップ型のパソコンである端末aと、ノート型パソコンや携帯電話などのいわゆるモバイル型の端末bとが図1に例示されている。これらのユーザ端末7には、書籍データ(管理情報を含む)を閲覧するためのプログラムをインストールしたり、あるいはダウンロードした書籍データに基づいてディスプレイに文書(テキストだけでなく、画像を含んでいてよい)を表示したりするなどのデータ処理をするソフトウェアが組み込まれる。
【0022】
管理サーバ3は、利用者のコンピュータなどとコンテンツ供給元5との間でネットワーク9によって結合され、コンテンツ供給元5が提供するデジタルコンテンツの関連情報(たとえば電子図書の書誌的情報など)やシステムへの登録ユーザに関するユーザ管理情報を管理する。そして、コンテンツ供給元5が提供するデジタルコンテンツをユーザの希望に応じてそのユーザが所有するユーザ端末7に配信する。また、その配信に応じた対価を徴収する。
【0023】
なお、コンテンツ供給元5やユーザ端末7は、図示した構成数に限定されない。また、図示した例では、1箇所の管理サーバ3(実質上の統轄サーバ)がシステム全体を管理するようにしているが、たとえば個々のコンテンツ供給元5ごとに管理サーバ3(ローカルサーバ)を用意して、それぞれが独自にユーザ端末7にデータの配信を行なうシステムとしてもよい。また、これら個々の管理サーバ3を統轄する管理サーバ3(統轄サーバ)を用意して、ユーザ端末7との間は、この統轄サーバを介してデータの配信を行なうようにしてもよい。
【0024】
また、デジタルコンテンツをユーザ端末7に配信する際には、そのコンテンツを暗号化したり電子透かしを付加したりして配信するようにしてもよい。また、ユーザ端末7にダウンロードしたデータを加工・編集できないようにプロテクトをかける、すなわちユーザによるデータ加工防止の仕組みを設けるようにしてもよい。
【0025】
電子図書館サービスシステムを構築する際のコンテンツ供給元5として、本実施形態では、図書館がその機能を担っている。各コンテンツ供給元5も、相互にネットワーク9によって双方向に通信可能に接続されている。また、この場合の管理サーバ3は、電子図書館サーバ10としての機能を果たす。たとえば、電子図書館サーバ10としての機能をなす管理サーバ3は、ネットワーク9上の1つのサイトとして存在するもので、ユーザ端末7から貸出要求があった電子図書を、ネットワーク9を利用したデータ通信によって貸し出す図書貸出しサービス(電子図書館サービスともいう)を行なうサーバ装置である。
【0026】
ユーザ端末7は、電子図書館サービスを利用するユーザが操作する端末装置であり、電子図書館サーバ10にアクセスするためのネットワーク機能を備えている。全体として、電子データ化された図書館の書籍データを、一般回線を通して、書籍データをダウンロード(貸出し)して閲覧することが可能な電子図書館システムが構築される。
【0027】
たとえば、管理サーバ3から各端末a,bに、電子図書を閲覧するための登録ユーザ専用の閲覧用プログラムが予め(たとえばユーザ登録直後に)インストールされ、その後、この閲覧用プログラムを起動してのユーザからの要求に応じて(たとえば図書検索後に)、閲覧希望の書籍の中身を示すデータである閲覧データファイルが送信される。
【0028】
ここで、各コンテンツ供給元5(各図書館)は、各々が把握している書籍情報やユーザ管理情報をお互いに公開にして、それぞれが相互に他の地域の書籍情報やユーザ情報を参照できるようにしている。これにより、他のコンテンツ供給元5(たとえば図書館)に登録しているユーザであっても、未登録のコンテンツ供給元5(他の地域の図書館)から電子データ(電子図書)の提供サービス(図書貸出しサービス)を容易に受けることができるようになっている。
【0029】
<<管理サーバ(電子図書館サーバ)の構成>>
図2は、管理サーバ3の一構成例を示す機能ブロック図である。実際には、サーバ用のコンピュータにより構築されるとよい。この場合には、後述する様々なサーバ機能をコンピュータにより実行するためのソフトウェアがインストールされる。以下、電子図書館サービスシステムを構築する際の管理サーバ3、すなわち電子図書館サーバ10として、電子データの配信手法について具体的に説明する。
【0030】
電子図書館サーバ10は、大きくは、コンテンツ供給元5やユーザ端末7との間でのデータ配信業務を担当する配信管理サーバ部102と、コンテンツ供給元5(図書館)が提示する電子図書データを、利用を希望するユーザに配信する処理を担当する貸出業務部104とから構成されている。
【0031】
貸出業務部104は、大まかに、コンテンツ供給元5から配信対象として提供される電子データ(本例では電子図書)を管理する機能を担当するコンテンツ管理サーバ部200と、ユーザの情報を管理する機能を担当するユーザ管理サーバ部300と、ユーザの希望に応じた電子データの配信管理(本例では電子図書の貸出管理)を行なう貸出管理サーバ部400と、電子図書と関わりのあるユーザ各人の情報を管理する個人用データ管理サーバ部500とから構成されている。
貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7から電子データの利用要求を受け付けると、その要求を許可するか否かや、利用可能範囲内でのデータ配信制御など、ユーザからの電子図書の利用要求に対する応答処理を制御する。
【0032】
各サーバ部をそれぞれ独立したコンピュータシステムにより構成し、それらを連結して電子図書館サーバ10を完成させてもよいし、1つのコンピュータシステムにより各サーバ部を機能させることで、電子図書館サーバ10を完成させてもよい。特に、ともに個人に関わる情報を管理するユーザ管理サーバ部300と個人用データ管理サーバ部500とは、1つのコンピュータシステムにより機能させるとよい。
【0033】
配信管理サーバ部100の配信管理サーバ部102は、ネットワーク9を介して通信するための通信I/F部110と、この通信I/F部110で受信したユーザ端末7からの処理要求を受け付ける要求受付部120と、電子図書館サービスを利用するためのユーザ登録処理を行なう登録処理部150とを有している。
【0034】
登録処理部150は、ユーザ端末7を操作するユーザからユーザ情報を取得するための処理を行なう取得処理部152と、ユーザ登録が完了したユーザが使用するユーザ端末7に閲覧用プログラムを送信する処理を行なうプログラム送信部154と、プログラム送信部154で送信される閲覧用プログラムに所定の情報(ユーザ登録を行なったユーザ情報など)を埋め込む処理を行なうデータ埋込部156とを有している。
【0035】
閲覧用プログラムは、コンテンツ供給元5から提供される電子図書を閲覧するために、ユーザ登録を行なったユーザに提供されるプログラムであって、ユーザ端末7で電子図書を閲覧、印刷、コピーなどする際に必要となるものである。なお、ここでの“コピー”は電子的な複製を意味し、“印刷”は、配信された電子図書に基づく紙媒体などへの出力(ハードコピー)を意味する。
【0036】
電子図書館サービスシステムを構築する際のコンテンツ管理サーバ部200は、電子図書の情報を管理する書籍データ管理部202と情報の中身と対応した関連情報(電子書籍の場合はその書誌的情報など)を保存する電子図書DB(DB;データベース)204とを有する。電子図書DB204は、貸出しサービスの対象になる複数(多数)の電子図書(実体ファイル)と関連情報との対応付けを採り、貸出管理サーバ部400にて貸出しに当たっての管理さえできれば十分である。よって、全体システムを考えた場合、電子図書の本体を何処で保存するかは問題とならない。
【0037】
そこで、実体ファイルである情報の中身(デジタルコンテンツ)そのものは、コンテンツ供給元5側に用意されている記憶媒体に格納しておき、ユーザから配信希望があったときにコンテンツ供給元5から提供を受けてユーザ端末7に配信(転送)する。なお、電子図書DB204に情報の中身(デジタルコンテンツ)そのものを保存するようにしても構わない。以下、説明を簡単にするため、特に断りを入れない限り、電子図書DB204に各電子図書の内容(本文)を表すデータファイル(書籍データの電子的な複製物)が蓄積されているものとして説明する。
【0038】
書籍データ管理部202は、電子図書DB204と協働して電子図書の検索処理を行なう図書検索部210と、電子図書DB204に蓄積された各電子図書の内容(本文)を表すデータファイルや、各電子図書に関する図書管理情報を管理する図書管理部212とを有する。また書籍データ管理部202は、貸出要求の対象として選択された電子図書のデータファイルを貸出し内容の制限に応じて編集する図書データ編集部222と、ユーザに送信する電子図書のデータファイルに所定のデータを埋め込む処理を行なうデータ埋込部224と、貸出管理サーバ部400で貸出可能(または貸出しを許可する)と判断され、かつ図書データ編集部222で編集された電子図書のデータファイルを貸出要求元のユーザ端末7に送信する処理を行なう図書データ送信部230とを有する。
【0039】
図書データ編集部222は、たとえば、貸出要求の対象として選択された電子図書のデータファイルを電子図書DB204から読み出すとともに、この読み出した電子図書のデータファイルを、貸出管理サーバ部400による貸出し内容の制限に従って編集し、編集済みのデータファイルを図書データ送信部230に渡す。データ埋込部224は、図書データ送信部230によって送信される電子図書のデータファイルに、たとえば、電子情報の貸出要求を行なったユーザ情報、電子図書の貸出し管理情報、あるいは電子図書の貸出し後の利用条件を規定した利用制限情報、さらには閲覧や印刷出力に対する課金処理の条件(対価)など、所定の情報を埋め込む。
【0040】
ユーザ管理サーバ部300は、ユーザ情報を管理する主要部であるユーザ管理部302と、電子図書館サービスを利用するユーザに関する情報(ユーザ情報)を蓄積するユーザDB304とを有する。ユーザ管理部302は、たとえば、ユーザDB304に蓄積されたユーザ情報や、各々のユーザ情報に対応するユーザ管理情報を管理する。たとえば、ユーザ管理サーバ部300は、ユーザ端末7の操作者であるユーザに関する情報と、このユーザに設定されている利用制限範囲とこのユーザの電子図書の貸出実績(利用度合い)とを対応付けてユーザDB304に保存することで管理する。
【0041】
貸出管理サーバ部400は、電子文書データを一括ダウンロードして閲覧などの利用に供する貸出形態に加えて、ページごとにオンラインでネットワークを経由して閲覧するページビュー形式の貸出形態にも対応するようになっている。また、本実施形態の特徴部分として、貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7から継続閲覧の利用要求を受け付けると、ユーザ端末7に、当該継続閲覧要求のあった電子図書のうちの注目部分(たとえば継続閲覧を希望する読掛けページ)のデータを配信するとともに、この注目部分に近傍する所定量のデータ(たとえば読掛けページの前後各数ページ)を予備配信するように制御する配信制御部の機能を有する。
【0042】
たとえば、要求受付部120がユーザ端末7から継続閲覧の指示を受け付けると、その指示が貸出管理サーバ部400に通知される。この場合、貸出管理サーバ部400は、電子文書を一括でユーザ端末7に送信してダウンロードさせるのではなく、オンライン状態でネットワーク9を経由して、ページごとに閲覧するページビュー形式でのデータ配信を行なう。そして、継続閲覧時に最初に配信するデータは、ユーザDB304に登録しておいた貸出書籍の書誌的情報と、その現在の閲覧ステータスを示す情報並びに予備配信量とに基づき、読掛け中断部分のデータに加えてその近傍、たとえば前後各1ページ分も予備配信(プリロード)分として配信する。また捲り指示がある都度、さらにその捲り方向の所定分(たとえば1ページ分)を予備配信分として配信する。
【0043】
また、本実施形態の特徴部分として、電子図書と関わりのあるユーザ各人の情報を管理する個人用データ管理サーバ部500は、継続閲覧開始時にユーザが注目する部分としての前回閲覧利用を中断した読掛け部分(具体的には読掛けページなど)を、その読掛け中の電子図書に対応付けて管理する利用状態管理部510と、閲覧図書にユーザが付与した、たとえばメモ内容、下線、栞などの特記事項などの情報(以下個人用付加情報ともいう)をその読掛け中の電子図書に対応付けて管理する個人付加情報管理部520と、これらのユーザ各人の情報を個々に(ユーザごとに)保存する記憶媒体(ディスクスペース)であるユーザフォルダ530とを有する。
【0044】
なお、本実施形態では、ユーザフォルダ530が生成される記憶媒体は、ユーザ管理サーバ部300のユーザDB304と共用されるものとしているが、これに限らず、図中点線で示すように、ユーザフォルダ530専用の記憶媒体を用意してもよい。ユーザフォルダ530にはユーザごとに使用容量が設定され、その範囲内で自由に利用可能になっている。
【0045】
また、ユーザ端末7側からのユーザフォルダ530へは、所定のユーザ認証を経た正規のユーザ(そのフォルダの該当ユーザ)でなければ、保存されているデータへのアクセスができないようにしておく。このように、ユーザフォルダ530を、ユーザ各人の専用フォルダとし、ユーザフォルダ530に書籍データなどを蓄積管理することによって、他者の参照を排除することができる。このために、共通に閲覧される共有資産である電子書籍であっても、貸出処理後にユーザフォルダ530に保存された時点で、個別に管理されるので、貸出し中の書籍既内容は他者の目に触れられることがなく、プライバシーを守ることができる。
【0046】
貸出管理サーバ部400は、ユーザに電子図書の貸出処理を実効する際、その電子図書のデータを一括してユーザ端末7に配信する一括ダウンロード提供サービスだけでなく、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍のデータを、サーバ側に各ユーザ専用に用意されたユーザフォルダ530に保存しておくサービスも提供可能になっている。なお、電子書籍のデータそのものをユーザフォルダ530に保存(書籍データを直接保存)することに代えて、コンテンツ管理サーバ部200が管理している電子書籍データの中から、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍データをコンテンツ管理サーバ部200への負荷を掛けることなく(複雑な検索処理を経ることなく)取得可能な対応情報(たとえば電子書籍データ管理番号)を保存するようにしてもよい。
【0047】
ユーザ管理サーバ部300と貸出管理サーバ部400は、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍のデータをユーザフォルダ530に保存した時点で、正規の貸出が完了したものとして管理する。たとえば、サーバ側のユーザ専用に用意されたユーザフォルダ530に保存できる電子書籍データの本数は、各ユーザの貸出し本数制限(一括ダウンロード分との総計)に基づき管理される。つまり、貸出管理サーバ部400は、一括ダウンロード貸出分だけではなくユーザフォルダ530に保存している貸出利用分との総計に対して、各々のユーザに決められた貸出し本数の制限が加えられ、その制限本数(利用制限範囲)を超えない範囲で、貸出しの許可を与える。
【0048】
また、貸出管理サーバ部400は、電子図書に設定されている配信制限範囲と各ユーザに対する貸出実績(利用度合い)とに基づいて、全ユーザの利用度合いが配信制限範囲内に収まるように利用要求に対する応答処理を制御する。たとえば、あるユーザに対する貸出処理がなされユーザフォルダ530に保存された電子書籍データまたは電子書籍データ管理番号は、貸出しを受けているそのユーザが返却手続きを行なうか返却期限が切れるまで、その電子書籍の貸出しを他のユーザが受けることができないようにする。現実の書籍は1冊が1人のユーザに貸し出されるものであるから、ユーザフォルダ利用の電子的配信の態様であっても貸出には変わりがなく、ユーザフォルダ利用分を無視した形態で、書籍貸出業務を行なうことは好ましくないからである。
【0049】
利用状態管理部510が管理するユーザ情報には、少なくともそのユーザに貸し出した書籍の書誌的情報と、現在の閲覧ステータスを示す情報としての閲覧中であった読掛け途中の部分を示す情報と、次回の閲覧時に継続閲覧を希望した場合に、読掛け途中の部分に対してどの程度さらに前後の部分を最初に予備配信するかを示す情報も登録、管理する。たとえば、ページ単位で配信する場合であれば、読掛け中のページ番号と、その読掛け中のページに対してさらに前後何ページ分を、次回の再接続時の閲覧時に配信するかを、たとえば閲覧中断時にユーザDB304に登録しておく。なお、予備配信は、ユーザ端末7にとっての予備受信(プリロード)である。
【0050】
個人付加情報管理部520が管理する個人用付加情報は、たとえば特開2000−155766号に記載の仕組みと同様に、電子図書ごとおよびユーザ(閲覧者)ごとに、個別に個別識別子リスト(たとえば個別要約対照表など)を設けて管理するとよい。何れにしても、電子図書のページ番号、ページ内行番号、行内文字番号などによって、電子図書と個人用付加情報との位置の対応を採ることで、ユーザ端末7側で、メモなどの個人用付加情報が書き込まれた位置へ、メモ、下線、栞などを重ねて表示することができるようにしておく。
【0051】
貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7からユーザフォルダ530へのアクセス要求(つまり同一閲覧者の再アクセス)を受け付けると、所定のユーザ認証処理を得た後そのアクセスを許可する。また、同一閲覧者の再アクセス時に、閲覧希望の電子図書に個人用付加情報が付与されていた場合、書籍データの所定ページのデータの配信をコンテンツ管理サーバ部200に指示することに加えて、そのページに該当する個人用付加情報の配信を個人付加情報管理部520に指示する。
【0052】
これにより、ユーザ端末7では、電子図書の内容と、個人用付加情報とが透過的に重ねて表示される。閲覧者全員の共通資産である書籍データそのものには、メモ、下線の書き込みや栞の挿入などの加工を施していないにも拘らず、メモや下線を書き込みすることができる。また、ここで、メモや下線の書き込み、栞の挿入あるいは修正など(個人用付加情報の更新)が行なわれると、ユーザ端末7は所定のタイミングで(たとえばページ切替時や閲覧終了時に)、この更新情報を電子図書館サーバ10の個人付加情報管理部520に返す。個人付加情報管理部520は、更新後の個人用付加情報をユーザフォルダ530に保存しておき、次回のデータ配信時に利用する。
【0053】
なお、電子図書の返却処理後には、個人用付加情報を破棄することが可能である。ただし、次回の借用時に同じ個人用付加情報を使用したいとするユーザもあり得る。このため、ユーザフォルダ530の使用容量も加味して、返却処理時に同時に個人用付加情報を破棄するか否かは、ユーザの意図に任せるのがよい。
【0054】
<<情報配信システムの処理手順;ユーザ登録と閲覧プログラム配布>>
次に、上記構成の電子図書館サーバ10を備えてなる情報配信システム1における、電子図書館サービスを実行する際の処理手順について、フローチャートを参照しつつ順に説明する。先ず、図3は、ユーザ登録から閲覧用プログラムのインストールまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ユーザは、ユーザ端末7およびネットワーク9を介して、電子図書館サーバ10に接続要求を行なう(S302)。これを受けて、電子図書館サーバ10側では、配信管理サーバ部100の通信I/F部110が、このユーザ端末7からの接続要求を受信するとともに、その接続要求を要求受付部120で受け付ける(S202)。これによって、ユーザ端末7と電子図書館サーバ10との間で接続を確立する。
【0056】
次いで、要求受付部120では、予め用意された初期メニュー画面データを通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S204)。これにより、初期メニュー画面データを受信したユーザ端末7側では、初期メニュー画面が表示部に表示される。初期メニュー画面データは、電子図書館サーバ10とユーザ端末7との間でネットワーク9による接続が確立したときに、ユーザ端末7の表示部に最初に表示されるメニュー画面を表すデータである。
【0057】
この初期メニュー画面の表示内容には、ユーザ端末7を操作するユーザに対して、電子図書館サービスを利用するためのユーザ登録を希望するか否かを問い合わせる内容や、登録済みのユーザに対して、所望の処理メニューを問い合わせる内容などが含まれる。ユーザは、このメニュー内容に従って、ユーザ登録するか否かを選択する(S304)。
【0058】
要求受付部120は、初期メニュー画面データを送信した後にユーザ端末7から送信(返信)された応答データを、通信I/F部110を介して受け付けるとともに、この受け付けた応答データの内容に従って、ユーザ端末7の表示部上で初期メニュー画面の中からユーザ登録が選択されたか否かを確認する(S206)。
【0059】
たとえば、ユーザがステップS304においてユーザ登録を選択しなかった場合、配信管理サーバ部100は、初期メニュー表示データとは別のメニュー画面データを、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S290)。ユーザ端末7は、この別のメニュー画面データを受信して表示部に表示する(S390)。
【0060】
<ユーザ情報登録>
一方、ユーザがステップS304においてユーザ登録を選択した場合は、配信管理サーバ部100は、登録処理部150にユーザ登録処理の実行を指示する(S210)。この実行指示を受けた登録処理部150は、先ず、取得処理部152が、ユーザ情報の受付画面データを通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S212)。ユーザ情報の受付画面データを受信したユーザ端末7側では、ユーザ情報の受付画面が表示部に表示される。ユーザは、表示部に表示された受付画面に従ってユーザ登録に必要な情報の入力処理を行なう(S312)。
【0061】
ユーザ登録に必要となるユーザ情報には、たとえば、住所、氏名、年齢、性別、電話番号、電子メールアドレスなどのいわゆるユーザの個人情報の他に、ユーザIDやパスワードなどの、ユーザを一意に識別するための識別情報が含まれる。また、登録しようとするユーザが、たとえば、家族、学校、自治体などのグループ単位(団体)である場合は、それぞれのグループに所属する個人ユーザごとに上記識別情報を登録する。
【0062】
グループユーザとしての管理も行なうことで、次のようなメリットが得られる。たとえば、メインユーザが登録すれば、それに登録されたグループのメンバも閲覧や鑑賞ができるシステムを構築することができる。また、メインユーザが、グループメンバの貸出し情報を管理することができる仕組みとすれば、メインユーザがグループメンバに対して貸出本数や貸出内容の制限を加えることや、管理情報のモニタや返却手続き代行などを行なうこともできる。また、メインユーザが行なうグループメンバの貸出制限を閲覧や鑑賞あるいはダウンロードの項目ごとにできる。
【0063】
取得処理部152は、ユーザ端末7から返信されたユーザ情報を、通信I/F部110を介して受け付ける(S214)。すると、取得処理部152は、通信I/F部110を介してユーザ端末7に、このユーザ端末7を一意に特定するための端末固有情報の送信要求を行なう。ユーザ端末7は、自身の端末固有情報を送信する(S316)。端末固有情報としては、MACアドレス(media access control address)や端末型番とシリアル番号の組合せなどを利用することができる。MACアドレスを使うと端末固有情報の自動取得が容易である。取得処理部152は、この送信要求への応答としてユーザ端末7から送信された固有情報を取得する(S216)。取得処理部152は、ユーザの個人情報や識別情報、さらには端末固有情報をユーザ情報としてユーザDB304に記憶(登録)する。
【0064】
<閲覧プログラムのユーザ端末へのインストール>
こうしてユーザ情報の登録が完了すると、配信管理サーバ部100は、プログラム送信部154に閲覧用プログラムの送信処理の実行を指示する(S220)。この実行指示を受けたプログラム送信部154は、先ず、閲覧用プログラムのダウンロード受付画面データを、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S222)。閲覧用プログラムのダウンロード受付画面データを受信したユーザ端末7側では、閲覧用プログラムの受信処理を開始する(S320)。
たとえば、先ず閲覧用プログラムのダウンロード受付画面が表示部に表示される。ユーザは、閲覧用プログラムのダウンロードを希望する場合、表示部に表示された受付画面に従ってダウンロード要求を選択し(S322−YES)、閲覧用プログラムのダウンロード以外を希望する場合は、表示部に表示された受付画面に従ってダウンロード以外の処理要求を選択する(S322−NO)。
【0065】
プログラム送信部154は、応答データの内容に従って閲覧用プログラムのダウンロード要求の有無を確認する(S224)。所定時間内にダウンロード要求が選択されなかった場合は、登録処理部150は、ユーザの希望する処理内容に合わせて別のメニュー画面データを、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S224−NO,S292)。一方、ダウンロード要求が選択された場合は、プログラム送信部154は、データ埋込部156にユーザ情報の埋込みを指示する(S224−YES)。
【0066】
これを受けて、データ埋込部156は、その埋込み指示に従って閲覧用プログラムに端末固有情報を含むユーザ情報を埋め込む(S226)。閲覧者を制限する手段の一例として閲覧可能な端末を限定するものであり、端末固有情報を閲覧用プログラムに埋め込んでおくことで、閲覧できる端末を限定することを可能とする。また、閲覧用プログラムにユーザ識別情報や端末固有情報を埋め込んでおくことで、登録していないユーザが、閲覧用プログラムをコピーして使用することを防止する。
【0067】
次いで、プログラム送信部154は、データ埋込部156により端末固有情報などのユーザ情報が埋め込まれた閲覧用プログラムを、当該閲覧用プログラムをユーザ端末7に組み込む(インストールする)ためのインストーラとともに、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S228)。
【0068】
ユーザ端末7は、電子図書館サーバ10から閲覧用プログラムのダウンロードを完了すると(S322)、この閲覧用プログラムのインストールを開始する(S324)。次いで、ユーザ端末7は、インストールの対象とした閲覧用プログラムに埋め込まれている端末固有情報が、自装置の端末固有情報と一致するか否かを確認する(S330)。そして、自装置の端末固有情報と一致した場合は、閲覧用プログラムのインストールを継続し、これが完了したら、その旨をユーザに通知する(S332)。一方、自装置の端末固有情報と一致しなかった場合は、閲覧用プログラムのインストールを中止して、インストールに失敗した旨をユーザに通知する(S334)。
【0069】
<<情報配信システムの処理手順;電子図書の貸出処理>>
図4および図5は、電子図書の貸出業務の処理手順の一例を示すフローチャートである。先ず、ユーザ登録時に受け取って自端末に組み込んだ閲覧用プログラムを立ち上げ(S600)、電子図書館サーバ10にネットワーク9を介して接続要求を行なう(S602)。配信管理サーバ部100の要求受付部120はこの接続要求を受け付けて、ユーザ端末7との接続を確立する(S402)。接続が確立すると、ユーザ端末7にはログイン用の初期メニュー画面データが送信され、ログイン画面が表示される(S404)。
【0070】
ユーザは、このログイン画面上にて、IDやパスワードなどのログインに必要なユーザ識別情報を入力し、電子図書館サーバ10にログイン要求をする(S604,S606)。取得処理部152は、受け付けたログイン要求に含まれるユーザの識別情報(ユーザID、パスワードなど)を取得し、ユーザ管理部302に通知する。
【0071】
ユーザ管理部302は、登録済みユーザとの照合を行なう(S410)。たとえば、ユーザDB304に登録されたユーザ情報の中に、ログイン要求のあったユーザの識別情報に一致する識別情報を含むものが存在するか否かを確認する(S412)。そして、ログイン要求のあったユーザの識別情報に一致する識別情報を含むユーザ情報がユーザDB304内に存在した場合は(S414−YES)、照合結果をOKとしてログインを許可する。これと同時に配信管理サーバ部100は、処理選択メニュー画面データを送出する(S416)。一方、存在しなかった場合は(S414−NO)、ユーザ管理部302は、照合結果をNGとしてログインを不許可とし、上記ステップS410に戻る。ユーザ端末7では、上記ステップS604に戻って、ユーザ識別情報の再入力をユーザに要求する(S608−NO)。
【0072】
電子図書館サーバ10からログインの許可が出ると(S608−YES)、ユーザは、端末画面に表示された処理選択メニュー上で希望する処理を指示する。通常は、閲覧希望の図書を検索する処理が最初に指示されるであろう(S610)。なお、検索以外が指示されると、配信管理サーバ部100は、別メニュー画面データをユーザ端末7に送信する(S490)。以下、図書検索の指示がユーザよりあったものとして説明を続ける。
【0073】
電子図書館サーバ10では、図書検索要求を受け付けると(S418−YES)、図書検索部210は、電子図書の検索処理を起動する(S420)。この検索処理では、先ず、図書検索用の受付画面データ(図書検索メニュー画面データ)をユーザ端末7に送信する(S422)。ユーザは、この図書検索メニュー画面上で、図書の書名、著者名、発行者名、その他キーワードなど、図書検索用のキーワード情報を入力し、電子図書館サーバ10に対して検索要求をする(S620)。
【0074】
図書検索部210は、この検索要求を受け付けると(S424)、そのキーワード情報を検索キーとして図書検索を実行する(S426)。具体的には、電子図書DB204にアクセスすることにより、キーワード情報に一致する情報を持つ電子図書が電子図書DB204に存在するか否かを確認する。そして、検索結果画面をユーザ端末7に返す(S428)。たとえば、キーワード情報に一致する情報を持つ電子図書が見つかった場合は、その電子図書のたとえば、図書の書名、著者名、発行者名、発行日などの書誌的情報を抽出し、これらの書誌的情報を示す検索結果画面をユーザ端末7に返す。このとき、キーワード情報に一致する情報をもつ電子図書が電子図書DB204の中で複数見つかった場合は、それらの電子図書の書誌的情報を全て抽出する。また、キーワード情報に一致する情報を持つ電子図書が見つからなかった場合は、その旨のメッセージを通知する。
【0075】
これにより、ユーザ端末7を操作するユーザは、表示部に表示された検索結果の通知画面を見て、所望の図書が電子図書館サーバ10内に存在するか否かを確認することができる。ユーザは、この検索結果画面にて、検索結果リストに希望書籍がない場合や検索指示の該当書籍がゼロである場合には再検索を指示するか検索をキャンセルして別メニューを選択する(S630−NO)。電子図書館サーバ10では、再検索の指示があると上記ステップS420に戻し(S430−再検索)、また、検索がキャンセルされると上記ステップS404に戻る(S430−キャンセル)。一方、検索結果画面にて閲覧希望の電子図書がある場合は、ユーザは、貸出しを希望する電子図書を指定(選択)して電子図書館サーバ10に通知する(S630−貸出し)。
【0076】
<貸出確認処理>
これを受けて、貸出管理サーバ部400は、先ず、貸出確認処理を起動する(S440)。たとえば、貸出し確認用の画面データをユーザ端末7に送信する(S442)。この貸出し確認用の画面には、たとえば、ユーザ端末7から貸出要求を受けた図書の情報を一覧にした図書リストと、この図書リストに掲載された図書の貸出しを希望するか否かの確認メッセージと、図書の貸出要求を確定する「確認」ボタンと、図書の貸出要求を取り消す「キャンセル」ボタンとが表示される。ユーザは、この画面にて希望の指示を発する(S640)。
【0077】
貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7からの応答データを受け付けると、この受け付けた応答データの内容に従って、ユーザが選択した処理内容を確認する(S444)。そして、ユーザが「キャンセル」ボタンを選択したと判断した場合は上記ステップS420に戻る(S444−キャンセル)。一方、ユーザが「確認」ボタンを選択したと判断した場合は(S444−確認)、貸出管理サーバ部400は、図書の貸出しが可能であるか否かを判断する(S446)。
【0078】
たとえば、ユーザ管理サーバ部300が管理するユーザ情報には、ユーザ各人には貸出冊数の制限が設定されている。貸出管理サーバ部400は、ユーザ管理サーバ部300に問い合わせて、一括ダウンロード分とユーザフォルダ530を利用したページビュー形式での閲覧分との総貸出冊数が各ユーザの貸出し本数制限に達しているか否かを判断する。そして、各々のユーザに決められた貸出し本数の制限数を超えない範囲で貸出しの許可を与える。
【0079】
また、貸出管理サーバ部400は、図書リストに掲載された図書ごとに、図書管理部212が管理している図書管理情報に基づいて、図書の貸出しが可能であるか否かを判定することで、ユーザ側の制限だけでなく、貸出対象書籍側からの制限がないか否かについても判断する。たとえば、図書管理情報には、電子図書DB204に蓄積された各電子図書に関して、管理ステータス、貸出期間、図書分類、現在の貸出冊数、貸出可能冊数、貸出制限情報、利用制限情報などの情報が含まれる。管理ステータスは、電子図書の現在の貸出し状況として「貸出し中」と「貸出可能」との何れかを示すものである。貸出期間は、電子図書の貸出し開始から貸出し終了までの期間を規定するものである。図書分類は、電子図書の内容に応じた分類(たとえば、辞典、雑誌、小説、専門書、参考書、実用書、児童書など)を示すものである。
【0080】
貸出制限情報は、ユーザに対して電子図書を貸し出すときの貸出し内容に制限があるか否か、また制限がある場合(制限付きの場合)はその具体的な制限を規定した情報など、電子図書を貸し出すときの貸出条件を規定するものである。貸出条件は、電子図書の貸出しを許可するユーザの種別や年齢などの制限、著作権の設定状況などに応じて設定される。ユーザに対する電子図書の貸出制限は、たとえば、電子図書の著者側から指定されたユーザの種別(性別、年齢別、職業別など)、ユーザの年齢、ユーザの現在の貸出し状況などを条件として規定され、条件によっては「貸出制限なし」もあり得る。利用制限情報は、電子図書を貸出した後に、この電子図書をユーザ端末7側で閲覧、印刷、またはコピーに利用するときの利用条件を規定するものである。
【0081】
そこで、貸出管理サーバ部400は、先ず、貸出要求を受けた電子図書に関する図書管理情報を図書管理部212に確認し、この電子図書の管理ステータスが「貸出し中」であるか否かを判断する。また、貸出管理サーバ部400は、貸出要求があった各電子図書(図書リストに掲載された電子図書)について、図書管理部212が管理している現在の貸出冊数と貸出可能冊数とを比較する。そして、現在の貸出冊数が貸出可能冊数に到達している場合は、貸出管理サーバ部400は、この電子図書の貸出しを不可と判断し、ステップS420に戻る(S446−NO)。
【0082】
なお、著作権で許容される範囲内で電子図書の内容をユーザに提示するために、電子図書の貸出し内容を制限すべく、貸出し中の管理ステータスに基づく編集指示を図書データ編集部222に与える(S446−貸出し中)。これにより、図書データ編集部222では、先に貸出要求のあった電子図書のデータファイルを電子図書DB204から読み出し、そこから電子図書の内容の一部を抽出したインデックス情報(見出し、目次、索引などの情報)だけを残すようにデータファイルを編集し、かつ当該データファイルにユーザ情報を埋め込む(S448)。そのため、ユーザから貸出要求のあった電子図書の貸出し内容を、当該電子図書の現在の貸出し状況(貸出し中であるか否か)に応じ制限することができる。
【0083】
一方、現在の貸出冊数が貸出可能冊数に満たない場合は、貸出管理サーバ部400は、この電子図書の貸出しを可能と判断する(S446−YES)。次いで、貸出管理サーバ部400は、ユーザ管理部302が管理しているユーザ管理情報に基づいて、貸出要求があった各電子図書(図書リストに掲載された電子図書)の貸出しを、要求元のユーザに許可するか否かを判断する(S450)。
【0084】
たとえば、ユーザ管理情報には、ユーザ登録時に登録されたユーザIDやパスワードなどのユーザ情報と当該ユーザ情報によって識別されるユーザの現在の図書貸出し状況とを対応付けた貸出し情報と、ユーザに電子図書の貸出しを許可するか否かの判断基準となる基準情報とが含まれる。そこで、貸出管理サーバ部400は、貸出要求があった各電子図書(図書リストに掲載された電子図書)について、ユーザ管理部302が管理している、要求元ユーザに関する貸出し中の電子図書の冊数とユーザ一人あたりに許容される貸出し上限冊数とを比較する。そして、貸出管理サーバ部400は、貸出し中の電子図書の冊数が貸出し上限冊数に到達していない場合には要求元ユーザに対して今回貸出要求のあった電子図書の貸出しを許可し(S450−YES)、それ以外は、この電子図書の貸出しを不可と判断し、ステップS404に戻る(S450−NO)。
【0085】
<貸出範囲制限処理>
このようにして、貸出確認処理が完了すると、貸出管理サーバ部400は、次に貸出範囲制限処理を起動する(S460)。たとえば、貸出管理サーバ部400は、上述のように貸出要求を行なったユーザに対して貸出しが可能な範囲(貸出可能範囲)の制限が付けられているか否かを確認する(S462)。貸出可能範囲の制限が付けられているか否かの判断は、貸出要求を行なったユーザに対する貸出制限と、貸出要求で指定された電子図書に対する貸出制限、また貸出しが可能な画像(貸出可能画像)の制限などに基づいて行なわれる。
【0086】
このため、ユーザ管理部302は、先にログインを許可したユーザの情報をユーザDB304から読み出すとともに、ユーザ情報で特定されるユーザに適用される貸出制限情報を貸出管理サーバ部400に通知する。そして、貸出可能範囲に制限が付けられている場合は(S462−YES)、それに従って電子図書の貸出し内容を制限するために、貸出可能範囲の制限に基づく編集指示を図書データ編集部222に与える。これにより、図書データ編集部222では、先に貸出要求のあった電子図書のデータファイルを電子図書DB204から読み出し、ユーザに対する貸出可能範囲の制限に従って、電子図書の内容の一部を削除するように電子図書のデータファイルを編集し、かつ当該データファイルにユーザ情報を埋め込む(S464)。
【0087】
そのため、ユーザから貸出要求のあった電子図書の貸出し内容を、当該電子図書の貸出しが可能とされた範囲内に制限することができる。また、ユーザから貸出要求のあった電子図書の貸出し内容を、当該電子図書の貸出しが可能とされた画像だけを含むように制限することができる。なお、画像に対しての制限は、たとえば著作権付きの画像の削除以外にも、カラー画像を白黒画像に変換したり、元の画像よりも解像度を低下させたり、元の画像にノイズ画像を付加したりするなどの、元の画像の画質を劣化させる処理であってもよい。
【0088】
貸出範囲制限処理が完了すると(S462−NO,S464)、図書データ編集部222は、データ埋込部224に電子図書のデータファイルを渡す。このとき、データ埋込部224は、電子図書のデータファイルに、この電子図書の貸出期間のデータ(貸出しが終了する日時を示すデータ)と利用制限情報とを埋め込む。また、図書管理部212では、今回貸出しが行なわれた1冊の電子図書に関して、その管理ステータスを「貸出可能」から「貸出し中」に変更するとともに、貸出しが終了する日時(貸出し期限)を、たとえば図書管理部212が管理する図書管理情報に登録する。ちなみに、貸出期間のデータは、電子図書のデータファイルのヘッダ情報として埋め込むようにすればよい。また、貸出期間のデータは、ユーザ端末7側で勝手に改竄などができないように暗号化したデータとするのが望ましい。
【0089】
なお、貸出要求があった電子図書の管理ステータスが「貸出可能」となっていて、貸出要求元のユーザや貸出し対象の電子図書に対して、貸出可能範囲や貸出可能画像などの貸出制限が何も付けていなかった場合は、電子図書DB204から読み出された電子図書のデータファイルが図書データ編集部222で編集されず、データ埋込部224では、ユーザ情報と利用制限情報の埋め込みだけが行なわれて図書データ送信部230に渡される。
【0090】
<図書データ配信処理と閲覧範囲制限処理>
次に、コンテンツ管理サーバ部200の書籍データ管理部202は、図書データの配信処理を起動し、図書データ送信部230に送信指示をする(S470)。これにより、図書データ送信部230は、図書データ編集部222で編集された電子図書のデータファイルを通信I/F部110を介してユーザ端末7へ送信する処理を開始する(S478)。これにより、ユーザ端末7では、電子書籍のダウンロード(受信処理)が始まる(S662)。
【0091】
なお、本実施形態では、電子文書ファイルを一括(全文)ダウンロードすることで、電子図書館サーバ10とユーザ端末7とが接続されていないオフラインでの閲覧や印刷を行なう動作モードに加えて、一括(全文)ダウンロードとせず、ページごとにオンラインでネットワーク9を経由して閲覧するページビュー形式にも対応している点に特徴を有する。このため、送受信処理は、電子文書データを一括ダウンロードして閲覧などの利用に供する貸出形態と、ページごとにオンラインでネットワークを経由して閲覧するページビュー形式の貸出形態の何れが選択されるかに応じて、異なる形態をとる。
【0092】
たとえば、ユーザは、ページビュー形式による電子書籍の閲覧を指示することができる。この指示は、たとえば、ステップS640での確認処理において行なうようにしてもよいし、ステップS470に移行した段階で確認画面をユーザ端末7に送信してユーザの指示を受け付けるようにしてもよい。ページビュー形式による電子書籍の閲覧がユーザより指示されると(S472−YES)、個人用データ管理サーバ部500は、そのユーザのユーザフォルダ530が登録されていなければ新規にフォルダを用意する。貸出管理サーバ部400は、コンテンツ管理サーバ部200に配信対象の書籍データをユーザフォルダ530に保存するように指示する(S474)。これにより、ユーザごとにユーザフォルダ530が作成され、このユーザフォルダ530に、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍データが保存される。
【0093】
この後、個人用データ管理サーバ部500は、ユーザ端末7からページデータの配信指示を受け付けるまで、データ配信を保留する。たとえば、このまま閲覧を希望する場合、ユーザはユーザ端末7の表示画面にて閲覧メニューを指示することで、即時に(オンライン状態での)ページビュー形式による電子書籍の閲覧を指示する。これを受けて、個人用データ管理サーバ部500は、ユーザのページ捲り指示に従ってページごとに、ユーザフォルダ530から所定ページの書籍データを読み出して、図書データ送信部230を介してユーザ端末7に配信する(S478)。ユーザ端末7は、端末にインストールしている閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従ってページビュー形式による電子書籍の受信および表示の処理を実行する(S662)。
【0094】
一方、一括ダウンロードが指示されると(S472−NO)、貸出管理サーバ部400は、コンテンツ管理サーバ部200に、配信対象の書籍データのすべてをユーザ端末7に配信するよう指示する(S478)。ユーザ端末7は、端末にインストールしている閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従って一括ダウンロード形式による電子書籍の受信および表示の処理を実行する(S662)。一括ダウンロードすることで、ユーザ端末7側では、オフライン状態での閲覧が可能になる。
【0095】
この場合、ユーザ端末7にインストールしている閲覧用プログラムを起動して、ユーザ認証を経た後、閲覧メニューを指示すればよい。電子図書のデータファイルをユーザ端末7に送信した後に、閲覧範囲や画像に対する制限内容に変更が生じた場合、文書本体のデータファイルは既にユーザ端末7に送付(ダウンロード)済みであるので、電子図書館サーバ10側のユーザ管理情報を書き換え、その変更内容を示す情報のみをユーザ端末7に送付すればよい。なお、閲覧制限に限らず、印刷やコピーに対する制限に関しても同様である。
【0096】
なお、ユーザ端末7側での電子書籍データの利用(たとえば表示閲覧や印刷など)に際しては、必要に応じて閲覧範囲制限や閲覧可能な画像範囲の制限などの処理が起動され、所定の制限が加えられる(S670)。この閲覧利用可能範囲制限処理以降の処理も、端末にインストールしている閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従って行なう。
【0097】
閲覧を終了させる場合や電子図書館サーバ10との接続を解除する場合には、ユーザはユーザ端末7にログアウトを指示すればよい(S482,S682)。電子図書館サーバ10は、ログアウトするとの返信を受けた場合は処理を抜け(S482−YES,S682−YES)、ログアウトしないとの返信を受けた場合は上記ステップS420に戻って上記同様の処理を行なう(S482−NO,S682−NO)。
【0098】
<<貸出し後の電子図書の閲覧処理/ページビュー対応>>
図6は、貸出し後の電子図書の閲覧処理の手順の一例を示すフローチャートである。この閲覧処理は、ページビュー形式を利用することで、継続閲覧に対応している点に特徴を有する。
【0099】
先ず、ユーザは、ユーザ登録時に受け取って自端末に組み込んだ閲覧用プログラムを立ち上げる(S702)。閲覧用プログラムには、既にユーザ情報や閲覧可能範囲を制限する情報、あるいは印刷可能範囲を制限する情報などが組み込まれており、電子図書の閲覧や印刷に係る処理は、全て閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従って行なわれる。
【0100】
たとえば、ユーザは、次にユーザIDやパスワードなどのユーザ情報をユーザ端末7に表示されているログイン画面に入力する(S704)。ユーザ端末7は、受け付けたユーザ情報と、閲覧用プログラムに組み込まれたユーザ情報とを比較し、その比較結果において、両者が一致すれば、ユーザ情報が正しいと判断し、一致しなければ、ユーザ情報が不正であると判断してユーザ情報の再入力を要求する(S706)。
【0101】
その後、ユーザ端末7は、予め用意された処理メニューの中からユーザによって何れの処理メニューが選択されたかに応じて処理を継続する(S708)。閲覧用プログラムには、“閲覧”、“印刷”、“コピー”といった3つの処理を含む処理メニューが予め用意されている。“コピー”は電子的なデータの複製を意味する。ここでは“閲覧メニュー”が選択されたものとして説明を続ける(S708−閲覧メニュー)。“閲覧メニュー”が選択された場合は、一括ダウンロードに対応した“オフライン閲覧”とページビュー形式に対応した“オンライン閲覧”との何れか一方が選択可能なっている(S710)。この“オンライン閲覧”は、たとえば、以前閲覧した書籍の継続閲覧を指示することで起動される。ここではこの“オンライン閲覧”が選択されたものとして説明を続ける(S708−YES)。
【0102】
“オンライン閲覧”が指示されると、すなわちユーザフォルダ530へのアクセス要求があると、ユーザ端末7は、電子図書館サーバ10への接続を要求し(S712)、電子図書館サーバ10との間での接続を確立する(S812)。接続の確認が採れると、ユーザ端末7は、継続閲覧を電子図書館サーバ10に指示する(S714)。このユーザフォルダ530へのアクセス要求の指示を受けた電子図書館サーバ10の貸出管理サーバ部400は、図書管理部212およびユーザ管理部302の各管理情報に基づいて、電子図書のオンライン閲覧を統括的に制御する。
【0103】
たとえば、貸出管理サーバ部400は、ユーザIDに基づいてユーザフォルダ530に管理されているユーザ情報を検索し、そのユーザ情報に登録されている書籍名称の一覧、すなわち貸出しを受けた電子図書のリスト画像をユーザ端末7に送信する(S814)。ユーザ端末7は、この書籍名称の一覧を受信し、表示部にて表示し、その一覧の中からユーザが継続閲覧を希望する電子図書の選択を受け付け(S716)、このユーザが指示した継続閲覧を希望する書籍名を電子図書館サーバ10に送信する(S718)。
【0104】
この書籍名を受信した電子図書館サーバ10の貸出管理サーバ部400は、個人用データ管理サーバ部500との連携により、ユーザ情報に基づいて、そのユーザが閲覧を希望する書籍の読掛け(閲覧)中のページを検索する(S818)。そのユーザに貸出済みの書籍データはそのユーザ専用のユーザフォルダ530に既に保存済みであり、コンテンツ管理サーバ部200側で管理している膨大な書籍データからの検索に比べて検索処理が格段に高速にできる。検索が完了すると、検索結果である書籍データの読掛け中ページを送信するとともに、その前後の各数ページもユーザ端末7に予備配信(プリロード)する(S820)。つまり、配信要求を受けたときの最初の配信部分は、ユーザの閲覧希望ページとその前後数ページとする。
【0105】
また、閲覧範囲や画像に制限が加えられている場合、図5のステップS670に示した閲覧範囲制限処理を電子図書館サーバ10側にて実行し、閲覧許可が出ている分だけをユーザ端末7に送るようにする。ユーザ端末7にてこの処理(ステップS670)を行なってもよいが、結果的にはデータ送信の無駄が生じる。
【0106】
ユーザ端末7は、読掛け中ページとその前後のページを受信すると、その読掛け中ページを表示部にて表示する(図示しない表示メモリへの保存を経て)とともに、その前後のページを記憶媒体に保存する(S720)。これにより、ユーザは、読掛けページからの閲覧が可能となる。そして、読み進むと、ユーザは書籍データのページ捲り(次ページ表示)を指示する(S722)。この指示の通知を受けたユーザ端末7は、記憶媒体に保存しておいた次ページデータを読み出して表示部に渡し表示出力させるとともに、捲り指示があったことを電子図書館サーバ10に通知する(S724)。また、メモや下線の書き込み、あるいは修正など(個人用付加情報の更新)が行なわれると、ユーザ端末7は、この更新情報を電子図書館サーバ10の個人付加情報管理部520に返す。
【0107】
これらの通知を受けた貸出管理サーバ部400は、当初の読掛けページに対する次々ページ、すなわち、現在の読掛けページに対する次(後)のページのデータをユーザ端末7に予備配信(プリロード)する(S822)。この次々ページのデータを受信したユーザ端末7は、当初の読掛けページに対する前々ページ、すなわち、現在の読掛けページに対する前のページのデータを消去し、受信した次々ページのデータを記憶媒体に保存する。なお、最初の配信時には、読掛け中ページに対して隣接する前後各数ページをプリロード分として配信していた場合であっても、この捲り指示時の配信(プリロード)分は1ページ分だけでよい。
【0108】
以下、同様にして、ユーザは閲覧とページ捲りを繰り返して電子図書を読み進む(S724−NO)。閲覧を終了させる場合(その電子図書の全ページの閲覧完了も含む)には、ユーザはユーザ端末7にログアウトを指示すればよい。この指示を受け付けたユーザ端末7は、終了通知を電子図書館サーバ10に通知する(S724−YES)。終了通知を受信した貸出管理サーバ部400は、ユーザ情報ファイルを更新し保存する(S828)。そして、必要に応じて、ログアウト処理を行なう。
【0109】
このユーザ情報ファイルの更新と保存には、少なくとも、書籍データを何ページまで閲覧したかなどの現在の閲覧ステータスを示す情報(閲覧情報)を閲覧中の書籍データの書誌的情報と対応付けて書き換えることを含む。閲覧情報は、たとえば電子図書をページ単位で配信する場合であれば現在閲覧中のページ番号、章単位で配信する場合であれば現在閲覧中の章番号など、データ配信単位を規定するものと関わりのあるものとする。“ページ番号”とする場合、ページ捲り指示などをデータ更新として行なう、ページビュー形式の閲覧との整合がよい。なお、データ配信単位を規定可能なものであればよく、たとえば章単位で配信する場合であっても現在閲覧中のページ番号を保存しておき、そのページ番号から閲覧中の章を割り出すようにしてもよい。
【0110】
なお、上記処理手順の説明では、当初の読掛けページに対しての“読進み”をページ捲りとして説明したが、これに限らず、“読戻り”をページ捲りとして指示してもよい。すなわち、ページ捲りは“次ページ”すなわち読掛けページに対しての後ページに限らず、前ページであってもよい。この場合、ステップS822における“次々ページデータの送信”は、“現在の読掛けページに対する前のページのデータの送信”となる。また、ステップS724における“前々ページデータの消去”は、“現在の読掛けページに対する次のページのデータの消去”となる。
【0111】
以上説明したように、上記処理手順に依れば、ユーザごとにユーザフォルダ530をサーバ側に用意し、ここに貸出書籍データを保存しておき、ユーザからこのユーザフォルダ530へのアクセス要求を受けて書籍データをページごとに配信するようにした。これにより、ユーザは、自端末内に電子図書のデータを持っていなくても、書籍閲覧がネットワーク9を介して可能となる。電子図書館サーバ10は、各ユーザフォルダ530にアクセスしてくるユーザの認証を、本来の基本動作(ここでは一括ダウンロード要求)と同じ管理で把握し、ユーザフォルダ530上の電子書籍データをユーザに公開することができる。また、ユーザフォルダ530には、特開2000−155766号公報に記載の技術で行なわれている栞やメモの保存だけではなく、電子書籍データも保存するので、コンテンツ管理サーバ部200への負荷を掛けることなく、ユーザは、必要な時、必要になった場所から何時でも書籍データにアクセスすることができる。
【0112】
また、閲覧中の書籍データの前ページや後ページを事前に所定分だけ予備配信(ユーザ端末7側ではプリロード)しているので、ページを捲る際、スムーズにページを更新でき、ユーザの利便性がよくなる。ユーザがページごとに閲覧指示をした後にページデータが配信されるというものではなく、事前に所定分のページデータを配信してユーザ端末7に保持しており、捲り指示後のデータ配信の待ち時間が不要だからである。
【0113】
また、閲覧を中断した部分を示す現在ステータスをユーザ情報としてユーザDB304に登録・管理し、再開時にはその登録情報を参照して図書データを配信するようにしているので、ユーザは、いつでも読掛け途中から閲覧を再開することができ、便利である。
【0114】
また、予備配信量(プリロード量)は予め定められている所定ページ数分だけであり、ユーザ端末7側に要するメモリ容量が少なくて済む。これにより、たとえば携帯端末など低パワー(本例では特にメモリ容量に関して)のマシンであっても、電子図書の総データ量を気にすることなく、電子書籍の全文を閲覧することができ、ユーザに対してさらに使い勝手がよくなる。
【0115】
このように、電子データを電子図書館サーバ10内のユーザフォルダ530に置くことで、ユーザは、容量の大きい電子データをユーザ端末7に保存する必要がなくなり、端末の記録装置容量を圧迫せずに、閲覧鑑賞が可能となる。たとえば、何時でも何処からでも電子図書館サーバ10にアクセスする通信環境さえあれば、貸出しを受けている電子データの鑑賞や閲覧が可能となり、特にモバイルPCやPDAなどで閲覧するユーザには利便性が向上する。また、予備配信量をユーザ可変にすれば、自端末のメモリ容量や読進み(あるいは読戻り)のペースなどに応じて、予備配信量を自由に設定することができる。
【0116】
また、予備配信量は予め定められている所定ページ数分だけであり、電子図書の全文をユーザ端末7に一括ダウンロードしているわけではない。書籍データ本文は図書館側のサーバにあるので、ユーザ端末7側にて書籍データの一括コピーをすることはできない。敢えて全文コピーを取ろうとすれば、ページごとにコピーを取り(いわゆる分割コピー)、それを後で纏めて1つにするという煩わしい作業が必要になる。これにより、付加的な効果として、著作権保護の点でも有利となる。
【0117】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0118】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0119】
たとえば、上記実施形態では、貸出書籍データのユーザフォルダ530への保存した後に書籍データを配信する好適な事例として、ページビュー形式での閲覧との組合せ事例を説明したが、ユーザフォルダ530へのデータ保存後のデータ配信の形態は、必ずしもページビュー形式での閲覧に応じたものである必要はない。
【0120】
たとえば、外出先において携帯端末で電子図書館サーバ10にアクセスして貸出要求をするケースでは、この外出先で貸出を受ける際には書籍データのユーザフォルダ530への保存を指示する。そして、帰宅後にデスクトップ型PCにてユーザフォルダ530へアクセスして、ユーザフォルダ530からの一括ダウンロードを指示してもよい。
【0121】
このアクセスおよびダウンロードに際しては、対象が絞り込まれているユーザフォルダ530へのアクセス処理だけで済み、元の書籍データの本体を管理しているコンテンツ管理サーバ部200への再度のアクセスが不要であり、コンテンツ管理サーバ部200には一切の負荷を掛けることがない。このため、サーバシステム全体としての負荷が軽減する。
【0122】
また、上記実施形態では、電子書籍のデータそのものをユーザフォルダ530に保存しておき、ユーザフォルダ530へのユーザからのアクセスがあった時点で、データを配信するようにしていたが、書籍データを直接ユーザフォルダ530に保存することに代えて、コンテンツ管理サーバ部200への負荷を掛けることなく、コンテンツ管理サーバ部200が管理している電子書籍データの中からユーザが貸出サービスを受けた電子書籍データを呼出し可能な電子書籍データ管理番号を、ユーザフォルダ530に保存するようにしてもよい。
【0123】
たとえば、図7に示すような電子書籍データ管理ファイルを利用するとよい。各部のデータ容量は、システム仕様により任意に設定されている。そして、ユーザがこの書籍を選択する際に、コンテンツ管理サーバ部200の書籍データ管理部202での情報(結果)とユーザ購読時の情報などの種々の情報を対応付けて、電子書籍データ管理ファイルを作成し、ユーザフォルダ530に保存する。
【0124】
こうすることで、膨大な書籍データを持つデータベースDBを再度検索する必要がなくなり、ユーザの閲覧条件による選択された書籍の内部情報編集(閲覧制限)など、書籍データ管理部202の作業を無くすことができ、この電子書籍データ管理ファイル内の情報から直接データベースをアクセスすることが可能なので、コンテンツ管理サーバ部200への負荷を大幅に軽減することができる。
【0125】
また、上記実施形態では、ユーザに配信される電子データの一例として電子図書を例に説明したが、配信対象の電子データは電子書籍に限らない。たとえば、音楽データ(デジタル化された楽曲情報)や動画映像(たとえば映画)を配信する際に、上記実施形態で説明したように、ユーザ各人に用意されたユーザフォルダ530に一旦データを保存し、ユーザフォルダ530からユーザ端末7にデータを配信する手法を適用することができる。
【0126】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、配信要求のあった電子データを即時にクライアント端末に配信するだけでなく、その後に同一ユーザから再度アクセスがあったときに、コンテンツ管理サーバに負荷を掛けることなく、その電子データを配信可能な情報をユーザスペースに保存して、配信準備だけをしておくことも可能に構成した。
【0127】
これにより、同一の電子データに対する再度のアクセスがある場合に、電子データを管理しているサーバには大きな負荷を掛けることなく、ユーザより要求されたデータを配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配信管理サーバを適用した情報配信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】管理サーバの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】ユーザ登録から閲覧用プログラムのインストールまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】電子図書の貸出業務の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】電子図書の貸出業務の処理手順の一例を示すフローチャートである(図4の続き)。
【図6】ページビューに対応した、貸出し後の電子図書の閲覧処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】ユーザフォルダに保存する他のデータ(電子書籍データ管理ファイル)を説明する図である。
【符号の説明】
1…情報配信システム、3…管理サーバ、5…コンテンツ供給元、7…ユーザ端末、9…ネットワーク、10…電子図書館サーバ、102…配信管理サーバ部、104…貸出業務部、110…通信I/F部、120…要求受付部(配信制御部)、150…登録処理部、152…取得処理部、154…プログラム送信部、156…データ埋込部、200…コンテンツ管理サーバ部、202…書籍データ管理部、204…電子図書DB、210…図書検索部、212…図書管理部、222…図書データ編集部、224…データ埋込部、230…図書データ送信部、300…ユーザ管理サーバ部、302…ユーザ管理部、304…ユーザDB、400…貸出管理サーバ部、500…個人用データ管理サーバ部、510…利用状態管理部、520…個人付加情報管理部、530…ユーザフォルダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークを介して電子データをクライアント端末に配信する情報配信システムに使用される配信管理サーバに関する。たとえば、電子化された書籍、新聞、雑誌などの電子図書をネットワークを利用して貸し出す電子図書館サービスシステムに用いて好適な電子データの配信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、インターネットなどを利用して、電子データを配信するサービスが様々な分野で盛んに行なわれている。たとえば、近年のデジタル信号処理技術およびコンピュータ技術の進展に伴って、種々の著作物が低コストで簡便にデジタル化され、広く利用されるようになってきた。そして、一般利用者や小規模な法人などの不特定多数のユーザが、自らオリジナル・デジタル作品を制作できるようになった。また個人や団体などが所有する私的財産だけでなく、図書などの出版ソフトなどもデジタル化されて利用されるようになった。
【0003】
このようなデジタル化された著作物(デジタル著作物、デジタルコンテンツなどという)は、パーソナルコンピュータ(PCやパソコンなどという)やデジタル機器を用いて容易に利用することができる。特にインターネットなどの情報ネットワークを利用することにより、これらのデジタル著作物は個人的あるいは非常利的利用者にも極めて容易に配信することが可能になる。
【0004】
たとえば、電子図書をユーザの希望に応じて配信する技術が特許文献1,2に提案されている。なお、電子図書は、たとえば、文庫本、週刊誌、月刊誌、専門誌に限らず、新聞類や広告類など、従来印刷物として頒布されていたあらゆるものを含む。本明細書での電子図書は、このような広い意味で使用する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−155766号公報
【0006】
ここで、特許文献1には、デジタルコンテンツに対応する基本要約対照表をテンプレートとして予め用意し、閲覧者が記入したメモや栞などの内容と、デジタルコンテンツ上におけるメモなどの位置とを要約表に記憶し、これらを管理し、デジタルコンテンツに対応させ表示する仕組みが提案されている。
【0007】
そして、データ配信時には、先ず、閲覧者(利用者)が閲覧を望むデジタルコンテンツを選択し、ネットワーキングライブラリシステムが上記選択操作を確認した後に、ネットワーキングライブラリシステムが、上記閲覧者の履歴をチェックする。そして、閲覧者のアクセス履歴が確認されると、蓄積情報から過去のビューア情報と、新たに取得した現在のビューア情報とを比較した後に、所定のデジタルコンテンツと、栞や下線などを表示するための既存の個別要約対応表とを閲覧者へ送信する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、栞やメモのみを個人用フォルダに情報として保存するので、それら情報を基に書籍データを管理しているサーバに再度アクセスが必要になり、サーバ負荷が多大に掛かってしまう。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、同一の電子データに対する再度のアクセスがある場合に、サーバに多大な負荷を掛けることなくデータを配信することができるデータ配信技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る配信管理サーバは、ユーザが操作するクライアント端末からの要求を受け電子データの配信を制御する配信管理サーバであって、先ず、配信対象となる前記電子データを管理するデータ管理部と、電子データの利用要求を発したクライアント端末に対する、データ管理部が管理している電子データのうちの、利用要求のあった電子データの配信を制御する配信制御部と、利用要求を受けた電子データを取得するための情報を保存する、データ管理部が管理しているデータ格納部とは別に設けられたユーザ用のデータ格納部とを備えるものとした。
【0011】
配信制御部は、電子データの利用要求を受け付けると、電子データを取得するための情報をユーザ用のデータ格納部に保存するか否かを利用要求に含まれているユーザの指示に基づいて判断する。そして、ユーザの指示が保存を示していないときには利用要求を受けた電子データをクライアント端末に配信させる一方、ユーザの指示が保存を示しているときには利用要求を受けた電子データを取得するための情報をユーザ用のデータ格納部に保存させ、その後にユーザから配信指示があるまで電子データのクライアント端末への配信を保留させる。
【0012】
また従属項に記載された発明は、本発明に係る配信管理サーバのさらなる有利な具体例を規定する。
【0013】
たとえば、ユーザ用のデータ格納部には、ユーザごとに専用のフォルダを用意し、この専用のフォルダにそのユーザから利用要求があった電子データを取得するための情報を保存するようにするとよい。
【0014】
また、ユーザ用のデータ格納部に保存される、前記利用要求があった電子データを取得するための情報としては、利用要求を受けた電子データそのものとしてもよいし、利用要求を受けた電子データをデータ管理部を介して取得可能な対応情報としてもよい。
【0015】
【作用】
本発明に係る上記構成においては、配信要求を受けた電子データを即時にクライアント端末に配信するだけでなく、電子データを取得して配信可能な情報をユーザスペースに保存して配信準備だけをしておくことも可能に構成しておく。即時配信と保存後の配信の選択はユーザに委ねる。
【0016】
保存後の配信が選択されると、配信制御部は、要求のあった電子データを取得してクライアント端末に配信可能な情報として、その電子データそのものもしくは対応情報を一旦ユーザ用の保存スペースに保存させ、その後に配信指示をユーザから受け付けるまで、実際の配信を待機する。そして、その後に配信指示を受け付けると、配信制御部は、ユーザ用のデータ格納部に保存しておいた情報に基づき、要求を受けた電子データをクライアント端末に配信させる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
<<情報配信システムの全体構成>>
図1は、本発明に係る配信管理サーバを適用した情報配信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。ここでは、デジタルコンテンツ(情報の内容)の一例である電子図書(書籍データ)をユーザが所有する端末にネットワークを介して配信する電子図書館サービスシステムへの適用事例を示している。
【0019】
図示するように、情報配信システム1は、システムを管理する管理サーバ3と、提供データの供給元であるコンテンツ供給元5(図では3箇所)と、提供されるデータを受信するユーザ端末7(図では2箇所)とから構成されている。それぞれは、通信回線やケーブルを利用したネットワーク(インターネット、LAN、WANなど)9を介して双方向に通信可能に接続されている。通信手段には、電話回線や衛星通信手段(たとえばデジタル衛星放送における空間伝送路)を含んでいてもよい。
【0020】
デジタルコンテンツの配給元であるコンテンツ供給元5(図では3箇所)には、図示しないコンピュータやデジタルコンテンツを格納する記憶装置が用意されており、デジタルコンテンツを必要に応じて管理サーバ3側に送付する。
【0021】
ユーザ端末7としては、デスクトップ型のパソコンである端末aと、ノート型パソコンや携帯電話などのいわゆるモバイル型の端末bとが図1に例示されている。これらのユーザ端末7には、書籍データ(管理情報を含む)を閲覧するためのプログラムをインストールしたり、あるいはダウンロードした書籍データに基づいてディスプレイに文書(テキストだけでなく、画像を含んでいてよい)を表示したりするなどのデータ処理をするソフトウェアが組み込まれる。
【0022】
管理サーバ3は、利用者のコンピュータなどとコンテンツ供給元5との間でネットワーク9によって結合され、コンテンツ供給元5が提供するデジタルコンテンツの関連情報(たとえば電子図書の書誌的情報など)やシステムへの登録ユーザに関するユーザ管理情報を管理する。そして、コンテンツ供給元5が提供するデジタルコンテンツをユーザの希望に応じてそのユーザが所有するユーザ端末7に配信する。また、その配信に応じた対価を徴収する。
【0023】
なお、コンテンツ供給元5やユーザ端末7は、図示した構成数に限定されない。また、図示した例では、1箇所の管理サーバ3(実質上の統轄サーバ)がシステム全体を管理するようにしているが、たとえば個々のコンテンツ供給元5ごとに管理サーバ3(ローカルサーバ)を用意して、それぞれが独自にユーザ端末7にデータの配信を行なうシステムとしてもよい。また、これら個々の管理サーバ3を統轄する管理サーバ3(統轄サーバ)を用意して、ユーザ端末7との間は、この統轄サーバを介してデータの配信を行なうようにしてもよい。
【0024】
また、デジタルコンテンツをユーザ端末7に配信する際には、そのコンテンツを暗号化したり電子透かしを付加したりして配信するようにしてもよい。また、ユーザ端末7にダウンロードしたデータを加工・編集できないようにプロテクトをかける、すなわちユーザによるデータ加工防止の仕組みを設けるようにしてもよい。
【0025】
電子図書館サービスシステムを構築する際のコンテンツ供給元5として、本実施形態では、図書館がその機能を担っている。各コンテンツ供給元5も、相互にネットワーク9によって双方向に通信可能に接続されている。また、この場合の管理サーバ3は、電子図書館サーバ10としての機能を果たす。たとえば、電子図書館サーバ10としての機能をなす管理サーバ3は、ネットワーク9上の1つのサイトとして存在するもので、ユーザ端末7から貸出要求があった電子図書を、ネットワーク9を利用したデータ通信によって貸し出す図書貸出しサービス(電子図書館サービスともいう)を行なうサーバ装置である。
【0026】
ユーザ端末7は、電子図書館サービスを利用するユーザが操作する端末装置であり、電子図書館サーバ10にアクセスするためのネットワーク機能を備えている。全体として、電子データ化された図書館の書籍データを、一般回線を通して、書籍データをダウンロード(貸出し)して閲覧することが可能な電子図書館システムが構築される。
【0027】
たとえば、管理サーバ3から各端末a,bに、電子図書を閲覧するための登録ユーザ専用の閲覧用プログラムが予め(たとえばユーザ登録直後に)インストールされ、その後、この閲覧用プログラムを起動してのユーザからの要求に応じて(たとえば図書検索後に)、閲覧希望の書籍の中身を示すデータである閲覧データファイルが送信される。
【0028】
ここで、各コンテンツ供給元5(各図書館)は、各々が把握している書籍情報やユーザ管理情報をお互いに公開にして、それぞれが相互に他の地域の書籍情報やユーザ情報を参照できるようにしている。これにより、他のコンテンツ供給元5(たとえば図書館)に登録しているユーザであっても、未登録のコンテンツ供給元5(他の地域の図書館)から電子データ(電子図書)の提供サービス(図書貸出しサービス)を容易に受けることができるようになっている。
【0029】
<<管理サーバ(電子図書館サーバ)の構成>>
図2は、管理サーバ3の一構成例を示す機能ブロック図である。実際には、サーバ用のコンピュータにより構築されるとよい。この場合には、後述する様々なサーバ機能をコンピュータにより実行するためのソフトウェアがインストールされる。以下、電子図書館サービスシステムを構築する際の管理サーバ3、すなわち電子図書館サーバ10として、電子データの配信手法について具体的に説明する。
【0030】
電子図書館サーバ10は、大きくは、コンテンツ供給元5やユーザ端末7との間でのデータ配信業務を担当する配信管理サーバ部102と、コンテンツ供給元5(図書館)が提示する電子図書データを、利用を希望するユーザに配信する処理を担当する貸出業務部104とから構成されている。
【0031】
貸出業務部104は、大まかに、コンテンツ供給元5から配信対象として提供される電子データ(本例では電子図書)を管理する機能を担当するコンテンツ管理サーバ部200と、ユーザの情報を管理する機能を担当するユーザ管理サーバ部300と、ユーザの希望に応じた電子データの配信管理(本例では電子図書の貸出管理)を行なう貸出管理サーバ部400と、電子図書と関わりのあるユーザ各人の情報を管理する個人用データ管理サーバ部500とから構成されている。
貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7から電子データの利用要求を受け付けると、その要求を許可するか否かや、利用可能範囲内でのデータ配信制御など、ユーザからの電子図書の利用要求に対する応答処理を制御する。
【0032】
各サーバ部をそれぞれ独立したコンピュータシステムにより構成し、それらを連結して電子図書館サーバ10を完成させてもよいし、1つのコンピュータシステムにより各サーバ部を機能させることで、電子図書館サーバ10を完成させてもよい。特に、ともに個人に関わる情報を管理するユーザ管理サーバ部300と個人用データ管理サーバ部500とは、1つのコンピュータシステムにより機能させるとよい。
【0033】
配信管理サーバ部100の配信管理サーバ部102は、ネットワーク9を介して通信するための通信I/F部110と、この通信I/F部110で受信したユーザ端末7からの処理要求を受け付ける要求受付部120と、電子図書館サービスを利用するためのユーザ登録処理を行なう登録処理部150とを有している。
【0034】
登録処理部150は、ユーザ端末7を操作するユーザからユーザ情報を取得するための処理を行なう取得処理部152と、ユーザ登録が完了したユーザが使用するユーザ端末7に閲覧用プログラムを送信する処理を行なうプログラム送信部154と、プログラム送信部154で送信される閲覧用プログラムに所定の情報(ユーザ登録を行なったユーザ情報など)を埋め込む処理を行なうデータ埋込部156とを有している。
【0035】
閲覧用プログラムは、コンテンツ供給元5から提供される電子図書を閲覧するために、ユーザ登録を行なったユーザに提供されるプログラムであって、ユーザ端末7で電子図書を閲覧、印刷、コピーなどする際に必要となるものである。なお、ここでの“コピー”は電子的な複製を意味し、“印刷”は、配信された電子図書に基づく紙媒体などへの出力(ハードコピー)を意味する。
【0036】
電子図書館サービスシステムを構築する際のコンテンツ管理サーバ部200は、電子図書の情報を管理する書籍データ管理部202と情報の中身と対応した関連情報(電子書籍の場合はその書誌的情報など)を保存する電子図書DB(DB;データベース)204とを有する。電子図書DB204は、貸出しサービスの対象になる複数(多数)の電子図書(実体ファイル)と関連情報との対応付けを採り、貸出管理サーバ部400にて貸出しに当たっての管理さえできれば十分である。よって、全体システムを考えた場合、電子図書の本体を何処で保存するかは問題とならない。
【0037】
そこで、実体ファイルである情報の中身(デジタルコンテンツ)そのものは、コンテンツ供給元5側に用意されている記憶媒体に格納しておき、ユーザから配信希望があったときにコンテンツ供給元5から提供を受けてユーザ端末7に配信(転送)する。なお、電子図書DB204に情報の中身(デジタルコンテンツ)そのものを保存するようにしても構わない。以下、説明を簡単にするため、特に断りを入れない限り、電子図書DB204に各電子図書の内容(本文)を表すデータファイル(書籍データの電子的な複製物)が蓄積されているものとして説明する。
【0038】
書籍データ管理部202は、電子図書DB204と協働して電子図書の検索処理を行なう図書検索部210と、電子図書DB204に蓄積された各電子図書の内容(本文)を表すデータファイルや、各電子図書に関する図書管理情報を管理する図書管理部212とを有する。また書籍データ管理部202は、貸出要求の対象として選択された電子図書のデータファイルを貸出し内容の制限に応じて編集する図書データ編集部222と、ユーザに送信する電子図書のデータファイルに所定のデータを埋め込む処理を行なうデータ埋込部224と、貸出管理サーバ部400で貸出可能(または貸出しを許可する)と判断され、かつ図書データ編集部222で編集された電子図書のデータファイルを貸出要求元のユーザ端末7に送信する処理を行なう図書データ送信部230とを有する。
【0039】
図書データ編集部222は、たとえば、貸出要求の対象として選択された電子図書のデータファイルを電子図書DB204から読み出すとともに、この読み出した電子図書のデータファイルを、貸出管理サーバ部400による貸出し内容の制限に従って編集し、編集済みのデータファイルを図書データ送信部230に渡す。データ埋込部224は、図書データ送信部230によって送信される電子図書のデータファイルに、たとえば、電子情報の貸出要求を行なったユーザ情報、電子図書の貸出し管理情報、あるいは電子図書の貸出し後の利用条件を規定した利用制限情報、さらには閲覧や印刷出力に対する課金処理の条件(対価)など、所定の情報を埋め込む。
【0040】
ユーザ管理サーバ部300は、ユーザ情報を管理する主要部であるユーザ管理部302と、電子図書館サービスを利用するユーザに関する情報(ユーザ情報)を蓄積するユーザDB304とを有する。ユーザ管理部302は、たとえば、ユーザDB304に蓄積されたユーザ情報や、各々のユーザ情報に対応するユーザ管理情報を管理する。たとえば、ユーザ管理サーバ部300は、ユーザ端末7の操作者であるユーザに関する情報と、このユーザに設定されている利用制限範囲とこのユーザの電子図書の貸出実績(利用度合い)とを対応付けてユーザDB304に保存することで管理する。
【0041】
貸出管理サーバ部400は、電子文書データを一括ダウンロードして閲覧などの利用に供する貸出形態に加えて、ページごとにオンラインでネットワークを経由して閲覧するページビュー形式の貸出形態にも対応するようになっている。また、本実施形態の特徴部分として、貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7から継続閲覧の利用要求を受け付けると、ユーザ端末7に、当該継続閲覧要求のあった電子図書のうちの注目部分(たとえば継続閲覧を希望する読掛けページ)のデータを配信するとともに、この注目部分に近傍する所定量のデータ(たとえば読掛けページの前後各数ページ)を予備配信するように制御する配信制御部の機能を有する。
【0042】
たとえば、要求受付部120がユーザ端末7から継続閲覧の指示を受け付けると、その指示が貸出管理サーバ部400に通知される。この場合、貸出管理サーバ部400は、電子文書を一括でユーザ端末7に送信してダウンロードさせるのではなく、オンライン状態でネットワーク9を経由して、ページごとに閲覧するページビュー形式でのデータ配信を行なう。そして、継続閲覧時に最初に配信するデータは、ユーザDB304に登録しておいた貸出書籍の書誌的情報と、その現在の閲覧ステータスを示す情報並びに予備配信量とに基づき、読掛け中断部分のデータに加えてその近傍、たとえば前後各1ページ分も予備配信(プリロード)分として配信する。また捲り指示がある都度、さらにその捲り方向の所定分(たとえば1ページ分)を予備配信分として配信する。
【0043】
また、本実施形態の特徴部分として、電子図書と関わりのあるユーザ各人の情報を管理する個人用データ管理サーバ部500は、継続閲覧開始時にユーザが注目する部分としての前回閲覧利用を中断した読掛け部分(具体的には読掛けページなど)を、その読掛け中の電子図書に対応付けて管理する利用状態管理部510と、閲覧図書にユーザが付与した、たとえばメモ内容、下線、栞などの特記事項などの情報(以下個人用付加情報ともいう)をその読掛け中の電子図書に対応付けて管理する個人付加情報管理部520と、これらのユーザ各人の情報を個々に(ユーザごとに)保存する記憶媒体(ディスクスペース)であるユーザフォルダ530とを有する。
【0044】
なお、本実施形態では、ユーザフォルダ530が生成される記憶媒体は、ユーザ管理サーバ部300のユーザDB304と共用されるものとしているが、これに限らず、図中点線で示すように、ユーザフォルダ530専用の記憶媒体を用意してもよい。ユーザフォルダ530にはユーザごとに使用容量が設定され、その範囲内で自由に利用可能になっている。
【0045】
また、ユーザ端末7側からのユーザフォルダ530へは、所定のユーザ認証を経た正規のユーザ(そのフォルダの該当ユーザ)でなければ、保存されているデータへのアクセスができないようにしておく。このように、ユーザフォルダ530を、ユーザ各人の専用フォルダとし、ユーザフォルダ530に書籍データなどを蓄積管理することによって、他者の参照を排除することができる。このために、共通に閲覧される共有資産である電子書籍であっても、貸出処理後にユーザフォルダ530に保存された時点で、個別に管理されるので、貸出し中の書籍既内容は他者の目に触れられることがなく、プライバシーを守ることができる。
【0046】
貸出管理サーバ部400は、ユーザに電子図書の貸出処理を実効する際、その電子図書のデータを一括してユーザ端末7に配信する一括ダウンロード提供サービスだけでなく、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍のデータを、サーバ側に各ユーザ専用に用意されたユーザフォルダ530に保存しておくサービスも提供可能になっている。なお、電子書籍のデータそのものをユーザフォルダ530に保存(書籍データを直接保存)することに代えて、コンテンツ管理サーバ部200が管理している電子書籍データの中から、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍データをコンテンツ管理サーバ部200への負荷を掛けることなく(複雑な検索処理を経ることなく)取得可能な対応情報(たとえば電子書籍データ管理番号)を保存するようにしてもよい。
【0047】
ユーザ管理サーバ部300と貸出管理サーバ部400は、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍のデータをユーザフォルダ530に保存した時点で、正規の貸出が完了したものとして管理する。たとえば、サーバ側のユーザ専用に用意されたユーザフォルダ530に保存できる電子書籍データの本数は、各ユーザの貸出し本数制限(一括ダウンロード分との総計)に基づき管理される。つまり、貸出管理サーバ部400は、一括ダウンロード貸出分だけではなくユーザフォルダ530に保存している貸出利用分との総計に対して、各々のユーザに決められた貸出し本数の制限が加えられ、その制限本数(利用制限範囲)を超えない範囲で、貸出しの許可を与える。
【0048】
また、貸出管理サーバ部400は、電子図書に設定されている配信制限範囲と各ユーザに対する貸出実績(利用度合い)とに基づいて、全ユーザの利用度合いが配信制限範囲内に収まるように利用要求に対する応答処理を制御する。たとえば、あるユーザに対する貸出処理がなされユーザフォルダ530に保存された電子書籍データまたは電子書籍データ管理番号は、貸出しを受けているそのユーザが返却手続きを行なうか返却期限が切れるまで、その電子書籍の貸出しを他のユーザが受けることができないようにする。現実の書籍は1冊が1人のユーザに貸し出されるものであるから、ユーザフォルダ利用の電子的配信の態様であっても貸出には変わりがなく、ユーザフォルダ利用分を無視した形態で、書籍貸出業務を行なうことは好ましくないからである。
【0049】
利用状態管理部510が管理するユーザ情報には、少なくともそのユーザに貸し出した書籍の書誌的情報と、現在の閲覧ステータスを示す情報としての閲覧中であった読掛け途中の部分を示す情報と、次回の閲覧時に継続閲覧を希望した場合に、読掛け途中の部分に対してどの程度さらに前後の部分を最初に予備配信するかを示す情報も登録、管理する。たとえば、ページ単位で配信する場合であれば、読掛け中のページ番号と、その読掛け中のページに対してさらに前後何ページ分を、次回の再接続時の閲覧時に配信するかを、たとえば閲覧中断時にユーザDB304に登録しておく。なお、予備配信は、ユーザ端末7にとっての予備受信(プリロード)である。
【0050】
個人付加情報管理部520が管理する個人用付加情報は、たとえば特開2000−155766号に記載の仕組みと同様に、電子図書ごとおよびユーザ(閲覧者)ごとに、個別に個別識別子リスト(たとえば個別要約対照表など)を設けて管理するとよい。何れにしても、電子図書のページ番号、ページ内行番号、行内文字番号などによって、電子図書と個人用付加情報との位置の対応を採ることで、ユーザ端末7側で、メモなどの個人用付加情報が書き込まれた位置へ、メモ、下線、栞などを重ねて表示することができるようにしておく。
【0051】
貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7からユーザフォルダ530へのアクセス要求(つまり同一閲覧者の再アクセス)を受け付けると、所定のユーザ認証処理を得た後そのアクセスを許可する。また、同一閲覧者の再アクセス時に、閲覧希望の電子図書に個人用付加情報が付与されていた場合、書籍データの所定ページのデータの配信をコンテンツ管理サーバ部200に指示することに加えて、そのページに該当する個人用付加情報の配信を個人付加情報管理部520に指示する。
【0052】
これにより、ユーザ端末7では、電子図書の内容と、個人用付加情報とが透過的に重ねて表示される。閲覧者全員の共通資産である書籍データそのものには、メモ、下線の書き込みや栞の挿入などの加工を施していないにも拘らず、メモや下線を書き込みすることができる。また、ここで、メモや下線の書き込み、栞の挿入あるいは修正など(個人用付加情報の更新)が行なわれると、ユーザ端末7は所定のタイミングで(たとえばページ切替時や閲覧終了時に)、この更新情報を電子図書館サーバ10の個人付加情報管理部520に返す。個人付加情報管理部520は、更新後の個人用付加情報をユーザフォルダ530に保存しておき、次回のデータ配信時に利用する。
【0053】
なお、電子図書の返却処理後には、個人用付加情報を破棄することが可能である。ただし、次回の借用時に同じ個人用付加情報を使用したいとするユーザもあり得る。このため、ユーザフォルダ530の使用容量も加味して、返却処理時に同時に個人用付加情報を破棄するか否かは、ユーザの意図に任せるのがよい。
【0054】
<<情報配信システムの処理手順;ユーザ登録と閲覧プログラム配布>>
次に、上記構成の電子図書館サーバ10を備えてなる情報配信システム1における、電子図書館サービスを実行する際の処理手順について、フローチャートを参照しつつ順に説明する。先ず、図3は、ユーザ登録から閲覧用プログラムのインストールまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ユーザは、ユーザ端末7およびネットワーク9を介して、電子図書館サーバ10に接続要求を行なう(S302)。これを受けて、電子図書館サーバ10側では、配信管理サーバ部100の通信I/F部110が、このユーザ端末7からの接続要求を受信するとともに、その接続要求を要求受付部120で受け付ける(S202)。これによって、ユーザ端末7と電子図書館サーバ10との間で接続を確立する。
【0056】
次いで、要求受付部120では、予め用意された初期メニュー画面データを通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S204)。これにより、初期メニュー画面データを受信したユーザ端末7側では、初期メニュー画面が表示部に表示される。初期メニュー画面データは、電子図書館サーバ10とユーザ端末7との間でネットワーク9による接続が確立したときに、ユーザ端末7の表示部に最初に表示されるメニュー画面を表すデータである。
【0057】
この初期メニュー画面の表示内容には、ユーザ端末7を操作するユーザに対して、電子図書館サービスを利用するためのユーザ登録を希望するか否かを問い合わせる内容や、登録済みのユーザに対して、所望の処理メニューを問い合わせる内容などが含まれる。ユーザは、このメニュー内容に従って、ユーザ登録するか否かを選択する(S304)。
【0058】
要求受付部120は、初期メニュー画面データを送信した後にユーザ端末7から送信(返信)された応答データを、通信I/F部110を介して受け付けるとともに、この受け付けた応答データの内容に従って、ユーザ端末7の表示部上で初期メニュー画面の中からユーザ登録が選択されたか否かを確認する(S206)。
【0059】
たとえば、ユーザがステップS304においてユーザ登録を選択しなかった場合、配信管理サーバ部100は、初期メニュー表示データとは別のメニュー画面データを、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S290)。ユーザ端末7は、この別のメニュー画面データを受信して表示部に表示する(S390)。
【0060】
<ユーザ情報登録>
一方、ユーザがステップS304においてユーザ登録を選択した場合は、配信管理サーバ部100は、登録処理部150にユーザ登録処理の実行を指示する(S210)。この実行指示を受けた登録処理部150は、先ず、取得処理部152が、ユーザ情報の受付画面データを通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S212)。ユーザ情報の受付画面データを受信したユーザ端末7側では、ユーザ情報の受付画面が表示部に表示される。ユーザは、表示部に表示された受付画面に従ってユーザ登録に必要な情報の入力処理を行なう(S312)。
【0061】
ユーザ登録に必要となるユーザ情報には、たとえば、住所、氏名、年齢、性別、電話番号、電子メールアドレスなどのいわゆるユーザの個人情報の他に、ユーザIDやパスワードなどの、ユーザを一意に識別するための識別情報が含まれる。また、登録しようとするユーザが、たとえば、家族、学校、自治体などのグループ単位(団体)である場合は、それぞれのグループに所属する個人ユーザごとに上記識別情報を登録する。
【0062】
グループユーザとしての管理も行なうことで、次のようなメリットが得られる。たとえば、メインユーザが登録すれば、それに登録されたグループのメンバも閲覧や鑑賞ができるシステムを構築することができる。また、メインユーザが、グループメンバの貸出し情報を管理することができる仕組みとすれば、メインユーザがグループメンバに対して貸出本数や貸出内容の制限を加えることや、管理情報のモニタや返却手続き代行などを行なうこともできる。また、メインユーザが行なうグループメンバの貸出制限を閲覧や鑑賞あるいはダウンロードの項目ごとにできる。
【0063】
取得処理部152は、ユーザ端末7から返信されたユーザ情報を、通信I/F部110を介して受け付ける(S214)。すると、取得処理部152は、通信I/F部110を介してユーザ端末7に、このユーザ端末7を一意に特定するための端末固有情報の送信要求を行なう。ユーザ端末7は、自身の端末固有情報を送信する(S316)。端末固有情報としては、MACアドレス(media access control address)や端末型番とシリアル番号の組合せなどを利用することができる。MACアドレスを使うと端末固有情報の自動取得が容易である。取得処理部152は、この送信要求への応答としてユーザ端末7から送信された固有情報を取得する(S216)。取得処理部152は、ユーザの個人情報や識別情報、さらには端末固有情報をユーザ情報としてユーザDB304に記憶(登録)する。
【0064】
<閲覧プログラムのユーザ端末へのインストール>
こうしてユーザ情報の登録が完了すると、配信管理サーバ部100は、プログラム送信部154に閲覧用プログラムの送信処理の実行を指示する(S220)。この実行指示を受けたプログラム送信部154は、先ず、閲覧用プログラムのダウンロード受付画面データを、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S222)。閲覧用プログラムのダウンロード受付画面データを受信したユーザ端末7側では、閲覧用プログラムの受信処理を開始する(S320)。
たとえば、先ず閲覧用プログラムのダウンロード受付画面が表示部に表示される。ユーザは、閲覧用プログラムのダウンロードを希望する場合、表示部に表示された受付画面に従ってダウンロード要求を選択し(S322−YES)、閲覧用プログラムのダウンロード以外を希望する場合は、表示部に表示された受付画面に従ってダウンロード以外の処理要求を選択する(S322−NO)。
【0065】
プログラム送信部154は、応答データの内容に従って閲覧用プログラムのダウンロード要求の有無を確認する(S224)。所定時間内にダウンロード要求が選択されなかった場合は、登録処理部150は、ユーザの希望する処理内容に合わせて別のメニュー画面データを、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S224−NO,S292)。一方、ダウンロード要求が選択された場合は、プログラム送信部154は、データ埋込部156にユーザ情報の埋込みを指示する(S224−YES)。
【0066】
これを受けて、データ埋込部156は、その埋込み指示に従って閲覧用プログラムに端末固有情報を含むユーザ情報を埋め込む(S226)。閲覧者を制限する手段の一例として閲覧可能な端末を限定するものであり、端末固有情報を閲覧用プログラムに埋め込んでおくことで、閲覧できる端末を限定することを可能とする。また、閲覧用プログラムにユーザ識別情報や端末固有情報を埋め込んでおくことで、登録していないユーザが、閲覧用プログラムをコピーして使用することを防止する。
【0067】
次いで、プログラム送信部154は、データ埋込部156により端末固有情報などのユーザ情報が埋め込まれた閲覧用プログラムを、当該閲覧用プログラムをユーザ端末7に組み込む(インストールする)ためのインストーラとともに、通信I/F部110を介してユーザ端末7に送信する(S228)。
【0068】
ユーザ端末7は、電子図書館サーバ10から閲覧用プログラムのダウンロードを完了すると(S322)、この閲覧用プログラムのインストールを開始する(S324)。次いで、ユーザ端末7は、インストールの対象とした閲覧用プログラムに埋め込まれている端末固有情報が、自装置の端末固有情報と一致するか否かを確認する(S330)。そして、自装置の端末固有情報と一致した場合は、閲覧用プログラムのインストールを継続し、これが完了したら、その旨をユーザに通知する(S332)。一方、自装置の端末固有情報と一致しなかった場合は、閲覧用プログラムのインストールを中止して、インストールに失敗した旨をユーザに通知する(S334)。
【0069】
<<情報配信システムの処理手順;電子図書の貸出処理>>
図4および図5は、電子図書の貸出業務の処理手順の一例を示すフローチャートである。先ず、ユーザ登録時に受け取って自端末に組み込んだ閲覧用プログラムを立ち上げ(S600)、電子図書館サーバ10にネットワーク9を介して接続要求を行なう(S602)。配信管理サーバ部100の要求受付部120はこの接続要求を受け付けて、ユーザ端末7との接続を確立する(S402)。接続が確立すると、ユーザ端末7にはログイン用の初期メニュー画面データが送信され、ログイン画面が表示される(S404)。
【0070】
ユーザは、このログイン画面上にて、IDやパスワードなどのログインに必要なユーザ識別情報を入力し、電子図書館サーバ10にログイン要求をする(S604,S606)。取得処理部152は、受け付けたログイン要求に含まれるユーザの識別情報(ユーザID、パスワードなど)を取得し、ユーザ管理部302に通知する。
【0071】
ユーザ管理部302は、登録済みユーザとの照合を行なう(S410)。たとえば、ユーザDB304に登録されたユーザ情報の中に、ログイン要求のあったユーザの識別情報に一致する識別情報を含むものが存在するか否かを確認する(S412)。そして、ログイン要求のあったユーザの識別情報に一致する識別情報を含むユーザ情報がユーザDB304内に存在した場合は(S414−YES)、照合結果をOKとしてログインを許可する。これと同時に配信管理サーバ部100は、処理選択メニュー画面データを送出する(S416)。一方、存在しなかった場合は(S414−NO)、ユーザ管理部302は、照合結果をNGとしてログインを不許可とし、上記ステップS410に戻る。ユーザ端末7では、上記ステップS604に戻って、ユーザ識別情報の再入力をユーザに要求する(S608−NO)。
【0072】
電子図書館サーバ10からログインの許可が出ると(S608−YES)、ユーザは、端末画面に表示された処理選択メニュー上で希望する処理を指示する。通常は、閲覧希望の図書を検索する処理が最初に指示されるであろう(S610)。なお、検索以外が指示されると、配信管理サーバ部100は、別メニュー画面データをユーザ端末7に送信する(S490)。以下、図書検索の指示がユーザよりあったものとして説明を続ける。
【0073】
電子図書館サーバ10では、図書検索要求を受け付けると(S418−YES)、図書検索部210は、電子図書の検索処理を起動する(S420)。この検索処理では、先ず、図書検索用の受付画面データ(図書検索メニュー画面データ)をユーザ端末7に送信する(S422)。ユーザは、この図書検索メニュー画面上で、図書の書名、著者名、発行者名、その他キーワードなど、図書検索用のキーワード情報を入力し、電子図書館サーバ10に対して検索要求をする(S620)。
【0074】
図書検索部210は、この検索要求を受け付けると(S424)、そのキーワード情報を検索キーとして図書検索を実行する(S426)。具体的には、電子図書DB204にアクセスすることにより、キーワード情報に一致する情報を持つ電子図書が電子図書DB204に存在するか否かを確認する。そして、検索結果画面をユーザ端末7に返す(S428)。たとえば、キーワード情報に一致する情報を持つ電子図書が見つかった場合は、その電子図書のたとえば、図書の書名、著者名、発行者名、発行日などの書誌的情報を抽出し、これらの書誌的情報を示す検索結果画面をユーザ端末7に返す。このとき、キーワード情報に一致する情報をもつ電子図書が電子図書DB204の中で複数見つかった場合は、それらの電子図書の書誌的情報を全て抽出する。また、キーワード情報に一致する情報を持つ電子図書が見つからなかった場合は、その旨のメッセージを通知する。
【0075】
これにより、ユーザ端末7を操作するユーザは、表示部に表示された検索結果の通知画面を見て、所望の図書が電子図書館サーバ10内に存在するか否かを確認することができる。ユーザは、この検索結果画面にて、検索結果リストに希望書籍がない場合や検索指示の該当書籍がゼロである場合には再検索を指示するか検索をキャンセルして別メニューを選択する(S630−NO)。電子図書館サーバ10では、再検索の指示があると上記ステップS420に戻し(S430−再検索)、また、検索がキャンセルされると上記ステップS404に戻る(S430−キャンセル)。一方、検索結果画面にて閲覧希望の電子図書がある場合は、ユーザは、貸出しを希望する電子図書を指定(選択)して電子図書館サーバ10に通知する(S630−貸出し)。
【0076】
<貸出確認処理>
これを受けて、貸出管理サーバ部400は、先ず、貸出確認処理を起動する(S440)。たとえば、貸出し確認用の画面データをユーザ端末7に送信する(S442)。この貸出し確認用の画面には、たとえば、ユーザ端末7から貸出要求を受けた図書の情報を一覧にした図書リストと、この図書リストに掲載された図書の貸出しを希望するか否かの確認メッセージと、図書の貸出要求を確定する「確認」ボタンと、図書の貸出要求を取り消す「キャンセル」ボタンとが表示される。ユーザは、この画面にて希望の指示を発する(S640)。
【0077】
貸出管理サーバ部400は、ユーザ端末7からの応答データを受け付けると、この受け付けた応答データの内容に従って、ユーザが選択した処理内容を確認する(S444)。そして、ユーザが「キャンセル」ボタンを選択したと判断した場合は上記ステップS420に戻る(S444−キャンセル)。一方、ユーザが「確認」ボタンを選択したと判断した場合は(S444−確認)、貸出管理サーバ部400は、図書の貸出しが可能であるか否かを判断する(S446)。
【0078】
たとえば、ユーザ管理サーバ部300が管理するユーザ情報には、ユーザ各人には貸出冊数の制限が設定されている。貸出管理サーバ部400は、ユーザ管理サーバ部300に問い合わせて、一括ダウンロード分とユーザフォルダ530を利用したページビュー形式での閲覧分との総貸出冊数が各ユーザの貸出し本数制限に達しているか否かを判断する。そして、各々のユーザに決められた貸出し本数の制限数を超えない範囲で貸出しの許可を与える。
【0079】
また、貸出管理サーバ部400は、図書リストに掲載された図書ごとに、図書管理部212が管理している図書管理情報に基づいて、図書の貸出しが可能であるか否かを判定することで、ユーザ側の制限だけでなく、貸出対象書籍側からの制限がないか否かについても判断する。たとえば、図書管理情報には、電子図書DB204に蓄積された各電子図書に関して、管理ステータス、貸出期間、図書分類、現在の貸出冊数、貸出可能冊数、貸出制限情報、利用制限情報などの情報が含まれる。管理ステータスは、電子図書の現在の貸出し状況として「貸出し中」と「貸出可能」との何れかを示すものである。貸出期間は、電子図書の貸出し開始から貸出し終了までの期間を規定するものである。図書分類は、電子図書の内容に応じた分類(たとえば、辞典、雑誌、小説、専門書、参考書、実用書、児童書など)を示すものである。
【0080】
貸出制限情報は、ユーザに対して電子図書を貸し出すときの貸出し内容に制限があるか否か、また制限がある場合(制限付きの場合)はその具体的な制限を規定した情報など、電子図書を貸し出すときの貸出条件を規定するものである。貸出条件は、電子図書の貸出しを許可するユーザの種別や年齢などの制限、著作権の設定状況などに応じて設定される。ユーザに対する電子図書の貸出制限は、たとえば、電子図書の著者側から指定されたユーザの種別(性別、年齢別、職業別など)、ユーザの年齢、ユーザの現在の貸出し状況などを条件として規定され、条件によっては「貸出制限なし」もあり得る。利用制限情報は、電子図書を貸出した後に、この電子図書をユーザ端末7側で閲覧、印刷、またはコピーに利用するときの利用条件を規定するものである。
【0081】
そこで、貸出管理サーバ部400は、先ず、貸出要求を受けた電子図書に関する図書管理情報を図書管理部212に確認し、この電子図書の管理ステータスが「貸出し中」であるか否かを判断する。また、貸出管理サーバ部400は、貸出要求があった各電子図書(図書リストに掲載された電子図書)について、図書管理部212が管理している現在の貸出冊数と貸出可能冊数とを比較する。そして、現在の貸出冊数が貸出可能冊数に到達している場合は、貸出管理サーバ部400は、この電子図書の貸出しを不可と判断し、ステップS420に戻る(S446−NO)。
【0082】
なお、著作権で許容される範囲内で電子図書の内容をユーザに提示するために、電子図書の貸出し内容を制限すべく、貸出し中の管理ステータスに基づく編集指示を図書データ編集部222に与える(S446−貸出し中)。これにより、図書データ編集部222では、先に貸出要求のあった電子図書のデータファイルを電子図書DB204から読み出し、そこから電子図書の内容の一部を抽出したインデックス情報(見出し、目次、索引などの情報)だけを残すようにデータファイルを編集し、かつ当該データファイルにユーザ情報を埋め込む(S448)。そのため、ユーザから貸出要求のあった電子図書の貸出し内容を、当該電子図書の現在の貸出し状況(貸出し中であるか否か)に応じ制限することができる。
【0083】
一方、現在の貸出冊数が貸出可能冊数に満たない場合は、貸出管理サーバ部400は、この電子図書の貸出しを可能と判断する(S446−YES)。次いで、貸出管理サーバ部400は、ユーザ管理部302が管理しているユーザ管理情報に基づいて、貸出要求があった各電子図書(図書リストに掲載された電子図書)の貸出しを、要求元のユーザに許可するか否かを判断する(S450)。
【0084】
たとえば、ユーザ管理情報には、ユーザ登録時に登録されたユーザIDやパスワードなどのユーザ情報と当該ユーザ情報によって識別されるユーザの現在の図書貸出し状況とを対応付けた貸出し情報と、ユーザに電子図書の貸出しを許可するか否かの判断基準となる基準情報とが含まれる。そこで、貸出管理サーバ部400は、貸出要求があった各電子図書(図書リストに掲載された電子図書)について、ユーザ管理部302が管理している、要求元ユーザに関する貸出し中の電子図書の冊数とユーザ一人あたりに許容される貸出し上限冊数とを比較する。そして、貸出管理サーバ部400は、貸出し中の電子図書の冊数が貸出し上限冊数に到達していない場合には要求元ユーザに対して今回貸出要求のあった電子図書の貸出しを許可し(S450−YES)、それ以外は、この電子図書の貸出しを不可と判断し、ステップS404に戻る(S450−NO)。
【0085】
<貸出範囲制限処理>
このようにして、貸出確認処理が完了すると、貸出管理サーバ部400は、次に貸出範囲制限処理を起動する(S460)。たとえば、貸出管理サーバ部400は、上述のように貸出要求を行なったユーザに対して貸出しが可能な範囲(貸出可能範囲)の制限が付けられているか否かを確認する(S462)。貸出可能範囲の制限が付けられているか否かの判断は、貸出要求を行なったユーザに対する貸出制限と、貸出要求で指定された電子図書に対する貸出制限、また貸出しが可能な画像(貸出可能画像)の制限などに基づいて行なわれる。
【0086】
このため、ユーザ管理部302は、先にログインを許可したユーザの情報をユーザDB304から読み出すとともに、ユーザ情報で特定されるユーザに適用される貸出制限情報を貸出管理サーバ部400に通知する。そして、貸出可能範囲に制限が付けられている場合は(S462−YES)、それに従って電子図書の貸出し内容を制限するために、貸出可能範囲の制限に基づく編集指示を図書データ編集部222に与える。これにより、図書データ編集部222では、先に貸出要求のあった電子図書のデータファイルを電子図書DB204から読み出し、ユーザに対する貸出可能範囲の制限に従って、電子図書の内容の一部を削除するように電子図書のデータファイルを編集し、かつ当該データファイルにユーザ情報を埋め込む(S464)。
【0087】
そのため、ユーザから貸出要求のあった電子図書の貸出し内容を、当該電子図書の貸出しが可能とされた範囲内に制限することができる。また、ユーザから貸出要求のあった電子図書の貸出し内容を、当該電子図書の貸出しが可能とされた画像だけを含むように制限することができる。なお、画像に対しての制限は、たとえば著作権付きの画像の削除以外にも、カラー画像を白黒画像に変換したり、元の画像よりも解像度を低下させたり、元の画像にノイズ画像を付加したりするなどの、元の画像の画質を劣化させる処理であってもよい。
【0088】
貸出範囲制限処理が完了すると(S462−NO,S464)、図書データ編集部222は、データ埋込部224に電子図書のデータファイルを渡す。このとき、データ埋込部224は、電子図書のデータファイルに、この電子図書の貸出期間のデータ(貸出しが終了する日時を示すデータ)と利用制限情報とを埋め込む。また、図書管理部212では、今回貸出しが行なわれた1冊の電子図書に関して、その管理ステータスを「貸出可能」から「貸出し中」に変更するとともに、貸出しが終了する日時(貸出し期限)を、たとえば図書管理部212が管理する図書管理情報に登録する。ちなみに、貸出期間のデータは、電子図書のデータファイルのヘッダ情報として埋め込むようにすればよい。また、貸出期間のデータは、ユーザ端末7側で勝手に改竄などができないように暗号化したデータとするのが望ましい。
【0089】
なお、貸出要求があった電子図書の管理ステータスが「貸出可能」となっていて、貸出要求元のユーザや貸出し対象の電子図書に対して、貸出可能範囲や貸出可能画像などの貸出制限が何も付けていなかった場合は、電子図書DB204から読み出された電子図書のデータファイルが図書データ編集部222で編集されず、データ埋込部224では、ユーザ情報と利用制限情報の埋め込みだけが行なわれて図書データ送信部230に渡される。
【0090】
<図書データ配信処理と閲覧範囲制限処理>
次に、コンテンツ管理サーバ部200の書籍データ管理部202は、図書データの配信処理を起動し、図書データ送信部230に送信指示をする(S470)。これにより、図書データ送信部230は、図書データ編集部222で編集された電子図書のデータファイルを通信I/F部110を介してユーザ端末7へ送信する処理を開始する(S478)。これにより、ユーザ端末7では、電子書籍のダウンロード(受信処理)が始まる(S662)。
【0091】
なお、本実施形態では、電子文書ファイルを一括(全文)ダウンロードすることで、電子図書館サーバ10とユーザ端末7とが接続されていないオフラインでの閲覧や印刷を行なう動作モードに加えて、一括(全文)ダウンロードとせず、ページごとにオンラインでネットワーク9を経由して閲覧するページビュー形式にも対応している点に特徴を有する。このため、送受信処理は、電子文書データを一括ダウンロードして閲覧などの利用に供する貸出形態と、ページごとにオンラインでネットワークを経由して閲覧するページビュー形式の貸出形態の何れが選択されるかに応じて、異なる形態をとる。
【0092】
たとえば、ユーザは、ページビュー形式による電子書籍の閲覧を指示することができる。この指示は、たとえば、ステップS640での確認処理において行なうようにしてもよいし、ステップS470に移行した段階で確認画面をユーザ端末7に送信してユーザの指示を受け付けるようにしてもよい。ページビュー形式による電子書籍の閲覧がユーザより指示されると(S472−YES)、個人用データ管理サーバ部500は、そのユーザのユーザフォルダ530が登録されていなければ新規にフォルダを用意する。貸出管理サーバ部400は、コンテンツ管理サーバ部200に配信対象の書籍データをユーザフォルダ530に保存するように指示する(S474)。これにより、ユーザごとにユーザフォルダ530が作成され、このユーザフォルダ530に、ユーザが貸出サービスを受けた電子書籍データが保存される。
【0093】
この後、個人用データ管理サーバ部500は、ユーザ端末7からページデータの配信指示を受け付けるまで、データ配信を保留する。たとえば、このまま閲覧を希望する場合、ユーザはユーザ端末7の表示画面にて閲覧メニューを指示することで、即時に(オンライン状態での)ページビュー形式による電子書籍の閲覧を指示する。これを受けて、個人用データ管理サーバ部500は、ユーザのページ捲り指示に従ってページごとに、ユーザフォルダ530から所定ページの書籍データを読み出して、図書データ送信部230を介してユーザ端末7に配信する(S478)。ユーザ端末7は、端末にインストールしている閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従ってページビュー形式による電子書籍の受信および表示の処理を実行する(S662)。
【0094】
一方、一括ダウンロードが指示されると(S472−NO)、貸出管理サーバ部400は、コンテンツ管理サーバ部200に、配信対象の書籍データのすべてをユーザ端末7に配信するよう指示する(S478)。ユーザ端末7は、端末にインストールしている閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従って一括ダウンロード形式による電子書籍の受信および表示の処理を実行する(S662)。一括ダウンロードすることで、ユーザ端末7側では、オフライン状態での閲覧が可能になる。
【0095】
この場合、ユーザ端末7にインストールしている閲覧用プログラムを起動して、ユーザ認証を経た後、閲覧メニューを指示すればよい。電子図書のデータファイルをユーザ端末7に送信した後に、閲覧範囲や画像に対する制限内容に変更が生じた場合、文書本体のデータファイルは既にユーザ端末7に送付(ダウンロード)済みであるので、電子図書館サーバ10側のユーザ管理情報を書き換え、その変更内容を示す情報のみをユーザ端末7に送付すればよい。なお、閲覧制限に限らず、印刷やコピーに対する制限に関しても同様である。
【0096】
なお、ユーザ端末7側での電子書籍データの利用(たとえば表示閲覧や印刷など)に際しては、必要に応じて閲覧範囲制限や閲覧可能な画像範囲の制限などの処理が起動され、所定の制限が加えられる(S670)。この閲覧利用可能範囲制限処理以降の処理も、端末にインストールしている閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従って行なう。
【0097】
閲覧を終了させる場合や電子図書館サーバ10との接続を解除する場合には、ユーザはユーザ端末7にログアウトを指示すればよい(S482,S682)。電子図書館サーバ10は、ログアウトするとの返信を受けた場合は処理を抜け(S482−YES,S682−YES)、ログアウトしないとの返信を受けた場合は上記ステップS420に戻って上記同様の処理を行なう(S482−NO,S682−NO)。
【0098】
<<貸出し後の電子図書の閲覧処理/ページビュー対応>>
図6は、貸出し後の電子図書の閲覧処理の手順の一例を示すフローチャートである。この閲覧処理は、ページビュー形式を利用することで、継続閲覧に対応している点に特徴を有する。
【0099】
先ず、ユーザは、ユーザ登録時に受け取って自端末に組み込んだ閲覧用プログラムを立ち上げる(S702)。閲覧用プログラムには、既にユーザ情報や閲覧可能範囲を制限する情報、あるいは印刷可能範囲を制限する情報などが組み込まれており、電子図書の閲覧や印刷に係る処理は、全て閲覧用プログラムに組み込まれた処理ステップに従って行なわれる。
【0100】
たとえば、ユーザは、次にユーザIDやパスワードなどのユーザ情報をユーザ端末7に表示されているログイン画面に入力する(S704)。ユーザ端末7は、受け付けたユーザ情報と、閲覧用プログラムに組み込まれたユーザ情報とを比較し、その比較結果において、両者が一致すれば、ユーザ情報が正しいと判断し、一致しなければ、ユーザ情報が不正であると判断してユーザ情報の再入力を要求する(S706)。
【0101】
その後、ユーザ端末7は、予め用意された処理メニューの中からユーザによって何れの処理メニューが選択されたかに応じて処理を継続する(S708)。閲覧用プログラムには、“閲覧”、“印刷”、“コピー”といった3つの処理を含む処理メニューが予め用意されている。“コピー”は電子的なデータの複製を意味する。ここでは“閲覧メニュー”が選択されたものとして説明を続ける(S708−閲覧メニュー)。“閲覧メニュー”が選択された場合は、一括ダウンロードに対応した“オフライン閲覧”とページビュー形式に対応した“オンライン閲覧”との何れか一方が選択可能なっている(S710)。この“オンライン閲覧”は、たとえば、以前閲覧した書籍の継続閲覧を指示することで起動される。ここではこの“オンライン閲覧”が選択されたものとして説明を続ける(S708−YES)。
【0102】
“オンライン閲覧”が指示されると、すなわちユーザフォルダ530へのアクセス要求があると、ユーザ端末7は、電子図書館サーバ10への接続を要求し(S712)、電子図書館サーバ10との間での接続を確立する(S812)。接続の確認が採れると、ユーザ端末7は、継続閲覧を電子図書館サーバ10に指示する(S714)。このユーザフォルダ530へのアクセス要求の指示を受けた電子図書館サーバ10の貸出管理サーバ部400は、図書管理部212およびユーザ管理部302の各管理情報に基づいて、電子図書のオンライン閲覧を統括的に制御する。
【0103】
たとえば、貸出管理サーバ部400は、ユーザIDに基づいてユーザフォルダ530に管理されているユーザ情報を検索し、そのユーザ情報に登録されている書籍名称の一覧、すなわち貸出しを受けた電子図書のリスト画像をユーザ端末7に送信する(S814)。ユーザ端末7は、この書籍名称の一覧を受信し、表示部にて表示し、その一覧の中からユーザが継続閲覧を希望する電子図書の選択を受け付け(S716)、このユーザが指示した継続閲覧を希望する書籍名を電子図書館サーバ10に送信する(S718)。
【0104】
この書籍名を受信した電子図書館サーバ10の貸出管理サーバ部400は、個人用データ管理サーバ部500との連携により、ユーザ情報に基づいて、そのユーザが閲覧を希望する書籍の読掛け(閲覧)中のページを検索する(S818)。そのユーザに貸出済みの書籍データはそのユーザ専用のユーザフォルダ530に既に保存済みであり、コンテンツ管理サーバ部200側で管理している膨大な書籍データからの検索に比べて検索処理が格段に高速にできる。検索が完了すると、検索結果である書籍データの読掛け中ページを送信するとともに、その前後の各数ページもユーザ端末7に予備配信(プリロード)する(S820)。つまり、配信要求を受けたときの最初の配信部分は、ユーザの閲覧希望ページとその前後数ページとする。
【0105】
また、閲覧範囲や画像に制限が加えられている場合、図5のステップS670に示した閲覧範囲制限処理を電子図書館サーバ10側にて実行し、閲覧許可が出ている分だけをユーザ端末7に送るようにする。ユーザ端末7にてこの処理(ステップS670)を行なってもよいが、結果的にはデータ送信の無駄が生じる。
【0106】
ユーザ端末7は、読掛け中ページとその前後のページを受信すると、その読掛け中ページを表示部にて表示する(図示しない表示メモリへの保存を経て)とともに、その前後のページを記憶媒体に保存する(S720)。これにより、ユーザは、読掛けページからの閲覧が可能となる。そして、読み進むと、ユーザは書籍データのページ捲り(次ページ表示)を指示する(S722)。この指示の通知を受けたユーザ端末7は、記憶媒体に保存しておいた次ページデータを読み出して表示部に渡し表示出力させるとともに、捲り指示があったことを電子図書館サーバ10に通知する(S724)。また、メモや下線の書き込み、あるいは修正など(個人用付加情報の更新)が行なわれると、ユーザ端末7は、この更新情報を電子図書館サーバ10の個人付加情報管理部520に返す。
【0107】
これらの通知を受けた貸出管理サーバ部400は、当初の読掛けページに対する次々ページ、すなわち、現在の読掛けページに対する次(後)のページのデータをユーザ端末7に予備配信(プリロード)する(S822)。この次々ページのデータを受信したユーザ端末7は、当初の読掛けページに対する前々ページ、すなわち、現在の読掛けページに対する前のページのデータを消去し、受信した次々ページのデータを記憶媒体に保存する。なお、最初の配信時には、読掛け中ページに対して隣接する前後各数ページをプリロード分として配信していた場合であっても、この捲り指示時の配信(プリロード)分は1ページ分だけでよい。
【0108】
以下、同様にして、ユーザは閲覧とページ捲りを繰り返して電子図書を読み進む(S724−NO)。閲覧を終了させる場合(その電子図書の全ページの閲覧完了も含む)には、ユーザはユーザ端末7にログアウトを指示すればよい。この指示を受け付けたユーザ端末7は、終了通知を電子図書館サーバ10に通知する(S724−YES)。終了通知を受信した貸出管理サーバ部400は、ユーザ情報ファイルを更新し保存する(S828)。そして、必要に応じて、ログアウト処理を行なう。
【0109】
このユーザ情報ファイルの更新と保存には、少なくとも、書籍データを何ページまで閲覧したかなどの現在の閲覧ステータスを示す情報(閲覧情報)を閲覧中の書籍データの書誌的情報と対応付けて書き換えることを含む。閲覧情報は、たとえば電子図書をページ単位で配信する場合であれば現在閲覧中のページ番号、章単位で配信する場合であれば現在閲覧中の章番号など、データ配信単位を規定するものと関わりのあるものとする。“ページ番号”とする場合、ページ捲り指示などをデータ更新として行なう、ページビュー形式の閲覧との整合がよい。なお、データ配信単位を規定可能なものであればよく、たとえば章単位で配信する場合であっても現在閲覧中のページ番号を保存しておき、そのページ番号から閲覧中の章を割り出すようにしてもよい。
【0110】
なお、上記処理手順の説明では、当初の読掛けページに対しての“読進み”をページ捲りとして説明したが、これに限らず、“読戻り”をページ捲りとして指示してもよい。すなわち、ページ捲りは“次ページ”すなわち読掛けページに対しての後ページに限らず、前ページであってもよい。この場合、ステップS822における“次々ページデータの送信”は、“現在の読掛けページに対する前のページのデータの送信”となる。また、ステップS724における“前々ページデータの消去”は、“現在の読掛けページに対する次のページのデータの消去”となる。
【0111】
以上説明したように、上記処理手順に依れば、ユーザごとにユーザフォルダ530をサーバ側に用意し、ここに貸出書籍データを保存しておき、ユーザからこのユーザフォルダ530へのアクセス要求を受けて書籍データをページごとに配信するようにした。これにより、ユーザは、自端末内に電子図書のデータを持っていなくても、書籍閲覧がネットワーク9を介して可能となる。電子図書館サーバ10は、各ユーザフォルダ530にアクセスしてくるユーザの認証を、本来の基本動作(ここでは一括ダウンロード要求)と同じ管理で把握し、ユーザフォルダ530上の電子書籍データをユーザに公開することができる。また、ユーザフォルダ530には、特開2000−155766号公報に記載の技術で行なわれている栞やメモの保存だけではなく、電子書籍データも保存するので、コンテンツ管理サーバ部200への負荷を掛けることなく、ユーザは、必要な時、必要になった場所から何時でも書籍データにアクセスすることができる。
【0112】
また、閲覧中の書籍データの前ページや後ページを事前に所定分だけ予備配信(ユーザ端末7側ではプリロード)しているので、ページを捲る際、スムーズにページを更新でき、ユーザの利便性がよくなる。ユーザがページごとに閲覧指示をした後にページデータが配信されるというものではなく、事前に所定分のページデータを配信してユーザ端末7に保持しており、捲り指示後のデータ配信の待ち時間が不要だからである。
【0113】
また、閲覧を中断した部分を示す現在ステータスをユーザ情報としてユーザDB304に登録・管理し、再開時にはその登録情報を参照して図書データを配信するようにしているので、ユーザは、いつでも読掛け途中から閲覧を再開することができ、便利である。
【0114】
また、予備配信量(プリロード量)は予め定められている所定ページ数分だけであり、ユーザ端末7側に要するメモリ容量が少なくて済む。これにより、たとえば携帯端末など低パワー(本例では特にメモリ容量に関して)のマシンであっても、電子図書の総データ量を気にすることなく、電子書籍の全文を閲覧することができ、ユーザに対してさらに使い勝手がよくなる。
【0115】
このように、電子データを電子図書館サーバ10内のユーザフォルダ530に置くことで、ユーザは、容量の大きい電子データをユーザ端末7に保存する必要がなくなり、端末の記録装置容量を圧迫せずに、閲覧鑑賞が可能となる。たとえば、何時でも何処からでも電子図書館サーバ10にアクセスする通信環境さえあれば、貸出しを受けている電子データの鑑賞や閲覧が可能となり、特にモバイルPCやPDAなどで閲覧するユーザには利便性が向上する。また、予備配信量をユーザ可変にすれば、自端末のメモリ容量や読進み(あるいは読戻り)のペースなどに応じて、予備配信量を自由に設定することができる。
【0116】
また、予備配信量は予め定められている所定ページ数分だけであり、電子図書の全文をユーザ端末7に一括ダウンロードしているわけではない。書籍データ本文は図書館側のサーバにあるので、ユーザ端末7側にて書籍データの一括コピーをすることはできない。敢えて全文コピーを取ろうとすれば、ページごとにコピーを取り(いわゆる分割コピー)、それを後で纏めて1つにするという煩わしい作業が必要になる。これにより、付加的な効果として、著作権保護の点でも有利となる。
【0117】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0118】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0119】
たとえば、上記実施形態では、貸出書籍データのユーザフォルダ530への保存した後に書籍データを配信する好適な事例として、ページビュー形式での閲覧との組合せ事例を説明したが、ユーザフォルダ530へのデータ保存後のデータ配信の形態は、必ずしもページビュー形式での閲覧に応じたものである必要はない。
【0120】
たとえば、外出先において携帯端末で電子図書館サーバ10にアクセスして貸出要求をするケースでは、この外出先で貸出を受ける際には書籍データのユーザフォルダ530への保存を指示する。そして、帰宅後にデスクトップ型PCにてユーザフォルダ530へアクセスして、ユーザフォルダ530からの一括ダウンロードを指示してもよい。
【0121】
このアクセスおよびダウンロードに際しては、対象が絞り込まれているユーザフォルダ530へのアクセス処理だけで済み、元の書籍データの本体を管理しているコンテンツ管理サーバ部200への再度のアクセスが不要であり、コンテンツ管理サーバ部200には一切の負荷を掛けることがない。このため、サーバシステム全体としての負荷が軽減する。
【0122】
また、上記実施形態では、電子書籍のデータそのものをユーザフォルダ530に保存しておき、ユーザフォルダ530へのユーザからのアクセスがあった時点で、データを配信するようにしていたが、書籍データを直接ユーザフォルダ530に保存することに代えて、コンテンツ管理サーバ部200への負荷を掛けることなく、コンテンツ管理サーバ部200が管理している電子書籍データの中からユーザが貸出サービスを受けた電子書籍データを呼出し可能な電子書籍データ管理番号を、ユーザフォルダ530に保存するようにしてもよい。
【0123】
たとえば、図7に示すような電子書籍データ管理ファイルを利用するとよい。各部のデータ容量は、システム仕様により任意に設定されている。そして、ユーザがこの書籍を選択する際に、コンテンツ管理サーバ部200の書籍データ管理部202での情報(結果)とユーザ購読時の情報などの種々の情報を対応付けて、電子書籍データ管理ファイルを作成し、ユーザフォルダ530に保存する。
【0124】
こうすることで、膨大な書籍データを持つデータベースDBを再度検索する必要がなくなり、ユーザの閲覧条件による選択された書籍の内部情報編集(閲覧制限)など、書籍データ管理部202の作業を無くすことができ、この電子書籍データ管理ファイル内の情報から直接データベースをアクセスすることが可能なので、コンテンツ管理サーバ部200への負荷を大幅に軽減することができる。
【0125】
また、上記実施形態では、ユーザに配信される電子データの一例として電子図書を例に説明したが、配信対象の電子データは電子書籍に限らない。たとえば、音楽データ(デジタル化された楽曲情報)や動画映像(たとえば映画)を配信する際に、上記実施形態で説明したように、ユーザ各人に用意されたユーザフォルダ530に一旦データを保存し、ユーザフォルダ530からユーザ端末7にデータを配信する手法を適用することができる。
【0126】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、配信要求のあった電子データを即時にクライアント端末に配信するだけでなく、その後に同一ユーザから再度アクセスがあったときに、コンテンツ管理サーバに負荷を掛けることなく、その電子データを配信可能な情報をユーザスペースに保存して、配信準備だけをしておくことも可能に構成した。
【0127】
これにより、同一の電子データに対する再度のアクセスがある場合に、電子データを管理しているサーバには大きな負荷を掛けることなく、ユーザより要求されたデータを配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る配信管理サーバを適用した情報配信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】管理サーバの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】ユーザ登録から閲覧用プログラムのインストールまでの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】電子図書の貸出業務の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】電子図書の貸出業務の処理手順の一例を示すフローチャートである(図4の続き)。
【図6】ページビューに対応した、貸出し後の電子図書の閲覧処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】ユーザフォルダに保存する他のデータ(電子書籍データ管理ファイル)を説明する図である。
【符号の説明】
1…情報配信システム、3…管理サーバ、5…コンテンツ供給元、7…ユーザ端末、9…ネットワーク、10…電子図書館サーバ、102…配信管理サーバ部、104…貸出業務部、110…通信I/F部、120…要求受付部(配信制御部)、150…登録処理部、152…取得処理部、154…プログラム送信部、156…データ埋込部、200…コンテンツ管理サーバ部、202…書籍データ管理部、204…電子図書DB、210…図書検索部、212…図書管理部、222…図書データ編集部、224…データ埋込部、230…図書データ送信部、300…ユーザ管理サーバ部、302…ユーザ管理部、304…ユーザDB、400…貸出管理サーバ部、500…個人用データ管理サーバ部、510…利用状態管理部、520…個人付加情報管理部、530…ユーザフォルダ
Claims (8)
- ユーザが操作するクライアント端末からの要求を受け電子データの配信を制御する配信管理サーバであって、
配信対象となる前記電子データを管理するデータ管理部と、
前記電子データの利用要求を発した前記クライアント端末に対する、前記データ管理部が管理している前記電子データのうちの、利用要求のあった電子データの配信を制御する配信制御部と、
前記利用要求を受けた前記電子データを取得するための情報を保存する、前記データ管理部が管理しているデータ格納部とは別に設けられた前記ユーザ用のデータ格納部とを備え、
前記配信制御部は、前記電子データの前記利用要求を受け付けると、当該電子データを取得するための前記情報を前記ユーザ用のデータ格納部に保存するか否かを前記利用要求に含まれている前記ユーザの指示に基づいて判断し、当該ユーザの指示が保存を示していないときには当該利用要求を受けた電子データを前記クライアント端末に配信させる一方、当該ユーザの指示が保存を示しているときには当該利用要求を受けた電子データを取得するための前記情報を前記ユーザ用のデータ格納部に保存させ、その後に前記ユーザから配信指示があるまで当該電子データの前記クライアント端末への配信を保留させること特徴とする配信管理サーバ。 - 前記配信制御部は、保存後の配信指示を前記ユーザから受け付けると、前記ユーザ用のデータ格納部に保存しておいた、前記電子データを取得するための前記情報に基づき、要求を受けた前記電子データを前記クライアント端末に配信させること特徴とする請求項1に記載の配信管理サーバ。
- 前記ユーザ用のデータ格納部は、前記ユーザごとに専用のフォルダを用意し、この専用のフォルダにそのユーザから利用要求があった前記電子データを取得するための情報を保存すること特徴とする請求項1または2に記載の配信管理サーバ。
- 前記ユーザ用のデータ格納部は、前記利用要求を受けた前記電子データそのものを、前記利用要求があった前記電子データを取得するための情報として保存すること特徴とする請求項1から3のうち何れか1項に記載の配信管理サーバ。
- 前記ユーザ用のデータ格納部は、前記利用要求を受けた前記電子データを前記データ管理部を介して取得可能な対応情報を、前記利用要求があった前記電子データを取得するための情報として保存すること特徴とする請求項1から3のうち何れか1項に記載の配信管理サーバ。
- 前記クライアント端末の操作者であるユーザに関する情報と、当該ユーザに設定されている利用制限範囲と当該ユーザの前記電子データの利用度合いとを管理するユーザ管理部を備え、
前記配信制御部は、前記電子データの利用を要求したユーザの前記利用制限範囲と前記利用度合いとの関係に基づいて、前記ユーザ用のデータ格納部に保存されている前記電子データの利用分を含む前記利用度合いが前記利用制限範囲内に収まるように、当該ユーザからの前記電子データの利用要求に対する応答処理を制御することを特徴とする請求項1から5のうち何れか1項に記載の配信管理サーバ。 - 前記配信制御部は、前記電子データに設定されている配信制限範囲と各ユーザに対する前記電子データの利用度合いとに基づいて、全ユーザの前記利用度合いが前記配信制限範囲内に収まるように、前記電子データの利用要求に対する応答処理を制御することを特徴とする請求項1から6のうち何れか1項に記載の配信管理サーバ。
- 前記データ管理部は、前記電子データとしての電子図書を管理すること特徴とする請求項1から7のうち何れか1項に記載の配信管理サーバ。
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