JP2005009666A - 転がり軸受 - Google Patents

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竜也 福田
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Abstract

【課題】 回転時および静止時のいずれにおいても内部への水、泥水、等の異物の進入(浸入)を確実に防止することができる構造を有し、これにより長期に亘って性能を維持できる転がり軸受を提供すること。
【解決手段】 外輪12、内輪11、および複数の玉13を有する転がり軸受10は、外輪12に形成されたシール装着部19に装着固定される基端部25を有し且つ、内輪11に形成されたシール溝16に摺接されて転がり軸受10の潤滑剤が封入された内部空間を密封するリップ27を先端部に有する円環形状の密封装置14を備えている。密封装置14のリップ27が摺接するシール溝16の面の一円周における凹凸量が30μm以下に設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、密封装置を備えた転がり軸受(以後、『転がり軸受』または単に『軸受』と記述する。)に関する。
従来から、自動車用部品、その他機械装置、等に使用され、回転体の回転を支持する転がり軸受において、軸受外部からの水、埃、等といった異物の進入(浸入)を防止する手段、または、軸受内部からのグリース、オイル、等の潤滑剤の漏洩を防止する手段、或いは、それらの両方を防止する手段として、接触型の密封装置が用いられている。一般的な接触型の密封装置は、固定軌道輪に嵌合および係止され、内径側に設けられたリップが回転軌道輪の側部に設けられたシール溝に摺接する。
例えば、自動車のエンジン周りに設置されているコンプレッサ、オルタネータ、等の補機類は、エンジンの回転をプーリやベルト等によって伝達される。ここで用いられるプーリに転がり軸受が用いられており、その使用条件によっては運転時に水、泥水、等の雨水が降りかかる。
特に近年、小型・軽量化およびコストダウンの要求から、転がり軸受が外気に露出された状態で用いられる場合も増加している。このような場合、転がり軸受に水、泥水、等の雨水が直接降りかかることとなり、その雨水が転がり軸受内に進入(浸入)した場合には、軸受寿命の低下等の問題を引き起こすこととなる。
また、自動車のエンジン周りに設置される補機類以外でも、特に屋外で使用される回転機器においては、上記と同様の問題を引き起こす可能性がある。通常、転がり軸受の軸方向両側部に設けられたシール装着部およびシール溝は、旋削加工のみを施した状態で用いられ、その旋削加工は、固定軌道輪および回転軌道輪の熱処理工程の前に実施されるのが一般的であり、その後の加工工程で追加工されることはない。
それ故、旋削加工においてシール装着部およびシール溝に生じている凹凸は、転がり軸受に密封装置が装着された際に、密封装置とシール装着部との間ならびに、密封装置のリップとシール溝との間で隙間となり、転がり軸受の回転時および静止時に、水、泥水、等の異物の転がり軸受内への進入(浸入)の原因となりうる。このような凹凸は、旋削加工において、切り粉の噛み込みや、旋盤のバイトを移動・固定する送り装置のガタツキ等に起因して生ずる。
また、例えば自動車用のスロットルバルブ装置におけるスロットルシャフトの支持部分には、小径の深溝玉軸受が用いられている。このようなスロットルバルブ装置においては、スロットルボア内部とスロットル外部間の圧力差による空気漏れ或いは空気流入を防止するために、オイルシールが用いられているが、近年になり、小型・軽量化とコストダウンの影響により、オイルシールが省かれ、その代わりに転がり軸受に組み込まれた接触型の密封装置で気密性を確保する場合が増加している。このような転がり軸受においても、軸受外部からの水、埃、等といった異物の進入(浸入)を防止する手段、または、軸受内部からのグリース、オイル、等の潤滑剤の漏洩を防止する手段、或いは、それらの両方を防止する手段として、接触型の密封装置が用いられている。しかし、気密性も確保する場合、転がり軸受の密封装置におけるリップ及び固定軌道輪への嵌合部と、回転軌道輪におけるシール溝及び固定軌道輪における密封装置固定部と、の間に僅かな隙間も許されなくなってきている。
従来の転がり軸受の一例として図6に示される転がり軸受50は、回転軸(不図示)が内嵌される内輪51と外輪52との間に、保持器53に保持された転動体54が介在され、そして軸方向両側部に密封装置55,55が装着されている。内輪51は外周面に転動面56を有し、当該外周面には更に密封装置55の内周部を摺接させるシール溝57が加工されている。一方、外輪52は内周面に転動面58を有し、当該内周面には更に密封装置55の外周部と嵌合するシール装着部59が加工されている。
このような転がり軸受50では、内輪51の素材および外輪52の素材が、焼き入れ後に切削加工されることにより、この切削過程でその熱処理変形が除去され、切削時に高精度に加工しておくことにより後の転動面研削工程が省略され、転動面56,58の超仕上げが直接行なわれる。また、焼き入れ後の切削工程で転動面56,58と同時にシール装着部59およびシール溝57が加工されるため、熱処理変形を除去して高い真円度が得られ、転動面56,58とシール装着部59,シール溝57との同心度も高精度に維持できる(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の転がり軸受の他の一例として図7に示される転がり軸受70では、スロットルボディーの軸受装置として用いられており、スロットルボディー71中央の吸気通路72を横切ってスロットルシャフト73が転がり軸受70によって軸支され、スロットルシャフト73の吸気通路部分にはスロットルバルブ74が固定される。転がり軸受70の外輪75の外周76は、スロットルボディー71の軸受孔77に嵌合される。Oリング溝78が刻設された、スロットルシャフト73の軸受部分にはOリング79が装着され、Oリング79が、転がり軸受70の内輪80に嵌合される。Oリング溝78の底部外径と、転がり軸受70の内輪80の内径と、Oリング79の線径によって決定される片側の締め代は0.075〜0.275mmになるよう構成され、スロットルシャフト73との隙間からの洩れがなく、且つ、Oリング79が組み付け易いように設定されている。
そして、転がり軸受70には、密封装置81,81が、ボール82に対して両側に装着されており、密封装置81,81により、防塵性が保たれ、ボール82を潤滑するためのグリースが保持される(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−180848号公報(第3−4頁、図1) 特開平11−210503号公報(第2−3頁、図1)
ところが、上記特許文献1では、焼き入れ後の切削工程で転動面56,58と同時にシール装着部59およびシール溝57を加工することにより、熱処理変形を除去して高い真円度を得るとともに、転動面56,58とシール装着部59,シール溝57との同心度を高精度に維持しようとしているが、その切削加工において、切り粉の噛み込みや、旋盤のバイトを移動および固定する送り装置のガタツキ等に起因してシール装着部59およびシール溝57に生ずる凹凸を避けられず、それによって、転がり軸受50に密封装置55,55が装着された際に、密封装置55とシール装着部59、密封装置55のリップとシール溝57との間に隙間ができ、転がり軸受の回転時および静止時に、水、泥水、等の異物が転がり軸受内へ進入(浸入)する可能性がある。
また、上記特許文献2では、吸入空気中に含まれるブローバイガスが、転がり軸受70の内輪80とスロットルシャフト73との隙間を通過しにくくなるようにしてはいるが、上記特許文献1と同様にして、転がり軸受の回転時および静止時に、水、泥水、等の異物が転がり軸受内へ進入(浸入)する可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転時および静止時のいずれにおいても内部への水、泥水、等の異物の進入(浸入)を確実に防止することができる構造を有し、これにより長期に亘って性能を維持できる転がり軸受を提供することにある。
前述した目的を達成するため、本発明に係る転がり軸受は、
固定軌道輪、回転軌道輪、および当該固定軌道輪と回転軌道輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有する転がり軸受であって、
前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の一方に形成されたシール装着部に装着固定される基端部を有し且つ、前記回転軌道輪および前記固定軌道輪の他方に形成されたシール溝に摺接されて前記転がり軸受の潤滑剤が封入された内部空間を密封するリップを先端部に有する円環形状の密封装置を備え、
前記密封装置のリップが摺接する前記シール溝の面の一円周における凹凸量を30μm以下に設定したことを特徴としている。
ここで、密封装置としては、円環形状に形成されて、補強の役目を持つ金属製の芯金を、ゴム製、合成樹脂製、等の弾性部材で覆って一体に形成されているものを例示できる。このような密封装置の基端部には、外輪のシール装着部に嵌着される固定軌道輪固定部が形成される。
このように構成された転がり軸受においては、密封装置のリップが摺接するシール溝の面の一円周における凹凸量が30μm以下となるように当該面が形成されている。
従って、密封装置が締め代を持って装着された際に、密封装置のリップとシール溝との間における隙間が小さくなるため、転がり軸受の回転時においても、静止時においても、密封装置に負圧或いは正圧が作用した状態においても、水、泥水、等の異物の転がり軸受内部への進入(浸入)を確実に防止することができる。その結果、転がり軸受の性能を長期に亘って維持でき、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。これにより、転がり軸受の回転時および静止時に、水、泥水、等の異物が転がり軸受内へ進入(浸入)する、という問題を解消できることになる。
また、前述した目的を達成するため、本発明に係る転がり軸受は、
固定軌道輪、回転軌道輪、および当該固定軌道輪と回転軌道輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有し、スロットルバルブ装置に組付けられる転がり軸受であって、
前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の一方に形成されたシール装着部に装着固定される基端部を有し且つ、前記回転軌道輪および前記固定軌道輪の他方に形成されたシール溝に摺接されて前記転がり軸受の潤滑剤が封入された内部空間を密封するリップを先端部に有する円環形状の密封装置を備え、
前記密封装置のリップが摺接する前記シール溝の面の一円周における凹凸量を30μm以下に設定したことを特徴としている。
このようにすると、密封装置のリップが摺接するシール溝の面の一円周における凹凸量が30μm以下となるように当該面が形成されているので、スロットルバルブ装置に組付けられた転がり軸受において、回転時においても、静止時においても、密封装置に負圧或いは正圧が作用した状態においても、水、泥水、等の異物の転がり軸受内部への進入(浸入)を確実に防止することができる。その結果、スロットルバルブ装置の性能を長期に亘って維持でき、スロットルバルブ装置の長寿命化を図ることができる。
本発明によれば、従来のような、転がり軸受の回転時および静止時に、水、泥水、等の異物が転がり軸受内へ進入(浸入)する、という問題を解消でき、これにより、転がり軸受の性能を長期に亘って維持でき、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
以下、本発明に係る複数の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る転がり軸受の第1実施形態を示す断面図、図2は第1実施形態を用いて行った実施例1〜実施例9の水没試験結果を数値で示す表、図3は図2の表に示される数値をドットで示したグラフ、図4は本発明に係る転がり軸受の第2実施形態を示すスロットルバルブ装置への組付け状態での断面図、そして図5は図4における転がり軸受部分の拡大図である。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態である転がり軸受10は、固定軌道輪(外輪)12、回転軌道輪(内輪)11、および固定軌道輪12と回転軌道輪11との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体(即ち、玉)13を有する転がり軸受であって、固定軌道輪12および回転軌道輪11の一方に形成されたシール装着部19,19に装着固定される基端部を有し且つ、回転軌道輪11および固定軌道輪12の他方に形成されたシール溝16,16に摺接されて転がり軸受10の潤滑剤が封入された内部空間を密封するリップ27,27を先端部に有する円環形状の密封装置14,14を備え、密封装置14,14のリップ27,27が摺接するシール溝16,16の面の一円周における凹凸量を30μm以下に設定した。
転がり軸受10は、2個の単列アンギュラ玉軸受の内輪および外輪それぞれを一体化した、複列アンギュラ玉軸受である。
内輪11は、回転軸(不図示)が内嵌される回転軌道輪であり、その内輪外周面に一対の内輪軌道面15,15が形成されており、そして内輪軌道面15,15を挟む内輪外周面の軸方向両端部には凹状に形成された一対のシール溝16,16が形成されている。シール溝16,16は、軸受径方向と略平行に延長されたリップ摺接側面17,17を有する。
外輪12は、ハウジング(不図示)に固定される固定軌道輪であり、その外輪内周面に一対の外輪軌道面18,18が形成されている。そして外輪軌道面18,18を挟む外輪内周面の軸方向両端部には凹状に形成された一対のシール装着部19,19が形成されている。シール装着部19,19は、軸受径方向と略平行に延長された密封装置装着側面20,20を有する。
尚、転がり軸受10は玉13を周方向等間隔に保持する保持器21,21を更に有している。これら保持器21,21は、例えばプラスチック製冠形保持器であって、周方向に複数形成されたポケット22,22内に、内輪軌道面15,15と外輪軌道面18,18との間に配設された複数の玉13を転動自在に保持している。
密封装置14,14は、円環形状に形成されており、玉13に対して軸方向両側にそれぞれ一対に配置されている。密封装置14,14は、補強の役目を持つ金属製の芯金23,23を、ゴム製、合成樹脂製、等の弾性部材24,24で覆って形成されている。密封装置14,14の外周端部(基端部)には、外輪12のシール装着部19,19に嵌着される固定軌道輪固定部25,25が形成されている。
また、密封装置14,14の内周端部(先端部)には、内輪11,11のシール溝16,16に向けて延出した腕部26,26の先端側においてシール溝16,16内で軸方向に互いに向かい合って突出した主リップ27,27が形成されている。主リップ27,27は、シール溝16,16内においてリップ摺接側面17,17に締め代を持って摺接する。
即ち、密封装置14,14は、主リップ27,27を備えた弾性部材24,24を芯金23,23の周りに一体成形したものであり、半径方向内方に延びる主リップ27,27の先端部を内輪11のシール溝16のリップ摺接側面17,17に締め代を持って摺接させることで転がり軸受10のシールを行なう所謂接触シール部材である。尚、密封装置14,14によって囲まれた転がり軸受10の内部空間には、グリース、オイル、等の所定の潤滑剤が封入される。
そして、密封装置14,14の主リップ27,27が摺接する、内輪11のシール溝16,16におけるリップ摺接側面17,17が、図1中に軸方向長さ(間隔)A1で示される範囲において、その面の一円周における凹凸量が30μm以下となるように形成されている。これらのリップ摺接側面17,17は、旋削工程以降、一円周に生ずる凹凸量が少なくなるように加工される。それ故、密封装置14,14の主リップ27,27とシール溝16,16のリップ摺接側面17,17との間における隙間が小さい。従って、軸受回転時においても、静止時においても、水、泥水、等の異物の軸受内部への進入(浸入)を効果的に防止することができ且つ、軸受内部からのグリース、オイル、等の潤滑剤の漏洩を効果的に防止することができる。その結果、転がり軸受10の性能が長期に亘って維持されるので、転がり軸受10の長寿命化を図ることができる。
また、密封装置14,14の固定軌道輪固定部25,25が嵌着される、外輪12のシール装着部19,19における密封装置装着側面20,20が、図1中に軸方向長さ(間隔)B1で示される範囲において、その面の一円周における凹凸量が30μm以下となるように形成されている。これらの密封装置装着側面20,20は、旋削工程以降、一円周に生ずる凹凸量が少なくなるように加工される。それ故、密封装置14,14の固定軌道輪固定部25,25とシール装着部19,19の密封装置装着側面20,20との間における隙間が小さい。従って、軸受回転時においても、静止時においても、水、泥水、等の異物の軸受内部への進入(浸入)を効果的に防止することができ且つ、軸受内部からのグリース、オイル、等の潤滑剤の漏洩を効果的に防止することができる。その結果、転がり軸受10の性能が長期に亘って維持されるので、転がり軸受10の長寿命化を図ることができる。
尚、本実施形態では、密封装置14,14の主リップ27,27が摺接するシール溝16,16のリップ摺接側面17,17の一円周における凹凸量と密封装置14,14の固定軌道輪固定部25,25が装着固定されるシール装着部19,19の密封装置装着側面20,20の一円周における凹凸量の両方を30μm以下に設定しているが、少なくともリップ摺接側面17,17の一円周における凹凸量を30μm以下とすれば上記のように優れた作用および効果が得られるので望ましく、これに加えて密封装置装着側面20,20の一円周における凹凸量を30μm以下とすれば上記のように更に優れた作用および効果が得られるので更に望ましい。
以下、本発明に係る転がり軸受の実施例について説明する。
本発明の効果を確認するために、密封装置の主リップが摺接する内輪のシール溝におけるリップ摺接側面の一円周の凹凸量をそれぞれ異なる数値にした9種類の転がり軸受を製作し、これら9種類の転がり軸受を用いて水没試験を行なって水の浸入量を調べた。
・水没試験に用いた軸受:複列玉軸受(内径:35mm,外径:52mm,幅:20mm,玉径:5.556mm,玉数:14×2個)
・水没試験:水深:100mm,回転数:3000min−1,評価時間:2h
9種類の転がり軸受の試験結果は図2の表および図3のグラフに示す通りである。尚、図2は実施例1〜実施例9の水没試験結果を数値で示す表、そして図3は図2の表に示される数値をドットで示したグラフである。また、図2では、各実施例1,2,3,4,5,6,7,8,9が1,2,3,4,5,6,7,8,9で示される。また、凹凸量の数値は、一対のリップ摺接側面のうちの大きい方の値で示されている。
図2の表および図3のグラフから明らかなように、リップ摺接側面の一円周の凹凸量を、32μm,39μm,40μm,45μm,56μm、とした実施例5,6,7,8,9では、水の浸入量が、0.52g,0.31g,1.30g,0.92g,0.54g、となり、リップ摺接側面の一円周の凹凸量が大きくなればなるほど、水の浸入量が大きくなり、転がり軸受の内部空間に封入された潤滑剤に対して悪影響を及ぼして軸受寿命が低下する可能性があることが判明した。特に、図2の表から明らかなように、実施例7,8においては平均線Cを著しく超えており、水の浸入を防ぐことができないのがわかる。
これに対して、リップ摺接側面の一円周の凹凸量を、14μm,17μm,19μm,28μm、とした実施例1,2,3,4では、水の浸入量が、0.01g,0.07g,0.05g,0.18g、となり、このように水の浸入量が微量であり、水の浸入を確実に防止していることが判明した。特に、水の浸入量は、実施例4におけるリップ摺接側面の一円周の凹凸量が28μmである付近において変曲点となり、30μmを超えた実施例5では、水の浸入量が急激に増加することがわかった。
試験の結果、リップ摺接側面の一円周の凹凸量を、30μm以下に設定することにより、水の浸入量が少なくなり、軸受回転時においても、静止時においても、水、泥水、等の異物の軸受内部への進入(浸入)を確実に防止することができる転がり軸受を得られることが判明した。
(第2実施形態)
次に、図4及び図5を参照して、本発明に係る転がり軸受の第2実施形態について説明する。尚、第2実施形態において、既に説明した部材等と同様な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号または相当符号を付することにより、説明を簡略化或いは省略する。
図4に示すように、第2実施形態の転がり軸受30は、スロットルバルブ装置40に組付けられている。スロットルバルブ装置40は、内燃機関の吸入空気量及び吸入燃料量を制御するのに用いられ、ハウジング41内に設けられた円筒状の吸気通路42の内側に、吸気通路42の通路面積を調整するための円板状のスロットルバルブ43を配している。スロットルバルブ40は、吸気通路42を横切る状態で配されたスロットルシャフト44の中間部に固定されている。また、ハウジング41内には、それぞれが吸気通路42の内周面の直径方向に開口する支持孔45,45が形成されている。そして、各支持孔45,45の内周部に、スロットルシャフト44の両端寄り部分を回転自在に支持する転がり軸受30,30が配されている。
転がり軸受30,30は、外輪12,12が、支持孔45,45の内端部に形成された鍔部46,46と、外輪間座47,47とにより、ハウジング41に固定されている。内輪11,11は、スロットルシャフト44に外嵌されている。
図5に示すように、図4中右方側に配置された一方の転がり軸受30は、密封装置14,14の主リップ27,27が摺接する、内輪11のシール溝16,16におけるリップ摺接側面17,17が、図5中に軸方向長さ(間隔)A1で示される範囲において、その面の一円周における凹凸量が30μm以下となるように形成されている。これらのリップ摺接側面17,17は、旋削工程以降、一円周に生ずる凹凸量が少なくなるように加工される。それ故、密封装置14,14の主リップ27,27とシール溝16,16のリップ摺接側面17,17との間における隙間が小さい。従って、回転時においても、静止時においても、水、泥水、等の異物の軸受内部への進入(浸入)を効果的に防止することができ且つ、軸受内部からのグリース、オイル、等の潤滑剤の漏洩を効果的に防止することができる。その結果、スロットルバルブ装置40の性能が長期に亘って維持されるので、スロットルバルブ装置40の長寿命化を図ることができる。
また、転がり軸受30は、密封装置14,14の固定軌道輪固定部25,25が嵌着される、外輪12のシール装着部19,19における密封装置装着側面20,20が、図5中に軸方向長さ(間隔)B1で示される範囲において、その面の一円周における凹凸量が30μm以下となるように形成されている。これらの密封装置装着側面20,20は、旋削工程以降、一円周に生ずる凹凸量が少なくなるように加工される。それ故、密封装置14,14の固定軌道輪固定部25,25とシール装着部19,19の密封装置装着側面20,20との間における隙間が小さい。従って、回転時においても、静止時においても、水、泥水、等の異物の軸受内部への進入(浸入)を効果的に防止することができ且つ、軸受内部からのグリース、オイル、等の潤滑剤の漏洩を効果的に防止することができる。その結果、スロットルバルブ装置40の性能が長期に亘って維持されるので、スロットルバルブ装置40の長寿命化を図ることができる。
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質,形状,寸法,形態,数,配置個所,等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上述した各実施形態では、密封装置の主リップが、シール溝における軸受中心側の内側面(即ち、上述したリップ摺接側面)に接する、所謂内当たりタイプのリップであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、密封装置の主リップをシール溝における反軸受中心側の外側面に接する所謂外当たりタイプのリップとしてもよく(この場合、当該シール溝の外側面がリップ摺接側面となる。)、或いは、密封装置の主リップをシール溝における底面に接する所謂底当たりタイプのリップとしてもよく(この場合、当該シール溝の底面がリップ摺接側面となる。)、いずれの形態でも上記各実施形態と同様に優れた作用および効果が得られる。
また、面の一円周における凹凸量(即ち、面上の凹凸の最大高低差)を30μm以下に設定する部位は、シール装着部およびシール溝の両方とすることがより好ましいが、シール装着部およびシール溝の一方のみにしてもよい。
また、密封装置は、その芯金を樹脂製としてもよく、或いは、芯金を用いずに弾性部材のみにより成形したものでもよい。
また、本発明が適用可能な転がり軸受は、前述した複列アンギュラ玉軸受に限らず、その他、例えば、単列アンギュラ玉軸受、各種ころ軸受、等の転がり軸受であってもよい。
また、保持器は、前述したプラスチック製冠形保持器に限らず、例えば、もみ抜き保持器、打ち抜き保持器、等といった種々の保持器を転がり軸受に応じて用いればよい。
また、外輪を回転軌道輪として当該外輪にシール溝を設け、そして内輪を固定軌道輪として当該内輪にシール装着部を設けて、密封装置の内周部を固定軌道輪固定部として内輪のシール装着部に嵌着し、そして密封装置の外周部を主リップとして外輪のシール溝に摺接させるようにしてもよく、その場合にも、上述した各実施形態と同様にして本発明を実施することができる。
本発明の第1実施形態である転がり軸受の密封装置を取り外した状態の断面図である。 実施例1〜実施例9の水没試験結果を数値で示す表である。 図2の表に示される数値をドットで示したグラフである。 本発明に係る転がり軸受の第2実施形態を示すスロットルバルブ装置への組付け状態での断面図である。 図4における転がり軸受部分の拡大図である。 従来の転がり軸受の断面図である。 図6とは異なる従来の転がり軸受の断面図である。
符号の説明
10,30 転がり軸受
11 内輪(回転軌道輪)
12 外輪(固定軌道輪)
13 玉(転動体)
14 密封装置
16 シール溝
19 シール装着部
25 固定軌道輪固定部(基端部)
27 主リップ(リップ)
40 スロットルバルブ装置

Claims (2)

  1. 固定軌道輪、回転軌道輪、および当該固定軌道輪と回転軌道輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有する転がり軸受であって、
    前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の一方に形成されたシール装着部に装着固定される基端部を有し且つ、前記回転軌道輪および前記固定軌道輪の他方に形成されたシール溝に摺接されて前記転がり軸受の潤滑剤が封入された内部空間を密封するリップを先端部に有する円環形状の密封装置を備え、
    前記密封装置のリップが摺接する前記シール溝の面の一円周における凹凸量を30μm以下に設定したことを特徴とする転がり軸受。
  2. 固定軌道輪、回転軌道輪、および当該固定軌道輪と回転軌道輪との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体を有し、スロットルバルブ装置に組付けられる転がり軸受であって、
    前記固定軌道輪および前記回転軌道輪の一方に形成されたシール装着部に装着固定される基端部を有し且つ、前記回転軌道輪および前記固定軌道輪の他方に形成されたシール溝に摺接されて前記転がり軸受の潤滑剤が封入された内部空間を密封するリップを先端部に有する円環形状の密封装置を備え、
    前記密封装置のリップが摺接する前記シール溝の面の一円周における凹凸量を30μm以下に設定したことを特徴とする転がり軸受。
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