JP2005009436A - 往復圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】往復圧縮機は、内周面にねじ部2bを有する締結穴2aを設けたクロスヘッド2と、クロスヘッド2のねじ部2bに締結されるねじ部1cを有する小径部1aを設けたピストンロッド1と、クロスヘッド2の端面2c及びピストンロッド1の肩部端面1dに対してロッド軸方向に加圧する加圧手段12とを備える。加圧手段12は、ピストンロッド1の小径部1aの外周面1bとの間に油圧室14を形成する油圧シリンダ3及び油圧ピストン4を有する油圧締付け装置13と、油圧シリンダ3及び油圧ピストン4間にロッド軸方向に締め代を有して介在されたスペーサ8とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復圧縮機に係り、特に石油化学プラント等でガス圧縮に用いられる往復圧縮機に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術1の往復圧縮機について図4を用いて説明する。この往復圧縮機は、内周面にねじ部52bを有する締結穴52aを設けたクロスヘッド52と、クロスヘッド52の締結穴52aに挿入されてそのねじ部52bに締結されるねじ部51bを外周面に有する小径部51aを設けたピストンロッド51と、クロスヘッド51のねじ部51bに締結されるねじ部53aを有するロックナット53とを備えて構成されている。
【0003】
このように、ロックナット53をピストンロッド51にねじ込んで締付けることにより、ピストンロッド51とクロスヘッド52とに内力を発生させ、これによって、ピストンロッド51に掛る軸力をクロスヘッド52に伝達できるようにしている。ここで、ピストンロッド51の軸方向位置は、シリンダ(図示せず)とピストン(図示せず)との間の隙間が適当になる位置付近で、且つピストンロッド51の端部に設けた軸直角方向の廻り止め部51cと廻り止め棒54とが系合する位置で決まる。
【0004】
この従来技術1におけるピストンロッド51の径は、圧縮機の取扱い流量、圧力、ピストンスピード等から決定され、一般に数十mmから100mmを超えるものまで用いられている。いずれにしてもピストンロッド51の径が大きいので、ロックナット53も大きくなり、ロックナット53を締付けるトルクを得るために打撃による衝撃力を用いることが多い。
【0005】
しかし、あまり大きな打撃による衝撃力を用いると、クロスピン軸受やロッドパッキン等へ影響を与えるおそれがあるため、できるだけ小さな衝撃力を加えることとなり、作業性が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、図5に示す従来技術2の往復動圧縮機が案出されている。この往復動圧縮機におけるピストンロッド61とクロスヘッド62との締結は、まず、ピストンロッド61に油圧シリンダ63と油圧ピストン64と規準スペーサとを装着したものをクロスヘッド62の一側から挿入し、クロスヘッド62の他側からナット65を挿入し、油圧シリンダ63の端面に設けた凹部63aとナット65の端面に設けた凸部65aを系合させる。油圧シリンダ63と油圧ピストン64とにより油圧室69aを有する油圧締付け装置69を構成する。
【0007】
この状態で、ピストンロッド61の小径部61aをクロスヘッド62に挿入し、さらに小径部61aの先端のねじ部61bをナット65のねじ部65bにねじ込む。これによって、ナット65とクロスヘッド62との隙間及び油圧締付け装置部品の軸方向隙間が無くなったら、油圧締付け装置に油圧を掛けてピストンロッド61を伸ばして、規準スペーサを外し、必要締代を有する別のスペーサ68を入れて油圧を除く。油圧を除いてもスペーサ68の締代が残っているので、ピストンロッド61とクロスヘッド62は引張り及び圧縮の内力を持って保持され、締結が維持される。
【0008】
また、廻り止め部67を油圧シリンダ63の端面にボルト67により取り付け、ピストンロッド61の小径部61aに至る肩部端面61cの近傍に設けられた係合部61dに廻り止め部67を係合し、ストンロッド61の廻り止め装置としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術2では、内力を保持する油圧室69aの内径がピストンロッド64の受圧面である肩部端面61cの外径よりも大きい(換言すれば、油圧室60aが肩部端面61cより半径方向外側に位置する)ため、油圧シリンダ63側の軸方向剛性が有効に得られなかった。つまり、ピストンロッド61側の変動応力を十分に低減するには、十分な剛性を持った、即ち形状寸法の大きな油圧シリンダとすることが必要であった。
【0010】
本発明の目的は、小型、安価で、強度的信頼性の高いピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を有する往復圧縮機を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、内周面にねじ部を有する締結穴を設けたクロスヘッドと、前記クロスヘッドの締結穴に挿入されてそのねじ部に締結されるねじ部を外周面に有する小径部を設けたピストンロッドと、前記クロスヘッドの端面及び前記ピストンロッドの小径部に至る肩部端面に対してロッド軸方向に加圧する加圧手段とを備え、前記加圧手段は、前記ピストンロッドの小径部の外周面との間に油圧室を形成する油圧シリンダ及び油圧ピストンを有する油圧締付け装置と、前記油圧シリンダ及び前記油圧ピストン間にロッド軸方向に締め代を有して介在されたスペーサとを備える構成にしたことにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施例について図を用いて説明する。各実施例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0013】
まず、本発明の第1実施例の往復圧縮機を図1を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例の往復圧縮機のピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を示す図である。なお、図1はピストンロッドとクロスヘッドとの締結が完了した状態を示す。
【0014】
往復圧縮機は、内周面にねじ部2bを有する締結穴2aを設けたクロスヘッド2と、クロスヘッド2の締結穴2aに挿入されてそのねじ部2bに締結されるねじ部1c及び油圧締付け装置構成部1bを外周面に有する小径部1aを設けたピストンロッド1と、クロスヘッド2の端面2c及びピストンロッド1の小径部1aに至る肩部端面1dに対してロッド軸方向に加圧する加圧手段11とを備えて構成されている。
【0015】
クロスヘッド2の締結穴2aはピストンロッド1と同軸方向に延び貫通された穴で形成されている。締結穴2aの径は肩部端面1dの外径より小さく構成され、これによって端面2cと肩部端面1dとの対向する部分の面積が大きくなるように形成されている。
【0016】
ピストンロッド1の小径部1aは、ねじ部1cから先端側に延びて油圧締付け装置13と係合する第1小径部1a1と、この第1小径部1a1よりさらに先端側に延びてクロスヘッド2に締結される第2小径部1a2とを有している。第1小径部1a1は油圧シリンダ3及び油圧ピストン4の内径より極わずか小さな外径を有する外径面1bが形成されている。第2小径部1a2は、第1小径部1a1よりさらに小径に形成され、その外周にねじ部を有している。第2小径部1a2を第1小径部1a1よりさらに小径にすることにより、ピストンロッド1の締付け剛性を小さくしている。
【0017】
加圧手段11は油圧締付け装置13とスペーサ8とを備えて構成されている。油圧締付け装置13は、ピストンロッド1の小径部1aの外周面1bとの間に油圧室14を形成する油圧シリンダ3及び油圧ピストン4を有して構成される。スペーサ8は、油圧シリンダ3と油圧ピストン4との間にロッド軸方向に締め代を有して介在されている。
【0018】
油圧シリンダ3及び油圧ピストン4は、ピストンロッド1の小径部1aの外周面1bにロッド軸方向に移動可能に装着されると共に、ピストンロッド1の肩部端面1dとクロスヘッド2の端面2cとの間に挟持されている。
【0019】
油圧シリンダ3には油圧室14に連通する油圧穴3bが形成されている。この油圧穴3bは図示しない弁に接続され、油圧室14に油圧を加える時に外部の油圧発生装置に連通され、往復圧縮機の通常運転時には外部に対して閉鎖されている。油圧シリンダ3の内周面にはOリング6が装着され、油圧シリンダ3の内周面と外周面1bの外周面との気密を保持するようになっている。油圧シリンダ3の一側端面3aはピストンロッド1のねじ部1cに当接されている。油圧シリンダ3の他側端面は、油圧室14を形成する内側部分と、スペーサ8に当接する外側部分とから構成されている。
【0020】
油圧ピストン4は、油圧シリンダ3内に挿入されて油圧室14を形成するピストン部4aと、ピストン部4aから半径方向に延びる鍔部4bとを有している。この鍔部4bは、一側がスペーサ8に当接すると共に、他側が端面2cに当接している。
【0021】
油圧ピストン4の内周はピストンロッド1の第1小径部1a1の外周面1bに係合し、両者間にはOリング6が設けられている。更に、油圧ピストン4の外周部は油圧シリンダ3と係合し、両者間にはOリング7が設けられている。従って、油圧室14は、三つのOリング5〜7によりシールされて密閉状態が保たれるようになっている。
【0022】
ここで、油圧ピストン4の外周と油圧シリンダ3の内周との係合面に介在されるOリング7の軸方向位置は、油圧ピストン4の内周とピストンロッド1の小径部1a1の外周との係合面のOリング6の位置よりも僅かに油圧室14寄りになっている。
【0023】
スペーサ8は、油圧シリンダ3と油圧ピストン4の鍔部4b間に装着された半割れ部品で構成されている。
【0024】
ピストンロッド1の先端には、締結ねじ部1cとはねじ回転方向を逆にするねじ穴1eが設けられている。このねじ穴1eには廻り止め部品9が取付けられている。この廻り止め部品9はクロスヘッド2の外方から差込まれた廻り止め棒10によって周方向回転が固定される。ピストンロッド1の先端面と廻り止め部品9間にはねじの遊びを無くすためバネワッシャ11が装着されている。
【0025】
次に、往復圧縮機の組み立て方法を説明する。
【0026】
先ず、ピストンロッド1上に油圧シリンダ3、油圧ピストン4を取り付け、両者間に半割れの規準スペーサを取付ける。更に、ピストンロッド1の先端にバネワッシャ11と共に廻り止め部品9を取付ける。この状態で、クロスヘッド2のねじ部2bへピストンロッド1のねじ部1cをねじ込む。油圧締付け装置13を構成する部品間の軸方向隙間、油圧締付け装置13とピストンロッド1の肩部端面1dとの軸方向隙間、及び油圧締付け装置13とクロスヘッド2の端面2cとの軸方向隙間が無くなるまで、クロスヘッド2にピストンロッド1をねじ込む。
【0027】
その後、油圧発生装置にて油圧締付け装置13に必要な軸力(内力)が生じるように油圧シリンダ3及びピストン4で構成する油圧室14に油圧を掛ける。これにより、油圧シリンダ3と油圧ピストン4との間の隙間が広がるので、規準スペーサを取外して、別途用意した所定の締代を有するスペーサ8に交換する。そうすると、次に油圧を抜いても軸力(内力)が残る。
【0028】
次いで、クロスヘッド2の外方から廻り止め部品9の開口部に廻り止め棒10を差込む。この時、廻り止め部品9は周方向に容易に回転できるので、開口部を廻り止め棒10の軸心位置にクロスヘッド端面側から合せることが出来る。
【0029】
このように油圧室14を構成する部品の一部として、ピストンロッド1の小径部1aを用いることにより、油圧室14の内径を小さく形成できる。従って、軸力(内力)を伝達する油圧シリンダ3の受圧面径及び油圧ピストン4の受圧面径を小さくできるので、同内力による曲げモーメントを低減でき、合わせ面の倒れの影響を小さくでき、形状寸法の小さな油圧締付装置で、必要な剛性を得ることができる。特に、本実施例では、油圧シリンダ3の受圧面の外径及び油圧ピストン4の受圧面の外径をピストンロッド1の肩部端面1dの外径とほぼ同じにしているので、同内力による曲げモーメントを格段に低減できる。
【0030】
さらに、油圧締付け装置13の機能とは独立して、ピストンロッド1の緩み止めも行えるので、作業性に優れ、信頼性の高いピストンロッド1とクロスヘッド2との締結構造が得られる。
【0031】
本実施例の具体的な効果を構成と共に纏めて説明する。
【0032】
まず、油圧シリンダ2と油圧ピストン3の内周をピストンロッド1の外周に近づけると共に、ピストンロッド1の外径を小さくしてクロスヘッド2と締結した効果に関して説明する。
【0033】
ピストンロッド1の外周面1bは油圧室14を構成する部分として利用されている。そして、油圧ピストン2の外周面は油圧シリンダ1の内周面に係合してOリング7でシールされると共に、油圧ピストン2の内周面はピストンロッド1の外周面に係合してOリング6でシールされるようになっている。さらには、油圧シリンダ1の内周面もピストンロッド1の外周面してOリング5でシールされるようになっている。
【0034】
このようにすることによって、油圧シリンダ1及び油圧ピストン2を最もピストンロッド1の中心よりに配置できる。そうすると、運転中に内力を保持する油圧室14の外径を小さく出来るので、肩部端面1dの受圧面径(例えば概略平均径)を通してクロスヘッド2へ伝わる軸力の流れが従来技術2よりも外側に流れることが少なくなる。これによる効果を具体的に説明すると、次の通りである。
【0035】
油圧シリンダ3の外周部に働く締付力は、単純に軸方向締付け力だけでなく、ピストンロッド1の肩部を支点とするモーメントとして油圧シリンダ3に作用する。油圧シリンダ3の外周部がピストンロッド1の肩部より半径方向に遠ざかる(大きくなる)程必要とする軸力に対するモーメントの割合が増える。このモーメントが大きくなると、油圧シリンダ3の外周部の締付け力伝達面は外向き半径方向面に沿い軸直角面から傾くことになる。
【0036】
例えば、油圧室14の内径が大きい構造で実際に締付け試験を行った例では、所定の締代を持ったスペーサを用意し、規準スペーサを取付けて油圧を負荷し、締代を有するスペーサに交換した後に油圧を除荷したところ、所定の締代の効果(軸力)が約20%低下した。
【0037】
この曲げモーメントによる合わせ面の倒れの影響を小さくする方法として、油圧シリンダ3の剛性を十分大きくすること、即ちその形状寸法を大きくすることが考えられるが、油圧締付け装置14の質量が増し、形状も大きくなるので、経済的でない。
【0038】
従って、上述した本実施例のように油圧シリンダ3の合わせ面の外径を肩部の外径に近づけることにより、油圧締付け装置14を小形化でき、経済的にも効果的であり、しかもピストンロッド側剛性よりも剛性を高めることが出来、ピストンロッド1のねじ部1cの応力変動を小さく出来るので、強度的信頼性も高めることができる。
【0039】
また、油圧室14の一部を形成するピストンロッド1の第1小径部1a1を設け、その第1小径部1a1の外周面1bに油圧シリンダ3の内周面及び油圧ピストン4の内周面が係合するようにする。ピストンロッド1のクロスヘッド2側にはさらに小径の第2小径部1a2を設けている。これによって、油圧締付け装置側剛性とピストンロッド側剛性比を大きくし、ピストンロッド側の応力変動を低減することができる。
【0040】
ピストンロッド1の一部を油圧室14を構成する部材として用いるとき、その損傷を避けるため、油圧ピストン4の外周側のOリング7は、油圧ピストン4の内周側のOリング6に対し、僅かに油圧室14寄りに配置している。このようにすると、油圧室14に油圧を掛けたとき、油圧シリンダ3は勿論のこと、油圧ピストン4も外側に僅かに変形するので、軸方向圧縮変形によってピストンロッド1と摺動することが避けられる。
【0041】
本実施例では、油圧シリンダ3をピストンロッド側に設け、油圧ピストン4をクロスヘッド側に設けた構造例で説明したが、両部品をその逆に配置してもよい。
【0042】
次に、ピストンロッド1の廻り止めの効果に関して説明する。
【0043】
ピストンロッド1とクロスヘッド2をねじ締結するとき、万一の安全を考えてピストンロッド1が回転してねじ締結部が緩むことの無いように廻り止めが望まれる。この廻り止め方法は上述した油圧締付け装置13の機能を損なわないで達成することが好ましい。また、圧縮機分解時のことを考えると、クロスヘッド2がコネクチングロッドに連結された状態で廻り止めを解除できることが好ましい。
【0044】
本実施例では、ピストンロッド1の先端に、ピストンロッド1とクロスヘッド2の締結ねじ1c、2bとは逆向きのピッチを有するねじ穴1eを設け、そのねじ穴1eに軸直角方向の開口部を有する部品(廻り止め部品)9を1ピッチ程度余してねじ込み、油圧締付け装置13にてピストンロッド1とクロスヘッド2を締結した後、クロスヘッド1の軸平行端面から廻り止め棒10を廻り止め部品9の開口部に差込んで、廻り止めしている。ここで、廻り止め部品9とクロスヘッド2とのねじ締結は、ピストンロッド1とクロスヘッド2とのねじ締結とは逆向きであるので、万一、ピストンロッド1が緩み方向に回転すると廻り止め部品9は締込み方向となり、且つ廻り止め棒10はクロスヘッド端面に固定されているのでピストンロッド1の緩み回転を防止できるものである。
【0045】
この緩み止め用ねじ締結は、ピストンロッド側が雌ねじで廻り止め部品側が雄ねじであっても良いし、その逆であってもよい。また、同じねじ回転方向でピッチを変えたものでもよい。
【0046】
次に、本発明の第2実施例及び第3実施例について図2及び図3を用いて説明する。図2は本発明の第2実施例の往復圧縮機のピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を示す図、図3は本発明の第3実施例の往復圧縮機のピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を示す図である。この第2、第3実施例は、次に述べる通り第1実施例と相違するものであり、その他の点については第1実施例と基本的には同一である。
【0047】
第2実施例の往復圧縮機は、ピストンロッド1の先端に廻り止め棒10を差込める開口部を持った廻り止め装置を一体化したものである。この場合、ピストンロッド1上に油圧シリンダ3、油圧ピストン4、両者間に半割れの規準スペーサを取付けて、クロスヘッド2へピストンロッド1をねじ込み、油圧締付け装置13の部品間の軸方向隙間、油圧締付け装置13とピストンロッドの肩部端面1d及びクロスヘッド2の端面2cと間の隙間が無くなるまで、クロスヘッド2にピストンロッド1をねじ込む。
【0048】
その後、ピストンロッド1を戻すように回転させながらピストンロッド先端の廻り止め部1fの開口部に廻り止め棒10が差込める位置を探す。廻り止め棒10が差込めたら規準スペーサ部に生じた隙間を計測し、あるいはピストンロッドの戻り回転角度を測定し、ねじピッチとの関係から隙間をその分だけ締代付きスペーサの厚さを厚くしたものを用意する。油圧発生装置にて油圧締付け装置13に必要な軸力(内力)が生じるように油圧室14に油圧を掛ける。そして、用意した所定の締代を有するスペーサ8に交換する。
【0049】
この第2実施例では、ピストンロッド1を戻すように回転させながらロッド先端開口部に廻り止め棒10が差込める位置を探すための手間が掛るが、構造が簡単で安価なものとすることができる。
【0050】
第3実施例は、油圧ピストン4の内外周を油圧シリンダ3内に係合させ、油圧シリンダ3をピストンロッド1の小径部1aに係合させるようにしたものであるが、油圧室14の内径及びピストン4に内径を肩部端面1dの外径より小さく形成したものである。これによって、油圧室14の外径を小さくすることができるので、肩部端面1dの受圧面径(例えば概略平均径)を通してクロスヘッド2へ伝わる軸力の流れが従来技術2よりも外側に流れることが少なくなると共に、油圧室14の肩部端面1dの外径より小さい部分に加わる圧力が肩部端面1d及び端面2cに軸方向に直接的に加えることができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、小型、安価で、強度的信頼性の高いピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を有する往復圧縮機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の往復圧縮機のピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を示す図である。
【図2】本発明の第2実施例の往復圧縮機のピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を示す図である。
【図3】本発明の第3実施例の往復圧縮機のピストンロッドとクロスヘッドとの締結構造を示す図である。
【図4】従来技術1の往復圧縮機のピストンロッド締付け構造例を示す図である。
【図5】従来技術2の往復圧縮機のピストンロッド締付け構造例を示す図である。
【符号の説明】
1…ピストンロッド、1a…小径部、1a1…第1小径部、1a2…第2小径部、1b…第1小径部の外周面、1c…第2小径部のねじ部、1d…肩部端面、1e…ねじ穴、1f…廻り止め部、2…クロスヘッド、2a…締結穴、2b…ねじ部、2c…端面、3…油圧シリンダ、3a…端面、3b…油圧孔、4…油圧ピストン、4a…ピストン部、4b…鍔部、5、6、7…Oリング、8…スペーサ、9…廻り止め部品、10…廻り止め棒、11…バネワッシャ、12…加圧手段、13…油圧締付け装置、14…油圧室。
Claims (5)
- 内周面にねじ部を有する締結穴を設けたクロスヘッドと、
前記クロスヘッドの締結穴に挿入されてそのねじ部に締結されるねじ部を外周面に有する小径部を設けたピストンロッドと、
前記クロスヘッドの端面及び前記ピストンロッドの小径部に至る肩部端面に対してロッド軸方向に加圧する加圧手段とを備え、
前記加圧手段は、前記ピストンロッドの小径部の外周面との間に油圧室を形成する油圧シリンダ及び油圧ピストンを有する油圧締付け装置と、前記油圧シリンダ及び前記油圧ピストン間にロッド軸方向に締め代を有して介在されたスペーサとを備える往復圧縮機。 - 前記油圧ピストンの外周面と前記油圧シリンダの内周面との間にOリングを配置し、前記油圧ピストンの内周面と前記ピストンロッドの小径部の外周面との間にOリングを配置し、前記油圧ピストンの外周面側の前記Oリングの位置を前記油圧ピストンの内周面側の前記Oリングの位置より前記油圧室側にずらしたことを特徴とする請求項1に記載の往復圧縮機。
- 前記ピストンロッドの先端部の廻り止め部にクロスヘッド端面側から廻り止め棒を差込んで成るピストンロッド緩み回転防止装置を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の往復圧縮機。
- 前記廻り止め部を前記ピストンロッドと別体にした廻り止め部品で構成し、この廻り止め部品を前記ピストンロッド先端部に設けたねじ穴に前記ピストンロッドの前記クロスヘッドへのねじ込み方向と逆方向にねじ込んで装着したことを特徴とする請求項3に記載の往復圧縮機。
- 内周面にねじ部を有する締結穴を設けたクロスヘッドと、
前記クロスヘッドの締結穴に挿入されてそのねじ部に締結されるねじ部を外周面に有する小径部を設けたピストンロッドと、
前記クロスヘッドの端面及び前記ピストンロッドの小径部に至る肩部端面に対してロッド軸方向に加圧する加圧手段とを備え、
前記加圧手段は、油圧室を形成する油圧シリンダ及び油圧ピストンを有する油圧締付け装置と、前記油圧シリンダ及び前記油圧ピストン間にロッド軸方向に締め代を有して介在されたスペーサとを備え、
前記ピストンロッドは、前記小径部に至る肩部が前記油圧室の内径より大きな外径を有すると共に、前記小径部の先端部に廻り止め装置を有する往復圧縮機。
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JP4148039B2 (ja) | 2008-09-10 |
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